エル様漫遊記・覇軍の策動偏
「何だ!?」
「何が起こってるの!?」
「何がどうなってるんだ!?」
「とにかく!もう少し近くにいってみましょう!」
何が起こっているのかまったく理解できていないルーク・ミリーナ・ゼルが同時にそれをみて声をあげ。
アメリアは一言いうと同時に、そちらにむかって走り出す。
そんな中にも光が、二度、三度閃いて、そのたびごとにデーモンたちが薙ぎ散らされる。
そして。
「――…!?」
何やら絶句して足を止めているルークとミリーナ。
そしてコードヴェル兄弟は、その場にて立ち尽くしていたりする。
「――あれは!?」
「――……世の中、狭いな……」
それを見たことがあるアメリアとゼルは。
それを目にしてアメリアが驚きの声をあげ、ゼルが小さくつぶやき深くため息をついているけど。
「……白い…巨人?」
それをみて、呆然とつぶやいているルーク。
いくつかの村の人々は小さな山くらい、といってはいたが、それはあまりに大げさすぎる、というもの。
といっても、レッサーデーモンたちよりも多少大きい体にみえるそれは、
確かに、見る人から見れば『巨人』といえなくもないのであろうが。
鮮やかな白い全身。
基本体系はそれを纏っている存在の形ではあるが、頭は半ば肩にめり込んでいたりする。
呆然と立ち尽くしているルーク・ミリーナ・ジェイド・グライア、そしてシルフィールとは対象的に。
「お~い!破壊魔姉ちゃんじゃないかぁ!久しぶりだなぁ~!」
いって、それに向かって声をかけているガウリイ。
ちなみに、手をぶんぶんと振っていたりもするけども。
「ばっ!?んなのに声をかけてどうする!?」
そんなガウリイをみて、思わず止めるルークに。
『誰が破壊魔ですか!誰が!!って……ああぁぁぁぁぁぁぁぁあ!?』
ガウリイの声をうけ、それはゆっくりとこちらを振り向き、そしてしの視界にあたしの姿を捉え。
なぜかそのままの姿で叫んでいたりするけども。
白い体より少しばかりくぐもったような声があたし達にむかって発せられる。
「って!?その声!?やっぱりメフィさん!お~い!お久しぶりです!メフィさん!お元気でしたか!?」
いいつつも、それに向かってぶんぶんと手を振っているアメリアに、彼女も気づき。
『って!?アメリアさん!?ああっ!おじ様!叔父様!!』
ざっ!!
こちらに『彼女』が向かっていうのと同時。
残りのデーモンたちが別方向からの光線でなぎ払われ。
そして。
がさり。
「……何やら聞き覚えるあの声だと思ったら…人間よ。お前たちだったか。
…っ!?うっ!?ゼロスっ!?」
がさがさと、茂みをかきわけ、こちらに向かってやってくる人影一つ。
その人物はゼロスの姿をみて、一瞬固まり。
そして。
「……うっ!?リ…リナ殿もいたのか……」
あたしをみて、何やら汗を流していってくるけど。
「あ~ら♡どういう意味かしらねぇ♡ミルガズィア♡」
あたしの声と。
「あ!ミルガズィアさん!お久しぶりです!お元気でしたか!?」
いって出て来た人影…ミルガズィアにと駆け寄って、挨拶しているアメリアの姿。
出て来た人物はといえば。
見た目ゆったりとした青い服に身を包んだ男性。
傍目にはそうみえる彼のその本質は、竜達の峰にて竜を束ねている黄金竜。
「「――??」」
意味がわからずに、顔を見合わせて首をかしげているコードヴェル兄弟に。
「??なあ?この人…あんたらの知り合いなのか?」
「――…ルーク…それより、巨人が……」
ルークが問いかけてくるのと同時に、ミリーナが、あちらのほうを見ていうのと同時。
ミリーナ達の視界にと入っていた『白い巨人』は、ゆらり、と揺らめき。
そして、その姿をその場からかき消していたりする。
そんなルークの問いかけに。
「えっと。でっかいトカゲの偉い人。」
簡単にルークに説明しているガウリイだけども。
そんなガウリイに、ずずいっ、と近寄り顔を近づけ。
「くどいようだが。その呼び方はやめてくれぬか?人間の男よ?
