エル様漫遊記・ソラリアの謀略偏


静寂。
朽ち果てた遺跡によどむ闇。
あたし達が見つめるより先に、いち早く振り向き。
そして。
「はぁっ!」
気合とともに刃を閃せる。
その一撃は風を切る音と同時に、壁から出てきたもの―――
つまりは一体の悪霊を薙いでゆく。
ひぎぃぃぃぃぃ!
何やら面白いまでに絶叫を残し、そのゆらゆらとゆれる白い姿は、闇の中にと霧散する。
「――やっぱり、リナ?この剣そこいらの剣より使い勝手がいいんだけど……
何やら剣をみつつ言ってくるガウリイに。
「だ・か・ら♡それは別の世界のものだってば。この世界のもので応用しないとね♡」
そんなあたしの言葉に。
「それに、ガウリイさん?ガウリイさんがそれをもっていたら、
  何か多少の歪みがこの世界に生じて、面白いことになってますよ?♡」
にこやかに、そんなことをガウリイにといっているユニット。
ちなみに、ガウリイが持っている『剣』がここにある限り、
ちょっぴし空からの飛来物がこの星にと飛来するようにしてるのよね♪
面白いし♡
「そうですよ?ガウリイさん。
  ガウリイさんが何かその剣をもとれてから、隕石とか挙句は津波や地震。
  そんなのが多発してるんですよ?
  …この辺りの以前結界で覆われていた地区では起こってはないですけど♡」
そんなガウリイに、にこやかにといっているゼロス。
そんなゼロスの言葉に。
「……それって、リナが何かしてるんじゃないのか?」
なぜかじと目であたしを見てくるガウリイだし。
「あら♡気のせいよ♡」
『・・・・・・・・・・・・・・・・・』
にこやかにいうあたしの言葉に、なぜか顔を見合し、無言になっているガウリイとゼロス。
「まあまあ♡そんなどうでもいいことより♡
  早く光の剣ことゴルンノヴァさんの代わりを見つけないと♡」
そんなあたし達にと、にこにこと笑みを浮かべつつもいってきているユニット。

ちょっと立ち寄った村の近く。
近くの廃墟に住まう悪霊退治にと来ているあたし達。
依頼料はたかが、金貨五枚、という低さではあるけど。
「でも、こにあった剣はしょぼいわねぇ♡」
「まあ、そんなものでしょ。」
本来なら別に素通りするような依頼ではあるけども、
この屋敷の主がかつて様々な魔法道具マジックアイテムを集めており。
悪霊たちはそれらを守るためにと今は亡き屋敷の主が召喚した存在たち。
すでに数十年以上もたっており、今では他の場所よりも悪霊などが集まり…結果。
ここはちょっとした【幽霊屋敷】となってたり♡
その屋敷を買い取り、そこに新たなカジノを作ろうとした人間からの今日の依頼。
当然、屋敷の中にある品物はすべてあたし達のほうでもらっていい、という条件の下やってきているあたし達だけど
ためしにガウリイにここで手にいれた一つの魔力剣を使わせたら…あっさり折れるし……
「まあ、ガウリイさんは、だぁぁぁぁいぶ、私の動きについてこれはじめてますし♡
  まだまだだけど♡」
夜、ヒマだからって雨の日とかユニット…嬉々としてガウリイと遊んでるからねぇ。
ガウリイは剣の腕が伸びるからとかいって喜んでるけど。
いっつも瀕死状態になった所を、あたし、もしくはユニットが回復してる。
そんな状態だったりするし。
そんなユニットの言葉に。
「そりゃ、ユニットさんやリナさんの相手をするとなると…まともな魔力剣でも折れますよ…」
何やら小さくつぶやいているゼロス。
そして、続けて。
「まあ、普通の一般的な魔力剣とかは、悪霊とかなら切れますけど。
  炎の矢などの呪文をはじいたり。または純魔族を切ったりするのは不可能でしょうしねぇ♡」
何やら横でしみじみと何やら言っているゼロス。
「ま、目当ては斬妖剣ブラストソードだし。」
「エルメキア・ブレードとかだと、普通の切れ味悪いしねぇ♡」
そんな会話をするあたし達に。
「……ようわからんが。…ま、オレはこれでいいと思うがなぁ?
  リナの何かしらちょっかいをどこかにしているであろうそれさえやめてくれれば……」
剣をみて、それからあたしをなぜかじと目でみつつも言ってくるガウリイだし。
「あら♡あたしのせいじゃないわよ♡」
事実、あたしのせいじゃないんだし♪
ただ、あの剣をここの世界の人間がもったら、隕石が振ってくるようにしているだけだし♡
離れたところに♡
「ま、それはそうと。品物とかも全部回収したし。大元も消滅させたし。戻りましょ♡」
そんな会話をしているあたし達の会話をさえぎり、にこやかに言ってくるユニットに対し。
「それもそーね♡」
いって、軽く指を鳴らす。
と。
同時にあたし達の姿は瞬時のうちに、廃墟の中より掻き消えてゆく。

