エル様漫遊記  ~TRY偏~


「う~ん、やっぱり人にしては大規模よねぇ。」
ここはとある港町。
港にはずらっと何隻かの船が並んでいる。
「結界内のすべての国々がこの使節団に参加して同行しますからね。」
そんなことをいっているアメリア。
そんなことをいいつつあたしたちはこの町の広場にと向かってゆく。
すでにそこには舞台が組まれ。
そしてその上に立っているのは。
「あ、父さんが説明を始めるみたいですよ?」
そうアメリアがその舞台の上を指差すと。
その台の上にいるひげを生やした一人の男性が高らかに民衆にと向かって宣言する。
「みなの者、このたび千年の結界の内から外にでれることとあいなった。
   一重にある魔道士の協力があってこそこのたびの実現とあいなったわけであるが。
   呼びかけに答えてくれた諸国の皆様に大変感謝いたします!」
おおおおおおおお!
その言葉とともに周りから歓声の声が沸き起こる。
ちなみに多少の人物などは王子様……というイメージと、
目の前にいる、セイルーンの王位継承者。
そのイメージのギャップで気絶したりしているものはいたりするけど。
そんな民間人などは一応レスキュー部隊に保護されていたりするし。
台座の上で高らかに宣言しているのはアメリアの父親であり、
聖王国セイルーン、第一王位継承者、フィリオネル=エル=ディ=セイルーン。
その当人。
「では私からこのたびの航路を説明いたします。」
そういいつつしずしずとでてくる一人の女性。
正装しているがゆえに、
彼女の普段の姿を知っているものはまず同一人物とは思わないだろうけど。
黒いドレスに身をつつみ、頭にはちょっとしたアクセントのティアラが輝いている。
一応普通の格好をしていれば普段の大道芸人のような格好とは違い、
一応はまともに見た目でも見えるのがそのあたりが面白い。
「…あんな格好をしていたらものすがくまとめに見えるのは…さすがというべきだな……」
そんなことをぼつりとつぶやいているゼル。

「おお、あれがグレイシア姫か、うわさにたがわず何と美しい!」
などと見物人たちからそんな声があがっていたりするけど。
くすくす。
まあナーガの性格、彼ら知らないからねぇ。
本当、人間って面白いわよね。
あっさりと見た目にだまされるから♡

台座の上ではフィルに変わりナーガがこのたびの計画を披露していたりするけど。
「このたびの船団は、海岸沿いに滅びの砂漠を抜け、外の世界との交流を図ります。
  各国々の人々には自国の人々が今どこにいるのかを知ってもらうために、
  ある魔法道具マジックアイテムを渡してあります。
  各国々の代表者に片方の連れを渡してありますので。
  地図上に浮かんだ光が今各自の代表者がいる位置ということになります。」
そういいつつそこに拡大された球状地図を観客にも見えるように高々とかかげ。
そしてそれをさらに拡大し映し出している幻影ヴィジョンを指し示す。
空というスクリーンに映し出されるこの星の世界地図。
「今現在、このように光はこの位置をさしております。私たちがいるのはこの場所です。」
そういいつつ地図の一角に光る点をボインターで指し示すナーガ。
「なおこれはとある魔道士がわれらにと寄付していただいたもの。
  それでは各国の皆様および使節団の諸君、よい航海を期待しておる!」
ナーガの言葉の後に続けて説明しているフィル。
そんなフィルの横ですこしスカートのすそをもって一礼しているナーガ。
まあ、あの猫かぶりのまんまだと問題はないんだけどね。
それだと面白くないけど。
そんなナーガの姿をみつつ少しばかりその紫の目を見開いて。
「……ナーガさん……って……本当にセイルーンの王女だったんですね……
  アメリアさんといい……フィルさんといい……あの国……大丈夫でしょうか?」
そんなことをぼつりとつぶやいていたりするゼロス。
「どういう意味ですか!?ゼロスさん!?」
そんなゼロスの言葉に思わず抗議の声を上げているアメリア。
「その言葉どおりの意味だろう。俺もそう思うからな。」
そんなゼロスの言葉にあっさりと同意しているゼル。
「ひ……ひどいです!ゼルガディスさんまで!確かに父さんの見た目はああですけど!
  それに姉さんもちょっと常識から外れたところはありますけど!」
そういいつつこぶしを握り締めて言い募ってくるアメリアに。
「……あれがちょっとかぁ?」
ガウリイがぼそりとそんなことをつぶやいていたりする。
そんなガウリイの言葉にうんうんとうなづいているゼロスとゼル。
「ガウリイさんまで……そんな……」
何かガウリイの言葉でアメリア、少しいじけていたりするけど。
こういうやり取りみてたら、ほんっとあきないわv

