こんにちわ♪
新年、明けまして、おめでとうございますv(打ち込んでいるのがちょうど年をはさんで・・爆!)
さて。威風 薺 さん。リクエスト!ありがとうございます!
というわけで♪スペシャル、19巻の愛は強しvをいくのですvそれではvv
ちなみに。元々、ノートに書いてある、漫遊記本編は小説版のみで構成されております。
それから、アニメも含まれて、アレンジした話が増えておりますので・・あしからず・・・・。
この話の設定は。ディルスに行く前・・つまり。今だに、アメリア達・・・ゼロスが魔族だって・・知りません。
はい!!
 
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     エル様漫遊記・番外編  ~愛は強し偏~


ヴェゼンディにて。
なぜか、正式に、あたしのお供を命じられたゼロスも旅にと加わって。
一路、目指すは、ディルス王国のガイリア・シティ。
とりあえず。
ヴェゼンディで、このあたしに、喧嘩を吹っかけてきたラルタークは魔力を込めた、あたしの力。
つまりは、虚無の力を編みこんだ、紐で首に枷をして、つないでいる状態。
ついでにいえば。
【人の姿のままだと人目が、気になります!】とのアメリアの強い希望で。
道中は、白髪の犬の姿にと固定していたりもするけども。
とりあえず。
そんな、犬もどきのラルタークを連れてとある町にと差し掛かってゆくあたし達。
 
町から、少し離れた湖のほとり。
 「やめろ!レイチェルを離せぃ!」
「へへへ。こんな所でいちゃついているお前たちが悪いんだぜ。この女はちょいと借りてゆくからな。」
「ああ!マーカス!」
「止めろ!レイチェル!レイチェル!レイチェルウゥ!」
「まーかすぅぅ!」
ぱぴゅん!
「・・・・・またか。」
頭を軽く抑えるゼルガディス。
その光景が目に飛び込んできたとたん、走り出す人影一つ。
「お待ちなさい!か弱き、女性に、乱暴するとは!この、アメリアが、天に代わって、成敗いたします!」
近くにある、木の頂上にと登りきり。
息を大きく吸い込んで、眼下に繰り広げられている、些細な恒例道理の、ごろつき立ちに言い放っているのは。
黒い髪にくりっとした瞳のアメリア。
そして。
「とぅ!」
・・・ゴベシャ!
鈍い音がして、アメリアの首が曲がってゆく。
が。
首が曲がったまま。
「さあ!悪党!観念しなさい!」
ぴしっ!
と、体性を整えて、指をさしつつ言い切るアメリアに。
「・・・なんだぁ?この姉ちゃんは?」
さすがに。
しばし、唖然としているごろつきたちの姿が見受けられているし。
「アメリアさぁん、そんなどうでもいい人達、ほっておきましょうよぉ。」
すたすたと。
そんなアメリアの横に、犬と貸しているラルタークを引っ張りつつもいっているゼロス。
「う・・まあ、年はまだ幼いが。結構、この女もいいんじゃないか?」
「いやぁ、もう一人、女がいるぞ?じゃあ、じゃんけんで。」
勝手に。
あたしとアメリアの姿を認め、【誰が誰を相手にするか】というのを決めるため。
じゃんけん勝負をし始めているごろつきたち。
「か弱い乙女に乱暴を働くやから!悪を制して、正義となす!正義の裁きを受けなさい!火炎球(ファイアーボール)!」
チュドゴォン!
アメリアの放った、呪文一発で。
情けないにも、あっという間に吹き飛ばされてゆくごろつきたちの姿。
『んきゃ!?』
「・・・・おやおや、一緒に。今の男女も吹き飛ばされてますねぇ♡」
にっこりといったゼロスのその視線の先には。
今のアメリアの呪文に一緒に巻き込まれて、吹き飛んでいる絡まれていた男女の姿。
 
「・・・危ないところを助けていただき。ありがたいような気がしなくもないです。」
「一瞬、花畑で、手を振るお爺ちゃんをみせられたことを除けば。本当に助かりました。ありがとうございます。」
いって。
こげている男女は、アメリアやあたし達にと向かってペコリと、頭を下げてくる。
あたし達は、ちょうど、お昼だというので。
この湖にて、ラルタークを餌にして湖で魚を釣り上げ、少し遅い昼食を終えたばかり。
アメリアに吹き飛ばされた、五・六人の男達は。
そのままその体を炎にくるまれたままで、空を飛んでいっていたりしたけども。
それはまあどうでもいいこと。
「いえいえ、お礼には及びません。」
きっぱりと。
ぐぎっ!
首が変った方向に曲がっているのを、そのまま手を添えて自力で直して、言っているアメリアのその台詞に。
『今のお礼ではないと思うが(思うのですが)』
きっきりと。
ゼルガディス、ゼロス、ラルターク、ガウリイの声が一致する。
そんなことをいっている男女は、共に今年二十歳になったばかりの男女。
「ああ、でも、君が無事で、本当によかったよ。レイチェル♡ちょっとこげているけど♡」
「貴方こそ、無事でよかったわ♡マーカス♡ちよっと、焦げてるけど。
  けどいったでしょ♡マァカァス♡互いを愛する気持ちさえあればそんな二人を引き裂けるものなんてな・い♡って♡」
「あはは。その通りだね。レ・イ・チェ・ル♡つまり、これこそが♡」
『愛の力』
完全に二人の声が一致する。
しかも、会話をしつつ、指でちよんちよんと、相手の顔をつつきつつ会話をしているこの二人。
完全に彼らは二人の世界にと入り込んでいたりする。
「・・・なんか、こいつらに絡んだごろつきたちの気持ち・・。分かるな・・・。」
そんな二人をみてつぶやいているゼルガディス。
ひくくっ。
「ず・・・ずいぶんと、ラブラブなんですねぇ・・あはは・・・」
多少そんな彼らの様子にひいているゼロス。
何か、その辺りにいた、精神世界の下級魔族。
この二人の、ラブラブの攻撃というか、感情で、なぜか死んだり滅んだり、再起不能にとなっているんだけど・・・
「けど、こうやって見ると、こげた君も素敵だよ♡」
「貴方だって、小麦色でたくましいわ♡」
「けど、そうすると、あのごろつきたちも。きっと僕達の愛♡を確かめるための試練だったのかもしれないね♡」
「まあ♡マーカスってば、詩人さん♡そうすると、さしずめ、この人達は♡」
いいつつ、あたし達にと目を向けて。
『二人の愛のキューピット♡』
「だぁぁぁぁあ!」
プワッ!!!
その台詞に。
なぜか、鳥肌たてつつラルタークが呪文を放つけど。
といっても。
魔力を多少封印し、しかも犬の姿にしているので、ちよっとした魔道士程度の力しか出せずに。
ラルタークの放った呪文は。
いちゃいちゃと、完全に二人の世界に入り込んでいるルーカスとレイチェルを、
炎で祝福している花火もどきくらいにしか傍目には映らない。
といっても、彼らを多少吹き飛ばす程度の威力はあれはすれども。
これくらいで一応はかなりの威力を増したみたいなんだけど。
情けないわねぇ。
もう少し、根性とか鍛えなきゃ♡
全体的にね♡
ツパドゴォン!
湖に爆音が鳴り響く。
「ポチさん!それは、正義じゃないです!」
「・・・・アメリアさん。さり気にひどいこと言ってます・・。」
ラルタークが犬にとなり、アメリアがつけた呼び名が【ポチ】。
さすがに、当初は抗議していたラルタークだけど。
毎日のように、アメリアが、その耳元で、【生の賛歌】を聞かし続けた結果。
なぜか、泣く泣く、その呼び方を承諾せざるを得なくなっているこのラルターク。
そんなアメリアの台詞に、にここにと笑顔でゼロスのが突っ込みを入れてゆく。
とりあえず、湖に落ちて、それでもまだ、二人の世界に浸っている二人はほっといて。
あたし達はそのまま、町の中にと向かってゆく。


