エル様漫遊記・クリムゾンの妄執偏
「……リナ?もしかしてそれ……性別転換…か?それ……」
その力の波動、というか気配に気づいて何やら冷や汗を流しつつ言っているガウリイ。
「そ♡まがりなりにもこのあたしに対してあ~んな暴言はいてくれたしねぇ♡
失礼なことばかり思っていたりもしたし♡
というわけで、お仕置きはしばらく女性になってもらおうとおもってね♡」
にこやかにいうあたしの言葉に。
「「「……いや、女性って……」」」
何やら同時につぶやいている、アリア・ルーク・ミリーナの三人。
そんな三人に対し。
「…そういえば、リナさん。ガウリイさんにもやったことありましたねぇ。あとゼルガディスさんとか♡
ま、僕としては面白いですし♡いいお食事できたからいいんですけど♡」
光に一瞬包まれて、その体系をまったく変えているディラールをみてにこやかに言っているゼロス。
――そして。
「うわぁぁ~!?何だこれぇぇ!?」
少し高い声を出しつつ、そして自分の体系の変化に気づき、面白いまでにと叫んでいるディラールと。
「……あ…あの?リナさん?今…何をしたんですか?
それに…どうみてもその人…女性になってませんか?」
なぜか声を震わせてあたしに聞いてきているミリーナ。
「そうだけど?別に性別を決定している染色体をいじくっただけだし♡簡単よ♡」
「それに噂ではあのカイラスさんって二十歳前後の女性は見境なしに手をつけるらしいし?
だったらこのディラールさんにおとりになってもらえば、
アリアさんのお姉さんのベルさん救出もたやすいんじゃない?
だから、リナは女性に変えたみたいだし♡」
あたしとユニットの言葉に。
「うわぁぁ~!?胸があるぅぅ~!?アレがないぃぃ~!?ぎゃぁぁ~!?」
未だに一人でパニックになっているディラール。
「「「……リナ(さん)って……」」」
なぜか、アリア・ルーク・ミリーナ三人の声が一致していたりするけども。
ま、それはそれ♡
「まあいいじゃないですか♡ディラールさん…でしたっけ?
それとも、存在そのものから消滅したかったですか?
リナさんにあのような口を聞いといてそれで済んでいるのは奇跡ですよ♡」
そんなディラールににこやかにと話しかけているゼロスだし。
「――まあ、気にしないことにしますわ。
――何かこれ以上詳しく聞いたらこれまでにないくらいに混乱しそうですし……
でも、どうやってクリムゾンに向かうか…ですわね。」
ディラールの性別が変わったことについては現実逃避をすることにきめ、
自分に言い聞かすようにつぶやくミリーナに。
「――……リナは怒らせないようにしないて俺もやばいな……」
などと小さくつぶやいているルーク。
「あら?ルークさん?逆に女性になったほうがミリーナさんとさらに仲良くできるわよ♡一生♡」
ユニットの言葉に。
「俺はミリーナとはそういうんでなくて、結婚して。
それでもって俺とミリーナとの間に生まれた子供達に囲まれた生活をするのが夢なんだよ!」
「はいはい。寝言は死んでからいってくださいね。ルーク。」
冷ややかに、ピシャリ、と言い放つミリーナに。
「……しくしく…本気なのに……」
そんな会話をしているルークとミリーナ。
「それじゃ?一気にクリムゾンに移動する?
