エル様漫遊記・番外編 ~嵐の前に偏~
ミラージュ・シティ。
ここの、領主ミラルディン公。
彼はいろいろな書物を集めているので有名。
まあ、属にいう、集めるのが趣味。
という人間の典型的な例で。
その城の中に、ちょっとしたそれようの書斎などを作っていて。
しかもその書斎が、図書室もどきと貸していたりする。
ウランバールシティから、しばらく進んだその位置に次なる領主の城がみえ。
城を望むとある宿屋で食事をしているあたし達。
アメリアの名前で城の中の資料が見れるかもしれない。
そうアメリアがふと、夕食の会話の中で。
ゼルガディスに言ったところ。
「ぜひ頼む。」
「わかりました。これも正義のためになるのなら!」
簡単に、二つ返事で引き受けて。
次の日の朝早くにロードの城にと出かけていったあたし達。
城につき、魔道書の閲覧を願い出たところ。
アメリアの名前を出すまでもなく、あっさりととりあえず許可はでたものの。
「じゃ、用事が済むまで、そのあたり、うろうろとしてるから。」
「わかりました!リナさん!一人で盗賊退治はしないでくださいね!私もよんで下さい!」
なぜかそういって、アメリアとゼルガディスは。
アメリアの印籠をみせて、城の中にと入っていったのが二日前。
どうやら王室で管理している書庫も閲覧する気みたいだけどね♡
「うーん。リナさぁん。いいんですかぁ?あそこの資料って・・・・・」
なぜか愚痴を言ってきているゼロス。
「あら♪別に困ることでもないでしょvv」
「・・・僕達からすると、余計な知識・・・・。人間に備わってほしくないんですけど・・・」
ぶつぶついっているゼロス。
結局。
まあ、あそこの資料を調べるのには一、二週間かかるので。
それまで、次に合流する宿を決めていて。
それまでは、あたし達は別行動。
なぜか、そのままゼロスもあたし達の方にとついて来ているけども。
「あら、いいじゃないのよ。別に知識が増えても。それを活用するのは、その知識を得た存在の行動一つなんだからv」
そう。
知識を得たところで。
その活用方法を間違えて使うとすれば、それは、その存在しだい。
「・・・まあ、エ・・とと。リナさんがいいのならそれでいいですけど・・・」
いいつつ、汗をかいているゼロスだけど。
そんな会話をしつつ。
歩いている、あたしとガウリイとゼロスの三人。
ミラージュ・シティは、あまりぱっとしない町ではあるが。
そこの大通りから外れた、とある一角の路地。
「・・・それはそうと、何のようなんだ?」
ガウリイが後ろからついてくる、人影に向かって、話しかける。
「おや。マリアさん。」
にこにことしつつ、振り向いているゼロス。
ゼロスとガウリイの言葉に反応し。
ぴょこんと物陰からでてくる女の子が一人。
歳は、十二歳。
黒髪をその頭の両横で結んでいるその姿。
「すごいですぅ!私の尾行に気付くなんてぇ。」
笑みを浮かべて、無垢なる好意を向けてくるマリア。
「何のようですか?マリアさん?あなたは、もう用事はないのでは?」
この前の、レナードさんの一件は、もう終わったことでしょうに。
そんなことをゼロスはおもいつつ。
「まさか、あれから数日たちますが。あの時のことを根にもっている・・とか?」
にこにことしつつ、問いかけているゼロスの言葉に。
苦笑とともに、肩をすくめるマリア。
「いいえ。私、もう過去に生きる女は卒業したんです。」
にっこりというマリアに。
「・・どんな人生歩んできたんだ?このお嬢ちゃんは?」
ガウリイがそんなことをつぶやいていたりする。
「確かに、前の男性のことは、残念でしたけど。
でも、私は、新しいターゲット・・じゃなくて。犠牲者・・でもなくて・・餌食・・でもないし・・ええっと・・・。」
悩みはじめるマリアに。
「・・ひょっとして恋ですか?」
「そう!それです!」
ゼロスの言葉に、ぴっとこちらを指して。
まあ、ゼロス、恋だの愛だのといった言葉くらいは簡単に言えるからねぇ。
・・・・なぜか下級の輩は、この程度で死んだりもするけれど・・・。
・・・・情けない・・・。
「新しい恋を見つけたんです!」
言うマリアに。
「・・・おそらく、僕が思うに・・それ、恋じゃないですよ♡」
にこにことしつつ、いうゼロスの言葉に。
「何でそう決め付けるんですか!?私は真剣なんです!」
きっぱりと言い切るマリア。
「・・・ひょっとして・・その見つけた相手というのは・・。お金持ちなんですか?」
まあ、このマリアさんですから・・。
などとおもいつつも、とりあえず、聞いているゼロス。
「よぉく、お分かりになりましたね。」
感心するマリア。
「・・普通、分かるだろ?」
突っ込んでいるガウリイ。
「それで?」
あたしの言葉に。
「それがぁ、手を貸して欲しいんですぅ。私が見つけたこの殿方。いい人なんですけど。
実は今、悪い女にたぶらかされて、そちらにばかり気を取られているんです。
そこで、リナさんがその女を月のない夜にでも・・。」
いいかけるマリア。
「おいおい・・普通、気安く暗殺依頼なんかするか?」
あきれるガウリイ。
「まあ、別に人間の一人や二人、死んだところで、僕には関係ないですけど。」
いっているゼロス。
「あら、私、別に命まで取ってくれっていってるわけではありませんよ?そう命まではね♡」
にっこりと微笑むマリア。
・・・・う゛。
この表情・・エル様もよく似たような表情をしますけど・・・・(汗)
などと思いながら、なぜかひいているゼロス。
「おいおい・・性格壊れてないか?」
あきれたようにいっているガウリイの言葉は完全に無視。
「それはそうとvvマリア、今回は積極的過ぎるじゃないのよv」
分かっているけど、その場ののりで聞くあたし。
「まあ、確かに。ライバルは、とっとと蹴落として。何もなかったことにするのが一番ですからねぇ。はっはっはっ。」
にこにこといっているゼロス。
ゼロスの場合の蹴落とすとは、滅ぼすか、殺す、なんだけどね。
「だって!その女っていうのが、好きになったら。絶対に不幸になるようなタイプなんですよ!」
ぷうっと頬を膨らませ。
「胸はおっきいし、背は高いし。変な格好ですし!大体とげつきのショルターガードに・・。」
ごほほっ!
