エル様漫遊記・ヴェゼンディの闇
その日の夜。
あたしは、当然のことながらゼロスを部屋にと呼びつける。
まあ、呼ぶまでもなく、当人からきちんと来たけど。
「それで?ちゃんと説明してもらえるわよね?ゼ・ロ・ス♡」
にっこり微笑みつついうと。
まあ、目は笑ってないけど。
そんなあたしの言葉に、なぜかしどろもどろになりつつも。
「あ……あのですね。その……貴女様のことを知らずに……
とある方がリナ=インバースという人間を利用しようとしてまして……
で、急遽、僕がその…梅雨払い……もとい、謝る役というか……とと、でなくて。
お供を命じられまして……」
器用にハンカチを作り出して、汗をぬぐいつつ説明しているゼロス。
あたしに対して、膝まづいている体勢だけど。
「あのねぇ。何あたしにぼかしていってるのよ。
それが、フィブリゾのことで、ガーヴをおびき出そうとしているくらい。
このあたしに分かっていないとでも?」
まったく。
「え!?あ……いや、その……それは!」
あたしの言葉にうろたえているし……
くすくす♡
ゼロスのあわてようも面白いわねぇ。
「まあ、いいけどね。けど何でフィブのやつがこないのよ?」
本来なら、謝りに、まっさきにこなくちゃねぇ♡
そんなあたしの言葉に。
「あ…あの……後始末が片付いたら…すぐにこられるそ~です……」
汗をだくだくとながしつつ、なぜか、色を薄くしてあたしに言っているゼロス。
「あら、分かってるじゃない。そうねぇ、何もせずにただ謝りに来るだけじゃ。
そりゃ、あたしは許さないからねぇ♡まあ、それで遅くなっても許さないけど♡
とりあえず。そのときになったら、きっちりと。これは、お仕置きは必要よね♡」
うきうきとしているあたしの言葉に。
「・・・・・・・・・・・。」
め……冥王様……成仏してください……
そう思いつつ、無言になっているゼロス。
「ま、とりあえずは。先に、あんたにお仕置きね♡」
「……え゛!?」
あたしの言葉に紫色の目を見開き、驚愕の表情をしてくるゼロス。
ギャァァァァァァァァ!!
なぜか、精神世界にゼロスの悲鳴が響いてゆく。
まったく。
まあでも、この程度で滅んでたら、本気でお仕置きだったけど。
まあちょっと、姿が数時間形取れなくなる程度のダメージのようだし。
よしとしますか♡
「よお。」
「おはよ~。」
その翌朝。
ゼルとガウリイが起き出して来る。
「……ちっ……」
ゼルが舌打ちするのとほぼ同時に。
「あっれぇ?ゼロスじゃないかぁ。ひさしぶりぃ~!」
朗らかな声を上げたのは、他ならぬガウリイ。
『どええええええええ!!!!!?』
あ、けっこうおいしい♡
そんなガウリイの台詞に、ものの見事に。
椅子に座っていたゼロスと、そして二階から降りてきていたゼルガディス。
そして、同じくすでにテーブルにと着いているアメリア。
この三人の声が完全にと一致する。
『が……ガウリイさんが、人の名前を覚えてた!?』
本気で驚いているアメリアとゼロス。
「し…しかも、間違えずに人の名前を呼ぶだと!?」
驚愕の表情でそんなガウリイをみているゼルガディス。
ゼロスの方は叫びつつ、おもいっきり、椅子からひっくり返っているけども。
完全にゼルは、どうやらゼロスに対する不快感よりも、ガウリイに対する驚愕が先に勝ったわね。
「……なんだよ。みんなして…オレが名前を覚えてたら変か?」
『変(だ)(ですね)(ですよ)』
はっきり、きっぱり、声が重なる。
「あ……あのなあ。お前ら……人をなんだと……」
あら♡ガウリイ、いじけてるし。
とりあえず、そんないじけているガウリイはほうっておいて。
「……まあ、それはともかく…だ。ゼロス、何でお前がこんなところにいる?」
とりあえず、ゼロスに聞いているゼル。
「それは…秘密です♡」
いつもの、人差し指をぴっと立てるポーズで言い切るゼロス。
「ゼルガディスさん。ゼロスさん。私達と旅をするんですって。というよりはリナさんと。」
『なにぃ!?』
アメリアの説明に、同時に声を上げているガウリイとゼル。
「…おいおい、ゼロス正気か!?何か悪いものでもくったのか!?」
「義理はないがいっておいてやる。やめとけ。長生きできんぞ。」
「そうそう、人生なげてどうするんだ?」
交互に語りかけているガウリイとゼル。
あ…あのねぇ…
「あんた達ねぇぇぇ!!!!」
どごがすっ!
