エル様漫遊記 ~白銀の魔獣編~
マインの近くの山にある、彼らの集会場。
そこにやってきているあたし達。
さってと。
こっちね。
そのまま、村とは逆の山の中にと向かってゆく。
マゼンダの気配は面白いことに、アレに喰われたらしくなくなっていたりするけど。
それはそれ。
しっかし……情けない。
まがりなりにも魔族なのに…あーんなのに精神を喰われるなんて……
まあ、それはそれとして。
「リナさん?こっちでいいんですか?」
進みつつも聞いてくるアメリアに。
「間違いないわよ♡」
にっこり微笑み、さらに足を進めてゆく。
やがて、目的の場所にとたどり着くあたし達。
斜面のあちらこちらから、ところどころに建物らしき残骸が見え隠れし。
この辺り、ちょっと前まではレティディウス公国の領地だったりしたし。
ここの時間率ではちょっと前、五百年ほど前に滅んだ国。
そのときの遺跡があちこちにと残っていたりする。
入り口らしきところが一つ。
辺りには情けないことに見張りの姿はまったくない。
ちょっと離れたところにもぽっかりとちょっとした穴が開いており、
奥からは魔法の明かりが漏れている。
「なるほどぉ。こんなところにあったんですねぇ♡」
などとしみじみといっているゼロス。
「許せませんね!」
などと意気込んでいるアメリア。
「ま、とにかくいきましょ♡」
そのまま、あたし達は。
その崩れた建物の中にと入ってゆく。
ちょうど建物のアプローチの辺りになる場所。
左右には白輝石の柱が半ば土砂に埋もれて立ち並んでいる。
その先にはぽっかりと明いた四角い黒い穴。
そこをくぐるとちょっとした広いホールにとたどり着き。
そして、左右にはやはり扉の外れた入り口が一つづつ。
そのうち、向かって右側のほうからはかすかに明かりが漏れている。
自分たちがこちらにいます、といわんばかりに。
ホールを囲むような形で通路が広がっており。
道は二つにと分かれている。
片方は少しいったところで曲がっており、もう片方の先には階段が見えている。
そのまま、曲がったほうの道を選び、進んでゆくあたし達。
……と。
ドウンッ!!
聞こえてくる爆発音。
「おや?何かあったようですね♡」
それをきいて、にこにこと何やらいっているゼロス。
「とりあえずいってみましょぅ!」
アメリアが張り切って何やらいってるし。
「そね。」
とりあえず、音のした方向にと歩いてゆくことしばし。
「誰だ!?」
あたし達の後ろから声がしてくるけど。
ま、あたしは知ってるし。
声の方向に振り向くと。
「ゼルディガス!」
「ゼルガディスだ!!」
ガウリイの第一声にすかさずに訂正つっこみを入れているのは。
いうまでもなく…
すこし以前に知りあったゼルガディス=グレイワーズの姿がそこにあったりする。
「あら♡久しぶりね。ゼル。けど何でこんなところにいるのかしら♡」
にっこりと微笑むあたしに。
「それはこっちの台詞だ。」
どうしてこんなところでこいつらに出会うんだ?
