こんにちわ♪
今回は♪スペシャル13巻。
仰げば鬱陶し♪闇竜翔さん、リクどうも♪

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エル様漫遊記・番外編  ~仰げば鬱陶し偏~


うららかな、昼下がり。
「おら手前、ナメてんじゃねえぞ!」
「こっちが甘い顔していると思って、つけあがりやがって!」
いつ、甘い顔したのかしら?
とある町のとある通り。
どこの世界にも、因縁つけて、金品を巻き上げてやろう。
という、チンピラは、面白いことに存在する。
何とも、平凡すぎるその光景。
まあ、彼等が絡んでいるあいてがこのあたし、というところを除けるとしたら。
ナンパをしてきた、ごろつきたちを。
食事だけおごらせておいて、そのまま立ち去ろうとすると、これである。
まったく。
心が狭いわねぇ。
とりあえず。
係わり合いになるのも面倒だし。
『風波礫圧破(ディミルアーウィン)♪』
ちょっとぱかり、風の精霊の力を使った。
といっても、これは、精霊の力を借りているのではなく。
あたしの力を使っているのをそれように見せかけているだけなんだけど。
ツボドゴォム!
『のぐわぁぁ!?』
ものの見事にあたしの術と、別の人物が放った術とが一致する。
二つの呪文で、吹っ飛んでゆく、チンピラたち。
「うーん。間に合わなかったか。しかし・・まあいいか。危ないところだったな。」
野太い声で、太く低く、大きな笑い声を上げながら。
ずずいっ。
と、遠巻きに、情けないことにもあたしとチンピラの成り行きをみていた見物人の中から出てくる、一人の男性。
歳は、三十二。
がっしりとした体つきの、大柄な男。
動きやすそうなラフで地味すぎる服装に黒い髪を短く刈り。
「あ・・・あの、助けていただいて、ありがとうございました。ラゴスさん。」
ぺこり。
わざわざ、恒例通りに、挨拶しているのは。
ちょうど。
暇だから、という理由であたしの所にやってきていた。
あたしの親友というか、同士というか、同じ立場の存在でもあるユニット。
その、大きくパッチリとした青い瞳をくるりと見開きぺこり、と頭を下げてお礼をいっていたりする。
今出てきた彼。
名前は、ラゴス=ゼノモード。
彼はにとり微笑みつつ。。
「いやあ、例には、及ばないぞ。僕は、ただ、勤めを果たしただけだからな。
  ま、何はともあれ。そういうことで、これからよろしくな。リナ=インバース君。」
  ・・・・・・。
笑顔で、にこにこといってくるラゴスに対して思わず、顔を見合わせるあたし達。
「何考えてるのかしら・・。グランドール・シティの評議長って?」
くすくすと。
笑いつつ言っているユニットに。
「まあ、いいんじゃない?ちょうど、最近、暇だったし。」
そんな、些細な会話をしているあたしとユニットの会話に。
「おお、知っているなら、話ははやい。というか、どうして、自己紹介もしてないのに。名前を知っているのかが疑問だが。
   そこはそれ。君のリナ君の教育係を任された。ということでよろしくな。」
にっこりとそういいきる、ラゴス。
うーん。
ちょっと、退屈してたから、付き合うのも悪くないわねv
「とりあえず、自己紹介をしておこう。僕は、ラゴス=是のゴード。君の教育係をまかされた。ということで、よろしくな。」
「・・・・知らないって・・面白いわねv」
その言葉に、くすくすと笑っているユニットだけど。
その、アップしているポニーテールの髪が風にとなびく。
とりあえず、立ち話も何なので近くの食堂にと入るあたし達。
「はっはっはっ。リナ君、君の事は、聞いているぞ。いい噂、悪い噂。まあ、悪い噂の方が多いかな?
   はっはっはっ。まあ、リナ君には、リナ君の生き方があるから。
   それでも僕はいいと思うんだが、やっぱり、そういうことを気にする人もあるからな。」
いきなり。
テーブルに着くなり、話し始めているラゴス。
「ねえ?私達に生き方って・・当てはまるかしら?」
「当てはまらないでしょ。」
ラゴスの言葉につぶやいているユニットとあたし。
「?よく意味がわからんが。
   ともかく、僕が属する、クランドールシティの魔道士協会の評議長も。
   そういう人だということだ。評議長は心配しているんだよ。
   このまま、リナ君、君が好き放題に悪逆非道の限りを尽くしていると。
   君だけじゃゅなく、魔道士全体の風評が落ちるんじゃないかってね。」
「あら。別に、そんなことしてないけどねぇ。」
「それをいうんだったら、ゼフィーリアの人達。全員当てはまるわよねぇ。」
最もなことを言っているあたし達のその台詞に。
「まあ、他はともかくとして。とにかく、今は、リナ君、君に関することだけなのだよ。
  というわけで、評議長は、君を常識ある、真っ当な魔道士として。教育する必要がある。と考えられてね。
  そこで、この僕が送られてきた。というわけなんだよ。」
そんなことを言ってくるラゴスに。
「リナに常識って・・・。というか、人々なんかが、常識に疎すぎるわよね・・。」
つぶやくユニット。
「そうよねぇ。今だに、精神世界や、魔術の仕組み。挙句は、物質の構造に関する、分子、原子の構造。
   それらすらも解明できてないような人間が。どうこういう道理はないわよね。」
今だに、あんな簡単なことなのに。
今だに、原子レベルなどの物質変換が出来ないここの存在達。
それに、今だにこの星自体の成り立ちというか、自分達がどういった場所に住んでいるのか。
それすらも理解できてないものが、何をいっているのかしらねv
「訳のわからない会話をしてないで。照れ隠しにそんな意味不明なことを言わないで。もっと自分に素直になろうね。」
にこにこと。
どこぞの友情物語でもいまどき誰も使わないような台詞をいっているラゴス。
「あのねぇ。ラゴス。今の会話の意味すらも分かってないわけ?」
これで、魔道士だっていうんだからねぇ。
せめて、物理法則くらい知ってないと。
「はっはっはっ。ラゴスと呼び捨てはいなだろ?僕のことは、『先生』って呼んでくれていいよ。」
「いやv」
あたしの、当然の返事に顔色一つ変えずに。
「まあまあ。そうだ。いいことを思いついたぞ。お近づきのしるし。と、先生への教育費。
   という意味を含めて、この食事の勘定。リナ君が持つ。というのはどうだろう?」
全然人の話を聞かずに。
一人で勝手に決めてるラゴス。
「あのねぇ・・・。」
あたしが何か言おうとすると。
「風波礫圧破(ディミルアーウィン)!」
ズゴドワァン!
ラゴスを吹き飛ばす一撃が炸裂する。
といっても。
ラゴスが、自分に向けて放ったものだけど。
「・・まったく。食事の途中なのに
バチンv
今の、ラゴスの一撃で吹き飛んだ店の中。
ユニットが一つ指を鳴らすと。
あっという間にと、再生されてゆく、食堂の姿。
「・・・・・・・・・・・・はい?」
なぜか。
それをみて目を丸くしているラゴス。
「あのねぇ。魔道士のイメージ・ダウンを防ぐ。という目的だったら。無意味に壊した後の。
   後始末くらい、できるようになってからいらっしゃいなv」
「そうそう。物質の再構成くらい、できるようにならないと。それこそ、魔道士のイメージダウンよねv」
いいつつ。
そのまま、食事の続きをしているあたし達。
「・・・・・。」
なぜか。
しばし、無言になり。
そして。
たどり着いた答えが、【見なかったことにする。】という、何とも情けないもの。
見なかったことにして。
とりあえず。
「まあ、リナ君、そういうわけで、最初は戸惑うかも知れないが。なぁに、心配することはない。
   先生が、真っ当なかたぎの魔道士に更正させてみせるよ!
   大丈夫!教育は愛だ!愛をもって、接すれば。どんなことでも絶対になし遂げられる!」
次なる言葉をいってくるラゴスだし。
「月並みな台詞よね。そんな考えの人が、教育なんて、できるわけないじゃないのよ。」
もくもくもく。
次に出されたデザートを食べつつ言っているユニット。
「はっはっはっ。心配は無用。個性には、自信があるからな。
   だから、たとえ、言葉が月並みでも内容まではそうじゃあないぞ!
   その証拠に、先生、前の恋人には、
   『貴方の愛は歪んでいる』とか言われて逃げられたからな!」
それをほめ言葉と捕らえているから、また面白いけど。
はっきり、きっぱりと言っているラゴスに。
周りの客から、あきれたような視線がラゴスにと向かってゆく。
「まあ、ともかく、リナ君!君はそんなことを気にする必要はないんだ!
   なぜって、君がどう思おうが、先生、問答無用で君についてって、教育すらからな。はっはっはっ!」  
かってに一人で決めているし。
「まあ、ついてきたければ、ついてくれば?(はあと)」
「ついてこられたら・・だけどね。」
くす。
いって。
ふい。
「ん!?・・・あれ!?」
周りをきょろきょろと見渡し始めるラゴス。
あたし達が今座っていた場所にはすでに、あたし達の姿はない。
「あ・・・あれ?」
「あの、お客様、お連れ様から、お勘定は。貴方から貰ってください。と先ほど言われて。
   お連れの女性二人、先に出られましたので。お勘定をお願いします。」
店の従業員に。
机の横にこられて、そういわれ。
ひゅう・・。
しばし、ラゴスは凍り付いてゆく。
・・・・いつのまに、外にでたんだ!?
などと思いつつ、なぜか驚いているし。
ラゴスの心の中に、面白いことに、風が吹き抜けてゆく。
 