あたしたちがそんな会話をしつつしばらくすると。
「リナ殿、おかげ様で無事出発することができますわい。」
そういいつつこちらに近づいてくるまるでドワーフもどきの人間、もといフィル。
そういいつつ手を差し出してくるのでその手をかるく握り返しておくあたし。
「おっと。では儂は各国の王たちと話があるのでこれで失礼いたしますのじゃ。」
一応あたしに挨拶をしてそれから今から会議がある場所にと向かってゆくフィル。
ちなみにすでに船団員たちの準備は始まっており、
差し迫っている出航の準備に追われていたりするけど。
そして振り向きざまに。
「アメリア!リナ殿たちにくれぐれも迷惑をかけるんじゃないぞ!
  しっかり外をみてこい!いいな!」
そんなことを叫んでいるフィル。
「は~い!わかってます!正義をしっかりと世界に広めてきます!
  父さんもがんばってください!いってきます!父さん!」
「おう!しっかり正義をひろめてこい!がっはっはっはっ!」
などと周りに人がいるというのにそんなことをいいつつ手を振っていたりするこの親子。
まあ別にいいけど……

「さて……と。こちらもそろそろ、いく用意でもしましょうか?」
あたしがひとしきりフィルに手を振り終えたアメリアを見終えてから。
海をみつつそれから一緒にいるアメリア、ゼルガディス、ガウリイ、ついでにゼロス。
彼らをみつつ振り向くと。
「人間よ。久しぶりだな。」
あたしが次の言葉を言いかけるとあたしたちの後ろから聞こえてくるとある声。
ばっ!
その言葉にあわてて振り向いているゼル。
そこに立っているのは金髪の男性と、
そしてもう一人変わったブレートアーマーを着込んでいるエルフの女性。
「おや、ミルガズィアさん、お久しぶりですねぇ。」
その姿をみてにこやかに話しかけているゼロス。
「あ!お久しぶりです!ミルガズィアさん!……あの?その横にいる女の子は?」
男性には見覚えがあるアメリア。
このミルガズィアにはアメリアもゼルガディスも、まあ竜たちの峰ドラゴンズピークで出会ってるからねぇ。
そんなアメリアの言葉に。
「人間なんかに教える必要は!」
そういいかけているそのエルフの少女。
「メフィ!」
それ以上いおうとするエルフの少女の言葉をさえぎりミルガズィアがあわててとめる。
「いや、失礼。この子どうやら人間に対して良い感情をもっていないものでな。」
そういいつつ代わりにあたしたちにと謝ってくるけど。
「まあエルフですしねぇ。ところで?ミルガズィアさん?どうしてこんなところに?
  竜たちの峰ドラゴンズ・ピークから滅多に離れないあなたが?」
にこやかにのんびりとした口調でにこにこしつつ語り掛けるゼロス。
そんなゼロスの言葉に露骨に顔をしかめているミルガズィア。
「誰があんたなんかに!」
ゼロスのことを知らないメフィはその言葉にもつっかかろうとしていたりするけど。
「メフィ!!」
そんなメフィの言葉を先ほどより強い口調で押しとどめる。
「いや、すまん。メフィ、お前は少しだまってろ。」
強い口調でそういわれ、しかたなく口をつぐむエルフの少女、
メンフィス=ラインソードことメフィ。
メフィが口をつぐんだのを見て取り。
「人間が結界の外に出向く、という情報をキャッチしてな。こうして見回りに来たわけだ。
  この子は昔から付き合いのあるエルフの子でな。一緒に見回りに来たというわけだ。」
そういってゼロスを警戒しつつ一応形式的に説明してくるミルガズィア。
ここ、北の地にあるカタート山脈。
その一角に位置する竜たちの峰ドラゴンズ・ピークの長老でもあり。
かつての水竜王の長老をも務めていた黄金竜のミルガズィア。
その淡々としたミルガズィアの説明に。
「あれ?ミルガズィアさんたちは外にいかないんですか?」
ふと疑問に思いアメリアがそんなことを問いかけていたりするけど。
「いや、結界越えはわれらでははっきりいって不可能だ。
  それゆえどうして人間がこの結界の外に出られるのか不思議でな。
  それが本当かどうかこうして確認にきたわけだ。」
そういいつつちらりと周りをみつつ。
どうやら噂は真実であったようだが。
などと思っているミルガズィア。
まあ周りで出港準備に追われている人間たちをみれば、
それが真実だと、いくらなんでも小さな子供でも赤ん坊でもわかる事実だけども。
そんなミルガズィアのその言葉に。
「ああ、それなら理由は単純だ。
  リナが防御結界用のクリスタルを渡したがために可能になったということだからな。」
うめくようにそれでいて小さく自分自身にと確認するようにいっているゼル。
「?……防御クリスタル?……それは……いったい?」
そんなものは聞いたこともない。
そう思いつつあたしの方を見てくるミルガズィア。
そんな会話をしていると。
「おじ様?いったい何なんですの?この人間たちは、いったい?」
どうやら彼らは人間風情なのにおじ様と知り合いのようですけど。
