エル様漫遊記・覇軍の策動偏

アメリアを追いかけて、ディルス方向に向かっていたところ。
たまたま、あの魔族にグライアが襲われているところにゼルは行き当たったこと。
そして、ほっとくわけにもいかないので、一緒に行動していたら、アメアリと再開したこと。
そして――
「そしてこのまえ、あいつが俺たちが泊まっていた宿を襲撃してきてな。――で。だ。
  リナ達もその町にいたらしく、こうして行動を共にしていたってわけだ。…そっちはどうなんだ?」
簡単に、簡潔に説明するゼルの言葉に。
「なるほど。こっちも似たようなものだな。
  ミリーナと二人、ラブラブ水入らずで旅をしていたら、いきなり何かの爆発音がしてな。
  ほっとくわけにもいかないから、音のしたほうにといってみれば。
  なぜか、レッサーデーモンやブラスデーモンに囲まれていたそこのシルフィールさんとジェイドがいて。
  ま、いきなりドラスレをデーモンたちにシルフィールさんが叩き込んでいたのには驚いたが……」
いって思い出して苦笑するルークに。
「とりあえず、ルークの水入らずうんぬん、というのはまったく嘘であり、関係ないですけど。
  話しを聞いてみたら、二人とも、ガイリア・シティに向かっているところとかで……」
ルークにさらり、と釘を刺し、そして言いかけるミリーナに続き。
「で…だ。何でも離しを聞いたところによると、
  ディルスの首都のガイリア・シティで今ちょいとおかしな騒動が起こっているらしい。
  っていうじゃないか。ジェイドのいえことには、各地の領主に知らせにいったんだが。
  どこもあいてにしてくれねぇ。で、だ。
  サイラーグの実古頭のシルフィールさんと一緒にガイリア・シティに向かっていた所、
  デーモンたちに襲われて、たまたまそこに俺たちが出て来たらしくてな。」
そういうルークの台詞に。
「いいんですか?ルークさん?依頼内容をあっさりと話しても?」
いって、ずずっとお茶をのみながらいっているゼロス。
「あんたにも関係あるんじゃねえか?いいからまあ聞けって。
  しばらく前、っても一年前くらい前になんのか?
  何でもガイリア・シティで原因不明の大量失踪事件とかがあって、
  町やら軍が混乱してぼろぼろになっちまった。って話しは知ってるだろうけどよ。」
そういうルークの言葉に。
「確かリナさんが、あれ、町とかに入り込んでいた魔族を一掃したんですよね。」
「…あの時……直後の処理手伝い…かなり大変だったな……」
少し首をかしげ、横にいるゼルにと話しかけるアメリアに。
何やらしみじみと、あのときのことを思いだし、いっているゼル。
「……いや、ちょっとまて。『魔族を一掃』って……その辺りのことは、まあ詳しく聞くとして。」
そんなアメリアとゼルの会話に額に汗を浮かべつつ話しを続けるルーク。
そんなルークの横で同じく額に汗を流しつつ固まっているミリーナ。
「ま……まあともかく。よ。最近になって町はようやくまともになってきた。って話しだけどよ。
  軍のほうはそうはいかねぇ。シロートを兵士として駆りだしたとしても、
  訓練して一人前の兵士にして使い物になるようにするのには、かなりの時間がかかる。
  で。だ。国はてっとり早い戦力増強ってことで傭兵を大々的に募集した。」
そんなルークの言葉に。
「そういえば、前ラーシ何とかってやつも同じようなことをいってたなぁ。」
つぶやきながらも、バスケット三度をかじり、人事のようにつぶやくガウリイに。
「ガウリイさん。それをいうならば、ラーシャートさんですよ。
  あのとき魔竜王様の命令でディルス王国の将軍職についていた。竜将軍ラーシャートさんですってば。」
そんなガウリイに訂正をいれているゼロス。
「「だっ!?なっ!?」」
それを聞き、何やら小さく叫んでいるグライアとジェイド。
そして又。
「……魔竜王って……と、ともかく。だ。
  ところがその傭兵の中にある意味ちょっと、飛びぬけているやつがいてな。
