エル様漫遊記・ソラリアの謀略偏
わずかにあいている扉からもれている灯り。
いつもは厳重な警備が成されているはずの建物。
だがしかし、今は人っこ一人おらずにしかも灯りまでついている。
「あからさまに誘っていやがるな…」
それをみて、何やらつぶやくルークに。
「というか、あいつらもまさか兵士をつれてくるとは思ってないでしょうしね♡」
そんなあたしの言葉に。
「…リナさん……楽しんでませせん?」
などと、何やら言ってくるミリーナだけど。
「あら♪気のせいよ♪」
そんな会話をしつつも、あたし達は建物の中にと入ってゆく。
ちょっとした広さの玄関ホール。
丸い部屋の奥には通路。
左右に二階にと続く階段。
壁に並んだ飾台のいくつかには灯りが灯され、ぼんやりと部屋が明るくなってはいるが、
人の気配はここにはない。
――が。
奥の通路の左右にグリフォンをかたどった銅像二つ。
その像の向かって右側にあるほうが、元の定位置からずれており。
床に開けられた下への入り口にと当たる階段を明かりの元にさせしている。
「――なっ!?隠し通路!?」
どうして王族御用達の礼拝堂にそんなものが!?
などと思いつつも顔を見合わせているカナンとカルアス。
「――ともかく。何ものかが侵入した、というのは間違いなさそうだな。
お前たちはこのことを町の警備主任にと知らせにいけ。
私とカルアスはこの人達としたに降りてみる。」
そんなカナンの言葉に。
『はっ!わかりました!』
いって、この場から外に出てゆく兵士二人。
「――さて、それではいきますか。
何があるのか。またどのような待ち伏せがあるやもしれません。十分に注意してください。」
そんな会話をしつつも、カナンを先頭にしてあたし達は地下にと続く階段を下りてゆく。
真っ白な何の飾りものない通路。
天井などには灯りを放つ物質の岩石が使われており、ほのかに辺りを照りしだしている。
あからさまに【罠が待っている】、と物語っている雰囲気ではあるが。
まあ別にどうってことないし♡
通路を進み、その奥にとあるドアのノブに手をかけ。
カチャリ。
カナンが開いた扉の中からひんやりとした空気があたし達の体にとまとわりつく。
ドアの向こうはちょっとした暗闇。
通路からも漏れ入る明かりに部屋の左右に並ぶとある影が見て取れる。
「
カルアスの唱えた呪文が部屋の中を照らし出し…
『――…っ!?これは!?』
驚愕の声を上げているカナンとカルアスに。
「なっ!?んなもんを!?」
などといいつつ絶句しているルーク。
「…どうやらここは合成工場…のようですわね……」
そういうミリーナの声もかすれている。
部屋の左右に立ち並ぶ天井まで届くクリスタルの筒。
その中に眠るように浮んでいるのは完全に姿を変えられた生物たち。
まあ、ここにるいのは元々の人型などといった原型をとどめていない存在たち。
つまりは、すでに実験済みで保管されている合成獣たち。
ちなみに、数は左右合わせて210個v
「…なっ!?
どうして王族の方々が利用するために建設されたという教会の中にこんなものが!?」
何やら叫んでいるカルアスに対し。
「おそらく、あなたたち下のものには伝えられていなかったのでしょう。
……おそらく、これは王室がらみの……」
何やらクリスタルの前に進みつつ、クリスタルに手を置きつぶやくミリーナの言葉とほぼ同時。
「――またあったな。……ほう。少しは考えがあるようだな。まさか警備兵を連れてくるとは……」
声と気配は後ろから。
振り向けば、今あたし達がくぐった扉の入り口にと佇む影一つ。
「あからさまなご招待だったしねぇ♡ザイン♡
――で?一人で勝手にここの警備兵達に嘘の報告して?
ここの警備を手薄にさせた挙句にあたし達をここに誘い込んで。
ベルギスが聞いたら何ていうかしらね♡」
その影に向かって振り向きざまにあたしがいうと。
「――きさま…どこまでしっている!?
