エル様漫遊記


「このあたりって、魔力、使える人、いないんですか?」
ふと、そんなことをあたしに聞いてくるアメリア。
とりあえず。
あのまま、元眠れる竜の大陸であったあの空間からそのまま船にと乗って移動し。
別の大陸にと降り立っているあたしたち。
「この辺りは私も始めてきましたし…。ここは、確か天竜王様のお膝元ですから…」
あたしに質問してきたのにアメリアにと返事を返しているフィリア。
ちなみに、今ここにいるのは。
あたしとガウリイ。そしてアメリアとゼルガディス。
そして、おまけでゼロスにフィリアとヴァルのこの七人。
すでにルナはゼフィーリアにと戻ったし。
部下VやD達もまた、自分たちの宇宙空間にと戻っていってすこしたつ。
そんなフィリアの言葉に続けて。
「ま、この辺りで魔道士と呼ばれている人たちは、
  はっきりいってほとんどいんちきですからねぇ。あっはっはっ。
  何でか魔法を使う人がいなかったらしく、千年と少し前、つまりは。
  降魔戦争以後、ばったりといなくなったんですよ。これがまた。あっはっはっ♡」
にこやかに微笑むそんなゼロスの台詞に。
「…お前たち魔族が何かしたんじゃないのか?」
じと目でそんなゼロスにと問いかけているゼルガディス。
「いやですねぇ。僕たちは何もしてませんよ。僕たちはね。」
にこにことそんなことをいっているゼロスに。
「ということは、お前たちじゃない、誰かが、何かしたってことか。」
ふっと軽く息を吐きつつ、そうつぶやいているゼル。
「おや?よくわかりましたねぇ。」
そんなゼルガディスに向かって、関心した声を上げているゼロスだけど。
「どれだけ貴様と一緒にいる、と思ってる。」
好きで一緒にいるわけではないがな。
こいつの行動とか言動…わかり始めている自分が怖いけどな…
などと、心でゼルはそんなことを思いつつ。
「まあ、確かに。
  魔道士と呼べる者たちが激減したのは。この大陸の歴史にも関係あるんだけどね。
  八百二十二年前。この地で【魔道士狩り】というか【魔狩り】が行われたのよ。
  魔術を使えるのもはすべて魔の手先、みたいな流言がまことしやかに信じられてね。
  で、結果として、五百万人の魔力を持った人々が人間たちの手にかかって、
  何もしてないのに次々と殺されていったっと。」
あたしのそんな説明に。
「な!?そんなの正義じゃないです!」
などと叫んでいるアメリア。
「そういっても、アメリアさん?
  僕たちは何もしてませんよ?やったのは、神族側ですからねぇ。あはははは。」
「…そん…な…。馬鹿なことをいわないでください!生ごみ魔族!
  そんな馬鹿なことがあるわけないじゃないですか!?」
そんなゼロスの言葉に叫んでいるフィリア。
「おやおや。そうはいいますけどね。フィリアさん。千年前のとある一件。
  あなたはご存知ないかもしれませんけど。
  もし、『さる御方』がかかわりにならなかったら。
  いっておきますけど、あのヴラバザードさんは、古代竜を絶滅させてましたよ?
  その気でしたから。あの人は。」
「何をそんな根拠のないことを!」
いいつつ、そのスカートの中から、モーニングスターを取り出し。
そのまま、ゼロスに向かって振り下ろしているフィリアの姿がそこにあったりするけど。
「おやおや、真実を言われて、何をそんなに怒ってるんですか?」
「だまりなさい!魔族のいうことなんか信じるものですか!」
ブンブンブン。
ひょいひょいひょい。
フィリアが武器を振り回すのを軽やかに交わしているゼロスの姿。
「…お、おい?リナ?」
そんな二人の様子をしばし、あきれた視線で眺めつつ。
あたしにと問いかけてくるゼルガディスのその言葉に。
「それは真実です。といっても私が誕生する、というか卵から生まれる前のことですけど。」
なぜかいまだに緊張し、丁寧な言葉遣いのままのヴァルがそんなゼルの疑問にと答えてゆく。
ちなみにこのヴァルもフィリアと同様に。
あたしの正体を確かめるようにと上層部から命令をうけ、
こうしてあたしと共に行動していたりする。
まああの時は、あたしの誠意ある説得で、
ヴラバザードのやつは馬鹿なことを思いとどまったんだけど。
ちなみにそのときにかけた、古代竜エンシェントドラゴンの神殿の周りの特殊結界。
いまだにそれは生きているけど。
それはそれ。
「というか、リナ。どうして貴様はそんなことまで知ってるんだ?」
問いかけてくるそんなゼルの言葉に。
「あらvこの辺りのガイドブックにそう書かれてるわよv」
いいつつ。
すっと手を横にと伸ばし、手の中にと一冊の書物を取り出すあたし。
「…つうか、今どこから出した?それ…(汗)」
それをみて、なぜか冷や汗流しているゼルに。
「リナだもんなぁ。」
「リナさんですもんね。」
しみじみ。
しみじみいいつつ、それで済ませているガウリイとアメリア。
ちなみに。
いまだに、フィリアはゼロスを追いかけて遊んでいたりするけども。