  国王様に気に入られてとんとん拍子に出世して、
  今やお国のあれこれにも口を出すようになっちまったらしくてな。
  それで国がおかしくなっちまった、っていうんだ。」
いって説明してくるルークの言葉に。
「実力がある人が出世するのは大変にいいことなんですけど。
  ですがそれが私利私欲の為、又は国を思いのまま操ろうとする。
  そのような意思が見えたりする人は上が判断しないといけないんですけどね。」
ルークの言葉に多少あきれつつ、つぶやくアメリアの言葉に。
「先の国内に大量に『魔』が入り込んでいた。その心労で先の国王が死亡し。
  今の国王はヴェルズ=ゼノ=ガイリア、という遠縁に当たる人物らしいがな。
  噂を聞く限り、人を疑うことを知らない。俗にいう典型的なおぼっちゃんタイプなんだろう。」
アメリアの言葉に続けるように、いって腕を組むゼル。
「――…それは……」
「確かに…陛下のお考えは生まれ、地位に関係なく実力のあるものは優遇し、
  いくら地位があれど、無能なものは切り捨てる。といったお方ですけど……」
そんな彼らの言葉に、声を詰まらせるジェイドに、静かにつぶやくグライア。
「まあ普通。その人のせいで、国が乱れているから何とかしてほしい。
  ということを伝えにいったとしても。俗にいう『お家騒動』。
  と捕らえられて相手にされないのは明らかですね♡あはははは♡」
にこやかに笑みを浮べ、彼らの話を聞きつつもそんなことをいっているゼロスに。
「ゼロスさん。人事みたいに…あなたには正義の心はないの!?」
そんなゼロスにむかっていつものように説得を開始しかけるアメリアであるが。
「……そいつにいっても無駄だろ?見たところ、あんたらもそいつが【何】なのか知ってるようだし。
  ま、とにかく……だ。正直俺も面倒事はゴメンだ、と思ったんだけどよ……
  ちょいと気がかわっちまったんだよ。
  ――その出世した傭兵が『シェーラ』って名前の女だって聞いてよ。」
そんなルークの言葉に。
「なるほどぉ♡シェーラさんに人間程度がかなうわけがないですしねぇ♡」
にこにこというゼロスに。
「?ゼロス?貴様そのシェーラって女の傭兵のことを知っているのか?」
いぶかしりつつも、視線をゼロスに向けるゼルに対し。
「ああ、ゼル。シェーラはグラウシェラー直属配下の覇王将軍よ♡」
どんがらがっしゃぁん!!
さらり。
と答えたあたしの言葉に、
なぜか器用にも椅子からちょっとばかりした音を立てて転げ落ちているアメリア・ゼル・ゼロスの三人。
「「……グラウ…シェラー??…それって…・・・ 」」
何やらそれと同時に声を震わせているジェイドとグライア。
「――…あっさりいうな。あんたは。
  ……ともかく。だ。あいつが何をたくらんでいるのかなんて誰もしらねぇ。
  だが。だ。このジェイドから聞いた人相からいってもあの『シェーラ』にちげえねぇ。
  たまたま名前が『シェーラ』と同じってわけでもなさそうだ。
  ――…と、すると。だ。今リナがいったように、魔族であるあのシェーラがただ単に。
  『出世したい。』何てのが目的のわけはねぇ。」
そういうルークに。
「――…なるほど。今度は覇王が絡んでいる、ってことか。
  こっちのグライアの話しによると。グライアの父親は将軍をやっているらしいんだが。
  国王に『あの女は危ない。』とか何ども換言したらしいが……国王はまったく全然聞く耳もたず。
  オマケにそのシェーラとかいうやつの反対派だった重臣たちが次々と姿を消していっているらしいがな。
  ――あいて…つまりその女が魔族……
  しかも覇王将軍だとすると…すべての話しのつじつまは合うな…・・・」
椅子を起こしつつも、座りなおしてつぶやくようにいっているゼルに。
だっん!!
未だに倒れたままの椅子に片足を乗せ、
「ゼロスさん!さあ!きりきりと白状してもらいます!!
  一体今度はあなたたち『魔族』は何をたくらんでいるんですか!?
