エル様漫遊記・クリムゾンの妄執偏

ざわざわ。
「――?リナ?ここは?」
とりあえず、先に魔道士協会に報告書を提出にいったあたし達。
何かあからさまないやみをいってきたので、ゼロスを引っ張り出して。
テルモードの評議長はただ今ちょっとしたゼロスが説得中だったり♡
ま、それはそれとして。
それと共にちょっとした依頼もまた協会より承り、見返りとしてとある紹介状を協会は出してきている。
まったく、この現状。
つまりは、『下っ端魔族が出現している原因究明。』なんてわかりきっていることでしょぅしねぇ。
何はともあれ――ゼロスにテルモード魔道士協会評議長の説得を任せ。
いつものように瞬間移動でとある小さな湖のほとりにやってきているあたし達。
「あれ?お姉ちゃんたち?旅人さん?わぁい。ようこそ。アイシクル村に。
  ここは…んっと。湖の上に丸太や木を並べて水上の村と化してるんだよ?」
そんな村の入り口にといるあたし達三人をみて声をかけてくる小さな女の子。
「ラン?どうしたの?……って、あら?旅人さん?
  こんな田舎によくまあまぁ。何もない村だけどゆっくりしてってね。」
いって、その女の子の母親が横手の奥からでてくるけど。
「旅人、というか、アリアさんに会いにきまして♡彼女います?」
にっこりと、そんな母娘に話しかけているユニット。
「まあ。アリアちゃんのお知り合い?あの子ならまだ家にいると思うけど?
  今日は確かお姉さんのベルちゃんと、ベルちゃんの恋人のアロン君とアリアちゃんで、
  『村の先にある山の湖の洞窟にいく。』とかいってたし。
  ――そうね。この村初心者にはわかりにくいから案内してあげるわ。」
いって、あたし達を促してくるその母親。
そんな彼女に促されつつ、素直に従いつつも、ついてゆくあたし達。

「そういえば、どういった知り合いなの?アリアちゃんとは?
  あの子この村の周りからは出たことがないはずだけど?」
などといいつつ、水の上に浮んでいる木の道を歩きつつ聞いてくるその女性。
そんな彼女に。
「以前、アリアが出ていたときにちょっと。」
嘘ではない事実をいっておく。
そんなあたしの言葉に。
「…・とすると、あんたたちも迷惑をかけられたのかい?
  あの子、悪い子ではないんだけど。困ったことに曲がったことが昔から大嫌いでねぇ。
  以前旅の人に魔法を習ってから、というのも悪事を働く人には容赦なくてねぇ。
  といってもアリアちゃんの魔法で打ちのめされる男達もいいきみだけどね。」
いいつつ、水の上に四方八方に伸ばされている木の橋を進みながら説明してくるこの女性。
一応、ここの比土人の記憶としては、アリアは昔からやんちゃでおしゃまな女の子。
という設定にしてみたり♡
というか、事実昔から彼女そうだったし。
あと悪人をほっとけない、というアリアの気持ちからある設定を追加してみたり♡
そんな会話をしつつも歩くことしばし。
ぎしぎしと揺れる湖の上にとかかる木の道を進んでゆくと。
「ほら。あそこだよ。」
いって指し示す先にあるのは、この湖の中ではちょっとした二番目に大きい小島。
その小島にあるのは食堂のみ。
一番大きな小島にはこの村の村長の家が存在している。
―――と、いっても、『クリムゾン・タウン』の町長がそのまま村長、として存在しているわけでなく。
確かにクリムゾンの中にと住んでいた町の人間ではあるけども。
ここに生き返らせている存在たちは、
『カイラスがやっていたこと。』とは無縁の存在達や、または被害者たちのみ。
カイラスは後々面倒なことが残らぬように、関係者は闇から闇へと葬っていたがゆえに。
あたし達がその小島に着くのと同時。
何が何だか理解できないままに、とりあえず外の空気を吸ってくる、といいい外に出てきているアリア。
そんな彼女が家よりでるのと同時。
ハタリ。
とやってくるあたし達にと目を留める。
そして。
「リナさん!?」
あたし達の姿をみて思わず叫んでいるアリアだけど。

