エル様漫遊記・クリムゾンの妄執偏

何やら上空であたし達に対して攻撃しようとしてきている元人間の翼をもった下級魔族たち。
ガウリイが何やら叫んでいるその横で。
「とりあえず♡プレゼント♡」
ふわっ。
何やらごそごそと、腰にと下げている小さな袋、というかポーチからある一つの球体を取り出しているユニット。
それをみて。
「「げっ!?それは!?」」
なぜか思いっきり負の感情を振りまきながら叫んでいるゼロスとガウリイ。
「人間を媒体にしている下っ端さんたちってどれくらい耐久能力があるのかしら♡」
トッン。
にこやかにユニットがいい。
そして、その手にしている水晶の中……というか、ユニットが取り出した。
記憶球メモリーオーブの中に封じられていたとある言葉が。
ユニットがそれを軽くもう片方の手でつつくと同時に流れ出す。
「……耳栓しててよかった……」
「だな。」
ゼロスはなぜかいそいそと以前Sが作った特性の耳栓をつけ、
ガウリイにいたってはあわてて両手で耳をふさいでいたりする。
竜語がわからなくても、ガウリイ、その勘である程度理解できるからねぇ。
ポビュッ!!
ポシュポ゛シュ!
バシュゥッ!
音量をかなり小さくしていた、というのにもかかわらず、
それが流れたとたん、あっさりと綺麗に滅んで消滅していゆく下っ端魔族達。
そして又。
「……今の…何です?」
真っ青な顔をしてあたしに少しふらふらしつつ、聞いてくるミリーナ。
ま、ミリーナも竜語…少しは理解できるからねぇ……
「え?ああ。この中に入ってたやつ?
  以前一緒に旅をしていた竜達の峰ドラゴンズピークを今は束ねている。
  長老でもある黄金竜のミルガズィアさんってひとからもらったの♡
  彼のギャグ特選集が入っているらしいのよね♡」
いいつつ、その手にもっているオーブを示しつつ説明しているユニット。
「……なあ?アリアちゃん?…今、ものすごぉく意味もなく寒くなかったか?」
「……ええ……」
竜語をまったく理解できないディラールとアリアはそんな会話を横でしてるけど。
「うっうっうっ。ユニット様ぁ~…いきなりあれを流さないでくださいよぉ…
  アレはおもいっきり精神破壊兵器なんですからぁ……
  下手に聞いたら僕ですら行動不能になるんですよぉ~……」
何やらもう大丈夫かどうか確認しつつ耳栓をはずして何やら泣き言をいってきているゼロスの姿。
「そんなことより…ああもう!
  あの程度で滅んだりした奴がほとんどじゃない!根性ないわねぇ。あたしが遊べないじゃないのよ。」
みれば、あっさりとこの辺り一角の憑依などをしていた下っ端魔族達は綺麗さっぱりと滅んだりしてるし。
声が届かなかった位置のものですら、死んで物質形態すらとれなくなってたりする。
まったく、媒体になっている依り代がある、というにねぇ。
とりあえず、滅んだやつらはお仕置きしておいて、
ここの世界の宇宙空間とかアストラル・サイドの空間内部において、ゴミ掃除でもさせますか♡
「……いや、今の…もしかして、噂にはちらっと聞いたことがある……
  …それに入ってるのって………あの竜族のギャグなのか?」
ユニットの説明に冷や汗を流しつつつぶやくようにいっているルークに。
「……聞かなかったことにしますわ。」
いいつつも顔色の悪いミリーナ。
「「??」」
そんなあたし達の会話の意味がわからずに、首をかしげているアリアとディラール。
「ま、ともかく、あれはあまり使うなよ?ユニットちゃんも。……で?これからどうすんだ?」
しみじみいいつつも、質問してくるガウリイに。
「そうねぇ。――とりあえず援軍が来ても何だし♡地下からいきましょ♡」
いって、少し先の路地の中にとある一軒家のほうにと向かってゆく。
しばらくして、また羽音がこちらに向かってきてたりするけども。
その音を聞いて顔色を悪くし。
「あっ!まってください!リナさん!」
あわててあたし達を追いかけてくるアリアたち。
「?リナさん?この家に何かあるんですか?」
問いかけるミリーナの言葉に。
「ああ。地下室があるのよ。で、そこから地下の…
  つまりは、この町の下にとある地底湖に向かって、そこから目的地に向かったほうが早いしね♡」
そんなあたしの言葉に。
「――そういえば、以前姉さんと探検してて…迷い込んだ記憶が……」
ふと、昔のことを思い出し、つぶやいているアリア。
ま、アリアが昔住んでいた島にも地底湖に通じている洞窟…あったからねぇ。
どうでもいいことだけど。
「……ま、とにかく…いきましょ♡」
いって、あたし達はそのまま、その無人である家の中にと入ってゆく。

「…しかし…さすが本拠地だなぁ。
  戦力がある、とはおもってたけど、いろんな種類のデーモンが出てくるし。」
地下室より地面の土を消していき10人くらいは並んで悠々通れるであろう広さで土を掘り進んでゆくあたし達。
正確にいえば、土を消去していってるんだけど。
そして、何かアレから人間の気配もしていたけど…
などと、そんなことを思いつつ、歩きつつしみじみつぶやいているガウリイ。
「……デーモンっ…って、あの半分魚みたいな奴とか羽が生えていた奴とか…か?」
眉をひそめて、ガウリイの言葉にそんなことをつぶやくディラール。
そんなディラールに対して。
「そうですよ?ディラールさん?判らなかったんですか?