「実は、折り入って、君に頼みたいことがある。」
そういう評議長のなまざしには、強い決意。
プロキアム・シティの魔道士協会。
町に立ち寄ったのでついでに、という理由で。
魔道士協会にと立ち寄ったあたし達。
ただ寄っただけなのに。【評議長の所に行ってください。】と頼まれて。
面白そうなので、二つ返事で一応、話を聞く報酬として金貨二十枚を貰っておき。
そんなこんなであたし達は、プムキアム・シティ魔道士協会票議長の議長部屋にいたりする。
人払いを彼はかけたのちにいきなり、話を振ってくる評議長。
ちなみに。
犬となっている、ラルタークはといえば。
そのまま、外にと繋がれて。協会の人々たちから、いろいろと遊ばれていたりするけども、それはそれ。
白髪を後ろで束ね、白いひげを年齢のわりに、蓄えて細身の体格にもかかわらずにその眼差しは、肉食獣の目。
その面差しを人などがみたら、まず猛禽類を連想するその顔立ち。
一応、ここの町の中では切れ者と評判のこの男性、クラーク。
「これは、プロキアム・シティ魔道士協会としての依頼ではない。
  この私、クラーク=サンドリッド、個人としての依頼だ。そのことを念頭において欲しい。」
部屋にいるのは。
あたし、ゼロス、アメリアにガウリイそしてゼルガディス。
ゼルガディスは、人前に出るのを嫌がっていた節があるのだが。
そんなゼルガディスをアメリアが強引に引っ張ってきているのである。
そう一言、注意を促して、クラークは、すくっと、窓辺にたちつつ外にと視線を送り。
「・・・実は、私には、息子が一人いてな。そいつが最近、変な女にひっかかった。」
「おやおや。」
その言葉に。
相槌を打っているゼロス。
ゼロスは面白そうなことには目がないからね♡
「そこで・・・だ。息子とその女を別れさせてほしいのだ。」
『・・・・・・・・・・・・・は?』
そのクラークの言葉に、ゼルガディス、ゼロス、ガウリイの目が点となる。
「いきなり、男女を引き裂くなんて、正義じゃないです!」 
その言葉に、アメリアが猛反対していたりもするけど。
「いや、その女が曲者なのだよ。自慢するわけではないのだが。我がサンドリッド家は、それなりに由緒ある家系。
  私の祖父は、王室の宮廷魔道士を勤め、名誉爵位も頂いており。私は、現在、魔道士協会会長。
  となると、まだ若い息子をたぶらかし、我が家の財産や。名誉を狙う不貞のやからも出てくるというものだ。
  しかし、息子にそんな女を娶らせるわけにはいかん。いずれ、この私が、ふさわしい相手を探してやらねばならん。
  とは思っていたのだが・・・。どうやら、よからぬ女に先を越されてしまったようでな。
  そこで!君の出番!というわけだよ!リナ=インバース君!」
「話は、分かりますけど!やっぱり、親が決める縁談なんて、正義じゃないです!
  愛している人と結婚してこその、結婚です!」
政略結婚。
それ、アメリアが一番嫌っている言葉だからねぇ。
「・・いや、というか、どうして、リナの出番なんだ?そこで?」
ふと彼の言葉に疑問を投げかけているゼルガディス。
「おや、君たちは知らないのかい?このリナ君は。
  彼女の実家の方では『赤い糸きりのリナ』と彼女が呼ばれていたことは。」
にっこりというクラークの台詞に。
「えええええ!?そうなんですか!?リナさん!?」
あたしをみて驚くアメリア。
「・・・・・何やってるんだ・・リナ・・お前は・・。」
なぜか、あきれてあたしをみているゼルガディス。
「何となく、俺・・予想ついたかも・・・」
その天性の勘で、どうしてそう呼ばれていたのか気付いているガウリイ。
「・・・・ええと・・・・。本当なんですか?」
なぜか、クラークにと確認しているゼロス。
「ふふふ。この私の調査網を見くびっていただいては困りますな。
  私は、息子とその女を別れさせるべく。その道のエキスパートについて、徹底調査を行っていた。
  そこで、上がった名前の中にリナ君の名前があった。というわけだよ。」
にこやかにいうそのクラークの言葉に。
「あら、そんな妙なエキスパートじゃないって。」
というか。
なぜそんな呼び名がついたかといえば、簡単なこと。
なぜか、あたしが。
スタイルなどを抑えずに道を歩いていたりするだけで、男や女たちが寄ってきて。
それが原因で、よくカップルが別れていたのよねぇ。
あたしが、カップルの名前を呼ぶだけで、なぜか痴話げんかなんかが始まったりして。
結構、面白いのよねv
からかうのって♡
あと、本人しか知らないようなことを、そのカップルなどの彼女とか、彼氏に言っただけで。
破綻するカップルのまあ、多いこと、多いこと♡
それで、別れたカップルなんて、その程度の絆なんだし。
「またまた、謙遜する必要はないよ。リナ君。まあ、何か事情があって、そのことは隠しておきたいわけだね。
  分かった、君はエキスパートではないるそういうことにして話を進めよう。」
「・・・いや・・あの・・・・。」
一人で勝手に話しを進めているクラークに。
じと汗をなぜかかきつつ突っ込んでいるゼロス。
「・・・リナさん、一体、何をやったんですか?」
あたしに聞いてくるアメリア。
「たいしたことじゃないわよ。ただ、いきなり、カップルの相手の名前を呼んだり。
  当人しか知らないようなことを言い当てたりしただけで、なぜか破綻したカップルが多かったv
  というだけのことよv誰でもわかるようなことを言っただけでねv」
そんなあたしの言葉に。
・・・・・どうして、見ず知らずの人達の、リナ(さん)名前・・・知ってるんだ(でしょぅか)?
なぜか、そんな些細なことに対して、疑問に思っているアメリアとゼルガディス。
あら♪
誰でもわかる、簡単なことじゃないのよねv
そんな会話をあたし達がしている最中。
くるりと体裁を整えるように、窓に背をむけつつ。
「ともかく、息子のマーカスの目を覚ましてやるには、何らかの外的干渉が必要だと私は考えているのだよ。
  もし、それを行ってくれる人がいたら、私は、その人物に非常に感謝するだろうな。」
「・・・マーカス?」
その言葉に繭を潜めるゼルガディス。
「あのぉ、つかぬことをお聞きしますが・・・?その、相手の女性の名前って・・レイチェルとか言いませんか?」
ゼロスの質問に。
そのゼロスが尋ねた瞬間、はじかれたように、ことらにと振り向いてくるクラーク。
「おお!知っておるのか!さすがはその業界で、名前をとどろかしている、リナ君のご友人たち!リサーチが早い!」
『いや、そういう友人では・・・』
クラークの言葉に突っ込む、ゼロスとゼルガディス。
ガウリイは、のほほーんとしているけど。
唖然としている、アメリア達をそのままに、勝手にと話しを進めるクラーク。
「町の人達に聞けば、二人の居場所はすぐにでもわかるはず。では、頼みましたよ。リナ君。」
「・・・・あの?僕達・・急いでいるんですけど・・。」
ゼロスの抗議もむなしく。
「はっはっはっ。そういうことにしておこう。それでは、頼みましたよ。リナ君とそのご友人ご一行の皆さん。」
「・・・・このおっさん・・人の話し・・聞くき・・ないな・・・」
一人で、勝手に話しを進行させているクラークに、ゼルガディスが深い溜息をついてゆく。


