エル様漫遊記  ~TRY偏~


かちゃかちゃかちゃ。
食事の準備をしている二人。
食器などをならべつつ二人が口を開いてくる。
「L様。とりあえず船団にはちょっかいを出さないようにと命令をいたしましたが。
  万が一のことを考えて私たちが船がすべてでるまで護衛……
  というか見張り番をすることにいたしました。」
もし何かあったらとんでもないことになりますし。
などと心で思っているゼラス。
そんなゼラスの言葉に続けて。
「それで、できましたら了解をL様に得ておこうと思いまして。
  シャブラニグドゥ様にはすでに了解を得ております。」
かるく会釈をしつついってくるダルフィン。
そ~いば、何かSのやつ、
『何かあったら世界が消滅してお仕置きフルコースが……』
とか今回のことを聞いたときにしばらく落ち込んでたみたいだけど。
……まったく、仮にもここの魔王のくせに根性がないったら!
まだまだ根性のたたきなおしが必要みたいよね♪
「ま、別にいいけど?あ、そうそう、くれぐれもほかの生き物とか者たちの前で。
  あたしのことを『L様』だとか呼ばないこと。
  あとこの船今エルフと黄金竜も乗っているから。」
にっこりと微笑みつついうあたしのその言葉に。
「……黄金竜……ですか?」
ふとその言葉におどろいているゼラス。
「そ、今ゼロスが迎えにいっているけどね。って……あら、戻ってきたわね。」
そんな会話をしているとゼロスが戻ってきていたりするし。
こっちにはまだこないけど。
そして数分もたたないうちに。
「遅くなりました……ってぇぇぇ!獣王様ぁぁぁぁぁ!?海王様ぁぁぁぁぁぁ!?」
なぜか部屋にはいってくるなり驚愕の声を上げ、部屋にゼロスの叫びがこだましてゆく。


ゼロスに誘導され船に降り立ちそのまま、こちらはというと。
メフィ達ほうにと進んでいるミルガズィア。
気配をたどりつつ進んでゆくと、メフィ達全員とも船倉に当たる船下で話し込んでいたりする。
そんな彼らをみつけ。
「何かこみいった話なのか?」
そんな彼らに声をかけているミルガズィア。
メフィ達はといえば船の中にある自然の水族館からはもう出ているので、
そのことにはミルガズィアは気づいてないけど。
そのミルガズィアの言葉を耳に捕らえ。
「ああ!ミルガズィアおじ様!お帰りなさい!」
その声に気づいたメフィがまっさきにミルガズィアにと話しかける。
そしてぱたぱたとミルガズィアのほうにと走りより。
少し考えてから。
「……今この方たちが獣王と海王に会ったことがある…という話をきいてましたの。」
ミルガズィアの登場で何とか正気を保っているメフィ。
別にそんなに驚くようなことでもないでしょうに。
そのメフィの言葉をうけ、目を驚愕に見開き。
「何!?それはまことか!?人間たちよ!?」
あ、面白い。
こちらもまた驚愕しつつ目を見開いてアメリア達、三人に話しかけているし。
「まあ…な。ところで?ミルガズィアさん?
  あんたの方はもう大丈夫なのか?このまま外にいっても?」
とりあえずさらりと話題を変えているゼルガディス。
「うむ。私の方は話をつけておいた。しかし……その話……本当だとしたら……」
ということはやはり魔族が……また何かたくらんでいるのであろうか?
などと一人思いをめぐらせているミルガズィア。
そんなミルガズィアをみてふと。
「……ゼルガディスさん、やっぱりリナさん……あれと関係あるんですかね……」
ぽつりとつぶやいていたりするアメリア。
あら、正解vというより本人なんだけどね。あたしは♡
「いうな、アメリア。これは俺たちの想像にすぎん。
  それにただ赤の竜神の騎士スィーフィード・ナイトの妹、というだけのことかもしれんのだ。」
そんなアメリアの言葉にため息まじりにつぶやいているゼル。
『?』
アメリアとゼルの会話に首をかしげ。
「?誰が赤の竜神の騎士スィーフィード・ナイトの妹なんですの?」
問いかけているメフィ。
赤の竜神の騎士。
それはこの世界の至高神、赤の竜神の力と魂の欠片をうけつぐ聖なる騎士。
そう一般には思われているけど。
まあ、あたらずとも遠からず。
そんなメフィの言葉に少し驚きつつも。
「……?何だ?知らなかったのか?リナだ。リナ=インバース。
  赤の竜神の騎士、ルナ=インバースの妹らしいぞ?」
それを知ったときには俺もたまげたが……どこか納得……したがな。
そのときのことをおもいだし思わずため息まじりにいっているゼル。
そんなゼルの説明に。
驚愕の表情で目を丸くしているミルガズィアとメフィ。
う~ん、面白いわね。
「な゛!?あの人間、そうだったのか!?」
ミルガズィアが叫び。
「…………」
口をあんぐりあけているメフィ。
そんな二人をみつつ視線をミルガズィアにとむけ。
「ミルガズィアさん……俺はてっきりあんたはもう知っているんだと思ったが……」
そういうゼルのその言葉に。
「いや、今はじめて知った。……なるほど。
  それならあのゼロスがあの娘に従う理由も少しはわかる・・というものだな。」
一人納得しているミルガズィアだし。

