エル様漫遊記・覇軍の策動偏

宿の中にいてもわかるほどに聞こえてくる悲鳴や叫び。
そしてまた、ところどころから聞こえてくる爆発の音。
宿の外にと出てみれば、町の中からところどころ火の手があがり。
そしてまた。
空に、そして街中に多少の数のレッサーデーモンなど、といった存在が闊歩していたりする。

「あら♡何か面白いことになってるわね。」
「そうね。」
そんなあたしとユニットの当たり前な意見に。
「だぁぁ!何をあんたらはそんな悠長な!?」
何やら宿の入り口にて、そんなことを叫んできているルークに。
「……ま、リナとユニットちゃんだからなぁ……」
そしてまた、さらり、と一言のうちに済ませているガウリイ。
「リナさんっ達!何をのんきなっ!とにかくこうしてはいられませんっ!」
なぜか握りこぶしをつくりつつも、きっぱりと断言し。
そして。
そのまま、早口で呪文を唱え。
浮遊レビテーション!!」
町の様子をきちんと把握するためにとその場から飛び上がっているアメリア。
そしてまた、そんなアメリアに続き、
ミリーナもまた、術を唱えて浮き上がり、町の正確な様子を捉えようとしていたりする。
というか……普通、わざわざ確認しなくても判るでしょうに。

アメリアの視界に映ったものは、町を埋め尽くしているデーモンの姿。
黒くうごめく物体が全てレッサーデーモンやブラスデーモン。
といった輩だ…と気づくのにそうは時間はかからない。
「「何なんですか!?これはぁぁ!?」」
何か叫んでるけど。
「…何って、どうみても下級魔族じゃないですか。お二人とも。」
そんなコードヴェル兄弟ににこやかにいっているゼロス。
「怪我人とかが心配ですわ。」
その光景をみて、多少顔色もわるく何やらつぶやいているシルフィール。
そして。
「…これは……」
その数に多少絶句しつつも。
「叔父様。」
簡単な会話を交わした後に、そのまま二人して飛び上がってゆくミルガズィアとメフィ。
どうでもいいけど、街中でゼナファ・アーマーの装甲全開はやめましょうね♡
面白いけど♡

それぞれデーモン達に対して行動を開始している彼らの姿がみうけられている一方で。
一瞬体がすくみ、あたしの横で立ち止まっているままのシルフィール。
こういうときって、それぞれの性格がよく表に出るわよね♡
くすっ♡

町のいたるところでデーモン…と人間達が呼んでいるものたちが闊歩しているが。
でもはっきりいえば自力で実体すらもできない力のない存在ばかり。
それら相手にてこずっている人間達の姿が見てとれる。
それらが吐きだす炎などに巻かれ、家などを焼かれて逃げ惑っている人々や。
中には人の波に押しつぶされている人間など。
なぜか、こういったときの生きている存在というのもはパターン的に決まった例が挙げられる。
他人を助けようと必死になるもの。
もしくは、家族や友人…といった存在のみが優先で他はどうでもいいもの。
さらには、自分さえ助かればそれでいい…と他人をまったく思いやらないもの。
など。
また、全ての存在という存在が手を取り合い手助けすれば、解決する。
というようなことでも、意地の張り合いなどで逆に悪化する。
ということもしばしば。

未だに騒然となっている町の中。
のんびりと宿の前でそんな光景をみているあたし達。
「まったく。ちまちまとやらなくてもいいでしょうに。」
思わずそれぞれに戦っている彼らをしばし視つつも苦笑がもれる。
「リナ。私やってもいい?いい?」
横でユニットがにこやかにうずうずしつつも聞いてくるけど。
「わざわざ行動することもないわよ♡」
いって。
かるくパチン♪
指を軽く鳴らすと同時。
ザァァ……
空より町の中、金色の雨が降り注いでゆく。
『きしゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ~~!!!』
バシュバシュ…ポシュ…
情けないことに、雨に打たれ、何やら絶叫をあげてことごとく消滅してゆくデーモン達の姿。
そしてまた。
メフィがデーモン達ともどもなぎ払っていた町並みも、雨に打たれると同時。
雨と同じ金色にと輝き、町並みもことごとく再生してゆく。
ついでに、憑依されていた小動物なども元通りになっていたりするけど。
それはそれだし。
その辺りに関しては、どうもアメリアたちは気づいてないようだしね。
まあ気づかれても問題ないといえば問題ないけど♪

