エル様漫遊記・覇軍の策動偏

「……しかし、何だってあんたら…共同で武器なんか作ってたんだ?」
ガイリアシティにと続く街道。
目的のエルフの村はそのさらにすこし北の奥。
街道を歩きつつも、ミルガズィアにと問いかけているルーク。
そんなルークの問いかけに、
「降魔戦争の時依頼、我々とて漫然と時を過ごしていたわけではない。
  本気で戦力を投入してきた魔族にとって、我らがいかに無力かはあのときの戦いで思い知らされた。
  主力…のつもりだった我ら竜族の眷属が、腹心の五人の腹心ですらない……
  たった一人のそこのゼロスにあえなくけちらされたときにな。
  …しかも、ゼロスは一撃で我らをほとんど死においやった。」
苦虫をつぶした表情で後ろをついてきているゼロスに、ちらり、と視線を向けつつも説明するミルガズィアに。
「いやぁ。あのときの僕のお仕事はあなた方竜族の足止めでしたからねぇ。はっはっはっ♡
  あ、でも手加減はしていましたよ?僕は手を横に一閃しかしてませんし♡」
にこにことそんなミルガズィアにと答えているゼロス。
「まあ。ついついリナさんにいいように使われているゼロスさんをみたら忘れがちになりますけど。
  一応このゼロスさん、魔王五人の腹心のその次の実力をもっているらしいですし。」
「まったくだ。普段はリナの使いっぱしりなのにな。」
しみじみとつぶやくアメリアに同意しているゼル。
「ひどいっ!アメリアさんもゼルガディスさんもっ!」
そんな二人に対して抗議の声を上げているゼロス。
そんな様子や会話を見聞きしつつも。
「…何か何度もこのゼロスさんが魔族だと聞いても…信じられないのですけど……」
ミルガズィアの前で、兄であるグライアと友に並んで歩いているジェイドが振り向き、そんなことをいっているけど。
とりあえず先頭にあたしとユニット。
その次にジェイドとグライア。
その後ろにミルガズィアとメフィ。
そしてその後ろにゼロスとガウリイ。
最後にゼルガディス・アメリア・シルフィール。
このメンバーで縦に五列となり、道を進んでいるあたし達。
「まあまあ、いいじゃないか。ゼロス。リナにいいようにつかわれている。というのは今さらだろう?
  そんな今さらのことでいじけなくても。事実なんだし。」
ぽんぽんとゼロスの肩を叩いていっているガウリイ。
「ひどいっ!ガウリイさんまでぇぇ!」
瞳に丁寧にも涙を具現化させて抗議の声を上げているゼロスだけど。
「まあまあ。いいじゃない♡そんなどうでもいいこと♡」
「つまり、竜族はエルフ族はいずれ訪れるであろう魔族の侵攻に備えていたわけですわね。」
にこやかに、さらり、というユニットに、しみじみうなづきつぶやいているシルフィール。
そんなシルフィールの言葉に。
「その通りだ。我ら竜とエルフはいずれ来るべき魔族の侵攻に備えて様々な武器などの開発に着手した。
  そこのゼルガディス殿とアメリア殿。この二人を以前私が異界黙示録クレアバイブルのもとへ誘ったことがあったが
  私がその道を知っていたのは異界黙示録クレアバイブルより知識を得て
  魔族に抗う武器を作り出すために頻繁に出向いていたからに他ならない。」
歩きつつ淡々と語っているミルガズィア。
「でも。ミルガズィアさん?あのときミルガズィアさん。ゼロスさんに抵抗しませんでしたよね?」