あ、ゼロスがむせこんでるしvv
そーいえば、ちょっとした写本の一件で。
ゼロスとナーガvv関ったことがあるからねぇvv
「・・クス。面白そうじゃないvv」
あたしの言葉に。
「やってくれるんですかぁ!」
目を輝かせてくるマリア。
「ま、時間つぶしの暇つぶしにはなるわよねv」
あたしの言葉に。
「ま、どうせ暇だしな。」
それですましているガウリイに。
「わ・・わかりました・・・・」
なぜか当時のことを思い出して、汗をかいているゼロス。
まあ、以前、精神世界からの攻撃をしたところ…ナーガに通用しなかったという、些細なことがあったからねぇ。
威嚇のつもりでゼロス、放ったんだけどvvあれはvv
「おーほっほっほっほっほっ!」
店の扉をくぐるなり。
「あ゛あ゛・・・やっぱりぃぃ・・!?」
頭を抱えているゼロス。
まあ、さんざん、ナーガに掴まって。
金貨一億枚使わされた経験もっているからねぇ。
ゼロスは♡
「はぁぃ♪ナーガvv」
あたしの言葉に。
店の中で、高笑いをあげていた女性。
自称、白蛇のナーガは、こちらをふりむく。
「あら、リナじゃない。あら?そこの男性。リナの彼氏?」
ガウリイとゼロスをみて言ってくるナーガ。
「まっさかvv」
「おーほっほっほっ!ここでであったのも何かの縁!ということで、リナ、ここの食事代・・・。」
言いかけるナーガ。
セイルーンに戻ってたのに。
また、散歩にでて、迷子になって、今ここにいるのよね、ナーガは♡
「あら、リナvv」
そんなナーガの横にいるのは黒い髪をポニーテールにしている女の子。
って・・・
「あら♪ユニットvv」
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!?」
なぜか混乱しているゼロスはとりあえず無視。
「って何でユニットとナーガが一緒にいるのよ?」
あたしの質問に。
「町を歩いていたら、ナーガとばったり出会ってね。面白いから、ちょっと付き合ってたのv」
にっこりといってくるユニットの言葉。
「なるほどね。ところで、ナーガ♡何か面白いことになってるそうじゃない?」
くすり、と笑いつつも問いかけるあたしの言葉に。
「何のこと?」
首をかしげ、分かってないナーガ。
ガウリイは、何やら、ユニットとあたしを見比べて。
「・・同じ感覚がする・・。」
などとつぶやいているけど。
「おや、それはひょっとすると、私の噂のことですかな?」
そんな会話をしていると。
ナーガとユニットが座っている別の椅子に座っていた男が話しに割り込んでくる。
歳は、二十五歳。
ゆるくウェーブのかかった金髪。
そして、片手に、紅い薔薇をもって、気取っていたりする。
本人、決めているつもりなのだが、まったくといっていいほどに浮いている。
「始めまして。お嬢さん方。カイナム=イリオルと申します。以後お見知りおきを。」
あたしとガウリイ、そしてゼロス。
そして、後ろに猫かぶりの状態で隠れるようにしているマリアに一礼を送るカイラム。
あら♪
こいつ、ガウリイを女性だと思ってるしvv
「女性たちに噂がのぽるとは。私の美しさも罪なものです。
嫉妬していただけるとは。こんなにもうれしいことはありませんね。
私はただ、ナーガさんの魅力を理解し、賛美しているだけですよ。
それと、このユニットさんの魅力も。
それは、決して、通俗的、かつ、下劣なものではありえませんので。どうぞご安心を。」
いって、ガウリイの手をとって、キスをしていたりする。
・・・うぞぞぞ。
そのまま、鳥肌がたち、硬直しているガウリイ。
あ、楽しいv
「ちょっとまて!俺は男だ!」
「わかってますよ。男の振りをしていても。こんな世の中です。男の振りをなされて、旅をしているのでしょう?」
「だ・・だぁぁ!」
あ、面白いほどにガウリイ、うろたえてるしv
「これは♪かなりおいしいですねぇvご馳走様ですvv」
そんなガウリイの感情をちゃっかりとゼロスが食べていたりするけども。
「ふっ。しかし、美しさは悪徳なのか、美徳なのか。
こんなにお美しい女性たちが私のことで嫉妬して、争いを始めようとなされているとは。
運命というには、あまりにも残酷すぎる現実!」
一人で、悦に入っているカイナムの言葉に。
「争ってませんって。実は、このマリアさんが、この人にかかって、人の道を踏み外そうとしていると心配なされてましたので。
それで、僕達が乗り出した。というだけのことですから。」
にこにこというゼロスの言葉に。
「―そうでしたか。愛らしいお嬢さん。あなたも、嫉妬はなさらないでくださいね♡」
いって、ゼロスの手にかるくキス。
・・・・ぴし。
あ、ゼロス、凍ってるしvv
「ねvv楽しいでしょv」
にこにこといっているユニット。
「そーねvv」
そんな様子をのんびりと面白おかしくみているあたしとユニット。
ちなみに、このユニット。
あたしの親友であり。
・・・本当は、ここの存在ではないんだけど・・・ね。
というか、別のところのあたしと同じ存在なんだけど・・・。
今回。
あたしがこうして、人間やってるのを知っていて、遊びに来ていたりするのよね。よく♪
ゼロスの手をとり、キスをしておいて。
そのまま、マリアに向き直りその場にしゃがみこみ、薔薇を差し出す。
「そんなに私のことを気にかけてくださっているというのは。光栄ですな。ならば、私もその想いに答え・・。」
「答えるなぁ!」
ガッス!
おもわず、剣のツカで殴っているガウリイと、杖で殴っているゼロスの姿。
うーんv面白いvv
「あのですねぇ。子供相手に何をいってるんですか?自体がややこしくなるでしょう?」
にっこりいうゼロスの目は笑ってない。
「ふ。何をおっしゃいますやら。博愛主義に生きる私にとって。女性の年齢などは関係ありません!
下は三つくらいから、上は限度なく、立派に許容範囲です!」
「まぁ・・素敵♡」
堂々と宣言するカイナムから薔薇をうけとり、潤んだ瞳を向けているマリア。
「・・・おいおい、いいのか?」
「・・それって、女に見境がないってことなんでは・・・・」
あきれているガウリイとゼロス。
せめて、ある程度、女になってからでないと面白くないがな?
と、ふと思っていたりするガウリイがいたりするけども。
瞳をうるうるさせてカイナムをみているマリア。
「飽きないわよネェ。本当にvv」
「確かにねv」
面白いのでそのままみているあたし達。
そんなやり取りをしているガウリイ達の会話をぬって。
「ああ!けど、私には、こんな素敵な六人の女性の中から、たった一人を選ぶなんて、そんな残酷なことはできない!」
一人苦悩のポーズをとってるいカイナム。
「誰もあなたに・・・って・・六人!?ひょっとするとガウリイさんはともかく!
この僕やリナ様やユニット様までもがはいっているんじゃないでしょぅねぇぇぇ!!」
悲鳴に近い声を上げているゼロスだし。
「こらまて!ゼロス!何だ!そのともかくっていうのは!」
それに抗議しているガウリイ。
「あら♪ガウリイがそれだけ美人ってことよvv」
「そうそうvv」
あたしの言葉にうなづくユニット。
ぶす。
なぜか不機嫌になっているガウリイ。
「私が選べないのなら、ここはやはり、六人に決めてもらうしかないのか!?
カイナム=イリオル争奪戦勃発!ということですね!?
