エル様漫遊記・ベゼルドの妖剣偏


「アイツが火を放ったのか!?」
「捕らえろ!怪しいやつがいるぞ!」
シェーラが、今か、今かと家の中から出てくるのを待ち構え……
しかも、周りには木々とかもないので、姿を隠すこともなく。
腕を組みつつ、シェーラが出てくるのを待っていたザイン。
その姿を村人が見つけ。
面白いことにざわめき、騒ぎ始めていたりする。
「ちっ。姿を見られたか。……ならば、目撃者を消すのみ……」
いって、その手に魔力の光を生み出してたり。
……が。
「馬鹿もの!!何をやっている!きさまは!!
  目立つことはするな!とアレほどいっただろうが!!」
何やらイヤな予感がし、引き換えしたガルファが見たものは。
ザインが壊した、というか燃やした家と、それによってわらわらと集まってくる村人たちの姿。
「ガ…ガルファ様!?」
「馬鹿もの!!今はともかく、この場を去るぞ!!貴様の処罰はそれからだ!」
いって。
黒霧炎ダークミスト!!」
ぶわっ!!
燃えている家の周りに黒い霧が出現し。
「ともかくひくぞ!!」
「ガルファ様!?処罰とは!?私はただ、あの娘をいぶりだそうと……」
まったく理解していないザイン。
そんな彼の言葉に。
プチチッ。
額に青筋をたて。
「馬鹿もの!大声で名前を呼ぶな!!」

黒い霧にて視界を覆われた村人たちはそんな男達の声を聞きつつ……

やがて、霧が晴れた後には。
もはや、完全にと焼け落ちている一件の家があるのみ。


「な!?」
ゼロスの言葉がきちんとルークの頭の中で理解されるよりも先に。
外から聞こえてくる村人たちの声。
「シェーラさん家が…燃えてる?!」
こちらはこちらで、おそらくゼロスがいったことは事実であろうと確信し、
多少顔を青ざめさせつつも言っているミリーナ。
彼女もまた、村人たちの声に思わずそんなことを言っていたりする。
――そして、席を立ち上がり。
窓の外を眺めるルークの目に飛び込んできているのは、
村人たちがわらわらと、走っていく姿。
ルークが外を確認するのと同時。
「あんたたち!!大変だよ!!
  シェーラちゃん家が何やらものすっごく怪しい黒尽くめの男に燃やされたって!!」
バタバタバタ!!
外からあわてて宿の中にと戻ってきていっている、先ほどまで世間話をしていたこの宿の主人。
こういった村の中では面白いことに、
あっという間に変わった出来事などは人から人へとリレーされて、
ものの数分もたたずに全員が把握することはしばしば。
すでにシェーラは家が燃やされたことを知り…というか、直してもらったのに燃やされた!?
…このまま、ここにいたら危ない!!
などとそんなことを思いつつ、村を出ていたりする。
…というのは、まだ村の中全体には伝わってはいない。
「あんたたち、シェーラちゃんの知り合いなんだろう!?いったほうが!!」
何やらそんなことを言ってくるこの男性。
「……え……えっと…
  シーラさんがリナさんたちが再生した家を燃やすはず…はないですよね?」
何やらそんこなとを言っているゼロスだけど。
「あら♡壊したハズの家が元通りになってたから♡
  不思議に思いながらも、あのザインって名乗ってた男が火をつけたのよ♡」
にこやかに言うあたしの言葉に。
「……?リナさん?どうしてそういいきれるのですか?」
何やら首をかしげつつ聞いてくるミリーナ。
「あら♡離れてても、視ようと思えば視れるわよ♡
  例えば精神面アストラル・サイドから視ることも可能だし♡」
「いや……『視る』って……」
何やらそんなあたしの言葉に、突っ込みを入れてきているルーク。
「で?どうするの?リナ?」
にこやかに、あたしにと聞いてきているユニット。
「そね♡一応いってみますか♡あ、代金ここにおいておきますね♡」
いいつつも、代金をテーブルの上にと置き。
「さ♡じゃ、いきましょ♡」
にっこり。
パチン♪
ルークとミリーナを見つめつつ、そのまま軽く指を鳴らす。
と。
シュッンvv
今まで椅子に座っていたあたし達の姿は、瞬時に食堂から掻き消え……
そして、次の瞬間には、燃え落ちている家の前にと移動してゆく。

「うどわっ!!?」
「……一体こんなことが可能なリナさんって……」
何やら尻餅をついて叫んでいるルークに、多少顔色を悪くしつもつぶやいているミリーナ。

一方では。
「うわっ!?消えた!?・・・近頃の魔道士って消えることもできるのかぁ~……」
などと、驚きつつも納得している宿の主人の姿が見受けられていたりするけど、それはそれ。


