エル様漫遊記・クリムゾンの妄執偏
「まぁ。魔道士協会に恩を売るってのもわるかないしな。」
「――しかし、何かあの人物の噂を聞く限り、よくそんな人物を評議長に据えてましたね。」
とりあえず、協会からの依頼が依頼で、どのようにそこがなっているかもわからない。
というのもあり、ルークは渋ったものの、ミリーナの。
『何かあったとき少々のことはリナさん達ならば対処できますし。
内情がわからない以上一緒に行動したほうがいいと尾まいます。』
という一言により、ルークもあっさりと同意し、ルークとミリーナも含めてあたし達は行動することに。
――と。
「…あの?リナ=インバースさん…ですよね?」
とりあえず、協会の話しを聞き終わり。
今後の計画を立てるのとずてに昼を少しすぎているので昼食を。
ということでテルモード・シティの中にとある一件の食堂で食事をしていたあたし達。
そして、その食堂から出て町の大通りに出た直後、後ろから声をかけられてくる。
「そうだけど?」
まあ、誰かはわかってるけど♡
とりあえず、声がしてきた方向にと振り向くと、そこに佇む一人の女性。
かなり顔色が悪いのは何も気のせいではなく。
ここしばらくほとんど一睡もしていない上に食事もはっきりいってとっていないがゆえに。
彼女を支えているのは【大切な姉を助けたい。】ただそれだけの意思。
肉親の情ってはかないようでいて、実はかなり強いからねぇ♡
ま、それはそれとして。
ショートカットの金髪に緑の瞳。
黒い帽子に黒マント。
いかにも、私は魔道士です。という格好とその蒼白く思いつめた顔が彼女自身の魅力を半減させている。
「あの……私聞いちゃったんです…さっき魔道士協会で。あなたの御名前を。
あなた…あの噂に名高いリナさん…ですよね?」
「リナの噂はほとんど真実だからなぁ。」
そんな彼女の言葉にしみじみと何やらつぶやいているガウリイに、
なぜかうんうんうなづいているルーク・ミリーナ・ゼロスの三人。
「あのねぇ。どういう意味かしら?んっ♡」
びくぅっ!
あたしの言葉に何やらピクリ、となっているゼロスとルークはほっとくとして。
「この人はおそらくそのリナ=インバースさんですけど?何か?」
とりあえず、額に冷や汗を一筋流しつつも、その女性にと聞いているミリーナ。
「私…アリアといいます。お願いがあるんです!私を…私を一緒にクリムゾンまでつれてってください!」
――ぶっ!!
その大通りで人目がある、というのに、
いきなり大声をだした女性…アリアの言葉に面白いまでにルークが噴出してるけど。
「ちょっ…ちょっとまて。あんた。『つれてってくれ。』なんていうからにはあんた当然しってるのか?!
今――クリムゾンで何が起こっているのか?」
そんな彼女に問いかけるガウリイの言葉に。
「ええ。もちろん。」
いってアリアはそのままこっくりとうなづいていたりする。
あらあら。
かなり思いつめてるわねぇ。
これで原因が自分にある、って知ったらどう反応するかしら♡
このアリアは♡
「……どうでもいいですけど♡周りから面白いまでに注目されてますよ♡」
にこやかにそんなことを言って来るゼロス。
ちゃっかりと周りから注がれている事情を知っているもの達からの負の感情を食べてるようだけど。
「ま、今クリムゾンではそこの魔道士協会支部による反乱…と表向きにはなっている出来事が起こってるし♡
そういえば、リナ?以前もラグド王国でそんなことがあったわよね♡
あのときは大臣を成敗して国王を保護して事なきを得たけど♡」
にこやかに、さらり、というユニットの言葉に。
何ごとか?
