エル様漫遊記  ~ヴェゼンディの闇編~


「ここだよ。」
いって、少年が案内したのは、町の中にある一軒の家。
まあ、人間の屋敷からすれば、一応センスはそこそこ。
この辺りの規模からすれば、一応家もまた広いほう。
この家の主である、ラドック=ランザードは、この町屈指の商人でもあり。
先代が生きていたころには、この町随一の商人だったりもしたんだけど。
今はそんな繁盛も見せていない。
町の人達いわく、先代よりも芸のない二代目。などといってるものの。
だが、その人柄から的には結構好意を受けていたりする。
まあ、彼らはあの人間が裏で何をしてるかを知らないからねぇ。
「さってと、いきましょうか♡」
そんなあたしの言葉に。
「俺はここで別れる。」
などと言い出してくるゼル。
「あら、何いってるのよ、ゼルも来ないと♡」
それでないと面白くないしね♡
「あ、ゼロス、いやだっていっても、ゼルを引っ張ってつれてきなさいね♡」
あたしの言葉に。
「……ゼルガディスさん、逆らわないほうがいいですよ?
  あなたの身のためだと思いますが……」
そんなことをゼルガディスにいっているゼロスだし。
ほぉぉぉぉぅ。
後でみっちりとお仕置き決定ね♡
そんなゼロスの言葉に。
「ちっ。仕方ない…か。後が確かに怖いからな。わかった。」
などと、何やらそんなことをいいつつも、しぶしぶ納得しているゼル。
そのまま、あたし達がそんな会話をしている中。
門番にと話かけている男の子の姿が。
そして。
「リナって人達つれてきたよ?」
そんな彼のことばにて、あたし達一行はそのまま屋敷の中にと通されてゆく。
門番から金貨を受け取り、
なぜか逃げるようにして、すぐさまに帰っていった子供はともかくとして。


奥にある応接間に通されて、まつことしばし。
しばらくして。
部屋の扉が開き、入ってくる一人の老人。
というか、老人の形態をとっている、というだけだけど。
あら♡やっばりね♡
「おや♡」
そんな彼の姿をみて、にこやかに一言つぶやいているゼロス。
そんなあたしや、ゼロスにまったく気づくこともなく。
「もうすぐラドック殿がおみえ…で…す。私は執事を勤めていますラルタークと申します。」
いいかけて、ここにゼロスがいるのにようや気づいて。
面白いまでに驚いているけど。
どうにか外見上においてはそのことを見せないようにと努力していたりするし。
こいつは♡
白い髪を後ろに撫でつけている老人の姿。
もうちょっと若くしてもいいでしょうにねぇ。
姿くらい♡
やがて。
「おいでになりました。」
そのまま、扉のほうにとむかって、再び扉を開くラルターク。
そして。
その扉から出てくる一人の男性。
そして、扉から入ってくるなり。
「あんたがリナ=インバースか!?」
面白いまでに喧嘩口調でいいながらずかずかとあたし達にと近づいてくる一人の男性。
この人間、というか、今では完全に人間ではなくなってるけど♡
とりあえず、この屋敷の主でもある、ラドック=ランザード、その当人。
しっかし、本当に人間って面白いわ♡
一応、きちんとした仕事もってる、というのに裏であんなことやってるなんてね♡
そんなことをいいつつ、入ってきた彼の手には一枚の紙切れが握られていたりする。
そして、そのすぐ後ろから入ってくる一人の青年。
年齢は、21歳になったばかり。
こちらはこちらで、父親のことをかな~り心配してたりするこいつの息子なのよね♡
ラドックは、あたし達のほうにとつかつかと歩み寄り。
バンッ!!
テーブルに手にした紙を叩きつけ。
そして。
「儂がラドック=ランザードだ!」
傍目からは、怒りや殺気を抑えているかのごともに、あいている椅子にと腰をおろす。
まあ、叫んでないと、瘴気とかが丸わかりだしねぇ。
どうでもいいけど、セイグラムのやつ、あたしの姿みて思いっきり殺気振りまいてるし……
それをみて、なぜか、
何を考えてるんでしょうか…よりによってこの御方に……(汗)
などと思いつつもむゼロスが汗を流してたりするけど。
まあ、それはそれとして。
そして。
テーブルにとたたきつけた紙をあたし達のほうにと向けてくる。
「…何のことですか?一体?」
アメリアが首をかしげつつ。
そのテーブルの上の紙にと目をむけ…そして。
「…リ、リナさん!?これっ!」
何やら叫んで、その紙を手にとり叫んでるし。
そこには。