――まだリナ殿やそこのユニット殿やゼロスと旅をしていたようだな……」
いって、あたしとユニット、ゼロスをみて言って来るその人物――ミルガズィア。
それと共に。
「叔父様。とりあえずデーモンたちは片付けましたわ。」
いいつつも、かさり、とミルガズィアの後ろの茂みより出てくる一人の女性。
そして、あたし達をざっとみて。
「……まだ生ゴミはこのリナさんたちと共にいたんですの?」
冷ややに、ゼロスに対していっていたりするけど。
「ひどっ!メンフィスさん!久しぶりの再開でそれはないじゃないですかぁ!」
そんな彼女――メンフィス=ランソードこと、通称メフィの言葉に抗議の声を発しているゼロス。
「メフィ。それをいうならばパシリ魔族だ。」
「ひどいっ!ミルガズィアさんまでぇ~!!」
メフィの言葉に表情一つ変えることなく、さらり、と突っ込みを入れ言い放つミルガズィアの言葉に。
その場にいじけてうづくまり、人魂オプションをくっつけて、
錫杖をもっていないほうの手で地面にのの字を書き始めているゼロスの姿。
「まあまあ。そんなことより。お久しぶりです。ミルガズィアさんにメフィさんも♡」
そんな出て来た二人にと、にこやかに話しかけるユニットに。
「だぁぁぁ!!知り合い同士で和んで話しをしてねぇで!俺達にもわかるように説明してくれぇ~!!」
何やら叫んでいるルークの姿。
「ま。それもそうね。とりあえず。町の人達にもう大丈夫だって伝えて。
ついでに何かお礼でも町の人たちからもらいましょ♡食事代くらいなら浮くし♡」
あたしの言葉に続け。
「ひさしぶりですし♡もちろん、ミルガズィアさんとメフィさんもきますよね?」
いって、にこやかに二人にと話しかけているユニット。
そんなユニットの言葉に。
「う…うむ……」
「……叔父さま……」
リナ殿たちがここにいる…となると……今回のこれは?
などとおもいつつ、顔を見合わせうなづくメフィとミルガズィア。
「?今の巨人はどこいったんでしょう?今の巨人がデーモンを退治したのだと思うのですけど……」
などと何やらつぶやいているジェイドに。
「?何いってんだ?あんた?あれ、この姉ちゃんだぞ?」
ごけっ!!
さらり。
というガウリイの言葉に何やら前のめりにとこけかけているジェイドとグライア。
そして。
「「な゛な゛っ!?」
何やら”な”を連発してるけど。
「メフィさん!さすがですね!あれほどいたデーモンをあっさりと撃退するなんて!」
いって、目をきらきらさせてねメフィにといっているアメリア。
「お~ほっほっ!この私にかかればあの程度のこと!」
「だが……森とかまでまた破壊してるぞ?」
「うっ!?」
アメリアの言葉に胸を張るメフィに、ぽそり、と突っ込みをいれているゼルの言葉に。
おもいっきり言葉に詰まっているメフィ。
「?…とりあえず、こんなところで立ち話も何ですし。
それに町の人達に早く、『デーモンはいなくなった。』と伝えたほうがいいのでは?」
首をかしげつつも、淡々と言ってくるミリーナの言葉に。
「確かに。……で?ミルガズィアさんたちもくるのか?」
腕を組みつつ、うなづきつついうゼルに。
「――……ああ。どうやら一緒にいったほうがよさそうではあるしな。」
そういって、うなづくミルガズィフアの言葉をうけ。
「じゃ、そういうことで決まりね♡ついでに町の人々から礼金でももらいましょ♡」
あたしの言葉に。
「おお!いいアイデア!」
いって同意しているルークに。
「何をいってるんですか!?私たち何もしてないじゃないですか!それで謝礼をもらうだなんて詐欺です!」
少し我にもどり、何やら叫んでいるジェイドだけど。
「ふっ。青いな。ジェイドさんよ。世の中じゃあ結果だけじゃなく。
行動に対しても報酬ってのは支払われるべきだ。ってことになってんだぜ?」
そういうルークの言葉に。
「私たちは行動してないでしょうが!」
「全然関係ない戦いはしてたけどな……」
叫ぶジェイドにぽつり、というグライア。
「まあまあ、ジェイドさん♡いいじゃない♡
どっちにしても、あのデーモンたちを追っ払ったのは、このメフィさんとミルガズィアさんなんだし♡
それにまがりなりにも、覇王さん一派の純魔族と戦ってタダ働き、はないでしょょ♡」
――ぶっ!
ごふごふごふっ!