分かりました、ならば私が、公正を期して、場のセッティングを!行いましょう!」
「人の話を聞いてくださぃぃ!」
泣き声をあげているゼロス。
「あら、あなた、さっき、自分のために争うのは止めろ。とかいってなかった?」
その言葉に突っ込みをいれているナーガ。
『優勝賞金、金貨二百枚』
『やるっ!』
カイナムの言葉に
マリアとナーガの声が一致する。
「面白そうだからvv当然参加ねvvゼロスvv」
「ま、暇つぶしにはなるからvv私も参加vv」
あたしとユニットのそんな言葉に。
しくしくしく・・・
「・・・わかりました・・・・」
しくしくしく・・・・。
なぜかなきつつ、承諾しているゼロス。
「・・・俺もやるのかぁ?」
嫌そうに言っているガウリイ。
「まあまあ、ガウリイさん、リナさんと一緒に旅をしているんです。
・・・・協力してください・・・。でないと・・・僕達も困りますし・・。」
涙ながらにガウリイを説得しているゼロスの姿がそこにはあるし。
そんなこんなで。カイナムが店を立ち去って残されているあたし達。
支度金として、それぞれにたったの金貨十枚をおいていったりしているけども。
「・・それで?どうしてこういうことになったのよ?」
懐に金貨をしっかりとしまい込み、言ってくるナーガ。
「・・・本当ですよ。リナさんやガウリイさん、ゼロスさんまで、カイナム様を好きになってしまうなんて・・。」
『なってません!(なってない!)』
マリアの言葉にすぐさま突っ込んでいるガウリイとゼロス。
「あらvvあたしは面白そうだから参加するだけでvv別にどうでもいいわよv」
「そうそうvvちょっとは楽しめそうだしv」
あたしの意見に同意してくるユニット。
とりあえず。
互いに簡単な自己紹介をしておいてからのち。
「ふっ。私は金貨二百枚目当てで参加するだけよ。賞金のほうはいただくけど。男の方はいらないわよ。
この私のセンスと才能を見抜いたのは、ほめてあげるけれど。私の趣味じゃあないわね。」
高らかに言い放つナーガ。
「大有りですよ。問題が。
だって・・・私以外の人が勝ったら。私のものになるはずの金貨がその分、少なくなるんですから。」
「見事なまでに打算まみれね。」
「いけませんねぇ。人間、セコく生きずに、おおらかに生きないと。」
ナーガの言葉と同時にゼロスがそんなことをいっているけれど。
「でもいいのか?あんな男で?」
まあ、オレも昔はなぁ・・・などと、そんなことをおもいつつ、なぜかガウリイがマリアにいってたり。
「何がです?」
キョトンとして問い返しているマリア。
「まあ、見事に玉の輿ゲットしたとしても。
あんな『赤ん坊から、墓場まで、女ならオッケー!』というような男でいいのか?ということなんだが?」
「どぇぇぇ!?ガウリイさんが真面目なことをいってますぅ!」
本気で驚いているゼロス。
「おいまて・・ゼロス・・・。」
じと目でそんなゼロスを睨んでいるガウリイ。
「そうねぇ。あんなのが旦那だと、いろいろと苦労するでしょぅねぇ。浮気とか、何とかって。」
ふと漏らしているナーガの言葉に。
「いいんですよ。」
にっこりとマリアは微笑み。
「残すもの、残していただければ。」
「怖っ!」
思わずひいているナーガ。
「うーん。いい性格してますねぇvvいっそのこと、マリアさん、あなた、魔族になりませんか♡)」
さらりと勧誘しているゼロス。
「?ともかく、私とカイナム様の中は。どなたにも邪魔はさせませんからね♡」
いって、またまたにっこりと微笑むマリア。
うーん・・結構いい、人材になりそうなんですけどねぇ・・・。
などとつぶやいていたりするゼロスだし。
まあ、魔族なんかに免疫も知り合いもいないマリアだから。
意味、分かってないけどね。
そんな会話をかわしつつ、あたし達はたわいのない話を繰り広げてこれからのことを話し合ってゆく。
「ようこそ!私のかわいいレディたち!」
今度は青い薔薇をその手に、まったく決まっていないポーズと台詞で、あたし達を出迎えてくるカイナム。
「ようこそ・・はいいんだけど・・・。」
「何なんですかねぇ。この場所は。おほほほ。」
とりあえず。
女性と思われているんだから、そのほうが面白い。
ということで。
ゼロスには命じて、女性形態にとさせている。
ガウリイにもちなみに、女装をしてもらっているのだけど。
これがまた、似合ってたり♡
不満たらたらにつぶやくナーガに。
扇子を片手に、仰ぎながら、にこにこにとしているゼロス。
ちなみに。
ゼロスは、今、レースのついた、スカートとブラウスを着用しているが。
あたし達がやってきているのは、ミラージュ・シティから少し離れた場所にあるとある山の中の遺跡の奥。
ランプの光に照らされている扉が五つ。
その様子を怪訝にみているナーガと。
始めはいじけていたのに、扉の奥からする気配に気づき、そちらをじっと見ているガウリイ。
「君たちのために、私が心をこめてセッティングしたステージさ!
この中から、別の扉を選んで、どんどん進んでほしい!
先には扉が一つあって、その向こうが第一のアトラクション!