まあいい。貴様らはどうせここで死ぬ運命なのだからな……」
いってその姿はふっと瞬く間に虚空にと溶け消え。
そして次の瞬間には部屋の突き当たりにと出現する。
そして。
「この合成獣たち相手にどこまで頑張れるかな?」
かちっ。
いって、部屋の奥にとあるクリスタルの制御装置のスイッチを切っているザインの姿。
それと共に。
ざぁぁぁぁ……
四方のクリスタルの中から、【生命の水】が溢れだし、床を水が覆ってゆく。
それと共に。
ずるっ。
半分ほど解除されたケースの中より出てくる合成獣たち。
「――きさまらの未来は…ここで終わる……」
合成獣たちがクリスタルより出てくるのを確認し、口元に笑みを浮べ。
次の瞬間。
瞬く間にまたまた姿をかき消し、次に出現するのはミリーナの真後ろ。
「ミリーナ!」
キッン!
あからさまな殺気に気づき、ルークが剣を抜き放ち、切りかかると同時。
ルークの一撃はミリーナに斬りかかろうとしてたザインの一撃をかろうじて受け止める。
「てめぇ!?いったいどこから!俺のミリーナに何しやがる!」
いって、ミリーナの前にと立ちふさがるルークに。
「誰があなたのものなんですか。ルーク。
――それはそうとして、その声は先のベゼルドでザインとか名乗ってた人ですね?」
いいつつも、すっと身構えるミリーナに対し。
「なるほどぉ。リナがちょっかいかけたがるわけだ。
ここがこいつらの拠点なのは間違いないんだなぁ。」
などとつぶやきつつも、うんうんうなづいているガウリイ。
「キャ~♪キャ~♪キャ~♪」
パシャパシャ。
ポビュッ。
ユラ……シュッ…ン……
キャ~キャ~いいつつも、楽しんで足元の水を自分の腰より少し上の辺りまで浮ばせ、
そこに空気の入れ物を創造し、床に満ち溢れている水をいれ、
パシャバシャと向かってくる合成獣たちにとかけているユニット。
「いやあの……そなことをしても……って…えっ!?」
ユニットのかけた水をうけ、
たかが水がかかっただけだというのにダメージを受けて倒れてゆく合成獣達と、
そして……
その後には元の素体となった生物が床の上にと転がってたり♡
それをみて、何やら驚きの声を上げているカルアスとカナン。
「―――……と、とにかく!この合成獣とこいつを何とかしないと!」
とりあえず、その光景は見なかったことにして、呪文を唱え始めているミリーナに。
「くっ!
コッキン。
こちらに向かってくる合成獣達に術を放ってこちらにこさせまいとしているカルアス達二人。
何が未だにルークとザインは斬り結びをやってるけど……
「
ミリーナが力ある言葉を唱えた直後。
十数本の炎の矢が虚空にと出現し、斬り結びをしているザインとルーンの二人の間にと出現する。
「――何っ!?」
それをうけて、何やら驚きの声を発するザイン。
だがしかし。
にやりと口元に笑みを浮べ。
「残念だったな。俺にはそんな術はきかんさ。」
いって、ミリーナの意図を汲み取り、
術が放たれた直後後ろにと飛び退いていたルークにとザインは斬りかかってゆく。
一方で。
ザッシュ!
