まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちらへ。
こんにちわ。
さてさて、かなりお久しぶりの打ち込みです。今回は、スレイヤーズスペシャル3巻。
『ヒドラ注意法』をお送りしますvさて、毎度、毎度説明しますが。
この主人公であるリナ=インバースは。リナであってリナでなしv
金色の母である万物の母、エル様ですvルーシー様?(まて)
何はともあれ、いっきますv
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エル様漫遊記・番外編 ~ヒドラ注意報編~
「やめておけ、お前たちの腕ではあいつは倒せん。」
などと面白い言葉が部屋の隅から聞こえてくる。
部屋、といっても、そこは小さな食堂。
そんな店の隅にいる一人の男性。
歳は見た目四十前後。…に見えるが、実際はまだ二十歳後半だったりするこの男性。
あたしたちの方にちらりと視線を向けてすぐ。
そのままその手にしたコップにと視線を落としてつぶやいていたりする。
左の目に黒いアイパッチをしているがゆえに、それでなくても一般人が近寄りがたい雰囲気のそれが、
ものの見事にさらに近寄りがたい雰囲気をかもし出していたりする。
あたしとナーガ、それとなぜかまた遊びに来ているユニット。
この三人でここについたのはほんの少し前。
…ユニットってばよっぽど暇なんでしようねぇ。
まあ、あたしも人のことはいえないけど。
ちなみに、あたしたち三人が歩いていたら、面白いまでに村人の視線などが集まってくるのはいつものこと
あたしもかなりその魅力などを抑えているとはいえ、一応は美少女の姿だし。
最も、スタイルはいつもコルセットで抑えているけど。
そのままにしておいたら、まあ周りがうるさいのよね。
いちいちあいてにするのも面倒だし。
宿帳にサインを済ませ、一階の食堂にて夕食の前に軽く何かおなかに入れるため、席に座ったその直後。
店の女性があたしたちに注文を取りに来るよりも早く、一人の老人があたしたちのテーブルの横にと突っ立って。
そのままいきなり用件を話し出してきていたりするそんな中。
ちなみに、この老人、一応この町の町長ではあるが。
といっても、こんな小さな村としかいいようのない大きさなのに。
町、と一応なっているのは、このあたりがあまり発展していない証拠。
まあ、いいたいことはわかるけど。
ちなみにナーガは完全無視して。
そのままこの宿屋のサービスのひとつではある、食事の前にでるスープをせっせと食べていたりする。
とりあえず、何やら一人で勝手にずっと独り言のように『裏山にいる家畜荒らしのヒドラを倒してくれ。』
などと一人で勝手に話を進めていたりするけど。
そんな中、そんな老人の会話の最中に横から入った今の面白い茶々。
はっきりいって、見ただけで、相手の実力が測れない、というのは、
人としても生き物としてもそれははっきりいってどうにもならない。
というかこの男性、ナーガにすら勝てる実力もってないし。
そもそも、この男性、からかって遊べるコブリンですら勝てない実力だったりするし。
まあ、あたしやユニットに勝てるものなどいるはずもないけど。
そういえば、以前、あたしたちと同じ存在同士。
そのとき、全力で遊びがてらに戦ってみたとき。
誰もが予想だにしなかったことに新たな空間ができたのは、結構面白かったけど♡
「というか、ヒドラなんて見ただけででも消滅できるわよね。」
「何もしなくても、そのままどうにでもできるけどね。」
などといいつつ、とりあえず、注文した品が運ばれてきたのをうけて。
そのまま話を受け流しつつ、食事を開始しているあたしたち。
そんなあたしたちの会話をまったく受け流し、というか本気にしてないこの老人。
茶々を入れてきた男性-その名前をラウルというけど。
ラウルにと視線をむけ。
「…ラウル君…」
あたしたちより先にラウルに視線をむけて、苦い口調で話しかけていたりする。
最も、彼は知らないけど。
というか、そもそもの原因はこのラウルなんだけどね。
「頼むから口を挟まんでくれ。確かに君はこの町じゃあ一番の戦士だったし。
あのヒドラにひどくご執心のようだが。しかしな…その目であれとは戦えまい。」
いいつつ、ため息ひとつ。
そんな老人の言葉に左目のアイパッチを指先で軽く掻きながら。
「いいや、あれを倒すのはほかの誰でもない。この俺だ。この仕事、おの俺に任せてくれんか。頼む。町長。」
いいつつ、老人に視線を向けているラウル。
そんな中。
「あ、このバスタ、結構おいしいわね。」
「このラム肉のワインあえも結構いけるわよ。」
もくもくと食事をしているあたしたち。
二人の視線の間に面白い緊張が張り詰めているけど。
そんなことはあたしたちは関係なく、そのまま無視して食事をしているあたしたち。
そんなあたしたちの真横で、二人の世界に浸っているラウルと老人、その名前をルカ。
「ふっ。どういう事情かは知らないけど、所詮相手はヒドラ一匹…」
いいつつ、漆黒のマントをばさっと翻し。
どうでもいいけど、食事中にマントを翻したら食事に埃が入るんだけどねぇv
マントと同時にその長い髪もかきあげ。
「おーほっほっほっ。そんなヒドラごとき倒すなど、この世紀の大魔道士、
白蛇(サーペント)のナーガにとっては稚技も等しいこと!攻撃呪文の一発で闇へと葬ってみせるわ!