「でも、あの呪文しか使えない。というのも問題よねぇ。」
「確かにね。」
とりあえず。
いつ、あたし達を見つけられるか。
面白いので、隠れて様子をみているあたし達。
みれば。
所構わずに、風波礫圧破(ディミルアーウィン)を撒き散らし。
というのも。
あたし達に似た感じの人がいたら、それに向けてやってたりするから。
また楽しい
無意味に、夕日に向かって叫んだりして周りの人間は引いてゆく。


「おお!こんなところにいたのか!リナ君!」
あたし達が食事をしている食堂に。
ようやく、3日たってからあたし達を見つけているラゴスだし。
すぐに見つけなさいよね。
「・・・うーん。肉の切り方も絶妙だし・・。リナ君、困るじゃないか!注意するところがなくては!」
カチャカチャと。
ナイフとフォークを走らせているあたしの手元をみて唸るラゴス。
まあ、このあたしは、何でも完璧だからね。
いいつつ。
がたん。
許可も得ずにと、あたしとユニットの前にと座ってくるし。
とりあえず。
ぶちぶちと。
何か、注意することろはないか。
と、探りを入れているラゴスはほっといて。
あたしは、のんびりと食事を勧めてゆく。
と。
「おーほっほっほっほっ!男連れとは、珍しいわね!リナ=インバース!」
店の入り口から、上がってくる高笑い。
「あら、ナーガさん。」
そちらをみつつ声をかけているユニット。
「あら?ユニットちゃんもいるの?」
すたすたと。
有無を言わさずにこちらにと歩いてくるのは。
棘棘のショルターガードに黒いコスチューム。
まあ、母親の形見とはいえ、一国の王女が旅をする格好ではないわよねぇ。
店の入り口から入ってきたのは。
自称、なぜか、あたしのライバルを宣言している。
これまた自称【白蛇(サーペント)のナーガ】。
本名、グレイシア=ウル=ナーガ=セイルーン。
これでも、一応、聖王国と、ここでは名前が知られている国の王女。
まあ、それをあたしが知っている、というのは、ナーガ、今だに気づいてないけどねv
「・・な・・・何だ?」
いきなり、自分の横にと座ったナーガに驚きの声を上げているラゴス。
そして。
「・・・なんと、可憐な・・。」
ブッ!
そのつぶやきに。
周りにいた全員が噴出してゆく。
客の全てはナーガの姿に圧倒されて、唖然としていたところにラゴスの台詞。
信じられないものをみるような目つきで、店にいた全ての視線が、ラゴスに注がれていたりするし。
たのしいv
「いやぁ、はっはっはっ。ナーガさんとおっしゃるんですか。」
隣に座ったナーガの手をひしりと握り。
「貴方は?」
ナーガの問いかけに。
「僕は、今度、クランドール・シティからリナ君の教育係として、派遣されてきたラゴス=ゼノモードといいます。
   いやぁ、リナ君の知り合いに、こんな素敵な・・・・。いや、失礼。何でもないです。あは・・あはははは!」
何と素敵な胸をしている人がいるとは。
といいかけて。
言葉を区切っているラゴス。
しかも、顔を赤らめつつ。
「ふっ。なるほど。」
ナーガは何か面白そうなことをしてるじゃない。
と、心でつぶやきつつ。
「分かったわ、ラゴスさん、この白蛇のナーガも協力させてもらうわ。」
「ああ!それは、助かります!」
ナーガの言葉にうなづいているラゴス。
面白そうだから。
という理由で、あたしをからかうつもりのようね。
ナーガは

