エル様漫遊記・覇軍の策動偏

「なあ?リナ?ユニットちゃん?よくわからんのだが……」
説明をききつつ、首をかしげるガウリイに。
ずべっ!
そのまま雪にと寝そべっているグライアの姿に
「ガウリイさん。ようはアメリアさんとゼルガディスさんは、
  この男の人と一緒にディルス王国首都。ガイリア・シティに向かってるんですよ。」
そんなガウリイに説明しているゼロス。
そして、そんなガウリイの台詞をきき。
「……相変わらずだな。ガウリイの旦那は……」
いってため息をつくゼルに。
「リナさん!これはきっと天のお導きです!きっと天は私たち正義の仲良し四人組の力で。
  再びディルス王国を包まんとする悪を見逃すな!そういっているのに違いありません!」
目をきらきらさせて、手を胸の前で組んで言ってくるアメリア。
「いっとくけど、アメリア?
  あたし達は魔道士協会の依頼をうけて、デーモン発生の調査をしているところよ?」
にこやかなあたしの言葉に続き。
「あとはディルスで覇王さん一派が面白いことをしてるみたいだから、からかいついでに♡」
にこにこといっているユニット。
そんなユニットの言葉に。
「……ちょっとまて!?今…覇王とかいまわなかったか!?」
なぜか立ち上がりつつもあたし達に聞いてくるゼルだけど。
「そうだけど?今ゼルたちも言ってたじゃない♡
  シェーラってグラウシェラーの部下で一応覇王将軍だし♡
  大方、ちまちまやってたSの欠片探しがあたしのちょっかいで続けるのは無理と判断して、
  以前のレイナードのときみたいに国を使ってやってるんでしょ♡」
さらり、というあたしの言葉に。
「ええっ!?欠片…って、ゼロスさん!?まだあなたたちあきらめてないんですか!?」
ゼロスに向かって叫ぶアメリアに。
「はっはっはっ♡嫌ですねぇ♡アメリアさん♡
  今回のこれは覇王様がお一人でなされていることですよ♡
  覇王様は詳しいご報告を獣王様や海王様にはまったくしてきませんしねぇ。はっはっはっ♡
  それに、未だに魔王様はスィーフィードさんと異世界…
  ……つまり、この前の例の世界におられるままですし♡
  というわけで、今回のこれは僕らには関係ありませんよ♡」
いや、今…覇王とか獣王とか…魔王?
そんなゼロスの言葉にとまどいを浮かべているグライア。
まったく、この程度のことで…ねぇ♡
「……とすると。例ナードの一件とは…
  ……リナ?昔のアレと同じことが起こっている…という訳じゃあないだろうな?」
一人考え込み、そしてその可能性を思いつき、あたしに聞いてきているゼルだけど。
「さあ♡それはいってみないと何ともいえないわねぇ♡
  少なくとも、またあの国が今度は魔竜王ガーヴの手ではなく。
  覇王グラウシェラーの手によって拠点とされかけてる♡
  というのはそこのグライアの話しからでも推測できるしね♡」
そんなあたしの言葉に。
「……?あ、あの?…私話がみえないんですけど……そのグラウシェラーってもしかして…?」
まさか……だがしかし。
あのリナ=インバース殿のいうこととならば、一概に嘘とも……
そんなことを思いつつ問いかけてくるグライアに。
「グライアさんがさっき説明してくれた、シェーラさんの特徴からしても。
  その人って、覇王将軍シェーラさんよ♡
  まさか彼女が『魔族』だってわからなかったの?ダメよ?見てすぐにわからなきゃ♡
  私やリナ、それにガウリイさんやゼロスさんでもわかるんだし♡」
にこやかに言うユニットに対して。
「スミレちゃんやリナさんは特別だと思います。ゼロスさんは当たり前として。
  ガウリイさんは……まあ、ガウリイさんですし。」
「同感だ。」
うんうん二人してうなづいているアメリアとゼル。
「――…いや、『見ただけでわからないと。』って……
  それに、あのシェーラはどこからみても人間でしたけど?」
そんなあたしたちの言葉に戸惑うグライアに。
「ここの魔族は元々肉体などという器を持たない精神生命体だからね。
  力あるものはその力で自力で形を成すことが出来るのよ。
  力が強ければ強いほどそれは様々な形を成すことが可能だし。
  もっとも普通、その力、というか。
  それぞれの『生き物』立ちも各自の力をもってして姿を変えることなんてたやすいのにね♡」
そんなあたしの言葉に。
「それはリナ達だけの基準だと思うぞ……」
何やら、ぽつり、とガウリイがいってくるけど。
「ま、とりあえず。どうせあたしたちもガイリア・シティに向かうところではあったし。なら一緒にいく?」
「はい!!これで正義の仲良し四人組がそろいました!私たちで悪を懲らしめましょう!」
いって、張り切るアメリアに。
「……あ、あの?ゼルガディス殿?…私…話しがまったく見えないのですが……」
とまどいつつも、ゼルにと問いかけるグライアに。
「気にするな。リナに関していうならば、気にしていたらキリがないぞ?」
おそらくはアレと関わりがある…んだとは思うがな。
そんなことを思いつつ、グライアに対してため息まじりに答えているゼル。

