エル様漫遊記・覇軍の策動偏
あたしに挨拶をした後、ふとあたし以外の存在たちにようやく気づき。
そして、
「えっと。お久しぶりです。ユニット様。
それにアメリア姫。ゼルガディス殿やガウリイ殿たちはともかく……
ミルガズィアさんたちも。またリナさんとご一緒に旅をされているのですか?」
ミルガズィアとメフィの姿を認めてそんなことをいっているルナだけど。
「…あのぉ?僕は無視ですか?
「別にあなたには挨拶する必要はないでしょう?」
「……しくしくしく……」
ルナの一言にその場にうづくまり、何やらいじけているゼロスだけど。
まったく。
「えっと。確かルナさんはまだあの異世界にいる。って聞いてましたけど……」
以前あたしが説明していることもあり、素朴な疑問をルナにと投げかけているアメリア。
いきなり誰かが出現する…というのにも、リナさん絡みですと何か慣れてきましたね。
そんなことを心で思いつつ問いかけてるようだけど。
別にそんな些細なことは、なれるも何も驚くようなことでもないしね♡
そんな素朴な疑問を投げかけるアメリアの言葉に。
「ああ。それはエルさ…もとい、リナさんに呼ばれま…とと。…もとい。
いきりヒドラもどきの魔族がやってきたので、話を聞きにきたんですよ。」
あたしに呼ばれたから。
といいかけた言葉をあわてて言いつくろい言い直しているルナ。
言い直さなかったらこのまま辺りに転がってる枯れ木ででも突き刺しておいたんだけどね。
ふふ。
「……今…【呼ばれたからきた。】というようなことをいいかけてなかったか?」
「…気のせいです。というか深く追求しないでください。と…ところで、何のご用なのでしょうか?」
「「…だからなぜ妹御に敬語……」」
何やらつぶやいているミルガズィアとメフィはひとまず無視。
「ああ。あのヒドゥルはあたし達にちょっかいかけてきたのよ。
消滅させたり、掃除当番をやらすよりあっちで有効利用すればいいとおもってね。
でもってルナを呼んだのは、そこに転がっている人間達。
とりあえず邪魔…もとい、気を失っているようだから、どこかに連れて行ってもらって、
ついでにリハビリでもしてもらおうと思ってね♡」
そんなあたしの言葉をうけ、ちらり、と道端に倒れている人間達をみつつ。
「……なるほど。自我を壊され、下級の下っ端魔族たちの器にされていた人間…ですか。
……扱いはどうしましょうか?」
「ルナに任せるわよ♡」
「判りました。とりあえず彼らはゼフィーリアにでも連れて行っておきます。
それでは、皆様、失礼いたします。」
しゅっ。
深々とあたし達、というか主にあたしとユニットに対し敬意を示し、お辞儀をし。
そして出現したとき同様に、転がっている人々とともにそのまま瞬時に掻き消えて行くルナの姿。
「…毎度のことながらいつも唐突だなぁ~……」
そんなルナをみて、のほほんと何やらいっているガウリイに。
「「そういう問題(か)(でしょうか)(だろうか)?」」」
なぜか、ゼル・ミリーナ・ルーク・ミルガズィア・メフィ。
そしてシルフィールの声が一致する。
「…き…消えた!?あ…あの?一体?!」
一人、事情が飲み込めず、面白いまでに混乱し動揺して何やら叫んでいるジェイド。
くすっ。
「気にしない。気にしない。それより、とっとと先にいきましょ♡」
「そうそう♡」
『・・・・・・・・・・・・』
にこやかなあたしとユニットの言葉になぜか全員無言と成り果てる。
「…ま…まあ確かに……。急がないといけないのは事実…だしな……」
リナに関しては…絶対にアレとかかわりがあるのは明白ゆえに、あまり深く追求しても…な。
そんなことを思いつつ、つぶやくようにいうゼルの言葉に。
「と、とりあえず!ともかく、やはり
ここは、正義に目覚めさすべく説得を!!」
「……いやあの…ですから……」
どういて今のを目の当たりにして皆さん…平然としているんでしょうか?