「……あんたたち…一体どこから……」
そんなことをいいつつも、ゆっくりと歩み寄ってくる一人の老人。
その蓄えている白いひげを触りつつ、あたし達に何やら聞いてくる。
「ああ、気にしないで♡ちょっと術をかじったらダレでもできることだから♡」
『できないと思(いますわ)(うぞ)』
なぜかあたしの言葉に突っ込みを入れてきているルークとミリーナ。
「シェーラさんの住んでいる家が燃えてるって聞いたので、
  急いで宿の食堂から瞬間移動で来たんです♡怪我とかは大丈夫なんですか?」
ちょこんと首をかしげ、そんな彼…というか、この村の村長にと話しかけているユニット。
「いや。瞬間移動って……何やらかなり気にはなりますが。
  この家に住んでいたシェーラ、という子でしたら。
  ちょうど私の家に『村を出てゆく。』、と挨拶に来たときに、この火災が起こりましてね。
  まったく、大方ちょっと前に死んだグレンがらみでしょうが。
  死んでまで村人はともかく、残された子供にまで迷惑をかけるとは……
  『これ以上村に迷惑はかけられないから。』って挨拶に来てたんだけどね。
  シェーラちゃんが私の家から出てすぐに爆音が聞こえてきて……」
何やら聞いてもいないのに、ユニットのかわいさに惚けつつも延々と話し始めているこの村長。
……かなり、おしゃべり好きなのよねぇ……この人間……
すでに少し前に、『シェーラが村を出て行った。』と、
村長より説明を受けていた、野次馬根性で集まっていた村人達はといえば。
「一人でひっそりと生活していたシェーラちゃんに死んでまで迷惑をかけるとは…
  …あのグレンならやりかねないね。」
「シェーラちゃん、行くあてあるんだろうか?」
などと、口々に話し合っている村人達。
一方で。
「そもそも、グレンがあの子を連れて戻ってというもの、
  グレンのやつは、あのシェーラちゃんに親らしいことは一つもせず……」
何やら完全に離しの道がずれている村長。
「…と、ともかく、シェーラさんは村を出た…というのは間違いないんですか?」
このままでは、延々と話を聞かされる。
そう判断したミリーナが、ころあいをみて問いかけてるけど。
「ん?あ、ああ。一度ベゼルドによるとか。
  きっと亡くなったであろう、お母さんのお墓参りでもいくんじゃないのかね?そもそも……」
またまた話をし始めているこの村長。
そんな彼にはとりあえず、一人で勝手にしゃべらせておくとして。
「らしいけど?どうする?あんたたちは?ルーク?ミリーナ♡」
にっこりと問いかけるそんなあたしの言葉に。
「いや…どうするも……」
「とりあえず、シェーラちゃんに直接きいてみないと…
  あんたの言葉を鵜呑みにしたら、わかんないことも多いしな。――それに……」
もしも、魔族うんぬん。
というのが事実なら、例の剣もまた値打ちものだったとしたら、それこそこっちのものだし。
などと思いつつも言っているルーク。
「あら?ドゥールゴーファは別に値打ちもないわよ?」
「……りなぁ。まぁたお前、人の思っていること覗いていってないか?」
いまだに話続けている村長の横で、あたしにそんなことを言ってくるガウリイ。
「???ドゥール??」
その言葉に首をかしげるルークに。
「ベゼルドに今いる、というかある剣の名前よ♡」
あたしの言葉に。
「な゛!?もしかして、剣のことを知ってるのか!?」
何やら叫んでいるルーク。
「……ルーク、語るに落ちてますわ。…どうやらリナさんたちも例の話はご存知のようですね。」
冷ややかに、そんなルークに言い放ち、あたしをみて言ってきているミリーナ。
「まね♡」
にっこりというあたしの言葉に。
「まさか、あんたらもアレ目当てなのか!?」
何やら言ってくるルーク。
くすっ。
「あら♡んなヤツは使っても便利性がないわよ♡
  どっちかといえば、Dのところに戻った烈光の剣ゴルンノヴァのほうがよっぽどマシね♡」
「「……ゴルンノヴァ??」」
あたしの言葉に、二人、顔を見合わせてつぶやいているルークとミリーナの二人の姿。
「狙っているのは例のベルギス元国王一派よね♡」
「それもそうね。まぁぁ~た懲りずに人体実験してるし。あの人間は。」
「ついでに魔力剣も集めてるしね。」
「そうそう。」
そんな和やかな、あたしとユニットの言葉に。
「…ベルギス?というと、元、ルヴィナガルド王国の国王ですか?どうしてその名前が…?」
一応、旅をしつつ、傭兵家業をもかねて、宝探し屋トレジャーハンターといったものをしているこの二人。
そういう存在にとっては、情報力がかなりの力となる。
ルークはルークで裏の世界に顔が利くし。
ミリーナにいいようにルークは扱われて、表と裏、両方の情報をミリーナ達は得ていたりする。
「あら♡だから、シェーラを狙っていたのが、その元国王ベルギスの手のものだってば。
  見ればそのくらいわかるじゃない♡」