何が何らだかわからない。
死んでいるはずの両親や、行方不明になっていた人々の姿。
さらにはどうみても自分の体も元の姿よりも幼くなっている。
姉や母達は
『夢をみて、夢と現実がごっちゃになるのはアリア(ちゃん)はいつものことね。』
といって笑い飛ばしていた。
確かに現実……であるはずなのに、自分にはこの村で生活していた『記憶』もある。
わからないままに戸惑いつつも、とりあえず外にでれば何かわかるかも――と思い、
とりあえず、お腹はすいていたのでご飯を食べて出てきたのではあるが……

「あ♡アリアさんだ♡」
いって、アリアの姿をみて彼女にと手を振るユニットに。
「……本当に生き返らせてるんだな……」
ぼつり、とアリアの姿をみて横でつぶやいているガウリイ。
くすっ。
「ま、今はグラウシェラーの馬鹿の影響でかなり生物死んでるしね。
  この程度の人数を生き返らせたところで支障はないわよ。」
そんなあたしの台詞に。
「……この程度って…かなりいるような気がするんだが……」
周りをみて何やらそんなことをいってくるガウリイだし。
「あら♡たかが数十人ちょい程度よ♡それに、あの町で死んだ存在もの達。
  ここ三十年ばかりの間のそれらの魂ってあの町から成仏できてないからねぇ。
  あのカイラスが評議長に就任してすぐ下手に湖の中にちょっとした道を作ったことで、
  湖の外の道とあわさって下手な魔方陣と化してたのよ。
  で、それらの干渉力で一種の束縛状態になってたし、あそこに住んでいるもの達にとっては。」
歪んだ魔法陣が形成されたことにより、人々は町から出ることもすんなりと簡単にできなくなっていた。
というのもあるし。
それがそこに住んでいる存在達ならばなおさらに。
ベルがアリアを逃がしたときには、ベルがその力――
つまりは、ドゥールゴーファの力をもっていた魔法陣の結界を解いたからだし。
ま、そこまで説明することもないけど♡
「リナさん!?何がどうなって!?」
いいつつねあたし達に気がついて、こちらに向かってかけよってきているアリア。
そんな彼女に気づき。
「おや。アリアちゃん。おはよう。お客さんだよ?」
そんなアリアに話しかけている女性の言葉に。
「マギー叔母さん!?」
驚きの声を上げているアリア。
アリアが12のときに行方不明になったとある家族の中の一人。
「それじゃ。あ、そうそう、この近くは遠くまでいかないと次の村がないからねぇ。
  何だったら村長さんときに泊めてもらえばいいよ。それじゃ、私はこれで。」
いってアリアにかるく手をふり、あたし達にと話しかけ、
家にと子供をつれて戻ってゆくマギーという名の女性。
「リナさん!?何がどうなってるんですか!?たしか…たしか私はっ!!」
確か――姉を助けようとしてあの黒い剣に手かけた。
そこまでは覚えてる。
とまどい、混乱しつつ聞いてくるアリアに。
「だ・か・ら♡時間率を少しもどして、一定の人々を違う土地に生き返らせたのよ♡
  記憶をちょぴっと新しいものを入れ替えてね。
  アリアだけよ、クリムゾンでのことを覚えているのは♡
  ――ま、それはそうとして。アリアの中にも新しい記憶、同時に存在してるでしょ?
  それがここでの『真実』よ♡」
あたしの説明に。
「今は戸惑うだろうけど、すぐになれるって。アリアさん♡
  それとも、何?ベルさんたちが死んだままのほうがよかった?」
「――…そ…それは……」
いきなり、『生き返らせた。』といわれても…
そんなことを思いつつも、いまだにピンときていないアリア。
と、そこに。
「あれ?アリアちゃん?どうしたんだい?お客さん?珍しいね。この村に旅人が立ち寄るなんて。」
小島のほとりで話しているあたし達にと話しかけてくる一人の青年。
「アロンお兄さん!?」
そこに、死んだはずの姉の恋人、アロンの姿をみて驚いて叫んでいるアリアだし。
ベルとは二つ年上のアロン。
その辺りは本来の事実はまったく同じ。
幼馴染であることなどもまったく同じ。
「おいおい。まるで死人が生き返ったかのような目で何みてるんだよ?
  ――ハハァン。さては又、アリアちゃん何かの夢でもみたな?
  アリアちゃん感受性高いから夢と現実が朝ごっちゃになるのは仕方ないだろうしね。
  ――それはそうとして、ベルいる?
  アリアちゃんも今日はお出かけの日なんだからあまりのんびりしないようにね。
  ……それとも、お客さんみたいだから今日のお出かけは延期する?」
いって、ポンポンとアリアの頭を叩いてくるそんな黒髪に少し銀色かかった瞳の青年・アロンに対し。
「――え?…あ……」
ふっと、『新たな記憶』として刷り込まれている『光景』がアリアの脳裏にとうがび。
「――え、ええっと。用事がすんだらすぐにしたくします。
  姉さんは父さんたちの手伝いをしていると思いますけど。」
ごく自然にそんな言葉が出たのにアリア自身驚き、
言ったあと自分の口を左手で押さえているアリアだけど。
「そう?じゃあオレも手伝うか。アリアちゃんのお知り合いの方らしき旅の方々。どうぞごゆっくり。」
いって、ぺこり、とあたし達にと頭をさげてアリアの家、つまりは食堂を営んでいるその家の中にと入ってゆくアロン。
あたし…今、何で、ごく自然に?
などと驚き戸惑っているアリアだけど。
くすっ。
「ま、どうやら大丈夫みたいね♡」
一応クリムゾンの記憶も残してたから適応するかどうか気になってたのよね。
「あ、そうそうアリア。ここも外はレッサーデーモンとかが多少は発生してるから気をつけてね。
  さってと、ガウリイ♡ここでちょっと辺りの盗賊たちでも数件壊滅してからあっちにもどって。
  それから協会の依頼を開始するわよ♡」
きょろきょろと辺りを見回して、ここ、代わった村だなぁ。
水の上の村か…そんなことを思っているガウリイに視線をむけて言い放つあたしの言葉に。
「……?協会の依頼って…何だっけ?」
本気で忘れているガウリイだし♡
「ガウリイさん。各地で頻発しているデーモン発生事件の調査ですよ。
  グラウシェラーさんがSさんの欠片を見つけ出そうとしてやっている♡」
そんなガウリイににこやかに説明しているユニット。
「あ…あの?いったい???意味が…何がどうなっているのか説明してくださぁ~いぃぃ~!!」
その場にアリアのなぜか面白いまでの叫びが響き渡ってゆく。
くすっ♡
別にそんなに驚くようなことでもないのにね♡

