エル様漫遊記・ベゼルドの妖剣偏


「なっ!?」
「「コマンダー!!??」」
「ガルファ様!?」
なぜか剣を持ったまま、
上下に震え、白目をむいて叫ぶガルファをみて同時に声を出しているルークとミリーナ。
そして黒尽くめの男達の姿。
「何が起こったんだ!?」
「が・・・がぁぁぁぁぁぁぁぁぁ~~!!」
何やら叫ぶルークの司会に、絶叫を上げているガルファの姿がみてとれる。
「…というか、私どうすればいいとおもう?ゼロス?」
「……さあ?下手なことはしないほうが懸命かと……」
何やら横でぼそぼそと話しをしているシェーラとゼロス。
「あらら♡ま、あのドゥールゴーファは一応。精神を喰べて自らの力となして、
  新たな【魔】を生み出すように創ってるしねぇ。シェーラは♡」
「でも、根性を入れれば、精神をおかされることもないのに……根性ないわね。あの人。」
そんな会話をしているあたしとユニットに。
首をかしげつつ、なぜかかなり顔色も悪いけど。
「…なあ?リナ?あいつどんどん人の気配でなくなってきてるぞ?
  何か魔族の気配に近づいてるような……」
などと、何やら顔色を悪くしながらもあたしに聞いてきているガウリイ。
ちなみに、ちょこっと声が震えているようだけど。
「ああ。ドゥールゴーファの性質よ。あれ。ある程度の精神力を奪ったら、
  その抜け殻になった魔を創りだして憑依させるのよ。ついでに呪法をかけてね。」
今のところは…なんだけど。
それに、嘘はいってないし。
完全に事実でもないけど♡
そんなあたしの説明に。
「な゛!?―――魔っ!?つうか、まじか!?」
「……本当にあれ……魔族……何ですね……」
何やら意味不明な叫び声をあげているルークに。
冷や汗を流しつつ、剣と、そしてガルファをみつつ言っているミリーナ。
シェーラがすぐ側にいるのに合図も何もない。
だとすれば、今のところ自分に触れた存在の中では、
この人間が一番そこそこに、魔力も、そして精神力もある。
――ゆえに。
元々受けていた命令を実行するのみ。
一人そう判断し、さらにガルファの精神を喰らい奪ってゆくドゥールゴーファ。
よりいっそう黒いプラズマもどきがガルファの全身を、より強く包み込み。
そして―――
「が……ぐっ…がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
ちょっとした大きな叫び声と共に、ガルファの体が変化してゆく、。
全身の肉がはじけ、盛り上がり、いたるところより生じる触手。
「……な、何かヤバクねえか?」
ルークがそれをみて、何やら震える声でつぶやいてるけど。
「ちょっと!ドゥールゴーファ!?まだここを壊さないでよっ!!?」
何やら悲鳴に近い声を上げているシェーラ。
と。
ポイッ。
ばくり。
ずぶっ…
ユニットが何やらごそごそと、スカートのポケットを探ったかとおもうと、何かを取り出し、
それをガルファに向かって投げてるし。
どくん!
「ぐわぉぉ~~~!!!」

