エル様漫遊記 ~ドラゴンズピーク編~
「……何なんだ?ここは……」
「…本当に…何なんですか?ここ?」
ミルガズィアに手を引かれ、奥に進んでゆくアメリアとゼル。
周りをみつつ二人は途方にくれていたりする。
まったく、この程度で…無理もない、といえばそれまでだろうけど……
ここは性質的には
「気にせんことだ。」
そんな二人にさらり、といっているミルガズィア。
「気にするなって……気になるぞ……これは……」
そんなことを言っているゼルガディスに。
「ここは降魔戦争の折にできた空間だ。性質として、
物を見るのも聞くのも目や耳でなく精神だ。
不安は花園を地獄の風景にとかえ、そよ風のささやきも亡者の怨嗟と化す。
敵意が相手の命を殺ぎ、容易に滅びをもたらす。」
淡々と説明するミルガズィアの言葉に。
「なるほど……な。」
そんな彼の言葉に苦笑しつつ、つぶやいているゼルガディス。
「それより、お主たち、異界の知識を手にいれて何を欲する?」
そんなミルガズィアの問いかけに。
「この
魔力をできれば今のままの状態でな。その方法を探している。」
素直に答えているゼルだし。
「それはそうと、ミルガズィアさん?
さっき言っていた『ゼロスさんが一人で竜族を壊滅に追いこんだ』…って、本当ですか?」
そんなアメリアの言葉に。
「確かに。あいつが強い。というのはわかるが…リナの前ではいいように扱われてるからな。」
しみじみとつぶやいているゼル。
「……それが私にもわからん。なぜあのゼロスがあの人間と共にいるのか。が…
…あの人間もかなり強いが……な……」
いいつつもため息をついているミルガズィア。
「知ってるんですか!?リナさんの強さ!?」
目を見開いて驚いているアメリア。
「……あの人間が小さいころ、よくここに来てな。
…無論追い返そうと、多数の竜たちが挑んだんだが……あっさりと負けた。
たかが、人間の子供に。それならば。と。
あの人間の住処へと出かけていった竜達は皆記憶を失って戻ってきた……」
「…
「……さすが、リナ。【ドラ・マタ】の呼び名は伊達ではない…ってことか……」
そんなミルガズィアの言葉に、なぜかそんなことをいっているアメリアとゼル。
どういう意味かしらねぇ♡
「ふむ。ついたぞ。」
そんな会話をしつつも、やがてふと足を止めるミルガズィア。
「…どこにあるんだ?」
「何もありませんね?」
周りをみつつも、二人の目にと見えるのは、何もない空間のみ。
そんな彼らの言葉に。
「ふむ……。人間の目では見えぬか……。ならば感じ取ってみるがいい。」
そんなアドバイスをしているミルガズィア。
そんな彼の言葉に。
互いに顔を見合わせつつ。
そして、同時に目を瞑る二人の姿。
そして。
「……このオーブが?」
そこにあるソレを感じ取り、思わずつぶやくアメリア。
そんなアメリアの言葉に感応し。
『
異界からの知識の本流をもたらすもの。
それが…お前たちが
二人の脳裏に直接それは語りかける。
その言葉をうけ。
「なるほど。頭に直接語りかけてくる、といった代物か……ならば……」
「なるほど。」
この仕組みを理解し、互いに顔を見合わせ…そして、ふたりは精神を集中させてゆく。
そして、二人は質問を開始していたりするけども。
そしてまた……
彼らが岩壁に入っていくのをみつつ。
「当分留守番…か。」
などといいつつ。
「なあ?リナ?オレちょっとその辺りをみてくるわ。」
いって、ガウリイはその辺りをぶらぶら歩き出す。
「さって♡二人は中に入っていったから、そろそろ準備をしますかね♡」
いいつつも、ゼロスに渡していた水晶を受け取り、それを道の上にと置く。
「さって。これでよしっと♡」
にっこり微笑み、そして、振り向きつつも。
「さってと。ところでフィブリゾ♡一体あたしを使って何をしようとしたのかしらねぇ?んっ♡」
にこやかに微笑みつつも、手にちょっとした黒い塊を出現させると。
なぜか、だくだくと汗を流しているフィブリゾの姿。
そして。
「すいません!すいません!ごめんなさい!お母様!
……お母様の魔力を暴走させて、
この世界そのものを巻き込んで、無に還そう、と思ったんですぅ!ごめんなさい!」
何やら謝り倒してくるフィブリゾだし。
「まったく。そういう問題じゃあないでしょう?
あんたたちには互いに競い合って、よりよい方向に高めてゆく。
それがあんたたち神と魔に与えてる使命でしょ?
あんたたち魔族が滅びを望むのはそれをよりよく遂行するためのもの。
それを…人間を使って滅ぼす?・・・何を考えてるのかしら♡あんたって子は♡」
にっこりと微笑みかけるあたしの言葉に。
「……目が笑ってないです……エル様ぁ……」
何やらつぶやいているゼロス。
そしてまた。
「…うっうっ。……
人間に滅ぼされたと思って計画を思いついたんですが……」
何やら泣きつつもいってくるし。
「あら♡アレは滅ぼしてはないわよ♡そんな楽なことを許すとおもうの?