ベゼルドの一件より約二ヶ月ばかり。
のんびりと旅を続けているあたし達。

ドッン!!
その日の夜。
何やら隣の部屋よりしてくる物音。
というか、相手の実力くらい測りなさいよね……
「あら♡ガウリイさんとゼロスさんの部屋にお客さんみたいね♡」
にこにこと、ベットにちょこん、と腰掛けて、隣のベットにいるあたしに言ってくるユニット。
部屋が空いてなかったので、ツインの部屋を二つとり、あたし達は休んでいたんだけど。
『うぎゃぁぁぁぁ~~!!』
それと共に結界内部にと響き渡る襲撃者の悲鳴。
ゼロスがあの部屋には結界張ってるようだしね♡
「みたいね♡とりあえずいきましょ♡」
ふいっ。
いうなりあたしとユニットは、そのまま隣のガウリイとゼロスが泊まっている部屋にと移動する。

「あ、すいません。うるさかったですか?」
現れたあたし達にちょっぴし、ぴくつきつつも聞いてくるゼロスに。
「…つうか、二人とも…いきなり夜に入ってくるなよ…しかも、瞬間移動で…
  …ま、それはそうと、お客さんだぜ?」
いって、なぜか白目をむいて口から泡を出している、
なぜか床に転がっている一人の男を指差すガウリイ。
とてとてとて。
そんな倒れている男性の横にと歩いていき、かるくしゃがみこみ。
「あら、泥棒さんだ♡」
いって、何やらつんつんと、部屋に備え付けている穴あけでつついているユニット。
ちくちくっ。
グサッ!
あ♡血が出てる♡
何やら男の周りにはロープとかも転がってるけど。
というか、この二人の部屋に入った時点で結果は丸見えよねぇ♡
勘の鋭さではこのあたしも認めているガウリイに、一応Sよりも実力をつけさせているゼロス♡
この二人から気配を感じ取らせずに、盗みを働くなて、できたらそれはそれですごいけど♡
「ぐあっ!!」
何か頭にかかる熱海で飛び起きている男。
すでにガウリイがこの男がもっていたロープの一つでガウリイがぐるぐるに縛ってるけど。
そして。
「……なっ!?かっ!!??ちくしょぉぉ!?」
幻影なんか見せやがって!
何やらそんなことを思いつつわめいているこの男。
そういや、ゼロスがこいつの前でちょっとぱかし、ブラス・デーモンごときに姿変えてたけど。
それだけでこいつ白目むいて口から泡吹いて倒れたのよね……
その前にガウリイから関節、というかみぞおちに一発くらって動けなくなってたけど。
「あ♡気がついた♡」
そんな男の目の前でにこにこと笑みを浮かべているユニット。
一瞬そんなユニットの笑顔に顔を赤らめ。
そして。
「…くっ!?」
何やら縄を解こうとしてるし。
「まあ、それはそうとして♡
  何でガウリイとゼロスが泊まっているこの部屋にと盗みに入ったのかしら♡
  相手の力量くらい測れないと♡」
自らの腰に手をあてて、話しかけるあたしの言葉に。
「・・・・・・・・・・・・・・・」
なぜか無言のこの男。
誰が話すか!
などと思ってるけど。
「あら♡話さないならそれはそれでいいわよ♡
  どうせゼロスがこの部屋に結界張ってるから何をしても問題ないし♡」
いって軽く、くるり、と指を回すと。
そこから出てくる一つの物体。
グジュ…グジュルグジュル……
ちなみに、これは魔海にと生息している生き物で、
その特徴は、人の顔。
…つまりは取り込んだ人間とかを体全体にオプションとしてつけているタコだったり♡
種族の名前をシュレードっていうんだけどね♡
「うどぎゃぁぁぁぁぁぁぁ~!!??」
何かそれをみて悲鳴を上げてし…この人間は……ちなみに、名前をアベルといったり♡
「あらあら、アベルさん♡これくらいで驚いてどうするんですか?
  今からこのシュレードがアベルさんの足からまずゆっくりと溶かしつつ、