そんなことを思ってるし。
そんな会話をあたし達がしていると。
「おや。ゼルガディスさん?お久しぶりですね♡あなたもいらっしやったんですか?」
にこやかに、ゼルガディスにと話しかけているゼロス。
その言葉に、面白いまでに顔をしかめ。
「……ゼロスか……」
小さくそんなことをいってるゼルガディス。
「あら♡ゼルガディスとゼロス知り合いなんだ♡」
まあ、あの一件でこの二人、知り合ってるからねぇ♡
そんなあたしの言葉に。
「はあ…まあ、一応……」
などと言葉を濁しているゼロス。
そんなゼロスの言葉が終わるとほぼ同時。
「リナ。それはともかくとして。
何か奥のほうで何か、『あいつが暴走してるっ!』って声がしてるぞ?」
のほほんと、そんなことを言ってくるガウリイ。
そんなガウリイの言葉に。
「…おやおや、どうやらそのようですねぇ。」
などとそんなことをいっているゼロスに。
「……ちょっとまて……」
面白いことに、珍しくかすれた声を上げているゼルガディス。
そして。
「おい!ガウリイ!それは本当か!?」
などといいつつ、ガウリイにと確認をとっていたりする。
「???誰です?」
などとつぶやいているアメリアがいたりするけど。
でも、リナさんたちのどうやら知り合いのようですし。
それで済ましているアメリア。
「あら♡よく聞いてみたら?ゼルにも聞こえるはずよ?」
あたしの言葉に。
アメリアとゼルガディスが耳を澄ます。
と。
ドタドタ。
何やら騒ぐ人々の足音と、そしてまた、騒いでいる声。
「何があった!?」
「わかりません!マゼンダ様が先刻近づいて…
…そして…あいつが目覚めて…マゼンダ様を喰ったんです!」
「何ぃぃぃぃぃ~!!?」
何やら面白いことに、取り込んでいるようだし。
そんな声が奥のほうから聞こえてきていたりする。
「…どうします?リナさん?今のうちに進みますか?」
などと聞いてきているアメリアに対し。
「でも、リナさんや僕はともかく……他の人達は危ないと思いますが……」
何やらそんなことをいっているゼロス。
そしてまた。
「…逃げるぞ。」
「…え?」
つぶやくようにいうゼルガディスの言葉に、思わず聞き返しているアメリア。
そして。
「逃げるぞ!急げ!!」
いうなり、そのまま、ゼルガディスは出口に向かって走り出す。
そして、そんなゼルガディスに続き。
「私たちも逃げましょう。そのほうがいいような気がします!」
いって、アメリアもまた、ゼルガディスの後を追う。
「ま、仕方ないかしらね♡」
今この場はとりあえず、ひいたほうが何かと面白いし♡
走りつつ、出口に向かうアメリアとゼルガディスの後から。
あたしもまた、ついてゆく。
そんなあたしと共に出口にむかっているガウリイと。
「はぁ。リナさんがそういわれるのでしたら……」
などといいつつ、あたしについてきているゼロスの姿があったりするけど。
あたし達がそこからでて。
しばらくすると。
ジャッ!!
銀色の光が一条。
空やその辺りの大地をなぎ払う。
ふと、視線を向ければ、先ほど出てきた入り口にと何かがたたずんでいたりする。
まあ、何か、というのはあたしはわかってるけど。
「とりあえず、村に戻りましょ♡」
あたしの言葉に。
なぜか、銀色の光が当たりをなぎ払ったのをみて、無言になっている、
ゼルガディス・アメリア・ガウリイの三人の姿が。
とりあえず。
無言のまま、彼らがうなづいたのをみてとり。
そのまま、ひとまず、彼らとともに、宿にと向かうことに。
「リナさん?それはそうと……こちらのかたは?」
マインの村にあるとある空き家。
宿屋、でもよかったのだけど。
それだと、何かしらやっかいなことになるかもしれない。
というゼルガディスの意見で、ひとまず村はずれにとある空き家にと入っているあたし達。
「ゼルガディスだ。ゼルガディス=グレイワーズ」
淡々と答えるゼルガディスに対し。
「レゾの血縁だったばかりに、
Sのやつにとほぼ支配されかけた、レゾに合成物にされたゼルガディスよ♡」
そんなあたしの完結な丁寧な説明に。
「……おひ……(汗)」
何やらじと目であたしをみて、汗を流して言ってきているゼルガディス。
「ま、とにかく。俺は人間の体に戻る方法を探して旅をしている。
そして…写本のことを知ったのさ。」
簡潔に説明してくるそんなゼルガディスの説明に。
「あら♡知識で得ようとしたのね。」
「ああ。」
軽くため息つきつつ、あたしの言葉に答えているけど。
そしてまた。
にこやかに。
「ゼルガディスさんとは写本を通じて知り合いましてねぇ♡」
にこにこといっているゼロス。
そんなゼロスの言葉に。
顔をしかめ。
「…ちぃっ……。クロツたちが現れたせいで、とりあえず一時手を結んだがな。」
淡々と言っているゼルガディス。
「それはそうと、その写本って本物なんですか?」
そんな二人にと問いかけているアメリア。
そんなアメリアの言葉に。
「ええまあ。記録には残ってると思いますよ♡」
にっこりと答えるゼロスに。
「…そういう疑問を抱いたやつが、今から100年ほど前。
実際に写本どおり作ってみたらしい。
結果は成功。…しかしそれは原因不明の暴走を始めた。」
そんなアメリアの言葉に、ぽつりとつぶやくように言っているゼルガディス。
そして。
「ザナッファー。…サイラーグの魔獣だ。」
淡々というゼルガディスの言葉に。
「……本当?それ……」
何やらその程度でかすれた声を上げているアメリア。
「さあな。しかしはったりにしちゃかませすぎと思わんか?…ええと、そういやあんたは?」
「アメリアです!えっと、よろしくお願いします。ゼルガディスさん。」
「あ、ああ……」
アメリア?