ユニットが投げた小さな粒を取り込むのと同時。
何やら叫び、その体をさらに数倍、数倍にとどんどんと、膨れ上がらせてゆく。
「あ♡あれ?落ち着けようと思ったら、間違って混乱する薬なげちゃった♡」
ぺろり。
とまるで本当に偶然に間違えたかのように、
残りの粒をポケットから取り出し、ガルファが変化したデーモンと、
自分の手の平の中を見くらべ、舌を軽くだして、さらっと言っているユニット。
「「…………ちょっとまてぇ~!!」」
「「ちょっとまってくださいぃぃ~!!」」
その言葉になぜか叫んでいるほかの人間達。
なぜかシェーラとゼロスも同じように叫んでるし。
「っつ!きゃぁ!ドゥールゴーファ!こっちに!逃げるわよ!」
あの御方のご友人が何かされた…ということは!アレは私たちの手には負えない!
などとそんなことを思いつつ、ドゥールゴーファに気かって叫んでいるシェーラに。
「―――…っ!?つうか!ユニットちゃん!?何したんだ!?」
何やらあせって聞いているガウリイ。
「えっとね。あの人間に憑依した魔族……
  というか、今ドゥールゴーファがあの人間の中に生み出した魔族。
  本当はあの彼の精神そのものを落ち着ける薬投げて、
  大人しくしてもらおうとおもったんだけど♡
  でも間違って混乱するほうの薬なげちゃったみたいなの♡」
にっこりと説明するユニットの言葉に。
「……わざとだろ……それ……」
何やらじと目で言ってきているガウリイに。
「あら♡偶然よ♡偶然♡」
さらり、とにこやかに交わすユニット。
そんな二人の会話をききつつ。
「あ…あのぉ?つかぬことをお聞きしますが…混乱するって…いったい……」
何やらユニットに目を見開きつつも聞いているゼロス。
「えっとね。たいしたことじゃないんだけど♡視界に入るものはすべて壊して。
  動くものは触手伸ばして生体エネルギーごと吸い取っちゃうの♡ああいうように♡」
――どっしゅっ!
「がぐぁっ!?」
ユニットの言葉と同時。
四方八方にと元、ガルファの体から伸びている黒っぽい触手。
それに黒尽くめの一人が胸を貫かれ、
見る間にその体は叫びとともに、ミイラとなり、そして塵と化してゆく。
「どわぁぁ~!!??」
情けないことにソレを見て、出口に向かって駆け出している黒尽くめの男達。
だがしかし。
触手はそんな彼らを追いかけ、一人、また一人と貫いてゆく。
「あら♡だから動くものに…しかも、動きの強いものに優先的に攻撃する。
  そんな混乱の仕方なのよ♡あ、あと副作用で体が十倍程度になる程度…かな?
  あの薬の効果は♡」
にこにこにこ♡
取り出した粒状の薬をきちんと片付けながら元の小さな袋にしまい、
ポケットに入れつつそんなことをいっているユニットに。
「なんつうもんがあるんだ!?」
「ルーク!今はそんなことを言っている暇はありませんわ。こは危険です!」
いいつつも、目で天井を指し示すミリーナ。
見上げれば、どんどん大きくなってゆく【ガルファ】の圧力に耐えらず、
崩れ始めている天井が目にはいってくる。
「あら?このままじゃあ、生き埋めになっちゃうし♡どうする?ユニット♡」
そんなあたしの問いかけに。
「とりあえず。今度は私が移動させるわ♡」
いって。
くるり。
とその手の中にロッドを出現させ、それを軽く振る。
――と。
シュッン……
それとともにあたし達はこの場。
…つまりは、坑道より外、廃鉱の外にと瞬時のうちに移動し。
廃鉱の近くにある森の中にと瞬時に移動する。
そして、あたし達が森の中にと出現したその刹那。
ごごごごごっ!
ごがぁぁ!

大地が揺れる音と共に、
鉱坑のあった山の中より、一つの黒い影が山そのものを崩し去りつつ。
すでに日も暮れかけた夕焼けの中にと躍り出る。
そして。
「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉお!!」
何やら空に向かって吠え。
辺りかまわず、数十本以上ほど生えた、
ちょっとした子供の手首ほどの触手が残った山の残骸をさらに細かく崩してゆく。

