エル様漫遊記  ~ヴェゼンディの闇偏~


さってと♪
「…さって、どうしようかしらねぇ♡ズーマ=セイグラム♡このまま滅びる?」
にっこりと顔で微笑みつつも目は笑っていない状態で、
目の前にと転がっているズーマことセイグラムにと話しかける。
そんなあたしの台詞をさえぎるかのように。
「ま…まってくれ!!」
そのあたしの声にと我に戻っているアベル。
そして、涙を浮かべつつ。
「……何…何だってこんなことを!?教えてくれ!父さん!」
いいつつ、アベルが叫ぶ。
その声に驚愕の表情を浮かべ。
「……気付いていたのか……」
そういう声はセイグラムのそれでなく、ラドックのそれにと戻っている。
「だって…親子じゃないか!そうだろう!?」
今にも泣き出しそうな声でラドックにと叫び返しているアベルの姿。
そして。
「…頼む!父さんを助けてくれ!そのためだったら…僕は…僕はっ!」
そういって、あたしの方に向かって叫んでくるアベル。
本当。
人間の親子というか、どんな存在にも言えることだけど、親子の情とつながりって面白いわよねぇ。
その言葉に笑みをくすりと口の端にと浮かべて。
「――そのためだったら、何を見返りにしてもかまわない…と?」
冷たいまでに言い放つ。
そんなあたしの言葉に、大きくうなづき。
「ああ!父さんが助かるんだったら!僕の命でも!何でもくれてやる!だからっ!」
そういって、本気であたしに懇願してくるアベル。
「……アベル……」
そんなアベルの言葉に、ラドックが言葉に詰まる。
ふっ。
「……ふっ。本当に面白いわね……人間の親子の情って……」
あたしはそういってかすかに微笑む。
そういう、今のあたしの『リナ』としてのつぶやきでない声は。
当然のことながら、アメリアとゼルには届いてない。
その台詞を聞いていたのは。
ズーマことラドックとアベル。
そして、ゼロスとラルタークのみ。
「……何?」
ラルタークは、あたしの今の口調に何かつぶやいているけど。
「アベル。……純なる心に免じて、願いを叶えてあげるわ……」
そういって優しく微笑み、静かに言い放ち。
そして。
あたしの先にいる、ズーマ=ラドックに向かって、光の触手を伸ばしてゆく。
あたしが手を伸ばすや否や。
「……ぐ……ぐわぁぁぁぁ!!!!!!?な……なぜ!?」
セイグラムの絶叫がこだまし、その直後に結界が掻き消える。
『何!?』
戦っていたアメリアとゼル、そしてグドゥサとデュグルド。
この四人が一瞬叫んで固まっているけども。
そして。
ふと、周りを見渡して。
「…結界が消えた!?リナさん!?」
戦いつつも、あたしの方を振り向いてくるアメリア。
そんなあたしの目の前というかその先では。

「父さぁぁぁぁん!」
何やら叫ぶアベルの姿。
そんなアベルにあたしは静かに床の一点を指差す。
そこには。
当然のごとく、お約束にも倒れこんでいるラドック=ランザードの姿が。
「と……父さん!父さん!父さぁん!」
倒れている父親をみて、顔色を真っ青にして駆け寄っているアベル。
「……なあ、リナ?殺したのか?……って死んではないか……」
一瞬ガウリイがそちらに視線をやって、図星を言い当てているけど。
そんなガウリイの言葉にしずかにうなづいておく。
だって死んでないし♡
そんなあたし達の視線の先で。
「う…ううん……」
ラドッグが声を上げる。
「父さん!」
アベルがラドックに泣きついているけど。
「あ……アベル?一体……私は?」
気がついたラドックは半ば茫然自失。
くすっ。
「アベル。純な願いとその心値に免じて、助けてあげたわよ。ラドック=ランザードをね。
  見返りとして、その男の心の負の要素。その感情の全てをもらったから。」
小さく苦笑して、アベルにと淡々と言い放つ。

