エル様漫遊記・覇軍の策動偏
「……で。だ。ゼロスよ?今回のこの一件。いったい何なのだ?」
「ですからぁ。僕は
「なら質問を変えよう。…今回裏にいると思われる
……リナ殿がこの一件に関わっているのを知っているのか?」
「いえ。知らないハズですよ?というか。リナさんも『知られたら面白くない。』とかおっしゃってましたし♡」
「……つ~か、あのリナって、いったい全体、『何』なんだ?そこのに~ちゃんはもう寝てるし……」
「…ぐ~……」
男性は男性のみ。
ジェイドとグライアはしばらく落ち着きたい、というので、ミルガズィア・ルーク・ゼロス・ガウリイ。
そしてゼルガディスの五人が一部屋に。
そして、グライアとジェイドの二人が一部屋。
そしてあたしとユニット、アメリア・シルフィール・ミリーナ・メフィが一つの部屋。
計三つの部屋にそれぞれ泊まることにしているあたし達。
部屋の中でそんな会話をしているミルガズィアにゼロスにルーク。
ガウリイはといえば、とっとと一人横になり眠っていたりするけども。
「いやぁ。あっはっはっ♡ですからそれは……」
「秘密ってか?」
「秘密というのだろう?」
言いかけるゼロスの言葉をさえぎり、同時にいうルークとミルガズィア。
そんな二人に対し。
「ひどいっ!ミルガズィアさんもルークさんもっ!グレますよっ!僕っ!」
などといって、
「…しくしく…どうせどうせ……」
何やらいいつつも、部屋から出て行っていたりするゼロスの姿が見受けられていたりする。
ゼルはといえば、一人まだ食堂にと残っていたりするけども。
一方で。
「…兄さん。でもっ!」
「大丈夫だ。父上が死んだ…と聞かされて、黙っているわけにはいかぬ。
おまえは彼らとともに、態勢を整えてくるがいい。」
「でもっ!」
「
パタッ。
…ぐ~……
何やら言い合いをしているコードヴェル兄弟。
なおも食い下がるジェイドに術をかけて眠りに誘い、
そして懐よりあるお守りを取り出し、ベットに横たえたジェイドの手にとそれを握らせる。
多少の加護はあるはず。
もしも自分の身に何かあっても弟だけは……
そんなことを思いつつ、窓を開け広げ、そして。
「
ガイリア・シティに向けて窓から飛び立ってゆくグライアの姿が。
この術ならば夜のうちにと町にたどりつける。
幸い、今日は新月。
ゆえに見張りの目をかいくぐり、町に…そして城の中にも入れるはず。
そんなことを思いつつ、一人夜の闇を飛んでゆくグライアの姿が見受けられていたりするけども。
くすっ。
「あら♡やっぱりいったわねぇ~♡」
「みたいね~♡}
とりあえず、外の空気を吸ってくる、といって夜の散歩をしているあたしとユニット。
夜空を飛んでゆく人影をみてそんな会話をしていたりするけど。
まあ、あの人間がこういう行動をとるのはわかってたし♡
それに彼としては、【かつてのレイナードと同じことが起こっている。】というあたしの言葉に、
どうにかして手遅れになる以前に国王を助け出したい。
という想いがあるようだけど。
すでに
まあ、それはそれで別にいいんだけど。
飛んでゆくグライアを見送りつつ。
何はともあれ、あたし達はひとまず夜の散歩と洒落込みますか♡
「…眠れませんわ。」
いって一人、すでに眠っているアメリアとメフィをそのままに、部屋から出てゆくシルフィール。
「リナさんたちはまだ散歩から戻ってきてないのですわね。……あら?」
ふと、それと同時にミリーナの姿も見えないことに気づいて、首をかしげていたりするけども。
とりあえず、何か食べてもう一度横になれば…そんなことを思いつつも、
ひとまず服を着替えてから、すでに人気が余りなくなっている一階の食堂兼酒場にと一人おりてゆく。
先ほどまでの騒がしさはないものの、食堂にはランプの明かりが灯っており、そして。
「…あら?ミリーナ…さん?」
食堂の片隅のテーブルに一人腰掛け、ちぴりちぴりとお酒を飲んでいるミリーナの姿をみとめ、
「どうかなさったんですか?お一人で?あ。すいません。何か暖かいもの。できます?」
ミリーナに語りかけながら、彼女の座っているテーブルの前の椅子に腰を下ろしつつ、
カンウターの中にいる宿の主人に話しかけているシルフィール。
「…シチューの残りを温めるくらいなら……」
そう返ってくる返事に、
「ではそれをお願いいたします。」
いって、ミリーナにと視線をむけ。
「ミリーナさんも。やっぱり眠れないから…とかですか?」
そんなことを問いかけていたりするミリーナ。
そんな問いかけるシルフィールの言葉に。
「えぇ…まぁ……」
お酒をちぴちぴと飲みながら気のない返事を返しているミリーナ。
「そういえば。今まであまりミリーナさんと二人っきりで、ゆっくりできるとき。というのはなかったですわね。」
そういうシルフィールの言葉に。
「今まではそれどころではなかったですしね。
ゆっくり話しをする…といっても、いつ襲撃があるかわかりませんでしたし……」
宿などでは二人一部屋だったりしたものの、だけどもそれどころではなかったですし…
そんなことを心で思いつつも返事を返しているミリーナ。
そんなミリーナの言葉にすこし微笑つつ。
「それに。ミリーナさんのそばにはいつもルークさんがいますしね。」