――それとも、クリムゾン・シティっていくつか水脈があるからそこからいく?」
あたしのそんな問いかけに、なぜか。
「「「――水脈のほうがいい(ですわ)。」」」
ガウリイ・ルーク・ミリーナの声が重なってるけど。
「?」
「どわぁぁ~!?」
一人意味がわからずに首をかしげているアリアと。
未だに騒いでいるディラールの姿。
「それじゃ、決まりね♡」
そんな彼らにとにっこりと微笑みかける。
クリムゾン・タウン。
元々はちょっとした湖にと浮ぶ多少の小島を橋などでつないで息、それが形となり町になった場所。
縦横にちょっとした数の運河が走っており、主要交通はその運河に浮んでいる小船たち。
建物はすべて白で統一されており、一応観光名所、としても知られている町ではある。
紅――クリムゾン、という名前の由来はいたって簡単。
夕日の明りをうけ、その色を湖面が反射し待ちが紅一色にと色づくがゆえに。
ゆえについた名前が、【クリムゾン・タウン】
「そういえば、小さいころよく姉さんと水源探検しましたっけ……」
当事、町の外れ、というか湖の外れにある小島に家族四人で住んでいたアリア。
――だが、アリアがまだ八つにも満たないときに、両親が病死。
それ以後、アリアは呪文で病気を治す方法がないのか…幼いながらにも思い。
そして――魔道士協会にと入会した。
そのころはカイラスの目にはベルはこれっぽっちも映っておらず。
又、その島とはまだ橋もかかっていなかった。
ベルが婚約し、そして主要部分となっている島にさえ移住しなければ、
今度のことはちなみに起こるはずはなかったんだけど。
まあ、彼女たちはそれに気づいていないけど。
「うっうっうっ。」
「まあ、ディラールさん。気を落さずに。かなり美人になってるんだからいいじゃありませんか。」
「――アリアちゃん……それ、なぐさめているつもり?」
結局のところ。
このまま女になったまま、というのもどうにもならないし、
また、かといって協会から依頼を受けている以上、反故にすることも出来ない。
ゆえに、何とかあたしに元の姿に戻してもらえるように協力する、というのがこのディラールの意見。
関係ないのにねぇ。
どうせ半年以上はあのままなんだし♡
水脈…つまりは、水路を利用して町に潜入。
という案は第一の討伐隊が思ったことだけど、その兵士達はことごとく行方不明――
というか、実は下っ端魔族達に憑依されて元同僚でもある兵士達と戦ってるんだけど……
「しかし…この先にその水路ってあるのか?」
がさがさと、茂みを掻き分けつつ何やら聞いてくるルーク。
「あら?ルークさんともあろう人がクリムゾンにつながっている川をしらないんですか?」
そんなルークに、にこやかにと話しかけるユニット。
「うっ!」
そんなユニットの台詞に言葉につまっていたりするけど。
「確かクリムゾンにはいくつもの川が流れ込んで湖になっていますしね。
その川は水上の通路、として船舶などに利用されているようですが。」
淡々とそんなことを言っているミリーナ。
やがて。
ゴォ…ザザッ……ドドドッ…
道なき道を進むあたし達の先にと視界が開け。
そこにあるのは一本の川と、ちょっとした50メートルばかり続く断崖絶壁。
その絶壁から流れ落ちている滝の姿。
「ここみたいね。ここから数キロ先にクリムゾンの町がみえるし♡」
滝の上にてそういうあたしに。
「ちょっとまて!リナ!?まさかこの滝を泳いでいけ!なんていうんじゃぁ!?
お前やユニットちゃんはともかく!?オレ達は死ぬぞ!?」
ずざざっ!