アメリアの力説にぽつり、とつぶやいているジェイド。
そんなジェイドに。
「ジェイドさん♡気にしたらダメですよ♡」
にこやかに話しかけているゼロス。
まったく、細かいことを気にしてどうするのかしら♪
ふふ♡
「とりあえず。先にいきましょ♡」
トッン♪
いって軽く大地を片足で踏みしめると同時。
ゴゥ…ン……
足元の大地がうごめき、ある世界でいうところの、『歩く歩道』もどきと成り果てる。
「うにゃぁ~!?」
「どわぁ~!?」
「って、まてぃ~!!」
何やら悲鳴みたいな声が聞こえてきているようだけど。
ま、気のせいでしょう♡
たかが時速七十K/Mくらいのスビードが出てる程度で騒ぐこともないでしょうしね♡
「――ジェイド様!!」
あたし達がエルフの村を出て二日目の夕刻。
とりあえず、キリのいい時間帯を見計らい足を止め。
食事や休憩もそして就寝…というようなことは、そのときそのときの手近にある村などですませつつ、
あと少し。
明後日、といわずに明日の昼にはガイリア・シティにと到着する。
なぜかぐったりしているジェイドやミルガズィアにメフィ。
そして未だになれないらしく顔色の悪いシルフィールに今にも吐きそうになっているゼル。
どうも、彼らってば、動く地面になれないらしいのよねぇ。
まったく……
ふらふらしつつも、あたし・ユニット・ゼロス以外ではけっこうまともなアメリア。
そしてまた。
「……?何だ?あのに~ちゃん?」
もう何があっても驚かない。
となぜか完全に悟っているガウリイが、少し離れた場所から投げかけられたその声の主のほうをみて言っている。
何やら走ってきている男性が一人ほど見てとれるけど。
そんな男性をみて、首をかじ゛。
「…?貴公は?」
どこかでみたことあるような……
そんなことを思いつつ、名前を呼ばれたこともあり、不思議に思いつつ振り向くジェイド。
そしてまた。
「…あんたは……」
その姿に心当たりがあるゼルが多少驚きつつもつぶやきをもらすと同時。
「あれ?たしか門番その一さん!」
「まあ。ガイリア・シティの門番さんじゃないですの?」
――ごけっ!
二人して名前を綺麗さっぱり忘れているアメリアとシルフィールの言葉に、
その男性――つまり、先日あたし達が待ちに入ろうとするのを阻んだ兵士の一人『マイアス』は、
その場に面白いまでに突っ伏していたりする。
「…なんだ。あのときの人間か。」
「別に名前を覚える必要もなかった人間ですわね。」
さらり、というミルガズィアとメフィの言葉に起き上がろうとしたマアアスは再び地面につっぷしてるし。
…楽しい♡
「なあ。この兄ちゃん誰だ?」
未だにわかっていないガウリイに
「お前のことだから覚えてなくて当然だ。ガイリア・シティに入ろうとしたときに足止めしてきた兵士その一だ。」
「そんなやついたっけ?」
ほのぼのとしたやり取りをしているガウリイとゼル。
そんな会話を聞きつつも、
「…僕ってそんなに印象薄いでしょうか……」
なぜかその場にて地面に線をかきつついじけているマイアス。
「それで?いったいどうしたんですか?門番さん?」
わざと名前を呼ばずに問いかけるユニットの声に、
「……ですから…マイアスですってば……くすん……」
面白いまでにいじけているマイアスの姿が。
「名前なんかどうでもいいが。……何かあったのか?」
さらに止めを刺すルークの言葉に。
「しくしく……どうせ僕は影が薄いし……ただの下っ端兵士ですし……」
などとつぶやきつつも、瞳に涙を潤ませて、
「…実は…みなさんがやってきたあの日。グライア様が待ちにやってこられまして……」
いじけつつも説明を開始して始めてくるこのマイアス。
グライアが一人、城にとむかったこと。
そして夜までに戻らなければジェイドに伝えてほしい…ということ。
そして……
「あの日の昼から昼夜とわず、立て続けにデーモンが出没しはじめて……」
『――!?』
マイアスの言葉に、ルーク・ミリーナ・ゼル・アメリア、そしてシルフィール・ミルガズィア、
メフィ・ジェイドの計八人は同時に顔を見合わせる。
「…町の中に…ですか?」
「昼夜とわず?」
震える声で問いかけるシルフィールとミリーナの声に、
「ええ。…これは尋常でない、と思い…みなさんに連絡を…と思いまして……」
何かあればジェイドと、そしてあたし達に連絡してくれ。
とマイアスはグライアから頼まれていたがゆえのこの行動なんだけど。
「――何があったのだ?」
「とにかく。詳しく話してもらえます?」
問いかけるミルガズィアと、それに続けてアメリアの声が重なっていたりする。
どうでもいいけどね今あたし達がいるのはちょっとした小さな町の中央広場。
それゆえに周囲に他の人間も多少いるのにね♪
好奇心からあたし達の会話に聞き耳立てている人間達から面白いまでに負の気が発せられてるし。
人間というものは面白いもので、怖いもの見たさという好奇心から、聞かなくてもいいことや、
そしてまた、知らなくてもいいようなことまで知りたがるし…ね♡
「皆さんが町にとやってきて…そしてしばらくして…昼過ぎごろからでしょうか?