日が落ちて、町に灯りが、ともり始めてゆく。
この、プロキアム・シティ。
町自体が、坂の上にと作られている町なので、町の全てが坂で構成されている。
町の一番高いところには、展望台。
普段でも、見えるんだけど。
なぜか、一般の存在の目には、天気のいい日に限り国境を越えてテルモード・シティが見渡せる。
その、風景というか、見晴らしのよさに目をつけたのが、四代前のここの市長。
魔道士協会にと働きかけて、町のいたるところに街頭を設置して。
夜になると、協会の魔道士たちに、魔法の赤らをともして回らせるようにと手配をし。
まったく。
いちいち、つけて回らないと、灯りもともせないんてねぇ。
時間と、周囲の明るさで明かりが灯るようにアレンジして、一度魔力とかを込めておいたら、話は早いのにね♡
それとか、太陽のエネルギーを利用して、発電するとか♡
今だに、この世界。
発電とか、そういったことに取り組んでいるのはごく一部。
「すごぉぃ!まるで、大地に下りた、星の海ですね!リナさん!」
アメリアが、展望台にとのぼり、夜景をみつつ感嘆の声を上げている。
「いやあ、プロキアムを見ずして、観光を語るな。と、この百年と少しの間に言われてますしねぇ。
  アトラス・シティが、ここの夜間照明のアイデアを盗んで、話題になったことも、ありましたしねぇ。」
にこにことそんなことを言っているゼロス。
「・・・・しかし・・・」
周りをみて、つぶやくゼルガディス。
辺りには、観光客の人の山。
まあ、それはそれとして。
今だに、人ごみの中に、入るのに少しばかり抵抗があるようだけど、ゼルガディスは。
まあ、そのうち、すぐに慣れるでしょv
そんなこんなであたし達は、展望台の近くにと宿をとり。
夜。
夜景を見るために。
ここ、町の展望台にと足を伸ばしているのだが。
「綺麗だね♡レイチェル♡」
「ええ・・素敵ね♡マーカス♡」
ぴしっ。 
あ、面白い。
犬のラルタークの姿が薄くなってる♡
「うわ・・・昼間のバカップルか・・・」
ゼルが深く、溜息をつき。
「・・・ええと・・・・」
ゼロスがそちらにすこしひきつりつつも、視線を向けてゆく。
「違うよ。レイチェル。僕が綺麗だっていったのは。君の事だよ♡」
「うふふ・・あ・た・し・も・よ♡マーカス♡」
えい。
つんつん。
くすくすくす。
指で、互いに互いを小突きつつも、いちゃついている人物、約二名。
「あはは。こいつぅ♡」
「もう、マーカスったら♡」
「君の瞳に映る星と街との光は。まるで煌く宝石箱みたいだ♡」
「でも、私にとっては、どんなに輝く宝石よりも。マーカス。貴方が一番の宝物♡」
周りでは。
その二人を避けるかのように。
すすす。
と、人の瓦礫が引いてゆく。
「・・・どうみても、財産目当ての女性には見えませんよね・・・」
いくら、ラブラブでも、これは、行き過ぎのような気がするのは私の気のせいでしょうか?
首をかしげつつ、そんな二人をみて言っているアメリア。
「・・・アメリア、関るな。」
そんなアメリアにゼルガディスが、注意を促すが。
時、すでに遅し。
「あら?ねえ、マーカス。あの人達って・・・・」
ふと。
こちらに気付くレイチェルの姿。
「あ・・貴方たち!ひょっとして、僕達の愛!のキューピットさん!」
『誰がだ(ですか)!!』
思わず、突っ込んでいる、ゼルガディス、アメリア、ゼロスの三人。
その叫びが聞こえなかったことにして、こちらにと近づいてくる二人の姿。
「昼間はお世話になりました。けど、最後に、あの、攻撃呪文は・・一体?誰が?」
「マーカス。それはきっと。私達が気付かないうちに。
  また、私達を引き剥がそうとしている悪い人達が近づいてきたのよ。
  キューピットさん達が、そんなことをするはずがないじゃない♡」
「・・・こ・・これは・・多少・・き・・効きますね・・・」
ひくひくと。
引きつっているゼロスに。
お前らァ!
等と当人は叫んでいるつもりだけども声に出ているのはキャンキャンと咆えている声となっているラルタークことポチ。
ついでに言えば。
ポチの毛並みは、全て白。
ふわふわの毛並みの材質に。 
ちょっとばかり、マルチーズに似ているその様式から。
周囲の人間達などに。
『かわいいぃ!』
とかいって、思いっきり、愛情に近い感情を受けまくっていたりする。
「・・・。」
その二人をみて、固まっているゼルガディスとガウリイ。
こ・・・こいつらって・・一体・。
ものの見事に、ガウリイとゼルガディスの思考が一致しているけど。
「―そうか!きっとそうだね。レイチェル。
  君のいうとおりだ。それに、二人が無事だったんだから。それで十分だね。」
「そうよ。あんな炎じゃ、二人の愛♡は、燃え尽きないわ♡」
「・・・・いや、ラルタークさんのあの呪文・・。普通の数倍の威力・・あったはずですけど・・。」
その言葉に突っ込んでいるゼロスだし。
しばらく、にこやかにいちゃついた後で。
「実は、僕達、あなたたちを捜していたんです。」
レイチェルと手をつないだまま、言ってくるマーカス。
「最近、妙な連中が、しょっちゅう、僕達に絡んでくるんです。昼間の湖のことも、そんなうちの一つだったんです。」
「ひょっとして、どこかの女性が。マーカスに恋をして、私達の仲を裂こうとしているんじゃないかしら?
  だって、マーカスはこんなにも、す・て・き♡なんですもの♡」
あぅ・・。 
完全にこめかみを押さえつつ。
「・・・・誰だって、絡みたくなるぞ・・・」
あきれたようにとつぶやいているゼルガディスに。
「確かに、ちょっと、・・なぁ・・・」
それに同意しているガウリイ。
そんな男達の会話はまったく聞こえておらずに、またまた二人の世界にとのめりこみ。
「どこかの、男が、レイチェルに恋をして。あのごろつきたちを雇っているんじゃないだろうか?
  だって、レイチェルは、こんなにも綺麗なんだから♡」
そう交互に言い放ち。
『きっと、これは、二人に課せられた、愛の試練♡』
手をつなぎ、くるくると回りながら。
つないだその手を星空にと向けて、ポーズをつけていたりする。
あ・・・。
周りの人間達から、ものすっごぉく、面白い感情や視線が二人に向けられているし。
…楽しい♡
「ああ、けれど、そのたびに、愛しいレイチェルが。危険な目に遭うなんて。僕にはとてもたえられそうにない。」
「そのたびに、マーカスが危ない目に遭うのは。とても心が痛む。」
『そんなときに、貴方たちが現れたのです!』
いって。
マーカスは懐から金貨を取り出す。
どうでもいいけど。
どうして、くるくると、回りつつ、踊りながら。
二人して、会話する必要があるのかしらねぇ?
その光景をみて、固まっているゼルガディス。 
「これはきっと、あなた達こそが!僕達の愛!を阻もうとする、悪者を退治してくれる。
  運命が僕達に使わせてくれた、愛!のキューピットに違いない!話あった結果。そんな答えが出たんです。
  ・・こんな形のお礼しかできませんが。お願いします。僕達の愛を―守ってください。」
いいつつ。
くるくるとまたまた回り踊りだす二人。
硬直しているゼルガディスの手にと無理やりに金貨を握らせて。
「これでもう、安心ね♡」
「そうとも、レイチェル♡」
「うふふふ。」
「あはは♡」
くるくると。
手を取り合いながら。
踊りつつ、その場を立ち去ってゆく二人。
後には面白いことに呆然としているゼルやアメリア、そしてガウリイなどの姿がそこにあったりするけども。
う~ん、楽しい♡