「そういうシルフィールさんは、何かあのガウリイさんのことを…?」
逆に問いかけているミリーナ。
ミリーナに逆に問われ。
「わたくしのあこがれ…みたいなものですわ。ガウリイ様は、リナさんたちと旅をしつつ。
何か『運命』を探している。とかいわれていましたし。
…そういえば、ミリーナさんはどうしてルークさんと旅をなさっているのですか?」
今の今までそのことに関して効いてなかったことに気づき、ふと問いかける。
そんなシルフィールに対し。
「……私は…不器用ですから……」
あからさまなルークの好意にどう応えていものか。
彼が本気…というのはわかっているつもりではある。
あるが…だからといって、自分が、『紅い髪の人は好きではない。』といったら、
紅かった髪を黒く染め、自分の前に現れ。
そして半ば強引ともいうべき一緒に旅をし始めたルーク。
そんなルークのことを思い、すこしため息をつきつつも応えるミリーナ。
ミリーナは、『他人に好意を向けられる。』ということには余りなれてはいない。
また、人付き合いなどもどちらかといえば苦手な口。
感情を上手に表に出すことができない。
それなのに……などと一人いろいろと思い悩んでいるミリーナ。
ミリーナがそういう性格になったのは、幼いときの経験から。
両親を…そして、村人全てを失った、まだ幼かった彼女が生きてゆくためには――
だが、そのようなことをシルフィールが知るはずもなく。
「…えっと…それってつまり……」
よくわからない答えですけど……
そういいかけるシルフィールではあるが。
ふと。
ばっ!!
とある気配を感じ取り、思わずふりむくシルフィール。
振り向いたシルフィールの目に映ったのは、薄暗い店内。
そして天井に揺れているランプ。
そしてくすんだ壁…傍目には何の代わり映えもないのだが。
……だが、わかる。
一応、これでもシルフィールも巫女だからねぇ♡
カタン、と椅子をひきつつ立ち上がり、身構える口の中で呪文の詠唱を始めるシルフィール。
そんなシルフィールにとかわり。
「…どうやら、気のせいではありません…わね。店のおじさんがいなくなっています。」
ミリーナも言って、シルフィールと同じくカタン、と椅子から立ち上がり、その片手に剣を携え身構える。
そして、ちらり、とカウンター越しにと見えていた厨房の人影が姿を消しているのを再度確認し。
「どうやら、また結界に取り込まれたようですわね。」
淡々と言い放っているミリーナ。
そんなミリーナの声に応じ。
「……ほう。ずいぶんと落ち着いたものだな。それともあきらめが生んだ余裕かな?」
低い声が、結界内部と化している空間にと響き渡る。
結界…といっても、あたしからみれば、この程度ならば赤ん坊でも解けるような代物だけど。
身構えるミリーナに、そして惑わされることのないように、と、
目を閉じて精神を集中し、口の中で呪文を唱えているシルフィール。
だがしかし、そんなシルフィールの様子を『あきらめている。』と捉え、嘲笑とともに、
「……くく……我が姿が見えぬ…か。所詮人間…というものよ。
シェーラ様も何ゆえにこのような輩を警戒しておられるのやら……」
などと、悠長にそんなことを言い放ってるけど。
…というか、相手が何をしようとしてるかくらい…わかりなさいよね…普通は……
そんな中にもシルフィールの術が完成し、
「
シルフィールの放った術は、寸分たがわずに天井のランプに直撃する。
にゅる…どろり。
光が直撃するその直前。
その青い光は闇にと解け消え、それと同時に天井のランプが説けるようにと姿をゆがまし。
ゆっくりとそれはどろり…と床におち、それはやがて人の形を成してゆく。
…どうでもいいけど、瞬時に空間を渡る…くらいはしなさいよね……
「……危ない。危ない。だが、このわしにそのような術は効かないとて。
しかし…よくわしがいる場所がわかったのぉ~。」
いいつつも、うねうねと液体のようなそれをうごめかせ、
それは人の形を形成しつつも、シルフィールとミリーナに向けて言い放つ。
……というか、普通誰でもわかるってば……
「何ものですっ!」
いって身構えるシルフィールに対し、床にわだかまっているそれは。
ヒカリゴケを固めて作ったかのような人の顔の部分に黒い二つの虚ろな瞳。
その瞳ともいえないもので、シルフィールとミリーナをみつめ。
「これで見えたであろう?人間よ。
我が名は覇王将軍シェーラ様貴下、グバーグ。我が名を覚えておくがよい。」
グバーグ、と名乗ったそれが自己紹介をしているそんな中。
「
術を唱え終わっていたミリーナが、力ある言葉をつむぎだす。
だが、ミリーナの放った術は、グバーグ、と名乗った物体もどきの黒い瞳の部分にと吸い込まれてゆく。
というか、こいつが姿を見せているこれって、一部以外はただの幻影だし。
「ムダなのだよ。このグバーグの瞳は全てを虚無に導きゆく。
ゆえにその瞳を持つ我を倒すのは不可能。
他の連中のところにもそれぞれ刺客がいっている。仲良く一緒に死なせてやるよ。」
笑いながら言うグバーグの言葉に。
「…虚無に導くって…まるで金色の魔王の力みたいなことを……」
「ひぁぁぁぁぁ~~~!!!!!!!??」
バシャっ!