それをクリアすれば、いよいよ決戦だ!シンプルだろう?レディたち!」
「分かりましたわ♡カイナム様♡」
両手を組んで、瞳をうるうる輝かせ、こくこくとうなづきまくっているマリア。
「…ところで、優勝賞金、金貨二十枚っていうのは、本当なんでしょぅね?」
にらみつつ、問いかけているナーガ。
そんなナーガの質問に、迷わずに即答してくるカイナム。
「もちろんさ。私は決して、嘘はいわないよ。君たちを裏切ったりはしない。
ここにはおいてはいないけれど、賞金は間違いなく、優勝者のみに支払われる。
さあ賞金と私の愛がまっている!怖れることなく進んでおくれ!」
そのカイナムの言葉に。
「・・・・まあ、命令ですからねぇ・・・。絶対にエル様の命令は最大優先ですからねぇ・・ふふふ・・・。」
なぜかいじけてつぶやいているゼロスだけど。
「まあ、どうでもいいけど・・早くこれ・・脱ぎたい・・・」
愚痴をこぼしているガウリイ。
あらvv
結構、似合うのにねぇ♡
「分かりました。」
言って、始めに踏み出すマリア。
そして、真ん中の扉に向かって進みつつ。
「必ず私が勝ってみせますから。期待いていてくださいね♡カイナム様♡」
そういって、カイナムに流し目を一つ。
「まってるよ。かわいい、レディ。おや、他の五人は?支度金を返還して辞退しますか?」
カイナムの言葉に。
「ふっ。そんなわけないでしょう!」
あっさりと挑発にのり。
続いてナーガが歩みを進めてゆく。
「金貨、二百枚は、この白蛇のナーガ様が頂くわ!ほーほっほっほっ!」
いいつつ、一番右の扉に。
「ねえねえ。扉、五個しかないけど?私、どうしたらいいの?」
無垢な瞳で、カイナムを見上げているユニット。
「そうですねぇ。特例として、誰かと一緒でもかまいませんよ?」
この子は、まだこんなに十代にもなっているかなってないかのような小さな女の子だし。
私の守備範囲には、完璧に!オッケーですけどね。かなりかわいい子ですしv
などと一人で勝手にそんなことを思いこんでいるカイナム。
「じゃ♪リナvv一緒にいきましょvv」
「そねvv」
「それでもいいのよね♡」
あたしの問いに。
「ええ。かまいませんよ。」
カイナムの分かりきった返答が戻ってくる。
ふふ、少し遊ぶとしますかね♡
あたしとユニットだけの廊下。
「うーん。たまには、こんなののもいいわねvvエルvv」
「・・とゆーか、あんたはいつまでここにいる気なのよ?」
苦笑しつつ、あたしは問いかける。
「あらvv時々やってきているだけよvvちゃんと、自分のところも視ているしvv」
「・・・もっぱらやってるのは私です・・姫様・・。」
ユニットの肩から、羽の生えている女の子がひょっこりと出現してくる。
「まあまあ、細かいことは気にしないのvvファー♪」
ユニットに仕えているといっても過言でない精霊。
ユニットが初めて作り出した物質。
いつもユニットが身に着けている鉱物。
彼女の世界では、『宇宙の石』とか呼ばれているけど。
その石の精霊。フェアリー。
この石は絶えず、ユニットから力が補給されているので、壊れることなど永遠に皆無。
「まあいいけどね。どうせあたし達って暇をもてあましているんだし。」
「そうそうvv」
そんな会話をしつつ、廊下を進んでゆくあたし達。
やがて、視界に扉が見えてくる。
「少々問題ないようにvv結界張っとくからねv」
「あらvv私もやるからエルはたまには休んでよねv」
などと言い合いをしながら扉を開け放つあたし達。
開いたその刹那。
『うぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!』
魔法の光と歓声が、あたし達を出迎える。
ちょっとした円形の広場。
それほど高さのない鉄柵が、周囲を囲み。
そこから円上になっている、舞台の上の石の階段には、マスクをつけている観客たちが、ひしめき、声をあげている。
あたし達が扉をくぐりきると、扉の閉まる音。
「皆様!お待たせいたしました!」
声を変えて、カイナムが朗々と、演説を始めていたりする光景がそこにあったり。
姿はあたし達の視界に入らないようにしていたりするが。
「このルートを選んだのは!魔道士姿の美少女と!
かわいいポニーテールの紅いリボンの似合っている女の子!さあ、こんな女の子達の実力はいかがなものか!」
なぜか、胸は足りないといいかけて。
さすがに女好きと公言しているだけあって。
一目みたときに、あたしのこの外見上のスタイルは、
コルセットでごまかしていると野生の勘で感じ取っているカイナムは、その言葉はいわないでいたりする。
「それでははじめましょぅ!彼女達の前に立ち塞がるのは!これです!」
声と同時に、鉄柵の一部が、ガラガラと音を立てて開く。
その向こうには、対戦相手。
足音とともに、その先の暗闇の部屋からでてくるそれ。
『おおおおお!』
観客たちの声が渦巻くその中で。
あたし達の目の前に佇んでいるのは、一匹のオーガ。
なぜか、この程度で、気が荒く、巨体に似合わないスピードと。
巨体に似合わない力を持ち合わせて、困ったことに肉食性、と存在達の間では言われている生き物であるけど。
この程度、どうってこともないでしょぅにねぇ・・・。
なぜか、この程度で、あちこちの町や村で、家畜や、人間などの被害がよく出ているようだけど。
流れの戦士などが雇われて、退治に向かったりとすることもなぜかあったりする。
こんなに弱い雑魚なのに♡
なぜか、駆け出しの魔道士や戦士などにはなぜか手ごわい相手らしいけど。
「凶悪無比なオーガを相手に、果たして彼女達はどうなるのか!?では・・・。」
「えいっ。」
ピシボボッ!
進行役の言葉も終わらないうちに。
ユニットが足元に転がっていた小石をつかみオーガに投げつける。
そのたったの小石による衝撃だけで、いともあっさりと。
肉片レベルよりもさらに細かく、オーガをこっぱみじんに塵程度くらいまでにと霧散させてゆく。
・・・・・・シィィン・・・・・。
しばしの沈黙。
そして、客たちの不満の声が上がり始める。
「え・・ええと。一撃!まさに一撃です!すごいすごい!」
どうにか盛り上げようとしているカイナム。
「どうぜたったらvvこーいうのを相手にするのがいいのよvv」
「そうそうvv」
パチンvv
あたしとユニットが指を鳴らすと。
オオオオォォン・・・・。
どこからともなく、無数のデーモンなどが出現する。
ちなみに、これ、異世界のデーモンなので、この世界の呪文は通用しないv
というか、彼らの本体ともいえる精神は他の世界においているからねvv
これらはvv
それらが観客席の中と、あたし達のまわり、すなわち、今のこの場全体にと出現してゆく。
『うきぁぁぁぁぁぁゃ!??』
なぜか、観客たちの悲鳴が巻き起こってゆく。
「あらあら♪楽しんでいるようねvv」
「ねvv」
なぜか、すべてにおいて、あたし達のほうには攻撃してこないデーモン達。
何か直感で、やばいと感じているらしいけど。
ま、しばらくこのまま、みて楽しみますかvv
なぜか、悲鳴が巻き起こる観客席をみつつ。
しばし、あたし達は紅茶タイム♡
「え・・ええ、とんだハプニングが起こりました!
オーガ対、美少女たち!その前座の余興の最中に、何と襲撃者が!