「リナ!」
「リナさん!」
結界が解かれたのと、そしてまたラドックが気がついているのに気付き。
あたしの方にと駆け寄ってくるゼルとアメリアの二人。
そして。
アベルが抱きついているラドックをみつつ。
「…?一体、何が起こったんだ!?」
そういって、あたしに問いかけてくるゼル。
「ああ、別に簡単なことよ。
  ラドックとズーマの二人が同化していたそれを分離した。ただそれだけのことよ♡」
さらりと説明しておく。
嘘でないし……
その様子を呆然とみつつも、そしてなぜか不利と悟り。
「ちぃ!ひとまず引くぞ!」
なぜか、あわてて、その場から逃げ去ろうとしている魔族二人。
「あ!逃げちゃいました!」
それにはたと気付いて。
叫んでいるアメリア。
ま、逃げられないけどね♡

『うぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!』
なぜか些細な悲鳴が精神世界面アストラルサイドにと響き渡っていたりするけど。
ゼロスの攻撃程度で、悲鳴を上げることないでしょうにね♡

とりあえず。
呆然としているラドックをみつつ、何やら話しているアメリアとゼル。

そんなあたし達の横というか部屋の隅では。
「おやおや。どうやら済んだようですねぇ?ラルタークさん?♡」
にこにこと。
笑みを崩さないまま、いたって気楽な口調で話しかけているゼロス。
ラルタークの方はというと。
面白いほどに顔面蒼白と成り果てているし。
しかも姿が少し薄けてるしね♪
面白い♡

「さってと♡親子の団らんを邪魔してもわるいし♡
  外に出るわよ?あ。ゼロス♡ラルタークも引っ張ってきてね♡」
そういって。
今だに、首をかしげているアメリアとゼル。
そして。
精神世界面で滅ぼされている逃げた魔族を凝視しているガウリイを促して。
あたし達は一度、ラドックの屋敷から外にと出てゆく。
「い……一体…あの娘は……」
あたしをみつつ、声を詰まらせているラルターク。
「世の中。知らないほうがいいこともあるんですよ。ラルタークさん♡
  それじゃ、僕達もいきますか?あ、逃げられませんからね?」
にこにこと言い切るゼロスに。
「……わかっておるわい……」
そういって。
ゼロスに促されるまま、外にと出ているラルターク。