とりあえず、そんなこんなで簡単なそれぞれの事情説明を交わし。
今日のところはもう襲いので、明日改めて出発する。
というので意見もまとまり。
あたし達はそれぞれの部屋にて休むことに。
さってと、面白くなってきたわね♡


翌朝。
ざわざわざわ。
町の中をひっきりなしに役人が駆け回り、なぜか町は騒然と化していたりする。
「?何かあったんですか?」
昨夜寝るのが遅かったせいか、
いつもは早起きのアメリアが少し遅めに起きてきて、宿のおかみにと問いかける。
「昨夜あんたたちが遅くにチェックインしてから少しして。
  町外れの街道で旅人がデーモンに襲われたらしいんだよ。
  唯一生き残った一人の言葉だと、黒い人間がどうのこうの、といってるらしくてねぇ。
  まったく、物騒な世の中になったものだよ。
  おそらく『町の近くにレッサーデーモンがでて、町に入ろうとした旅人を襲った。』
  という上の方々の意見らしくこの町の近辺を警備して回ってるのさ。
  町の中にでも入られでもしたら、たまったもんじゃないからねぇ~……」
ことり。
いって、モーニングセットをあたし達のテーブルに運んできつつしみじみとかたる宿の女主人。
昨夜の騒ぎは何の痕跡も残っていないがゆえに。
『あの音』を聞いた人々は『夢』で片付けていたり、
又は『あの音』はデーモンが夜町の中に入って暴れた音だの。
などといったそんな噂があっという間にと町中にと広がり、町はただ今騒然と化していたりする。
「―…なあ?リナ?黒い人間ってもしかして……」
言いかけるガウリイの言葉をさえぎり。
「ガウリイさん。滅多なことはいわないでくださいね♡
  下手したらこの町で延々と兵士、というか役人に捕まって。
  でもって、私たちが犯人ということにでもさせられかねませんよ?」
にこやかにいいつつ注文していた果物のミックスジュースを飲みつつもガウリイにと話しかけているユニット。
「確かに。面倒なことに巻き込まれても……な。」
そういうゼルの言葉に。
「任せてください!そうなったら奥の手を出しますし!
  父さんからちょっとした『委任状』を預かってきています!
  今回のデーモン発生事件の調査を父さんと国の名の下にこのもの立ちに調査を任す!
  といった内容の!」
いって力説するアメリアに。
「アメリアさぁん…それは権力の無駄遣いでは……」
そういうゼロスに対し。
「何ごとも正義のためです!」
力説しているアメリア。
「……何か私の方の国も心配ですけど…セイルーン…大丈夫なんでしょうか……?」
そんなアメリアをみて目を点にしつつつぶやいているグライアに。
「…俺に聞くな……」
いってカフェオレにと手をつけているゼル。
アメリア、実はフィルから何か困ったことがあれば使うがいい。
とかいってセイルーン王宮の名の下に発行されている正式なとある書類…持ってるからねぇ。
セイルーンの印籠と、それを見せたらまず疑うものなどいるはずもなく。
ゆえに、今まで何をしてもお咎めを受けずに一人で旅をアメリアはしていたんだし♡
「それはそうと、食べたら町をでましょ♡」
そんな会話をしつつも、あたし達は食事後。
ディルス王国の首都、ガイリア・シティに向かって出発してゆく。


ディルス王国。
その北側にはかつて水竜王が鎮座していたカタート山脈を国の中にと盛っている国。
少し前のとある嵐意によってカタート山脈に事実『魔』がいる。
というのを痛切に実感している国でもある。
未だに他の国などは、カタート山脈に魔族が逗留している。
と、それはタダの伝説。御伽噺に過ぎない。と信じているものが多数。
ま、たかが四人程度が張った軽い結界程度で外に出れなくなっていた存在たちに理解を求める。
というのが馬鹿らしい。
といえばそれまでだけども。

