エル様漫遊記・アトラス偏


ロッドの足がぴたりと止まる。
「もういいだろう。」
「殺し屋さん達♡そろそろ遊びましょうっていってるけど♡この人♪」
ロッドとあたしの言葉に気配が動く。
それとともに数名の男達がばらばらとでてくるが。
…あら?
あの雑魚がいないけど。
……楽しくないわねぇ~…
わざと聞いちゃえ♡
「ねぇ。あんた達のほかに、どうでもいいような下級魔族がさっきまでいたけど♡
   あんた達仲間じゃないの?」
面白おかしくさらりと聞くと。
「……魔族?お前さん何をねぼけている?」
刺客というか襲撃者の一人がいう。
やっぱり気づいてないし♡
こいつら……殺し屋家業をするには確実に失格ね。
「タリムのことの用心棒だな…」
出てきた別の人間が何やらいってくるけど。
「別にタリムのことにつくきはないわよ。ただ話しを聞くだけ。」
さらりと、彼らに対してはかるく受け流しておく。
そんなあたしの言葉に、ロッドはガウリイをじっとみて。
「できれば…お前たちには、この仕事、請けてほしくないんだがな。…味方同士では戦えん。」
何かつぶやくようにロッドがいってるけど。
ふふ♪
「本当に面白いわよねぇ♡あんた達の親も面白かったけど♪どういう教育をしていたんだか♡
  あんたは、あんたで人きりマニアで、レミーはレミーで刃物マニアだし・・ね♪」
あたしが面白そうにいうと。
「…なぜ、妹…レミーのことを知っている?」
ロッドがあたしを驚いたようにみつつも、そして。
「レミーと兄妹だなんて、一言もいってないが……
ぶつぶつ何やらつぶやいていたりする。
「そんなのみれば判るわよ。」
さらっとしたあたしの当たり前な回答に、なぜか驚いているロッドの姿が。
「……?そんなに俺達兄妹は似てないと思ったんだが……」
ぼそぼそ何やらいっているロッド。
似てるってば♡
「なあなあ?レミーって誰だ?こいつに妹がいるのか?」
ガウリイがあたしに聞いてくる。
「いるわよ。かなりの刃物マニアでねぇ♡
  全ての刃物に名前をつけてるの♡愛剣がジャック君。その他の剣にも全てね♡」
ガウリイの問いに答えるあたし。
「全て。…って……そんなに剣を持っているのか?その妹…?」
「少なくとも、二十個以上はあったわねぇ。二年くらい前は。」
「……なんちゅ~兄妹だ……」
ガウリイがあきれたようにいってるけど。
あたし達のそんなほのぽのとした会話に。
「くっ!!!無視するなぁぁ~!!」
完全に無視されているのに腹を立てたらしく、刺客達が一斉にかかってくる。
…心が狭いわねぇ…
だけど、こいつら弱いし……
相手の力量もわからないなんて……レベルのまあ、低いこと、低いこと…
あたしがちょっと、そこらの石を拾って投げつけただけで、完全に動かなくなってるし。
うう…!!
手ごたえがなさすぎるぅぅう!!
ストレスがたまっちゃうわ!!あたし!!
…今晩部下達で、憂さ晴らししましょっとv
それかゴルンノヴァで♡
そんなことをしていると。
ふと背後のほうから声が聞こえてくるけども。
あら。
「ロッドさん……」
みれば、先ほどのランツがやってくる。
そして顔色を悪くしつつ、
「ロッドさん達が出て行った後、あとをつけている妙な連中がいまして。
  で。……思わずつけてきたんです。」
何か倒れている男たちをみて、そんなことをいっているランツだけど。
「余計なことだ。」
そんなランツに対し、にべもなく言い放つロッド。
ま、何か他にもいろいろとランツはいっているようだが、とりあえず無視。
とりあえず、そんなランツを無視したまま。
そのまま、何事もなかったかのようにと目的の場所に向けてあるいてゆくことしばし。
と。
ずぶり。
足元の大地が変貌する。
「な゛……なんだこりゃあ!?」
ランツが叫んでるけど。
といっても、地面にめり込んだからではなく、大地が変貌しているのにも驚いているようだが。
それにもまして、自分が空に浮かんでいることの方に対して驚いているようだけど。
肝が小さいわねぇ……
あたし達の真下の大地においては、路地の地面が泥の海と化している。
「リナ…オレ達全員を一瞬のうちに浮かせただろ?」
ふよふよと浮かびながら、ガウリイが平然とあたしにいってくる。
魔道士ってこういうこともできるんだ。
などとガウリイとしては思ってるようだけど。
魔道士でなくても誰でもできるってば♡
「な゛…!?魔道士か!?」
一人の男が驚愕したようにいっている。
まあ、今の人間の知識と能力とレベルでは、根性のないことに無理ないかもしれないけど。
それにしてもこの程度で驚くなんて情けなすぎ。
瞬間的にあたしは全員を空中にと浮かばせただけだ、というのに。
この世界での常識として判断するとすれば、
少しでも魔道をかじっているものなら、それがどんなことかはすぐ理解できる。
…まあ、あたしの場合は、関係ないといえば関係ないんだけど……
だって、造作もないことだし。
世界創造も造作ないし♡