ですが、気を取り直して!次に始まりますのは、れだけに見合った力をもつ相手!さあ、果たしてどうなりますか!」
時間限定の召喚、というか呼び出しだったので、時間がくると、綺麗に掻き消えているデーモン達。
なんか、客席から、うめき声なんかも聞こえていたりするけれど。
関係ないしね♡
なぜか、声を多少震わせつつ、カイラムがいうと同時に、今度は別の柵が開いてゆく。
一方。
「おほほほほ♡」
オーガが向かっていこうとしたその刹那。
ゼロスが扇子で口を覆うと同時に。
―バシュ。
音もなく、オーガの首が吹っ飛んでゆく。
「おや、エル様達、やっておられますねぇ。なら、ぼ・・とと、私も、ほほ♡」
いって、ぴっ。
扇子を開くゼロス。
その刹那。
その会場に、無数に出現する、レッサーデーモンやブラスデーモン。
ついでにいうと、媒体は、人間達。
『うどわ!?』
ゼロスが相手をしていた会場はなぜか悲鳴に満ち溢れてゆく。
キィン。
たったの一閃で、決着をつけているガウリイ。
「・・・何で俺がこんなことをしないといけないんだ・・。」
ぶつぶついいつつ、それでも、ちゃんとイベントに参加しているあたりがよろしい♡
開いた道を進んでゆくと。
次に出た場所も円形状の格闘場。
周りには、ここで待機していた観客たち。
なぜか、他の場所では、負傷者なんかがでていたりもするのだが。
・・・あの程度のことで・・・・。
その場の別の入り口から出てきたのは。
体中に返り血を浴びているマリアと、体中に噛み跡をつけているナーガ。
それでも血の一滴もでていないのは、さすがよねvv
ほほほと笑っているゼロスに。
「・・・・なあ、リナ、いい加減に遊びはやめないか?」
あたしの意図を分かっているガウリイ。
ゼロスはまあまあ、食事ができてほくほくしているようだけど。
「・・さすがに。」
口元の返り血をなめとり、マリアがいう。
けっこう様になってるじゃないv
「あんなもの相手には、誰も脱落したりしませんよね。」
歌うようにいったその瞳には、恍惚の色を見せている。
そんなマリアをみて。
・・・・うーん♪
やっぱり、魔族に向いてますvvこのマリアさんvv
などと感心しているゼロス。
「マリアさん、どうでもいいけど。その格好、どうにかならない?生臭いんだけど♡」
にっこりというユニットのその言葉に。
「・・・それもそうね。」
いいつつ、小さく呪文を唱えるマリア。
「浄水結(アクアクリエイト)」
言葉と同時に、虚空から抽出した水を自分の頭の上にと出現させる。
ぱちゃあ!
水はマリアの全身をぬらし、その返り血を洗い流してゆく。
そのとたん。
「おーほっほっほっ!とりあえず、全員、ここまでは無事にたどりついたようね!」
観客たちの声を圧倒しつつ、ナーガの高笑いが響きゆく。
「・・・・このナーガさん、今たったまま失神してませんでした?」
ゼロスがそんなナーガをみつつ、つぶやいていたりするけど。
「血をみて、気絶したんじゃないのか?」
ずばりと図星をいっているガウリイ。
「しかぁぁし!いくら、あなたたちがあがいたところで!
賞金の金貨二百枚は、この白蛇のナーガ様のものになる運命なのよ!」
『おおっと!選手たち!早くも火花を散らしております!』
「おや、この声は―。」
「カイナム様!」
その声に反応しているゼロスとマリア。
会場に響いた声は、そのままの、カイナムの声。
別のところで、実況中継をしていたにもかからず。
どうやら、人手が集まらなかったようねvv
風の呪文で増幅された声は続いてゆく。
『美しく、可憐なお嬢さん(レディ)達!しかし、その実力は、皆様、さほどごらんになったとおり!
まあ、多少のハプニングも起こったりもしてますが。あの凶悪なオーガをさして苦もなく倒してのけました!」
カイナムの言葉に。
「人かまれてたぞぉ」
その観客の一人の言葉にどっと会場に笑いが巻き起こる。
・・・というか、あのハプニングもなかなか、趣向が効いていて。
などと勘違いしている輩もいたりする。
所詮、自分に降りかかることでなければ、それは人事。
彼らにとって、単なる見世物にしか他ならない。
『まあ、それはご愛嬌。楽しんでいただけましたら幸いです。
さて、お集まりの紳士淑女の皆様方に置かれましては。このレディたちのどなたを応援しなさるのでしょうか!?』
カイナムの言葉に従って、あたし達に集まる視線。
「おいおい、いい加減に茶番は終わりにしないかぁ。リナぁ・・・。」
溜息ついているガウリイ。
「そーね。そろそろいいかしらv」
あたしの言葉に。
「あ、じゃあ、私がいうわねv」
にっこりといって、ついと前にでるユニット。
「そろそろ終わりにしようと思うしvvねvvカイナムさんvv
スカウト兼、決勝の進行役をしているけどvv人がどうやら集まらなかったみたいねvvふふふ♪」
澄んだ声が会場に声が大きいわけでもないのに響きわたる。
「みたいですねぇ。町で女性に声をかけて。あの手、このてで、この地下闘技場に連れて来る。
でもって、お金と暇をもてあましている人間達を相手に。
女性とオーガを闘わせて、見世物にする。うーん、悪趣味な趣味ですねぇv」
にこにこといっているゼロス。
「それに、ここ、死んだ女性達の霊がうようよしてるしな。」
などと周りをみつついっているガウリイ。
まあ、実体化もできないような、弱いものなんだけどねぇ。
「まvvそんなこんなで、見世物にしたり、賭けの対象にしたり。
たまにオーガに勝った場合は。ここのメインの会場で戦わせて。
地下組織、ローズクライントの資金源にしている。そうよねv」
さらりといったあたしの言葉に。
「地下組織!?」
「じゃあ、私達・・地下ファイト(アンダークラウンドファイト)の、駒にされているんですか!?」
あたし達の言葉に、口々にいうナーガとマリア。
二人とも、まったくそのことに気づいてなかったしね♡
「・・気付いてなかったんですか?お二人とも?(はあと)」
そんな二人のとまどいの感情もちゃっかりと食べているゼロス。
まあ、確かに。
面白い感情ではあるけどね♡
「玉の腰に気をとられて。気付いてなかったようですね。マリアさん♡」
にこにこといっているユニット。
『これはまた・・人聞きの悪いことを・・・。
無理解な俗物たちの作った制度では、お客様達の好尚なご趣味を満足させる施設が存在しえません!
しかし、我々はそれに理解を示し、ニーズにお答えするべく、 この設備を作った。単にそれだけのことですよ。
それに、だまして連れてきているようなことを、おっしゃっていますが、そんなことはありません。
あなた方にしてみたところで、無理やりつれてきたわけでなく、賞金につられてこの場にやってきていらっしゃる。
【戦う。】というのは、あらかじめ申し上げたはずですが?」
カイナムの言葉に。
「こいつ、お前ににてるなぁ。ゼロス。」
のほほんといっているガウリイ。
「こんな低俗な人と同じにしないでください!って・・何処が似ているんですか?」
気になったのか聞き返しているゼロス。
「ん?いや、嘘でもないけど、事実もいわない。というところが。」
「・・・・。」
まさか・・いや・・まさかね・・・。
いくらなんでも、僕の正体・・気付いているわけが・・。
あ、今、ゼロスから負の感情が♡
ガウリイの言葉に、面白いことに汗を流しているゼロス。
・・気付いてるってば♡
始めに出会ったあの時点で♪ガウリイは♡
「まあ、私やリナは賞金目当てというより。暇つぶしで参加したようなものだけどね♡
そっちも、何と戦うのか、どのくらい危険なのかは、全然言わなかったけどね。」
まあ、私達には危険なんて言葉・・存在しないけどねvv
苦笑しつつ、付け足しているユニット。
『そちらも、何と戦うのか、どのくらい危険なのか、少しもお聞きになろうとしませんでしたけどね。
・・それでどうなさるのですか?金貨二百枚は諦めて、棄権なさいますか?』
さらりと何でもないように言い放つカイナム。
その言葉に、目を伏せてしばし考え込むマリア。
「・・・カイナム様が、アンダーグラウンドファイトの、スカウトマンだとしたら・・玉の腰はありえませんよね・・。」
まあ、スカウトマン兼、この組織の首領でもあるけどねvv
「ちょっと!カイナム!優勝賞金金貨二百枚!こっちの方は間違いないんでしようね!」
ナーガがカイナムに問いかける。
『無論です!勝ち残った人には、間違いなくお渡しします!』
ナーガの呼びかけに即座に答えるカイナムの声。
「・・というか、すでに刺客が配置されてるよなぁ・・・」
周りをみつつ、ぽつりといっているガウリイ。
「どうやら、勝っても、そのまま、その場で殺して。
楽しむ趣向のようですねvv普通なら、これであっさりと済むんでしょうけどねぇ・・」
「だな、何しろ、あいつも馬鹿だよなぁ。相手がリナだって・・・分かってないな。あれは。」
「ですよねぇ。」
こらそこ!