「な・・・・なあ、リナ、早いところ、出発しないか?」
なぜか。
姿が薄くなっているポチはそれとして。
何か、食あたり・・起こしたみたいだけど。
なさけない・・。
ゼルガディスが、疲れたように。
朝食時。
そんなことを言い始める。
「い・・いやぁ。さすがに。あそこまで逝っちゃってると・・。
  面白いというより、ひくものがありますからねぇ・・。はっはっはっ♡(」
完全に面白がっているゼロス。
レイチェルとマーカスによる、その感情よりも。
そんな二人に対して、周りから飛んでいる『疎み』の感情が結構おいしいらしく。
あまり気にしていないゼロスだし。
「でも、ゼルガディスさん。お金を貰っている限り!やはり、ここは、私達が一肌脱ぐべきです!
  どうみても、あのレイチェルさんは、財産目当てではありません!・・・・まあ、かなりバカップルのようですけど・・・」
そこまでいって。
飲み物にと口を付けてゆくアメリア。
「あら、さすがですわ。キューピットさん達!」
ズメシャァ!
あたし達にと食事を持ってきた宿の店員のその言葉に、まともに椅子から転げ落ちているゼルガディスにゼロス。
「何だ?気付いてなかったのか?」
のほほーんと言っているガウリイ。
「あ・・あの?どうして、レイチェルさんが、ここに?」
素朴な疑問を投げかけるアメリアに。
「あら。私、ここの娘ですから。ここで出会うなんて、やっぱり、あなた達は、私達の愛!のキューピットさん♡」
『そういう呼び方はやめろぉ(やめてください)!』
ものの見事に、ゼロスとゼルガディスの声がはもってるし。
楽しいv
「そうだ。あなたが私達の愛を踏みにじる悪い人達をやっつけてくれるんなら。宿代はおまけするわ。」
にこにこというレイチェルの言葉に。
「なあ・・・?リナ、どうするんだ?」
のほほんと聞いてくるガウリイ。
「リナさん!ここで、断るなんて、正義じゃないです!やはり、ここは、二人の仲を取り持ちましょう!」
いっているアメリア。 
「・・・・なら、一人でやれ・・・」
溜息ついているゼルガディス。
「まあ、それはともかくとして。私、今から、大通りで、マーカスと偶然にあいに行く所だったんです。」
にここにと追加の食事を運んできつつ、そういうレイチェルの言葉に。
「・・・あ・・あの?偶然に会いにいく?」
「はい。」
聞きとがめ、問いかけるゼロスに。
にこやかに笑みを浮かべつつ。
「いつも、大体、これくらいの時間に。偶然通りで出会って。運命の出会いを確かめて。一緒に朝食。
  そのあと、一旦、別れて、それぞれの仕事をして、昼に、町外れの湖で、運命の再会をして。砂浜で追いかけっこ。
  昼からやっぱり仕事にもどって、夕方。中央公園でぱったり出会ってデートと夕食。
  展望台で、夜景と星を見ながら、愛を語る。というのが、ここ、一月ばかりの、日課になっているんです。」
ごげっ!
その言葉に、まともに机に突っ伏しているゼルガディスに。
「・・それって・・待ち合わせっていわないかぁ?」
突っ込んでいるガウリイ。
「あら、何をおっしゃいますの?偶然という名前の運命!ですわ!」
きらきらと瞳をさせつつ、言い切るレイチェルに。
「言っても無駄だっては゛v」
くすくすと笑って、いうあたしの言葉に。
『・・・・どうやら、そのようですね(だな)』
なぜか。 
ものの見事に全員の声がかさなっていたりする。
 
