エル様漫遊記・覇軍の策動偏
とりあえず、部屋を新たに三つほどとり。
そしてその一室にと集まりとりあえず事情説明会、と洒落込むあたし達。
「ええと……私はグライア=コードウェルといいます。
このお二人、アメリアさんとゼルガディスさんには護衛をお願いしています。」
そういうグライアの言葉に。
「……護衛…ですか?」
問いかけているゼロス。
とりあえず、あたしとユニットとアメリアがベットに腰をかけ。
残りのガウリイ、ゼロス、ゼルガディス・グライアはといえば、
ガウリイとゼルが壁にともたれかかり。
ゼロスとグライアはちょこん、と部屋にとある椅子にと座っていたりする。
まあ、この宿は各部屋に一つづつ椅子が備え付けてあり、それゆえに。
ゼロスは自分が泊まっている部屋から椅子をひっぱってきていたりするけども。
それはそれ。
グライアの言葉に続き。
「はい。実は最近ディルス王国でまた軍備増強をしている、と聞きまして。
以前の魔竜王ガーヴのときもだったじゃないですか。
それで、もしかして最近頻発しているデーモン発生事件と何か関わりがあるかもしれない、とおもって。
父さんを説得して城をでて、ディルス王国にむかっていたんです。」
横をふりむきつつ、あたしとユニットに説明してくるアメリア。
そなアメリアに続き。
「俺もディルス王国で大々的に傭兵の募集をしている、と聞いてな。
以前が以前だし、何か嫌な予感がしてな。そちらに向かっていたところ
――あからさまに『魔族』と思われるヤツにその男が偶然襲われているところに出くわしてな。
――で、話しを聞けば…だ。国そのものがおかしくなっている。しかも一人の女性のせいで。
というじゃないか。普通一人の女にそこまではできないだろう?
――で、事実を見極めるためにディルスに向かっていたところ……」
「ゼルガディスさんたちが盗賊に襲われそうになっていたところに。
たまたま私がその悪事の気配をかぎつけて!盗賊たちにと天罰をくだしたんです!」
そういうアメリアの言葉に。
「……いきなり木の上から声がして驚きましたけど……私は……」
何らつぶやくグライアの言葉は何のその。
「そして今!今度はリナさんたちと合流するなんて!
これは天が私たちでディルスに巣食う悪を滅せよ!といっているに違いありません!」
言って立ち上がり、力説を始めるアメリアに。
「……あ、あの?アメリアさん?」
とまどいつつ、グライアが声をかけるが。
「……ほっとけ。ああなったらどうにもできん。
――…とりあえず、主たる筋はそのとおりだが。これから詳しく話そう。」
いって、ゼルが一人、自分の世界に浸っているアメリアをほっといて淡々と事の経緯を話し始めてゆく。
はっはっはっ……
くる。
何かが。
町をでて、それぞれに散った同士は大丈夫だろうか?
領主に話し合いにいっても、『自分たちが口を挟む問題ではない。』といわれ。
――もうこうなれば、恥を忍んで他国にお願いに向かうしかない。
目立たぬように、夜行動し、何とかここまでこれた、というのに。
先日、道端でみた一緒に国の窮状を知らせるべく出た仲間の死体――
何のもかが、外部に救いを求めるのを邪魔している。
そう――あの女が来てから国は…国は……
彼はそんなことを思いつつ、夜の道をかけてゆく。
――…と。
ドッン!!
「うわっ!?」
いきなり何かの能力が自分の真後ろで炸裂する。
ざわり。
瞬間、全員に悪寒が走り……振り向いた彼の目に映るものは。
月明りの下に照らされている欝蒼と茂る森の小道。
そこにわだかまっている一つの黒い人影。
いや、それは比喩ではなく本当に全身が黒く――目も鼻も口もない人の形をしている【モノ】。
そう彼が理解するのにさほど時間はかからない。
後ろに佇むそれからは、明らかな負の感情が入り混じったような彼にとって不快感と恐怖が感じ取られる。
――そう。
伊達にディルス王国に住んでいるわけでも、カタート山脈に近い場所で産まれ育ったわけではない。
あからさまにわかるそれは……瘴気。
彼とて多少の術は扱える。
だがしかし。
【魔族】はその能力が強いほど人間に近い形をとる――というのは【賢者】達から聞いている。
だからこそ……
「貴様!?あの女の手のものか!?」
いって身構える彼に対し。
くぐもったたどたどしい口調で。
「グライア=コードウェル…か?」
そのどちらが正面とも彼には判断がつかない、
月明かりにのっぺりとした黒い人影に異様な紋様が浮き出ているそれが声をだす。
「くっ!」
うめく彼に対し。
「ココナラジャマ、ハイラナイ。オマエ…ヲ…コロス。」
だっ!