  まあ、いくら人間などを依り代にしていようが所詮は下っ端魔族♡気にすることはありませんよ♡」
「――依り代?」
「って、ちょってまてっ!?あれ…元は人間なのか!?」
にこやかに説明するゼロスの言葉に首をかしげているディラールに、何やら叫んでくるルーク。
あたしとユニットとガウリイ。
その後ろにミリーナとルーク。
そして、ラストにゼロス。
縦四列に並んで歩いているあたし達。
「あら?気づかなかったんですか?
  気配からしてこの町の湖や、町に住んでいた生物はすべて姿を変えられているようですけど♡」
そんなルークにと、少し振り向きざまににこやかに言っているユニット。
「「「……姿を変えられてるって……」」」
その言葉に同時につぶやいている、ミリーナ達とアリア達。
そして。
「――よくわかんねぇが……えらいところにきちまったようなきが……
  これなら国王軍にタダでこき使われていたほうが少なくとも安全ではあるわな。それに…この体……」
むにっ。
いいつつも、本来ならばあるはずもない自分の胸をつかんで何やらつぶやくようにいっているディラール。
「……すいません。変なことに巻き込んで…・・・ 」
しょんぼりとうなだれ、つぶやくアリアに。
「あ!いやいや、アリアちゃんが気にすることなんてねぇょ!俺は別にそういうつもりじゃあ。
  ただ、こういう荒事はアリアちゃんや俺みたいな繊細な人間にはむかねぇんじゃねぇかと……
  あ、でも別にあんたらが無神経、とかそういう意味でいっているわけじゃないからな!」
最後の言葉は何やら震えつつ言っているディラールだし。
「何はともあれ…すべてはカイラスを倒してから…ですわね。
  リナさん?その今いった人間を依り代にしている云々は事実なんですの?
  ――その場合元の人達に戻すことは?」
顎に手をあててすこし考え込みつつ、あたしに聞いてきているミリーナ。
「あら。できるわよ?そんな簡単なことは。
  ま、どうせカイラスがいるとすれば、魔道士協会、もしくはカイラスの屋敷でしょうしね。
  ってことでそろそろつくみたいね。」
その言葉と同時。
ぽこっ。
あたし達が進んでいた穴の先の視界が開け。
そして。
その眼下にはクリムゾンの町がすっぽりと入ってもまだあまるほどの広さの湖が広がっていたりする。
一目みただけで判る、そのちょっとした広さの空洞と、そこにある地底湖の姿。
そしてまた、その空洞を照らし出している岩にとこびりついて群生している光ごけの群れ。
ゆえに、そこにはそこそこの灯りがあり、行動するのに差し支えはない。
「――地底湖……ですわね。」
それを覗き込みつつ言うミリーナ。
「そういうこと♡――さっ、降りるわよ♡」
あたしの言葉に。
「……あ、あの?リナさん?私空…飛べないんですけど……」
「同じく。」
情けないことを言っているアリアとディラール。
「あら♡これくらいの高さなら飛び降りでも大丈夫よ♡ってことで降りなさいね♡」
どごっ!
「んきゃぁぁ~!?」
「うわぁぁ~!?」
後ろからいきなり何かに恐れ、じたばたしつつも、
そのまま穴の先……まりは地底湖のほうにと落ちてゆくアリアとディラール。
ちょぴっと何やら悲鳴を上げてるようだけど、ま、関係ないし♡
地底湖の上には点々と小島が存在しており、その島の規模は上の湖と比べて少し下程度。

「…あのなぁ?リナ?
  いきなり空気の塊ぶつけて突き落とす…というのはいくら何でもよくないとおもうぞ?オレは。」
とりあえず、全員が湖の中に点在している小島にと降り立った直後、あたしをみてそんなことを言ってくるガウリイに。
「あら♡何のことかしら♡け」
にっこりと笑ってかわしておくあたし。
そして又。
「……もしかして、この地底湖って……上のクリムゾンの町より大きいんじゃぁ?」
「――壁がみえねぇなぁ。湖の先も。確かにここ。」
周りを見渡しつつ、そんなことをいっているミリーナとルーク。
「とりあえず♡進みましょ♡」
いってユニットがピシャリ、とその水面にと手をつけると同時。
ピッシ。
ピシピシピシッバシッ。
ピッキィ……ンッ……!
