エル様漫遊記 ~白銀の魔獣編~
クロツを追ってゆくことしばし。
「おや?お迎えが出てきましたよ♡」
にこやかに言っているゼロス。
ゼロスの言葉とほぼ同時。
足をとめ、とある前方の茂みをにらみつけているゼルガディスとガウリイ。
そして、アメリアにいたっては警戒を強めていたりする。
そして。
「バレてるから出てきたら♡」
あたしの言葉に。
「ほう……。気配くらいは読めるようだな。」
などといって出てくる二人の獣人。
しっかし、本当に、あまり役に立ちそうもない存在ばかり創ったものよねぇ。
あのクロツも。
「まさか、あんたたちごときで。
しかも二人ぽっちであたし達をどうにかできる、なんて思ってないわよね♡」
そんなあたしの至極当然な台詞に。
「な…何だとぉ!?」
面白いまでに息まいている一人の姿が。
いいつつ、背中からすらり、と剣を引き抜いてるけど。
この、ブラッド。
どうでもいいけど、これでも一応は、低級魔族と合成されてたりするのよねぇ。
いわゆる、俗にいう、レッサー・デーモンと。
…あまり力にもならない、というのに。
あのクロツのやつは……
そして、剣を引き抜き、ちらりとゼロスをみて。
「バルグモン様はなぁ。注意するのはそこのくそ坊主だけだ!とおっしゃってたよ!なぁ?」
などといいつつ、もう一人の相棒にと同意を求めていたりする、このブラッド。
しかし、もう一人のほう。
「「確かに。しかし、他のものがたいした相手ではない。とも聞いてはないが?」
淡々と言い放つ。
「……ま、まあ、確かにな。
確かにこの坊主…こいつとはどういうわけだか、どうにも戦いたくねぇ。
となれば、他の連中も油断のできねぇやつらってことか……」
などとそんなことを言ってるし。
「しかし、ともかく…だ。
今さらなかったことにして。どこかに引っ込む、というわけにもいかないだろう?」
「…出て来い、みんな!」
などといいつつも、大声を張り上げる。
まあ、彼らにとっての大声だけど。
あたし達が今いるのは、ちょっとしたとある村の入り口付近。
彼らはそんなことをいいつつも、村の中に飛び込んで何やらわめいていたりする。
「クロツ様はな、てめえらの力くらいはきちんとつかんでいらっしゃるんだよ。
何しろうちでも強さなら五本の指にと入るウドヴェルとギルファのコンビを倒しちまうんだからな。
そんな連中相手にたった二人で勝てるはずもねぇ。」
そんな彼らの言葉に。
なぜか、ちらり。
とあたしをみて。
…つかんでないですってば…というか、この人達…どの御方にちょっかいかけてるって…
わかってないんですかぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!?
…などと、なぜかそんなことを思って多少パニックに陥っているゼロス。
「ま、オレたちとやりあうハメになったのが不運、と思ってあきらめてくれや。悪いけどな。」
「デュクリスさん!」
そんな別の声に向かって別の一人が声をかける。
ゆっくりと、出てきたのは。
プレートメイルをぴっちりと着込み、というか、不完全版なアレだけど。
手にはちょっとした大ぶりのバトルアックスを持っていたりする。
そんな獣人がゆっくりと、村の建物の影からあたし達のほうにと歩みよってくる。
まったく……
「まったく。そこまで不完全に造らなくても。もう少しまともに造るからには造らないとねぇ。
それ本来の品物と比べてもかなり質が悪いわよ♡
しかも、それきちんと制御できてないし?
まったく。そんな不完全な品物をいくらつくっても無駄なことよねぇ。
しかも、精神をそれ食べて成長するように造ってたりするし♡」
そんなデュクリスを見つつ、つぶやくあたしの言葉に。
「?」
一瞬、眉をひそめているこのデュクリス。
何をいってるんだ?
などとそんなことを思ってるし。
まさか、コレが何なのか、この女……知ってるのか?
そんなことを思っていたりするけども。
彼がそんなことを思っていると。
「あなたたち!どうしてクロツに従うのですか!?人の体を捨ててさえ!