「……何なんですか!?一体!?」
何やら珍しく叫んでいるミリーナに。
「…まさか、そうくるとは…ううっ。見るだけっておっしゃったのにぃ~……」
何やら泣いているシェーラ。
「…ま、何もないわけないんですよ。シェーラさん♡あきらめも肝心ですよ♡」
にこやかに、そんなシェーラに言っているゼロスに対し。
「あ…あのねぇ~!」
何やら叫んでいるシェーラだし。
くすっ♡
「だ・か・ら♡シェーラの部下でもあるそいつ…
  …今シェーラが持ってるドゥールゴーファが、あのガルファの精神を喰べて。
  それを共に魂の無くなったガルファの器の中に新たに魔族を誕生させたのよ。
  そこで、シェーラが何か命令する前に、ユニットがあたし達に危害を加えないようにって。
  魔族でも素直に大人しくなるとある薬を投げたつもりだったようだけど♡」
「間違えて混乱する薬なげちゃったの♡ま、こんな失敗もあるって♡」
あたしに続き答えているユニット。
横では。
「…なあ?ゼロス?本当に失敗だったとおもうか?絶対にオレは狙ってたと思うんだが……」
「あ…あはは…ガウリイさん。気にしたらダメですよ。ええ。それが例え真実でも♡」
何やらぽそぼそと話しているガウリイとゼロス。
「あら♡偶然よ♡偶然♡それに、シェーラさん?
  確かに私たちはドゥールゴーファさんには何もしてませんよ?見てただけで♡」
ほのぼのとそんな会話をする、ユニットやあたし達に対し。
「だぁぁ~!!んな問題か!?アレ、町にむかってるぞ!!」
なぜか頭を抱えて叫んでいるルーク。
「……え……えっと…でもあれ…私の命令すら受け付けないんですけど……」
何やらつぶやくシェーラに。
「混乱してるんだから当たり前でしょ?あら♡早く何とかしないと町にたどり着くわねぇ♡
  あ、シェーラ。とりあえずそうなったら全員お仕置きね♡」
ずざざっ!!
なぜかあたしの言葉に、ものの見事に全身の色を失わせ、
「と…ともかく!いくわわよ!ドゥールゴーファを…何としてもアレをとめるのよ!」
何やら叫びつつ、ふわり、と浮き上がっているシェーラ。
「あ、そうそう。言い忘れたけど。
  あの薬の副作用の一つに、耐久性がちょっぴし向上する、というのがありますから♡」
にっこりと、さも今思い出したようにいうそんなユニットに。
「……その『ちょっぴり』って…少し聞きますけど、どれくらいですか?」
何やら面白いまでに顔色もわるく聞いてきているミリーナ。
「えっと。ここの竜神さんや魔王さんが攻撃してもかすり傷程度♡くらいかしら?
  彼らが全力で攻撃して♡あ、でも触手はちょこっとは傷は負わせられるけど。他の存在でも♡」
「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」
なぜかそんな些細な程度のことで、思わず黙り込んでいるあたしとユニット以外の全員。
そして。
「ちょっとまてぃぃ!そりゃ大事だろうが!というかまじか!?」
「…さすがにユニットちゃんだよなぁ……リナと同じだけのことはあるし……」
何やら叫んでいるルークに。
何やらしみじみとため息つきつつ言っているガウリイ。
「そんなことより!今はアレを待ちに近づけさせないのが先決です!」
いいつつ、駆け出しているミリーナに。
「あ!ちょっとまってくれ!ミリーナ!ちくしょぉ~!俺のミリーナが怪我でもしたらどうすんだ!」
いって、ミリーナを追いかけ、走り始めつつも呪文詠唱をはじめているルーク。
「……と、とりあえず、僕たちもいきますか?シェーラさん……」
「…そうね……」
いいつつ。
ふいっ。
とこの場から掻き消え、【ガルファ】の前。
つまりは、空中にと浮びながら出現しているゼロスとシェーラ。