そんなことをおもいつつミルガズィアに問いかけているメフィ。
その言葉に。
「ああ、そうだったな。メフィは初対面だったな。ざっと紹介しておこう。」
そういいつつあたしたちの方を改めてみてくるミルガズィア。
「あたしはリナ。リナ=インバースよ。」
こちらを改めて向いてきたミルガズィアたちに一応自己紹介をしておくあたし。
嘘ではないしねv
この世界でのあたしの名前はリナ=インバースという普通の女の子だし。
「ガウリイ=ガブリエフだ。よろしく。」
あたしに続いてガウリイが自己紹介をしていたりするけど。
「アメリア=ウィル=テスラ=セイルーンです!」
元気よく答えているアメリアに。
「……ゼルガディス=グレイワーズだ。」
義務的に答えているゼルガディス。
「謎の神官、ゼロスといいます♡」
にこやかに笑みをたたずまえてにっこりと微笑みつつ自己紹介をしているゼロス。
「ゼロス、あんたはいい加減にその謎の神官ってのはやめなさいよね。
  まあ面白い響きではあるけど。」
くすくす笑いつついうあたしのその言葉に。
「いやぁ、結構この呼び名、気に入ってまして。リナさん。」
にこやかにそういいつつ笑みを返してくるゼロス。
「あら、じゃあ部下Sみたいに使い走り魔族とか。
  あとは中間管理職とかパシリ魔族とかいう言い方もあるじゃないv」
そんなゼロスににっこりと微笑みつついうあたしのその言葉に。
『……いや、部下S……って……』
ふとそれに気づいて突っ込みをいれてくるアメリアとゼル。
「ああ、気にしない、気にしない。言葉のあやだから。」
そんな二人にさらりといっておくあたし。
「……何か本気で今……違和感……ありませんでしたよね?ゼルガディスさん……」
「……何か俺は一瞬怖い考えが……脳裏に浮かんだぞ……」
などといった会話をぼそりと交わしている二人だけども。
「リ……リナさぁぁぁぁん……」
あたしのそのもっともな言葉に本気で涙を流しつつ泣きながら何かいってきているゼロス。
どうでもいいけど涙をあっさりと具現化させるところなんか結構マメよねv
「……魔族?」
そんなあたしたちの会話に眉を潜めているメフィ。
そんなメフィに向かって小声で。
「……メフィ、お前も聞いたことがあるはずだぞ?ゼロスの名前は……」
うなるようにそれでいて諭すように隣にいるエルフのメフィにとつぶやいているミルガズィア。
その言葉にしばし考え込み。
ひっ!
やがて小さな悲鳴とともに数歩後ずさり。
「降魔戦争のっ!!!竜を滅するものドラゴンスレイヤー!!?」
悲鳴に近い声とともにわなわなとゼロスをみて震えていたりするこのメフィ。
そんなメフィの言葉に。
「ちっちっちっ。その猛々しい二つ名前は好きではなないんですよねぇ。
  僕のことは怪しい青年とか謎の神官、そう呼んでくださいな♡」
そんなメフィに向かってにこやかにそんなことをいっているゼロス。
そんな会話をしている最中。
「何だ?外に行きたいんだったら一緒にいけばいいじゃないか。
  どうせ今からオレ達も外にいくんだし。
  でっかいトカゲとエルフが増えるくらいどうってことないじゃないか。なあ?リナ?」
どこか話しがずれまくりつつもそんなことをいってくるガウリイ。
「そのでっかいトカゲというのはやめてもらえるか?人間よ?ミルガズィアだ!ミルガズィア!」
そんなガウリイの言葉にガウリイの目前にと顔を近づけて念を押しているミルガズィア。
そういえばいまだにガウリイ、ミルガズィアの名前正確に覚えてなかったわね。
というか覚える気がガウリイがないからなんだけども。
別に困ることもないしね。
「ま、確かに、それはともかくとして。」
そんな話をしている彼らの言葉を一度中断させて。
「とりあえず本当に外にいくきなら一緒にいく?今からあたしたち出発するところなんだけど?」
そういってミルガズィアとメフィに向けてにっこりと微笑むあたし。
そんなあたしのその言葉に。
「――いいのか?われらが共にしても?」
少しいつもならその無表情の顔にも動揺を少しみせそうあたしに聞いてくるミルガズィア。
「まあね。別に関係ないし。あとおまけでゼロスもいるけどね。そっちのご自由に。
  ゼロスもそれでいいわよね?」
あたしのそのにっこりと微笑んで言うその言葉に。
「ま……まあ僕はリナさんがいというのならそれに従いますよ。」
すぐさま返事を返してくるゼロス。
というか断ったりなんて……できませんよね……はぁ。
などとなぜか心でため息ついているゼロスだし。
「まあ人数が多いほうが楽しいですしね!」
などと一人違う意味で納得しているアメリアに。
「……好きにしろ。」
というかリナ言い出したら聞かないしな。
などと心でどこかあきらめつつそんなことをいっているゼル。
「だ、そうよ?どうする?」
そんな彼らの言葉をうけて改めてそこにいるミルガズィアとメフィにと微笑みかける。
しばしその言葉に顔を見合わせるミルガズィアとメフィ。