合成獣のことごとくをみねうちにし、気絶させているガウリイ。
五百体ほど出現していた合成獣の数はすでに半数近く減っている。
――が。
「しまった!」
ザインが、ふとようやくそれに気づいてあせりの声を出す。
実はザインガケースからこの合成獣達出したときは千体近くいたんだけど♡
これ幸い、とばかりにクリスタルケースから出され、つまりは狭いところからようやく出れた、とばかりに。
思いっきり明るくこちらが出入り口ですよ♡
とばかりに開いていた扉というかドアから出て階段を昇って外に出て行ってたり♡
合成獣達が隠し通路を経て境界の中のと出現したちょうど同時刻。
兵士達から連絡をうけたこの町の警備主任が部下に命じ数組の警備隊の部隊が到着し。
まさにトビラを開け放ったその直後。
なだれ込むように建物の中から出てくる合成獣達。
その数、約345体♪
「な゛っ!?」
彼らが驚愕するのと同時。
数名が合成獣達に体を食いちぎられ――
兵士達が我にと戻り術を放ち始めたときには、すでにほとんどが町の中に躍り出ていたり♡
……ようやく今頃になって、合成獣たちが外に出たことに気づいているザインだし……
そのまま。
「くっ!」
いいつつ、虚空に消え去ろうとする。
――が。
「あ♡退屈だったから
空間を渡ろうとして見えない壁にとぶつかり驚愕の表情を浮かべるザインににっこりと言い放つ。
「何!?」
その言葉に何やら目を見開いているザインだけど。
「お~い、リナ。ここのやつは倒し終わったから急いで外にいったほうがよくないか?」
そんなあたしにと言ってきているガウリイ。
見れば、水が未だに溢れかえっている床の上にびくびく痙攣して横たわっている合成獣達の姿と。
空間移動ができない、というのに気づき、天井付近にと浮んでいるザイン。
「なっ!?いつのまに術をとなえやがった!?」
ザインと斬り結んでいたルークが何やら言ってるけど。
「――くっ!ひとまず勝負はお預けだ!」
いって、そのまま天井を這うように飛びつつ、部屋の外にと出てゆくザインの姿。
「逃がすか!」
いってそんなザインをルークが追いかけ。
「……いやあの…えっと……」
ならやら呆然としているカルアス。
「それはそうと。この子達、さっきより数が減ったみたいなんだけど、私の気のせい?」
にっこりと、ミリーナやカルアス、そしてカナンにと話しかけているユニット。
この場には、小動物や猫や犬。
そしてなぜか人間の幼子などが床にと横たわり、合成獣達と同じく気絶していたりするんだけど。
ルークはザインにしか目がいってなかったからコレに気づいてなかったのよねぇ。
「あら♡気のせいじゃないわよ♡ちょっとばかり数体ほどがすでに町の中に出ていっていたんだけど。
その事実にザインがようやく気づいて追いかけてったみたいだし♡」
「あ?やっぱり♡」
にこやかにいうあたしと、それにあっさりと同意しているユニットの言葉に。
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』
なぜか無言になっているミリーナ・カルアス・カナン達。
何やらそれぞれ同時に黙り込み。
『そういうことは早くいってください!!』
ガウリイを除く三人の声が一致してるし。
「それはそうと?リナ?これどうすんだ?」
ガウリイは外に合成獣達が出て行ったのを知っていたのであまり動じていないけど。
ま、この部屋の中の合成獣をガウリイには相手させてたしね♡
「ああ?こうするのよ♪
パチン♪
言葉と共に軽く指を鳴らす。
と。
水面が淡く光を放ち、天井にその光を反射させ、幾重にも連なる一つの魔方陣を浮かび上がらせる。
それと共に床に転がっている合成獣達が元の素体となった生き物にともどってゆく。
中には虎とか豹とかといった生き物もいるけど。
まあ、それはそれ。
後は任せるとして♡
「リナぁ…だからいきなり戻すなって…オレは慣れてるからいいけど、他のやつらは驚くぞ?」
何やらそれをみて言ってくるガウリイだけど。
「あら♪いいじゃない。別に。とにかくザインを追いかけましょ♡」
いって先ほど入ってきたドアのほうにと向かってゆく。
「――ま、いっか。…あれ?三人ともどうしたんだ?」
なぜかそれをみて固まっている、カルアスとカナン、そしてミリーナ。
あたしとユニットが部屋を出て行くのに続き、
ガウリイもまた外に出ようとしたところで固まっている三人に気づき声をかけてるけど。
「……今の…何?」
何やら掠れる声で聞いてくるミリーナに。
「ま、リナだし。気にしたらきりないぞ?
――それより、外にでていったという奴らのことが心配だし。外にいこうぜ。」
いってガウリイもまた、扉をくぐり階段を駆け上がってゆく。
「ちっ!」
ザシュッ!
