エル様漫遊記 番外編ルナ  第5話


きっかけは、いつも突然に訪れる。
そう・・今のように。
いつものように、ただ、仕事・・というか、アルバイトをしていただけの日常に。
いきなり、やってきた、自分とは裏と表の関係にある、魔族の王、赤瞳の魔王、シャブラニグドゥが。
鳥の姿になって、自分がアルバイトをしている、リアランサーに現われるそのときまでは。 
まさか。
こんなことになっているとは・・。
夢にも思わなかった。
そう思いつつ、溜息一つついている女性は。
その、紫がかった青い髪に、真紅の瞳を湛えた、憂いを込めた表情で溜息ついている女性。

「ルナさん?どうかされたのですか?」
 そう問いかけてくる、この町の神官長である、彼―エルクの言葉に。
「いえ、別に何でもないんですのよ。」
そういいつつ、ふと笑みをこぼす女性・・ルナ。
まさか、言えるはずもなく。
「でも、エルクさんも・・いくら、操られていたとはいえ・・。
  お願いですから・・リナさんに手配をかけるような真似・・。よくまあ、世界が無事だったものですわ・・・」
そういいつつ、どこか遠くを見つめてぽつりとつぶやくルナの言葉に。
「は?あ・・あの?」
あのリナさんは、この赤の竜神の騎士である、ルナ=インバースさんの、妹ではないのか?
それが、どうしてそーいうような表現をするのか?
などと、心で突っ込みを入れるエルクではあるが。 
それは、表に出さずに。
「え?あ・・ああ。こっちのことですわ。それより・・早く手配をとく手順を踏みましょう。」
そういって。
一度、手配をかけた、その事柄を無かったことにするのは至極至難の業。
かけるのはたやすいが。
それでも、それが間違いでした。
それで済ませられる範囲ならばまだいい。
いいが・・。
すでに、ここ、少しの間に。
この、手配書は。
殆どの地域にまで広がっていた。
配布されてなかったのは、まだ、ゼフィーリアと、そしてディルス王国、その首都の辺りのみ。
その誤解を解くのも・・また彼女・・ルナの役目でもある。
軽く心で溜息ひとつつき。

・・・神託といった形で・・それとなく、今回の手配が間違ったものだと・・下しておこうかしら?
本気で、そんなことを思っていたりするこのルナ。

リナ=インバースの姉であり、そして。
伝説の、この世界の至高神、赤の竜神(フレアドラゴン)スィーフィード。
その力の欠片を根強く受け継いでいるといわれている。
通称、『赤の竜神の騎士(スィーフィードナイト)』その当人。
だが、事実は。
この、ルナこそが、この世界の竜神。
スィーフィードそのものであるという事実を、一部の者達を除き、ほとんどが、知らないというのもまた事実。

今回の原因になった、あいつの所業は。
本人同士が、どうにか、説得を試みるらしいから、それはまあ、いいとしても。
それでも。
「・・お願いだから・・いくら、分身とはいえ・・。精神疎通くらいしてよ・・・馬鹿シャブ・・。」
溜息つきつつ、小さくつぶやくルナ。
その言葉は。  
ただただ、むなしく。
風に溶け消えていっていた。
 
あの御方の機嫌がよかったから、どうにか助かっているようなもの。
下手をすると・・・。
かつての苦い経験が。
瞬時に思い出される。
彼女達が、ふがいないという理由で。
一瞬のうちに、世界ごと、お仕置きを受けた遥かなる過去の出来事。
そんなことにならないとは。
言い切れない。
何しろ、いくらあがこうが・・。
所詮、彼女達は・・あの御方に逆らうことなど、出来るはずもないのである。
当然といえば当然であるが。
彼女・・あの御方の真実を完全に正確に、理解しているのは。
まず、間違いなく。
彼女・・つまりは、『リナ』の部下である、光と闇を任されし存在でもある。
魔王や竜神。
そういった存在達のみであろう。
あとは、彼女に使える存在や、もしくは。
さらに、そんな、魔王や竜神をまとめる『あの御方』が設立している、その場所の上層部である存在などのみ。

とりあえず・・今、ルナが初めにならないといけない出来事は。
『リナ=インバース』にかけられた、指名手配を解く。
それが、何よりも先決であることには。
間違いはないのであった。

手配を解除するその手続きは。
さすがに、いろいろな組織などを経由して時間がかかるもの。
それでも。
早くどうにかしないと。 
今後のことが心配で。
その身の証を立てて。
それでいて。
時間が惜しいので、数名に自らを分身と化して作業をこなしているルナ。
さすがに、いきなり、目の前で。
三、四人にルナが分離したのには驚いたエルクだが。
それもまあ、赤の竜神の力の一つときき、納得していたりするこのエルク。