何意気投合して、しみじみ語り合っているのよ!
なぜか、しみじみと語り合っているガウリイとゼロス。
『うわっ!?』
どぐしゃ!
何もないのに、なぜかその場に倒れてゆくガウリイとゼロスの両者。
あらあら。
何が起こったのかねぇ♡
「あらあら、リナ、ちょっとは手加減しないと。ゼロスさんはともかく、ガウリイ、死んじゃうわよv」
にこにこといってくるユニット。
「あらvv大丈夫よvvなぜか、ゴルンノヴァがダメージ吸収しているからvv」
なぜか。
ガウリイが受けたダメージは、代行して、率先してゴルンノヴァのやつが受けてるし♡
・・・何かしてないと、怖いからなぁ・・・・。
などとつぶやいているあいつは、とりあえず無視することにする。
といっても、あとでじっくりと・・・その辺りは問い詰めるけども♡
まったく。
どうしてこんな優しいあたしに対してそこまで怖がる必要があるのよ!
「だvvそうよvv」
にこにこと笑いながらナーガたちにいうユニットの言葉に。
「―ふっ。なるほど。」
続いてナーガが、ゆっくりと間合いをとりながら移動し始める。
「・・・・なるほど、やるしかない。ということですね。」
瞳に鋭い光を宿し、ゆるりと動き始めるマリア。
「それじゃ、手加減して、黒こげの辺りでv」
あたしが足を止めるのと同時にマリアとナーガも足をとめる。
「うう・・死ぬかと思いました・・。」
「ひどいぞ!?いきなりあれは!リナ!」
抗議してくるガウリイ。
「あらvv何のことかしらv」
・・・今の、リナの攻撃だっただろうが・・・
そんなことをぶつぶついっているガウリイだけど。
あたし、精神世界からどついただけなんだけどvv
本当に面白いわv
このガウリイもvv
あたしと一緒にいることで、さらにその感覚に磨きがかかってきているしねv
『どうやら、全員、やる気満々のようです!さあ、勝ち残るのは一体だれが!?』
あたし達の意図をまったく理解してないカイナム。
『それでは、いよいよ、決勝戦!ファイト!』
『火炎球(ファイアーボール)』
「でやっ!」
「おほほほほ。」
ナーガとマリアの呪文が重なり。
ガウリイが剣を一閃させる。
ゼロスは扇をパタと仰ぐ。
その衝撃波で、なぜかあたりに轟音とともに風が巻き起こる。
あたしとユニットが指を鳴らすのと同時に。
生み出された、四つの光球は虚空を貫いてゆく
衝撃波も同じく。
ドグガグワァァァァン!!!!
熱と炎を炸裂させて、さらに風の刃が切り刻んでゆく。
ちょっとした竜巻レベル10以上の威力の風なんだけど♡
吹っ飛んでゆく、コロシアムの壁と、なぜかその程度で、何人かの観客までもが飛んでいったりするけども。
そして、なぜか観客たちの悲鳴が巻き起こる。
『―な・・何を!?』
うろたえまくっているカイナムの声。
かまわずに次の呪文を唱えているマリアとナーガ。
『・・え・・ええい!こうなったら!かまわない!やれぃ!』
ようやく、あたし達の目論見に気付いてあわてて指示を出すカイラム。
彼の指示に従い、待機していたメンバーが、あたし達に矢を雨のごとくにと降らせてゆく。
・・・・つもりだったようだけどv
そんなことは起こらない。
驚愕の表情を浮かべているカイナム。
『どうした!?やれ!?』
答えたのは、ナーガとマリアの攻撃呪文。
炎が猛り、風邪が逆巻き、冷気が逃げ惑う客たちを包み込む。
「暴れてもいいですか?」
あたしに聞いてくるゼロス。
「いいわよv」
「そうそうvvここ、何があってもいいように、結界張ってるしv」
あたしとユニットの言葉に。
なぜか、汗を浮かべつつ。
・・・芸が細かいというか、何というか。
まあ、精神本体から、本気で汗流しているようだけど、ゼロスは。
「それでは、ちょっと、遊ばせてもらいますvv」
にこにこいって、笑いながら、扇子をあおっているゼロス。
辺りかまわずに、虚空から、傷をうけ、倒れこむ人々。
ごばぁ!