っと、退きながら何やら言っているガウリイ。
「あら?何いってるのよ♡水中を進む、というか結界に近いものをまとっていくだけよ♡
とんでいったとしたら思いっきり目立つしね。と、というわけで♪」
パチン♪
あたしが指を鳴らしたその刹那。
アリアとディラール・ルークとミリーナ・あたしとユニット・そしてガウリイ。
四つのまるでシャボン玉のような球体にそれぞれ二人と一人づつ包まれてゆく。
「リナ!?何でオレは一人なんだ!?」
何やらガウリイが騒いでいるけど。
「あら?水中で一人くらいは自由がきかないと♡
――と、いうわけで、刺客がきたらガウリイとゼロスでよろしくね♡
それに、それくらいのコントロールは誰でも出来るってば♡ってことでいきますか♡」
あたしの言葉に。
「???リナさん?これ?…何かまるでぷよぷよしているようなんですけど……
……息は大丈夫なんですか?それにコントロールって……」
ぷにぷにとそれを触りつつ、何やら言ってくるミリーナ。
「意思のコントロールよ。息は大丈夫よ。ちなみに、この中からの攻撃も可能。
――だけど覚えておいてね。ゆえに、外からの攻撃もこの中に届くから♡」
「ちょいまてぃ!」
何やらその言葉をききわめいているルークに。
「?意味がわからんのだが…うっうっ…しかし、まさか女にされるなんてぇ……」
いまだにめそめそしつつ、何やらいっているディラール。
「ま、とりあえずいくわよ♡」
ふわっ。
あたしの言葉と同時。
あたし達を包み込んだ四つのシャボン玉のような球体は。
パシャッン。
そのまま川の中にとはいっていく。
――そして。
「「うにょらぁ~!!??」」
「きゃぁぁ~!?」
「うわぁぁ~!?」
何やら叫んでいるルークやミリーナたち。
そして又。
「…ま、僕もいきますか♡」
いってそのまま、形だけでも、と風の結界を纏い、あたし達に続いて川にと入ってくるゼロスの姿が。
何かあたしとユニット、そしてゼロス以外の叫びを滝を落下するときに響き渡っていたりするけど。
ま、気のせいよね♡
「うそつきぃ~!!リナさんのうそつきぃ~!!ちっとも安全じゃぁなぁぃ~!きゃぁぁ~!!」
「しゃべるな!アリアちゃん、したかむ……むぐっ!?」
あらあら♪
何をやってるのかしらね。
川の流れにほぼ身を任せ、川の中を進んでゆくあたし達。
なぜかアリアとディラールが入っている球体だけがぐるぐると回転し、
そして川底にあるデッパリにがんがんぶつかっていたりする。
「……ですから。風の結界を張れば安定しますわよ?…って、聞いてます?アリアさんたち?」
ふよふよと、アリアたちの横を流れているミリーナがそんな二人に対してアドバイスをしているけど。
「んなもん!つかえるわきゃっ!?ぎゃっ!?」
何やら叫んでいるディラールだし。
というか、風の結界くらい使えなきゃダメじゃない♡
ミリーナは的確に判断して球体の中に風の結界を作り出し。
それでゆれをコントロールしてるけど。
「勘でもどうにかなるぞ?……よっと。」
その野生の勘でバランスを保ちつつ川底のでこぼこから逃れているガウリイ。
「―…そんなのはガウリイさんだけだとおもいますよ?」
そんなガウリイに言っているゼロスの姿。
先頭にあたしとユニットの球体が一つ。
次に、ミリーナとルーク、そしてアリアとディラールが入っている球体が二つ。
そしてその後ろにガウリイとゼロスがついてきていたりする。
というか一緒に川を流れていたりするんだけど。
「あら♡あたしはコントロールは自分たちでなさいっていったわよ♡
そ・れ・に♡安全だ、なんて一言もいってないし♡」
そんなあたしの言葉に。
「そんなぁ~!!」
「……はきそ…・・・ 」
「きゃぁぁ~!!ディラールさん、はかないでぇぇ!!」
何やら騒がしい、アリア・ディラール組。
「ま、あとしばらくしたらつくって♡たぶん♡」
すでに川の中に入って時間が経過し。
外は夕方から夜になり、川面を月の灯りが照らし出している今の現状。
そんな会話をしつつ。
やがて―――
「?何か川の流れが緩やかになりましたね?」
「た…たすかった……」
ミリーナがふとそのことに気づきつぶやき。
ようやく安定した球体の中で何やらぜいぜいといっているディラールに、その横で座り込んでいるアリア。
「――でも、そうでもないとおもうな…オレは……」
言ってガウリイが自分たちの横にと目をやり……
「「うげっ!?」」
何やら叫んでいるルークとディラール。
そこには、くりっとした、大人の握りこぶし程度の一つの目玉が、
ディラールとアリアの球体の横に張り付くようにと進んでいたりする。
「……え、えっと……魚……ですよね?」
魚であってほしい。
いや、きっとそう――でも…何か……
そんなことを思いつつ、自分に言い聞かすようにアリアがつぶやくと同時る
ギョロッ。
その目玉はそんなあたし達のほうに視線を向け。
次の瞬間には。
ウニョニョニョ。
数本の緑の触手があたし達の入っている球体にとむけて、うねうねと…その生物から伸ばされる。
「きゃぁぁ~!?」
「うわぁぁ~!?」
それと同時になぜか何やら悲鳴を上げているアリアとディラールの二人。
「ちっ!」
それをみてガウリイが根性と勘で球体を操作し、そして、すらり、と剣を抜き放ち。
ザッシュッ!