「やあ!レイチェル!」
「あら!マーカス!こんな所で、出会うなんて、偶然ね!」
「それは、違うよ。レイチェル、これは、偶然なんかじゃなくて。運命♡
  ところで、レイチェル。そこに頭を抱えてうずくまっていたり、笑っている人達は?」
「そう。私達の愛のキューピットさん。名前は、リナさん、アメリアさん、ゼルガディスさん。
  ゼロスさんにガウリイさんっていうんですって。で、そこの白い犬がポチ♡」
ゼロスに繋がれたまま、色が透けかけているポチを目で示しつつ、いっているレイチェル。
とりあえず。 
宿帳に書いてある名前によって、あたし達の名前は把握しているこのレイチェル。
まあ、どうでもいいけど。
「へぇ。キューピットさん達にも、名前があるんだ。」
感心しているマーカス。
「・・・・どうでもいいが・・。少しは周りをみて発言しろ・・・」
ああ・・・。目立ってる・・目立ってる・・。
その、白いフードをさらに目深にかぶりなおし、そんなことをつぶやいているゼルガディス。
「・・・周囲?」
「・・・ですか?」
そういって。
二人は、周りを見渡し、そしてどうみてもひいている人達の視線を見て取り。
「―そうか。」
「そうだったのね。」
ほっ。
ようやく理解したようだな。
ゼルガディスが安堵の溜息を漏らした刹那。
『世界が二人を祝福している。つまりはそういうことですね!』
「ちがうわぁぁぁぁ!!」
その言葉に。さすがに叫んでいるゼルガディス。
「うーん。ゼルガディスさん、ご馳走様v」
ぺろりと。
小さく、舌なめずりをして、今のゼルガディスの感情を食べているゼロス。
アメリアたちにはゼロスの今の声は聞こえてないけど。
「―おやおや、朝っぱらから、ずいぶんと。見せ付けてくれるじゃないか。お二人さんよぉ。」
「いつも、いちゃいちゃ、うっとうしいんだよ!お前ら!」
通りの向こうから。
こちらに向かってくる、五・六人のごろつき達。
なぜか。
その体に包帯がめだっていたりもするけども。
まあ、そこはそれ。
「き・・君たちは!」
「だ・・大丈夫よ!マーカス!私達にはリナさん達がいるわ!」
「・・・もう、好きにしろ!」
なかば、やけになっているゼルガディス。
「またでましたね!悪党ども!」
ぴしっ!
指を突きつけているアメリア。
「おおかた。この人達も。
  このマーカスさんと、レイチェルさんを。別れさせてほしい。と雇われているごろつきなんでしょうねぇ。」
のんびりというゼロスの言葉に。
「・・まあ、気持ちはわからんでもないがな・・。・・殺したくなるぞ?これ・・・」
二人をみて、いっているゼルガディス。
「まあ、それはともかくとして。とにかく!流石に、行き過ぎとは、私も思いますが!
  財産目当てでないことには間違いです!というわけで、この、アメリア!愛する二人のために力を尽くします!」
「まて!」
がし!
そんなアメリアの手をとり、止めているゼルガディス。
と。
彼らがそんな会話をしていると。
「おーほっほっほっほつ!」
聞き覚えのある高笑いとともに。
ごうっ!
放たれた、風の呪文は。
ものの見事に。
結界を即座にゼロスが張っていたあたし達はそのままにその場にいた全員を吹き飛ばしてゆく。
「あ!姉さん!」
ぶんぶんと手を振っているアメリア。
そして。
呪文を放った相手に、にこやかにアメリアが語りかけたのは当然のこと。


「・・・・ふっ。さすがに、この私が間違っていたようね・・。」
食事をしつつ。
その、食事の進み具合も、いつもよりもスピードが遅く。
「でも、姉さん、どうして、姉さんがここに?」
もくもくと。
そんな、隣に座っているナーガに、食事をよそっているアメリア。
「ふっ。知れたことよ。ちょっと、買い物に出たら。道に迷って、ここまでたどり着いただけのことよ!」
『・・・どういう道の迷いかただ(ですか)』
「さすが、姉さんです!」 
ガウリイ、ゼロス、ゼルガディスの声が重なり。
ほめているアメリア。
その視界の先では。
完全に二人の世界にと入り込んでいる、レイチェルとマーカスの姿。
ナーガは一応、セイルーンに戻っていたのにねぇ。
ま、ナーガだしv
街の人達はといえば。
ナーガのその格好よりも、レイチェル達の行動をここ一ヶ月側でみていたせいか思考が麻痺して。
ナーガの格好などはあまり気にしてないのがまた面白いけど。
そんな会話をしつつ。
あたし達が、食事をしていると。
ゴッガァァァン!
攻撃呪文で、食堂が瞬くまにと吹き飛んでゆく。
「くくく・・・これでは、さすがにひとたまりもあるまい。」
含んだ笑い声をもらしたのは。
屋根の上にと佇んだ、小柄な人影。
全身をゆったりとした服に身をつつみ、その顔も目の部分のみをのぞいて長い布で覆っている。
「派手にやりすぎだ。」
つぶやいたのは、隣にうずくまる大柄な男の姿。
こちらもやはり目をのぞき、包帯のような黒い布で、顔を覆ってはいるものの、猫背の上半身裸という也立ち。
「文句があるのか?私のやりかたに?」
「あるにきまっているじゃないですか。」
『―!?―』
横からかかったその声に、はじかれたようにとこちらを向いてくる二人。
あの一瞬に。
気付いたあたし達は全員で。
外にと出ていたものの。
二人の世界にと入り込んでいたあの二人は、そのまま食堂の瓦礫の下敷きとなっていたりする。
『き・・貴様ら!?』
驚きの声を上げているその二人の声に。
「ふっ。何で、ああいうまねをしてくれたのかは知らないけど。
  この、ナーガ様を暗殺しようなんてたくらみ!後悔させてあげるわ!」
ぱちぱちぱち。 
「姉さん!かっこいい!」 
ぴしっ。 
と指を突きつけて、言い放つナーガの台詞に、ぱちぱちと手を叩いて、褒め称えているアメリア。
「・・・・・なあ、ゼル、視点が違わないか?」
「・・・俺に聞くな・・・旦那・・・」
疲れたようにとつぶやいているガウリイとゼルガディス。
「―まて!その顔・・知っている!?お前、まさか、あの赤い糸きりのリナ!?」
「何!?あれが、噂の!?」
「ちょっとまってください!貴方たち、エ・・とと。リナさんを知っているんですか!?」
目を見開いて驚いているゼロス。
「ふっ。この業界で、リナ殿の名前を知らないものはいない。
  …自己紹介が遅れた。俺は、『絆を嘲笑するもの』ギルメシア。」
「私は、『運命を破るもの』ルロウグ」
その言葉に、ナーガがこちらを振り向いて。
「・・・・ちょっと・・・リナ、何あれ?知り合い?」
とまどいつつも、聞いてくるし。
「知り合いじゃないけど。とある、『縁切り復興連盟』業界に所属しているみたいよ♡この二人。
  まあ、縁切り業界に入っているというのに。職場結婚しているこの二人だけどね。」
くすくすと笑いつつ、簡単にと説明しておくあたしの言葉に。
「何!?どうして、それを!?秘密にしていたのに!?」
マスクをのけつつ、いっているギルメシア。
「・・・体格と全然似合わないな・・。」 
その顔をみて、突っ込んでいるゼルガディス。
もう、どうでもよくなっているみたいだし。
体格とは裏腹に整った顔立ちのギルメシアに。
ショートカットで黒い髪をまとめているルロウグの姿。
「うーむ。さすがは。リナ=インバース。カップルの間に不穏な種を撒いて破局にと追い込むことだけはある。」
などと感心していたりするし。
「・・・・リナ、あんた、どういう世界に足を突っ込んでいるのよ・・・」
ナーガの問いかけに。
「そんなものには足を踏み入れてはないわよ。」
あっさりというあたしの台詞とは関係なく。
「はっ!縁切り業界!ということは!誰かに頼まれて、マーカスさんと、レイチェルさんを別れさせにきたってことですね!
  政略関係でない限り!このアメリア!愛する二人のために。力を尽くします!」
これこそ、正義です!
一人、燃えているアメリアに。
しばし、目を点にしている二人の姿。
「そうはいうがな。すでに、あの二人は私の術の一撃で、ほうれ、あの通り。
  あの二人には、もはや、何も未来も存在しない。」
彼らが視線を移した食堂の一角では。
ガラガラガラ・・。
何やら瓦礫が崩れる音。
そして、無傷でそこから出てくる二つの影がそこにあったり♡
「ああ・・無事だったかい?レイチェル♡」
「ええ。貴方は大丈夫?マーカス♡」
「もちろんさ♡君を思う強い力があれば。あんなもの、何でもないさ♡」
「あたしもよ♡うふ♡けど、二人とも無事なんて♡」
いいつつ、手を取り合い、みつめつつも。
そのまま、空の太陽を指差して。
『これこそ、愛の力!』
「・・・・・・・・・・・。」
そんな二人をみつつ。
あっけにとられているルロウグとギルメシア。
『始末するなら、ちゃんとしろぉぉ!』
それをみて。
ものの見事に、ゼルガディスとナーガの二人の台詞が一致してゆく。
「見て!マーカス!」
瓦礫の中で、片手をつなぎ、もう片方の手でこちらを指差し。
「あんなところに!私達のキューピットさん達と!その応援のキューピットさんが!」
「・・・たち?」
その言葉を耳にして。
ナーガが嫌そうな顔をして、あたしに助けを求めて視線を向けてくる。
「・・どうやら、ナーガさん・・。二人の愛のキューピット二号に認定されたようですねぇ♡」
にっこりというゼロスの言葉に。
「いやぁぁぁぁぁぁあ!!」
絶叫して、膝を抱えて泣き始めてゆくナーガの姿。
「姉さん!ここは、とっとと!あの二人を公認の仲にして!この街から出ることが最良の策です!」
さりげに。
心のうちでは、これ以上、あまりかかわりたくない。と思っているアメリアの本音がちらりと漏れる。
「・・・ふっ。それもそうね。」
すくっ!
そのアメリアの言葉に立ち上がるナーガ。