そもそも、この惑星の生命体レベルが遅れてるのが問題よねぇ。
まったく……
声を出した魔道士は、黒いマントに身を包み、
フードをすっぼりとかぶり、そして首からぶら下げているジュエルズアミュレット。
邪妖精の頭を形取った合成獣キメラを左右にショルターガードとしてつけている。
ちなみに、あたし達よりちょっと離れた場所の空中に浮いている状態だけど。
まるで、どこかの時代のどこかの世界のいかにも悪役です。
といわんばかりの絵に描いたような格好をしている魔道士である。
からかいましょうっと♪
「あら。さっきのどうでもいい弱っちいやつら。
  まさか、あぁぁんな弱いやつらであたし達の実力を測るために、
  あなたがけしかけたんしゃあないでしょうね?vv
完全に面白がりつつ言っている言葉を馬鹿にしていると捉えている魔道士。
まあ、実際あたしは馬鹿にしてるけど。
普通、ぱっと見ただけで、相手の力量とか実力ってわかりなさいよね♡
完全にはは、さすがに完璧にあたしは気配とか隠してるから無理としても漠然とくらいには♡
「…くっ!!何の役にもたたなかったが……」
魔道士がぎりっと歯を食いしばって怒りをあらわにしてるけど。
というか、あっさりと認めてどうするのよ♡
とりあえず。
さらにわざと追い討ちをかけてみますか♡
地精ベイモスに干渉して、地面を泥の海へと変えて、足元を封じてから攻撃。
  なかなかいい作戦ではあったんじゃない?でも、残念ね♪あたしがいたし♡」
にこにこと笑いながらあたしは魔道士を見つめながらいう。
ちなみに。
あたしは、今全員に、『浮遊レビテーション』もどきをかけている。
別に魔法なんて使わなくても出来ることだけど。
やっぱりのりは大切だし。
何をしてくるかがわかっていたので、わざと直前の一瞬前までは気づかないフリして。
あいつの術が完成する一瞬前に、あたしは全員を空に浮かせたのだけど。
「…お前…ごときが……いようといまいと同じこと。
……デイミアさまにたてつくものは、この魔道士カルアスが片付けてくれるわ。」
言葉は、結構強気だが。
何か大量に脂汗と冷や汗かきつつ、言葉も途切れ途切れにいっていたりするこの魔道士カルアス。
「ふふ♪人間、出来ないことは口にするものじゃないわよvv」
あたしはのりで、さらに呪文をかける。
まあ、ただ言葉を言っているだけだけど。
カオスワーズなんて、あたしにはいらないし。
もともと全てがあたし自身の力の一部でもあるんだから。
呪文もなくても簡単すぎるほどできるこの事実。
だけど、やっぱり人間のふりしてるからには唱えないとね♪
翔封界レイ・ウィング!!」
つぶやくとともに、瞬時にしてあたしは魔道士の横に回りこむ。
「な゛!?」
「なんと!?」
驚きの声をあげているカルアス。
「ってことで♡覇王氷河烈ダイナスト・ブレス♡」
あたしがにっこりとつぶやくと同時、彼の足が氷付けになる。
この言葉のほうが一般的に知られてるしね。
別にわざわざ覇王のやつの力をつかったわけではないけど。
言葉はひとまず、のり、だし♡
「な……ば…馬鹿な!?」
叫び、何やらそのまま男は落下してゆくが。
―ぐしゃ。
あ。
何か泥沼の中に落っこちるような音がきこえてるし。
「ぐっ!ば…馬鹿な。同時に出来る呪文は、せいぜい二つが限度……大技は無理のばすだ……」
何か泥の海にもまれながらわめいている。
あたしが今使っているのは、雰囲気で使っているガウリイ達にかけている、
浮遊レビテーション』。
あたしが使っている『翔封界レイ・ウィング』。
そして、今使った『覇王氷河烈ダイナスト・ブレス』。
と傍目には見えてるだろうけど。
なぜか人間の中では、覇王氷河烈ダイナスト・ブレスは黒魔法の大技に分類されていたりする。
あのSの部下のグラウシェラーがねぇ……
別に、部下の力を使っているというのでもなく、
ただ勝手に、自分の力をそれに似せて使ってるだけだし。
あたしは♡
ま、ときどき気分的に応じて、部下達の力とかは。
無理やりにそれらの精神体から本体を一部切り取って使ったりもするけれど。
その場ののりと、雰囲気で。
それで、滅びるようなら、問答無用でお仕置きだし。
「さってと♪じゃ、さよなら♡」
そのまま彼の横に降りて、男を氷付けにしておく。
ま、殺してはないから、ニ三日もすれば氷もとけて、動けて自由になるでしょ♡
精神世界にこいつの魂放り込んだから、無事に逃れて肉体に戻れれば……の話だけど♡
あたしが使える力に限度があるわけないじゃないのよ♡
本当、知らないって面白いわねぇ♡
あたしがカルアスを氷付けにすると同時に、地面も元に戻っている。
彼が身に着けていた合成獣もあっさりとやられているし。
「ま。ざっとこんなもんね。」
三人の方を見上げてにっこりというと。
「……どうでもいいから・・早クおろしてくれ……」
ランツが情けなそうに何やらあたしにいってくるけど。
別に浮かんだ状態でも問題ないでしょうにね♡