と先ほどのアリアの言葉にこちらをやじ馬根性で見ていた通行人たちが、何やら面白いまでに。
こけてたり、噴出したり、何やら混乱していたりするけども。
ま、あたしには関係ないし♡
――クリムゾン・シティ魔道士協会支部による反乱――
この辺り一帯にと貼り出されてある詳しい事情が書かれていない貼り紙はそのことについて協力を仰ぐもの。
事件の首謀者は王家の血縁者でありながら、その素行から王家としての力を剥奪された、
政治的には何の地位ももたないクリムゾン魔道士協会の評議長。
――まあ、ある意味事実だし。
力を得て反乱を企てたのは彼の意思だしね♡
【力】を得た彼はクリムゾンを治めていた領主を抹殺。
町を武力で支配していたりする。
というか、正確にはすべての人々を【変えて】るんだけど。
当然のことながら、その話しは国の中枢部にまで届き。
この国、ライゼールのこくおうは国王軍による討伐対を出してきているこの現状。
一般的に見れば、国王軍まで出てきた。
となるとクリムゾンの反乱の鎮圧はおそらくは時間の問題であろうが…
が…しかし。
魔道士協会としては、組織の信頼回復のためにも是非とも協会の手で解決したい。
というのが組織の意向。
そんな話しを先ほどこのテルモードの魔道士協会で聞かされたあたし達。
それゆえに、戦力になる魔道士などはクリムゾンにと向かい、反乱の鎮圧に手を貸してくれ。
というのが魔道士協会からの要請。
ただし。
この頃あちこちで不穏な噂が耐えない今日この頃。
余計な混乱招かぬためにもこのことはあくまで内密に。
正式発表はすべてが解決してから。
というのが根性のないことに、魔道士協会と、王国共通の意向。
「ミリーさん!!」
いって、さらり、というユニットをたしなめつつ。
「――とりあえず。こんなところで立ち話は何ですから…場所を変えません?アリア…さん…でしたっけ?」
そう問いかけるミリーナの言葉に。
「あ。はい。私は…」
アリア=アシュフォードといいます。
そういいかけるアリアの言葉をさえぎり――
「……アリア=アシュフォード……」
その声はアリアのものでなく、声はあたし達の後ろの建物の上から。
みれば、そこに佇んでいる黒い人影一つ。
ざわざわざわ。
それに気づいた通行人たちが。
「お~い!そこのあんた!危ないぞぉ~!!」
「きゃぁぁ!老人が飛び降り自殺しようとしてるぅ~!!」
などといって、何やら騒いでいたりするけども。
そんな人々の騒ぎに対し。
「まったく…近頃の若いもんは細かいことで騒ぎよる……」
などとぶつぶつ独り言をつぶやきつつ。
そして、あたし達全員をざっと見渡し。
「……なるほど。そちらのがあなたの目にかなった刺客ども、というわけですな。
――カイラス様を倒すための。」
いって、何やらあたし達に聞こえるように、深く、それでいて通る声でちょこっと大きめな声で言ってくる。
ざわっ!!
その言葉に通行人に呼ばれて、
『屋根の上にいる老人が飛び降りようとしている。』
という報告をうけやってきていた警備兵達が、思わずざわついていたりするけど。
まあ、彼らも一応、『カイラス』の名前と今の状況は知らされているしね。
「――…っ!?それじゃああなた!?」
そんな屋根の上にいる黒いフードをすっぽりとかぶっている老人の言葉に驚きの声を上げているアリアに対し。
「ゾナゲイン。と呼んで下され。それでは早速お手並み拝見させてもらいますかの。」
いって、
ヒュッウッ。
細い口笛を吹くゾナゲイン、と名乗ったその人物。
「…ちっ!?」
などといって、事情は輪からネェがあの老人、俺達に喧嘩ふっかけてきやがるのか!?
などと思いつつ、剣を抜き放つルークに、呪文を口の中で唱え始めているミリーナ。
そして。
「きさま!!あのカイラスの手のものか!?」
「みなさん!危険ですから退ってください!」
などといいつつ、人々を誘導している兵士と、そんな彼に言い放っている警備兵達。
――と、同時。
「「なっ!!??」」
あたしとユニット、そしてゼロスを除く以外の存在たち。
つまりは、この場にいる全員が小さな驚愕の声を上げてゆく。
うぞぞぞぞ。
ゾナゲンの足元の闇がうごめき、
そしてそれは、ゾナゲインのいる建物の周りからわだかまる波が波打つようにとざわざわとうごめき。
そして。
それはあたし達の方……つまりは、やじ馬や警備兵達もいるこの大通りに向かって進んでくる。
「ひっ!?」
それが何なのから気づいて小さく悲鳴を上げているアリアに。
「うわぁぁ~!!??」
「ぎゃぁぁ~!!??」
それが何なのかを悟り…思いっきり面白いまでにパニックになっている人々の姿。
そして。
「きさま!!