どずどす!
だくだくだくだく……
「ああ!大丈夫ですか!?…っ!
「まったく、何処をどうとったら、そ~いう言い方になるのかしら?
こんな平凡に旅をしているあたしに向かって♡」
とりあえず、虚空からちょっとした棘月ハンマーを取り出して、ガウリイとゼルをはたいておく。
その程度で怪我を負ったゼルにアメリアが回復呪文をかけているけど。
ちなみに、ガウリイはゼロスが怪我を治してたりするけども。
まったく、この程度で傷を受けるなんて情けないったら……
とりあえず、怪我の回復がてら、ゼロスに理由を問いただすゼルガディス達。
『理由はいえない。ともかくついてゆく』
の一点張りのゼロス。
そんな理由で、アメリアとゼルもゼロスの説得を諦めているけど。
そんなこんなで落ち着いてから。
一つのテーブルを囲んで、朝食タイムに突入するあたし達。
「そういや、昨日の夜。アメリアと一緒に外出したんだけどね。」
あたしの言葉に。
「また盗賊いじめか?リナ?」
そういや、昨夜はあれに夢中になってたからなぁ…オレ…
などと思いつつ、いっているガウリイに。
「……面白いか?くずどもをいたぶるのは?」
あきれた口調で言ってくるゼル。
「すっごく面白いし楽しい♡」
そんな二人にと、きっぱりと当たり前のことを返しておく。
「何をいっているんですか!ゼルガディスさん!
これで、また一つ!正義の道に近づいたんですよ!
この調子で全ての盗賊を壊滅させるその日まで!
私達仲良し四人組みに休むときなどはないのよ!」
「…………だからその呼び方はやめろ……」
アメリアの言葉に、額を抱えてテーブルにと手をつくゼルガディス。
ざわざわ……
他の客たちの視線がそんなアメリアにと集中しているが。
当のアメリアはまったく気にしてないし。
う~ん。
本当に面白いわよね♡
きっぱりと言い切るあたしの言葉と、アメリアの言葉でしばし無言になっているし。
結構本当に面白いのにねぇ♡
「まあ、ともあれ。今回も結局なりゆきで、アメリアと一緒に野盗を倒して。
その帰り道にちょっと、面白いやつが出てきたのよね♡」
くすくす。
笑いながらいうあたしの台詞に。
「……ゼロスのことか?」
ぎろりとゼロスを睨んで、淡々と言い捨てるゼル。
「まあ、ゼロスもいたけどねぇ♡」
くすっ♡
そこで小さく微笑んで。
「出てきたのは、ズーマとセイグラムよ♡」
『なにぃぃぃぃ!!!!!?』
あ、楽しい♡
あたしの台詞に、またしても声をはもらせているガウリイとゼル。
ゼルの方は、名前を聞いたことがある程度、というか、以前レゾ関係で関ったことがあるし。
敵対はしてなかったけどねぇ。
くすくすくす♡
「…ズーマって…あの!?ズーマか!?」
一度目のセイルーンでの出来事を思い出しつつ、言ってくるガウリイ。
「そ♡あのズーマよ♡」
そんなガウリイに答えるあたし。
「…聞くが、両手は?」
「セイグラムと同化していたからねぇ。ちゃんと二本あったわよ♡」
「??同化?……そうか…二本あったか……」
同化という言葉に首をかしげつつも、うなっているガウリイ。
「結局、ゼロスが来たんで。その場を逃げ出したズーマなんだけど。
そのとき、捨て台詞を残してね♡
『ヴェゼンディに来い、こなければ誰かが死ぬ』って♡
で?どうする?ディルス王国に行くのは、遠回りになるけど♡いく?それとも?」
くすくすと、忍び笑いをしつつ、あたしはガウリイ達の意見を促してみる。
と。
ダン!
「いくしかありません!」
力いっぱい、拳を握り締め叫んで椅子から立ち上がるアメリア。
「多分あいつは、私達がいかなければ!きっと、ヴェゼンディで人を殺します!