「ちょ……ちょっと!?リナさん!?何処まで行くんですか!?」
アメリアが抗議の声を上げたのは。
ヴェゼンディ・シティを出てしばらくいったところの、人通りも少ない小さな街道。
「それはそうと、リナ?何だって、このラルタークとかいう老人もつれてきてるんだ?」
ゼロスが引っ張っているというか、
ゼロスの後ろについてきている、ラルタークをみていっているゼル。
「そういえば、そうですね?」
そういって首をかしげるアメリア。
そんなゼルとアメリアの会話を聞きながら、首をかしげ。
「え?このラルタークって人も魔族の人だからじゃないのか?」
あっさりいうガウリイ。
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。』
しばしの沈黙。
あ、ゼロスまで冷や汗かいてるし♪
『どぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!?』
ものの見事にしばしの沈黙の後に。
ラルターク、ゼロス、アメリア、ゼルガディス。
この四人の叫びが一致する。
「ちょ……ちょっと!?ガウリイさん!?」
ぱくぱくと口をさせているアメリア。
「……?何だ?気付いてなかったのか?
  ほら、出会ったときから、気配が違うというか。匂いでわかるというか。
  何となくわかるじゃないか?」
のほほ~んと、あっさり言い切っているガウリイ。
「ほ……本当なんですか?リナさん?」
額に汗を流して、あたしに確認の言葉を投げかけているアメリア。
「そ~よ♡」
あっさりと認めるあたしの言葉に、なぜかアメリア達はしばし絶句。
「……恐るべきは野生の勘だな……」
そういって、つぶやいているゼル。
まあ、ガウリイの勘が働く位置は、かなり上位にまで及ぶからね♡
だから、面白いのよねぇ。
うふふ♡
いつ、あたしの正体に気付くのかも、結構楽しみなところなのよね♡
まだばれてないけど♡(
でも、大抵、魔族や神族の神官や将軍クラスなんて……誰にでもわかるでしょうにねぇ……
まったく……
ま、魔王クラスやその腹心クラスが、あっさりと誰にでもばれるようなら、当然お仕置きだけどね♡
んふふふふ♡
ガウリイの言葉を聞いて、立ち止まり、なぜか油汗を流しているラルターク。
「こ……こんな人間に見破られるとは……」
いいつつ、ぶつぶつ唸っている。
「い……いやぁ……驚きましたね。さすが…ガウリイさんです……」
そういうゼロスも額に油汗を流している。
そういえば、ゼロスのやつは。
自分が魔族だって、ガウリイに気付かれているって、まだ知らないのよね♡
あたしも教えてないし♡
まあ、それはそれとして。
「……で?この…こいつ。
  どう見ても人間にしかみえない。よぼよぼの魔族の老人をどうするつもりなんだ?リナ?」
あら、ゼルガディス♪
魔族の外観は、どうにでもなるんだけど?
ゼルの言葉に。
「そうですよ!リナさん!
  はっ!さては!ラドックさんが、闇に落ちていたのも、あなたの仕業ですね!
  生きとしいきるものの天敵!どうして罪もない平和な親子に手出しをし!
  あまつさえ、暗殺者なんてやらしていたんですか!」
そういって、ラルタークに詰め寄っているアメリア。
「い……いや、儂と出会う前に……あやつは……」
そのアメリアの気力に押されて、面白いことにたじたじになっているラルターク。
「ふっ。そうやって、嘘をつくのがやはり魔族ですね!さあ!今こそ、真人間になるときです!」
『……いや、それは無理なんじゃ……』
アメリアの言葉に、ゼロス、ラルターク、ゼルの声が重なるが。
くすくすくす。
本当にあきないわね♡
この人間達って♡
「くす♡このラルタークをどうするかって?決まってるじゃないのよ♡ひ・と・じ・ち♡」
「ひ……人質だぁぁぁぁ!?」
あたしの台詞にゼルが叫ぶ。
「そ♡カンヅェルは烈閃槍エルメキア・ランス程度であっさり滅ぶわ。
  マゼンダはマゼンダで、不完全な魔獣装甲に食べられるわ。
  折角、滅びることを許可しなかったのに。
  今度はまたまたセイルーンに介入して。律儀にもこのあたしを狙ってきたし♡
  でも、こいつ抑えといたらこのたびの一連の事柄上。
  あいつのほう…というか、向こうからやってくるでしょうしね♡」
くすりと笑みを浮かべるあたしに。
「…リナ、一つ聞くが…そのあいつって……誰だ?」
あたしをよこ目でみつつ、聞いてくるゼル。