ということは、まさか、セイルーンの?
などと思っているゼルガディスだし。
「あら、アメリアのフルネームはアメリア=ウィル=テスラ=セイルーンだし。
ゼルガディスの思ってるとおりよ♡しっかしその写本ってかなり不完全なシロモノよねぇ。
確か、アレにかかれているのって、ゼナファアーマーの創り方だったと思うけど♡」
あたしの言葉に。
「…リナさぁぁぁぁん……あまりそういうことは……」
などと何やら言ってきているゼロスだけど。
「あら♡別にいいじゃない。ならちょうどよかったじゃない。ゼル。
あんな不完全なシロモノでもいいんだったら見てみる?」
ゼルガディスにと話しかけるあたしの言葉に。
「リナさん!?そんなシロモノを人間に見せるわけには!?」
いいんですか!?
などとそんなことを思いつつも言ってくるゼロス。
「あら♡何?いいじゃない♡見せるくらい♡
このゼルガディス、あたしの力を借りずに自力で自分でどうにかして、
元の体に戻ろうとしてるのよ♡根性あるし♡それくらい大目に見なさいよね♡」
あたしの言葉に。
「……ゼルガディスさんが話してたのって…リナさんだったんですかぁぁぁぁ!!!!」
何やら思いっきり驚いているゼロス。
「……いや、リナさんの力を借りずにって……」
何やらつぶやいているアメリアに。
そして。
がっくりと。
何やら肩を落としつつ。
「…わかりました…だけど、見せるだけですよ?僕の立場というものもありますから……
でも、リナさんのおっしゃることでしたら上司も文句言わないでしょうけど……」
何やらそんなことをいいつつ、ぶつぶつといっていたりするゼロスだし。
そして。
…どうやらこのゼルガディスさんもこの御方のお気に入りになってるみたいですし……
…ううっ……
そんなことを思っていたりするゼロス。
どういう意味かしらねぇ。
ゼ・ロ・ス♡
「なあ?どうでもいいけど…そのザナッ…何とかファーって…何だ?」
ごげっ!!!!!
あ、面白い♡
ガウリイの言葉に、面白いまでに、床にと突っ伏しているゼロスとゼルガディス。
そして。
アメリアもまた、こけかけていたりするし。
「…お、お前なぁぁぁぁ!
お前の先祖が倒した、といわれてる、サイラーグの魔獣。ザナッファーのことだ!」
起き上がりつつも叫んでいるゼルガディスに。
「ガウリイさん…一応は光の勇者の子孫なのにぃ…光の剣の継承者なのにぃ……」
がっくりと。
何やらうなだれつつもいっているアメリア。
「…………なるほど。エ…とと。
リナさんがご一緒されてる意味が何となく僕わかりました……」
ぽつり。
とつぶやいてあさってのほうをみているゼロス。
そんな会話をしていると。
ドグワァン!!!!!
爆発音が山の上のほうから聞こえてくる。
「何ですか!?」
「あら?何かしらね♡とりあえず、いってみましょ♡」
「まさか、リナさん!?」
「えい♡」
パチン♪
軽く指を鳴らすと同時。
「「「うどわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」」」
何やら叫び声をあげているガウリイ・アメリア、ゼルガディスの三人と。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
なぜか無言なっているゼロス。
そのまま。
あたしは彼らとともに。
瞬間的に、空き家の中より、音のした場所にと移動してゆく。
一瞬もしないうちに。
あたし達は音のしたその場所にとたどり着いてゆく。
「おやおや。やられましたねぇ。たぶんクロツさんたちがやったんでしょうね♡」
にこやかに、それをみていっているゼロス。
たどり着いたその場所は。
先ほどまであたし達がいた、クロツたちのアジトの一つ。
面白いことに、綺麗さっぱりと微塵にアジトは吹き飛んでいたりする。
「ちっ。場所を知られて移動したか!」
何やら叫んでいるゼルガディス。
瞬間的な移動に関しては。
リナには何をいっても無駄だしな…などとそんなことをこの人間は思ってるけど。
どういう意味かしらねぇ~♡
「追いましょう!
闇の申し子、地獄の魔獣ザナッファーを野放しにしておくわけにはいけないわ!!