― みんな、聞こえるぅ~?ご飯の用意ができたわよ!食堂にいらっしゃいねv ―

彼らがそんな会話をしている中にあたしは彼らに声を届ける。
といっても脳裏とかにではなく船を通じて。
俗にいう、とある世界などでいうとスピーカーもどきから、
彼らとしてはどこからともなく声がしてきた、という感じで。
いきなり声が聞こえてくるので、なぜか驚いて回りをきょろきょろしていたりするし。
う~ん、慣れてないわねぇ。
やがてそれが壁から聞こえているのに気づき、
どうやら通信のようなものだ、と理解している彼らだし。
「だ、そうだ。ではいくか?」
そういいつつ、まわりをぐるりと見渡しているゼル。
そんなゼルの言葉を先頭に。
アメリア、メフィ、ガウリイ、ゼルガディス、そしてミルガズィア。
彼ら五人はこの船の中にある食堂にと移動を開始する。


「な……何で!この二人がいるんですかぁぁ~!」
かぁ~!かぁ~かぁ~………
アメリアの声がこだまする。
部屋に入るなり二人を見て叫んでいるアメリア。
そしてアメリアが指差した先にいるのはゼラスとダルフィン。
「?誰ですの?その方たち?」
きょとんとして首をかしげているメフィに、面白いことに硬直しているミルガズィア。
……こ……この感じは……ゼロスよりも強い力……ま…まさか!?
などと心でかなり冷や汗を流しているミルガズィアだし。
それでも表の表情にはいっさいそれが見えないのもまたミルガズィアなんだけど。
そんなアメリアに。
「まあまあ、アメリアさん、おちついて。」
のんきにそんなアメリアをなだめているゼロス。
「で?何でこの二人がこの船にいるんだ?リナ?」
なぜかあきらめたようなため息をはきつつあたしにと聞いてくるゼル。
「ああ、そのこと?今回の船団にちょっかいかける馬鹿がいないように。
  船団が結界を抜けるまで監視するんですって。
  別にほかの船に乗ってもらってもいいんだけど。
  そして、正体ばれたりしたら面白いんだけどねぇ。
  とりあえずそれだと何だからって彼女たちこっちの船に乗っているだけよ。」
あたしとしてほかの船にのり、彼女たちの正体が人間にばれたりしたほうが、
そのほうが面白いから楽しめるんだけど。
ゼラスたちはといえばそんなことになったらあたしからお叱りをうけるし。
何よりも何かあったときにすぐに対処ができるようにこっちに来た。
というような考えでこっちにきているんだけどねぇ。
ま、別にいいけどね。
そういうあたしのその言葉に。
「……魔王の腹心……が直々に……か?」
疲れたような声で、事実なぜか疲れているようだけど。
ため息まじりに声を吐き出しているゼル。
そんなゼルに。
「まあまあ、ゼルガディスさん。
  獣王様も海王様も、赤瞳の魔王ルビーアイ様にいわれて、こられているわけですし?
  いいじゃありませんか、ね♡」
にこやかにそんなゼルににこにこといっているゼロス。
まあSの命令とあとは自分の判断で彼女たちはやってきてるんだけど。
そんなのんびりとのほほんとしたゼロスのその言葉に、
面白いことに完全無欠に凍り付いているメフィ。
う~ん、そんなに恐怖の感情を撒き散らしていたら……面白いわねv
そんなメフィとミルガズィアをちらりとみて。
「ふむ。なるほど。確かにゼロスの報告どおり。エルフと黄金竜も同行しておるのだな。」
一応あたしの後にゼロスがゼラスに説明してたわね。
そういえば。
二人をみてそんなことをつぶやいているゼラス。
「お久しぶりですわ。アメリアさん、ゼルガディスさん。
  それでそちらがガウリイさんですわね?始めまして。」
にこやかに笑みを浮かべつつにっこりと微笑んでいるダルフィン。
……よくエル様と一緒に旅……できますわよね。この人間。
今度いろいろと実験してみたいですわ♡
などとガウリイをみてそんなことを思っているダルフィンだけど。
やがてぎぎぎ……っと顔を動かし。
「お…おじ…さ…ま……この二人…って……まさか……」
体を小刻みに震えさせつつ声まで震わせて横にいるミルガズィアにと問いかけているメフィ。
「うむ。間違いないな。私も実際には出会ったことはないが。
  獣王グレータービーストゼラス=メタリオムと海王ディプシーダルフィン。
  当人たちに間違いはなかろう。ゼロスより強い力をこの二人からは感じるし……な。」
そういえばゼラスもダルフィンも、あまりというか少ししか気配隠してないからね。
完全に隠して人間形態になってればいいのに。
一応力を少し表にだしているのは外にいる雑魚たちにむけての牽制らしいけど。
ゼラスとダルフィンをみてうめくようにメフィの言葉に答えているミルガズィア。
「どうでもいいけど?とっとと席についてくれないかしら?
  せっかくの料理が冷めちゃうじゃない?」
いまだに立ち話をしている彼らに促すあたし。
あたしの言葉にあわててぱたぱたと席についているダルフィンたち。
「そうだぞ。これだけ広い船なんだ。
  二人くらい増えても問題ないって。うん!?これ、うまいぞ!」
まったく関係ないようなとぼけたことをいいつつも、
席につき食事に手をつけたガウリイがそんなことをいっていたりするけど。
「……ガウリイさん……そ~いう問題じゃ……」
そんなガウリイの言葉にため息つきつついっているアメリア。
「とりあえずいただくとするか。」
もう何があっても俺は驚かん。
どこか悟ったように自分にと言い聞かせ、フォークとスプーンを手にとっているゼル。
そんな彼らをみつつ。
「それでは、私たちもいただきましょうかね?ダルフィン?」
傍らにいるダルフィンにと語りかけているゼラス。
「そうね。ゼラス。」
そういいつつ席につき食事を開始しているゼラスとダルフィン。
そして一口、口にと運び。
「……あら?この料理……」
それだけいってぴたりと一瞬手が止まっているゼラス。
た……確か……これって……
あ、面白い、ゼラスが少し動揺してる。
う~ん、ゼラスは思い出したみたいね。
実はこの料理、何作品かはかつて部下たちなどを招いた晩餐会で出したものと同じ品。
といってもあのときと材料になった部下は違うけど。
あのときダルフィン、食べ損ねてたのよね。
ちょっと魚の蒸し焼きに……と、材料にしただけで数年以上物質干渉力を失って。
一口、口に含み。
「あら、さすがですわ。本当にすばらしくおいしいですわ。さすが……」
L様。といいかけてはたと口をつぐんでいるダルフィン。
どうやらゼラスの様子からこれの材料が何なのか何となくだけど判断したらしいけど。
そのまま料理をながめて冷や汗かいてるし。
別にこの品物の中のひとつに、
そりゃ、部下Sとかの物質化した体の一部を材料にしているのもあるけど。
関係ないでしょうに♡
「ま……まあ敵意は今回もないようですし。私もたべよっと。」
そういいつつアメリアもまた食事を開始する。
「なら俺もそうするか……」
アメリアに続いてゼルもまた食事を開始する。
そして同時に食事を口にと運び。
「お……おいしぃぃぃぃ!」
「う……うまい!」
二人同時に同じことを叫んでいるし。
それをかわきりに二人ともばくばくと食事を勧めてゆく。