「あら?何を当たり前のことを♡
  このラルタークの一応上司に当たるガーヴに決まってるじゃない♡
  そ~いえば、ゼル達には、こいつの紹介、してなかったわよねぇ。」
くすくすくす。
あたしの言葉に首をかしげているアメリアとゼル。
「こいつは、ラルターク。竜神官プリーストラルターク。魔竜王カオスドラゴンガーヴの直属の部下よ♡」
『……な゛っ!?』
面白いことにあたしの説明で言葉を失っているゼルとアメリア。
「なあ?その、ガー…何とかって…何だ?」
ずべっ!
あ、面白い♡
ガウイリの台詞に。
アメリア、ゼルガディス、ゼロス、ラルタークが同時に、地面にとキスをしているし♡
「が……ガウリイさん!」
「お…お前なぁ……」
どうにか身を起こしつつ、ガウリイをあきれたように見ているアメリアとゼル。
今だにぴくぴくしているゼロスとラルターク。
「……お前にいっても無駄だと思うが……
  この世界の魔王、赤眼の魔王ルビーアイシャブラニグドゥが作り出した。
  といわれている五人の腹心―つまりは、魔王直属の部下の一人だ!」
無駄とはわかりつつも、ゼルが叫んでいる。
「ふぅん。よ~わからんが?でも何で、大物の部下がこんな所にいるんだ?」
全然気にも止めてないガウリイが、ラルタークをみて、のほほ~んと言ってるし。
「あら♡それを今から聞き出すんじゃないのよ♡」
くすくすと笑うあたしの台詞に。
「……言うと思うか?」
ようやく起き上がり、今まで黙っていたラルタークが口を開く。
ぼそりというその言葉に。
「ふっ。そっちがそのつもりなら、私にも考えがあります!
  今晩から毎晩、一晩中!朝昼夜を問わずっ!
  ずっとあなたの耳元で人生ってすばらしい!とささやき続けてあげます!
  人々の負の感情を糧としているあなたたち魔族には!!
  命の大切さを説く叫びは効くでしょうから!」
「……そ~いうのは魔族でなくてもきくとおもうぞ……」
そんなアメリアの言葉に突っ込みをいれているゼル。
『う゛っ!!!』
アメリアの台詞に、思わず数歩後ろに下がっているゼロスとラルターク。
「そ……それは…効きそうですね……。僕は遠慮します……」
にこにこと、しかし額に一筋汗をながしつつ、言っているゼロス。
「し…知らん!儂は本当に知らん!
  前に儂の部下であったマゼンダのやつが、こんな情報をもってきてな。
  『ヘルマスターが動き出したらしい。その内容は分からないが、
    重要な部分にリリナ=インバースという人間が絡んでいるらしい』とな。
  始めは面白半分で聞いていただが。
  そのうち、セイルーンにともぐりこませていたカンヅェルから、
  『その名前をもつ人間がやってきた。念のために始末しておく。』などといってきおったが。
  一度ならずも二度までも。二度目にはついにその人間に、あっさりと滅ぼされおってな。
  それで、どんな人間か見てみたくて、
  同じ人間を恨んでいるセイグラムとズーマと名乗る暗殺者を同化させただけじゃ!儂は!」
「あんた魔族の誇りはどうしたのよっ!」
思わずそんなラルタークに突っ込みをいれてしまうあたしだけど。
ものの見事にあっさりとぺらぺらしゃべっているラルターク…
「確かに……。ラルタークさん……。あなた、魔族としての、誇り……あります?」
あきれてそんなラルタークに向けていっているゼロス。
うんうん。
そのゼロスの言葉にうなづいているガウリイとゼル。
「人間なんぞについているお主なぞには言われたくはないわい!」
そんなゼロスに言い返しているラルターク。
「いやぁ?そうですかねぇ♡」
にこにこと、笑顔で返しているゼロス。
まあ、人間……じゃないんですけどね……リナさん……いや、エル様は……
はぁ……
なぜか内心溜息ついているけど……ゼロスのやつは……
「まあ、とりあえず♡ラルタークから聞き出したし♡
  こいつ、引っ張っていって。さっさとディルス王国にいって竜達の峰ドラゴンズ・ピークに行くわよ♪
  あ、ラルタークを連れて行くのはゼロスの役目ね♡
  逃がしたりしたら……わかっているわよね♡」
「は……はい。」
・・・・・・?
なぜ、この獣神官ゼロスがこう素直にこの人間の言葉に従っているのだ?
その様子に首をかしげているラルターク。
とりあえず、そんな会話をしつつも。
何はともあれ、話もついて、あたし達は再び目的地にむけて足をむけてゆく。