いきなりその…レッサーデーモンっていうんですか?
それとかのっぺらな人型をした【何か】がとかが町の中にいきなりあちこち出てきて……」
「あちこち…とは、何匹もか?」
ルークの問いにマイアスはこくり、とうなづき。
「一箇所に少なくて一匹。多くて二~三匹。しかも同時に何箇所も……
デーモンなんてみたのはその…私は始めてでしたがあれは……」
などと青ざめた顔でいってくるマイアス。
「まあ。俺達にとってはレッサー・デーモンやブラス・デーモンなどといったヤツラは、
【ちょっとつよいだけの雑魚】に過ぎないが。
確かに普通の戦士や魔道士にとっては洒落にならん相手、というのは間違いないしな。」
腕を組みつつそういうゼルの言葉に。
「でもゼルガディスさん。私の父さんは素手でど突き倒せますよ?」
「お前の父親やリナ達は例外だっ!」
きょんとして突っ込みを入れてくるアメリアに、はっきりきっぱり言い切っているゼル。
「…まあ、あのおっさんじゃあなぁ~……」
「…ルーク。あれでも一応セイルーンの時期国王ですよ?」
そんなアメリアやゼルの会話に、フィリオネルのことを思い出し、多少顔色も悪くつぶやくルークに、
そんなルークにこれまた顔色を多少変え、額に一筋の汗を流して突っ込みをいれているミリーナ。
「…あのフィルさんのことはいわないでぇぇ!!!」
一人未だになれないらしく、何やら絶叫に近い声で叫んでいるシルフィール。
未だにトラウマになってるみたいなのよねぇ。
王子のイメージとのギャップうんぬんで♡
面白いからいいけど。
「レッサーデーモンとかブラスデーモンって下っ端雑魚魔族以外の何者でもないし。」
「誰でも倒せるわよねぇ。リナ♡」
至極最もなことを言うあたしとユニットに。
「…いや、誰でもって…無理かと……。それに素手でって…フィリオネル王子って……」
アメリアがセイルーン第一皇子。
フィリオネル=エル=ディ=セイルーンの第二皇女と知っているジェイドが何やらぽそり、といってるけど。
「「あの人を王子だなんていわないでくださいっ!!」」
ものの身日とにミリーナとシルフィールの声がそんなジェイドへと一致する。
「まあ。普通の人間さんたちからすれば、あの皮膚と魔力ですし。
あんな下っ端さんたちでもとりあえず、普通の剣などは通用しませんしねぇ。
並みの攻撃魔法ですらあまりダメージは魔力容量的にダメージを与えられないようですし。
人間の
にこやかに、さらり、とそんなことをいっているゼロス。
「……警備隊やら傭兵やらの人たちと一緒に何とか倒すには倒したんですけど……
その日の夜、グライアさんが町に見えられて……
【今から城にいく。夜までに戻らなかったら弟たちに伝言頼む。】そういわれまして……
ですけど…その、デーモン出現はそのときだけでなく朝になっても……
しかも、夕刻からは城からの増援すらこず……
城から出ていた人々の話によれば、昼過ぎから城への出入りが一切できなくなった…と……」
「「……は?」」
マイアスの言葉に思わず問いかけている、あたし・ユニット・ゼロス・ガウリイを除く全員。
「…つまり?どういうことですの?」
問いただすミリーナの声に促され。
「それが…どうも、誰一人として城へ出入りが出来なくなったらしいんです。
私が直接みたわけではないのですが…
他の人の話だと、城門は閉ざされ、中の様子もわからないらしく……
グライアさんが城に向かわれたその日の夕刻にもデーモンは出現したのですが…
城から増援が一人もこなかった…と。グライアさんのこともあり、ただごとじゃあない。と思い。
それゆえに、夜をまってどうにか町を抜け出してきたんです。
こんな近くでジェイド様たちに出会えるとは夢にも…うっ……」