一足先に外に出ていたクが玄関ホールの合成獣を一撃一刀のもとに斬りふせる。
そして少し遅れてきたあたし達を振り向きつつ。
「おい!一体何匹外にでたのかわかるか!?」
すでに玄関ホールには数匹の合成獣達が息絶え転がっているけど。
そんなことをいいつつ、振り向いてあたしにと聞いてくるルーク。
「出たのは大体345体くらいじゃなかった?リナ?」
あたしを少し首をかしげて見上げつつ、にこやかに言ってくるユニットに。
「それくらいだったわね♡」
そんなあたし達の言葉に。
『・・・・・・・・・・ちょっとまてぇぇ!!』
何やら叫んでいるガウリイとルーク。
「とにかく!外へ!」
いって何やら二人して、玄関の窓から外にと飛び出し。
あたし達に少し遅れてミリーナやカルアスたちもまた外にと出てくる。
建物の塀の外では、面白いまでにあちこちで火の手があがり、悲鳴と混乱が満ち溢れ。
さらには兵士達の呪文攻撃の音が響き渡っていたりする。
う~ん。楽しい♪
「「な゛っ!?」」
外に出てきたミリーナたちもまた、それをみて何やら絶句してるし。
「でもリナ?今から一体一体攻撃していったら夜ゆっくりと休めないわよ?それでなくてももう夜だし?」
にこにことあたしの横で言ってきているユニットのその言葉に。
「それもそうね。いっきに元にもどしときましょ♡火の手は人々に任せるとして♡」
にっこりと微笑み、そして。
くるり。
軽く空中にと向かって円を描く。
その円はゆっくりと町ぜんたいを包み込むように夜空に広がっていき。
そして。
「
かっ!!!!
――町全体をすっぽり包みこむかのように、ちょっとした大きさの魔方陣の光が包み込んでゆく……
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』
何やら光の下。
一瞬のうちに合成獣達がそれぞれの素体となっていた生物にともどり、
合成されていた下っ端魔族はとりあえずアストラル・サイドに戻っていってるようだし♡
何やら合成獣達と戦っていた魔道士たちは。
一瞬のうちに光と共にそれらが人や動物など、といった姿に変わったのをみて、
何やら一瞬町の中が静まり返ってるけど。
「はい♪終わりっと♪
とりあえず、どうしてミリーナ達がこの町で雇われているのか宿ででも話してくれるわよね♡
まさか今はラーヴァスと名乗ってるベルギス側についているわけじゃないでしょ♡」
あたしの言葉に。
「……いやあの……今あんた、何やったんだ?」
なぜかかすれた震える声で聞いてくるルークに。
「あら?合成されていた生物を元通りの姿に戻しただけよ♡」
最も、城の中においては今の力の効果は出ないようにしてるけど♡
というか、そんなことをしたら間違いなく、あのベルギスはその場で彼らを殺すしねぇ。
ま、そんなこと説明する必要もないからいわないけど♪
「外に出てた合成獣や何かと合成されていた人達って今ので元通りの体になっているはずよ?
まあ、このくらいリナのお姉さんでもある
リナにもできて当たり前じゃない♡ちなみに私もできるけど?些細なことで驚いてどうするんです?」
にこやかに、何やら絶句しているカルアスたちやミリーナたちにと説明しているユニット。
ま、嘘じゃないしね♡
『些細って……』
何やらつぶやくルークたちや兵士達はとりあえずおいとくとして。
とりあえず、あたし達は一度。
泊まっている宿屋にとルークとミリーナを伴って戻ることに。
カルアスとカナンは仕事の役職上、後片付けや後始末…それに、報告義務もあるし…ね♡
-続くー
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あとがき:
薫:さって、エル様が使ったこの呪文(笑)どこに出てきたか覚えてる人はいるでしょうか?(笑
この漫遊の白銀の魔獣編で出できた呪文ですvはいv
次回で城に潜入ですvではではv
また次回にてv
しかし・・・普通、いきなり一瞬で目の前で合成獣達が姿かえたら・・・おどろきますよね・・(汗
・・・まあ、何はともれあ・・・それでは・・・
2005年2月23日某日
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