ちょっとした幅…といっても数十メートルほどの間隔をもった氷の道が音と共に出来上がる。
「さ♡いきましょ♡」
にっこりと立ち上がり微笑むユニットに。
「あ、この下、というか湖。何かさっきの魚デーモンの気配とかするから。
  アリア達やルーク達気をつけるにこしたことはないぞ?」
振り向きつつも、ルークとミリーナ、そしてアリアとディラールに忠告しているガウリイ。
「……は?」」
彼らが首をかしげると同時。
――ビバシュッ!!
氷を貫き、数条の氷の矢が氷の道の左右の端から吹き上がる。
ま、端のほうだけだしね♡
下からの何らかの干渉うけるような氷でもないしね、これ♡
一歩足を踏み出したあたし達の横で吹き上がってくる氷の矢に。
「うわぁぁ~~!!??」
「わきゃぁぁ~~!?」
戦い慣れしていないことをあからさまに示すかのように騒いでいるアリアとディラール。
たかが、この程度のことでパニックになってるし。
「??でも何で…私たちの足元からではないんでしょう?」
氷の道を進みつつも、冷静にそのことに気づきつぶやくミリーナ。
「ああ?そのこと?簡単よ♡彼らの魔力程度じゃ、この氷を突き破れないのよ♡
  端のほうは薄くしてあるから氷が貫けるけど♡」
にこにこと、そんなミリーナに説明するユニットの言葉に。
「…というか、これ……僕でも無理ですよ……」
などと情けないことをいっているゼロス。
ユニットはちょっぴしあたしの力を練って、氷に見せかけた
…というか、ここの湖の氷の一部にその力を練って氷と成しただけだ、というのに。
そんなゼロスの言葉と同時に。
ピッシャ…
「……訳のわからん術を……」
何なんだ?あの氷の道は…近づくだけで何かものすごい悪寒が走るが……
そんなことを思いつつも、いいつつあたし達の前方にとある小島にと湖の中より這い出てくる一つの影。
例えていうならば、青緑色の水死体。
水ぶくれしているようなぶくぶく膨れ上がった体に手足にはヒレが生えており、
かぎ爪の伸びた手の指の間には水かきがついてたり♡
そして、人間ならば穴とか口とかがある場所には、
緑色の触手がうにょうにょと数十本以上まとまってうごめいている。
「……見た目、しゃれにならねぇな…あれ……」
「な、なんだぁ!?」
それをみて、ルークがつぶやきディラールが叫ぶ。
「……えい♡」
どごっ!
――ぱったん。
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』
足元の一部の氷をもぎ取り、それにむけてユニットが投げると同時。
たった、その小石程度の氷の直撃をうけそのままパッタリトひくひく一瞬全身を痙攣させ。
そしてたかがこの程度のことで、まったく動かなくなってゆくそれ。
それをみて無言になっているあたしとユニット以外の全員の姿。
「さ♡見た目に気持ちわるい人もいなくなったし♡いきましょ♡」
いってスタスタとあるき始めるユニットに。
「……なあ?ひょっとしてあの子供もとんでもないんじゃぁ……」
あのリナ=インバースと同様に。
そんなことを思いつつ、呆然としながらも、自分の後ろにてるゼロスに聞いているディラール。
「それは秘密です♡」
そんな彼の言葉をにこやかに、さらり、と交わすゼロス。
「……ま、ユニットちゃんだし。――それより、次がくるぞ?」
それですませ、そして左右をにらみつけるガウリイ。
と。
ざばばっ!