次の日。
「さあ、リナ君、これを着たまえ。」
その翌日の朝のこと。
出発前の宿屋の自室で。
ラゴスが差し出してきたのは。
一目瞭然、ナーガのデザインによる、コスチューム。
色は黒。
胸を軽く覆っている布に。
しかも、どう見ても、下着にしかみえない、そのズボンというか下着もどき。
両肩のショルターガードは、頭蓋骨を模していたりする。
そんな、品物を。
しかも、四十過ぎのというか、実際は、三十代なんだけど。
見た目、完全に四十を過ぎているラゴスがにこにこと手にもって、差し出してくる。
というそれ自体が、結構、あきれるよりもまた楽しい。
「あら。ナーガさんのデザインした服ですね。それ?」
さすがに、ユニットも。
ちょっと、ビジュアル的に、その様子はいやだったらしく。
まあ、ナーガ。
実は、これ・・・ラゴスにも着せようとしてたからねぇ。
それは、あたしも同感。
ちょっと、見苦しいものがあるわよね。
それに!
このあたしの、肌を!どうして、簡単に見せないといけないのよ!
まったく。
ユニットの話題のすり替えの誘導尋問に。
「いやいや。先生が、リナ君のために。 一生懸命、デザインしたんだぞ。
  ・・まあ、ナーガさんの、監修が入った時点で。
  もともと、真っ白いワンピースだったものが、こんなふうに、多少変更されたけどな。」
にこにこというラゴス。
それって、監修とはいわないわよ
しかも、原型、まったく留めてないしv
「ナーガさんの監修・・ですか?なら、ラゴスさんは、ナーガさんに、一目置いているのですわね。」
丁寧な口調で話しているユニット。
その言葉に。
完全にうろたえつつ。
「な・・何を言ってるんだ。それは、確かに。ナーガさんは、すばらしい女性だ。
  だから、先生は、リナ君に、彼女のような女性になって欲しい・・と。
  別に、あの胸が気に入って、好きだとか、そういうのでは。」
完全に本音を言ってたりするラゴス。
「・・・・男って・・哀れね・・・」
ふと。
あたしは、そんなことを口に出す。
「な・・何を言うんだ!リナ君!先生は、そんな変な意味で言っているんじゃないぞ!
     ほら、『男は度胸、女は胸囲。トップとアンダーの差が大きいほどよし』っていうじゃないか!」
「それ、言ってたの・・あんただけだってば。」
こいつ。
魔道士協会で、堂々と宣言してたのよね。
それで、彼女が逃げたりしたのが、すでに、百以上
「そ・・それに!ナーガさんを気に入ったのは。
   胸だけじゃないぞ!気品溢れるその姿!それに、あの朗らかな笑み!」
恋は盲目ってよくいったものよねv
ナーガの高笑いのことを言っているしv
「そして、抜きに出たファッションセンスに、にじみ出る個性!」
まあ、センスはともかくとして。
・・一応、あれでも、考えてコーディネイトしてるからねぇ。
ナーガ・・・・。
個性といえば、ま・・・フィルの娘だし。
「つまり、ラゴスさんは、ナーガさんのことが好きなんでしょ?
   気にいったんだったら。思い切ってアタックしてみたら?男らしく、ドドーンと言ってみない?
   いくら、教育係とはいってもv一人の人間であるわけなんだしv」
たきつけているユニット。
「・・・・ヴ!?」
その言葉にうめいているし。
うーん。
効いているわねv
結構、使い勝手がいいのよね。
この、『一人の人間』っていう表現。
あるいは、『一つの生き物』とか、『この世には、貴方は一人だけなんだから』という台詞。
「た・・たしかに・・それは、そうなんだが・・。」
戸惑い始めるラゴス。
折角なんだから、ナーガでからかって遊ばないとねv
「まあ、あたしの教育はともかくとして。ついてくるにしたって。ナーガを意識しつつ。
    という情況で、身が入るの?それよりは、先に、そっちを決着つけるべきよねv」
あたしとユニットが。
話題をすり替えて、教育係のことを忘れさせている。
ということに微塵も気付かずに。
「・・・そう・・かな?しかし・・だ。そうは言っても・・どうやったものかなぁ・・。」
いって。
ぽりぽりと頭をかき出すラゴスの姿。
ふっ。
簡単に誘導作戦に乗せられる生き物よね。
人間って。
「そうねぇ。ナーガには、いきなり好きです。っていっても、戸惑うだけだから。まずは自分のアビールね。」
というか。
ナーガにそう言っても、無駄だけどね。
「あぴいる・・か・・。」
うなづくラゴス。
「それでは、リナ君。君がこれを着てくれたら。先生の責任者としての、能力の高さをアピール・・。」
「それより、ラゴスさんが着たほうがよくない?」
冗談半分でいった、ユニットの言葉に。 
・・・・ぽん。
「ちょ・・ユニット!?」
「あ!」
手を一つ打っているラゴス。
あああああ!
 冗談が本気になってるしぃぃ!
い・・・いやぁ!
流石に、面白いけど、目の毒だわ!
 