アレは
なおかつ鳥に姿を固定させて、
あいつが封じられていた人間と一緒に善行を行ってるわよ。今ごろ♡」
くすっ。
あたしの言葉になぜか絶句してその場に固まっているフィブリゾ。
「ま、このあたしにまがりなりにもちょっかいかけてきたんだしねぇ♡
その程度のお仕置きで済ませている、というのが不思議でしょうに♡
とりあえず♡あんたへのお仕置きはガーヴへのお仕置きがすんでからね♡」
ピシシィ!
なぜかあたしのにこやかな言葉に石化しているフィブリゾの姿がそこにあったりするけども。
あら。
何当たり前のことで固まってるのかしらね♡
「ま、それはそうと、どうやら先にあっちにいったみたいね♡」
どうやらあっちに先に行ったみたいだし。
さって、面白くなりそうね♡
あたし達がそんな会話をしているそんな中。
こちらにおいては。
「「……では、これを聞いておきたい(です)。金色の魔王に関する知識を……」」
ゼルガディスとアメリアが、このあたし…つまりは、同じことを問いかけたその直後。
二人の脳裏に流れるとある映像と言葉。
それをうけ、何やらものすっごく驚愕している二人だけど。
まあ、正確にはまだ理解できてないようだけどね。
「……ま…まさか金色の魔王って……」
つぶやくように言うアメリアの言葉に。
『その通りだ。』
二人の脳にと響く声。
彼らの意図を汲み取り、答えているようだけど。
なぜかこの程度のことで、
アメリアとゼルガディスから、面白いまでに驚きと驚愕の負の感情があふれ出してるし。
完全に理解していない、というのにもかかわらずねぇ♡
「…な゛!?何でそんなモノの力を!……」
リナは使えるんだ!?
などといいかけた、ゼルガディスの言葉をさえぎり、その直後。
「危ない!」
ミルガズィアが二人にむかって何やら叫ぶ。
そして、ちょっとした魔力の塊がゼルガディス達に向かって投げられていたのであるが、
それはミルガズィアによって弾き飛ばされる。
「ちっ。なぜ助けた?黄金竜の長老よ?」
この場にいる三人以外の声が、彼らの耳にと届いてゆき。
そして。
ゆらりと彼らの目の前の空間が一瞬揺らめいたかと思うと、
その場に出現する紅い髪の一人の男性。
そして。
「…ん?何だ?あの娘はいないのか。ならばとんだ無駄足だったな。ってことは外か……」
自分から間違えたくせに、何やら舌打ちしながらもアメリアとゼルガディスをちらりとみて、
そのまま、再びきびすをかえしその場から掻き消える。
「な゛!!??」
その姿をみてとり、面白いまでに驚いているミルガズィア。
そして。
かすれる声で。
「……な……何でヤツが……」
何やらいいつつ、完全に固まっていたりするし。
「今の男…ダレです?」
「?ダレだ?」
そんなミルガズィアに交互に聞いているアメリアとゼル。
今掻き消えた男性は、見た目の歳のころならば二十歳すぎ。
がっちりとした体格で、象げ色のコートに身を包み、
右手に握った赤い片刃の長剣で自分の肩をとんっと叩いていたりしたのだが。
そんな二人の問いかけに、冷や汗を流しつつも。
「今のは……
固まったままでつぶやくそんなミルガズィアの言葉に。
「な゛!?魔竜王ガーヴ…だと!?」
「な゛!??…はっ!そういえば、あの娘…とかいってましたね!リナさんが危ないです!」
顔を見合わせて叫んでいるゼルガディスとアメリア。
そして。
「早く戻りましょう!」
「そうだな。」
そんな二人の言葉をうけ。
「なるほど。そういうことならば、急いで戻ろうか。」
などといいつつも、三人はそのまま、元来た道を戻ってゆく。
「?あっちへ…って?…え?」
わかってないフィブリゾ。
アメリア達がこちら、つまりはあたし達のほうに向かい始めたその直後。
「くすっ♡だからぁ。こっちにどうやらくるってば♡」
にこやかにあたしがいったその刹那。
「…へっ。やっと見つけたぜ。」
いって。
ふいっ。
虚空より出現してくる一人の男性の姿。
いうまでもなくガーヴだけどv
そんな彼の姿を認め。
『ガ…ガーヴ様!!??』
何やら水晶の中より叫んでいるラルタークとラーシャート。
そんな彼らの声に、ふと、水晶の中に二人が閉じ込められているのに気づき。
「?何だ?お前ら、そんなところで何をしている?
