エル様漫遊記~ルナ番外編~第3話


「まず、レゾあんたは、あのコピー、どうにかなさいな
  あんたの責任だしあ、でも、この世界では、戦わないのよ♪
  出来たら、結界でも張って、その中で戦ってね♪あたしの遊び場がなくなるのは、いやだしvv
  そうしないと、この町がなくなるだけでは、すまないでしょ?もし、そうなたらどうなるかは・・分かってるわよね♪」
にっこりと微笑む金色の髪の女性。
その言葉に。
ルナとレゾが大量に汗を流し。
「ももももももちろんです(滝汗)」
固まったまま、言葉を搾り出している。
「あ・・あの・・それで、お願いが・・。」
レゾの言葉を借りて、鳥が話しかけていたりもするが。
傍目には、レゾが話しているように見えている。
「結界の中に入ったら、多少は、緩めてあげるわよ♪でも、今のままでやること
「・・・・(汗)あ・・ありがとう・・ございます・・。」
にっこりと微笑みながらいう。
その台詞に。
その場にいる、ルナと鳥はすぐさまにその真意を理解する。
つまりは、そういうことなのだ。
ともかく今のままでどうにかしろと。
そうしなければ、どうなるのか。
彼女のことをよく知っている、いや。
上司たる彼女のことだからこそ、よくわかっているルナ達。
「・・?何の話しだ?」
そういう風にいっているリナに、横にいるガウリイが質問していたりもするが。
「こっちの話し
にっこり微笑んで言葉をさえぎっているリナ。
「で・・では、私は、手配書の方を解かせていただきます。
  あと、それと、町の人々を正気に戻しますね。シルフィールさん・・でしたよね?町の案内をお願いできますか?」
とにかく。
早く、エル様に掛けられているという、手配を解かないと!
気ばかりが焦り。
ルナはかなり内心パニックに陥っていたりするのだが。
そんなことをそこにいる、シルフィールたちが知るはずもない。
「は・・はい!!!よろこんで!!」
シルフィールが、瞳を輝かしもルナに言われてたちあがる。
赤の竜神の騎士に話しかけられた。
というので舞い上がっていたりするシルフィール。
「で?俺達は、どうするんだ?リナ?」
ガウリイがリナに質問していたりするが。
「別に、ノンビリとまちましょ♪コピーの始末は、すぐについても、その後に面倒な手続きがあるようだし♪
  ま、とりあえず、あたしは、普段の姿に戻るわvvま、レゾとルナがいるしね♪
  任せておいて、大丈夫だし・・ね♪ふ・た・り・とも
びしぃぃ!
その言葉にまともに凍りつき。
こくこくこくこく!!
次の瞬間には、首が振り切れんばかりに、首を縦に、こくこくと振っているルナと鳥もどきのオウム。
そんな二人の様子をみつつ。 
「まあ、じゃ、サイラーグ・シティにいきましょ♪」
そうくすくすと笑いつつ言っているリナに。
「あ、私が皆さんを運びます!!」
これ以上、エル様の手を煩わせるなんていけない!
顔を真っ青にして。
あわてて、移動呪を唱えているルナ。
次の瞬間。
まばゆい光がその場所を包み込む。
―シュン・・・。―
ルナの使った移動の術により。
ルナ達。
ルナ、レゾ、オウム、ガウリイ、シルフィール、ゼルガディス、ランツ。
このメンバーは、一瞬のうちに、とある建物の中にと移動していたのであった。
「こ・・ここは!?」
シルフィールが驚愕している。
見れば見覚えのありすぎるその様子。
「ここは・・私の家です!!」  
ここは、サイラーグの神官長であり、
この町の長でもある、シルフィールの父親の家。
ルナは全員をここに瞬間移動させたのである。
「あら♪わざわざシルフィールの家を選んだのね♪ルナ
くすくす笑いつつ、いっているリナの台詞に。
「ええ。その方が、何かと便利でしょうし。」
というか、そうしないと・・・。
お仕置きが・・(汗)
などと思いつつも、それを表に出さずに答えているルナ。
まあ、相手・・つまりは、リナには完全にばれているのだが。
「ど・・どうなっているんだ!?」
かなり驚き、きょろきょろしている赤毛の男性。
ランツは何やら、きょろきょろしている。
「あら、ルナの力で、ここに、全員で移動した。ただ、それだけのことよ。
  ―と、それより、あたし、ちょっと、着がえてくるわあ、あの部屋、借りるわね♪」
そういって。
少し奥にある部屋にと入ってゆく金色の髪をしている女性が一人。
今、リナは。
手配を掛けられているからといって。
その髪の色を金色に戻して(?)いるのである。
それを戻すために、部屋にと引っ込んでゆくリナ。
「ンなことできるんですか?」
かなり驚いたようにルナに聞いているランツ。
「?魔族も、神族も、これくらいのこと、誰でもできますよ?
   人間も、他の存在も、もう少し、精神世界のことと、空間の仕組みなどを理解すれば、簡単に可能ですよ?」
あっさりと言い切るルナ。
その言葉に、絶句しているゼルガディスとシルフィール。
ガウリイは・・理解してないようだが。
事実。
かつて、神魔戦争と呼ばれる以前の人類は。
多少、自力で瞬間移動するすべを、手に入れていた事実があるのだが。
そんなことは、今、この世界に生きている人間達などが。
知るはずもないことなのである。