それも、見せしめのためだけに!」
ちなみにこの宿屋。
一階にある食堂とはいえ、食堂がここ一つしかないというのもあり、殆ど満員状態。
そんなアメリアの強い口調に、完全に客たちの視線があたし達にと注目してゆく。
「ちょ…ちょっと!?アメリアさん!?んな物騒な台詞を大声で!!?
他の人がこっちを見てますよ!?」
そんなアメリアにゼロスが言っているが。
「……ゼロスに指摘されてどうする……」
頭を抱えて唸っているゼル。
そんなゼロスの抗議の声は今のアメリアには当然届いてなどおらず、
かまわずに、高々といい続けているし。
客たちの反応とか、感情が結構面白い♡
「そんな、人道にももとる非道な行いが繰り広げられるのを知ってしまった以上!
見過ごすわけにはいきません!いかに世の中広しといえどもっ!
彼を止めることができるのは、私達仲良し四人組みプラス一名しかいないんです!」
「わ…わかった!いくから、落ち着け!な!アメリア!」
とうとう机にと立ち上がり、力説しているアメリアをなだめているゼル。
「おいこら!リナ!ガウリイ!アメリアを止めてくれ!
リナは何を笑っているんだ!?ゼロスもっ!」
必死にアメリアを説得しているゼル。
ゼルとしては、完全に目立っているのでかなり恥ずかしがっているんだけど。
あたしは、結構面白いから別にいいけどね♡
…ほっ…エル様のご機嫌…いいよなのでよかったです……
なぜか騒ぎになることを恐れていたゼロスもまた、ほっと肩をなでおろしていたるする。
どうやら騒ぎになって、あたしの怒りに触れるのがいやらしいけど……
だから、どうしてそんなに怖れるのよ!
机の上にと足をのせ。
天井に指を突きさし、力説しているアメリアを、
説得しつつ、落ち着かせているゼルやガウリイ、そしてゼロスの姿が。
平和な食堂の一角でみうけられていたりする。
そんなこんなで、あたし達一行。
つまりは、ガウリイ、ゼルガディス、アメリア、ゼロス、そしてあたし。
この五人で、ヴェゼンディ・シティにと向かうことになってたり♡
ヴェゼンディ・シティ。
カルマート公国にと位置し。
そのやや西よりにある、カルマートの中では、一応かなり大きな町の部類にと入る町。
ラルティーグ王国、ディルス王国にと続く、街道の分岐点にあり、
町ができる前から、交易の場として栄えている。
町が出来てからは、交易の町として栄えているが。
とりあえず、遠回りにはなりはすれど。
ヴェゼンディにとよって、ディルスにと向かうことを決定しているあたし達。
「―…あまり、気はすすまんな……」
ヴェゼンディを目前にして、いきなりいい出すゼルガディス。
「どうしたんですか?ゼルガディスさん?」
そんなゼルを見つめているアメリア。
あたし達は、今町にと続く街道を行く最中。
すでに、丘の向こうには、ヴェゼンディの町並みが広がっている。
今までは単なる整地も出来てない、道なき道であったところが。
完全にと整地されて、人や馬車が絶えることなく行き来している。
ゼルガディスは、フードとマフラーで、顔の殆どを隠したまま。
「…いつかも言ったが。俺は、いろいろと昔やってるんでね。
こういった大きな町には入りたくない。」
というか、そ~いえば、レゾに命ぜられて。
ここでちょっと、裏で活動していた時期…ゼルあったわよねぇ♡
「おやおや、ここまで来てそれはないんじゃないですか?ゼルガディスさん?
あなたが昔、何をしていたのか、僕は存じ上げませんが。
世の中は、お金さえ出せば止まられてくれる宿屋というのは、いくらでも存在しますよ?
それがたとえ、大悪党でも、魔王でも、竜神でもね?」
ちなみに。
ゼロスが魔王という言葉に様をつけてないのは。
ここのSのやつを示す言葉にしていないからだからなのだが。
「それに大概。普通の宿屋でもその通常の宿代のニ・三倍くらい払えば。
簡単に何処にでも泊まれるし、わざわざ気にする必要はないわよ♡」
くすくすくす♡
「……ゼルガディスさぁぁぁぁん……
ゼルガディスさんがいなかったら…仲良四人組みじゃなくなっちゃいますぅ……」
瞳を潤ませてゼルに懇願しているアメリア。
「…だからアメリア。その呼び方は止めてくれ……
…まあ、ゼロスやリナのいうことも道理だな。…分かった、町に入る。」
あまり、町に本当にいかない。
と言い出すと。
本気でアメリアが泣きそうになっているので、観念して町にと入ることを覚悟を決めるゼル。
「ゼルガディスさん!ありがとうございますぅ!」
だきっ!