にこやかにさらり、というユニットの言葉に、何やら噴出しむせ込んでいるメフィとミルガズィア。
「…ちょっとまて。ミリアム殿とやら……今の…覇王一派……って……」
何やら声をかすれさせ、聞いてくるミルガズィアに。
「言葉通りよ。とりあえず、町にもどりましょ♡」
いって、かるく指を鳴らすと同時。
「「うわっ!?」
「「きゃっ!?」」
何やら叫び声をあげている、あたし・ユニット・ゼロスを除く全員の姿が。
とりあえず、立ち話しも何なので、未だに騒然としている町にと。
瞬時にあたし達はミルガズィアとメフィを伴い、移動してゆく―――
「……だから、このリナ殿はいったい何ものなのだ?パシリ魔族よ?」
とりあえず、町にと戻り、デーモンたちを駆逐したことを報告したものの。
未だに町は騒然としているそんな中。
四人かけのテーブルょ横一列にとくっつけてちょっとした長テーブルにし、
それぞれに腰を降ろしているあたし達。
「それは秘密です♡」
そんなミルガズィアの質問をさらり、とかわしているゼロス。
「……あ、あのぉ?それはそうと、さっきからそのゼロスさんのことを魔族とか……
リナ殿たちもいっているようなんですけど……本当なんですか?」
未だに半信半疑のグライアがミルガズィアにと問いかける。
「そんなことより。確かミリーナさんたちやルークさんたちって。
このメフィさんやミルガズィアさんとは初対面であることだし。簡単な自己紹介でもしません?
あ、すいませ~ん♡私、シーフードスパゲティ特選大盛セットと。
スペシャルパフェ一つとローズヒップティーをお願いします♡」
注文をとりにきているウェイトレスにと、にこやかに注文しつつも、全員を見渡していっているユニット。
「――……それもそうですわね。どうしてあなたたちがこんなところにいるのかも知りたいですし。
あ、私はキャベツの千切りを大盛で。」
「私は水を。」
うなづきつつも、注文をかけているメフィに、それに続き注文しているミルガズィア。
「……その注文の仕方は嫌な客だとおもうが…俺はこのミックスサンドセットAをとりあえず。」
「私はコーヒーセットを。」
そんなミルガズィアとメフィに突っ込みをいれつつも、注文しているルークに。
パタン、とメニュー表を閉じつつ言っているミリーナ。
「じゃあ、私はこのドラドラ風味のシチューセットをお願いします!」
「私はケーキセットを。」
「メニューのハシからハシまでとりあえず全部十人前づつね♡」
アメリア・シルフィールに続いていうあたしの言葉に。
「「全部!?」」
何やら驚きの声を上げているウェイトレスの女性と、ジェイドとグライア。
あたしの言葉に驚きつつも、とりあえず注文をもってひっこんでゆくウェイトレスの女性。
「で?何で、でっかいとかげのミル何とかってあんたはこんなところにいるんだ?」
一通り注文を終え、そして斜め前にと座っているミルガズィアにと問いかけているガウリイ。
「ミルガズィアだ。くどいようだが、人間よ。幾度もいうが、その呼び方でなく名前で呼んでほしいのだが?」
そういうミルガズィアの言葉に。
「でもオレ、何か長いようなややこしい名前覚えるの苦手だし。」
「――……」
ミルガズィアにあっさりと返すガウリイの言葉に、しばし無言になっているミルガズィア。
「……で?この人達はいったい?どうやらリナさんたちのお知り合いのようですけど?」
そう問いかけるミリーナの言葉に。
「そういうあなたたちは?」
いって聞いているメフィの姿。
「私はミリーナといいます。こっちがルーク。
本来は
今のこのジェイドさんの護衛をしつつ、ディルス王国首都。ガイリア・シティにと向かっているところです。」
いって、かるく頭を下げるミリーナに続き。
「実は今。ディルス王国はある人物によって混乱しているらしいんです。
ある一人の女傭兵がとんとん拍子に出世して、国王の目にとまり。
今ではその女の人が実質、国を動かしている、といっても過言でないらしく……
ルークさんやミリーナさん、それにリナさんたちがいわれることには。
その出世した女性、『シェーラ』という名の人らしいのですが。
――何でも覇王将軍らしく……。あ、わたくしはシルフィールと申します。」
ごほほほほほっ!