その伸びてくる数本の触手をいともたやすく水の中にてたたき斬る。
「ちっ!みつかったみたいだぜ!?」
そういうルークの言葉に。
「みたいですわね。」
ルークはアリアたちのほうをみつつ、ミリーナは上空…つまり、水面上のほうを見上げていたりする。
あたし達の頭上にゆらゆらとうごめいている影二つ。
そして、それはぐっと向きを変え、そのとがったヒレをそれぞれの…というかルークとミリーナ。
そしてあたしとユニットの球体の中にと差し込んでくる。
ガウリイにいたってはアリアたちを守ってあっさりとそこにいた魚デーモンを切り刻でいたりするけど。
普通に二つに分断したくらいじゃ、あれ、死なないからね♡
「
コッキン。
あたしの言葉に従い、川の深さの中央より少し下。
つまりはあたし達が進んでいるすぐに上にと冷気の矢が出現する。
それと共にあたし達の真上の水が凍りつき、
そのまま凍った水と一緒にあたし達に攻撃を仕掛けてこようとしていた物体は、
そのまま氷に閉ざされどんどんと流れてゆく。
「――とりあええず、水の中だとあまり動けないし…外にでましょ♡」
いって軽く指を鳴らすと同時。
ザバッ!
四つの球体と、それに続いて、すとん、とゼロスもまた、あたし達の横にと降り立ってくる。
パッチ…ン。
はじけるような音とともに、大地に足をつけたその刹那。
体を覆っていた膜のようなシャポンダマもどきの球体は音とともに消え去り、
あたし達はその場にと足をつける。
見上げる空には満点の星々。
あたし達が水から上がると、そこはすでにクリムゾン・タウンの中にと位置している場所。
月の光に水しぶきがきらめいており、
そして月明かりの中、空をはいかいしている翼をもったものたちの群れ。
「つうか!空にもいやがったか!」
それに気づき、空を見上げてルークが叫んでるけど。
「――でしょうね。見た目もどうやらここは、クリムゾン・タウンの中らしいですし。」
そんなルークにあっさりといっているミリーナ。
「な……何なんだ!?ありゃぁ!?」
その姿をみて、女性の姿になったままのディラールが何やらわめいているけど。
「あら?みたところ、ただ、この湖の中にいた生物やこの町に住んでいた人々を媒体にして、
下っ端魔族達が具現化しているだけよ♡」
見上げる空には細部を作っていない形の整っていない等身大人形のような形の目も口も鼻もない顔をしたものたち。
そんなそれらが、ざっとあたし達をあからさまに見下ろしていたりする。
――ちなみに、顔の部分にに目がないだけで、
一応なぜか、背中の羽の付け根の横に目を具現化させていたりするけども。
ちなみに、詳しくいうならば、この空にいるのはすべて、元この町の住人だったり♡
それと共に――というか、あたしの説明のその直後。
ざばぁっ!
水音をなびかせて運河より這い上がってくる数十の影たちの姿。
それを合図に。
ルォォォ……
空にいるそれらが、夜空にむけて細い遠吠えをあげる。
「まずい!みんな走れ!」
あわてて、それをみて叫んでいるガウリイだけど。
くすっ♡
そんなにあわてるほどのことでもないのにね♡
-続くー
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あとがき:
薫:さてさて、次回、襲い来る(まて!)デーモン達に対してエル様・・・もとい、リナさんたちは?
・・・・・・・・・・・・・・さって、私も確か以前とある人からもらった耳栓用意・・・っと・・・(汗
何はともあれ、ではまた。次回にてv
2005年3月8日某日
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