そしてしばらくの相談の後に。
「では、お言葉に甘えて。同行させてもらおう。そのパシリ魔族のことも気になるしな。」
そういってゼロスをみているミルガズィア。
「あ、ミルガズィアさん、本当に呼びましたね。あの呼び方。」
面白そうに関心した声を出しているアメリアに。
「だな。」
これまた感心したような声をだしているゼル。
一方で。
「そ……その、そういう呼び方はやめてぐたさい!ゼロスです!ゼ・ロ・ス-!!!」
そんなミルガズィアに抗議の声を上げているゼロスだし。
う~ん、結構ミルガズィアの反応もゼロスの反応も面白いわよね♡
その言葉をうけ。
「あら、じゃ、いきましょうかv」
そういいつついまだに言い合っているゼロスたちをそのままに。
あたしは懐からクリスタルを取り出してそれをそのまま海にと投げ入れる。
それが海面に落ちるその直前。

カッ!!

まばゆい光が一瞬あたりを覆いつくし。
光がのいたその後には一隻の船があたしたちの目前にと悠然と海に漂っていたりする。
大きさ適にはちょっとした豪華客船程度の大きさ程度。

なぜかあたしたちの周り……といっても離れてはいるけど。
いきなり出現した船に驚いて腰を抜かしている人間たちもいたりするけど。
ま、関係ないし。

「さってと。じゃ、いきましょうかv」
そういいつつあたしは今出現させた船にと乗り込んでゆく。


                               -続くー

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あとがきもどき:
薫:・・・・・確かどれかにこの文章、あてがいました。
  パニックだったかなぁ?(忘れてる人)
  もともとはこっちは先なんですよ・・・・ええ・・・・本当に。
  何はともあれ。結界の外に向かってゆくリナたちです。
  え?フィリア?まだ少しでてきませんv(このあたりがオリジナル?)
  ではでは。

2003年8月17日

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