何か嫌な予感がして、彼――グライア=コードウェルが横に飛びのくのと同時。
ドグワァン!
彼が今しがたいたその場所が炸裂する。
何やら嫌な予感がする。
ディルス王国で大々的に傭兵などを集めている。
表向きはデーモンたちの脅威に対抗するためらしいが。
外の世界より戻ってきてまず感じたのは、デーモンの大量発生。
立ち寄る村々などがデーモンに壊滅させられていた例もすくなくない。
ゆえにこそ――事実を見極めようと、セイルーンに立ち寄ってみれば。
『アメリアが原因究明のために一人で旅にでた。』とのこと。
おそらくは、ディルスに向かったであろうからアメリアの手助けをしてやってくれ。
と半ば強引にフィルに説得され彼もまたディルスに向かって進んでいる。
あまり目立つのが嫌なので夜などを移動に利用して行動していたところに。
突如として辺りの空気が静まり返り。
感じるのはあからさまな……瘴気。
それも近くから。
そちらの方向に向かいかけたその刹那。
ドグワァン!
前方のほうより聞こえてくる間違いのない爆発音。
「ちっ!!」
その音をきき、彼――ゼルガディス=グレイワーズは音のほうにと駆け出してゆく。
「……ハズシタ…?……ダガ……」
首をかしげ、しばらくそのままの姿勢で固まり。
そして再び手を前にと突き出してくる。
「
同時に隙をみて、グライアが解き放った術が発動する。
タッン。
だがしかし、それを何なく体術でかわし。
「グライア=コードウェル…トイウ…ニンゲン…コロス……」
再び『ソレ』が言い放ち、グライアに向けて再び手を伸ばすと同時。
「
横手から…グライアとは別の人物が解き放った術が炸裂する。
カサリ。
「――やはり魔族…か……」
いって横手の茂みより出てくる前身白いマントとフードで覆っている一人の男性。
その姿をみて。
「……?オカシイ?……モクゲキシャ……デテキタ?」
その男性――いうまでもなくゼルガディスなのだが。
ゼルガディスが放った術をその体術とスピードをもってして、木々を盾として術を消滅させる。
そして、しばし、ゼルガディスとグライアを交互に見つめ―――
そして。
だっ!
そのまま森の闇の中にと駆け出し、それは溶け消えてゆく。
「…たすかっ……うっ。」
それをみて、ほっと胸をなでおろすグライアではあるが。
それと同時に、先ほどの攻撃で足をくじいていたがゆえに、その場にとうずくまってゆく。
「――あんた、大丈夫か?今のは……どうみても魔族だったようだが……」
そういいつつ、グライアに近づいてゆくゼルガディスの言葉に。
「――あの?あなたは?」
とまどいつつも問いかけるグライア。
「ただの通りすがりのものだ。」
いってグライアに向けて治療を施してゆくゼルガディス。
そして。
「――おせっかいかも知れんが、何がどうなっているのか話してもらえるか?
今のは…ひょっとして最近多発している、デーモン大量発生事件と何か関わりが?」
そう問いかけるゼルガディスの言葉に。
しばし考え。
だからといって、自分ひとりでは次にアレが出てきたら…そんなことを思いつつ、
見た目は白づくめで怪しいですけど……
ん?真っ白?
ふと足の痛みがのき、改めてそのことに思い当たり。
「…あの?もしかして…貴殿は白のゼルガディス…殿ですか?
先のディルス王国の混乱の折。お力を貸してくださった、といううち中の一人の……?」
とまどいつつも問いかける。
「…俺を知っているのか?」
そんな彼のことばに、首をかしげるゼルガディス。
そんな彼に対し。
「ああ!天はまだ我々を見捨ててはいなかった!