  素直に白状しないのであれば、
  以前ミルガズィアさんからもらった『ギャグ特選集』を毎晩ゼロスさんの耳元で流してあげます!」
ぴしっ!とゼロスに指を突きつけて言い放つアメリアに。
「でぇぇ!?アメリアさん!?僕を殺す気ですか!?下手したら滅んじゃいますよ!?
  いっときますけど、僕らは覇王様から区らしいことは連絡うけてないんですよ!?本当に!!
  ただ、どっかの国を利用して魔王様の欠片を探しをしている。ということしか!!」
大きく目を見開き、ずざざっと退いて壁にその身をくっつけて、何やら叫ぶようにいっているゼロス。
まったく、この程度のことでうろたえるなんて。
後でお仕置き決定ね♡
「本っ当に知らないんですか?!」
「くどいです!」
そんな言い合いをしているゼロスとアメリアを横目でみつつ。
「…いや、ちょっとまて。今……『欠片を探している。』とかいわなかったか?」
なぜかじと汗を流しつつ聞いてくるゼルだけど。
そんなあたし達の会話に。
「…あのぉ?話しがまったく見えないんですけど??」
呆然と、何やらきいてくるグライアとジェイド。
くすっ♡
「だから。そのあなたたちがいっているところのシェーラさんって一応あれでも高位魔族なのよ。
  グラウシェラーさんに直接仕えている覇王軍の中での役職は将軍職。
  以前もあの国って、竜将軍ラーシャートさんとかがディルス王国の将軍職をやっていたようだけどね♡
  大方、あの地を自分の統治下におくことによって、あの地で伝承されている、
  万物の母。すべての混沌の源であり抱擁せし存在。
  金色の王ロードオブナイトメアのことを外部に漏らさなくする、という目的でもあるんじゃないかしら♡」
そんな彼らに、にっこりと笑って言っているユニット。
「別に知ったからってどうにも出来るものでもないのにねぇ。きちんと理解したとしても。
  金色の王ってここでは呼ばれている存在に世界が作り出されて、
  すべての存在は彼女によって生み出された。という程度だし♡」
「でも中には神族も魔族も一つの存在から創りだされ、
  しかもその前では単なるしがない一部下もどきにしか過ぎない。
  というのを知ったらパニックになる存在もいるでしょうけどねぇ~♡」
しごく当然なあたしとユニットの会話に。
「ああああ!!そんなことをこんな場所で暴露しないでくださぁいい!!御二方ともぉぉ~!!」
何やら本気で叫んで懇願してくるゼロスだけど。
「五月蝿い♡」
ざっしゅっ。
よっし。
っと、静かになったっと♪
虚空から取り出した槍でひとまず騒ぐゼロスを背中から突き刺しておく。
何やら床に転がっているゼロスだけど、何を寝てるのかしらね♡
それをみて。
「……あいかわらず、ゼロスさん。……リナさんにこ~いうことされてるんですね……」
「ま、ゼロスだし。問題ないだろう。」
『確かに。』
それをみて、しみじみつぶやくアメリアに同意しているゼルに。
ゼルの言葉に同意し、うなづいているルークとミリーナ。
そして。
「……と、とりあえず、その?リナさん?
  そのディルスの王宮に入り込んだ、という『シェーラ』っという女の人は……
  その…本当に魔族なんですの?」
とりあえず、ゼロスのことは見なかったことにしてあたしに聞いてくるシルフィール。
「そうよ?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
あたしの即答になぜか無言になっているシルフィールの姿。
そして又。
「……いやあの…その人……まったく血が流れてないんですけど……」
槍に貫かれて倒れいるゼロスをみて、つぶやくように言っているジェイド。
「そりゃ、ゼロスは魔族だし。
  ……で?結局どういうことなんだ?ガイリア・シティにいくのか?いかないのか?」
いつものことなので気にせず、のんびりと問いかけてくるガウリイに。
『いや。魔族って……』
何やらつぶやいているジェイドとグライアだけど。
「ああ。気にしなくてもいいわよ。こいつ何もしなかったら一応無害だろうし。
  というか。こいつ『お仕事。』以外のことは自分の仕事ではないからってやらないしねぇ。
  面白くなるように引っ掻き回したりするのは別として。」
『――……まじですか?何でそんなモノが…それに、どうみてもその人、人間……』
何やら冷や汗を流しつつもつぶやくようにいっているコードヴェル兄弟。
リナさんたちの冗談…ですよね?