「きぃぃぃぃぃぃぃぃ!」
叫んでいるフィリアに。
「……フィリア、あまり血を上らせては……」
どうどうどう。
そんなフィリアをなだめているヴァル。
数時間ばかり、しばらく追いかけごっこをしつつ。
フィリアが竜の姿に戻って、ゼロスを追い掛け回したりもしつつ。
そのすべてを軽やかにゼロスは交わし。
そして、疲れ果てたフィリアが絶叫を上げていたりする今現在。
「……で?お前たちはこの辺りにはよくきてるのか?」
とりあえず、さっきのリナのあれには触れないことにしよう。
考えれば考えるほど、怖い考えが浮かんでしまうからな。
そんなことをおもいつつ。
ゼロスにと問いかけているゼル。
そんなゼルガディスの問いかけに。
「いえ、ときどきは遊びにはきますけど。
  あまりこちらにはきませんねぇ。こちらはあまり面白くないですし。
  それにほかの竜王さんたちの力が届きますからね。この辺りは。」
にこやかに、素直に答えているゼロスの姿。
「そういうもんなのか?」
というか、この前のリナの気配…あれは…
などと、こちらはこちらで、
どうもあの一件であたしの正体にほとんど気づきかけているガウリイ。
リナがいるのにそんな程度のことを気にするのか?魔族は?
などと、そんなことを思っていたりするし。
「ほぉぉぉぅ、ガウリイィィ?どういう意味かしら?ん?」
にこやかに問いかけるそんなあたしの台詞に。
「だぁぁあ!すまん!悪かった!だから、勝手に人の心の中を読むのはやめてくれぇ!」
などと叫んでいるガウリイ。
「「…いや、人の心の中を読むって…(汗)」」
ガウリイの台詞に、なぜか同時にそんなことをつぶやきつつ、
あたしの方をなぜか信じられないものを見るような視線で見ているフィリアにヴァル。
「…と、とにかく、そういうもんなんですよ。」
これ以上、万が一、エル様のことに触れられでもしたら。
どこから発覚するかわかりませんし!ここは急いで話題を変えないと!
などと、なぜかあせりつつ、そんな叫びに近い返事をガウリイにしているゼロス。
「そういえば、でも、神官とかは使えるんですか?魔力?」
ふと疑問に思い、そんな質問をしてくるアメリア。
ほっ。
そんなアメリアの質問に安堵のため息をつきつつ。
何かこいつ、どんどん人間くさくなってきたわねぇ。
まあ、昔っから、といえばそれまでなんだけど。
「あ、ええそうです。神官さんとか巫女さんとかは使えますよ。あ、それとあと面白いことに。
  今この大地はどうも、面白い宗教団体が流行してましてねぇ。」
何気に話題を変えて、その話題を振っているゼロスだし。
そんなゼロスの意図にまったく気づかずに。
「何なんだ?それは?」
こいつが【面白い】というのにロクなものはないからな。
などと心の中で思いつつ、とりあえず、ゼロスにと聞いているゼル。
どうやら話題を変えるのには成功したようですね。
ほっ。
などと思いつつも、そんなことは表には微塵も出さずに。
いつものにこにことした表情のまま。
「ええ、何でもダーク・メシア、という宗教団体が流行してるみたいなんですよ。ここ。」
にこやかにそう説明するゼロスの台詞に。
「?ゼロスさん、いったいそれは何なんですか?」
首をかしげてそんな質問をしているアメリア。
「いやぁ、これがまた面白いんですよ。
  何しろオーガやコブリンとかを使って、町や村を破壊しつくして。
  『団体に入ったらこんなことはなくなる』
  とかいって信者を勧誘していってる組織なんですよねぇ。あはははは。
  で、彼らの意にそぐわない者たちはものの見事に皆殺し♡ね、面白いでしょう♡」
にこやかに、笑いつつ説明するゼロスの言葉に。
「ゼロスさん、あなたそれでも人間ですか!?」
「…いや、僕は魔族なんですが…」
びしっと指をつきさしていってくるアメリアに困ったように頬をかきつつ。
つぶやいているゼロス。
「ああ、人が困っている、というのを見てみぬ振りをするなんて。
  正義の仲良し四人組のプラス一名のすることではありません!」
「…いや、ですからその…プラス一名…って…」
つぶやきつつ、突っ込みをいれてくるゼロスの言葉は完全に無視し。
「さあ!今からでも遅くはありません!今すぐに、正義の心に目覚め。
  そしてその邪悪なる団体を私たち正義の使者一行が叩きのめし、つぶしてしまうべきです!」
一人、自分の世界にはいりつつ、そんな台詞を言っていたりするアメリア。
ちなみに、ビシッとポーズをきめて。
空に高々と片手を振り上げて、もう片方の手は腰にとあて。
完全にとポーズを決めていたりする。
そんなアメリアの行動に一瞬目が点になるものの。
だが、すぐさまに。
「同感ですわ。アメリアさん。
  そんな団体は今すぐに破滅あるのみです!さっさとつぶしてしまいましょう!」
「フィリアさん、話がわかりますね!」 
がしっ。
いってくるフィリアの手をつかんで、そんな会話をしているアメリアとフィリア。
「…つ~か、巫女、というのは全員がこんななのか…」
そんな二人をみつつ、そんなつぶやきをもらしているゼル。
そして。
ハァ。
軽くため息を吐きつつ。
「あのなぁ。外の世界にまできて、わざわざ騒ぎに入り込んでどうする。」
あきれた口調でそんなアメリアを諭すようにといっているゼルだけど。
「何をいってるんですか!正義は世界平等です!
  さあ!ゼルガディスさんも、正義の仲良し四人組の一人として。
  邪悪なる団体を壊滅させにいきましょう!」
「って、だから、人の話をきけぇぇ!」
いつもの言い争い、
というかほのぼのとした会話が、アメリアとゼルの間で繰り広げられていたりする。
「なあ、リナ?ほっといていいのか?」
ガウリイがそんな二人をみつつ聞いてくるけど。
「面白いからしばらくみてましょ♡」
そんな二人の会話を面白いのでしばし、完全に高みの見物を決め込んでいるあたし。