魔王を信じ、魔獣を復活させ、世界をめちゃくちゃにするかもしれない男なんですよ!?」
そんな出てきた彼ら…他にも数名の獣人などがいたりするけど。
そんな彼らにといっているアメリアだし。
そんなアメリアの言葉に。
低く、それでもってあきらめたような口調の哀しい声で。
「オレたちは…ここにいる連中のほとんどはな。
一度は死に掛けたやつらばっかりなんだよ。お嬢ちゃん。
たとえばオレなら仲間に捨て駒がわりに使われた流れの傭兵さ。
傷を負って死に掛けていたのを拾って助けてくれたのがクロツさんさ。
そんな彼らの姿と、彼の言葉を聞きつつも。
「なるほど、そうやって自分の手ごまを増やしていったわけですね。」
にこやかに、ミもふたもない言い方をしているそんなゼロスに対し苦笑しつつ。
「……わかってるさ。所詮オレはここでも、【駒】でしかない。ということはな。
けどなぁ。オレにはここの地に行くところなんかどこにもねぇのさ。
たぶん……他の連中も似たようなもんだろ。…誰もそんなことは言わないけどな。」
いいつつ、武器を構えるそんなデュクリスに対し。
「…いずれにしても戦うしかない…ということか。」
などといっているゼルガディス。
すでに、ガウリイとゼルガディスは剣を抜き放っていたりする。
まったく。
「あら♡じゃあ、合成獣でなくなればいいだけじゃない♡
話は早いじゃない♪あ、ゼル♡下がっててね♪
今から使う術に巻き込まれたら、魔力容量や防御力もなにも関係なく、
そのまま、普通の体になるから♪」
「…へ?」
思わずゼルガディスが一歩後ろにさがり、
「まさか……リナ様!!!」
何やら叫んでいるゼロス。
「
かっ!!
あたしの声に合わせて、村の一角。
つまりは彼らの足元に、魔法陣が彼らの足元に浮かび上がる。
その刹那。
魔法陣から光が湧き上がり。
そして、そのまま、彼らを包み込んでゆく。
それはほんの一瞬のこと。
「あ゛あ゛あ゛あ゛……」
なぜか頭をかかえてうづくまるゼロス。
光が収まると。
なぜか全員が絶句していたりするけども。
「あら♪何あっけにとられているのかしらね♡」
くすくすと。
そんな彼らの様子を楽しむあたし。
誰でもできるのにねぇ♡
ふふふふ♡
あたしの言葉とともに。
彼らの足元に魔法陣が浮かび上がり。
刹那。
彼らの体を光が覆ってゆくのは一瞬のこと。
『な゛……ぐわぁぁぁ!』
なぜか、彼らの叫びが聞こえてきたりしてたりするけどvv
「…何やったんですか?リナさん?」
アメリアが聞いてくるが。
なぜか今だに頭を抱えていたりするゼロスだし。
「ふふ♪ま、見たら分かるって♪」
そのまま、くすくすと笑いつつ。
彼らがたむろしている村の一角を指差す。
そこには人間達が倒れていたりする光景が。
そして、彼らと合成されていた、魔族やブロウデーモンやロックゴーレム。
虎や丑。
その他もろもろの生命たちが、その場に累々と倒れ付し気絶している。
『・・・・・・・・。』
なぜかそれをみて無言にしばしなっている、ガウリイ・アメリア・ゼロス・ゼルガディスの姿が。
「り…リナ様…(汗)彼らに合成されていた生命を…分離して元に戻したのですね……」
そこまでいって、
「ぐはっ!」
血をはくゼロス。
「ゼッロッス♪様づけはしないの♡いったわよね♡」
にっこりとそんなゼロスに微笑み返す。
「は…はぃぃぃ(涙)すいませんでしたぁぁぁ(涙)」
なぜかだくだくと涙を流して許しを請うゼロスだけど。
「わかればいいのよvv」
まったく。
この姿のときは、様付けはやめてよね♡
勘がよかったら、ばれちゃうじゃないのよ♡
まあ、リナの力…計り知れないようだからなぁ。
あのルナさんよりもかなり実力上のようだし。
このゼロスも同じく。
そんなことを思っていたりするガウリイがいるけども。
「……嘘だろ?」
なぜかそれをみて、冷や汗をかいていたりするゼルガディス。
こんなに簡単にできるものなのか?合成獣を元に戻すの……
でも、リナに頼んだら…後々が怖いしなぁ……
何しろ、魔王より強いし…
などと思考をめぐらせているゼルガディス。
リナさん、素敵ですぅぅ!