  そしてじわじわと生きたまま喰べていくんですよ?」
にっこりと。
アベルの前にちょこんと椅子を創りだし。
その椅子にちょこんと腰掛け、足をぶらぶらさせつつ、
両手を自分の頬にとあてて説明しているユニット。
何を…とアベルが言いかけるのと同時。
その言葉は。
「がぐわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ~~!!」
なぜか絶叫にと代わってるし。
あ♡
シュレードがアベルの足を絡みとって溶かして喰べ始めてるし♡
「……つうか、素直に放したほうがいいとおもうぞ?
  下手したら足一本ほどやられたところで足を再生されて幾度もやられるぞ?おそらく……」
そんなアベルに同情と、なぜか哀れみの視線を向けて何やら言っているガウリイだけど。
「あら♪そんなことはしないわよ♡
  下半身すべてが無くなった所で幾度か再生させて、
  また足からゆっくりと食べてもらえばいいじゃない♡」
ジュル……
ジュルジュル……
「~~~!!??」
何やら悲鳴とも、叫びともいえない声にならない声を出してもがいているアベル。
ちなみに、気絶したら面白くないので気絶はできないようにとちょっぴりしてたりするけども♡
「はなっ……!話すから!やめて……ぐぎゃぁぁぁぁぁぁぁ~~!!」
あ♡
足を食べ終えて、今度は腰周りに入った♡
「あら?話す気になった?それじゃ、シュレード、それから離れてね♡」
ジュグリ……
あたしの言葉をうけ、アベルから離れる顔が数十以上ついているタコの一種のこのシュレード。
ちなみに、これは生物を喰べるときには、
血が出ないようにその生物の血管を閉じつつ食べているので、
溶かされつつ喰べられるわりにはその生物においては、そんなに大量に出血しない。
「…ひっ…あっ…あっ……」
しばられて自由が利かなくなっているとはいえ、自分の腰から下がなくなっているのはよくわかる。
何やら白い骨や赤身などから、ぐじゃぐじゃと血が滲み出してたりする様子をその目に捉え。
「た…たのむ・・・話す…か…ら…たすけっ…くれっ……」
何やら途切れ途切れになりながらも言ってくるし。
「ま、ちゃんと話すんならね♡」
いってあたしがちらり、とゼロスに視線を向けると。
「……僕がやるんですね。」
いって、その失われたその場所に錫杖をかざすゼロス。
それに伴いほのかな光のもと、途切れた部分から細胞が活性化していき。
―――それは見る間に元の形を成してゆく。
「……まあ、セロスだしなぁ。それで?何だってオレたちの部屋に忍び込んできたんだ?」
それをみて、それでさらっと済ませ、アベルにと問いかけているガウリイ。
「……実は、俺の知り合いの一人にいつも結構金に困っているやつがいて……
  そいつがしばらく前どういう風の吹き回しだか俺たちに酒を奢ってくれる…
  …何て言い出して。…話を聞けばひょんなことから手にいれた魔力剣を、
  とあるところにうったらいい金になったって……」
ほとんど、なにやら擦れ、それでいて震える声で言ってくるそんなアベルの言葉に。
「?ある場所?」
その言葉に首をかしげているガウリイ。
「ひっ!……あ、あの。
  ここからちょっと西にいったところにあるソラリアって町があるんですが……」
そんなアベルの言葉に。
「この辺りではちょっとした大きな町ですね♡」
などとにこにこしつつゼロスが言ってるけど。
その間もシュレードはアベルの周りでうねうねと動き、
ときたまその触手でぺたぺたとアベルを触っていたりするけど。
そのたびに何か悲鳴を上げているこのアベル。
「…え、ええ…結構大きな城下町なんですが…