とりあえず、アリアの脳に直接何がどうなったのかを叩き込むようにして『伝え』。
あたし達はこの辺りの盗賊たちを退治して戻ることに♡
この辺りの盗賊たちって結構ためこんでいるのよね♡

とまどうアリアをそのままに。
夕方。
あたし達は再びテルモード・シティにと戻ってゆく。

さってと。
次はグラウシェラーをからかって楽しみますか♡


              ―クリムゾンの妄執編終了―
              -覇軍の策動編に続くー


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あとがき:
薫:ちなみに。このクリムゾン編。
  ノートのページ数的には、34ページ分をお送りいたしました(笑
  一応、アリアたちは死んだものの、生き返って幸せに暮らしている、という設定ですね(笑
  でも、この場所でもデーモン大量発生は起こってますので、あしからず(まて
  アリアは一人記憶があるからこれから戸惑いつつも生活していってもらいましょうv(かなりまて
  でも、あくまでも
  エル様が(万物の母たる存在)が関わったがためにこういった生き返りとなったわけで。
  実際ならば、絶対に生き返ることはありませんよ?ええ、切実に。

  この元となった本編みてわかるとおり(汗
  何はともあれ、ここまでお付き合いいただいてくださった皆様。
  ありがとうございます。
  次回からは、ようやく覇軍の策動!です!アメリア・ゼル・シルフィール・ミルさん・メフィ登場!
  んではではv


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