ラドック=ランザード。お前を殺す。死にたくなければリナ=インバースを雇え。ズーマ

とかかれた簡単な文章が。
その下に、ゼロスを除く、あたし達全員の特徴が簡単にとかかれていたりする。
「ズーマという暗殺者の名前は儂もしっている。」
などといっているラドック。
そりゃ、この人間ってそのズーマ本人だし♡
「この文章からして、察するに。
  どうやら儂はあんたを呼ぶためのダシにされたようなんだがな!?
  いったい何がどうなっとるのか説明してもらおうか!?」
何やら一方的にわめき散らしているラドック。
自作自演されてもねぇ♡
「あら♡自殺したいんだったら、勝手にすればいいじゃない♡
  そんな一人芝居を作ってまで、ヒマねぇ。あなた♡」
アメリアから手渡された紙を。
パサリ。
そのままテーブルの上にとおき。
「ま、そういうことらしいから。行きましょ♡みんな♡」
いって、そのまま立ち上がる。
そんなあたしの言葉に。
「何だとぉぉぉぉぉぉぉぉ!?」
面白いまでに顔を紅潮させているラドックに。
そしてまた。
「おいおい。リナ?」
「リナさん、それはちょっといくら何でも。」
などといってくるゼルガディスとアメリア。
「あら♡どうして?ズーマ本人が自分を殺すっていってるんだから、自殺じゃない♡
  それをとめる義務なんか欠片もないしね♡
  ね♡そうでしょ♡ズーマ=ラドック=ランザード♡」
にっこりと、言い放つあたしの言葉に。
「…な゛!?」
あ、面白い。
面白いまでにと動揺してるし、このラドックは。
「と…父さん?!」
面白いまでに動揺し、言葉を失っているラドックに話しかけている、息子のアベル。
「それで?あの、こちらの方々は?」
にこにこと。
青年と老人を目で示して、言っているゼロス。
今だにわなわなと震えているラドックを完全に無視して。
「ああ、それは、執事のラルタークに、息子のアベルだが……
  だが、今、何と!?この儂がズーマだとぉ!?馬鹿もいい加減にいえ!!」
真っ赤になって怒鳴っているラドック。
あらあら。
かなり、戸惑いの負の感情が溢れ出ているわね。
面白いことに♡
わなわなと震えつつ、叫んでいるラドック。
そんなラドックを呆気にとられて見ているアメリアとゼル。
ガウリイにいたっては。
何、このおっさん、本当のことを言われて怒っているんだ?
などと思いつつ、あきれた表情でラドックをみているが。
「あら♡だったら、証明しましょうか♡今、ここでvv
  この間ズーマを見たとき、セイグラムと同化していたからねぇ♡
  もし、セイグラムが出てきたら、間違いなくあなたはズーマってことよ♡」
うきうきしつつ。
あたしの左隣にと座っているゼロスを見て。
「あ、ゼロスvラルターク、抑えておいてね♡何かちょっかいかけてきそうだから♡」
あたしの言葉に。
「あ…は、はい。」
そういいつつ、ラルタークの横にと移動しているゼロス。
「お…おい?リナ!?どういうことだ!?一体!?」
ゼルがそんなあたしに抗議の声を上げてくる。
「そうですよ!?リナさん!?一体!?」
「…なぁ、リナ?セイグラムって?オレどこかで、聞いたような気がするんだが……」
口々にいっている、ゼル、アメリア、ガウリイの三人。
「ふふ、それは、今かからのお楽しみ♡」
そんな三人の方をみて。
「じゃ♡始めましょうかvv」
嬉々として、ラドックに向かっててをかざす。
かなり、軽い精神攻撃をまず始めに・・っと♡

あたしが手をかざしたその刹那。
「ぐ…ぐわぁぁぁぁぁ!!?お、おのれ…なぜ…なぜ、人間どこきにこんなまね…が!?」
いきなり、胸をかき乱し、暴れ始めるラドック。
その口からは、ラドックの声でない声が紡がれている。
「ああ、何だ。この声と気配、あのアトラスの魔族の人か。
  確かセイなんとかって魔族の人だな。」
さらりといっているガウリイ。
「……お゛い゛!」
「……な゛!?」
そんなガウリイの台詞に、ゼルとアメリアの突っ込みが一致し。
そして。
『な……なん(だとぉ)(ですってぇ)!?』
完全にアメリアとゼルガディスの叫びが一致してゆく。
驚愕するアメリア達の目の前で、今だに苦しんでいるセイグラムことズーマ。
「く……くそ!」
苦しみつつも。
ふっ!
瞬間にして、部屋が薄暗い結界にと閉ざされる。
「あら、まだそんな根性あったのねぇ?感心v感心v」
くすくすとあたしがそんな苦しんでいるズーマ=セイグラムを見ていると。
「……やれやれ……人間相手にずいぶん困っているようだな……セイグラム……」
「……本当に情けないわねぇ……」
窓のあったその場所に、ふわりと白い物体が浮き上がり。
それは、二つの形となってゆく。
一つは、長く乱れた長い髪。
黒いローブに身をつつみ、猫背気味で背中はかなり曲がっている。
ナメクジがはったような、白くぬめったその顔の表面には、目も鼻もなく。
ただ赤い口だけば大きく笑みの形にとなっていたりする。
もう一つは、
はっきりいって、おかしいデザインの黒いマントに、ツバ付きの黒い帽子をかぶり。
顔にも頭にも髪の毛もなく、ただ真っ黒い硬質の卵形の顔の持ち主。
「―――な゛!?魔族!?」
アメリアがそれをみて声を漏らしているけど。
「……こんな外見をしている人間がいるか!?」
そのアメリアの言葉に突っ込みを入れているゼル。
「……ふふ。グドゥザと呼んでもらおうかねぇ……もう一人はドュグルドよ……」
しわがれた老女のその声でいっている、黒髪の魔族。
「―――くっ……我が呼びかけに答えてくれたか……我が古き友よ……」
ズーマであった、セイグラムが口を開く。
「……やれやれ。そこの女と、金髪の男だけは、自分の手で倒したい。
  といってたわりに、こうもあっさりとやられているとはねぇ……」
デュグルドの言葉に。
「ああ!こんな女なんて、何て恐ろしい呼び方を!?」
その言葉に、顔を真っ青にしているゼロス。
「まあ、こっちの始末はするから、ま、頑張んな。」
そういってグドゥサ達は、アメリアとゼルの前にと立ち塞がる。
「……ほぉう。」
そのグドゥサの言葉に、ゼルがぴくりと眉を動かしているけど。
「言ってくれるな……下級魔族ごときが……」
はき捨てるゼルの言葉に。
「ムキになるなよ。合成獣キメラやろう。」
ゼルの一番気にしていることを言っているデュグルド。
「……何だとぉ!?」
ゼルの言葉にと殺気がこもる。
「ムキになるなよ。といったのさ。坊や。」
完全にゼルを見下しているグドゥサ。
そういうが否や。
にらみ合いを始めているゼルとデュグルドこの二人。
「そうすると、私の相手は貴女ですね!」
いって、アメリアは
グドゥサをびしっ!と指差して。
「さあ、今すぐに改心して、真人間になるのです!魔族だなんて、因果な商売をやめて!」
浪々と言い放っているアメリア。
一瞬、そんなアメリアの言葉に、呆気にとられるが。
「…くふふ……人間の断末魔の苦痛か……しばし食っておらんな……」
そんなアメリアをみて、真っ赤な口を笑みを浮かべて吊り上げているグドゥサ。