などと思っていたりするけども。
「ま。ゼロスさんのことはほっといて。」
「――…で?ミリーナたちやシルフィールたちはどうするの?
 あたし達は魔道士協会からデーモン発生事件の調査依頼をうけているから調査をしつつ、
  ガイリア・シティに向かっているんだけど♡」
ユニットとあたしの交互の台詞に。
ミリーナ・ルーク・シルフィールは互いに顔を見合わし。
「……魔族がかかわっている、と知った以上、ほっとくわけにはいきませんわ。
  ――それにわたくしはお父様の代理として、
  ディルス王宮のお抱えの賢者でもあるブランデット様のところにいく途中ですし。」
なぜか顔色もわるく言ってくるシルフィール。
「確かに。ほっとけないだろ。」
「同感ですね。」
未だになぜか呆然と固まっているコードヴェル兄弟はおいといて。
あたし達とルーク達の意見はまとまってゆく――……


ガイリア・シティへの旅路は今のところ順調そのもの。
なぜか一気に移動する、というあたしの意見はあっさりと却下され。
旅を続ける道すがら立ち寄る町の人々に、
一応デーモン発生事件のことや、気になることの話もかかさず聞きつつ。
あたし・ユニット・ガウリイ・ゼロス・ルークにミリーナにシルフィールにジェイドにアメリアにゼルガディスにグライア。
この計十一人で進んでゆく。
ちょっとした人数でもあるので、人々はようやく国が本館的に調査を始めたのだろう。
と思い、快く協力してくれていたりするけど、それはそれ。

「…けど、ゼロス?お前はいいのか?」
「何がです?」
街道を進みつつ数日後。
ゼラスのところに報告にもどっていたゼロスが戻ってきい。
そんなゼロスに直後に問いかけているゼルの姿。
なぜか未だにジェイドとグライアの兄弟は、
ゼロスが『魔族』、という事実に関しては半信半疑であったりするけども。
だがしかし、あの『リナ=インバース(殿)(さん)』ならば、
魔族が監視をかねてお供としてついていてもおかしくはないであろう。
などと思い始めていたりする。
最も、未だに二人とも完全にゼロスが魔族、だとは信じてないけども。
そんなゼルにとにこやかに問いかけているゼロスであるが。
「何が。じゃあない。
  どうも話からして下手をすると俺たちは覇王グラウシェラーと事を構えることになるかもしれん。
  きさまはそれでいいのか?と聞いてるんだ。」
こいつが敵に回ったら洒落にならないしな。
などと、そんなことを心でつぶやきつつも問いかけるゼルに対し。
「ああ♡そのことですか♡そのことでしたらご心配なく♡
  僕が先日、数日ほど戻らなかったのは、そのためでして♡
  とりあえず、リナさんが覇王様にちょっかいをかけられるのは避けられそうになさそうですし。
  かといって、それをジャマしたら僕らのほうにとばっちりがきかねませんしねぇ。
  というわけで。覇王様にはあきらめてもらおう♡
  と獣王様、冥王様、海王様、お三方の意見がものの見事に一致しましてね♡
  なので僕は今回は覇王様をからかって楽しもうかと♡」
『――…お゛い゛……』
にこやかにいうゼロスの言葉に、何やら同時に突っ込みを入れてきているゼルとルーク。
そしてまた。
「…ですから、リナさんっていったい?」
とまどいの声を上げているシルフィール。
「ルナさんの妹だから下手に敵にまわしたら怖いんでしょ♡」
にっこりというユニットの言葉に。
「…と、いうか。あの赤の竜神騎士スィーフィードナイトのルナさんもリナに対してはどうみても怯えてるぞ?」
「……ですよね……」
にっこにというユニットの言葉に、しみじみとつぶやいているゼルとアメリアの二人だし。
まったく、細かいことで…ねぇ♡
「ま。ゼロスは何があってもリナを怒らせたり、機嫌を損ねたりはしないだろ。
  それはそうと、あの何か人間の気配をもってた黒いやつ、あれからこないなぁ。」
ガイリア・シティまであと四日。
すでに日も暮れかけているので近くの町にと入り、
少し遅めの夕食をとっているところにゼロスが戻ってきてそんな会話をしているあたし達。
「――?ガウリイさん?その人の気配……って……」
何やら果てしなく嫌な予感がするんですが……
そんなことを思いつつ問いかけるミリーナに。
「ほら。前にそこの兄ちゃんを襲っていたあの黒い魔族。
  何か人の気配がしてたから、人間に魔族が憑依しているか、またはされたかのどっちかの。」
さらり。
と言い放つガウリイの言葉に。
ぶぶううっ!