「…白い…巨人…ですか?」
いきなり飛び出したその証言に思わず露骨に眉をひそめているグライア。
結局のところ、ゼルの意見で。
あたしがいうように、
その国王を変えたのが魔族ならば、町を出たグライアたちをほっとくわけはない。
下手をしたら手配をかける恐れもある。
ということで。
表面上はグライアはアメリアの護衛…という形で人々には説明する。
ということにより。
アメリアのもつ王家の印籠とあたしが持っている魔道士協会の委任状。
それらもあり別段怪しまれることもなく、人々から情報を集め調査のふり…
…というか事実一応調査だけど。
とりあえず立ち寄った村や町などで意見を聞いていたあたし達にと飛び出してきたのがその言葉。
町を出た翌日。
デーモン発生事件の被害にあった村で聞き込みをしていたときのこと。
といっても、この村は他と比べて村も壊れていなければけが人も出ていないけど。
「そうよ。村で護衛に雇っていた五、六人の傭兵たちがな。騒いで逃げてくるもんで。
  村のみんなで外に出てみると、村の南の林の木々んとこに、デーモンがずらり。よ。」
村に一軒しかない小さな食堂で昼飯をおごる、という条件でこの村に入って話を聞いた男性。
どうでもいいけど、その顔中の髭もじゃはどうにかしなさいよねぇ。
ともかくあたし達にと説明してくるそのモーリ、という名前の男性。
「オレぁ。デーモンってやつ見たのは産まれて初めてだったけどよ。
  いやぁ。ありゃぁおっかなかったなぁ。絶対もう殺されるかとおもったぜ。あのときは。」
そういうモーリに。
「でも傭兵がいたんでしょう?」
首をかしげてモーリに問いかけるアメリアに。
モーリはただ首を左右に横にふり。
「いやぁ。デーモンの数は百やそこらはいたんじゃねぇかな?」
『百!?』
そんなモーリの言葉に同時に問い返しているアメリア・ゼル・ガウリイ・そしてグライアの四人。
「ああ。どんだけ腕が立つ傭兵かは知らねぇけど。五・六人でどうこうできるわけがねぇ。
  デーモンが出た、デーモンが出た、と騒ぐだけ騒いでおいて、とっとと姿を消しちまいやがった。
  ――まあ、無理もねぇっ。ていやぁ、無理もねえけどな。
  もうだめだってみんなが騒いでいたところへ―――」
「その白い巨人が出てきた、というのか?」
モーリに問いかけているゼル。
何かどこかでそんなモノを見たような気もしなくも…などと思っているけども。
事実、アメリアもゼルもあれ、見たことあるしね♡
「そういうこった。あ、ロマール魚のフライ、追加してもいいか?」
「別にかまいませんけど。すいませ~ん。
  こっちの人にロマール魚のフライ一皿と。私にスペシャルパフェをお願いします♡」
「あ!ユニット!ずるいわよ!あたしにはミックスフライ三皿とランチCとスペシャルサラダ一皿追加ね。」
「あ、ついでにオレの分。クラウンソーセージとベーコンポテトエック゛と軽食セットAからCまで一つづつ!」
「ああ!リナさんもスミレちゃんもガウリイさんもせこいです!
  私にも子羊のロースと魚の肝のテリーヌに。鴨の卵スープ、追加おねがいします!」
口々に注文するあたし達をみてため息を一つつき。
「……こいつらのことは気にするな。……で?その白い巨人が?」
アメアリまで一緒にペースに飲まれてどうする…
そんなことを思いつつも、モーリにこめかみを押さえつつ問いかけるゼル。
「……な、何だかすごいな。と、ともかく。いよいよデーモンが襲ってくるってときだ。
  いきなり辺りが明るくなってよ。」
「明るく?」
モーリの言葉に問いかけるグライア。
そんな彼の言葉にこくり、とうなづき。
「――…と、いうか何かが光ったんだな。で、その時にはデーモンたちが片っ端からふっとんでいた。」
『――…はい?』
モーリの言葉に面白いまでに間の抜けた声を出しているアメリア・ゼル・グライアの三人。
「だから、デーモンたちが吹っ飛んでたんだよ。まだ生き残ってるデーモンも一杯いたけどよ。
  で、辺りの木が何か燃えてちょっと離れたところに巨人がいるのがみえたんだ。
  大きさは小さい山くらいはあったんじゃねえかな?全身真っ白でよ。
  で、そうこうするううに、ぴかぴかって巨人が二、三回ほど光って……で、デーモンたちは全滅だ。
  デーモン共も火の矢で応戦していたみてえだけど。巨人にはちっとも効いてなかったみたいだぜ?
  オレの考えじゃあありゃぁきっと山の神様か何かにちげえねぇ。」
などといって興奮気味にと話してくるこのモーリ。
……ま、一応あれ、装着者を精神世界面アストラルサイドから軽く隔離するからねぇ。
というかエルフが無差別に自然破壊してどうするのかしらね♡
ふふ♪
「いくら最下級だからって数初で全滅…なんて出来ますかね?」
