エル様漫遊記・クリムゾンの妄執偏

「あ…う…うわぁぁ!?」
いきなり、ベルの、そしてアリアのそしてアロンの記憶が直接ディラールの中に流れ込み、
それをうけて、面白いまでにパニックになりその場にうずくまるディラールの姿。
ちょっぴし彼らの記憶を受けたために混乱が生じているみたいだけど。
ま、関係ないし。
「――あ…あの?リナさん?」
意味がわからずに、戸惑いつつ、叫ぶディラールをみつつ問いかけてくるミリーナ。
そんな彼女に対し。
「さってと。あとはこのディラールを生き証人、として国王軍に引き渡せばあとは解決♡
  ちなみに、記憶が混乱して自分が誰かもしばらくの間わからなくなってるみたいだけど。
  ま、問題ないでしょ♡」
ディラールは叫びだすと同時に、その黒い髪は真っ白にと変化している。
そのあまりの記憶の経験に対する恐怖になぜか一瞬で髪を真っ白に変化させたのよねぇ。
ま、彼らのそういった感情もすべてこのディラールに移動させたしね♡
全員分の♡
「?まあつまり、ここを出るってことか?で?リナ?あの人達どこいったんだ?」
あたしがどこかに送ったことに気づいてガウリイがベルたちのことを聞いてくるけど。
「ああ。こことは別の土地よ♡
  でもってちょっぴし記憶をいじくって訂正したから。――ま、問題ないわよ。」
さらり、とそんなガウリイに説明しておくあたし。
彼らの魂がこの場から消えたその刹那る
あたしはこの惑星の中ではあるものの、別の大陸の山の麓の一角にと移動させている。
その場が一瞬輝き、そしてそこにちょっとした湖と地下な流れる地底湖。
そして湖の上に木を組み立ててできている小さな小島などをつなぐ道。
そんなそれら軒並みを瞬時に創り、
この町で『カイラスの悪事』に加担していなかったものたちだけをそこに再生させていたりする。
まあそこまで詳しく彼らには、説明する必要はないし♡
「「???」」
あたしの言葉に意味がわからずに、顔を見合わせているルークとミリーナ。
「ま、ともかく。カイラスもやっつけたことだし。あとは国王軍に任せましょ♡」
あたしの言葉に意味がわからずにいぶかしるルークとミリーナではあるが。
「――たしかに。ここにいても何もないですしね―……」
カイラスをやっつけて、そしてベル…そしてアリアが目の前で死んでいったのは事実。
それゆえに声を震わせつつミリーナが言ってくる。
「そういうこと。さ。いきましょ♡」
いまだにパニックに陥り、一人ぶつぶついっているディラールをひっぱって。
あたし達はカイラスの屋敷から外にとでてゆくことに。

月の明りのみが降り注ぐ、ここ、クリムゾン・タウン。
今は虫の声の一つもしない、静かな町と化してたり。
――とりあえず、そのまま外に出ると同時に。
クリムゾンから少しはなれた位置にと滞在している国王軍のところに赴き。
ディラールを『クリムゾンで保護した生き残り。』としてとりあえず引き渡し。
あとは国王軍に任すことにしたあたし達。
そしてあたし達は引きとめようとする国王軍の前から瞬時にテルモード・シティにと移動する。