鉄柵がへし折れて、熱い石壁が砕かれたその向こう。
隠し部屋に潜んでいたカイナムと十人ほどの男達。
「・・・・なぜ?」
「あら、当たり前の展開じゃないのよ♡」
「そうそうvv別にいくら暇だからって。あんた達の思い通りに動くなんていやってだけ♡
それに、ここをつぶしたほうが、面白いし♡」
あたしの言葉に続けてユニットがいう。
この容姿で、十代前後の子供の姿で。
にこにことユニットがいうと、結構、様になってるのよねぇ。
どうでもいいことだけど。
「まあ、ここでの見世物は殺人ショーですからねぇ♡」
にこにこにこ。
―ザシュ。
ギャァァァ・・・・。
ゼロスの言葉とともに、別のところから何か悲鳴が巻き起こっているけども。
何もないのに、いきなり腕をもがれて、のた打ち回っている人々の姿があったり。
ここで行われているのは、ファイトというよりは殺人ショー。
まあ、今まで、百数十人があたしのところ来ていたりするんだけど。
まあ、大概は、あたしのとこに来るよりも。
ここに留まって、どうにか【カイナムに復讐しよう】という存在が大半で。
このままここに滞留しているんだけどね。
それらの魂達は。
まあ、あたし達にとっては、雑魚にもならないオーガだけど。
なぜか、あの程度のことで、並の魔道士や女戦士では、嬲り殺しにされていたりする。
そして、優勝者にも、疲れているところに最後の見世物として、潜んだ相手に矢を射かけさせる。
そんな手段を用いている、という現実がこのイベントの内容。
とりあえず、戦いを承知するふりをして、最初の一撃で潜んでいる射手や刺客達を倒したに過ぎないのだけど。
別に気配と場所を捉えるなんて、簡単なこと。
普通、誰にでもできることなんだけどね♡
呪文の相互干渉が起きないように、黒こげ。
という言葉で、炎の呪文を使うようにとそれとなく指示をだし。
そんなこんなで、次の攻撃を繰り出してゆくあたし達。
「それに、第一♪」
にっこりと。
「全員と戦って、金貨二百枚もらうより♡
ローズクライントをつぶして、お宝没収したほうが、楽しいし、儲けも多いしねv」
「それに楽だしねv」
にこにこというあたしとユニットの言葉に。
「・・ふっ。これはまた、ずいぶんと甘く見られたものですね・・!」
隠し部屋からユラリと歩み出てくるカイナム。
その手には、数本のナイフをもっていたりするけども。
そして、ナイフをもちつつも、片手でかるく髪をかきあげて。
「私の組織をつぶすほうが簡単だ・・・・とは。
オーガを偶然にあっさりと倒したりした手際は認めてあげますが。
自信過剰もそこまでいくと、少々鼻につきますね。―もっとも―。」
小さく嘲笑し。
「あなたが伝説の【盗賊殺し(ロバーズ・キラー)リナ=インバース】並の力でももっている。
というのなら話しは別ですけどね。」
『・・・・・・・・・。』
思わず脱力しているゼロスとガウリイ。
そして互いに顔を見合わせ、気の毒そうな表情をしていたりする二人だし・・・
どういう意味かしらぁ?んっ。二人とも♡
「あ・・あのぉ・・・・・・」
声を震わせているゼロス。
「どうしました?」
まったくそんな二人の様子に気づかずに、自分の優位を信じ込み、あざけるようにと聞いてくるカイナム。
「あら♪それ、リナのことよv」
そんな彼に対して、にこにこというユニット。
「・・・・・・・・・・・・・」
その言葉にポーズをつけたまま、固まっているカイナム。
「あら♪食堂で、ナーガやユニットが、あたしのことを『リナ』って呼んでいたでしょvv」
くすくすと笑うあたしの言葉に。
「・・・・・・・・・・」
さらに無言になっているカイナム。
「これは♪かなりの負の感情ですねぇv」
「魔族みたいなことをいわないの。」
そんなゼロスに突っ込みをいれているナーガ。
というか魔族だし。ゼロスはvv
くすくすくす。
「やっぱり、名前だけが同じの別人と思っていたようねvv噂だけ聞いて、リナに持っているイメージと違うからってv」
くすくす笑っているユニット。
まあ、あたし達はそれに気付いていたけどね♡
「・・・・・・・・・・・・・・」
さらに無言になり、ぶるぶると震え始めているカイナムだし。
「いるのよねぇ。なぜか、そういう誤解をしている人って♡」
しばし、そのまま硬直したまま動かなくなっているカイナムだし。
「・・・・マヂ・・ですか?」
やがて、長い・・といっても、彼にとってそのように感じただけで、実際は数分程度の硬直からとけ、
震える声で問いかけてきているカイナム。
「じゃvv今からそれを証明してあげるv」
「そねvvちょっと遊びますかv」
にっこりと微笑んだあたしとユニットの言葉に。
「でぇぇぇ!!!?無茶は止めてくださいぃぃ!お二人ともぉ!!!!?」
なぜか悲鳴を上げるゼロス。
「ちょっとリナ!ユニットちゃん!手加減はしてよ!か弱いんだから!私は!」
そんなことをいっているナーガ。
「・・え・・え・・・えっ?」
わかってないマリア。
『えいvv』
ドドォォォォォン!!
グラグラグラ・・・・。
ズドドドォ・・・・・。
辺りに、朱金色の雨と虹色の雨などが降り注いでゆく。
なぜかそれに触れると。
音をたてて、がらがらと建物が崩れていっていたり、人々の体の一部が掻き消えたりしていたりするけど。
些細なことよね♡
「あらvvこの程度くらいvvよけなさいよねvv」
「そうそうvvそこのガウリイさんってvvほらvvよけきってるしvv」
降り注ぐその雨のことごとくを、剣で霧散させていっているガウリイと。
なぜか、悲鳴をあげつつ、錫杖を振りかざしているゼロスの姿。
ものの数秒もしないうちに建物は消滅し、あっさりと壊滅しているし。
・・・・手ごたえがないわね・・・・・。
しぱし、なぜか、辺りに悲鳴ともいえない叫びが響き渡ってゆく光景が、しばし見受けられてゆく。
なぜか、宿の一室で。
うんうん唸っているゼロスとガウリイを寝かしておいて、あたし達は別の部屋にて、座談会。
「おーほっほっほっ!今回はなかなかに悪くなかったわね!」
ローズクライントから奪ったもとい、没収した、人の中でいうところのお宝を前に高笑いをあげているナーガ。
とりあえず、ナーガとマリアは、思ったよりも、予想以上にそれがあったので上機嫌になっていたりする。
只今、四人で山分けをしているのだけど。
「けど、まさか、あのカイナムが組織のボスだったとはねぇ。てっきりただの下っ端だと思ってたのに。
スカウトから司会までこなすなんて。律儀よね。おーほっほっほっ!