動揺しつつも。
何とか【兵士】というプライドを保ちつつ、
屋根の上にいるゾナゲイン、と名乗った老人に言い放っている一人の警備兵。
「「――…っな!?」」
それと共にうぞうぞとうごめく千匹単位の鼠たちがゆっくりと近づきつつも。
みちっ。
ミチミチミチッ……
そんな鼠たちから何やら音が聞こえてくる。
『うぎゃぁぁぁ~~!!!』
『うわぁぁ~!!??』
『きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ~!!』
うぞうぞとうごめく闇…否。
千匹単位の鼠たちが音と共にすべてのものが異形のものにと変化してゆく。
骨が、肉がさけきしみ、新たな骨と肉が生まれ……
両手の手の平に乗る程度の大きさだったものたちは、
今やそれぞれちょっとした大きさの物体にと姿を変えてゆく。
その光景を目の当たりにしてパニックになっているこの場にいる人々。
その騒ぎをききつけてやってきた人々もまた、その姿をみてパニックになり…
面白いまでにこの場は騒然となってゆく。
「
のんびり見ているほど馬鹿ではありませんわ!
などと思いつつ、ミリーナが唱えていた呪文を解き放つ。
本来ならばそこにいる姿を変えかけている鼠たちを解き放たれた十数本の矢が、
ことごとくその場に凍りつかせる術ではある。
だがしかし。
ふしゅっ。
鼠たちにそれが直撃したその直後。
冷気のことごとくが空気の抜けてゆくような音とともに消滅する。
「――…なっ!?」
それをみて短く叫ぶルークに対し。
「…くっくっくっ。どうじゃ?滅多に見られる光景ではないであろう?こういうのは?」
ふわり。
と空中にと浮き上がり、鼠から変形したレサーデーモンの群れの中心にと浮びつつ、
こちらをみて何やらいってくるゾナゲインだけど。
『…なっ!?これはっ!?』
何やらそれをみて驚愕の声を上げている兵士達や。
そしてルークやミリーナ、そしてパニックになっていないやじ馬など。
それと共に。
ヒュゴガッ!
何が起こったのかわからず一瞬静まりかえる人々。
そして――
『うわぁぁぁぁ~!!!悪魔だぁぁ~!!!!』
そこにいるソレがレッサーデーモン、と気づくものや気づかないまでもバニックになる人々の姿。
何のことはない。
鼠たちに憑依した下っ端魔族がほんのちょっと炎の矢を解き放っただけだ、というのに。
その直撃をうけて、何やら墨と化している人々の姿もあったりするけど。
「くっ!!
そんなそれ――
通りを埋め尽くしているレッサーデーモンに対し、中には気丈にも術を放っている兵士もいたりするけども。
その程度の術じゃどうにもならないのにね♡
「…いちいち相手するのも面倒だし。ゼロス、あんたやんなさい♡」
何やら回りは面白いまでに大騒動&大混乱と化してるけど。
ま、どうでもいいし♡
そんなあたしの言葉に。
「殺すだけでもいいですか?何しろ僕達は今、不景気で人材不足ですからねぇ……」
少し首をかしげて聞いてくるゼロス。
その間にも。
ザッシュッ!
「
剣でルークが、ミリーナが術でレッサーデーモンたちに対応し。
トッン。
ピョンピョン。
そんなデーモンたちの頭を踏み台にして、
浮んでいるゾナゲインと名乗った男性に剣を構えて突っ込んでいっているガウリイ。
そして。
「好きになさい。」
「それでは♡」
あたしの言葉をうけ、ゼロスがすっとその手にもっている錫杖を振りかざすのと、
ガウリイが飛び上がり、ゾナゲインに剣を振りかざすのとまったく同時。
「がっ……ぐあぁぁぁ~~~!!!」
バシュッ!
ザッン!!