「それはそうと、その神官長さん・・シルフィールさんのお父さんは・・どちらに?」
ルナが話題を変えようと、丁寧な口調で、シルフィールに聞く。
「あ、こちらです。ご案内します。ついてきてください。」
とりあえず、気にはなるが。
スィーフィード・ナイト様ですし。
それで済ませて、全員を促しているシルフィール。
そのまま。
ルナ達を案内して。
奥の部屋にいる、シルフィールの父親がいる部屋にと。
ルナ達を案内していっていた。

そこにいたのは。
ベットに横たわる一人の人物。 
その黒い髪を肩の辺りより少し長めに切りそろえ、蓄えたひげが結構似合っている、中年の男性が一人。
「これが、父です。」
そう紹介するシルフィールだが。
その肝心な父親の視点が、虚ろで定まっていなく。
ただ、その場にぼーとしているだけ。
虚ろな目でしばらく虚空を泳がせていたが。
そのまま、固く再び目を閉じてゆく。
今、彼は。
自分で考えることなども、完全に奪われているのである。
「これは・・かなり性質の悪い術が掛けられてますね・・。」
エルクをみて、顔をしかめてつぶやいているアメリア。
セイルーン。
白魔法を中心とするそこの国の巫女頭を務めているだけのことはあり。
その辺りの術などは見ただけで、ある程度はわかる彼女。
そんなシルフィールの父親、エルクを見て。
「なあ、この人の中。どうして、羽虫が居ついているんだ?」
そういいつつ。
シルフィールの父親・・名前をエルクというが。
その頭の一部を指差しているガウリイ。
『・・・羽虫?』
そんなガウリイの台詞に、疑問符を投げかけるアメリアにゼルガディス。
「・・・・あら、本当だ。・・・よくわかったわね・・・ガウリイさん・・。」
この私でも、ちゃんと気をつけてみないと。
こんなの分からなかったわよ?(汗)
などと、心で内心突っ込みを入れているルナ。
「どうやら、虞蟲蜂の幼虫を使っていたようですね。」
そんなエルクの頭に手をかざしているレゾ。
エルクの頭の中。
つまりは、彼の脳の一部に既成している小さな昆虫。
それは、人間の思考などを奪い。
完全に操り人形と化すときなどに使われる自然界に、生息しているどこにでもいる小さな虫。
普段は、その昆虫は。
生き物にその卵を産み付けて。
その思考を麻痺させて。
そして、生きた新鮮な肉を幼虫に食べらす手段として。
その生き物の脳の中に卵を産み付けるのであるが。
逆に。
幼虫だけを使い。
こういったように。
指定した相手の思考を奪うこともまた、簡単に出来る、呪術士などの間では。
かなりポビュラーな幼虫ではある。
「とりあえず、この蟲だけでも先に消滅させときましょ。」
そういいつつ、ルナが頭に手をかざすと。
・・ポビュ。
つぅ・・。
小さな音がして。
エルクの頭から、一筋の紅い糸が零れ落ちていた。
 
「それはそうと、ルナさん?回復させないんですか?」
未だにエルクを直そうとしないルナに問いかけているアメリア。
「リナさんが戻ってからやりますわ。・・勝手にやって、気分を害するのもいやですから。」
あっさりきっぱり言い切るルナに。
「あの?リナさんは、ルナさんの妹さんなんでしょ?どうして、そんなに、怖れるのですの?」
素朴な疑問を投げかけているシルフィール。
そのシルフィールの台詞に。
私も知りたいです。 
俺も知りたいな。
心でうんうんつぶやいている、アメリアにゼルガディスにランツ。
「それは・・・内緒v乙女には秘密があったほうがいいのよ
そんな素朴な疑問に答える代わりに。
それとなくうまくごまかしているルナであった。
 
