エル様漫遊記・ベゼルドの妖剣偏
ドシュッ!!
ルークの振るった剣の一撃が、ガルファの触手の一つを切り落とす。
――が。
すぐさまに、というか、一時の間をおいて、再び再生し始める。
とりあえず、何かゼロスとシェーラは『協力者を仰いできます!』
とかいって、虚空に溶けきえ、今いるのは、あたし達とルーク達のみ。
とりあえず、ユニットが、
多少【一時ほどすべての能力をアップさせる薬】をルークとミリーナに渡し。
それを飲んでいるので多少のダメージをこのガルファにと与えられるようになっていたりする。
「…嘘だろ…おい…んなのどうやって倒せっていうんだよぉ~!!」
瞬く間に再生する【ガルファ】に驚き何やら叫んでいるルーク。
つうか、何だってんなことになったんだ!?
等と、何やら心の中で絶叫してるし……
「ルーク、そんなコトをいっているヒマがあったら、次の攻撃をしてください。
ミリーさんたちだってやってるんですからね。」
いいつつも、あたし達のほうをみてくるミリーナ。
ちなみに、あたしとユニットは。
ガウリイ・ルーク・ミリーナが、【ガルファ】の触手や肉を削ぎとったりし、
そのそがれた肉片から再生してくる物体を相手に遊んでいたり♡
一種のアメーバのようなモノ。
とある一定のダメージを受ければ分裂してゆく、という性質をもつ。
この応用で、ガルファもまた、瞬時にダメージをうけても再生してたりするんだけど。
…ちょっと形的というか基本は違えども♡
「キャ~♪キャ~♪キャ~♪」
ザシュシュ!
ロッドを片手に見た目には逃げ惑うように走りつつ、
ある一定のダメージのみを相手に与えているユニット。
それに伴い。
ポコッ
ポコココッ。
ズルッ……
さらに欠片より生じた生物は、分裂し、その数を増してゆく。
あたしも又面白いので、大鎌…といっても、少し小型のバージョンにして取り出し、
それでザスザスとそれらを切り刻んでいたりする。
なぜかルーク達だと、これに一定ダメージを与えるのが難しいのよねぇ。
ガウリイならほぼ確実にできるようになってるけど♡
「わあってるって!いくぞ!」
そんなミリーナの言葉をうけ、次に呪文を唱えているルーク。
ガウリイもまた、こちらは【ガルファ】が伸ばしてくる触手を疾りつつ切り落としていたりするけど。
それに伴い切れた部分の上下から、うじょうじょと、ちょっとした虫のようなものが湧き出して…
上下をつなぎ、あっという間に再生させてゆく。
まあ、いってみれば、まるでイソギンチャクの数倍以上大きなモノが、
わさわさ、もさもさと動いているような感じではあるげと。
だがしかし、そんなガウリイの一撃や、ミリーナの呪文。
そして、ルークの呪文と剣さばき。
それらに対して【ガルファ】は何ごとも怒っていないようにずるずると町に向かって進んでゆく。
「ちっ!ミリーナ!ダブルでいくぞ!」
「了解。」
何やらいいつつも、二人して同じ術を唱え始めるルークとミリーナ。
そして。
その呪文詠唱が完成し。
「「
ぶごごぉん!!
ルークとミリーナの放った
「効いてるか!?」
「ダメージは…まあ、あったみたい…って、ええぇぇ!?」
【ガルファ】の腰の辺りがごっそりと削げ落ちているのをみていっているルークとミリーナ。
……だが。
それもまた、すぐさまに再生を果たす。
「「うそ(だろ)(でしょぅ)!!?」」
あ♡
面白いまでにルークとミリーナの声が一致してるし♡
「だぁぁ~~!!もう町はすぐそこだぞ!?」
ガウリイが何やら叫ぶと同時。
と、そのとき。
パァッ。
ベゼルドの町の方向の空が一瞬明るくなり。
そして。
その小さな百数十の赤い灯は、一瞬の間をおいて【ガルファ】に向かって一斉に飛来してくる。
「
何かそれをみてルークがいってるけど。
キュドキュドォォ!!