何やら叫び声をあげつつ、大通りを埋め尽くしていたレサーデーモンたちが断末魔の叫びを上げつつも。
そのままその姿を、パシュパシュ!という音と共に掻き消していき。
それと同時に、レッサーデーモン達の頭を踏み台にし飛び上がっていたガウリイの一撃が、
手を前にとかざしていたゾナゲインの左手を削ぎ落とす。
「がっ!ぐわっ!」
眼下において、自分が呼び出したレッサーデーモンたちがいきなり掻き消えてゆくのに驚いているところに、
いきなり下から飛び上がってきたガウリイが剣を振りかざし――
防ぐ間もなくあっさりとその腕を切り落とされていたりするし。
「がっ…っな!?くっ…なかなかやる…なッ……」
腕を残った片手で押さえつつ、そしてゆっくりと、そのまま地面にと降り立ちて。
「――何をしたのかは知らんが……
だが、儂はこの町にいる猫や犬などすべてをデーモンと化すこともできる。
ゆえに、こんな町など壊すこともたやすい――」
「よっ…っと。」
そう何やら言っているゾナゲインの横では、体制を空中で整えて降りてきているガウリイの姿もあったりするけど。
ざわっ。
何が起こったのか理解できずにざわめいている人々と。
「…なっ…血の色が……」
左腕を押さえているゾナゲインの流している血を見て、何やら小さく叫んでいるミリーナ。
回復魔法を自らにかけつつも、何やら言い放つ彼の腕から流れているのは、誰の目にもあからさまな緑色の血。
そして。
「なあ?リナ?この爺さん、何か体の中に飼ってるぞ?」
などと、あたしの横に移動しつつ、言って来るガウリイ。
いきなりレッサーデーモン達が消滅したのをうけ、とまどい、呆然としていた集まってきていた兵士達は。
しばらくして、はっと我を取り戻し。
ざっ!!
道の中央にと佇んでいるゾナゲインを包囲する。
そして。
「きさま!そこを動くな!」
いって剣や槍、そして弓をつけつけて言っていたりするけど。
「ま、とりあえすず、後は兵士達に任せていきましょ♡」
あたしの言葉に。
「こらまて!きさまら!まだ話しは終わってないぞ!この町が壊されてもいいのか!?」
兵士達に取り囲まれつつ、何やら言っているゾナゲイン。
「あたし達のせいじゃないし。あ、あたし達魔道士協会の依頼をうけて町を出るところなんです。
そいつ『カイラス』の名前を言っていたから捕らえたら詳しいことが判るかと。それじゃあ♡」
未だに呆然としているその辺りにいる兵士達数名にと説明し。
そのまますたすたとアリアをつれて待ちの外に向かって進みだす。
「あっ!!おい!いいのか!?」
そんなあたしに何やら言ってきているルークだけど。
「まあ、後は兵士達に任せましょ。ルーク。
それとも……延々とつまらない事情聴取をうけたいの?なら一人でうけてれば?」
あたしの後に続いて歩き出しつつ、そう言い放つミリーナの言葉に。
「うっ!…それもそうだな。今ならどさくさにまぎれて外に出れるし。」
などと、いともアッサリと納得し。
「…あ、あの?今のは……」
一瞬のうちに、レサーデーモンたちが消えた光景を目の当たりにし、かなり驚き、
そしてまた呆然としているアリア。
「ああ。ただ皆さんには、一時ばかり死んでもらっただけですよ♡」
そんなアリアに対してにこやかに答えているゼロス。
「こらまて!まてというに!まてといっておるのに!
いかんぞ!そういう無責任な態度は!これだから最近の若いもんは……」
『動くな!!きさまを拘束する!!』
そんな彼に対し槍などで羽交い絞めにしている兵士達。
「いるのよねぇ。歳をとったら愚痴っぽくなる人間って♡」
町の外に向かいつつ、そんな彼の言葉を聞いて、くすり、と笑いながらいうユニットの言葉に。
「「「そういう問題(か)(ですの)?」」」
なぜか面白いまでに、ガウリイ・ルーク・ミリーナの声が一致してるし。
「そういう問題よ♡さ、ともかく――いきましょ♡」
いって、あたし達は未だに騒然となっているここ、テルモード・シティを後にしてゆく。
後には。
「ええい!貴様らにかまっている暇などはないわ!」
などと叫びつつ、またまたレッサーデーモンを呼び出して、一瞬兵士達が動揺した隙をつき。
「カイラス様にたてつく町などは消し去ってしまえ!」
などと命令を下し――
そのまま、ふわり、と空を飛び、あたし達が向かった方向に向かっているゾナゲインの姿が。
先ほどのこともあり、また今度は力を温存するためにも数十匹程度しか呼び出してないけど。
町に――再び悲鳴と混乱が満ち溢れてゆく――
ま、まだテルモードには魔道士たちが出発せずに滞在してるし♡
問題ないでしょ♡
-続くー
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あとがき:
薫:さてさて。原作と異なるのは、大通りでいきなり、でした(まて!
次回、アリアの事情説明とそれぞれの自己紹介vです。
それと、エル様一人称なもので、事実がちらり、と明るみに!(まて!
何はともあれ、それでは、また次回にてv
2005年3月5日某日
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