なぜか、尊敬の眼差しで、目をきらきらとさせて、あたしを見ているアメリア。
三者三様。
各自、まったく考えが異なっていたりするのが面白いわ♡
あたし達がそんな会話をしている中。
「……う……ううん……」
始めに気がついたのは、先ほどまであたしたちと話していたデュクリス。
そして、ふと。
起き上がろうとして、自らの手に気づき。
目を見開き。
「…一体……って…え!?」
何やら自分の手をしげしげとながめ、そして顔をパンパンと叩いていたりする。
そして。
呆然としつつ。
「……人間に戻っているのか…?オレは……」
何やらそんなことをつぶやいているけど。
何ども、何ども自分の顔などをつねったりしつつ。
「……本当に、リナ。お前…あっさりと元に戻すことが可能なんだな……」
ゼルガディスがあたしをみつつ、言ってくる。
「あら♪簡単だって♪
交じり合っている組織レベルを分解して、再度構成しなおせばいいだしvv
それとか、絡み合っている組織をほぐすだけだしね♡」
「その方法がすぐにわかれば…苦労はせん……」
なぜか憮然というゼルだけど。
ま、とりあえずおいといて。
「さぁて♪元の姿にもどっても、まだあたし達と戦いたいって人はいるかしら♪
もしそうなら相手になるわよvv」
その言葉に、首を横にふるデュクリス。
「いや…何というか……」
なぜか言葉すくななデュクリス。
「ま、それはともかくとて♡
マインの南の向こう側にいくのに近道♪あるんでしょ?その道、どこ?」
くすくす笑いながら形上問いかけるそんなあたしの言葉に。
「ああ…その町なら……」
半ばまだ夢見心地の様子で。
ぼんやりとしたまま、素直に道を教えてくるデュクリス。
誰でもできることなのでそんなに。
ぼ~、とすることもないのにね♡
「さぁて♪近道も分かったし♪とっとと行くわよ!」
にっこりと言い、皆の顔をみるあたし。
「なぁ…リナ、コレどうするんだ?リナ??」
ガウリイが倒れたままの累々たる人々などを指差して聞いてくる。
「あら♪そんなのほっておいたら、気がつくわよvv」
「そうです!とりあえず、今はクロツを追うのが先です!」
あたしの言葉に、アメリアが同意する。
「…ほっといたら、ほっといたで混乱になるような気が……」
そんなことをつぶやいているゼルガディス。
たかが、デーモンや、虎、竜、エルフ、
そしてサイクロプスなどといった様々な種族が気絶しているだけなのに。
そんなことを心配しなくてもいいのにね♡
あたしの言葉に。
「あ…あのぉ…リナさん。
連中のアジトが分かったので。僕は僕の仕事に入るために先に行きたいのですが…」
ゼロスが何やらおずおずといってくる。
「ゼロスちゃん♡ゼラスの命令、優先して、あたしに怒られるのと♡
あたしの命令優先して、ゼラスに怒られるのと、どっちがいいと思う?ゼロス♡」
にっこりというあたしに。
「分かりました……ご一緒します……」
というか、ゼラス様…エル様の命令だっていったら…怒れないと思いますが…(汗)
内心、そんなことを思っているゼロスだし。
なぜか、いじいじと泣いているゼロスだけど。
まったく…細かいことでいじけるんじゃない!!!
「けど、ゼロスさん、いいんですか?リナさんの命令を優先しても?」
アメリアが聞き返す。
「…逆らえませんから。
逆らったらどんな目にあわさ…とと。上司の人達にも迷惑かかりますから……」
ゼロスの言葉に。
「……確かにな。」
「うんうん。わかるわかる。」
うなづいているゼルガディスとガウリイ。
こら…あんたら♡
「それはそうと♡リナさん♡それ、どうするんですか?」
そんなガウリイ達の様子を気に留めるでもなく。
あたしが手にしているデュクリスが身にまとっていた鎧を指さしてくる。
あたしは先ほどまで、デュクリスが身にまとっていた不完全な鎧。
ゼナファアーマーを手にもっていたりする。
「ああ、これ?これが、一応ここの存在達が。『封魔装甲ゼナファ』って呼んでいるものよ♡
確か人間はザナッファーって呼んでるけどvvちょっと手を加えようと思ってね♡」
あたしの言葉に。
『――ザ……!?』
なぜか絶句しているアメリアとゼルガディス。
「それが!?魔獣ザナッファー!?」
なぜか驚いているアメリア。
わなわなと鎧を指差していたりする。
「お…おい!?リナ!?本当か!?」
あれとは違うようだが!?