彼等がその場を立ち去ったのは、すぐのこと。
 
「とりあえず、ゼロス。騒ぎが大きくなったら、面倒だから。これ、直しなさいねv」
「は・・・はぃぃぃぃ・・・。」
なぜか、だくだくと汗をながしつつ、錫杖をくるりと一振りするゼロス。
―カッ!
瓦礫と化していた食堂が、ゼロスの今の些細な作業でものの見事にと再生してゆく。
「・・・・・・・・・リナもリナだが・・ゼロスも一体・・・」
そんなゼロスの作業をみつつ、なぜかそんなことをつぶやきつつ、
汗をながしているゼルガディスの姿が道の真ん中で見受けられてたりするけど。
だから、誰でもできるってばv
こんな些細なことは♡
「つまり、僕達の間を裂こうとしている人達がいるわけですね!というわけで!リナさん達が、僕の!」
「アメリアさん達が、私の!」
『護衛のキューピットさんに決まりました!』
再生させた、食堂の中、続きの食事をしているあたし達。
なぜか。
店主が、【あっという間に、店を直した御礼。】といって、無料で、食事を進呈してくれていたりするけど。
ガタン!
『勝手にきめるなぁ(決めないでください)!』
その二人の台詞に。
席を立ち上がり、叫んでいるゼルガディスとゼロス。
「ええ!?つまりは、それは、私達は、片時も離れるべきではない!ということですね!」
「まあ、マーカスったら♡」
「あはは。こいつぅ♡」
にこやかに。
口移しで、互いに食事をしているそんな二人をみつつ。
「・・・・・・・・・ま・・好きにしてくれ・・・」
「あぅぁぅ・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・おーい。リナぁ、早いとこ、これ・・決着・・つけようぜぇ・・・」
完全に諦めたゼルガディスに。
なぜか、だくだくと涙を流しているゼロス。
あきれつつ、言っているガウリイ。
そして。
「姉さん、これ、おいしいですよ。」
「あら、本当。」
ただひたすらに、現実逃避に走りつつ、食事に没頭しているアメリアとナーガ。
 
結局。
言っても無駄。
というか、面白いので。
しばらく、そのまま、そこに滞在を決定したあたし達。
その日から。
あたしとガウリイ、ゼロスが、マーカスに付き添い。
といっても。
マーカスに貼り付けているのは、もっぱらゼロスとラルタークことポチv
レイチェルには、ナーガとアメリアが付き添ってゆく。
「え・・・エル様ぁ・・さすがに、きついですぅ・・・」
いつも、相手をしているのも。
というか、あたし達には、あたし達のすること。  
というのも、ゼルガディスの意見で。
この街にとある図書館でゼルガディスに付き添い、調べ者をしているあたし達。
というわけで。
二人の監視をゼロスとポチvの二人に任せたのが、数日前。
なぜか、一週間もたたずに、根をあげてくるゼロス。
ドゴス!
「んっふふ♡ゼロス♡だぁれが、その呼び方をしろって?」
にっこりと笑いつつ。
ゼロスの頭に、スコップを突き刺して。 
夜、あたしの泊まっている部屋にてそんな会話をしているあたし達。
なぜか。
ポチはといえば。
実体化が不可能なまでに、ダメージを受けていたりするのだけど。
・・・・なさけない!
あんた、それでも、竜神官なわけ!?ラルターク!!
「まあ、そろそろ、飽きてきたことだし。
  それじゃ、明日にでも。とりあえず、先に、クラークにでも話しを付けに行きますかv」
さすがに。
精神攻撃をしかけても、復活するマーカスとレイチェルに泣きごとを言っているゼロスだけど。
まあ・・・この二人。
ジョセフィーヌの親戚だからねぇ。
あとは、ナーガたちの母親の遠縁だしv
つまりは。
隔世遺伝に似た感じで、二人とも、丈夫なことには違いないのよねv
ナーガの母親。
当人は、一応、【病弱】で通ってたけど。
結構、ナーガによく似ていたからねv
だから、フィルと恋に落ちて、結婚したんだけど。

「ど・・・どういうことかね!?リナ君!?」
次の日。
魔道士協会の評議長室で。
あたし達にプラスナーガ。
そして、レイチェルとマーカスの姿をみとめ動揺しているクラークの姿。
「そうですよ!リナさん!相手の親御さんに挨拶する場合、普通、男の方から、先にいくもんでしょぅ!?」
その後ろで抗議の声を上げているのはマーカス。
「だれが、挨拶の順番をしている!」
叫んでおいて、はっと冷静になり。
「つ・・・つまり。俺達が言いたいのは。
  評議長こそが、あいつら・・あの刺客を雇った張本人じゃないか。といいたいんだが。」
こほん。
咳払いを一つして。
きっぱりと言い切るゼルガディス。 
これ以上、こんなバカップルに付き合ってられるか・・・・
などと、内心、溜息をかなりつきつつ。