「…で?この効果はいつまでなんだ?」
ルーク、ミリーナ、そしてゼロスとシェーラがすでにいなくなってから、
ガウリイが何やらユニットに聞いてくる。
「あら?よく時間制限があるってわかりましたね♡ガウリイさん♡」
にっこりとそんなガウリイに答えるユニットの声に。
「…リナやユニットちゃんの場合は必ず何かあるからな。
  …でもって、何やらアレはそんな感じだし?
  前にオレに一服もったりしたとき……3~4時間だったろ……」
じと……
じと目でそんなことをいいつつ、あたし達をみてくるガウリイだし。
「あら♡『一服盛った』なんて♡ただ、ご飯粒の中にお茶目にも混ぜただけなのにぃ~♡」
前、ガウリイにもあれの類似品を食べさせたことがあるのよねぇ。
ユニットは♡
瞳をうるうるさせつつ、そういうユニットに。
「あれが『お茶目』か!?……まあ、いっても無駄だろうけど…
  ……で?アレの薬の効果はいつまで続くんだ?」
ため息を長く吐きつつも、何やら聞いてくるし。
「普通なら数時間だけど、あれは朝日を浴びたら効果は消えるわよ♡」
にこにこにこ。
「・・・・・・・・・・・・・」
にこやかにいうユニットの言葉に。
なぜかガウリイは無言になり。
そして。
「だぁぁ!!今、夜になったばかりじゃないかぁぁ~~!!」
「きゃぁ♡ガウリイさんが怒ったぁ~♡」
何か楽しんでるユニットだし……
ま、面白いからいいけどね♡
「ともかく!お~い!ゼロス!それ朝にならないと薬の効果なくならないらしいぞぉ~!!」
何やらゼロスに向かって叫んでいるガウリイの言葉に。
しぃ~ん………
なぜか『ガルファ』に向かっていたゼロスとシェーラ、そしてミリーナが黙り込む。
それと同時に走りながら、呪文の詠唱をしていたルークの術が完成し。
――そして。
竜破斬ドラグスレイブ!!」
どぐわっ!!
ルークの放った竜破斬ドラグスレイブ……つまりは、Sの力を借りて放つ攻撃魔法。
それが、『ガルファ』の一部がごっそりと肉片とさせてゆく…とでもルークは思ったようだけど。
だがしかし。
「だぁぁ~!!無傷じゃねえかぁぁ~!!」
何か叫んでるルークだし。
言うまでもなく、『ガルファ』は無傷♡
そして、上空を振り仰ぎつつ。
「やい!てめえら!俺のミリーナが怪我でもしたらゆるさねえからな!!
  これ!おたくらの仲間だろうが!」
何やら混乱しつつ、ゼロスとシェーラに向かって叫んでるし。
「…そういっても…私の力じゃ、これ…どうにもなりそうにないし……」
術も当然のことながら使わずに浮んでいるシェーラと、
先ほどのガルファの変貌に、
どうやらさすがにこのシェーラが魔族だという事実を疑いの余地なく認めているルーク。
そんなルークの言葉に困ったように、その言葉に応えるかのように。
すとん。
と大地に降り立つシェーラが何やらそんなことをつぶやき。
そして又。
「…困ったことに、結界を張ろうにもできないんですよ……
 ……おそらく、『ガルファ』さんの飲み込んだアレが干渉しているのだとは思いますけど…」
つぶやくように言っているゼロス。
「さっきから、アストラル攻撃してるんだけど、全部はじかれるのよ。
  ……アストラルサイド側においては……」
「「・・・・・・・・・・・・・」」
そんなシェーラとゼロスの会話に、なぜか無言になているルークとミリーナ。
そして。
遅れて追いついたあたし達のほうを振り向きつつ。
「何とかなんねぇのか!?あれ!」
何やら悲鳴に近い声を出してくるルーク。
「そうねぇ♡確実なのは重破斬ギガスレイブでこの辺り一帯ごと無に還すってところかしら♡」
「「それだけはやめてください!!」」
あたしの言葉に即座に悲鳴を上げてくるゼロスとシェーラ。
「まあ、たぶん朝になったら、あのガルファさん、普通の魔族に戻ると思いますけど……
  ごめんなさい。私がいらないことをしたばっかりに……」
演技でうなだれつつ言っている、そんなユニットの言葉と姿をみつつ。
「ミリーさんのせいではありませんわ。私たちを助けようと薬を投げたのでしょう?
  ……それはそうと、どうします?」
ユニットの頭をなで、なぐさめつつも、あたし達を見渡すミリーナ。
ミリーナはユニットが本気でうなだれてる…と思ってるし。
わざとやってるんだけどねぇ。
実はこれ♪

そんな会話をしている最中も、『ガルファ』は侵攻を続け…
バキボキッ
メギギッ…
辺りの木々、という木々をすべて追いつぶし、さらに町にとむかって進行してゆく。

夜空にガルファの遠吠えが響き渡る。

「ともかく!足止めしないと!」
そんなミリーナの言葉に、何やら横のほうでは。
「……で?協力を願いにいきません?」
「…そうね…下手したら…というか、何もしなくても、したとしても…このままでは…」
エル様のお仕置きがまっているぅぅ~!!
何か二人して同時にそんなことを思いつつ、何やら相談をしているゼロスとシェーラ。
どうやらあいつたちに協力してもらおうとしているようだけど。
ま……いいけどね……別に……


                            -続くー


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あとがき:
薫:・・・ミリーナ・・だまされ・・というか勘違いしてますね(汗
姫:あら♡何のことかしら♡
L:そうよねぇv
薫:・・・・・・・・・ま、まあ、深く考えないようにして・・・
  次回で、ルーク達、攻撃開始ですね(汗
姫:がんばってねvみんなv
薫:・・・・楽しんでるし・・・(汗
L:気のせいよv
姫:そうそう♡
薫:・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
  ま、まあ、何はともあれ。ゼロス達は誰を呼びにいったのでしょうか?
L:いまだにSもルナも戻ってきてないからねぇ。エリたちのところから・・・
姫:あの程度のことでねぇ・・・
薫:・・・・・・・・・・・・・・・ま、まあ何はともあれ。
姫&L&薫:それでは、また次回にてvv

2005年2月14日某日


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