「…というか、いいのか?あいつ?」
「ルークさん?でしたらルークさんは延々と国王軍の現場検証とかに立ち会いたいんですか?」
テルモードにと移動して宿をとり、それぞれ遅めの夕飯をとっているとルークが何やらいってくるが。
そんなルークのことばににこやかに、さらり、と突っ込みを入れているユニット。
「うっ……」
それは確かに……
ユニットの言葉に言葉に詰まってるルークだけど。
「ま、別にいいじゃない。責任はもともと国にあるんだし。」
あたしの言葉に続き。
「それはそうとミリーナさんたちはこれからどうするんですか?」
一人横で食事に没頭しているガウリイはおいといて、ルークとミリーナに話しかけているユニット。
あたし達が国王軍にカイラスを倒した……と報告した後。
とりあえず、その辺りにいた下っ端魔族はアストラル・サイドにと送り返し、
その一瞬でデーモンたちを消し去ったことに対して、国王軍はかなり驚いていたけど。
とりあえず驚きつつも、デーモンの脅威が消えた、というので、
明日の朝にはクリムゾンの町に入ることを決めている国王軍の面々。
彼らがそこで、町中にころがっている異形と化した町の住人たち。
といっても、全員もう死んでるけど。
そんな彼らを見たあと――あたし達が報告した地下道を探索し。
その洞窟の奥にちょっとした小さな村程度はあるとある実験工場をみつけパニックなったりするのは目にみえている。
だけども、そこはそれ。
あたし達には関係ないこと。
そんなユニットの問いかけに。
「――とりあえず、一応協会に報告書を提出しておいて。それからいつもどおり。ですね。」
ベルさんたちのことも気になりますけど……何ときけばいいのかわかりませんし。
まさか、本当に生き返らせたんでしょうか?
…別の場所に……でも人間にそんなこと…でも、リナさんですし……
そんなことを思いつつも言っているミリーナ。
そしてまた、下手に聞いて混乱するよりは、という思いもあるようだけど。
お茶をのみつつ、ユニットに返事をしているミリーナに。
「あら?ミリーナ?気になるんだったらあなたたちも連れて行きましょうか?
  彼女たちはとりあえずランゴードが治めている土地の中に生き返らせてるし♡
  当然つれてくだけで帰りは自力でね♡」
――ぷぴっ!
さらり、としたあたしの言葉にミリーナの横でお茶を噴出しているルーク。
「……だからどうして思っていることが……」
「それは秘密♡というか誰でもわかるって♡」
「「無理だと思う(ぞ)(います)」」
なぜか即答してくるミリーナとルークの二人の姿。
「ま、リナだし。」
それで済ますガウリイに。
「リナだし。私でもわかるし。」
にこにこいいつつ、ミックスジュースを飲んでいるユニット。
「ま、リナさんたちですからねぇ。」
ずずっ。
いいつつもお茶を飲んでいるゼロス。
「あ、そうそう、ミリーナ?
  報告書だすんだったら。もし何かうるさいこといってきたらルナの名前だしてもいいわよ♡」
そんなあたしの言葉に。
「そういえばルナさんの名前を出したら確かに早いわね。
  一応魔道士協会関係者でゼフィーリアのルナ=インバース。といえば大抵名前と追ってるし。」
あたしの言葉につぶやくユニット。
「まあ、赤の竜神騎士スィーフィードナイトさんを知らないと、それはそれで問題なのでは?」
がたたっ!
ぶぶぅっ!
あたし達の周囲にいたほかの人々が、
会話の内容から、例のクリムゾン・タウンにいってきた人々だと判断し。
好奇心も手伝い聞き耳みを立てていた人々は、
面白いまでに椅子から転げ落ちたり、食事中の食べ物を噴出していたりする。
先ほどの『生き返らせた』、うんぬん、という言葉の意味と。
『ランゴード』の名前の意味はわかってないようだけど。
今の『赤の竜神騎士』、だけは理解できたみたいねぇ。
「……そういえばリナさんのお姉さんって…・・・ 」
「あの赤の竜神騎士スィーフィード・ナイト赤の竜神騎士だって…前…いってたな……」
そんなあたし達の会話に呆然としつつ、額に汗を流してつぶやいているルークとミリーナ。
「あら?でもゼロスさん?ゼロスさんも初めは知らなかったってリナ嘆いてたわよ?
  魔族の、しかも一応高位魔族のくせに情けないって。」
「うっ!」
ゼロスにさらり、というユニットの言葉になぜか言葉につまりうめき、硬直しているゼロスの姿。
まっ!?魔族!?い…いや、冗談だろうな。今のは。
その言葉にそんなことを思っている他の客たち。
「――で?リナ?オレ達はどうすんだ?」
周りが何か騒がしいのもなれたなぁ。
そんなことをしみじみおもいつつ、あたしに聞いてくるガウリイ。
「――そうね。とりあえずは、気の向くまま…かしらね。
  それに面白い依頼がまた協会からありそうだし♡」
「「……『面白い依頼』……って……」」
そんなあたしの言葉に同時につぶやいているルークとガウリイ。
「――…と、とりあえず、私たちは明日の朝早く出発しますわ。
  本来ならばとある遺跡にいこうとしていたところ…この一件にかかわったもので。」
そういうミリーナに。
「ま、そういうこったな。しっかし…
  あんたたちとであってから…とんでもないことにばかり巻き込まれている…と思うのは。
  俺の気のせいじゃあないとおもうが……。とりあえず俺とミリーナはまたラブラブな……」
「ルークの寝言はともかくとして。私たちはまた旅に出ます。目的地も一応決まってますし。」
「ミリぃ~ナァ~……」
何やら横でいじけるルークを鮮やかに無視して、言ってきているミリーナ。
「そなんだ♡それじゃあ、縁があったらまた会いましょうね♡」
にっこりといい、手を差し出すユニットに。
「…何か出会ったら、次も大変なことに巻き込まれそうな気がしますが…
  まあ確かに、縁があったらまた会いましょう。」
いって差し出されているユニットの手を握り返してくるミリーナの姿。
実は、次は少しあとで、面白い出来事で出会うんだけどねぇ。
今は秘密にしときますか♡