「おーほっほっほっ。それで、リナが服を着るのを嫌がったので貴方が先に来ている。というわけね。
   センスいいじゃない!リナにも困ったものね。少しはこのあたしを見習えばいいものを。」
まったく気にしていないナーガ。
・・・想像してみてほしいんだけど・・。
何しろ、このラゴス。
胸毛など、結構剛毛。
そこに、ナーガのそのまま、コスチューム。
むっちりとしたその肉に食い込んでいるハイレグ・・・・。
しかも、胸には、当然、あのままの胸当て・・・・。
目の毒以外の何ものでもないわよ!
まだ、セーラー服姿のガーヴとかの方が、かわいげがあるわよ!
「・・・・・まさか、本気でやるとは・・・」
そういいつつも多少ユニットもひいているし。
「・・・・同感。」
本当、人間て、変っているわよね・・。
すでに。
宿には、人気はない。
というのも。
ラゴスの姿をみて気絶者が続出し。
挙句は。
宿の主人なども気を失って、うんうんと唸っている状況。
そんな周りの状況には、まったく気付かずに。
「はっはっはっ。ナーガさん。貴方のような素敵な女性と比べたら。
   いくらなんでも、リナ君にこくすぎる。というものですよ。」
・・・ぴく。
こいつに、あたしの本来のスタイル・・みせてやろうかしら?
ちなみにあたしは、旅に出ているのに、何かと面倒なことになるからという理由で、
抜群のスタイルをコルセットで抑えているからねぇ
「ふっ。それもそうね。」
「はっはっはっ。」
「おーほっほっほっ!」
「・・・・・・・・とりあえず、無視しましょ。」
「賛成。」
いいつつ。
朗らかに、会話しているナーガとラゴスはほっといて。
あたしとユニットはそのまま、朝の紅茶を飲んでゆく。

「地雷破(ダグ・ウェイブ)!!」
ヅドォォォン!
その刹那。
あたし達のテーブルを吹っ飛ばす、一つの呪文。
といっても。
あたしとユニットは吹き飛ばされてないけど。
そのまま。
ふわふわと、宙を漂いつつ。
紅茶カップを手にしているあたし達。
人気のない食堂の一角。
ガランとしたその場所に一人だけ、戸口に近いテーブルに腰をかけ。
こちらを気分悪そうにみているその女性。
歳は、二十二歳。
肩まで伸ばした黒い髪。
細身で、ゆったりとした白い服。
あら。
「どうやら、新顔の登場のようね。」
あたしの言葉に。
「ねえ?リナ?いつまでこんな茶番、付き合ってるの?まあ、楽しいけど?」
ふわふわと、空中に座って、紅茶を飲みつつ、あたしにと話しかけてくるユニットの台詞に。
「まあまあ。いいじゃない。だって、ここ最近、面白いことなかったし。しばらく楽しみましょv」
「まあ、退屈はしないけどね。」
そんな会話をしているあたし達の足元で。

「お前は!?」
ガラガラガラ!
ガバァ!
机と一緒に吹き飛んでいた瓦礫の下から復活し、ラゴスが女性に向かって声を上げる。
「知り合いなの?ふっ。さては、この私の才能に。嫉妬しての、先制攻撃とはやるわね!おーほっほっほっ!」
無傷で立ち上がり、ラゴスにと話しかけ、そのまま、高笑いしているナーガの姿。
「誰が嫉妬したのよ!誰が!と・・ともかく!おほほほ!地に落ちましたわね!
  ラゴス!横にそんな、わけのわからない女をまとわりつかせて!しかも、そんな恥ずかしい格好をして!
  よくそんな人が、教育だの何だのと、そんなことをいえましたわね!
  貴方に教育者としての資格などはありませんわ!」
テーブルを離れ、視線をラゴスに極力向けないようにしつつ。
というか、簡単にいうと、ラゴスの格好を見ないようにしつつ。
見下した視線でラゴスを見据えてきっぱりと言い放つ。
「ふっ。この私に嫉妬して。わけのわからない女とは、聞き捨てならないわね!」
「だから、誰が嫉妬しているのよ!」
「ふっ。貴方にきまってるじゃないのよ!おーほっほっほっ!」
「おほほほ!誰が、あなたのような変人に嫉妬するものですか!」
「ふっ。語るに落ちたわね!やっばり、嫉妬しているんじゃないのよ!
  この私のセンスと才能をねたんで、そんなことを言っているんでしょう!」