そんなシルフィールの説明に、面白いまでに、何やらむせこんでいるミルガズィア。
「私はすでにミルガズィアさんたちとは知り合いですから。自己紹介は省きますけど。
私たちのほうもグライアさんからディルスでただならぬことが起こっている、ときき。
ディルス王城にとむかっていたんです。
今回のこのデーモン発生事件の手がかりがつかめるとおもって。」
そんなアメリアの言葉に。
「……いや、ちょっとまて。今…覇王将軍…っていわなかったか?」
何やら額に汗を流しつつ、問いかけてくるミルガズィア。
「そうだけど?何驚いてるのよ。ミルガズィア。
あんたたちはSはおろか、DやWにもあったことあるのに。」
次々と運ばれてくる料理を以前にして、そんなとまどっているミルガズィアにと話しかけると。
「「??」」
意味がわからずに顔を互いに見合わせて首をかしげているルークとミリーナ。
そしてコードヴェル兄弟の姿があったりするけど。
「うっ!」
あたしの言葉に、何やら一瞬言葉につまりつつ。
外では降り始めた雨が、未だにざわめく人々を各自の家にと向かわせている。
「と…ともかく。だ。私はミルガズィアという。
カタート山脈を望む
この姿は変身魔法を使ってのかりそめの姿にすぎん。」
そういうミルガズィアの言葉に。
「って!?それじゃあんた!?」
「「なっ!?」」
驚きの声を上げるルークに。
兄弟仲良く声をハモらせて短く叫んで絶句しているコードヴェル兄弟。
「――…なるほど。だからガウリイさんが『でっかいトカゲの偉い人。』といってたわけですね……」
いって、ガウリイを見るミリーナに。
「ま、ガウリイ様ですし。」
それですましているシルフィールに。
『確かに。』
うんうん、うなづき、ゼル・アメリア・ゼロスの声が一致する。
「私はメンフィスです。メンフィス=ラインソード。」
それだけいって、キャベツの千切りに手をつけているメフィ。
「ミルガズィアさんたちとは以前ちょっとしたことで知り合いまして。
ミリガズィアさんたちも今回のデーモン発生事件を調べてるんですか?」
問いかけるアメリアの言葉に。
「――うむ。…どうやらその方達に無関係ではなさそうだしな。
……他言無用、ということならば話しておいてもいいだろう。」
そういうミルガズィアの言葉に。
「でも叔父さま?このリナさんたちはともかく。他の人間なんかに話したら余計な混乱を招くだけでは?」
「……『ともかく』?『なんか』?」
びくくっ。
そんなメフィの言葉に、額に青筋を立てているルークだけど。
そんなルークを、まったく気にかけてもいないメフィ。
「そういうな。メフィ。同じ大地に生きる者として彼らにも知る権利はある。――それに……だ。
このリナ殿と一緒にいるところからみても、おそらくはそれなりの使い手であろう。
通常で考えると、『あの存在』とかかわりが何かしらあるかもしれぬ。
でなければ、このリナ殿とこのミリアム殿との旅は困難であろうからな。」
「――……それもそうですね。」
「――……確かに。普通なら気が狂うな。」
「ま、リナとユニットちゃんだし。」
「ガウリイさんは何も考えてないから、それですませられるんですよ。」
「……まあ、このリナとそこのミリーさんが普通ではないのは認めるがな。」
「普通どころではないとおもいます。」
ミルガズィアの言葉に、なぜか口々に同意しているメフィ・ゼル・ガウリイ・アメリア・ルーク・ミリーナたち。
「ほほぉう♡あんたたち。一度ゆっくり話し合いが必要かしらん♡ん♡」
ぴっし!
あたしの言葉に、なぜか固まる彼ら達。
そして。
「と…ともかく。そこのアメリア殿の言うとおり。
いうまでもなく最近各地にレッサーデーモンなどの低級魔族が大量に出現する事件が頻発している。
そして――どうやら、これは覇王グラウシェラーの一軍を中心とする動きらしい。
ということまでは我らも突き止めているのだがな。
――私はかつて、これとそっくりの状況を目にしたことがある。」
なぜか未だに固まっているコードヴェル兄弟をそのままに。
額に汗を一筋流しながらいってくるミルガズィア。
「?そっくり……ですか?」
そんなミルガズィアに問いかけるシルフィールに。
「うむ。」
おうようにうなづき、そして静かに。
「デーモンの群発。人々の心に広まる不安。
そのときすべてをかく即したのは覇王グラウシェラーではなく冥王フィブリゾだったらしいが。
起こっている状況が同じ、ということは、
いって口ごもるミルガズィアに。
「どういうことですの?」
問いかけているミリーナ。
そんなミリーナの声をうけ、やがて顔をゆっくりと上げ。
「――すなわち…降魔戦争の再現……」
「「!!??」
そういうミルガズィアの言葉に驚いているルーク・ミリーナ・グライアにジェイドにシルフィール達。
ま…あいつは真似してるだけだしねぇ。
まったくもって芸がないったら♡
-続くー
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あとがき:
薫:この辺り、トライ編と一部内容がほとんど同じのような気が・・・
アメリア達は、あのとき、説明うけてるし・・・
ま、何はともあれ。
ではまた次回にて。(ようやく22Pだよ・・・汗)
2005年4月5日某日
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