とりあえず、始めにやらなければいけない。
書類などの作成は。
まあ、そういったものを書くのはルナは、いやでも慣れている。 
そのために、書類などをきちんとそろえ。
上の意見を仰いでから、次の支持をそういわれて、はい、そうですか。といえるような余裕もなく。
ルナ曰く。
やんわりと説得を試みて。
特例として、その書類審査などを確実に、何事にも優先させて、行わせてゆく。

ルナとエルクが、互いに、込み合った、手配解除の手続きをしている最中。
レゾはというと。
彼の張った結界の中で。
今、まさに。
その戦いに決着をつけようとしているのであるが。

「ああもう!早くしないと!エル様が北のサイラーグで・・!
  ああ!あそこ、レゾが、少し前に、ザナッファーの聖身体を封じた石版が安置してあるのにぃ!」
絶叫をあげつつ。
半分、泣きながら。
それでいて、気をあせらせながら、手続きを完了させてゆくルナ。
 
ふと、気付けば。
レゾが、どうやら、コピーを説得し神殿に戻ってきている様子。 
「ふふふ・・・あいつにも手伝わしてやるぅ!何しろ、他の国にも手配は回ってるから!
   その解除があるのよぉ!本当に何てことをしてくれたのよぉぉ!」
その気配に気付き。 
いきなり。
その場に、役人などがいるというにも関らずに。
瞬間的に、空間移動をし。
その場から掻き消えるルナ。

『うどわ!?』
いきなり、目の前にいた女性が消えれば。
まず驚くが。
だがしかし。 
彼女がいった、自分が、赤の竜神の騎士だと疑っていた人々は。 
それをみて、確信してゆくのでもあるが。

「あら、レゾ、(レイ)話し合いは済んだの?
  だったら、二人とも!!手配をとく手続き!!手伝ってよね(はあと)」
『うどわぁぁぁぁ!?』
いきなり出現したルナに驚いているガウリイとゼルガディス。
レゾが戻ってすぐのこと。
いきなりのことなので。
驚愕の叫びを上げている男性二人。
「・・・・いきなり現れるな・・・・。この姉ちゃん・・(汗)」
そんなルナをみつつ、小さくつぶやき、汗を流しているゼルガディス。
「わ・・わかった・・。」
ガウリイ達には・・つまりは、人間達には聞こえないように。
そんな、鳥と成り果てた魔王とルナとの間で交わされる言葉。
 
『あんたのせいでしょ!?
   少なくとも!他の国にも、この手配書は回ってるのよ!?
   その手続き解除もあるんだから!手伝いなさい!エル様の怒りを受けてもいいの!?』
『う・・・それはこまる・・・。すいませんが・・レゾ?・・ルナを手伝ってあげてくれませんか?』
そんなルナの言葉に。
かなり丁寧な口調で、卑屈になっていたりする鳥と化している魔王。
そんな言葉を精神面で受けて。
・・・・い・・・一体・・。
・・・・この二人・・つまりは。
竜神と魔王が怖れる金色の王とは・・・・。
などと、一応、二人から、リナの事実を聞かされているレゾは。
心で冷や汗を流していたりするのだが。
そんな会話が繰り広げられているのは、表には出さずに。
 「では、リナさん、またあとで
そういいつつ。
未だに無言である、レゾとコピーを引き連れて出現したときと同様にいきなりその場から掻き消えるルナ。
「・・・・・・・何か、とんでもない姉妹だな・・。」
そうつぶやくゼルガディスに。
「ま・・まあ、リナの姉だからなぁ・・。」
それで済ませているガウリイ。
いきなり、出現し、レゾを引き連れて。
またまた掻き消えた、ルナをみつつ。
男性、二人。
ゼルガディスとガウリイは。 
そんな会話を繰り広げていたりする。
「ま、ルナだからねvそれより、あたし達はゆっくりしましょv」
栗色の髪に紅の瞳の少女の言葉に。
ガウリイとゼルガディスは。
そのまま、無言でうなづいている光景が。 
ここ、サイラーグの神殿。
その中で見受けられているのであった。