「…リナさん。……さっきの話なんですけど…ヘルマスターって……
  もしかして、あの冥王ヘルマスターフィブリゾのことでしょうか?」
汗を流しつつ、歩きながらあたしに聞いてくるアメリア。
「ま、そのうちに分かるって♡」
いってウィンク一つ。
「…そういえばあのグドゥサとデュグルドとかいう魔族の二人。あれから出てこないな…」
あるきつつ、ふと思い出したようにつぶやいているゼル。
「何だ?ゼル?気付いてなかったのか?あいつら、ゼロスにやっつけられてたぞ?」
『…………まて(まってください)。』
「が……ガウリイさん。よ…よく分かりましたね……」
さらりというガウリイの言葉に、思わず足をとめているアメリアとゼル。
「……そうなのか?」
「……いったい、いつの間に??」
疑問符を投げかけてゼロスに視線を向けるゼルとアメリアに対し。
「それは、秘密です♡」
人差し指をたてて、にっこりと微笑むゼロス。
「ま、逃げようとしたあの時点で。
  あっさりとゼロスに精神世界面アストラルサイドで攻撃されて、
  完全に滅んでるからねぇ。あいつらは♡」
歩きつつ、あっさりというあたしの言葉に。
「…ですから、攻撃したところ…見てないんですけど?」
首をかしげるアメリア。
「あら♡今いったでしょ?
  だから、精神アストラル攻撃に決まってるじゃない♡誰でもできるってv」
『……出来(ません)(できるか)……』
このゼロスもやはり……リナ同様に只者ではないな……
そう心でつぶやいているゼル。
「い…いゃぁ、あっはっはっ。人間、細かいことを気にしちゃだめですよ♡」
にここにと言い放っているゼロス。
「……それはそうと。大丈夫なんでしょぅか?あのラドックさん?」
そんな会話をしている中。
ふと思い出したように、アメリアがつぶやく。
「あら、大丈夫よ。命に別状はないもの。それより、以前よりかなり素直になっているはずよ♡」
あたしの言葉に。
「……そういえば、一度同化したものを元に戻すことなんてできるのか?元通りに?」
ふと、なぜか疑問に思ったらしく、聞いてくるゼルガディス。
「できるわよ。なぜか、今のここの人間のレベルというか存在達のレベルでは、
  あんな簡単なことなのに、そこまで出来ないんだけどねぇ。
  まったく。あんなに簡単なことが出来ないなんて…悲しいわよね♡」
『……いや、簡単なことって……』
なぜかあたしの言葉に突っ込みを入れているアメリアとゼルの二人。
「…そ……そういえば。見返りとかいってたけど?リナ、それって何だ?」
ふと、ガウリイが思い出したようにと問いかけてくる。
「ああ?それ?今あたし、ちょっと遊びで集めているのがあるのよ♡これ♡」
そういって、それほど大きくない手のひらにすっぽりと収まる程度の大きさの水晶球を袋から出す。
不思議な色合いできらきらと色彩が変化し続けているそれを。
「……これって?何か変ってますね……まるで光と闇が入り乱れているようで……」
あら。
正解♡
アメリアがあたしが手にもっているそれを覗き込んでそう表現する。
くすっ。
「正解♡これで、純粋な生き物の感情を集めているのよ♡
  人間も例外ではなく、混ざり気のない純粋な感情をね♡
  光が属するのは、生とか喜び、そういったブラスの感情。
  闇が属するのは恐怖とか絶望とかいわゆるマイナスの感情。
  それぞれの感情が満ちているときに、純粋なものならば。
  これを使って多少吸い取っているのよ♡」
「……吸い取るって……」
そんなあたしの言葉に突っ込みをいれてくるアメリア。
「……というか、そんなことができるのか?魔族とかでもあるまいし……」
こめかみを押さえているゼル。
そんな二人をくすくすと笑って見ながら。
「あのラドックの場合は、ちょっと別ね♡完全に負の感情というか要素を取り除いたのよ♡
  本人、そのせいで多分自分が暗殺者ズーマだったこと、忘れているけどね♡
  その方が息子のアベルと平和に暮らせるし♡」
くすくすと笑いながら説明するあたしの台詞に。
「…確かに…その通りだが。……そんなことが人間にできるのか?」
なぜか、疑問を投げかけてくるゼル。