「・・・・不毛ね・・。」
言い争っている、ナーガとカーシャをみつつつぶやくユニット。
「・・・・そね。」
視線の先では、しばらく言い争っている二人の姿。

「き・・貴様!カーシャ!なぜこんな所にいる!?」
ラゴスが、そんな二人の言い争いの合間を縫うかのようにと叫んでいるけど。
「・・・・知れたこと。」
新たに出てきた女性は、口の端に小さな笑みを浮かべつつ。
空中にふわふわと浮いている、あたし達をみて。
なぜか、少し汗を流しつつ。
・・・・どうして、呪文も使わずに、浮かんでいられるのかしら?
と、なぜか心で思っているようだけど。
何、そんな簡単なことで驚いているのかしらねぇ。
とりあえず、気を取り直して。
心のなぜか動揺している様子は微塵も表には感じさせずに。
軽くあたしたちにと一礼してくる。
そして。
「リナ=インバースさんですね。はじめまして。
   私、このたび、教育者失格で、変質者なラゴス=ゼノモードに代わり。
   貴女の教育係を勤めさせていただくため、クランドール・シティ。
   魔道士協会風紀委員会より、派遣されてまいりました。カーシャ=フラナガンと申します。」
挨拶してくるカーシャ。
とりあえず面白そうなので、そのまま成り行きをみているあたし達。
・・・・。 
しばし、ラゴスは沈黙し。
「ふざけるな!この僕が教育者、失格とは、聞き捨てならないな!」
そんな格好して、言っても、説得力・・ないけど
「聞き捨てならないも何も。教育は愛。そんな綺麗どころで通用するななら。世の中。苦労しませんわ。
  ことあるごとに、愛を連発されながら。口やかましく言われる教育なんて、受けたいと思います?リナさん?」
そういって。 
あたしに話しを振ってくるカーシャ。
「あら。私のお父様は、よく、愛をもってすれば。何ごともうまくいく。というのが教育方針でしたわよ?」
そんなことを言っているナーガ。
まあ、フィルだからねぇ・・ナーガの父親って・・。
「まあ、口やかましく言われるのは、いやだけど。」
ナーガのつぶやき。
「まあ、それは、教育ではないわよね。」
「そうね。」
ユニットとあたしの言葉に。
「ほーら、ごらんなさい!相手に苦痛を与える教育など!所詮偽者!
  押し付けの愛など自己満足の正当化に過ぎませんわ!」
「あら、それは、正解
カーシャの言葉に、相槌をうつあたし。
平たくいう愛というのは、全てを包み込むその包容力だし。
違う視点で理解しているものの、一部は、愛という言葉の真意を理解してるわねvこのカーシャは。
さらに言葉を続けるカーシャ。
「何の苦痛も伴わず、性格や言動の正常化を計る。それが、真の教育というものじゃありませんか?
   リナさんもそういう教育があれば、受けてみたい。とお思いでしょう?!」
カーシャの言葉に。
「というか、あたしにはそんなもの必要ないわよね。」
「まあ、そんなことをいえる義理でもないわよね。リナに対して。」
『・・・どういう意味です?』
なぜか。 
あたしとユニットの言葉に、突っ込みを入れてくる、カーシャ、ラゴス、そしてナーガ。
「と・・ともかく!」 
今の言葉の意味を深く考えないようにして。
いきなり、話し始めているカーシャ。
「わたくしの目指す、そして、実戦してきた教育は、まさにそれ!
   相手をいやな思いや、余計な苦労はさせずに!性格や悪癖の矯正!知識の集積が可能!
   これこそ、正に真の教育とは思いませんか!?リナさん!?」
ぴしっ!
あたしに指を突きつけていってくるカーシャ。
いまだにあたし達はふわふわと浮かんでいるまま。
「ちょっと聞くけど。どうやるの?」
その言葉に。 
ちょっと興味を引かれているナーガ。 
それだったら。
お父様が、よく臣下などに心を痛めているけども、少しは兵士達の改善に役立つかもね。
などと少しまともなことを考えているナーガだけど。
ナーガの質問に得意げに、懐から小さなクリスタルの塊を取り出して。
「前に、知人と研究してて、完成させたのが、このクリスタル・チップ!
  なんと!これを相手の頭に埋め込むだけで、あっという間に素直で従順な人間に!」
「そんな教育があるかぁ!」
ドゴシャァ!
まともに、ラゴスのスクリューパンチが炸裂する。
ついでに、もってナーガのも
「あれって、エリスと共同研究してたやつよね。」
「そうみたいね。」
その、紅いルビーのクリスタルをみつつ、そんな会話をしているあたし達の視線の下で。
「何をするんですか!」
「それの何処が、真の教育だ!」
「そうよ!単にそれって、傀儡の術で操っているだけじゃないのよ!」
 同じように突っ込んでいるラゴスとナーガ。
「何をおっしゃっているんですか!こちらの価値観を無理やりに相手に納得させる!
  という点では、教育も傀儡も似たようなものじゃありませんか!
  それなら、一番手っ取り早い方法をとるのがお互いのためというものです!」
きっぱり、はっきり言い切るカーシャ。
「大丈夫です!埋め込むときも痛くないですから!それに、実例があります!
  これまでにも障害などの事件を度々と起こしていた問題児が!!
  私のこの、教育で、ほんの瞬きするほどの時間で、見違えるような人格者にと埋もれ代わり!
  現在は、私のアドバイスしたとおり。奉仕の精神に乗っ取って、無賃金で文句も言わずに、肉体労働にいそしんでいます!」
「そういうのを世間一般では。『洗脳して強制労働させてる』っていうんだけど?」
まともなことを突っ込んでいるナーガ。
その通りv
あ、でも、それ、部下達に使ったら、結構能率いいかもv
でも、それだと、楽しくないか。
感情も何も面白いものが得られないしね
でも、あまりに働きが悪い部下にはちょっと、それ、採用してみようかしらv
考えて見ましょv
「何をおっしゃるの!ご家族の方からも。『息子を返せ』との、歓喜の悲鳴が!」
「それって・・抗議の声よ
くすくすと笑いつつ。
ストン。
床に降り立つユニット。
ついでにあたしも床にと降りてゆく。
結構面白くなってきたしv
「それに、相手の人格や、個性なんかを無視して。教育とはそれ、いわないわよ。
  いろいろと個性があって。楽しいんだから。」
だから、様々に個性が違うようにと、生き物とかには設定してるんだし。
あたしは。
だって・・その方が、見てても楽しいのよねv
あたしのその言葉に。
「何かを失わずして、何かを得ることは出来ません!」
「・・・失いすぎだってばv」
そんな会話をしているあたしとユニットとカーシャ。
その様子をみつつ。
「はっはっはっ。どうやら、勝負あったようだな!」
思いっきり。
胸毛をそらせて、胸を張って笑っているラゴス。
直視するの・・結構精神ダメージ・・受けるかも。
か・・かなり、きついものがあるわね・・これは・・。
しかも。
その格好で、にこやかに白い歯をにかっと笑って出しつつ。
あ。
カーシャ、気絶寸前になってるし
そんなゴラスの笑い声が高らかにと響いてゆく。
そして。 
胸をそらせたままカーシャを睨みつけ。
「カーシャ君!やはり、君の教育方針は、間違っている!リナ君が、君でなくて、僕を先生として選んだことがその証拠!」
「・・・誰も選んでないんだけど♡」
完全に楽しんでいるあたし。 
やっぱ、しばらく、退屈しなくてすみそうよねv
暇だからって、人間のふりしてここで人間やってても、暇なことには違いないからねぇ。
「何を言ってるんだ!リナ君!カーシャ君の教育を拒絶した。
   ということは、すなわち!僕を先生として認めた!ということじゃあないか!」
「勝手に二者選択にしてるし
「どっちも認めない。という選択肢もあるのにねぇ。」
そんな会話をしているユニットとあたしに。
「先生は認めないぞ。そんなこと。」
「貴方に認めてもらう筋合いはないわよ!」
その言葉に突っ込んでいるナーガ。
そういいつつ。
カーシャの机にと運ばれてあった食事に手をつけているナーガだし。
どうやら、かなりお腹、空いてたみたいねv
延々と、無意味な言い争いをしているカーシャとゴラス。