……あ、申し送れました。私はグライア=コードウェルと申すもの。
ディルス王国にて城内の警備隊を一つ任されております。
――実はあなた様を白のゼルガディス殿。と見込んでお願いがあるのですが………」
いって、グライアはゼルガディスに簡単な経緯を説明してゆく……
「とにかく、そういう理由で、俺はこのグライア=コードウェルと知り合った。
話しを聞く限り、どうやら裏で何かが動いているような気がしてな。
それで――だ。俺と彼とでとりあえず、ディルスに向かおう、ということになり。
一緒に旅をし始めたわけだ。そして―――」
そこまでいってゼルはため息一つ。
「――そして、アメリアとであったんだ……」
ため息とともに、一言もらすゼルの姿。
そして。
「やはり正義が私たちを引き合わせたんですよね!ゼルガディスさん!グライアさん!」
「「――………」」
ゼルの言葉と共に断言するアメリアに、
思わず無言になっているゼルとグライアの二人の姿があったりするけど。
ため息と共に次はアメリアとの出会いを説明し始めてゆくゼル。
ま、アメリアだしね♡
「――あ?あの?ゼルガディス殿?」
「何だ?」
木々の間から太陽の光が差し込み、小道に水玉模様を作りだしている。
「こんな昼間からこんな人気のない道を歩いてて…大丈夫なんでしょうか?」
とまどいつつ、横を歩きつつ問いかけているグライア。
そんな彼に対して。
「あのようなヤツがあいてなら、夜は逆に不利だ。
見たところ、あれは人型をしていた。ということからも手ごわそうだしな。
夜だと逆にあの黒い体が周囲に溶け込み、こちらの不利となる。
――…もっとも、あれが純魔族だとして空間を渡ってでもこられたら夜も昼も関係ないが……な。
だが、あの『魔』は何か他の魔族と違う感じがする。用心に越したことはないがな。」
淡々と言い放っているゼルガディス。
「魔族…なんですよね?…アレ…やっぱり……」
つぷやくグライアに。
「アレが人間にみえたか?」
とりあえず、グライアが事情をきき、一人の女にそこまでのことが出来るはずもない。
きっと裏に何かがある、と踏んで二人してディルス王国にと向かっているグライアとゼルガディス。
冷たく言い放たれたゼルガディスの言葉に、思わず無言になるグライア。
「――…まあ、何かが起こっていても伏木ではないだろう。
2年ばかり前にもあの国には大量に魔族が入り込んでいた。
あれからあのとき裏で動いていた、という魔竜王ガーヴは動きをみせなかったし。
また魔竜王ガーヴが動いているのかもしれないしな。」
確かあのとき、リナは逃げた、といってたし。
そんなことを思いつつも、つぶやくゼルガディスの言葉に。
「……では、あのシェーラとかいう女も?その可能性が?」
かつて、かの国に将軍として仕えていたラーシャートやその他の存在たち。
現国王が王位についてから、それらは、城にいたかつての重臣や宮廷魔道士、
または神官長たちから、その事実は聞かされている。
聞かされているが故に―――その辺りのことは、このグライアは知っている。
「しかし……まあ、別のやつもやってくるが……な。」
いって、ぴたりと足を止めるゼルガディスに。
「あ…あの?あいつでしょうか?」
とまどいを隠せないグライア。
自分たちに向けられているあからさまな視線。
ガサッ。
それとともに、数名の男達が茂みがなる音とともに、横の茂みより躍り出る。
それぞれの手にシミターや円月刀などの獲物をもち、あからさまな下卑た笑みを浮べ。
「へっへっへっ。兄ちゃんたち。こんな森の中どこにいくのかなぁ?
ここを通りたきゃ、通行料として金目のものを全部おいていってもらおうか。」
そんなことをいっている、計十名の男達。
「……違いますね。……えっと?」
「ぞくにいう追いはぎだな。無視していくぞ。」
「……は、はぁ……」
スタスタスタ。
そんな彼らをまったく意に介することなくスタスタと進むゼルガディスに。
そんな彼に続いてとまどいつつも歩いてゆくグライア。
「…て、てめえら!無視するとはいい度胸だ!こっちが下手に出ればつけあがりやがって!」
いって、突っかかってこようとする男達。
―――だが。
「
どごがんっ!!
しぃ~ん……
そんな彼らの横手に炎が炸裂する。
威力を抑えているので他に燃え移る心配はないものの。
「こ…こいつ!?魔法が使えるぞ!?」
何やら驚いている男達。
「今のはわざとはずした。次は……」
次はないぞ?
そうゼルガディスが言いかけると同時。
「おまちなさい!このようなお天気のいい日の真昼間からの悪事!見逃すわけにはいきません!」
ずるっ……
高々と上のほうから響き渡る声に思わずゼルガディスが体勢を崩し。
そのまま、前のめりにとこけてゆく。
こ……この声は……
などと思いつつ、内心冷や汗をかきつつも、こんなところで出会うとは……
そんなことをゼルガディスが思っていると。
「静かな森の中を騒がす悪人どもよ!
今こそこの場で自らの行いを悔い改め全うな道に戻るのです!
さすれば天の慈悲も得られましょう!
そうでないのならば、この私がこの手で正義が何たるのかを教えてあげます!!」
響き渡る声にざわめいていた男達が上空を振り仰ぎ。
「な…何だぁ!?」
「あんなところに人がいるぞ!?」
口々に空を振り仰ぎ叫びだす。
「……あ、あの?」
こけたゼルガディスを心配してグライアが声をかけるが。
「……気にするな。……こんなところであいつが出てきて少し驚いているだけだ。」
いいつつ、起き上がりながらも頭に手を当ててため息をつきつついっているゼルガディス。
一方では。
「何やつ!?」
「おりてこい!」
などと、お約束にも声をかけている男達の姿が。
そんな彼らに対し。
「悪人に名乗る名前はありません!