なぜか、面白いまでに横にテーブルで口にしていたスープを噴出しかけているルークに。
「……ガウリイさん。あいかわらず、というかよくわかりますねぇ。
  ええ。確かにあの『魔族』の人は元人間ですね♡
  ドゥールゴーファさんで自我を壊され、その上から下っ端魔族が憑依していましたっけね♡あれ♡」
こちらもまた、さらり、と言い放つゼロスだし。
ちなみに、席としては六人がけのテーブルにあたしとユニット、ガウリイ・ゼロス・シルフィールにミリーナ。
そしてルークにジェイドにグライアにゼルにアメリア。
このメンバーで二つの席にと、並んで席をとり食事をしているあたし達だったりするけども。
そんなゼロスの言葉に。
「……『自我を壊され』…って……」
何やら顔色も悪くつぶやいているシルフィール。
「まあまあ。そんなことを話していたら。
  『噂をすれば何とやら。』って人間のコトワザにあるとおりにやってくるわよ?♡」
にこやかに、ルーク達のほうを振り向き、にこにこというユニットの言葉に。
「おいおい。いくら何でもそんな出来すぎたこと……」
ドォォン!!!
ルークの言葉にかぶっておきた外からの爆発音は、あたしとユニット以外のメンバーの目を点にさせてたり♡
「ゼロス♡まだ気づかれたら面白くないから♡姿は隠しておきなさいね♡」
あたしの言葉に。
「わかりました♡」
いって。
ふいっ、とその姿を隠しているゼロス。
「なっ!?ききききき!?」
消えた!?
などと、たかが、ゼロスが姿を消しただけで驚いているジェイド。
まったく、これくらいは慣れないと♡
「――お、おい!?嘘だろ!?」
いってルークが腰を浮かすのと同時に、店の扉がバタン!と開かれる。
そして。
転がりながら店の中に飛び込んでくる一人の男の姿が。
飛び込んでくるなり。
「た…大変だ!!デーモンたちが!!この町に向かって!!!」
ざわっ!!
あたし達の些細な内容の会話で硬直していたほかの客たちがその言葉と共に一瞬ざわめく。
と。
どぉぉん!!
そのざわめきと、外より聞こえてくる爆発音がきっちりと重なっていたりする。
「――……脅かしやがって。別口のほうかよ。」
いって胸をなでおろすルークに。
「…そ~でもないと思うが……」
この町に入ってきているそれの気配をすでに捉えてつぶやいているガウリイ。
「こうしてはいられません!いきましょう!」
ガタン!
と席を立ち上がり、出入り口に駆け出しているアメリアに。
「ちっ。ほっとくわけにはいかないな。」
「町の人々を守らなくては。」
いいつつも、それぞれに立ち上がり、外に出てゆくゼルやシルフィール。
そして。
ルークとミリーナもまた、外にと駆け出してゆくけども。
あ、そうそう♡
「あ♡ゼロス♡ここの勘定、はらっときなさいね♡」
「……はぃ……」
あたしの言葉に再び姿を表し、勘定を払っているゼロスの姿がそこにあったりするけども。
このあたしともあろうものが食い逃げなんて、みっともないしね♡


              -続くー


    HOME      TOP     BACK    NEXT


####################################

あとがき:
薫:次回で魔族の襲撃です。一番気の毒なのは誰なのかなぁ?いや、本当に・・・
  その次にデーモンとあと、あの人物二人との合流です(笑
  何はともあれ、ではまた次回にて。
  2005年3月31日某日

    HOME      TOP     BACK    NEXT