ガチヤ。

そんな会話をしていると。
扉が開く音。

そこから、栗色の髪に紅の瞳をしている女性が入ってくる。

先ほどまでは、金色の髪をしていたその女性。
今では、先ほどまで感じられていた、多少の威厳みたいなものは微塵も感じられない。
 
そんなリナの姿をみて。
「リナ・・元の姿に戻したのか?もったいない・・・・。せめて、スタイルくらいは、そのままにしといても・・・。」
残念そうにいっているガウリイ。
「あのねぇ。抑えてるだけだっていったでしょ?ところで、ルナ、まだ治してないの?」
そんなガウリイの言葉にくすくすと笑いつつ、答えているリナ。
「ええ、リナさんが戻ってからにしようと思いまして。・・では、始めます。」
リナが戻ってきたことを確認し。
ルナはベットの上に横たわっている、シルフィールの父親。
サイラーグの神官長をやってるエルクに手をかざす。
その手がほのかに光る。

・・・と。

「う・・・ううん・・・・。」
みじろいで。
「う・・うぅ・・・。私は?今まで一体何を?
  ・・・レゾ殿?それに、シルフィール?それにこちらの方々は?・・・って!?ガウリイ殿!?ご無事でしたか!?」
ガウリイの姿をみて、叫んでいるエルク。
記憶が混乱しているらしく。
未だに頭が少し割れそうにまで痛んでいたりするのだが。
そんなことは、周りの人間には分かるはずもない。
「お父さま!!」
がば!!
「よかった・・よかった!」
シルフィールが、父親に抱きつく。
泣きながら、父親にすがり付いているシルフィール。
「?シルフィール?どうした?一体どうしたというんだ?何だか、長い夢を視ていたような感じだが・・・・」
不思議がりつつ、頭を横にかしげているエルク。
「あ、すいません。つい・・。お父さま、こちらが、本物の、赤法師レゾ様。
  で、こちらが、リナ=インバースさんと、ゼルガディスさんとランツさん。それに、エリスさん。
  ガウリイ様は・・知っていますよね?
  ・・で、こちらの女性が、何と、赤の竜神の騎士(スィーフィードナイト)の、ルナ=インバース様、後本人です。
   何と、リナさんと姉妹だそうですよ。」
目覚めた父親の姿をみて、目に涙をきらりと光らせて。
とりあえず、この場にいる人物たちの説明を簡単に父親にしているシルフィール。
「始めまして。」
シルフィールの説明に。
にっこりと微笑んで挨拶しているルナ。
「神官長さん、どうもすみませんでした。私のコピーが大変迷惑を、おかけしてしまいまして・・・・。
  ほら!!!エリシエル!お前もきちんと謝りなさい!!」
レゾが、エリスの頭をつかんで、頭を下げさせていたりする。
今までいきなりの瞬間移動なとで呆然としていて、その意識を飛ばしていたこのエリス。
そんな未だに意識がぼんやりしているエリスの頭をもち。
頭を下げさせているレゾ。
「・・・・?・・・はい?・・で・・では、あのレゾ殿は、ご本人ではなかったのですか!?
    そ・・それに、リナさん・・・・といったかな・・・。
    スィーフィードナイト様の妹御ぉぉ!?
    そんなお人に私は手配を書けるお手伝いを!?」
娘であるシルフィールのその説明に、はたと正気を取り戻すエルク。
というか、エル様に手配をかけるなんて・・無謀すぎるにも・・・・。
などと、二人同時に思っているルナとオウムの姿をしているそれ。
声には出してはいないが。
しばらく、シルフィールの説明・・・つまりは。
赤の竜神の騎士。
そのリナが妹。
というその言葉で。
混乱しているエルクの姿がそこには見受けられていたのであった。

「ともかく、神官長のエルクも、下に戻りましたので。あとは、この町の操られている人々、正気に戻してきますね。」
 
エルクが元に戻ったのを確認し。
は・・はやく、今度は町の人達を治さないと!
そう、内心かなり冷や汗をかきつつも。
あわてて、せかされるようにと外に出てゆくルナの姿が。
そこにはあったりしているが。

ともかく!
早くこれだけでもどうにかしないと!
エル様の機嫌がいいうちにぃぃ!
かなり絶叫を上げているルナであった。


                       -続くー


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 あとがきもどき:
  ・・・・次回から。
  おそらくルナの一人称に変えますv(まてこら!)
  ここよりは、殆どルナの心情が中心となってきますのでv
  ではでは・・・・。
  またいつか・・・・・。


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