そんな会話をしつつ、とりあえずあたし達はそれぞれ一晩体を休め。
あけて翌朝。
それぞれ別々に出発してゆくことに。
ミリーナたちを町の出入り口で見送りつつ、
「…で?リナ?オレ達はどうすんだ?」
あたしに聞いてきているガウリイ。
ゼロスは昨晩のうちに報告にいき、戻ってきたところをそのまま魔道士協会にあてがってるし♡
「とりあえず、アリアのところに挨拶にいくわよ♡」
「――え゛!?」
ガウリイかその言葉を理解するよりも早く。
シュッン。
あたし達の姿はその場より掻き消える。
何かそれをみて、通行人が騒いでいるけど。
これしきのことで騒いでどうするのよ♡

向かうは、アリアたち数名を生き返らせているとある村……




チュン…
チュンチュン…
……まぶしい。
思わずそのまぶしさに目をあける。
……?
私…いつのまに横になってたの?
もぞもぞと動くと――しかも、何やら柔らかな何かの上で寝ている自分。
「――え?」
確かさっきまで姉さんを助けようと私は……
自分がどやらベットに寝ていることに気づき、思わずガバリ、と起き上がる。
実は、面白いからアリアの記憶だけ♡残してるのよね♡
「アリア!!いつまで寝てるの!?」
アリアがベットから半身を起こすのと同時。
バッン。
自分がいる部屋の扉が開かれる。
「…姉…さ…ん?」
そこにいたのは、まだ若い…歳のころならば16,7のときのベルの姿。
――これは…夢?
呆然とづふやくアリアに。
「…はぁ~……」
ベルは腰に手をあてつつため息一つ。
そして。
「母さぁん!まぁ~たアリアがねぼけてるぅ~!!」
「――え」
いって、ベルがドアの向こうに話しかけたかと思うと。
「また?まったく、アリアはお寝坊さんねぇ~。」
トントントン。
誰かが階段を上ってくる足音。
そして忘れられない懐かしい――声。
そして、足音がとまり、ベルの後ろからひょっこりと顔をのぞかしているのは……
「――母さん!?」
何で!?どうして?
母さんは…大分前に……
とまどうアラアに。
「あら。今日のアリアはかなり寝ぼけてるわねぇ。ほら、はやく起きなさい。
  今日はベルの恋人のアロンさんとお出かけする日でしょう?」
――お出かけ?
ざっ。
その直後、アリアの脳裏に…覚えがない……が、様々な事柄が浮んでくる。
記憶はそのまま。
だけども、プラスαあり♡
呆然とするアリアがふと横をみると、そこには大きめの鏡台が一つ。
たしか、姉さんとおそろいで買ってもらった……それは元々アリアがもっていたもの。
品物とかは面倒だから生き返らせた人々の家々からもってきてるしねぇ。ここ♡
その鏡に映っている姿は、アリアが知っている今までの15,6の姿ではなく11,2歳のときの姿。
正確にいうならば、ただ今アリアはここでは11歳の肉体になっていたりするんだけど
まだそれに気づいてないし♡
「――え?私さっきまで…カイラスを倒して……そして…そして……」
鏡と、そして自分の手をまじまじとじっとみつつ、つぶやくアリアに。
「カイ?あらあら。よっぽど何か印象深い夢でもみたのね。アリア。とにかく早く起きなさい。
  母さんはお店の仕事があるから降りるけど、朝食、すぐにできるわよ?」