ふとみればゼロスはというとすでに席について食事に手をつけていたりするけど。
そんな彼らの様子をしばらく唖然としてながめつつ。
「……と…とりあえず私たちもいただこうか…メフィ……」
目の前の光景についていけないが……とりあえずここは周りに合わせるのが無難だ。
そう判断しメフィにいっているミルガズィア。
何でこの人たち、腹心が二人もいる…というのに、のんびりと食事なんてできるのかしら?
そんなことをおもいつつ食事をしているアメリア達をみているメフィ。
ま、あたしの手作りなんだからおいしいのは保障つきだけどねv
「そ……そうですわね……」
その言葉をうけてこちらもまた席にとついているメフィ。
そしておそるおそる、そこにある料理を一口、口にと運ぶ。
「こ……これは!?」
今まで食べたことのないようなあまりの絶品さと、
そして究極ともいえるおいしさに、思わずうなっているミルガズィアと。
「絶品ですわ!」
目を丸くして驚いているメフィ。
今までこんなにすばらしいもの、食べたことはありませんわ!
などと目を見開いて目の前にある料理の数々を改めて見回しているメフィ。
「こんどレシピを教えていただけませんか?ゼロスに作らせてみたいので。」
そんなことをいってくるゼラス。
とりあえず材料は考えないことにして食事をすることにしたようだけど。
「…………(汗)」
そのゼラスの言葉をうけて隣で汗をかいているゼロス。

しばらく和気藹々とした食事の風景は滞りなく進んでゆく。


                           -続くー


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あとがきもどき:
薫:とりあえず、一度編集したけど、また全体的に見直しですv
  というわけで、のんびりといくのですv

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