爆音と共に、無数の炎がガルファに突き刺さる……が、無傷だし♡
「そうか!ベゼルドの警備隊か!」
ガウリイが、その光景に何やら声をあげてるし。
ここ最近、というか、この数年来のデーモン発生に伴い。
ベゼルドの町には、そこそこの数の警備の兵士や魔道士たちが滞在している。
山が崩れ、正体不明の遠吠えは聞こえるわ。
一箇所が待った蔵になったかのように何か黒いものが動いているわ。
ルークやミリーナが
そんな些細なことをやっていたがゆえに、
ようやくペゼルドの警備隊が気づき、魔道士や術を仕える存在を呼び集め、
彼らにとっては『正体不明な黒い何かの物体』にとりあえず、炎の矢をぶちかましたようだけど…
一応、これでも、コレ、中級魔族に入るから、この【ガルファ】にはんもの効かないのにねぇ♡
当然のことながら、まったくもってノーダメージ。
ダメージ一つ受けることもなく、そのままずんずんと進んでゆく【ガルファ】。
――そして。
【ガルファ】はベゼルドの町にと迫ってゆく。
なぜか面白いことに、
無数の悲鳴と混乱が、町の中を埋め尽くしていくのに、さほど時間がかかるはずもなく。
確かに今は夜になってはいるものの。
まだ日が暮れてそんなに時間はたっていない町にと近づいている【ガルファ】。
そんなガルファに人々が気づき…
…そして人々が、ざわめき始めるのにさほど時間がかかることもなく。
そしてまた、魔道士たちが彼らのありったけの攻撃呪文を浴びせているのに、
ガルファはまったく無傷所か、どんどん町にと近づいてくる。
警備の兵や魔道士たちには太刀打ちできない相手…
…と町の人々が理解するのにもさほど時間がかかるはずもなく。
―――結果。
面白いまでに町の中は、混乱と恐怖であふれかえっていたりする。
町の至るところでは、ともかく、人々の避難を!
という意見で、人々をガルファの進行方向ではないであろ方向の広場などに、
避難誘導などをしている兵士達の姿。
だが、それもあまくで『予想』であり……
家の中にいたほうが安瀬んだの、固まっていれば大丈夫だの。
挙句は教会には、あの異形の『何か』はやってこれるはずもないから教会の中が安全だの。
面白いまでに、様々な噂が飛び交い、町はパニック状態♡
とりあえず、コレ以上攻撃を仕掛け、
『プチ・ガルファ』もどきが大量に発生したままの状態で町にたどり着いたら洒落にならない。
というミリーナの意見により、ひとまずガルファへの攻撃を止め。
あたしとユニットがかなり分離させて力をそいでいる、
ガルファの肉片より生じたガルファもどきを駆逐していったミリーナたち。
そして、すべてを片付けておいて。
とりあえず、先回りして空からこのベゼルドにとやってきているあたし達なのだけど。
何やら町の中が面白いことになってるし♡
「それはそうと、あのゼロスとかいうやつと、シェーラちゃんはどこいったんだよ!?」
何やらあたしに聞いてくるルーク。
「あら♡とりあえず、自分たちじゃどうにもならないからって上司を呼びにいってるみたいよ?」
何かグラウシェラーのやつに全部の仕事を押し付けて、
ついでにダルフィンがあいつに何かやってたけど。
まあ、関係ないし。
「「上司って……」」
そんなあたしの説明に、何やら言っているルークとミリーナに。
「それはそうと。デーモンと化したガルファさん……近づいてきますけど?」
少し震えたようなそんな相手に印象を与えるような、そんな感じの声を出し、
ぽつり、といって指をさしているユニット。
こういう怖がったまね…ユニット、得意だからねぇ……
「あら♡本当♡」
見れば、町の端に並ぶ魔道士たちの隊列が崩れ、ガルファがすぐ目前にまで迫ってきてたり♡
ガルファは今のところは、人々に攻撃を仕掛けてはいない。
面白いことに、【ガルファ】の姿をみて、畏れおののき、恐怖している兵士達や魔道士たち。
「ひるむな!攻撃呪文を叩き込め!効いているはずだ!!」
などと、怖気づく人々に激励を飛ばしつつ、
身振りを大きくして何やら言ってる隊長クラスの警備兵。
…どうでもいいけど♡
手をぶんぶんと振ってたら、ガルファに攻撃してくれって言っているようなモノよね♡
ヒュッン……
「ぐあうっ!!」
それと同時に、その人間が悲鳴を上げる。
ガルファの肉の塊から突き出た一本の触手がその人間の胸を貫き、
ズクッン。
鎧ごと貫かれた人間の体は、見る間に生体エネルギーを奪われて、
