エル様漫遊記・クリムゾンの妄執偏

「話しもまとまったところでそろそろいかない?」
話しが一段落したのをうけ、にこやかにユニットが言ってくる。
「それはそうと、各自の自己紹介はいいんですか?僕は謎の神官のゼロスといいます♡」
にこにこと。
アリアにと話しかけているゼロス。
「それもそうね。あたしはリナ。リナ=インバースよ。でこっちが。」
「ミリアム=ユニットよ。よろしく、アリアさん♡」
「私はミリーナよ。」
「俺はルークだ。」
「オレはガウリイだ。よろしくな。」
口々にいうあたし達の言葉に。
「あ。はい。では私も改めまして。アリア=アシュフォードといいます。
  あの?それはそうと…ゼロスさん…でしたよね?何なんですか?その謎の……って?」
ぺこり、と頭を下げつつ聞いてくるアリアの言葉に。
「それは秘密です♡」
「リナさんの使いっぱしり、ともいえますね。」
「ミリーナさぁん!ひどいです!」
「事実だろうが。」
「……しくしくしく……ミリーナさんもルークさんもひどい……」
さらり、と追加説明するミリーナに抗議の声を上げるが、いともあっさりとルークに肯定され。
その横の壁にと何やらづふやきつつ、のの字を書いていじけ始めているゼロスだけど。
「ま、ゼロスはどうでもいいし。ほっとくとして。それじゃ、いきましょうか♡」
「……どうでもいいって……」
あたしの言葉に何やらつぶやくアリアに対し。
「ま、いつものことだし。」
それですませているガウリイ。
「…ゼロスさんって何か気の毒かも……」
そんなあたしたちの会話に何やらつぶやいているアリアはひとまず無視。
とりあえずあたし達は事情説明を聞き終え、
軽く簡単な自己紹介をし終えたこともありクリムゾンに向けて出発していくことに――