やがて、しばし、面白い会話が続く中。
「まあまあ、いいじゃない。それよりそろそろ宿を決めましょv」
とりあえず、そろそろ日が傾きかけてきたこともあり。
近くの町を指差しつつ、いまだに言い合っているアメリアたちにと話しかける。
結構面白いのよね。
彼らの会話聞いているのってv
何しろ、アメリアは一方的に自分の世界に浸ってるし。
そんなアメリアをどうにかしてゼルは説得しようとしてるし。
ついでに、今回には、それにブラス、フィリアまでアメリアに加わって。
二人の世界に入り込んでいたりする、という理由があるけど。
「いやぁ、本当にアメリアさんたちといたらあきませんねぇ。はっはっはっ♡」
にこやかに笑うゼロスに。
「というか、あんたがこのメンバーについてきているのは、
  どうもそれだけの理由じゃないような気がするんだがな。オレは。」
そんなゼロスに向かってじと目でそんなことをいっているヴァル。
「い、いやですねぇ。ヴァルさん。あはははは…」
ヴァルの言葉に思わず言葉を詰まらせて。
あさっての方をみつつ乾いた笑いをあげているゼロスにむかい。
「ゼロス、目が泳いでるぞ?」
きょとんとした瞳で問いかけているガウリイ。
「…ガウリイさんにつっこまれるなんて…明日は雪でしょうか…」
「…お゛ひ。」
ガウリイに突っ込まれたことで面白いまでにその場にていじけはじめるゼロスと。
そして、そんなゼロスにむかって思わず突っ込みをいれているガウリイ。
「…魔族って…いったい…」
そんなその場にいじけ始めているゼロスをみつつ。
ぽつりとそんな台詞をつぶやいているヴァルの姿が、しばし具間見られてゆく。

とりあえず、そろそろ日も暮れかれてきた、というのもあり。
ようやく延々と続いた互いに一方通行の会話を終えたアメリア達と共に。
近くに見えている町にと向かって歩き始めてゆくあたしたち。

さって。
あそこで面白い、というか、彼らも一緒に泊まってるから。
面白くなるでしょうね。ふふふふv


                                    -続くー

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あとがきもどき:
とりあえず、この外のエビソードは短いから。
一話が20KB前後でいっか、うん(こらこらこら)
ちなみに。わからない人のための説明をば。
これは、作者、神坂一先生の作品。風の吹くまま。が原作となっております。
一番初めにこのネタ書いたのはこの漫遊記なのよー。
でも、パソに打ち込みしたのはほかのが先なんですけどねぇ(こらまて)
何はともあれv次回で登場vキースたちですv
んではではv
2003年12月11日某日

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