「だ・・だぁ!くっつくな!抱きつくな!///」
「おやおや、ゼルガディスさん?顔が赤いですよ♡」
「……ほっとけ!」
ゼルが町にと入ると心を入れ替えたので、アメリアが喜んで、そんなゼルにと抱きついていたりする。
そのアメリアの行動に顔を赤くしているゼル。
そんなゼルをからかって遊んでいるゼロス。
とりあえず。
そんなやり取りをあとにして。
あたし達は町にと足を踏み入れてゆく。
あたし達がヴェゼンディの町にと入ってすぐのこと。
…ざわり!
町に入るなり、道ゆく人々が一瞬ざわめく。
「…?何か目立ってませんか?私達?」
アメリアがそんな周りの視線を感じつつ、ぽつりとつぶやく。
「……確かに。ああ…目立ってる…目立ってる……」
警戒の色も濃く出しているのだが。
それ以上に自分が目立っているのではと、いらない心配をしているゼル。
「まあ、確かに変った組み合わせではあるけどなぁ……」
いって。
魔族も一緒だし…などと思いつつ、ちらりとゼロスをみているガウリイ。
道を歩くそのたびに、視線を集中的にと浴びつつも、先にと進んでゆくあたし達。
と。
「…なあ?」
あたし達にと声をかけてきたのは。
歳のころならば、十二歳。
口調が完全に生意気ざかりだと物語っている。
「何か用ですか?」
そんな男の子の声にと足を止めて、聞き返しているアメリア。
アメリアではなく、あたしをじっと見つめ。
「……ね~ちゃん、ひょっとして、リナ=インバースとかって名前か?」
ごめっ!
どこからか、少年の頭にと、ちょっとした瓦礫の塊が降ってくるが。
ジャストヒット♡
「んっふふふ♡お姉さん♡でしょ?礼儀作法はきっちりとこなしましょうね♡」
「ああ!大丈夫ですか!?」
少しタンコブをつくり、
すこぉぉし頭から血を流している少年に、あわてて回復魔法をかけているアメリア。
「ご…ごめんなさい……。お姉さんは、リナ=インバースっていう、名前ですか?」
タンコブを抑えつつ。
なぜか大量に冷や汗をかきつつも、涙まじりの表情でもう一度言い直している男の子。
あら♡
やればできるじゃない♡
ざわざわざわ…
なぜか、今の瓦礫の出現と、男の子の台詞で、周りがまた一段とざわめき立ってゆくけども。
「確かに。あたしは、リナ=インバースよ。」
「リナがどうかしたのか?」
あたしの台詞のあとに、続けて言っているガウリイ。
どぉぉぉぉ!
面白いまでのどよめきが、辺りにと巻き起こってゆく。
「な…何だ!?」
その様子に戸惑うアメリアに。
「お…おい!?リナ!?」
あわてているゼル。
「や…やっぱりそうだ…じゃなくて、そうなんですね?
人数が一人多いから違うかなぁ??とかもおもったんだけ…じゃない、思ったんですけど…」
口調を震わせつつ、その瞳に恐怖の色をたたずえて、言葉を選んで言っている少年。
「そ…それで…あの…ね~ちゃ…じゃない。お姉さんに頼みが……」
言いかける少年の声をさえぎって。
「ちょっと待ちな。坊や。」
少年の言葉も終わらぬうちに。
人ごみの中からずいっと一歩を踏み出してくるのは、どうみても、ごろつき風体の男性。
働くということを知りなさい!
そして、少年にと向かって。
「いいか?おのお姉ちゃんたちを見つけたのは。叔父さんの方が先なんだ。」
「何いってるのよ!?」
次にと声を上げるのは。
結構太めの、しかも原色ばりばりの、ドピンクのフリルのついた服を着ている、五十代の女性。
「そんなことをいうなら、この私の方が先だよ!」
いって、前にと出てくるし。
その言葉をかわきりに。
「いいや!それなら、俺が先だ!」
「い~え!あたしが!」
「俺が!」
一斉に周りから上がってゆくいくつもの声。
「ちょ!?…ちょっと!?一体どういうことなんですか!?」
その様子に思わず声を上げているアメリア。
そんなアメリアの声も届いてないらしく。
今だに。
「いいや!あたしだ!」
「俺だ!」
「俺が先だ!」
「この一つの前の通りから、こいつらを……」
「私なんか、町の入り口から……」
……ああ!もう!