シルフィールのぼつり、ともらした一言に、あからさまに絶叫し…
そして、なぜか物体形態を取ることすら困難になり。
どろり…そのその場において液体のように成り果て、床にとへばりつく。
「…ど…どうしてその御名を知っている!?」
などと、何やら叫んでいるけど。
なぜか今ので液体状の姿ですらも多少姿が透けかけてるし……
「リナさんじゃあるまいし。こんなやつがそんな力を使えるはずじゃありませんわ。
おおかた空間を湾曲するか何かして術を無効化してるんでしょう。
でなければ、こんなパシリのようなことをやっているとは思えませんし。」
「でも。あのゼロスさんもリナさんの便利なアイテムと化してますけど?」
そんな会話をしているミリーナとシルフィール。
一応、ミリーナも簡単な『金色の魔王』に関する知識はもっているからねぇ。
正確なものではないにしろ♡
二人の会話を聞きとがめ、あからさまに声に怯えの色を含ませ、
「…なっ!?リ…リナ・・・ だと!?まさか、あの『リナ=インバース』か!?
しかもゼロス…とは、まさか
あの、絶対に手出しをしたり関わったりするなっ!と腹心の方々はもとより。
魔王様からも厳命が下っている…あのっ!?」
などといっているけど。
そして、
「…な…なるほど……。あの『リナ=インバース』という人間の関係者か…なるほど……
どうりでシェーラ様がおきになさるわけだ……」
どうも勘違いしてるみたいだけど。
関係者、というか実はあたしも関わっているのに…ね。
くすっ。
どろり…と床に溶けたままの形状を成しているグバーグが、すこしその液体もできを気持ちほどもたげ、
そしてそのもたげたそれに黒い虚ろの瞳を出現させ、二人をみやり。
「……みせてやろう。我が猛一つの力を……」
ざわっ。
いうなり床の上で液体がうごめき、グバーグの液体もどきの体はどんどんと広がってゆく。
というか、どうにか気力でやっているようだけど。
未だにあたしの通り名…
つまり呼び名の一つを聞いたが為に、まともな物質形態をこいつ…取れなくなってるからねぇ~……
「……我が体は徐々に広がり、この結果内全てのものをやがて侵食する。人間ども。きさまらもな。」
などと未だにちょっぴし怯えの入った声で、だがしかし勝ち誇ったようにいっているけど。
…未だにこいつ、あたしが一緒に行動してる…というのに気づいてないし…
というか、実はすぐ近くにいるのにね♡
まあ、そういった報告もこいつは受けていない…というのもあるにしろ。
それにしても情けなすぎるわよねぇ~……気づかないなんて……
ここはやっぱり、お灸は必要…よね♡
ふふ♡
「
カッ!!