さすがにこの私のセンスを理解しただけのことはあるわ!」
金貨をつかみつつ、ナーガが高笑い。
「本当ですよねぇ。最初からそうと知っていれば。やはり玉の腰を狙う。というのも考えたんですけど。」
ぴく。
マリアの言葉に硬直しているナーガ。
「あら、いわなかったっけ♡」
「普通、見ただけで分かるでしょ♡」
にこにこというあたしとユニットの言葉に。
「・・・・何で見ただけでそんなことがわかるのよ?」
なぜか疑問の表情を投げかけてくるナーガ。
「まあ、見なくても、知ろうと思えば、知れることなんだけど。
…何分、ここ、私のとこじゃないからねぇvま、関係ないけどねv」
「まあねぇ。ユニット、別のところのあたしと同じ存在なんだし。」
さらりといっているユニットとあたしの会話に。
なぜか。
『??』
疑問符を投げかけているマリアとナーガ。
「ま、気にしないvv気にしないvv」
「そうそうvv悪も滅んで一件落着v」
いいつつ。
「そういえば、ユニット?あんたこれからどうするの?」
あたしの問いに。
「え?ああ、ナーガさんが、ゾアナ王国に行くっていってるからvしばらくついていこうかとv」
にっこりといってくるユニット。
そういえば。
あそこ、今、軍備強化してるのよね♡
金貨を分けていたユニットの手が止まる。
四人で分けると、金貨が一枚余っていたり。
しばしの沈黙。
「あら♪どうやら一枚、あまりすわね。」
にこにこと微笑み、楽しみながらわざと言っているユニット。
「そのようね。」
『あははははは。』
ナーガとマリアの和やかに聞こえる引きつった笑いが漏れてゆく。
「けど金貨一枚って、子供のお小遣いみたいな金額ですよね。」
にこやかにいっているマリア。
「ふっ。けど、子供に多く持たせるのは。教育上。
よくないわね。それよりも、大事なのは、年長者を立てる。という気持ちじゃないかしら?」
胸を張ってナーガがいい。
年長者でいくんなら、完全にあたしとユニットが先なんだけど♡
「あら、相手が地下組織だって気付いてなかったのは、誰たちかしらv」
「くすくすくす。」
にこにこというあたしとユニットのその台詞に。
ふたたび沈黙が落ちてゆく。
『あははははは。』
互いに見合いあいながら、笑っているナーガとマリア。
「あらvv最後の最後でまた楽しめそうよねv」
「参加する?リナ♡」
「もちろんv」
宿の一室に。
何が起こっても、大丈夫なように宿全体にと結界を張っておく。
というか、あたしがここで遊んでいるの簡単に知られても面白くないからねぇ。
まあ、別に壊れても、瞬時に再生させればいいだけなんだけどv
さすがに、まだガウリイが、あたしの正体。
完全には気づいてないから、それはそのままのほうが面白いしねv
ナーガとマリアが金貨一枚を巡って死闘を開始してゆく中で。
あたし達も面白そうなのでそれに参加してみたりしてvv
うーんvv
結構、いい、暇つぶしになったわよねvv
結局、金貨がなぜか攻撃の中で、消滅してしまったので。
その結末は何ともいえないんだけど。
というか、あたしの懐にはいったんだけどねvv
「あら、ナーガ、アメリアにあっていかないの?」
マリアはマリアで、また次の犠牲者・・もとい恋の相手を見つけるといって、宿を出て行き。
アメリア達が戻ってくるのを待たずとして、ナーガとユニットも出かける準備をしていたりする。
「ふ。まあね。少し気になることがあるのよ。」
ナーガ、一人で、ゾアナ王国の偵察、する気のようねvv
「それじゃあねvvリナvvまったねvv」
にこにこというユニット。
そんなこんなで、あたし達はとりあえずそれぞれに分かれて行動をしてゆくことに。
一応、見送りに、なぜか姿の薄いゼロスも出てきていたりするけど。
今だにガウリイはこげたまま、寝ているけどね♡
「只今ぁ!リナさん!」
「・・どうしたんだ?ガウリイの旦那は?」
なぜか、黒こげになって、ベットに横たわっているガウリイをみつつゼルガディスが聞いてくる。
「ああ、ちょっと、呪文があたっただけよv」
「・・・・深く追求しないでください・・・」
なぜか涙を流していっているゼロス。
ナーガたちが宿を出発してその日の夕方、アメリアとゼルガディスが城より戻ってくるけども。
「そういえば、リナさん!話しに聞いたんですけど!
このあたりに、ローズクライントという悪の組織があるそうなんです!リナさん!正義を広めにいきましょう!」
その日の夜の夕食時。
アメリアがそんなことをいってくる。
「あら、それなら、あんた達を待っている間に。ちょっかいかけられたから、もう壊滅させたわよv」
にっこりというあたしの言葉に。
「ええええええ!!!!!!そんなぁぁぁぁ!!!!
リナさん、私も誘ってくださいっていったじゃないですかぁぁぁ!そんなの正義じゃないですぅぅぅ!」
アメリアの叫びが、宿屋の食堂にこだまする光景がしばし見受けられていたりする。
「それで?何か情報、つかめましたか?」
「・・何で貴様に話す必要がある?」
にこにこと問いかけるゼロスに不機嫌に答えているゼルガディス。
・・・異世界の存在・・か。
興味を引かれたのはその文献。
とりあえず、あそこで彼らが読める文字の資料は。
白霧や穹窮、そして、闇を撒く者。
その程度のことだったんだけどね。
彼らの世界のちょっとした知識だけvv
「とりあえず、写しは許可が出た奴はやってきた。・・あとは。」
「セイルーンにいって、何かこれが解読できないか。捜してみるつもりです!」
そんな会話をしつつ。
しだいに夜も更けてゆく。
あたし達が次ぎに向かうのは、
とりあえず、目指すはセイルーンシティ。
まあ、のんびりと歩いて暇つぶしをしながらいくとしますかvv
人間ライはこれだから結構楽しいのよねvv
~嵐の前に偏終わり♪~
TOP BACK NEXT
####################################
まえがき:
こんにちわ♪
またまたリクエスト、ありがとうなのです♪
今回も、前回同様♪
リナ&キャナさんのリクエスト♪
まあ、前回、エル様が活躍してなかったのは・・・・。気にしないでくださないvv(かなりまて!)
というわけで、同じく!スペシャル、17巻!嵐の前に!をお届けするのです!
わぁあ!!(ばちばちばち♪)
薫:・・・え?どこからこの拍手の音は・・?(汗)
エル:んっふっふっ♪
薫:うわっ!?エル様ぁぁあ!?
エル:あんた、前回のあれvvあたしが活躍してないけどvv
薫:・・・うきゃぁ!
でも主人公はエル様・・とと、リナ様ですぅぅぅぅ!!!!!!
(姿は違えどもエル様なので怖い・・涙)
エル:・・・んっふっふっ♪
活躍させないと、どうなるかvvわかってるわよねvv
姫:そうそうvv干渉でも、私達、活躍してないしvv
薫:うぐ・・(滝汗)
そ・・それでは、いっきます!!!!
エル:ちなみに。
今回の話。
二度目まのセイルーンに向かうまでの話なので。
まだ、ゼロスの正体、アメリアとゼルガディス。
知らないからねvv
姫:それでは、いってみましょうvv
薫:しくしくしく・・・・・(涙)
というわけで、この漫遊記・・・。
リナ=インバース様は・・・金色の王(ロードオブナイトメア)の、
エル様となっております・・しくしくしく・・・・。
それでは・・・・・・。
あとがき:
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・。
な・・・・なんか、ゼロスが異様に・・・目立ってる?(汗)
エル:なぜか、ストレス解消!とばかりにやってるからねぇ。
ゼロスは。
姫:というか、わざわざエルと行動を共にしなくても、
先にセイルーンに行けばいいのにねvv
薫:・・・何でも、獣王から、
『エル様がセイルーンに向かわれたそうだから。
一緒にいって、お供しろ。』
と命令受けてるよーですよ・・?
まあ、あの一件(セイルーンとゾアナ王国)の後に。
機密命令で、ゼロスに命令・・魔王から下りますけど・・・・。
ともかく、一緒にずっと行動しろ!と・・(汗)
姫:・・私が登場している割に・・・・。
活躍してないのは・・なぜ?(はあと)
薫:・・ぎくぅぅぅ!!(滝汗)
あ・・あははは(滝汗)
私には、エル様とすみれちゃんの、力のシーン!
表現力はできません!(こら!)
何しろ偉大なるお二方の力なんて・・ええ・・(滝汗)
エル:ちゃんとあたし達を活躍させなさい!
姫:そうよ!
薫:ひぇぇ!
そ・・それでは!!
次回!
白い暗殺者です♪霧柄さん、リクどうも♪
それでは!!
ひ・・ひぇぇ!!
エル&姫:まちなさぃ!というか逃げられないわよvv
―どごめすっ。
何かがつぶれる音がして・・・・・。
幕・・・・・・。
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