水面を波ただせ、
そしてあたし達が向かっている先にある小島に顔を出してくるレサーデーモンなどの魚バージョンたち。
中には半魚人みたいなレッサーデーモンになっている奴もいるけど。
それはそれ。
「「わきゃぁぁぁああ~~!!??」」
それをみて、またまた叫んでいるアリアとディラール。
まったく、この程度で叫んでどうするのかしら♪
その後に続き、ゆっくりと數面より出てくる一つの物体。
白く膨れ上がっているちょっとした大きさの肉塊。
ちなみに、その背後にはちょっとした蔓もついていたりするけど、
それは一応あたし達のほうからすれば、視覚で見る限りは死角だし。
小さな竜程度の大きさの崩れかけた球形。
そのにごった白さの球形のほぼ人間の大人の胸ほどの高さのところにある金色の髪の青年の顔が一つ。
人であったときには、こいつはかなりナンパ氏だったんだけど。
それでカイラスとつるんでいた…というのもあるし。
まあ、今は関係ないし。
ぱっと見た目、飾りにも見えなくないそれは、こちらのほうをみつつ。
そして。
その白い肉塊を倒れている、
名乗ることなくあっさりとユニットが投げた小石にも満たない大きさの氷にあたって倒れている、
先ほどの青緑色の物体にと覆いかぶせ、そしてうねうねとその体を自らの中に取り込んでいたりする。
それをみて。
「……ひっ!?」
アリアがなぜか悲鳴を上げているけども。
そして――【ソレ】を取り込み終わると同時。
その中央より少し下に不自然に張り付いている…というか、突き出ている顔をあたし達にと向け。
「――はじめまして。私のことはアイレウスとでもおよび下さい。――状況は見せていただきました。
  けれど…ナロフは意外ともろかったですね。あの方も実は結構強かったんですけど…
  よもやそこのお子様に氷を投げられたくらいで絶命するとは……」
一人で勝手に話しはじめ。
そして。
「まあ、あれではあまりに気の毒ですからね。
  そこでナロフにも活躍の場を与えてあげることにしましたよ。」
いって笑みを浮かべるアイレウス、と名乗ったもの。
「――だから取り込んだって…か。胸くそわりぃな。」
アイレウスが話し出すのと同時。
その顔の横から、肉塊より出てくる先ほどの青緑色の生物――ナロフの顔。
「――どうでもいいけど、世間話している暇はないんだけど♡
  ゼロス、あの一つはちゃっちゃとやっちゃってもいいわよ♡」
腰に手をあてて、後ろにいるゼロスにと離しかけると。
「そうですか?――それでは♡」
ザッン!!!
「……がっ!?」
アイレウスと名乗った物体のその背後より、
ちょっとした木の幹ほどの太さの黒い三角の錐がアイレウスの体を貫いてゆく。
アリアたちはゼロスの前にいるのでゼロスの表情は見えていないが。
口元に笑みを浮べ、すっと目を見開き、
「……所詮、強くなった、といってもそれは元人間であるあなたたちのレベル内でのこと。
  ――身の程はわきまえてくださいね♡」
その言葉と智に。
ゾッン!!
下から突き上げた別の黒い三角の錐によって、
ものの見事にアイレウスと名乗ったソレは粉砕し、そしてドロリと溶けて湖の中にと流れ落ちる。
じゅっ!
水につかると同時に瞬く間にそれは蒸発してゆくが。
『……今の……何?』
それをみて呆然となっているアリアとディラールに。
「……何度みてもなれねぇな。」
「…同感ですわね。」
などといいつつ、額に汗を流しているルークとミリーナ。
ま、この二人は以前教えてるから、あれがゼロスの本体の一部って知ってるしね♡
「……リナぁ?みもふたもなくないか?」
一人剣の柄にと手をかけていたガウリイがその手をおろし、のんびりとあたしに言ってくる。
「あら、いいのよ。別に。――さ、それよりいきましょ♡
  この氷の道、湖の中にある洞窟の入り口までユニットは創っているみたいだし♡」
ちなみに、丁寧に水に濡れないように氷の筒状の道まで湖の中に作っているようだしね♡
何やらアリアとディラールは今のをみて、カタカタと震えているけど。
「ああ。ただゼロスさんが、アストラル・サイドから攻撃しただけですよ♡
  とりあえず、今リナがいったようにこの湖の中に町にと通じている洞窟があるし♡そこに向かいましょ♡」
そんな二人に振り向きつつ説明しているユニット。
「――そうなんですか?」
首をかしげ、その言葉をきき、あたし達に問いかけてくるミリーナ。
「気配でわかるでしょ?」
「洞窟があるのはあの先だろ?何か道が途中で水の中にはいってってる。」
「そうそう♡」
至極当然な、あたしとガウリイ、ユニットの会話になぜか無言になっているゼロス意外の四人の姿。
「――ま、リナさんですし。」
「――だな。」
とりあえず、深く考えないことにと決めたミリーナとルークがつぶやき。
そして未だに絶句し、混乱しているアリアとディラールを引き連れて。
あたし達はしばし、氷の道を進んでゆく。


                            -続くー


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あとがき:
薫:うーん・・・これ書いた当事。というか、布団の中で書いてたんだけどさ(まて
  近くにシャープペンが見つからず、しかたなしにてじかであった赤ペン(まて)でかいてるもので。
  ノートが見難い、見難い・・・(汗
  とりあえず、赤ポールペンでかいてるのが1P分ありますわ(実話
  さって、残り10ページ!!がんばりますのですv
  ではでは、また次回にてv
  2005年3月9日某日


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