ミリーナとシルフィールとは別の声。
無論グバーグの声でもないそんな声がミリーナたちに聞こえてゆく。
グバーグの下部からミリーナたちには聞こえているように感じているようだけど。
あたらずとも遠からずv
それとともに、結界内部…といわず、部屋全体にとちょっとした魔法陣が浮かび上がる。
というか別にそういうモノはなくてもいいけど、やっぱり『形』は大事にしないとね♡
「…なっ!?」
それに驚き、ずるり…と一箇所にわだかまるように具現化しているグバーグが。
ようやくこちらに気づいて、あたし達のほうにと振り向くけど。
というか、あたし達さっきからここにいたってば♡
別に何てことはなく、宿のほうで面白いことが起こっているのでしばし傍観しつつも。
だれどもおもいっきりこいつが勘違いをしているようなので、ちょっぴしちょっかいをかけただけのこと。
そして、ようやくこちら…即ち、あたしとユニットの姿に気づき。
「…なっ!?馬鹿な!?どうやってこの空間にはいってきた!?」
などとあたし達がいる店の入り口付近をみて何やら叫んでくるけど。
それと同時にシルフィールとミリーナがこちらをふりむき。
「リナさん!?ユニットさん!?」
「リナさん!?ミリーさん!?」
二人何やら同時に叫んでくる。
そんな二人の声にあからさまに。
「…だっ!?ナっ!!??リ…リリリリリナだとっ!?」
その言葉に面白いほど本体である精神体そのものから狼狽しうろたえているグバーグの姿。
まったく……
「あらあら。グバーグさん。気配くらいは捉えないと♡」
「あのねぇ。グバーグ。たかが空間をすこし湾曲している程度で大きな口を叩かないの♡
しかも、通り名だけでまともに具現化することすらもままならなくなってるなんて……
ダメねぇ…仮にも魔族とうくせに……」
「がっ!!?」
バシュっ!
言葉と同時。
ちょっとしたお仕置きをかねた小さなとある球体が、グバーグの本体。
つまりは精神体内部にとはじけ、炸裂する。
たかがそれだけで、物質世界・精神世界ともに何やら苦しみ消滅しかけているグバーグだけど。
まったく…いくら何でも弱すぎるわよっ!!
そんなグバーグの様子を見逃すはずもなく。
「「
ミリーナとシルフィール。
二人が同時に唱えていた【力ある言葉】をグバーグに向けて解き放つ。
「…うぎゃぁぁぁぁ~~!?」
バカな!?
などと思いつつ、何ならこんな程度でいともあっさりと滅び消滅してゆくグバーグの姿が。
「ああもうっ!いくら何でも情けなすぎるわよっ!」
思わず本音をもらすあたしに。
「確かに。いえてるわよねぇ。」
同意を示してきているユニット。
「まったく…さっきのシルフィールのいった言葉程度で弱体化するなんて……
たかが通り名じゃないのよ……」
そんなあたしとユニットの会話に。
「…リナさん?…もしかしてずっと視てたんですか?」
リナさんならありえるかも……
そんなことを思いつつ、あたしに聞いてきているシルフィール。
「まあね♡」
「「…『まあね。』って……」」
あたしの即答になぜかつぶやき、顔を見合わせつつ。
だが、気を取り直し、今一度グバーグがいなくなったのを確認して。
「と、ともあれ。リナさん。ユニットさん。もどってきたんですわね。」
「…ナイスタイミング…とでも言うべきでしょうか?」
そんなことを交互にいってくるミリーナとシルフィール。
とりあえず、グバーグにはある場所の掃除でもさせとくとしますかね♡
「面白いことを何かやってたからねぇ。」
ここにしろ、二階にしろ♡
そんなあたしの言葉に、なぜか二人して『面白い』…って……
などと心で思いつつも。
「そ。そういえば。…他のみなさんのところにも刺客が送られている…とかアレはいっていましたけど。」
ふと思い出し、ひとまず今の言葉は気にしないことにして二階のほうにと視線を向けているミリーナ。
くすっ♡
ま、あちらでも面白いことになってるけど…ね♡
-続くー
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あとがき:
薫:……エル様ぁ……(汗
面白がって、宿の外から視てたでしょう?(汗
L:あらv別にいいじゃないv
姫:そうそうv
L:というか。あたしが『外』にいることすら気づかない『下っ端』って…ダメねぇ。
あたし、そんな情けない魔族を創造った覚えはないわよっ!
薫:・・・・・・・・・・・気配かくしてらっしゃるのはどこのどなたなのでしょうか(滝汗…
姫:あら?薫さん?気配かくしとかないと。なぜか気配をすこしでも開放したら。
いともあっさりと銀河の一つや二つ。千や一兆くらいは消滅するわよ?
薫:・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・と、ともあれ。
何か完全にお二方とも傍観主義で楽しんでおられるようで・・・・・
L:いつ気づくかそれを楽しみにしてみたりしてるのよねぇ。
というか、まったく気づく気配すらないし。覇王のやつもシェーラのやつもv
姫:ま、そのほうがいいけどね。
薫:(・・・気づかれないようにしてるのはぜったいにお二方なんじゃぁ…汗)
と、ともあれ。次回はすこしガウリイ達のサイドにも触れますのです(話題転換…
L:とにかく!とっとと打ち込みしなさいねv
姫:そうそうv
薫:・・・・努力しますのです…はぃ…
では・・私はまた続きの編集&打ち込みをば……(この場から逃げる・・ともいう……
L&姫:それでは、まったねvv
2006年1月19日某日
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