  町の中心にあるこの辺りを収めるロード・ラングマイナーの城があるんですけど……
  そのロード・ラングマイヤーが魔力剣を金で買いあさってるらしく…
  ……といっても、その人物のいうことを信じれば…ですが。
  ……で、俺もそのおこぼれを…とおもって…
  ……食堂であんたたちが魔力剣の話しているのを聞いて…それで……」
「それで。忍び込んだ訳…か。――だ?そうだが?どうすんだ?リナ?こいつ?」
いってあたしを見て聞いてくるガウリイに。
「あら、それはベルギスのことでしょ?
  そうねぇ。とりあえずそのアベルは人のものを盗ろうとした罰は受けないとね♡」
にっこりといったそんなあたしの言葉に。
「な゛!?話が違うじゃねぇか!?話したら助けてくれるって!!??」
名前を呼ばれていることすらにも気づかずに、
恐怖に面白いまでに支配されて叫んでいるこのアベル。
「あら♡だから、さっきからだはゼロスに再生させたじゃない♡
  泥棒しようとしたのを見逃す、なんていってないわよ♡」
あたしの言葉に続き。
「えっと。窃盗が52件。婦女暴行未遂が25件。スリが10件に空き巣が83件……っと。
  結構悪事やってるようだから、役人にも引き渡すけど、お灸を据えた後♡」
続けて、さらり、とこの男の前科、というか悪事を言っているユニット。
「だっ!?なっ!?てめぇらなんか!?」
いいかけて、なぜか顔を真っ青にして。
「知り合いにこの悪口いって絶交されて依頼のこの悪口で十分だ!
  てめえらなんか…あの!『リナ=インバース』以下だ!」
あら♡
「あら♡どういう意味かしらねぇ♡あ、シュレード♡こいつ胸の辺りまで喰べてもいいわよ♡
  そのつど再生させてはまた喰べさせてあげるから♡」
にっこりと。
アベルの後ろでうねうねとうねっているシュレードにと話しかけるあたしの言葉に続き。
「……馬鹿ですねぇ……」
「だな。よりによってリナ本人にそんなことをいうなんて……」
あたしの言葉をきき、なぜかアベルに同情の言葉をかけているゼロスとガウリイ。
意味がわからずに首をかしげているアベルに対し。
「あら♡アベルさん、知らなかったの?
  この人、というか、このリナ、その『リナ=インバース』本人なんだけど♡」
…………ぴっし!!
「うぎゃぁぁぁぁぁぁぁ~~!!」
あ♡喰べられた♡
ユニットの言葉になぜかものの見事に全身から血の気を失い。
そのままシュレードに喰べられているこのアベル。
「さってと♡じっくりお灸は据えないとねぇ♡」
「…オレ、何か一階にいってる……」
何かガウリイがそんなことをいいつつ逃げてるけど。
ま、いっか♪

しばらく夜明けまで。
なぜかアベルの断末魔が響き渡ってゆく。
ま、ゼロスが結界張ってるから問題ないし…ね♡


                            -続くー


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あとがき:
薫:さてさて、やってきましたソラリア編(笑
  この漫遊、なぜか水竜王の騎士が終わった
  (・・んな終わり方・・意味不明だったなぁ・・あれ・・)
  のをうけて、一応またまた考えたりとか(笑
  何はともあれ、こちらのソラリア編はこれから始まっていきますけど。
  ガウリイ・・何かどんどんとエル様達に感化されてる?(汗
  ・・・・・・・・・・ま、ガウリイだしなぁ。
  何はともあれ、それではまた、次回にてv
  んではではv
  2005年2月20&21日某日


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