「…あの…リナさんこれって……」
あたしの横で呆然とそれを目の当たりにして問いかけてくるシルフィール。
あら♡
「別に何でもないわよ♡ちょっぴり【万物の母】の力をつかっただけよ♡」
嘘ではないし。
というかあたしの力のほんの一部にもみたないものを、目に見える形で雨にしただけだし。
力を使った。
という部類にすらも入らない些細なものを♪
あたしの言葉になぜか顔色も悪く。
「…そういえば…リナ殿はあの【金色の王】のことを理解し。
  そしてその力を使える…ということだったですね。以前神官長から聞いたことが……」
などと呆然と町並みをみつつもつぶやいているグライア。
空に浮かんでいたメフィはといえば、眼下の町が光に包まれ。
そして瞬時に再生してゆくのをみて呆然としつつも。
とりあえずその鎧…ゼナファ・アーマーの装甲を溶き、元の姿に戻り。
ふわり、とミルガズィアの横にと降り立ってくる。
しばし、金色の雨は降り注ぎ…そして、しばらく後。
「…やっぱりアレはリナの仕業か……みたところ。金色の王の力を借りた術の一つ…か?」
ため息まじりに戻ってきたゼルがあたしにと聞いてくる。
「…深く考えたら混乱しかねないのであえて考えませんけど……とりあえず終わったようですわね。」
こちらもまた、デーモン達が消滅し、町並みが再生されてゆくのを見つつ、
戻ってきていたミリーナが額に汗を流しつついってくるけど。
「……ま。まあミリーナのいうとおりだしな…しかし。こう襲撃がたびたびじゃあ……
  【魔力】もたないし、剣というか武器もやばいぜ……」
いって剣の柄にと手をかけているルーク。
「……あの存在の力を自在に使うリナさんって……
  ともかく!リナさん!何度もいいますけど!あの力はむやみに使わないでくださいませっ!
  下手をしたらこの世界が終わるきっかけになりかねませんっ!」
あたしに対してそんなことをいってくるメフィだけど。
「あら。このあたしが暴走させるとでも?あ、でもそれも面白そうかもね♡」
「「…ってちょっとまてぃっ!」」
「リナさん!そんなの正義じゃありませんっ!」
「リナさん!?それだけはっ!」
あたしのちょっとしたオチャメな冗談になぜか血の気をざっとひかせて叫んでくるゼルとガウリイ。
そして、アメリアとシルフィールの四人が同時に叫んでくるけど。
「あら?冗談よ♡」
にこやかなあたしの言葉に。
「リナさんの冗談は本気ともとれかねませんね。
  …ですが、確かに。武器が心もとない…というのはありますわね。
  リナさんたち曰く。どうやら敵は覇王ダイナスト一派らしいですし……」
額に汗を流しつつも、冷静にそう意見しているミリーナの言葉に。
「うむ。たしかにそれは一理ある。
  おまえたちの魔力もこれ以後は必要になってくるだろうしな。
  リナ殿たちの言うとおり、ディルスで以前のレイナードと同じことが起こっているとすればなおさらに。
  もしこのまま降魔戦争再現。などということが実行されて魔王が再び復活。
  ということになったら生きとしいけるもの全ての命が消えることになるかもしれんしな。
  ……最も、リナ殿がいる限りそれは杞憂という気もしなくもないが……」
そんなミルガズィアの言葉に、なぜかうんうんうなづいている、ユニットとジェイドとグライア兄弟を除く全員。
「ま。確かに。武器が心もとない。というのはあるかもしれませんわね。
  人間風情がつかっている武器なんてたかが知れたものですし。」
さらり、と的確なことをいっているメフィ。
「…ふむ。よしならば……
  とりあえず我らとエルフ族の共同開発した武器をおまえたちにも分けておいたほうがいいか……」
そうつぶやくミルガズィアに。
「叔父様!?それはっ!」
何やら驚きの声をあげているメフィ。
「だが。メフィ。もし万が一。リナ殿がいったように、かつてのレイナードと同じことが起こっているとすれば。
  このたびの一件の後ろにいるものは、そこの転がっているパシリ魔族の言葉を信じるとするならば。
  魔王の腹心の一人。覇王ダイナストグラウシェラーでてくるのは間違いない。
  あの北の魔王ですら畏れているリナ殿に何か仕掛けてくるとはおもえんが…
  万が一。ということもある。我らの魔力では覇王ダイナスト相手では勝ち目はないが…な。リナ殿は別として。
「ま。たしかに。このリナやミリーちゃんが普通でない。っていうのは俺もミリーナも認めるがな。
  何しろあの獣王グレータービースト海王ディプシーをあごでこきつかっていたしな。
  このリナは。だが武器を進呈してくれる…という話はありがたいぜ。
  何しろここから先はしゃれになんねぇ奴らがあいてだろうしな。」
宿屋の前でそんな和やかな会話をしているあたし達。
ルークはといえば、竜族とエルフ族が共同開発した武器ってすげえだろうな。
などと思いつつ、腕をくんでいっていたりするけども。
「お~い?どうでもいいけど。こんなところで立ち話していたら…
  …何か町の人たち。今のでひっくりかえってるぞ?」
そんなあたし達の会話にのほほんと言ってくるガウリイ。
何が起こったのかわからないものの、おそらくあたし達が【何か】をして。
デーモン達を撃退し。
町並みを再生させてくれたのであろう。
というのでお礼をいいにやってきていた町の人々が、
あたし達の何ともほのぼのとした会話をきいてある人間は地面とキスをし。
ある人間は混乱し…そしてまた、あるものはその場にて硬直していたりするけども。
まったく、この程度のことで……
『……あ。』
ガウリイの言葉にようやく周囲のそんな光景に気づき、あたしとユニットと。
そして先ほどのちょっとした雨にうたれ、未だに倒れているゼロスと。
のほほんとしているガウリイを除くアメリアたち九人の声が一致する。