今日の朝食時にアメリアが。
「やはり、ここは、きちんと!クラークさんに話しをつけて!二人を認めさせるべきです!」
いい加減に。
毎日、毎日、二人の世界に入り込んでいるマーカスたちをみていて、さすがのアメリアもうんざりとしてきたらしく。
そう話しを切り出すアメリアに。
「ふっ。さすが、この私の妹ね!アメリア!
  やっぱり、こういうことは、親御さん達の、了解があって!初めて成り立つものだからね!」
即座に話しをあわせているナーガ。
アメリアが、ナーガに【この街の評議長が二人を別れさせて欲しい】という依頼を言ってきた。
というのを教えていたせいであるのだが。
ま、彼等に依頼したのはクラークではないけど。
それは、面白いのでだまっておいて♪
「それじゃ、食事が済んでからでも。いきますかv」
あたしの台詞に。
なぜか。
全員一致で、賛同がとれ。

で。
今に至ったりする。

「ふ。ルロウグとギルメジア。この二人の名前に心当たりはあるかしら?」
ずいっ。
胸をそらせて迫るナーガ。
「―それは―!?」
「あるんですね?」
じと目で睨んでいるアメリア。
「父さん!」
その会話に、マーカスが叫んでいたりもするけど。
「待て!ということは、まさか。その二人が現れたとでもいうのか!?」
「ふっ。今さら何をとぼけているのかしら?今さら、そんな連中、知らないっていったところで・・・」
ナーガが言いかけると。
「名前だけは知っているといっているんだ!リナ君、君にはいっただろう!?
  私は、その道のエキスパートについて、徹底的な調査を行った・・と。
  そのときに、上がったものの名前の中に、ルロウグとギルメジアの名前もあった。」
「・・それで、その辺りに自分の息子とレイチェルさんが。別れるようにと依頼した・・と。」
ゼロスの言葉に。
「しとらん!確かに、その二人も、縁切り業界の中では名前の知られた剛の者達!
  だが、業界トップレベルの、リナ君!君にかなうべくもない!
  君に依頼しておいて、格下の、二人にさらに頼むような無礼なことはせんよ!」
「・・君たちに依頼って!」
「・・まさか、リナさん!」
驚愕の声を上げているマーカスとレイチェル。
そして。
「それじゃあ、最初は、僕達の仲を裂くつもりで・・!」
「それじゃぁ、私達と行動を共にするうちに!」
『二人の愛の強さに打たれて、改心した!というわけですね!』
「そうなのか!?」
『信じるなぁぁぁ!!』
あ。
今回は、さすがに。
ガウリイの突っ込みまでが一致してる♡
楽しいv
「ともかく!リナさんは、訳のわからない縁切り業界からは、足を洗ってます!
  今は、正義の仲良し四人組みの一員です!」
「・・・・だから、その呼び方はやめろ・・。」 
びしっ!
と言い切るアメリアに。
心底、うんざりした口調のゼルガディスがつぶやいてゆく。
そんな会話をしていると。
『・・・・今のは、聞き捨てならんな・・。』
くぐもった声が、部屋のクローゼットの中から聞こえてくる。
『俺達の誇りある縁切りの業界を。訳のわからないもの呼ばわりとは。侮辱この上ない。』
『・・・誇りある商売なのか(ですか)縁切り業界って?』
同時に突っ込んでいる、クラーク、ゼロス、ガウリイ、ゼルガディス、アメリア、ナーガ。
「それはそうと。さっき、依頼してないって。おっしゃってましたけど。
  それでは、どうしてこのお二人がクローゼットの中にいるんですか?」
にこにこと問いかけているゼロス。
「・・・ほう、よく我らがここにいるとわかったな。」
いって。
ダム!
音を立てて、扉を撥ね退けて飛び出してくる二人組み。
「し・・知らん!」
「その通り、彼は無関係だ。本当の依頼人は明かせんが。」
ルロウグの台詞に。
「俺達は、食堂の天井裏でお前たちの会話を聞いていた。
  【街の魔道士協会にいく】・・と。
  ならば、マーカスの父親―評議長の所に行くであろう。と踏んで、先回りをしたまで。」
その言葉に。
ぽん!
と手をうち。
「すると、先ほどの覆面した清掃業者二人・・それが、お前たちだったか!」
手を打っているクラーク。
『怪しめ、あんたは』
『普通、怪しい・・と思うでしょうに』
ものの見事にゼロス達の意見が一致する。
まあ、マーカスの父親だからねぇ。
そんなアメリア達の同時の突っ込みに。
「いや、怪しいとは思っていたのだ。クローゼットの中にはいったっきり、出てこなかったし。」
「・・・・・何考えてるんだ・・この評議長は・・」
ゼルガディスのつぶやきが、ただむなしく霧散してゆく。
「ま・・まあ、それはともかくとして。・・・今度は、逃がしませんよ♡」
にっこりと言い放つゼロス。
「・・いいだろう。」
「ルロウグ!?」
そんな彼の言葉に抗議の声を上げるギルメジア。
「今ここで、けりをつけて。そうしておかねば、我らの名誉に関る。それは、わかっているだろう?」
「・・分かった。」
勝手に納得しているこの二人。
まあ、追いかけようとして。
いつも、マーカスたちに巻き込まれる格好で、ゼロスは取り逃がしていたからねぇ。
精神世界に逃げ込もうとしてもそのまま、二人に捕まって、延々とのろけを聞かされたりとか♡
そんなこんなで。
かなり、ストレスがなぜかたまり。
一度や二度など。
この二人の腕一本程度を吹き飛ばしていたりもしたんだけど。
妻の方が、一応。
高度な回復魔法、まあ、あたしにとっては、高度でも何でもないけど、使えるせいで。
元通りに、それは復活しているに過ぎないけど。
「あ・・・あのぉ・・。できれば、そういうことは、よそで・・」
汗をかきつつ、いう評議長に。
「ああ。心配しないで大丈夫よ。ここの空間、今、結界張ったし。ということで何がどうなろうが、関係ないから♡」
にっこりとあたしがいうと。
『・・・・・・・・。』
なぜか無言になる全員。
「と・・ともかく!いくぞ!」
「・・・・ともかく!とっとと、けりはつけさせてもらうわ!」
完全に、思考が麻痺し始めているゼルガディスに。
これ以上、【マーカスたちに付き合っていたら精神が持たない。】と感じているナーガ。
「どうやら、少々、派手にやってもいいと。只今、許可がでましたし。少し暴れさせてくださいね♡」
にっこりいって。
ブラストボムをいきなり唱え始めているゼロス。
「ちょっと!ゼロスさん!それは!」
「ま・・まて!アメリア!結界を!」
「あーあ。ゼロスのやつ・・切れてるな・・。」
「いきます!ブラスト・ボム!」
ドドゴゴォォォォン!!!!!!
辺りの空間が煮沸してゆく。
「あんたわぁぁぁあ!このあたしまで巻き込む気!?」
ドスドスドス!
辺りから取り出した、やりで、ゼロスを貫きつつ、とりあえず些細なお仕置きをしておくあたしに。
「おーほっほっほっ!まさか、いきなり、ブラストボムを放つとは!おーほっほっほっ!」
まったく無傷のナーガ。
なぜか。
その辺りには、黒こげになってる物体が、転がっていたりもするけど。
「あーあ。ひどい目にあった。」
いいつつ、体についたその炭を払いのけているガウリイ。
こっちも、ちょっとこげているものの、殆ど怪我なし。
「う・・・・」
「こ・・こんなことで!」
黒コゲに焦げつつ、うめいて身を起こしてくる刺客の二人。
「敗れる・・わけには!」
いって。
視線をこちらに向けかけると。
 