私達の手で邪悪な野望を打ち砕くのよ!」
一人、自分の世界に酔いしれつつ、そんなことをいっているアメリア。
そんなアメリアに対し。
じと目で。
「…打ち砕くのはかまわんがな。正義かぶれのお譲ちゃんよ。
聞くが、連中はどこに逃げたんだ?」
「……え?」
そんなゼルガディスの言葉に絶句し、視線を泳がせ。
そして。
「……ええと…知りません?」
すがるような視線をゼロスに向けてきていたりするアメリアだし。
「知りませんよぉ。」
そんなアメリアの言葉に答えるゼロス。
「あら、ゼナファアーマーの不完全版の波動をたどればいいだけじゃない♡
そんなの簡単にわかるわよ♡」
そんなあたしの言葉に。
「本当ですか!?リナさん!?って……」
いいかけたアメリアはそのままその場にて凍りつく。
集まってきた人々の姿を目にして。
そこには。
面白いまでに全身に殺意をみなぎらせた村人たちが集まってきていたり♡
「おや♡どうやら信者さんたちのようですねぇ♡」
そんな彼らの姿をみてにこやかにいっているゼロス。
そんなゼロスの言葉とほぼ同時。
「お前らか!?」
などといいつつ、あたし達にと何やらいってきている村人その一。
たきつけるように、しかも言い訳ができないように早口でまくし立てるように。
「お前らだな!これをやったのは!クロツ様は!?クロツ様たちをいったいどうした!?」
そんな男性の声をかわきりに。
「こいつら!集会をいつか台無しにした連中だぞ!」
別の人間がさらにあおるようにと叫んでいたり。
そんな二人の声に応じて、集まっていた村人たちの間にさらにと殺気が膨れ上がってゆく。
「なるほどぉ。扇動とは、いかにもクロツさんらしいやりかたですねぇ♡」
にこやかにつぶやくゼロスに。
「なるほど!信者たちを時間稼ぎにするつもりですね!」
などと意気込んでいるアメリア。
「う~ん。仕方ありませんねぇ♡一気に片付けちゃいますか♡」
にっこりというそんなゼロスの言葉に。
「ちょっ!?ちょっとまってください!?」
アメリアがあわてて待ったをかけ。
そんなアメリアに首をかしげつつ。
「なぜです?まさか彼らは本当はいい人だ…とでもいうおつもりですか?」
にこやかにそんなことをいいつつ問い返しているゼロス。
そんなゼロスに対して。
「まるでここにいる村人たちをみんな始末するみたいな口ぶりじゃないですか!」
何やら叫ぶアメリアに対し。
「そのつもりですけど?」
あっさりと、当然のごとくに答えるゼロス。
ま、ゼロスだし。
「な!?ゼロスさん!?あなた!?そんなの正義じゃありません!」
何やら言いかけるアメリアだけど。
まったく。
「はいはい♡そんなことはしなくてもいいわよ♡ゼロス♡
パタパタパタ!!
あたしの言葉に応じて。
集まってきていた村人たちが、そのままその場の地面にと倒れてゆく。
それをみて。
なぜか、多少冷や汗を流しつつ。
「……あんなに殺気だってた村人に…よく【
何やらつぶやいているゼルガディス。
「あら♡普通どんな状態でもかかるわよ♡それはそうと、ゼロス♡
あんまり派手なことはしないの?いい?わかったかしら♡」
あたしの言葉に。
「は…はいぃぃい!!」
なぜか即座に返事をしてきているゼロス。
そんなゼロスをみて。
「……よっぽど昔リナに怖い目にあわされたんだなぁ……」
「……でしょうね……」
何やら意気投合しているゼルガディスとアメリアだし。
「ま、とりあえず、追いかけるなら追いかけようぜ?」
のほほんと、そんなことを言ってくるガウリイ。
「そね。それじゃ、行きましょ♡」
倒れている村人をそのままに。
あたし達はクロツをおって、その場をあとにしてゆく。
…ま、今から雨が降るけど、関係ないしね♡
-続くー
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あとがき:
薫:・・・・・・・・・・エル様ぁ・・(汗)ゼロスはいいように使われ始めている兆しが強いですね(笑
ゼルガディスも合流しましたvさて、それでは、次回v
エル様・・・いきなり合成物の人々を元に戻すのはやめてください(涙・・・
ではまた次回にて・・・
2005年2月1日某日
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