「あら?誰でもできるわよ♡それに、とある力を使えば誰でも簡単よ♡使えればね♡」
くす。
ゼルの問いかけにくすりと笑みを浮かべて答えるあたし。
そんな会話をしているあたし達の横で。
「……何ものなんだ?あの人間は……」
今の会話から疑問に思っているラルタークがつぶやく。
そうして横にいるゼロスをみているけど。
「それは、秘密です♡ラルタークさん♡
  …世の中には、知らないほうがいいということがあるんですよ……絶対に……」
こら!
そこでどうして後半部分を疲れたように溜息つきつつ、
しかも、恐怖を抱きつついう必要があるのよ!ゼロス!
そのゼロスの言葉を受けて。
はたりと。
「……はっ!?まさか、シャブラニグドゥの欠片の一人の人間か!?」
そういってあたしを見てくるラルターク。
「…はぁ~……だったら、僕らもものすっごぉぉぉぉく、うれしいんですけどねぇ……」
そういって、本気で溜息ついてるし……ゼロスのやつは……
だ・か・ら!
どうしてそんなにあたしに対して畏怖を抱くのよ!
あたしはこぉぉぉんなにやさしいお母さんなのに♡
そんなゼロスの様子に多少驚きつつ。
「!!!!!???…で、では一体?!」
このゼロス殿がここまで怯えるとなると…一体……あの人間は??
なぜか混乱しかけているラルタークだけど。
「だから、それは秘密ですって♡
  ……本気で世の中には、知らないほうがいこともあるんですよ……」
遠い目をして言っているゼロス。
う~ん。
ゼロスって口が堅いのよね♡
だから便利なんだけど♡
「こら!ゼロス!ラルタークと余計なおしゃべりしてないで!とっとといくわよ!二人とも!」
立ち止まりそんなどうでもいい会話をしている二人にとハッパをかける。
「は…はいっ!」
即座に返事を返してくるゼロス。
ラルタークは今のところ逃げる気配はない。
ま、一人ではゼロスにかなわないって理解しているからというのもあるけど。
「やれやれ。…では、行きましょうか?ラルタークさん?
  あ、逃げようだなんて思わないでくださいね♡手加減はしませんから♡僕は♡」
にっこりとゼロスが微笑み言う言葉に。
「……儂一人でお主に勝てるものか……」
はき捨てるようにいっているラルターク。
そういえば。
ラルタークは、以前のゼロスの力量しか知らないのよねぇ。
今現在。
というか、ちょっと十数年ほど前に、あたしがゼロスの力をあげているの知らないから♡
実は本気を出したら、ゼロス本人も今だに気づいてないけど♡
んっふふふ♡
実はS達よりも力…実は上にしてみたのよねぇ♡
だって、使いがってがいいし♡このゼロスって♡
ゼロスが理解しているのは。
只今不完全になってるガーヴと同等である。
という程度なんだけど。
んっふふふふ♡

「あ!リナさん!ディルス王国に続く街道が見えてきましたよ!」
アメリアが人通りのない街道を抜けたその先に、表街道をみつけ、指を指し。
そういって、駆け出してゆく。
その道の先に続くは、ディルス王国。
目指すは、ディルス王国の首都、ガイリア・シティ。


あたし達一行は。
もう一人旅にとメンバーが加わって、とりあえずはディルス王国にとのんびりと進んでゆく。
そ~いえば、フィブリゾのやつ……まだこないけど……
ま、いっか♡
んっふふ♡
ディルスでもガーヴ、面白いことをしているのよね♡
さあってと♡
また楽しむとしますかね♡


        -終わり♪次回は・・・つながりとしては。7・8巻混合です・・・・。-


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あとがきもどき:
多分気付くでしょうけど・・。
この前のテレビ版のセイルーン偏。
始めと後編と。つまりは、二つに分かれております・・・。
といいつつ、まだ一行も打ち込んでないんですけどねぇ。あはははは(笑)
このメンバーで番外編などにもつながりをみせてます。
漫遊記の番外編もあわせると。(多分)時間率が分かるかと・・・・(かなりまて!)
ではではv
小説の設定のままでしたv

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