などと首をかしげるアメリアに。
「普通一撃でできるでしょ?」
「それはリナさんだけです!」
「私も出来ますよ♡アメリアさん♡」
「……あんたらは問題外だ。絶対に。」
さらり、というあたしの言葉に即座に否定してくるアメリアに。
そんなアメリアににこやかにいっているユニットに。
なぜかゼルがあたしとユニットに対してそんなことをいってくるけど。
そんなゼルの言葉にうんうんうなづいているガウリイに。
「…ま、リナさんやユニットさんですし♡」
にこやかに、それで済ませているゼロス。
そして。
「―……その白い巨人のこともう少し詳しく話していただけませんか?」
いってモーリに、
ゼラス様に報告するにしても細かく事実を突き止めておかないと、後々困りますし。
そんなことを思いつつ問いかけているゼロス。
そんなゼロスに続き。
「…あの?その巨人とかデーモンの出現した様子とかもう少し詳しく話してくれませんか?」
いってモーリに問いかけているアメリア。
普通の人間達の感覚でいうならば素直に信じられるような話でもないのだが。
だがしかし。
森の入り口で焼け焦げた後を目にしていれば話しは別。
大地に数条のちょっとした大きさの溝が走り、その溝の周りが溶けて固まっていた。
それを見ているがゆえに、素直に信じているアメリア達。
ちょいちょい、とそれらを作ってよたばなしをするにしても、そこまでやる人間などはまずいない。
ま、たまにいるけど♡
そんなアメリアの問いかけに。
「詳しい話し…といってもなぁ。巨人はすぐに消えちまったし。
  村のみんなもまた騒いで見てただけだしなぁ。聞けるような話はみんな同じだとおもうぞ?」
いって腕を組むモーリに。
「傭兵のやつらはどうなんだ?」
食事を終えたゼルのと鋳掛に。
「言ったろ?真っ先にとんずらこいちまったって。
  デーモン達が片付いてもその後はまったく結局顔は見せず…よ。
  ま、顔を出せた義理じゃねぇ。ってことは確かだしよ。」
「それじゃあ、その傭兵達がどこにいったか心当たり…あるわけないですよね。」
モーリの言葉に食後のケーキを食べ終えたアメリアが問いかけているけど。
「まあな。けど、ひょっとしたら……」
「「?」」
モーリの言葉に顔を見合わせているゼル・グライア・アメリアの三人。
ガウリイは黙々と食事に熱中し、あたしとユニットはのんびりと飲み物を飲みつつ会話を聞いていたりする。
ゼロスにいたってはにこにこと、ずずっとお茶をすすっているけど。
「ガイリア・シティで大々的に傭兵を募集している、って噂を聞いたからよ。
  ひょっとしたらそっちのほうに向かっていっているかもしれんな。」
そんなモーリの言葉に思わず声を詰まらせているグライアに。
――…やはり、あの町に出向かないことにはどうにも話しは進みそうに(ないな)(ありませんね)。
互いに顔を見合わせてそんなことを思いつつうなづいているゼルとアメリア。
そして。
「……で?結局どういうことなんだ?」
ずるっ。
とぼけたことを言ってくるガウリイの言葉に椅子から転げ落ちそうになっているモーリとグライア。
「ま、ともかく、ガイリア・シティに行けば何かがわかるってことよ♡」
そんな完結なあたしの言葉に。
「なんだ。ならどうせ向かってるじゃないか。そこに。」
きょとん、としてそんなことを言ってくるガウリイだけど。
「あら♡ガウリイさん、こういうことは何どこも段取りよく手順を踏まないと♡
  それとも一気にガイリア・シティに移動します?」
にっこりと微笑みつついうユニットの言葉に。
なぜか。
「「「遠慮しときます!」」」
きっちり、きっぱりと声をハモらせているガウリイ・アメリア・ゼルの三人の姿が。
「……ガイリア・シティ……」
一人国を出た後、そして同士たちや父はどうなったのだろう、と思いをはせているグライア。
とりあえず、一通り村人達から他にも話しを聞いて。
あたし達は当初の目的どおりディルス王国首都・ガイリア・シティにと向かってゆく。


              -続くー


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あとがき:
薫:とりあえずここまでで、ノート10P分・・・まだまだ先は長いです・・・
  ルーク達との合流は次の次くらいかな?みゅぅ・・・
  でもページ的には次のページなので次回でルークとミリーナ。
  そして、何と彼女まで!?をお送りします(こらまてや
  何はともあれ、ではまた次回にて。
  2005年3月26日某日

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