あのときのことを思い出し、首をかしげ問いかけるアメリアに対し。
「武器の製造はエルフたちの村でやってもらっていたからな。
  装備もなしにゼロスに立ち向かうのは自殺行為だ。…それに…だ。
  幼いながらに我ら竜族をあさりと撃退したリナ殿がいた。ということもあるしな。
  はっきりいって私はリナ殿には勝てる気はせん。」
どきっぱりと言い切るミルガズィア。
「まあ、リナやユニットちゃんには絶対に誰も勝てないとおもうぞ~……
  そんなことより。なあ?あれって…何だ?」
しみじみいいつつも、ふと前方をみつめ、誰にとも問いかけているガウリイ。
「?ガウリイ様?どうかなさったのですか?」
前方をみて首をかしげているガウリイに問いかけているシルフィール。
「いや。何か前のほうで何かが燃えてるらしい煙が上ってるんだけど……」
いって目の前に手をかざし、道の先を見つめるガウリイに。
「?」
「何もみえませんけど?」
いいつつも、互いに顔を見合わせていっているコードヴェル兄弟。
「この彼が異様に目がきく。というのは我らとて知っているしな……」
「確かに。人間ばなれしてますわよね。この人間は。」
そんなガウリイの言葉に、何やら交互につぶやいているミルガズィアとメフィ。
「ガウリイさんは物覚えはともかく。目や運動神経だけはいいですからねぇ。
  …でも……煙……ですか?」
首をかしげ、ガウリイに問いかけるアメリアに。
「何か建物がいくつか燃えて煙が空に上ってるみたいだぞ?」
『……!?』
ガウリイの言葉に、それぞれ顔を見合わせている九人。
そして。
「急ぎましょう!」
いうなり、だっと駆け出すアメリアに。
「あら♡走っていたらデーモンの襲撃はとっくに終わっちゃうわよ♡」
あたしの振り向きざまな言葉になぜか一部を除いて全員沈黙し。
そして。
「リナさんっ!そういうことは早くいってくださいっ!」
なぜか足をとめ、抗議の声を上げてくるアメリアに。
「……どうやらゆっくりはしておられんようだな。ロラーザロード。」
あたしの言葉をきき、うなづきざまにうなづくミルガズィア。
と。
グッ…ン。
『なっ!?』
ひっぱられる感覚と、視界の変化に驚きの声を上げているジェイドにグライア。
そしてミリーナとルーク。
「なるほど。これならば早くつきますね。」
以前、ミルガズィアのこの術はみたことがあるのでポン、と手をうち言っているアメリア。
足は地面につったった状態のままで、止まったままぐんぐんと、
ちょっとしたスピードで先に先にと進んでゆくあたし達。
大地に干渉し、そして風にも干渉して違和感を産むことなく移動しているのだけど。
「竜の魔力っていうのはこういうときには舌を巻くものがあるな。
  …俺としてはリナの瞬間移動よりこっちのほうが気が楽だが。」
しみじみとそんなことをいっているゼルに対し。
「それは我らとて同じだ。まあこの術は人の姿で旅をするのに移動が不便なものでくみ上げたものだがな。」
『…不便だからくみ上げた…って……』
ミルガズィアの言葉にルーク・ジェイド・グライア三人の声が重なる。
「そんなことより。見えてきたみたいよ♡」
にこやかに前方を指し示し、後ろを振り向き言っているユニット。
あたし達は数分も立たないうちにとちょっとした小丘にとたどり着いており、
小丘の上よりすこし先の小さな町が見下ろせる。