頬がこけ、肌が干からび、髪がぞろり、と抜け落ちて。
瞬時のうちに、その肉体はミイラと化してゆく。
まあ、この【ガルファ】の食事…生き物の生体エネルギーだしね。
一応。
一応魔族といえども呪法をかけられている器を依り代にしていると、
その術をかた自分より別の魔族のその影響で多少力がそがれるし…
ま、こいつの場合は自らの上司に当たるドゥールゴーファがこの人間の精神を破壊させ。
その器の中に彼自身を作り出し、自らがそれをかけているから問題ないけど。
まったく勝手そのものが違うしね♡
まだあれは誕生したばかりの魔族。
しかも、元は人間の精神体だし。
ゆえに、最も力を蓄える方法、
…すなわち、人間などの生物の生体エネルギーと精神力を奪う。
それを実行してるだけだし。
これは♡
「―…っ!エルメキア…っ!」
近くにいた別の魔道士のうちの一人が、その触手に術を放とうとするが、その瞬間。
シュルル。
すでにガルファが伸ばしていた別の触手がその魔道士の体にまとわりつく。
そして、絡めとった人間を、本体でもある肉の塊にと押し付け。
ざわり。
蛇のような触手を何本も生み出して、まだ生きている魔道士や兵士にかぶりつく。
何やらあたりには絶叫と悲鳴がこだましてるけど。
―――と。
「…………これか?ゼロス?」
「……は……はぁ……」
ふいっ。
逃げ惑う触手からのごれた人々の目の前に、突如として出現する数名の人影。
一人は長い黒髪の場違いな青いドレスの女性。
一人は淡い金髪を短くまとめた動きやすい格好の女性。
そして、その後ろには、数名の人物がいたりするけど。
「……な。何だ!?」
遠目にその光景を見ていたルークが、今虚空より出現した人物をみて何やら驚いてるけど。
「あらあら♡
この薬が効くといいんですけど……」
いいつつ、何やら場違いな青いドレスに左手になぜか扇子を持ち、
黒く長い髪の女性がガルファをみて何やら言っている。
その後ろには数名の女性たちが控えてるけど。
「…な……何なんだ?」
その場に出現した人物たちをみて、何やらつぶやいているルーク。
ちなみに、なぜか兵士達や魔道士達とかも驚いてるけど。
だがしかし。
今は逃げることが先決。
とばかりにわらわらと、てんでばらばらにと走り出している人間達の姿も多少♡
「あら♡いらっしゃい♡」
あたしの言葉に。
「あ♡久しぶり♡ゼラスさん♡ダルフィンさん♡」
ピッキ……
あ、二人が固まってる♡
ルークとミリーナは互いに顔を見合わせて首をかしげてるけど。
「どどど…どうもおひさしぶりです…ユニット様……」
なぜかこちこちに固まりかけつつも言ってくるゼラスと。
「ごきげんよう。ユニット様。それに……えっと……リナ様?」
見知らぬ人間が二人。
つまり、ルークとミリーナの姿を認め、何やら言ってきているダルフィン。
「あら?グラウシェラーさんは?フィブリゾさんは、エルに精神世界面に謹慎処分うけてるし。
ガーヴさんは今は人間の子供になってるから仕方ないとしても♡」
そんな二人をみて問いかけるユニットに対し。
「ああ。あのグラウの馬鹿でしたら、彼が来ても逆に絶ちませんし。
とりあえず、ルビーアイ様のお仕事と。私たちのお仕事を押し付けてきましたの♡
ね、シェーラちゃん♡」
いって、後ろにいるシェーラにと話しかけているダルフィン。
そんな彼らやあたし達の会話をきいて。
「………いや、今…ダルフィンとかゼラスとかいわなかったか?」
何やらだらだらと汗を流しているルークに。
「…それに今、冥王フィブリゾと魔竜王ガーヴの名前も出たような……」
なぜか突っ立ったままで、何やらつぶやいているミリーナ。
「まあ、それはそれとして♡とりあえず、あの【ガルファ】がんばってどうにかしてね♡
あ、町の備海状況に応じるから♡例のやつは♡」
びくくぅぅ!
なぜかあたしの言葉に一瞬身震いするこの二人と。
そして、オマケの存在たち。
まったく……この程度のことでねぇ。
さってと、少しは楽しめそうね♡
-続くー
HOME TOP BACK NEXT
####################################
あとがき:
薫:さて、ゼラスとダルフィン登場です(笑
とりとあえずは、彼女たちにはがんばってもらいますか・・・
たぶん次回でこのベゼルド編は終われますv
何はともあれ、ではまた次回にてv
2005年2月15日某日
HOME TOP BACK NEXT