そんなあたしの言葉に、なぜか無言で顔を見合わせている二人だけど。
「で?どうするんだ?リナ?」
のんびりとあたしに聞いてきているガウリイに対し。
「あら♡面白そうなことしてるようだから、ベゼルドに行くに決まってるじゃない♡」
そんなあたしの言葉に。
「……とりあえず、何が何だかわからんが…
  …ともかく、シェーラちゃんにあって聞いてみないとわからない。というのも事実だしな。
  ――どうする?ミリーナ?」
いいつつも、ミリーナにと問いかけているルーク。
「そうですね。確かにその通りですし…
  …それにシェーラさんを追うとしたら、デーモン大量発生地域に足を向けるわけですから…
  どうせ行き先が同じなら、一緒にリなさん達と行動を共にしたほうがいいような気がします。」
少し考えて、そういってくるそんなミリーナの言葉に。
「まあ、ミリーナのラブラブ二人旅♡でなくなるけど。
  ミリーナがそういうんだったら、俺はミリーナに従うぜ♡」
「ラブラブではありません。――リナさん。
  真意を確かめるためにも……ご一緒してよろしいでしょうか?」
そういってくるミリーナ達。
「あら。別にいいわよ♡」
「それじゃ、話は決まりね。
  とりあえず、リナ?歩いていくんでしょう?あの連中をからかいがてらに♡」
あたしに言葉に、にこにこといってくるユニット。
「まあね。…ま、そういうわけで、それじゃあ決まりね。シェーラを追いかけるとしますか♡」
そんなあたしの言葉に。
「とりあえず、これからよろしくお願いしますね♡」
にっこりと微笑みつつ、そんな二人にと手を差し出しているユニット。
「えっと……よろしくお願いしますね。
  何とおよびしたらいいですか?リナさんと同じ呼び方でいいですか?」
そんなミリーナの質問に。
「できたら、ミリー、もしくはスミレのほうがいいな♡」
にこやかにミリーナに言っているユニット。
「え?…では、ミリーさん、とおよびしていいですか?」
「そ♡その名前、私気に入ってるし♡ちなみに、スミレ、というのは私の愛称なのよ♡」
そんなことをミリーナに言っているユニットに対し。
「そういや、何だってあんたみたいなかわいい女の子が、
  あのリナ=インバースと一緒に旅をしてるんだ?両親は?」
ふと、そんなことを聞いているルーク。
「親??……そんなの初めからいませんけど……」
「馬鹿!ルーク!!」
しまった!
というような顔のルークに、思わず叫んでいるミリーナ。
まあ、あたしにも、ユニットにも。
【親】なんて存在はいないしねぇ♡
当然のことながら♡
「ということは、この二人も一緒に行動することになるのかぁ。えっと、ルークとミリーナだっけ?」
のんびりとそんな二人に話しかけるガウリイに対し。
「いっとくが!ミリーナに手を出すなよ!ミリーナは俺の未来の嫁さんなんだからな!」
「誰があのたの嫁ですか。寝言は死んでから言ってください。
  ごめんなさいね。ミリーさん。このルークが無神経なことをいって。
  何はともあれ、ベゼルドまで、ご一緒させていただきます。」
いって、冷ややかにルークを見た後、ユニットに侘びをいれ、軽く頭を下げてくるミリーナ。
「なら決まりね♡じゃ、行きましょうか♡」
あたし達の話がまとまると。
「……あのぉ?話…き~てました?」
……いまだに話し続けていた村長が何やら言ってきていたりするし。
「「……まだ話して(たのか)(いたのですか)??」」
そんな村長の言葉に同時に突っ込みを入れているルークとミリーナの姿が見受けられてたり。
まあ、一人で延々とずっと話していたのは事実だしねぇ~♡
面白いことに♡


とりあえず、あたし達がシェーラを追いかける。というのを村人に伝えると。
完全に勘違いしている村人達が。
「シェーラちゃんのことをよろしく頼む。」
などといってきて、役に立ててくれ、といって。
多少のお金やアイテムをあたし達にと手渡してきていたり。

村の出入り口にて見送ってくる村人達を後にして、村を発ってゆくあたしとユニット。
そしてガウリイとルークとミリーナ。
ついでにゼロスのこの六人。

さって、少しばかり遊ぶとしますかね♡


                            -続くー


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あとがき:
薫:思いっきりエル様達・・・暴露しちゃってます・・
  まあ、いきなり聞かされても…普通の人間なら信じられませんよね(汗
  さて・・・エル様・・
  もとい、リナさんと一緒に行動することになった、ルークとミリーナの運命はいかに!?
  というわけで、次回に続きますv
  2005年2月7日某日


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