五月蝿いわねぇぇ~…
「いい加減にしなさい!!!
キュドドドドゴゴコゴゴオオオオォォオオンンンン・・・!!!
・・・・・・・・・・・・・・・・・
シィィィィィン・・・・・・・・
ふう、静かになった♡
あたしが放った一撃に、辺りに静けさが満ちてゆく。
かなり、力を手加減しまくって、はっきりいって赤ん坊が唱える程度の威力にしかしていない。
一応、見た目は派手だけど、威力が少ないこの術。
まあ、それは術者の魔力の容量の差によるけど。
いきなり言葉なしで、吹き飛ばしてもよかったんだけど。
それだとねぇ♡
やっぱり、人の振りしているからには、それなりの動作というものが必要よね♡
口々にと騒いでいた人間達が。
なぜか黒こげにとなって、その辺りでびくびくと痙攣していたりもするけど。
関係ないし♪
「さってと。静かになったところで?それで?」
にっこりと微笑みつつ、両手を前で組んでぐるりと町の人々を見渡してゆく。
ズザザザザ!
面白いまでに一気に集まっている人々が大きく後ろにと退がってゆく。
「一体何の用かしら?どうしてもめてるわけ?」
くすくすくす。
本当はあたしには分かっているけどね。
こ…これは…町の人々全員から負の感情が……う~ん、結構おいしいですね♡
と、ちゃっかり食事をしているゼロスもいるけど。
……シィィィン……
ビクビクビク……
まったく。
この程度でそんなに驚いてどうするのよ!
根性がなってないわよ!
なぜか静まり返り、地面に倒れ付して痙攣している人々の姿がそのあたりにあったりするけども。
町の人達が黙りこくること、しばし。
「あ…あのさあ……」
どうにか最初に声を出したのは、始めに声をかけてきた男の子。
なぜか、その瞳に恐怖と畏怖という名前の恐れを抱きつつ、やや遠巻きにとあたしを見ながら。
「じ……じつは、ラドックさんが……
リナ=インバースを見つけてつれてきたやつには……金貨をやるっていうから……」
言いながら、ズボンのポケットから一枚の紙切れを取り出して、恐る恐るとあたしに手渡してくる。
そこには、
『リナ=インバースとその一行を屋敷に連れてきたものには。賞金を与える』
と書いてあったりする。
賞金額は、たかだか、金貨百枚程度。
ま、この程度で、普通の人間にとっては、おいしい金額らしく。
それで、今のこの騒ぎ。というわけである。
その下に、あたしとガウリイ、アメリア、ゼル。
この四人のざっとした説明がなされ、特徴が文章で記されている。
まあ、かなり大雑把な説明だけど。
例を挙げると、たとえばゼル。
― 白い服をきた背の高い男。
としか描かれてないし。
正式に二日前にあたし達の旅にと加わったゼロスのことなどには。
まったくといっていいほどに触れてはいない。
報告がなってないわねぇ……ガーヴの配下って……
「それで?案内してくれるわよね?そのラドックのところに♡」
あたしの言葉に、ぎこちない動作でこくりとうなづく少年。
だから、何をあの程度で怯える必要があるのよ!
別に、あたしの力の中の精霊魔術を使っただけじゃないのよ!
しかも、力ともいえないものなのにっ!!
あたし本来とも言うべき混沌の力を使ったわけでもないのにねぇ♡
「とりあえず、いくわよ♡」
あたしが振り向くと。
「あ……あの、皆さん……あちらに……」
あたしの横で、通りの影を指差すゼロス。
あたしが術を放ったその瞬間から。
ゼロスを除く他の三人は、
あたしの側から少し離れ、通りの影からこそこそとこちらに様子を伺っていたりする。
「……どうやら、皆さん……その……他人のふりをしているつもりのようで……」
そういうゼロスの声も多少震えている。
「ふぅぅぅぅぅん♡そ~いうことをするんだ?」
にぃぃぃぃぃこり♡
ドガァァァァァァァン!!!
再び。
些細な爆発音が鳴り響く。
-続くー
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あとがきもどき:
薫:・・・・やっぱ、薬の副作用・・・強すぎ・・(汗)
打ち込んでいる最中・・目をつむりそうになります・・(はい)
まあ、何はともあれ。小説の設定そのままの、漫遊記版v
それでもいーよ。という人のみお付き合いくださいねv
んではではvv
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