何遊んでるんだ?さっさとその中から出て来い。」
などと、そちらをみつつ話しかけていたりする。
くすっ。
「そ…それが……」
などといいつつも、水晶の中にて顔を見合わせている二人。
出られるはずないじゃない♡
「くすっ♡ムダよ♡そいつら程度がどんなにがんばってもね♡」
いいつつ、にこやかに水晶のほうをちらり、とみて。
そして、視線をガーヴにと向ける。
「しっかし、ガーヴ。あんたも考えないわねぇ。
フィブリゾが流した情報に踊らさせて、こともあろうにこのあたしの命を狙うとは♡
いい根性してるじゃない?んっ?
そういや、いつかあたしの自慢の迷路もめちゃくちゃにしてくれたわよねぇ♡」
にこやかに、それでいて、冷たいまでに微笑みかけるあたしの言葉に。
「……?何のことだ?」
わかってないガーヴだし。
どうやらこの人間の女が例の女みたいだが…だが、何だ?
この俺のことを知ってるようだが……
などと思いつつも、
あたしと、そして水晶に閉じ込められている二人を交互にみているこのガーヴ。
「くすっ。この声じゃ、わからないかしら♡だったら。『この声ならどうかしら♡ガーヴ。』」
ぴっし!
あ、凍った♡
通常使っているあたしの『声』にしただけだ、というだけなのに。
なぜか完全無欠に凍り付いているガーヴとそしてフィブリゾ。
なぜかゼロスのやつも固まっていたりするけど。
ま、関係ないし。
ざざっ!
凍りつき、固まりつつも、その場にあわててひざまづいているフィブリゾとゼロス。
「……そ…そ…そそそそそそその声!?まままままままままま!?」
言葉になってないし…このガーヴは……
まままままさか!?そんな!?
などと思いっきり狼狽してるのが結構面白い♡
そんな騒ぎというか声をききつけ。
そしてまた、何か気配が現れたけど?
などと思いつつ、その辺りをふらついていたガウリイがあたしのほうにと戻ってくる。
そして。
「なあ?リナ?何か騒がしいようだけど、何かあったのか?そ
れはそうと、この魔族のおっさん…誰だ?」
のんきに戻ってきて、何やら口をパクパクさせているガーヴを示して聞いてくるガウリイ。
「…ガウリイさん…今、さらり、と本質見抜いてませんでしたか……」
何やらつぶやいているゼロスはひとまず無視。
「あら♡こいつが
戻ってきたガウリイにとりあえず説明しておくあたし。
ちなみに、いつもの【リナ】としての声に今は戻してるけど。
くすっ。
「ゼロス♡ガウリイをちょっとかまっててね♡
ついでにガーヴの説明しておいて♡フィブリゾはこっちね♡」
あたしの言葉に。
「な゛!?」
今の今までフィブリゾに気づいてなかったガーヴだし……
そして。
「き…貴様!?なぜお前がここに!?」
何やらフィブリゾに向かって叫んでいるガーヴだけど。
「えっとですねぇ。ガウリイさん…そもそも、ガーヴ様というのは……」
とりあえず、少し離れた場所でガウリイに説明しているゼロスの姿。
ゼロスがガウリイにガーヴのことを説明しているので、
あたし達のほうの会話はガウリイには届いてはいない。
ま、それが目的なんだけどね♡
「あら♡わかりきったことを聞くのね♡ガーヴ♡このフィブリゾが何でここにいるかって♡
まがりなりにも、このあたしを利用しようとしてタダですむはずがないからじゃない♡
だから、無駄にも一応謝りに来てるのよ。こいつは♡無駄な努力に決まってるのにねぇ♡」
びくくくっう!
あたしの冷ややかな、それでいて楽しみつつ言う言葉に、
面白いまでに反応しているフィブリゾだし。
どうでもいいけど、そこまで負の感情を撒き散らして恐怖におののくことないじゃないのよね♡
なぜか、完全に色を失っているフィブリゾはとりあえずおいといて。
「さってと♡ガーヴ。あんたへのお仕置きはどうしようかしら♡」
「ままままま!?何であなた様がこんなところにいるんですかぁぁぁぁぁ!?」
何やら叫んでいるガーヴだし。
「あら。ヒマだったから♡人間やってるのよ♡」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
まじか!?
というか、嘘だろ!?
なぜか混乱しつつもそんなことを思いつつ無言になっているガーヴ。
「そうねぇ。簡単に滅ぼしたりしたんじゃ、それこそお仕置きになんないしねぇ♡
そだ♡ちょっと変わった方法にしてみますか♡」
いまだに固まっているガーヴに微笑みかけ、といってもあたしの目は笑ってないけど。
「とりあえず、中途半端な封印は解除するわね♡」
あたしの言葉と同時に。
カッ!
ガーヴをほのかな光が包み込む。
そして。
「……お…オレは!!??」
何やら光の中で叫んでいるガーヴだけど。
「さって♡そうねぇ。ガーヴとしての記憶と、そして力などを封印して人間にしておきますか♡」
あたしの言葉と同時に。
光が収束し、消えてゆく。
-続くー
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あとがき:
薫:さてさて、とりあえず、この無修正版は次回で完了ですv
それでは、サイゴまでお付き合いのほどをよろしくおねがいいたしますねv
ではではv
2005年2月10日某日
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