ザラ・・。
サラサラサラ・・・・。
炭と化したクローゼットがその外観の姿を止めたまま炭と化していたのが、崩れ落ち。
その中から、出てきたのは手と手を取り合うマーカスとレイチェル、二人の姿。
「無事だったかい?レイチェル♡」
「もちろん♡マーカス♡だって、貴方が側にいてくれたから♡」
「そうだね。二人、一緒にいる限り・・」
「誰も私達を傷つけることなんて、できはしない!」
『だって、なぜなら、二人の愛は、不滅だから♡』
一つも怪我なく、完全に二人の世界に入っている二人をみつつ。
「どぇぇぇぇ!?」
かなり、目を見開いて、驚いているゼロス。
「・・・・フィルさん並みだな・・」
つぶやくゼルガディス。
「・・・くっ!二人の愛は・・・それほどまでに強い・・というのか?」
『えええええ!?』
そんな二人をみつつ、つぶやいているルロウグの台詞に。
ゼロス、ゼルガディス、ナーガ、アメリアの声が一致する。
「確かに、俺達の負けだ。」
『ええええ!?』  
さらに、驚いているし。
刺客達は、その場にと立ち上がり、あたし達とマーカスたちを交互に眺めつつ。
「だが、勘違いするなよ。俺達は、貴様たちに負けたわけではない。」
「渡したは、二人の愛の深さにまけたのだ。」
淡々といっている二人の言葉に。
「・・・・そ・・・そぉなの?」
ひくひくとしつつ、問いかけているナーガの姿。
「これほどまでに、強い愛があったとは・・・。正直、目から鱗が落ちる思いだ・・。
  二人に免じて、依頼主を教えてやろう。この町の、商工会長だ。
  町の風紀が乱れる・・ただ、それだけの理由で・・な・・。」
『十分に立派すぎる理由だとおもうが(思いますが)(思うけど)。』
きっちりと。
声を重ねている、アメリアに、ゼルガディスにゼロスにナーガ。
「・・なら、そちらは、私が話しをつけよう。」
そういきなり、話にと入ってくるクラーク。
こちらもまた。
さすがに、伊達に、ジョセフィーヌの実の弟のだけのことはあるのよね。
今のゼロスの一撃で まったくもって、無傷だし。
・・・・やっぱり、もうちょっと、ゼロスはお仕置き決定♡
「・・・・ひょっとして・・・」 
風の結界をときつつ、冷や汗ながして言っているゼルガディス。
正解。
「マーカスよ。この父が間違っていた。お前たちの愛(はあと)が、そこまで純粋なものだったとは・・。
  まさに、心洗われる想いというのはこのことか。これからは、お前たちのことを認め。共に歩んでいくことにしよう。」
「・・お父さん・・。」
「お父様・・・。」
「おとうさま・・か。ふっ。悪くない響きだな・・。」
「これこそ、正義です!」
『お゛いお゛いお゛い』
一人、盛り上がっているアメリアと突っ込むゼロス達。
「ふっ・・・・。ギルメシアよ。私達もこれから、もう少し、仲良くしてもよいかもしれないな。」
「そうだな。愛することを恥じる必要など何もない。この二人がそう教えてくれた。」
そういって、手に手を取り合うルロウグとギルメジア。
「・・・・そーいや、リナが。 夫婦とかなにとかいってたわね・・・」
どこか遠くをみつつ、現実逃避に走りつつも、そんなことをいっているナーガ。
「職場結婚というやつでな。」
「・・・・縁切り業界・・・だめなんじゃ・・・」
そんな彼らの台詞に対して、つっこんでいるゼロス。
「ルロウグ・・いや、ルーちゃん。今まで、俺達は、仕事、仕事で。
  お互いのコミュニケーションをないがしろにしていたような気がする。
  これからは、二人の時間をもっと、大切にしていこう♡」
「そういってくれるとうれしい♡
  私達もあの二人に負けないように、愛をはぐくんでいこうな♡ギルメジア・・いや、ギルぴょん♡」
「ルーちゃん♪」
「ギルぴょん♪」
『ふ・・・・・・増えて、どうする!バカッブルぅぅぅぅ!!』
ゼルガディスと、ナーガと、ゼロスの悲鳴がしずかにと響き渡ってゆく。


ぜいぜい・・・・。
「・・・・な・・・・何かどっと疲れたんだが・・・。」
脱力する、ゼルガディスたちを伴って町を出発するあたし達。
「姉さん、これからどうするんですか? 私達は、今から、ディルスに向かうのですけど?」
そういってナーガに質問しているアメリア。
「ディルスねぇ。気をつけなさいよ。アメリア。今、あそこ、軍備を強化しているから。私は、セイルーンに戻るわ。」
「じゃあ、地図を渡しておきますね。あ、あと、路銀も。」
いいつつ。 
じゃらり。
袋をナーガにと手渡すアメリア。 
「世・・・世の中って・・・・広いですね・・」
ゼロスの言葉に。
「・・・・同感だな。」
なぜか、完全に疲れている、ゼルガディスが同意して。
「まあまあ、いいじゃない。少しは楽しめたしv」
「・・・・そーいう問題か?」
あたしの言葉に突っ込んでくるガウリイ。
「そういう問題vま、とりあえず、それじゃ、そういうことで!さvディルスに向けて出発よ!」
なぜか。 
あたしの言葉に、誰も突っ込んでこずに。
あたし達は、プムキアム・シティを出発してゆく。

しばらく。
二人の影響でプロキアム・シティに、あの二人のようなカップルが続出するのはまた、それはそれ♡
さって。
とりあえず、今晩、ゼロス達には全体責任v
ということで、ちょっと、根性を入れなおしておきますかv



                    -愛は強し偏終わり♪―


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 あとがき:
    薫:・・・・どーして。打ち込み始めたのが。
      昨夜(大晦日)の十一時で・・・。一時まで打ち込んで・・。
      打ち込み終わったのが・・次の日の二時なのだろーか?(汗)
      まあ、とりあえず。新年、あけまして、おめでとうございます。
      え?エル様が活躍してない?
      あはは(汗)
      エル様は、傍観者の立場です(まて!)
      さて・・・・。
      それでは・・・・。
      私は、正月企画に、とある小説を打ち込み始めている。
      (この漫遊記関連)ので。
      そちらに向かって、進むのです。
      あ、ご飯・・食べないとv
      それではvv

  2002年12月31日&2003年1月1日某日
 

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