とりあえず。 
そんな二人を完全に無視して、ぱくばくと食事の続きをするあたし達。

しばらく後に。
食事をしているあたし達に向かって。
「どうやら、リナ君は、僕か君、どちらを教師として。選ぶのか、決められないようだな!」
「ならば、わたくし達の方で決めるしかないようね!」
などと。
勝手な方向にと話しが進んでいたりするけど。
「リナ?ほっといていいの?」
「ほっときましょ。それより、今は食事v」
「それもそーねv」 
いいつつ。
そんな会話をしている二人を無視して食事を続けるあたしとユニット。
そんな横では。
「なら、話は決まりだな!僕の生徒と戦わせて。勝ったほうが、リナ君の先生となる!」
「ほほほ!望むところよ!」
「いいだろう!なら、時刻は、二日後の昼から!
    双方三名ずつの生徒を連れて、決闘を行う!というのではどうかな!?」
「ほほほ!かまわないわよ!
  ・・あ。でも、決闘の時間だけど。昼食後になるのはちょっと。
   食後の急激な運動は、消化にもあまりよくないし。食後しばらくは頭の働きも鈍くなるし、夕方なんてどう?」
そういってくるカーシャ。
というか。
いつもカーシャ、決まって昼は昼寝するのが基本だからねぇ。
たとえ、それが、仕事中でもv
カーシャの言葉に。
「むぅ・・しかし。たとえ、決闘のためとはいえ。
   夕方以降、生徒たちをうやみに外出させるというのは。風紀上どうかと思うが・・。」
「それもそうね。」
変なところで意気投合しているこの二人。
それより、違うところで間違っている、というのに気づいてないし。
完全に人事で観戦しているあたしに向かって。
「では、リナ君は、その見届け人ということで!」
「・・・・んな、どうでもいいようなイベントに、参加しろと?このあたしに?」
あたしの問いに。
「当たり前じゃないか。リナ君のための決闘なんだぞ。」
「勝手に、そっちが決めただけでしょうに
きっぱり言い切るラゴスに向かっていっているユニット。
その言葉を聞かなかったことにして。
「ともかれ、カーシャ!試合は、二日後の午後から!場所はいつものところで!いいな!」
「望むところよ!」
「ま・・・・別にいっか。どうせ暇なんだし。」

かくして。
あたしの意思とは関係なく。
勝手に、決闘は、開始される運びとなっているし。
まあ、しばらく現状を楽しみますかv
結構、周りから発せられている感情が面白いしねv
 
「・・・・で?」
くすくすと笑っていうあたしの言葉に。
「まあ、こんな所でねぇ。」
くすくすくす。
こちらもまた。
くすくすと笑っているユニット。
「で?といわれましても。決闘場に決まってるじゃない。」
きっぱりと言い切るカーシャ。
「だから、どうして、わざわざこういう場所?」
完全に楽しみつつ、聞き返しているユニットのその台詞に。
「何で。といわれても、普通こういうものだろう?リナ君?」
「そう、どこにでもある、平凡な溶岩ステージよ。」
 あっさり、きっばり答えている二人。
まあ、確かに、平凡といえば平凡だけど。
今。
あたし達がいる場所は。
とある山の中腹にある洞窟を、さらにとに地下にと降りてゆき。
溶岩の溜まり場がある岩の橋の上。
どうせだったら、溶岩のど真ん中に、ステージを設けなさいよね!
あと。
こんな、浅いところでなくて、マントルの中で行うとか
ついでにいえば。
次は、標高二千メートルの山頂にてのステージと、海中のステージの設定。
でも、深海三百メートル程度で、深海とは・・ふっ・・・・悲しいわね・・・
一応、人とかの常識でいくならば、ここの辺りの空気は熱いほうであるけど。
まあ、汗とか流れるまえに、すぐに蒸発する程度の気温なんだけど。
まあ、あたし達には、暑さ、寒さなんて。関係ないし。
まあ、一応、完全に人の体にしているので、感じようとすれば、わかるけど。
別に、どうってことないし。
「でも、この橋の上じゃ、狭いわよねv」
「そうよねv」
いって。
パチンv
二人同時に指を鳴らす。
それと同時に。
ブワッ。
橋の下にとたまっている溶岩の海の真ん中に出現するちょっとした会場。
ちなみに。
溶岩の上に、ぷかぷかと浮かせているのでバランスを崩したら、溶岩の中にまっさかさまという得点付き
それに。
橋から、移動できるように、浮石を使った通路を出現させ。
「ってことで、どうせだったら、ここでやりましょv」
『・・・・・・・・・・・。』
どうやって、こんなもの・・・一瞬で?
なぜか、二人して顔を見合わせているゴラスとカーシャの姿があったりするけど。
何この程度で驚いてるのかしらね♡このあたしを教育するうんぬん、といっている人間が♡

「と・・とにかく!来たまえ!ローディー君!」
「来なさい!生徒011!」
ゴラスとカーシャ。
二人の呼びかけに橋の両方から、ひとりずつ人影が現れて。
ぐらぐらと、バランスをどうにか保ちつつ溶岩の上にと浮いているステージにと向かってくる。
ローディーは中肉中背。
これといって特徴もない男性。
黒いローブに身を纏っている。
こんな場所なので、そのローブの端が、ときどき燃えていたりするのがまた愛嬌v
カーシャに認識番号で呼ばれた彼はといえば。
黒いローブと年齢のほどは、ローディーと同じなのであるが。
見かけが面白いv
大柄で、目つきが鋭く。
眉をそり落とし、思いっきり、左の頬にドクロの刺青。
ついでに言えば、その右目にはくっきりと、傷跡が、走っていて顔のあちこちにも、かなりの傷跡。
そして、少ないまでのその髪。
というか、モヒカン刈りとそりあげているその頭を、きっちりと七三分けにしているその姿。
まず、間違いなく、子供とか、一般の人がみたら、泣き出す風貌。
ちなみに。
殺人、五十六件などをこなしているんだけど、こいつは。
まあ、そんなどうでもいいことはともかくとして・・と。
そんな彼の額には埋め込まれたコントール・ルビーが鈍く輝いている。
数歩の間を置いて。
無言で対峙する二人にラゴスがこくりとうなづいて。
「それでは、これより、リナ君の教育権争奪の決闘を執り行う!」
「第一種目は・・!」
いって。 
カーシャは、懐から、巻物を取り出すと。
シュルリ。 
と、勢いよく広げ。
「魔道の基礎理論筆記試験!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
人間って・・・・何考えてるのかしら?
楽しいv
「別に溶岩ステージでなくても、出来るわよね。」
身もふたもなくいっているユニット。
「まあ、いいじゃないv楽しいんだしv」
「それもそーねv」
そんな、あたし達の目の前で、もくもくと、無意味な筆記試験は開始されてゆく。