人間知らないほど怖いものはない。
いやそのことは人間だけとは限らないけど。
偉そうに出てきたこのカルアス。
根本的な敗因は、『呪文がいくつも使える=それだけで強い。』と勘違いしていたのが原因。
そんな状態だから、彼は見習い魔道士にも負けたりするのは確定よねぇ。
というかあの人間には子供でも勝てるってば♡
合成獣を使うまでもなくあっさりやられる刺客って……
ああ!?
よ…よわすぎるぅぅぅぅ!!!!!
せめて、死んでも刃向かう根性くらいあってもいいじゃないのよっ!
もし精神世界から抜け出せずに、結局本当に死んで、
あたしのとこに戻ってきたら…魂の根性たたき直してやらないと…
それで、消滅する魂なら、いらないしvv

結局のところ。
何もないまままに、あたし達は無事にとタリムの屋敷にとたどり着く。


                     -続くー


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あとがき:
エル:・・・あんた・・・。一話をノート二ページ分にしてるけど・・・・・何考えてるの?
  薫:は・・・あははははは(滝汗)
    まあ・・・・区切りのいいところが・・なかなか・・・・(いいわけ・・)
エル:・・・あたし・・活躍してないし・・・・。
 薫:エル様が本気で活躍したら、それこそ!!!
   十ページで全てが終わる!!じゃないですかぁぁ!!
   いや・・多分・・確実に・・一ページもいかないまま・・(汗)
エル:あら♪そんなことないわよvvさんざんからかって、そして終わりにするからvv
 薫:・・・・・(汗)
エル:ふっ・・。確か・・。この話・・・・あたしが全然活やくしてなかったしねぇ・・・・。
  薫:ぎくぎくぎくぅぅぅ!!
エル:んっふふふふ♪
    当然♡覚悟はいいわね♡
 薫:覚悟って・・・・ぎゃぁぁぁぁ!!!・・・・・

あたりに飛び散る紅い肉の破片・・・・。

エル:なぁんか、すっきりしないわねぇ・・・・。
    ・・・・どこかに遊びに行きましょっと♪
    それじゃあね♪


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