「とりあえず、私は、他の国などを中心に。手続きをするから。あんた達は、この国の手続きお願いね!」
そういいつつ。
さらに、数名に分身し、分かれてゆくルナをみつつ。
「・・・・・・そんなことまで可能・・なんですね・・。」
青い瞳を開きつつ少し冷や汗ながしつつ、小さくつぶやいているレゾ。
本来は、目が見えなかった彼であるが。
今では、その身の内に封じられていた魔王が、別の形をとり物質化しているということもあり。 
そしてまた。
金色の王の命令をこなすために、目が見えなければ不都合。
という理由もあり、今では目は完全に見えている、この、レゾ。
「ほら、コピー、私達もいきますよ。迷惑掛けたお詫びに少しでも早く。リナさん達の手配を解かないと。」
そういいつつ、今回の出来事のきっかけを作った当人にと話しかけているレゾ。
その言葉に。
「はい・・・。」
しゅんとうなだれて。
うなづくコピーレゾの姿が、サイラーグの上空で見受けられ。
そのまま、ルナ、レゾ、コピー・・この三つの姿は、瞬く間にそこから掻き消えてゆく。


「手配解除には、数日、かかるそうです。」
それでも。
かなり、脅し・・もとい、全力で説得し。
各国のその関係者を説得し。
普通ならば、軽く一ヶ月以上はかかるのが当たり前のお役所仕事を。
その短期間で、完全に解除するようにもっていっているルナ。
それでも、すぐというわけにもいかずに。
同じく、テーブルに座っている、栗色の髪に紅の瞳をしている、少女の姿をみつつ。
おずおずと、話しを切り出すルナ。
「みたいね。じゃあ、その間、ゼルガディス、あんたも、レゾの北の研究室に用事があったんでしょ?
   暇だし、全員で、そこで時間つぶし・・しない?」
別に、そんな報告など聞かなくても全て分かっている、この少女。
ルナの名目上は妹となっている。
ルナ=インバースの妹、リナ=インバース。
だがしかし。
その事実は・・。
誰にもいえないような存在であることを、ここにいるルナ達の関係者以外は。誰も知らない事実・・・。
そんなルナの言葉をうけて。
同じテーブルにすわり、夕食を食べ終わり。 
食後のお茶を飲んでいる、白いローブとマントに身を包んでいる、男性・・ゼルガディスに話しかけているリナ。
「・・・・まあ、一人よりは・・・。それに・・・」
リナの言葉に、少し考えているゼルガディス。
リナのいう場所はレゾが、かつてかなりの封印を施していて、彼の力をもってしても入れなかった場所に他ならない。
「では、シルフィール、お前は、皆さんの案内をたのむな。」
「はい。お父様。」
そんなリナの言葉をうけて。
娘であるシルフィールに案内を頼んでいる、ここ、サイラーグの神官長であるエルク。
それに加えてここサイラーグの巫女頭でもあるシルフィールが、そんなエルクにと返事を返す。
「リナさん、私も、用事がすみましたら、すぐに合流しますから。」
リナの言葉に。
あわてて、すぐに話しかけるルナ。
もし、この状態で・・。
あのエリスが・・あれの封印をといたりしたら・・。
ああ!
もし、エル様の機嫌が悪くなったら!この世界は終わりよぉぉ!
などと、そんなことを思いかけるが、どうにか思いとどまるルナ。
何しろ・・目の前にいる、『かの御方』は、確実に、その思いも何もかも見通せる存在なのだからして。
「あら?別にいーわよvv」
うーん。
思いなおすとは、いい子ねぇ。
ルナv
などと、リナが心で思っていることは、当然ルナには知る由などない。
『いえ、時間がありましたら、すぐに合流します!』
そんなリナの言葉に、同時に叫んでいるルナとレゾ。
この二人。
本当は、鳥と成り果てている、彼が言いたかったのであるが。
下手に、しゃべったりしたら、それこそ命がないことを彼は身に染みてわかっている。
何しろ、『リナ』は。
彼を鳥の姿に変えたことを目の前にいる、ガウリイ達には、これっぽっちも、話してないのであるからして。
「好きにしなさい。」
まったく。
そんなに、あわてなくても。
どうせ、後から、お仕置きは決定なのにねぇ。
この二人はv
などとリナは思いつつ。
そんな二人の言葉を軽くあしらい、出されてきたデザートを軽く口にと運んでゆく。
「・・・・なあ?ガウリイ?どうも、ルナさん・・リナに対して・・・妹という扱いじゃないようなきがするのは・・俺の気のせいか?」
そんなルナ達の様子をみつつ。
少しばかり冷や汗をながし、隣にいるガウリイに話しかけているゼルガディスに。
「ん?とゆーか、ルナさん、リナに対して、怯えてるぞ?」
的確にその恐れおののいている、その気配を捉えているガウリイ。
リナと一緒に旅をしている、元、旅の傭兵。
金髪碧眼長身の、人の中では、かなりの美男子ともいうべきその男性。
そういいつつも、彼の苦手のピーマンをお皿の横にしっかりと振り分けて口に運んでいるガウリイなのだが。
そんな会話をしつつ。
その日は。
何事もなく、一日が終わり。
次の日に向けて。
全員、休養をしっかりと取るために。
与えられた寝室に入ってゆくリナ、ガウリイ、ゼルガディス、そしてルナにレゾ。
シルフィールとエルクは、元々がここが家であるがゆえに彼らの私室に向かっているが。