ちなみに。
第二ステージがある、標高二千メートルの山頂にあるとある場所は。
予約を入れるのが、直前だったために、すでに予約が一杯で使えずに。
近くの魔道士協会の一室で。魔道論理の応用問題の筆記試験。
机の上だけでは、見えない実体というものもあるのにねぇ。
ちなみに。
コントロール・ルビーに知識が入っていた第一試合はカーシャの勝利。
第二試合では、応用力が操られている状態では、情けないことに出来るはずがないのでゴラスの勝ち。
という結果となっていたりする。

「第三試合の内容は、実技!」
ゴラスが朗々と宣言し。
まあ、第一試合で。 
なぜか。 
バランスを崩して。
二人の生徒が、溶岩に落ちていたのは、まあ些細なことだし。
「あら、それじゃ、あたし達の出番ねv」
あたしの言葉に。 
「あら、じゃあ、聞くけど?三つ巴でもリナに勝てないような生徒しか育てられない。人達が?リナを教育できるとでも?」
にっこりと笑って、問いかけるユニット。
「そうそう。というわけで。あたしが勝ったら、黙って、このまま、二人とも、手をひいてねv」
「そ・・そんな無茶なこと・・。」
「でも、確かに、リナさんの言われていることは一理ありますわ。リナさん以上の生徒を育てることができてない。
    というのであれば、わたくし達には、リナさんを教育する、資格はありませんわ。」
つぶやいているラゴスに納得しているカーシャ。
「じゃ、話は決まりねvあ、私が、見届け人するからv」
いって。
いつのまにやら。
見届け人の席を作り出しているユニット。
ちょっとは、暴れないと・・・ねぇ
「よろしくねvユニットv」
ユニットに任せて、ステージにと上がるあたし。
「むう・・仕方ないか。来なさい!リチャード=マイヤー君!」
ざわり。
広場の端の植え込みがゆれ、黒い人影が出現してゆく。
黒いマントにローブの姿。
日に焼けた肌に白い歯。
ラゴスをちょっと若くした感じの男性である。
「ここが、正念場だ!頼んだぞ!リチャード君!」
「任せてください!ラゴス先生!」
張りと勢いのある声でラゴスに答え。
「先生に受けた恩を少しでもお返しするために!必ず僕が勝利を掴み取って見せます!」
「リチャード君!」
「先生!」
ザッパァン!
どこからともなく、波の音がしてきそうなそんな、会話をしているこの師弟。 
似たもの同士・・・類は共を呼ぶって、人間ってぴったしな格言つくってるわよね

「ふ。じゃあ、私の生徒の出番ね!」
いって。
不適な笑みを浮かべるナーシャ。
「来なさい!見て驚きなさい!私のかわいい生徒。075号!」
カーシャの呼びかけに、広場の反対側の茂みがざわつき。
「おーほっほっほっほつ!」
『あらv』
「な゛・・・!?」
あたしとユニットの声が重なり。
ラゴスの驚愕の声もまた重なってゆく。
「ナーガじゃないv」
「あら、ナーガさん
カーシャの声に反応して姿を現したのは。
額にクリスタルを貼り付けた、自称、白蛇のナーガ。
ある意味。
王族を操った罪。
といって、セイルーンに報告したら、カーシャv面白いことになるかもv
まあ、ナーガ、操られている振りをしているだけだけどね
「カーシャ!お前、ナーガ君に何てことを!」
「ほほほ!何を言っているのかしら!ラゴス!貴方に抗議される筋合いはないわよ!
   彼女の方から、私に『生徒にして欲しい』って言ってきたんですからね!」
まあ、いい金づるだから・・。
カーシャは扱いやすそうと、踏んだみたいだけどね。
ナーガは♪
「嘘だ!」
「根拠は?ないでしょ?」
噛み付くラゴスにいけしゃあしゃあというカーシャ。
でも、高笑いしている時点で、操られてない。というのに気付きなさいよね。
「とくかく、決勝戦を始めましょう。それとも、戦わずして、降参?」
「くっ・・分かった!試合開始だ!」
挑発する、カーシャの言葉に、面白いことに怒りに拳を震わせつつも、ラゴスは首を縦にふる。
 