このアメリア=ウィル=テスラ=セイルーン!!正義よ呼ばれ今ここに!!」
いって。
「とうっ!」
賭け号とともに、少し前にとある木の頂から一つの人影が飛び降りてくる。
くるくる。
――…ベシャ!
シィィン……
そのまま、頭…というか、空中で回転しつつ飛び降りてきた白い人影は、
そのまま顔から地面にとおち地面にと着地する。
しばし、それを見て目を天にしている男達と。
「……やっぱりあいつか……」
いいつつ、ため息を吐いているゼルガディス。
……もしかして、あの人…死んだんじゃぁ……
そんな落ちてきた、ともいえる小柄な女性らしき姿をみてそんなことを思っているグライア。
だがしかし。
がばっ。
ピョッン。
すぐさまに何ごともなかったかのようにと飛び起き、ピョンと立ち上がり。
ピシッ、と男達…どこからどうみても盗賊たちにと向けて指を突きつけ。
「さあ!悪人ども!観念しなさい!」
何ごともなかったかのように言い放つ女性―――いうまでもなくアメリアの言葉に。
「何だぁ?どんな訳のわからんやつが出てきたかとおもったら。年頃のかわいい女じゃねぇか。」
「おっじょうちゃん。そんな変な遊びをしてないで。
オレ達がたっぷりとかわいがってやるからこっちにおいで。」
などといっている男達。
「あなたたちの悪事!見逃すわけにはいきません!
このような昼間から罪もない旅人を襲うなど言語道断!大人しく罪に対する裁きをうけなさい!」
だが、そんな彼らにひるむことなく言い放つアメリアに。
「へっへっへっ。力づくでいうことをきかせますか?アニキ?」
「結構な上玉だな。やろうども。コロスなよ?」
『へいっ!!』
いって、下心丸出しでアメリアにむかって進んでゆく男達。
――が。
彼らは気づいていない。
すでにアメリアが呪文を唱え終わっている、ということに。
「
ずどどどっ!
「うわぎゃぁ!?」
少しアレンジし、彼らの頭上より出現させた炎の矢が男達を攻撃してゆく。
そして又。
「さあ!あなたたち!観念しなさい!」
そんな彼らにアメリアは向かって言い放ち。
ふと。
「ああっ!?ひょっとしてゼルガディスさん!?何でこんなところに?!」
そこにいる盗賊たちに襲われかけていた人物がゼルガディスだと気づいて思わず叫んでいるアメリア。
「くっ!このアマぁぁ~!!」
一人が根性で炎の矢からかろうじて逃れ、アメリアに向かっていこうとするが。
きっ。
そちらをきっとにらみつけ、そして。
どごっ!
次の瞬間。
シミターを振りかぶり、アメリアに襲い掛かろうとしていた男はその溝落ちにアメリアの一撃をくらい。
そのまま。
「……ぐっ!?」
…どだっ。
後ろ向きにと倒れ付す。
「…
そんな様子を頭を押さえてみていたゼルガディスがため息まじりにつぶやくと同時。
『どわぁぁ~!!?』
ドッガァン!
未だに倒れていた男の足元から力ある言葉に従い、土砂が吹き上げる。
――…ギャウッ!
そのまま、男達は多少黒こげになりながらも、その場にて気絶し倒れてゆく。
そんな光景をみつつ。
「正義は必ず勝つのです!」
そをみて、片手を腰にあて、片手を空にと向けてVサインをしているアメリア。
「……あ、あのぉ?ゼルガディス殿?」
一人、状況がまったく理解できないグライアがゼルガディスにと問いかけてゆく――
「…・・・まあそんなこんなでアメリアとであって。アメリアもディルスに向かっていたらしいしな。
何よりこいつはほっとくと何ををしでかすかわからん。だから一緒にディルスに向かっていたわけだ。」
ゼルが簡単なアメリアとの出会いを説明し。
「ひどっ!ゼルガディスさん!『ほっとくと何をしでかすかわからない。』なんて!」
そんなゼルに抗議の声を上げているアメリアに。
「自覚がないのか?お前は……」
そんなアメリアをじと目でみているゼルの姿。
ま、アメリアだしね♡
-続くー
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あとがき:
薫:とりあえず、アメリア達の出会い編でした(笑
次でちょっとした爆弾発言ありですv(こらこら
最近花粉の影響で打ち込みスピードが格段におちてますわ・・(汗
何はともあれ、ではまた次回にて。
2005年3月23日某日
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