「…本当に煙…ですね……」
それをみて呆然とつぶやくジェイドに。
「ああ!町が襲われています!リナさん!急ぎましょう!」
いって走り出しているアメリア
丘から見える光景は、炎と喧騒に包まれて悲鳴などを上げつつ逃げ惑っている人々の姿と。
そして破壊を繰り返しているデーモンの姿が。
中にはデーモン達に対し、応戦している人々の姿も見え隠れしていたりしているがはっきり言って効果はない。
「……デーモン…ですわね。先にいきます。」
そういいメフィはその背にゼナファ・アーマーを変化させ翼を生み出しゼナファ・アーマーの装甲を解除して、
ちょっとした白いゴーレムの様にと姿をかえ、そしてメフィはその姿のままに、
森の中にもみえているデーモン達のちょっとした些細な数の群れの中にとおりたってゆく。

ビービービー……
そのまま辺りかまわず、またまた光線を吐き出しまわりの森ごと。
つまりは、森の木々とデーモンを焼き払っているメフィの姿が。
「ゼラス・ファランクス。」
あたし達、つまりはこちらに気づいて向かってきていたデーモン達に対し、ミルガズィアがつぶやくと同時。
ミルガズィアが生み出した十六発の光球が、こちらに向かってくるデーモン達のことごとくを瞬時に追尾、撃破する。
「あら♡獣王牙操弾ゼラスブリッドの応用技ね♡」
それをみてにこやかに言っているユニット。
「スミレちゃんっ!のんびりとしていないで何かしてください!リナさんもっ!」
そんなあたし達にといってくるアメリア。
「そうねぇ♡それじゃ、とりあえず。エルメキアシャワー♡」
ぱうっ!
ザァァ~……
歩く指をはじき、あたしがつぶやくと同時。
町の上空に青白く光る光球が出現し、
その光の球より青く光る雨がこの辺り一帯にと降りそ族。
パシュッ!
光る雨に触れことごとく掻き消えてゆくレッサーデーモン達。
なぜか雨に触れて町の人々なども気絶していたりするけども。
根性がないわねぇ~…人間も魔族も……
「……リナが手を出したら身もふたもないなぁ~……」
それをみてぽつり、とつぶやくガウリイに。
「これは…烈閃槍エルメキアランス。もしくは崩霊裂ラティルトの応用技…か?」
なぜか硬直しつつ、空より降り注ぐ光る雨をみてつぶやいてるミルガズィア。
一人ゼナファ・アーマーの装甲を纏ったまま、その雨に驚き固まっているメフィ。
似たようなのをこの前、彼らはみてるのにねぇ♡
「さすがですっ!リナさんっ!」
「…つ~か、いつも思うが…人間にこんな技…使えるのか?」
「ルーク。きにしたらダメです。たぶん。」
目を輝かせていっているアメリアとは対照的に、雨をみてつぶやくルークに。
額になぜかひとすじ汗を流しつつもいっているミリーナ。
「…ど…どうやらデーモン達は駆除できたようだな……」
雨に打たれ瞬く間に掻き消えてゆくレッサーデーモンたちをみつつ、
ぽつり、と立ち止まったままつぶやいているゼルに。
「…兄さん……」
「…リナ=インバース殿だから…としかいいようがないな……」
呆然とそんなことをいっているジェイドとグライアのコードヴェル兄弟。
そんな会話をしている最中。
デーモン達がいなくなるのと同時、町の上空に浮かんでいた光の玉を降らせていた光球も消滅してゆく。

「…と、とりあえず終わったようですわね……」
どこか現実逃避をしつつ、あさってのほうをみて何やら言っているシルフィールに。
「…とりあえず。ディルスの首都は目と鼻の先。もうすぐだ。急ごう。」
今のはみなかったことにしてそんなことをいっているゼル。
そして又。
「…何度も聞くが……ゼロス。あの娘は何者なのだ?」
「それは秘密です♡というか…いえるわけがありません……」
ミルガズィアの問いをさらり、とかわしているゼロス。
「とりあえず。ガイリア・シティはもうすぐだし。さ、いきましょ♡」
そんなあたしの言葉に、全員…といってもユニット・ガウリイ・ゼロスは除くけど、顔を見合し。
「そ…そうですわね。」
「早くいかないと。」
なぜだかだらだらと額に冷や汗をびっしょりかきつつもかすれる声でいってくるコードヴェル兄弟。
「……叔父様…このリナさんっていったい……」
「私に聞くな。メフィ。」
呆然としつつも、はたと我にと戻り、
こちらに戻ってきたメフィがゼナファ・アーマーの装甲をといて、
ミルガズィアの横にいき何やらそんなことをいっているけど。
「あら♡あたしはあたしよ♡」
「そうそう。リナはリナだし。とりあえずいきましょ♡」
みるがずぃあやルーク達に話しかけるあたしとユニットの言葉にる
「ま。リナだし。」
それですませているガウリイ。
なぜか未だに納得いかない顔をしているミルガズィアとメフィ。
そしてルークとミリーナにグライアとコードヴェル、そんな彼ら六人に。
『まあリナ(さん)だから。』
と割り切っているアメリア・ゼル・ガウリイ・シルフィールの四人。
そんな会話をしつつも、とりあえず、彼らやゼロス。
そしてユニットを伴い、あたし達はディルス王国首都、ガイリア・シティのほうにとむかってゆく。


              -続くー

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あとがき:
薫:とりあえずきりがわるいのでここで区切りですv
  ちなみにこれでノート2P分(汗…
  このディルス編・・何話になるんでしょうか(汗…
  何はともあれ、次回に続くのですvではではv
  2006年1月12日某日


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