とりあえず。
説明するのも何だから。
ということで、とりあえずそのまま。
あたし達は未だに騒然としている町を後にしてすこし先にとある街道沿いの宿屋で休むことに。
結局のところ、先にエルフの村…つまりは、ディルスの首都のさらに北にとある。
エルフの集落にいくことにきまり、あたし達はミルガズィアとメフィを含め。
計十三人で旅を続けることに……


              -続くー

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あとがき:
薫:うにゃぁぁぁぁぁぁぁあ!?
  ・・し・・しまった!?・・・続き書いてる紙・・2P分…間違えて捨てたらしい(汗
  これの次からのはあるんですけどねぇ・・あはははは・・・
  そういやノートがあのときたりなかったから・・レポート用紙にかいてるんですよね・・
  この回・・(実話・・・
  ・・ま、覚えてるからどうにかなるけど・・さ(こらまてや・・
  思い出すのにちょこっと時間がかかる・・という難点が(うぉい・・
  まあ原作みつつやれば早いけどねぇ。思い出すのも(事実そうだし・・
  というわけで。原作の小説みつつの打ち込みですv
  でもって。
  削るかどうするか…悩んだ結果、本編から削った一文もありますけどね…
  何はともあれ、今回はちと短め・・。次回からはようやく旅立ち?(こらこら・・
  ではでは・・また次回で……


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