いって目頭を押さえるマイアス。
「…城から兵もこない…となると……」
「ああ。何かあったのかもしれんな。」
うなるように言うルークに同意して、続けざまに言っているゼル。
「それか、国王がよほどの根性なし。もしくは城の中で何かがあったか…ですわね。」
マイアスの説明を聞き、さらりといっているメフィ。
「というか。
『十分何かがあった。』ということになるんじゃあ♡」
「…はおっ!?」
にっこりとそんなルークとゼルをみつつ言うユニットの言葉に、マイアスが何やら言葉に詰まってるけど。
「…とりあえず、いってみるしかないですわね。」
「元々我らも町に向かっていたところだしな。」
淡々と言っているミリーナとミルガズィア。
そしてそんな会話をききつつも。
「……なあ?いったい結局どういうことなんだ?」
…ごけっ!
のほほんとしたガウリイの言葉に、その場にこけている、マイアス・ゼル・ルークの三人。
「ガウリイさん。ですから急いでガイリア・シティに向かおう。ということです!」
そんなアメリアの説明に。
「何だ。それならオレ達は町にむかってたじゃないか。」
「……ガウリイさん…相変わらずというか何といいますか……」
しみじみそんなガウリイをみていっているゼロス。
「……本当っに変わった人間だな…この男は……」
「…ですわね…叔父様……」
「とりあえず、しっかりと休養をとらないと。いざというときに困るかもしれないし♡
今日のところは宿でやすみましょ♡」
「…リナさん…何か楽しんでませんか?」
にこやかなあたしの言葉に、シルフィールが何やらいってくるけど。
くすっ。
「あら?夜更かしは美容の大敵なのよ♡」
「あと寝不足も♡」
「とりあえず夜になりかけてますし。リナさんの意見に賛成ですっ!」
交互に言うあたしとユニットの言葉に、同意してくるアメリア。
「……こいつら、緊張感がまるでないな……」
「ま…まあ、休息が足りなくて全力が出せなくても困りますし。ルーク。」
頭に手をあてて、うなるようにつぶやくルークに、多少額に一筋汗を流しつつも淡々と言っているミリーナ。
「決まりね♡」
「……あ…あのぉ?」
一人戸惑っているマイアスはひとまず無視し、
今日のところはあたし達はひとまず、この町でゆっくりと休み、翌日の朝出発することに。
-続くー
HOME TOP BACK NEXT
####################################
あとがき:
L:あたしの活躍はぁぁぁぁぁぁぁぁあ!?
薫:ぎくっ!
L:あたしがまったく活躍してないじゃないのよっ!?
薫:傍観してらっしゃるのはエル様じゃないですか(汗
L:それはそれ♡
薫:とりあえず…エル様は覇王に気づかれないようにと気配すらかくしてらっしゃるじゃないですか……
L:それでも、あたしの活躍を増やすのがあんたの力量v
薫:・・・・・・・・・・しくしくしく・・・・・・・
・・・・・・・・・・とりあえず突入(?)まではこのままなのですが……
L:なんですってぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?
薫:あああ!その手にもってるミキサーはなんですか!?
L:さってと。ここに取り出しましたるミキサーは、何とちょっとした人間なども簡単にみじん切りにv
というわけで、ここで実験をv
薫:しなくていいですっ!・・って・・んきゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!
L:さってと。ミキサーの中でなぜか細切れになっている薫はともかくとして。
それでは、また次回で。
まったねv
2006年3月2日某日
HOME TOP BACK NEXT