「それでは、決勝戦v始めv」
ユニットの声を合図に、戦いは開始されてゆく。
「フリーズ・アロー!」
「魔風v」
ナーガの放った氷の矢が、降り注いでくるが。
いつも、ワンパターンなのよね。
しかも。
「んぐわ!?」
今の、呪文だけで。
横殴りの風にとして放ったあたしの術と、ナーガの放った氷の矢をまともによけもせずに受け。
矢に突き刺さりながらも、吹き飛んでいるリチャードの姿。
「ああ!リチャード君!」
「ほほほ。貴方の生徒、口ほどにも無かったわね!貴方の生徒、氷付けになっているわよ!
   さあ、残りは、リナさんだけよ!やりなさい!生徒075号!」
「ふっ。言われるまでもないわ!」
カーシャの声にこたえているナーガ。
「ふぅん。やる気なの?ナーガ じゃ、いきましょうかねv」
くすり。
「黄昏よりも暗きもの、血の流れより赤きもの、時の流れにうずもれし、無能な汝の名に命ず、
    我の命により、我の前に立ちふさがりし、愚かなるものに、裁きの鉄槌をくださ・・・・。」
あたしがいいつつ。
言葉を投げかけてゆくと。
「ああああ!リナちゃん、それはひどいぃ!」
あわてて。
涙目になって、抗議してくるナーガ。
「あらvドラスレ程度なんだから、ナーガだったら、大丈夫でしょvそれとも、ギガスレいく?」
にっこり微笑み、手の平にちょっとした黒い球体を出現させるあたしに。
「・・・・リナちゃぁぁん、私と、貴方の仲じゃない?ね
手を合わせて、なぜか多少涙を浮かべながらも懇願してくるナーガの姿。
『・・・・・へ?』
そんなナーガの様子をみて、唖然としているカーシャとラゴス。
「まあ、ナーガさん。操られてないしねぇ。」
くすくすと。
笑いつつ、言っているそのユニットの台詞に。
「ええええええええ!?」
驚愕の声を上げているカーシャ。
「おーほっほっほっ!ずいぶんとこの白蛇のナーガを甘く見ていたようね!」
言って、左手で、ポン。と軽く額を叩くと。
ぽてっ。
額のルビーが剥がれ落ちる。
「うそ!?」
さらにそれをみて、驚いているカーシャ。
ナーガなんだから、この程度当然でしょうにねぇ。
驚く必要もないのにね。
「おーほっほっほっ!こんなもの一つで、あっさりと操られるなど自我の確立が出来ていない未熟な証拠!
  確固たる信念を貫いて生きているこの白蛇のナーガを。こんな石ころ一つで操ることなどが出来ると思って!?」
そんなナーガの言葉に。
「そんな!?それじゃあ、なぜ、操られている振りなんて!?」
分かってないカーシャ。
「ふっ!そんなの、決まっているじゃないのよ!
  何となく、面白そうだったのと。操られている振りをしていれば。 あなたがお小遣いをくれるし。
  それに、ご飯とか、温かい布団なんかも提供してくれたからよ!」
さすがに。
犬小屋で寝る生活・・嫌気がさしてたみたいね
ナーガの宣言に、がっくりと膝をつくカーシャ。
そこに、ラゴスの交渉が響いてゆく。
「はっはっはっ。どうやら、カーシャ君、君の負けは決定のようだな。
   こうなった以上、ナーガさんは、君の生徒とは、いえなくなったからな!」
「な・・何の!」
カーシャはきっと顔を上げ。
「ナーガさん!この試合の間だけ!私の生徒になってください!戦いに勝てば金貨五十枚!」
「おーほっほっほつ!任せて!カーシャ先生!」 
 金額につられているナーガ。
本当、ナーガといると、あきないわ
「卑怯だぞ!カーシャ君!」
「卑怯だろうと、生徒は生徒!」
ラゴスの抗議の声をあっさりと却下しているカーシャ。
「さあ、ナーガさん!とっとと、リナさんを!」 
あら。
誰に向かって言っているのかしらねぇ
「氷結弾(フリーズ・ブリッド)!」
コカキィィン!
高笑いをあげているナーガを凍りつかけてゆく、一つの呪文。
横手から、飛んできたのは。
先ほど、ナーガの氷の呪文で氷付けにとなっていたリチャードの呪文。
「そんな!?」
カーシャの驚きの声と。
「おお!」
ラゴスの歓喜の声とか重なってゆく。
「リチャード君!よく、あの氷から脱出を!」
喜ぶラゴスに。
「当然です!大恩ある先生に報いるためにも!くじけるわけにはいきませんから!
   先生と僕の心に燃える、絆の熱さを持ってすれば。あんな氷を溶かすことなんて、造作もないことです!」
「リチャード君!」
「先生!」
感激の涙をだくだくとながし、がっしりと、抱き合う二人。
「あああああもう!うっとうしいわねぇ!」
ドッゴォォォォン!
先ほど、発動未遂だった呪文と。
ついでにちょっとばかり、気を開放したせいか。
辺りをなぜか、無が覆ってゆく。
そしてなぜかナーガたちの悲鳴ともいえない叫びがあたりにしばしこだましてたりするけども。
・・・ま、関係ないわよね♡あたしには♡

結局。
自分達の力のなさを実感しつつ。
すごすごと戻ってゆく、カーシャとラゴス。
ラゴスといえば、ナーガに未練たらたらのようだけど。
今度会うときまでに、ふさわしくなって出直す!とか、無謀な目的を心に秘めて。
そんなこんなで。
このたびの、この二人の一件は終わってゆく。


タムッ!
扉を勢いよく開けて入ってくる人物の姿。
朝食時。
店内を見渡して、やってきたのは中肉中背の男達。
そして。 
食事をしているあたしとユニット、ナーガの姿を目にして。
「おお!見つけたぞ!リナ=インバース君!」
一人がいって。
あたし達の方にと向かってくる。
「やはり、ラゴスやカーシャのような、平教師では。君の教育係としては役者不足に過ぎなかったようだな!
  ここは、やはり、『雷撃の教頭先生』と呼ばれた。この儂、ワイアット=セリノースこそが。
   君の先生にふさわしいようだな!」
「いやいや。『常闇のクリケット部顧問』と言われた。このドレイク=ライファームこそが・・・。」
『邪魔v』
パシュ。
とりあえず、食事するのに邪魔なので、そのまま精神世界にと肉体のまま叩き込む。
まあ、根性があれば脱出できるでしょv
「・・・・・いつまでやってる気?これ?」
ユニットがあきれて聞いてくるけど。
「まあまあ。もうしばらく、遊ばしてもらいましょv」
「確かに、面白いわよね。おーほっほっほっ!」 
今、吹き飛ばした人物の財布は残してあるので上機嫌のナーガ。 
ま、もう少し、楽しませてもらいましょv
とりあえずしばらくは退屈せずに住みそうよねv
ふふふふふ♪
 

           ~仰げば鬱陶し偏・終わり♪~


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####################################


  あとがき:
     薫:あはは(汗)
       かなりまたまた長くなりましたv
       しかも、殆ど、小説のままv
       闇竜翔さん。遅くなりましたが。リクエスト、ありがとうございますのです!
       ああ・・・・。
       打ち込んでたら、いつのまにやら、31日・・・・。
       というわけで。
       皆様、よい新年をお迎えくださいなv
       それでは・・・・。
       明日(すでに今日)は早く起きないといけないので・・・・。
       この辺りで・・。
       それでは。
     
     (薫、ベットの中に行く前に、ページの編集作業にと取り掛かる・・)

    姫:ちなみに。この番外編。
      リクエスト、随時募集してますv
      薫はいつ打ち込むか皆目不明ですけどねv
   エル:それでは、まったねv
  エル&姫:みな様、よいお年をvv
                
2003年12月30&31日某日



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