いって、ぽんぽんと、アリアの頭に手をおくリナ。
アリアとベルの母親であり、本来ならば、数年前に死亡していたはずの人物。
ついでだから生き返らせといたのよね。
別の記憶をうえつけて。
それはアリア以外のここに住んでいる人々全員にいえるけど。
「ほら、アリア?何ぼ~としてるのよ?私先に降りるわよ?着替えておりてきなさいね?」
こくっ。
何が何だかわからぬままに。
かつて、自分が住んでいた自分の部屋とまったく同じ間取りの部屋を見渡し。
とりあえず、状況を把握するためにも…などと思いつつ、アリアは服を着替え。
そして、一階にと降りてゆく。
かつては二階が家族の家となっており、一階の一部が食堂として開かれていた。
それはベルが婚約し、引っ越すまで続いたのだが。
そんなことを思い出しつつも……なら、覚えのないこの『記憶』は?
はっきりと、漠然とではあるが、目が覚めるにつれて、ここで家族四人で食堂を営んでいること。
そして……そんなことが脳裏に浮んでくる。
そんなことを思いつつも、何もかもわからないままにアリアはとりあえず服を着替え、
とりあえず一階にと降りてゆく。

「お。アリアちゃん。今日もまたねぼけてたんだって?」
「アリアちゃん、よく夢と現実がわからなくなって寝ぼけるからなぁ。」
一階におりてゆよくと、見覚えのある店がまえと、そして見覚えのある常連客たち。
「…ガスタス叔父さんたち……」
確か彼らは……
アリアの母がなくなって数年後、娘が行方不明になり、そしてそれを探しに出かけ……
それっきり行方不明になったはずではなかったか?
アリアのそんな思いはしるはずもなく。
「でもリンさん。よかったねぇ。ベルちゃんにステキな恋人ができて。この店も安泰だな。
  ベルちゃんと結婚してアロン君とこの店経営するつもりだって?いやぁ、若いっていいねぇ。」
「ガスタス叔父さん!そんな、わたしたちまだそんな…結婚だなんて……」
カウンターに座っている少し髭を生やした親しみやすい顔立ちの男性の言葉に、
その男性の背中をかるくたたき、顔を真っ赤にして言っているベル。
――彼らの『記憶』はこれが当たり前なこと。
記憶を刷り込むなんて簡単なことだしね。
―――?…一体…何がどうなってるの?何がおこってるの?というか…これは夢?現実?
一人意味がわからずに戸惑うアリアが。
ここ、アイスクル村の中において、見受けられてゆく。


                            -続くー


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あとがき:
薫:はいvアリアちゃん登場ですv肉体的な時間率が少しさかのぼって生き返っているアリアたち。
  その事実を知るのは、この村の中ではアリアのみ(笑
  さて、次回、エル様…もとい、リナさんたち登場ですv
  でもって、次回でこのクリムゾン編はラストですv
  それでは、また次回にてv
  2005年3月12日某日


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