だがしかし。
ルナ達は・・。 
その日、ゆっくりと休むことなどは・・できなかった。
なぜならば。
ガウリイ達が寝静まったのを確認し金色の王の、制裁がしばらく行われたがゆえに・・・・。

次の日。 
心なしか、ルナ達の顔色が悪かったのは、別にゼルガディスや、ガウリイ達の気のせいではない・・。

「あ゛あ゛あ゛あ゛!エル様が本気で遊ばれないうちに!早く手続きを済ませて!向かうわよ!」
悲鳴に近い声を上げるルナ。
ルナ達が、手配解除のために出かけたその直後。
リナ達は、サイラーグの北にあるとある場所にと足を向けている。
そんなルナの言葉に。
「わ・・わかってる!下手したら!リナ=インバースが!【あの御方】だってばれるではないか!」
その色を薄くして、叫んでいる、レゾの肩に止っている鳥。
― もし、自らばれるようなことをしたら・・わかってるわよねvふったりとも
そうにっこりと微笑んだ、リナの目が忘れられない・・。
つまりは。 
もし、下手にばれるようなことをしでかしたら・・・。
間違いなく、とんでもない、お仕置きがまっていることを。
彼ら・・ここの世界の竜神と魔王、つまりは、赤の竜神スィーフィードと赤瞳の魔王シャブラニグドゥは。
・・・・その身をもって、よぉぉく知っている。
そんな会話をこなしつつ。
お役所仕事は、遅くなるのが通常。 
そんな、上の人間達を力づくで説得し。
その手続きを早く済まさせるように行動してゆくルナ達であった。
ルナ達は、目の前の出来事に追われていて知らない。
まさか、エリスが。
そこで、またまたリナにちょっかいかけようと待ち構えているなどとは・・・。
手続きの解除が、どうにか終りかけたその刹那。
ルナとシャブラニグドゥは。
その精神世界面(アストラル・サイド)を通じ、今まさに何が封印を解かれたのか判断し。
一人と一羽が、完全に顔色を悪くしている光景が彼らのいる、サイラーグが位置しているラルテーグ王国。 
その役所にて見受けられていたりするのであった・・・。


                                      -続くー

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  あとがきもどき:
      ・・・・ああ゛!
      母の代わりにドラクエ7を二時間ばかりやってたから!(かなりまて!)
      日付が・・日付がぁぁ!
      十二時過ぎてるぅぅぅぅ!!
      あうあうあうあう!
      折角の今日はお休みだったのにぃぃ!
   エル:とゆーか、昼ねして・・二時間ふいにしたの・・。
      何処の誰?(はあと)
    薫:・・・・うっ(汗)
      と・・とりあえず。
      エル様サイドでは触れなかった。
      ルナとザナッファーの戦い。
      ・・・・きちんと表現できるでしょうか?(かなりまて!)
   エル:しっかし。
      本編もまったく進んでないわよねぇ。 
      あんたはv
    薫:ぎくぎくぎくぅ!
   エル:しかも!どーして、まだリンクすら張ってないv
      隠し小説打ち込んでるのかしらねv
      まあ、ワードに私の漫遊記本編。
      ディルス偏を先に打ち込んでいるのは、まあよしとしても(はあと)
    薫:・・・・あうう・・。
      すいません・・・(涙)
      こんな私ですが・・。
      気長にお付き合いくださいなのです・・・・。
   エル:完全にすぐに見捨てられるってばv
    薫:しくしくしく・・。
      ま・・とりあえず・・。
   エル:あらvまさか、このままで終われると思ってる?(はあと)
    薫:え・・エル様!?それは!?
      い・・ぎゃぁぁぁぁぁぁ!!!!!
  ギュルギュルギュル・・・・。
    (何か、硬いものを切り刻む音が響いてゆく・・)
    エル:うーん。
       何か、今日の電動のこぎりは調子が悪いわねぇ。
       ま、いーわ。
       ではでは。
       その辺りに散らばっている、何かの肉片は。
       放っておいて。
       じゃ、またいつかv
       じゃあねvv
   ・・・後には、辺りに散らばった肉片を。
     カラスなどがついばんでゆく・・・・。



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