「……何だ!?何がどうなって!?」
パニクっている、ラドックの一人息子のアベル。

「なぁ?リナ、オレは?」
のほほんといっているガウリイ。
「あら、アベルの護衛でもしててね♡」
いいつつ。
あたしは、セイグラムで遊んでいたりする。
ことごとくセイグラムの放つ攻撃を霧散させ。
その攻撃をそのまま、セイグラムにとはじき返し、
ついでにちょっと、力を上乗せして返却しつつ。
そんなあたしの目の前で。
なぜか、黒い瘴気を撒き散らしながら。
面白いほどに絶叫を上げてのた打ち回っているラドックの姿がそこにはある。
ゼロスとラルタークにいたっては、その場にただ突っ立っているだけだけど。

魔皇霊斬アストラル・ヴァイン!!」
霊王結魔弾ヴィスファランク!!」
ゼルとアメリアが、ほぼ同時に呪文を唱える。
「何ぃぃぃぃぃ!?」
それをみて、声を同時に上げているグドゥサとデュグルド。
どうでもいいけど、たかがあんな術程度で驚いてどうするのよ……
剣に魔力を込めたゼルをみつつ。
「…残り物呼ばわりしたのは、取り消してやるよ。
  なるほど、普通の剣に魔力を込める術か。初めてみたぜ、そういう芸は。」
つぶやいているデュグルド。
…あんたはどういう相手と今まで戦ってたのよ……
普通、こんなの赤ん坊でもできるわよ♡
「さて…と。それなら、こちらも少し本気で相手にしてやろうか!」
いうデュグルドの周りに数十個の闇のつぶてが出現する。
まあ、あんた程度が意地になっても、ゼルには勝てないでしょうねぇ。
ゼルなんかは、Sとも一応戦った経験あるしね♡

「いくわよ!」
アメリアが床をける。
結界が張られ、その床が地面と化してはいるけども。
「ふっ…無駄なことを……」
声と同時にグドゥサの影がアメリアにと忍び寄る。
が。
「何の!」
どがばぎゃ!
「…ぎゃっ!?」
素手で自分に触れられて、かなり驚いているグドゥサだし…
素手で、その影を叩き落して、一撃を入れているアメリア。
「ふっ!これぞまさしく正義の拳!
  さあ、その身を闇においている魔に染まった相手であるからには!
  このアメリア、手加減などはしませんよ!この正義の拳で目を覚まさせて上げます!」
高らかに言い放っているアメリア。
魔族相手にそれは無理と思うけど♡
「くっ!人間の小娘風情が生意気なまねを!」
いいつつ、じわりと間合いを詰めているグドゥサ。
あのねぇ。
あんたらは、仮にも、いくら下っ端とはいえ!魔族でしょうが!
相手の実力くらい見極めなさい!
グドゥサ!デュグルド!!
完全に、戦闘態勢にと入っているゼルとアメリア。
あたしの方は、まったく気にかけてないし。
ま、いっか♡


                                     -続くー


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あとがき:
薫:やっぱり同じ場所で区切ったほうが話し的には収集がつくかな?ということで。
  同じ場所で区切ります。
  さて、次回でこのヴェゼンディの闇編もラストですv
  2005年2月3日某日


  
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