ゼルガディスはサイラーグの石版のことを思い出してるようだけどvv
ま、あれは、ルナが解決したからねぇ♡
なぜか詰め寄ってくるアメリアとゼルガディス。
「あら♪本当よvvま、もっとも、これ♡すっごぉぉく、不完全だから。
着した生命の命などを喰って成長するみたいだけどねvv」
完結に説明するあたしの言葉に。
「それって…生きている鎧…なんですか?」
アメリアはなぜか声がかすれているけど。
「そうよ。本来なら、魔力を糧として、力発揮する品なんだけどね♡
ここまで不完全だと魔力でなくて、食料は装備者自身♡
それを食べて成長するようね♡これ♪」
ま、あの写本が不完全だからなんだけどねぇ。
でも、ここまで不完全に造るとは…くすvv
『な゛!!!!!!!!!!??』
アメリアとゼルが同時に叫ぶ。
「……盛り上がっているところを悪いんだが…ようわからん。」
のんびりした声でいうガウリイ。
「あ~…。つまりですねぇ。
この不完全なザナッファーとは。一種の寄生虫のようなものなんですよ。
最初は、装備者を鎧の形で守りながら、
当人にも分からないように、少しづつ、宿主の体を食べて成長するんですね。
そして、宿主の意識と体を食い尽くして、ザナッファーは成長するわけです♡」
ま、百年前のあの一件も、この不完全なものを造ったのが原因でしたけどね。
あのサイラーグの事件は。
にこにことそんなガウリイ達にと説明しているゼロス。
「……まだよくわからん……」
ごげっ!
その言葉に見事に転んでいるアメリア、ゼロス、ゼルガディス。
「ガウリイさん!『俺が君を守ってやる!!なんて甘いことをいっておいて。
女の人に近づいて、ぼろぼろになるまで貢がせて利用して、
身も心もずたずたにして、散々利用して、ポイ捨てする。
そんなような、『最低な男』みたいなものです!!!」
ま、ガウリイも似たようなこと…してたけど?
本人、そんな気がなくても。
とにかく、ガウリイにしては、女なんて、一夜限りの暇つぶしの相手だったからねぇ。
流れの傭兵をしているときは♡
ま、貢がせたりしたのは、勝手に女たちがガウリイにいろいろと貢いでいただけだけど。
一箇所に定まらないガウリイにそんなことをしてもねぇ?
本当、人間って、面白い♡
アメリアがちゃきっと身を起こし、ガウリイに力説していたりする。
「……何となく…分かったような気がする……」
つぶやくガウリイ。
「…ガウリイさんって……かなりの精神攻撃・・仕掛けてきますねぇ……」
ゼロスがなぜか呆気にとられていたりするけども。
「ま、ゴルンノヴァ、持ってるんだしvvそして、使ってるんだから♡
多少は仕方がないでしょうよ♪そう思わない?ゼロス♡」
あたしの言葉に。
「……ま…確かに。あの御仁の好物は…知性ですが……」
つぶやいているゼロス。
「??何を言っているのか分からないが…。
それはそうと、リナ?あのクロツってやつ、追わなくていいのか?」
ガウリイの言葉に。
「はっ!!そうです!!早く追いかけないと!!」
アメリアがはっと気づき、ガッツポーズをとっている。
「それもそうね♪じゃvv一気にいきますか♪」
「へ??」
呆けたようなアメリアの言葉。
あたしの言葉と同時に。
あたし達の姿は、その場から解け消える。
「うわぁ!?」
「きゃぁ!?」
「何ぃい!?」
「うどわぁぁ!?」
ガウリイ、アメリア、ガウリイ、ゼロスの声がなぜか一致していたりする。
まったく、これくらいで驚かないのよ♡
-続くー
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あとがき:
薫:この辺りはほぼ、アップしてるのと代わり映えなし。多少台詞が違う程度で。
さて、残りあと、6ページ。このまま一気にやりますかv
・・・ベゼルドも打ち込みしてやろうかなぁ(笑
何はともあれ、ではでは。また次回にてvv
2005年2月2日某日
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