「しっかし、本気で先に進んでんなぁ。あの爺さん。」
行く先々の村や町で聞き込みをし、苦笑しつつクリムゾンに向かう道すがら何やら言っているルーク。
あたし達が小屋の中で話していたことを知らず、
先に進んだ、と勘違いし、先に、先にと進んでいたりするあのゾナゲイン。
思い込みって本当に面白いわよね♡
「ルーク、そんなことより、もう先に国王軍が進んでいる、というのが問題ですわ。」
そんなルークに淡々といっているミリーナ。
「まあ、別に二日くらいどうってことないですって♡」
そんなミリーナに、にこにこしつつ言っているユニット。
町を出発して四日目。
すでに二日前に国王軍はこの道を通ってクリムゾン・タウンにと続く街道を進んでいたりする。
というのは、宿や、食事で立ち寄った村々の人々の情報からもルーク達にも明白な事実。
あたしはそんなの聞かなくてもわかるけど。
「――ま、とりあえず、どうやらまたきたみたいだぜ?」
森の中をゆく街道を歩いているとガウリイが足を止めていってくる。
「――え?」
意味がわからずにつられて足をとめながら、いぶかしげにガウリイを見ているアリア。
「――どうやらあいつ、気配を隠すのは下手みたいだな。」
いって苦笑しつつ、剣の柄に手をかけているルークに。
「ですわね。」
こくり、とうなづいているミリーナ。
「で?出てきたら?」
あたしの言葉に。
「……まあ、こういうことには慣れておらんからな。」
いって森の中から出てくる人影が一つ。
「ご苦労様。ゾナゲインさん♡
  私たちが森の中の小屋で一休みしていたのに全然気づかないで、一人ずんずん先にいってたらしいけど♡」
そんなユニットの至極当たり前な言葉に。
いうまでもなくテルモードであたし達に何やら仕掛けてかたゾナゲイン、
と名乗っていた人物が出てきていたりする♡
「なぁに。こうして会えたのだからよしとするて。」
いって、ざっとあたし達を見渡してくるゾナゲイン。
森の中。
一応一般的な存在たちからみれば、身を隠す場所が多く、待ち伏せには最適。
あくまで肉体をもっている存在たちに限るけど。
そして又、彼としては自分がアストラル・サイドから下級魔族を呼び出したときに器となる小動物も多い。
というのが有利に働く、と思ってたりするようだけど♡
「で?また自分の力に自身がないからってまた下っ端魔族呼び出してあたし達にしかける気?
  はっきりいって無意味なのに♡」
「――?あの?リナさん?下っ端魔族って……?」
その意味がわからずに、あたしに聞いてきているアリア。
「ああ、簡単よ。自分で物質形態…つまりは自力で具現化もできないような下っ端以下だし。
  ここで一般に呼ばれているレッサーデーモンとかブラスデーモン、といった存在は。
  そこいらの動物の赤ん坊より弱いわよ♡」
しごく最もなあたしの意見に。
「……それはリナやユニットちゃんの基準だろ~が。お~い?あんた?
  悪いことはいわないからリナ達が遊び始める前に降参して逃げたほうがいいぞ?」
ため息まじりにつぶやき、そしてゾナゲインにと話しかけているガウリイ。
「――ほぅ。とるに足りない…と。じゃがのぅ?こちらとて二対四はちと都合わるいでの。
  とるに足りないものかどうか…その身で確認してはどうかの?
  以前のときは召喚が不安定だったのか消滅してしもうたがの。今度はそうはいかんぞい?
  ――もっとも、そんな存在を数出しても戦いの邪魔になるだけだ。
  なんぞと連れには言われておるがの。じゃが二対四ではちとこちらが不利なものでな。」そういうゾナゲインのこと場に。
「――連れ?」
意味がわからずに首をかしげているアリア。
「おうとも。紹介しよう。これ、隠れてないで出てこんか?グライモア?」
その言葉とともに、あたし達の背後よりこちらに向けられてくる殺気。
「何っ!?」
何やらアリアがそれに気づき、短く叫んでるけど。
あたし達の背後にある森の中。
木の葉が織り成しているそんな中――緑が動き、それはゾナゲインの言葉をうけて、
あたし達のいる太陽の当たっている昼の日の中にと躍り出てくる。
「「「リザードマン(か)(だな)(!!??)」」」
「ひっ!」
ルークとミリーナ、そしてガウリイの言葉が一致し、アリアにいたっては短い悲鳴を上げていたりする。
全身を覆っている枯れは色のうろこ。
長く伸びた棘のある尻尾。
どこをどうみても見た目はリザードマンの特徴をそれはもっていたりする。
――が。
普通のリザードマン、と呼ばれている生物と、これの異なる点は――元はこれは人間だ、ということ。
「さて……と。グライモア?お前はどいつと戦いたいかの?剣士と、そして魔剣士らしきもの。
  あとは魔道士一人に術をそこそこつかうであろう女がいるがの。」
いって、あたし達の後ろに視線を向けつつ、何でもないように言っているゾナゲイン。
そして。
「まあ。そこの神官と、研究しかやったことのないアリア。それと子供は戦力外だろうがの。ほっほっほっ。」
そんなことを言ってたりするし。
そんな彼の言葉に。
「……あんたら、相手の実力も読めないのか?」
あきれてつぶやいているガウリイ。
そんなガウリイの言葉に。
「「同感。」」
うんうんとうなづいているルークとミリーナ。
「リナさぁん。この人たちとっととうっちゃってもいいですか♡」
そんなことを聞いてくるゼロスに対し。
「あら?手出しは無用ね?あ、ルーク、ミリーナ、それにアリアも。ゼロスを含めて休憩しない?
  ガウリイはグライモアの相手ね♡
  ユニットは戦力外、といわれたから一応見せしめしたいでしょうし♡」
そんなあたしの言葉に。
「え!?いいの!?いいの!?リナ!?ラッキー♡じゃあ、少々遊んでもOKなのね♡」
目をぱあっと輝かせ、ふっと横に伸ばした手に、
淡いピンク色を主体とした光の加減によって色の変わるロッドを出現させるユニット。
「って!?ちょっとまて!リナ!
  まさかオレはユニットちゃんが遊んでいる中でコレの相手をしろってか!?むちゃいうなぁぁ!」
あたしの言葉に驚き、面白いまでに驚愕し叫んでいるガウリイ。
「あら?ここ数ヶ月以上ユニットの暇つぶしに付き合ってるんだからよけながらでもどうとでもなるでしょ♡」
しごく最もなあたしの意見に。
「無理いうなぁぁ!お前や彼女のパターンなんて見切れるわけないだろうがぁ!」
何やら叫んでいるガウリイだし。
「?あ…あの?もしかしてあの子にあのゾナゲインとかいう人の相手を?まだ子供なのに?」
とまどい、その意味に気づいてあたしに聞いてくるアリア。
「……アリアさん?見た目で判断してはダメですよ?
  …ここは消滅しないためにもリナさんの側から離れないほうがいいかと……」
つつぅ……
何やら精神体そのもの、というのに本気で冷や汗を流していっているゼロスの姿。
「?お嬢ちゃんにこの儂の相手が務まるとは思えないがねぇ?」
そんなことを笑いながらいっているゾナゲインに。
「でぇい!こうなりゃヤケだ!ユニットちゃんが遊び始める前に先に勝負を決めてやるぅ!!」
何やらほとんど半狂乱になりながら、そんなことを言っているガウリイに対し。
「――できるかな?」
どうならこの男…かなり出来そうだし、楽しめそうだ。
などと思っているグライモア。
――と。
ふっ!
「何!?」
いきなり視界からガウリイが掻き消えて、驚きの声を上げているグライモア。
ガウリイは何やら『とにかくこいつを早く倒さないととんでもないことになる!!』などと思ってるし。
それとともにグライモアはその両手の爪を伸ばしちょっとしたロングソードの長さにしてるけど。
「遅い!!」
ざっん!!
それと同時にグライモアの懐に飛び込んだガウリイが、グライモアが爪を伸ばすと同時。
そのすべての爪をなぎ払いあっさりと叩き折る。
「何!?」
そしてここにいたり――ようやくガウリイが、並々ならぬ相手、と気づいているけど。
そのまま。
ざっん!
大きく後ろにと飛び退き、そのまま間合いをとる。
「さってと♡ゾナゲインさん♡あなたの相手は私だし♡
  あ、それと人と話しをするときには礼儀として相手の目を見て、顔もきちんと見せるのもよ♡」
にこにこ。
ロッドを手にして話しかけるユニットの言葉に。
「おうおう。これは気づかんかったの。
  じゃが、お嬢ちゃん?怪我でもしてそのかわいい顔に跡がのこってもしらんぞい?」
いって、その顔にとかぶせていたフードをのけつつ、いってくるゾナゲイン。
そんな彼の言葉に対し。
「あら♡この私に傷なんてつけれるはずないじゃない♡」
しごく当たり前なユニットの言葉に。
「過信は身を滅ぼすぞい?……まあ、今からそれを身で知るじゃろうが……」
そんなことを言ってるし。

さってと♡
バサッ!
「あ♡クッキーもあるわよ♡」
とりあえずその場にシートを敷き、その上に座りバスケットなど創りだし、ルーク達にと勧めるあたしに。
「…あの?でもこんなことをしていたらあの子が……」
などとユニットを心配しているアリア。
「――まあ、あのミリーさんが只者じゃない、というのは事実ですし。
  それにそこの、使いっぱしりのゼロスさんが、
  『消滅しないため。』とか言ってましたしね。下手に動くのは危険だと思いますわ。」
いって素直に、同じくシートの上に座りつつ言っているミリーナ。
「つうか、果てしなぁく嫌な予感がするしなぁ。……あの旦那大丈夫かいな……」
いってガウリイにと視線を向けていっているルーク。
「ま、ガウリイはユニットが雨の日とか夜とか暇だからって彼女、遊び相手にさせてるし♡
  簡単にはどうにかなることはないわよ♡
  例え死んでも、また体が消滅したとしても体を再生させて生き返らせばいいんだし♡」
そんな辺り前なあたしの言葉に。
「「「……いや、生き返らせればいいって……」」」
何やらルーク・ミリーナ・アリアの声が重なってるし。

――と。
「それじゃ、試してみましょうか♡極虹光雪レインボゥスノウ♡」
くるり♡
ユニットがその手にしたロッドをくるり、回転させ、それをすっと空にと向ける。
と。
ふわっ。
ふわふわふわふわ……
上空にちょっとした七色にと光る雲がこの一角のみ出現し、
そこからふわふわと同じく、七色にと光る雪が舞いおりてくる。
「?これがどうした?ただ綺麗なだけじゃないか。」
いって手を伸ばし、その雪に触れようとするゾナゲイン。
その刹那。
ジュッ!
「うぎっゃ!?」
何やら叫び、あわてて手をひっこめていたりする
「あ♡これ触れたらその部分だけ『体が溶ける。』から♡」
ユニットがにこやかに説明する間にも舞い降りてくる雪の数は増していき……
「って!ちょっとまてぃ~!!ユニットちゃん!これ危ないじゃないかぁぁ~!!」
何やらガウリイは必死で剣をふるって自分にその雪が降りかかるのを剣圧でどうにかしのぎ。
「うぎっゃ!?」
「ぎゃぁぁ!?」
面白いまでに、グライモアやゾナゲインにいたってはよけることすら出来ずにその雪を体にうけて、その部分が溶けていってたり♡
似たような効果がある物質に硫酸があるけど、これは動物にのみ影響を与えるものだしね♡


                            -続くー


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あとがき:
薫:・・・何話しになるのかな?これ・・(汗
  今ようやく10P目なんだけど・・・。かいてるノートのP数・・・あ・・・あはは(汗
  ・・・・・・・・・・・深く考えまい(うん。
  さて、とりあえず次回、ディラールはいうまでもなく、登場するのは!?
  ・・・予想外、というかああ、やっぱり?(笑)という感覚かな?
  何はともあれ、ではまた。次回にて。
  2005年3月6日某日


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