おーほっほっほっ!ほーほっほっほっほっほっ!」
一人席をたち、腰に手を当て高笑い。
シィィィ……ン……
宿屋にむなしくナーガの高笑いのみが響き渡る。
ナーガの高笑いが響く中、いまだにラウルとルカはにらみ合ったまま。
あたしとユニットは黙々と運ばれてきた食事をゆっくりと堪能しつつ食べてるけど。
「…くすん。」
まったくかまってもらえないのをうけて。
その瞳に少しばかり涙を浮かべつつ、そのまま多少いじけて席にと再びついているナーガ。
「ナーガさん、聞いてなかったみたいですわね。あの二人。」
そんなナーガににこにことさらに駄目押ししているユニット。
「いいのよ、いいのよ、どうせ私なんか…」
あ、面白い。
面白いことに多少イジケモードに入っているナーガだし。
結構ナーガがこのモードに入ったら面白い感情を回りに撒き散らすから結構面白いのよね。
そんなあたしたちの会話にはまったくもって耳すらも傾けず。
「―なら、こういうのはどうだ?」
勝手に話を進めているこのルカ町長。
「お前はあのヒドラを倒しにいく。そしてこの人たちもまた。
実力と天の運とがあるものこそがあのヒドラを倒すことになる。これなら文句はあるまい?」
勝手に話を決めてるし。
「承知した。」
そんなルカの言葉にうなづいているラウル。
どうでもいいけど、あたしたち、まだその仕事、引き請ける、とも何もいってないんだけどね。
まあ、面白いからいいけど。
もっとも、このラウルに関してもルカに関しても、見ただけでその存在の実力を見極められないとはまだまだよね。
まったく。
ラウルの了解を得て、そしてようやくあたしたちにと視線をむけ。
「それでよろしいかな?」
あたしたちにと確認の言葉を投げかけてくるこのルカ。
もっとも、簡単にあたしたちの実力がわかるはずもないけど。
「まあ、暇だし。」
いいつつ、ぱくぱくとチョコレートパフェを口にと運んでいるユニットに。
「別にいいけど。」
そんな彼らを横目でみつつ、優雅に紅茶を飲んでいるこのあたし。
「ふっ。ヒドラごとき、この白蛇(サーペント)のナーガの実力をもってすれば!」
いいつつ、胸をそらしつつ、高らかに言いかけるそんなナーガの言葉を。
「それでは、この件は。」
いともあっさりと聞き流して、勝手に話を進めているこのルカ町長。
「お願いだから聞いて頂戴!」
一応きちんと聞かれないと気分的に落ち着かないがゆえに。
そんな町長に抗議の声を上げているナーガだし。
そんなナーガにこのいかがわしい格好をした女性は何をいいたいんじゃ?
などとそんなことを心で思いつつ。
「わかりましたよ。聞いて差し上げますから何でもいってください。」
まったく棒読みでそんなことをナーガにいってるし。
そんな彼の棒読みの投げやりの言葉にまったく気づかず。
「ふっ。それじゃあ。」
気を取り直しつつ、カタンと椅子を立ち上がり無意味に胸をそりあげ、マントをばさりとはためかせ。
「たかがヒドラの一匹ごとき!この私の実力をもってすれば倒すことなど造作もないというものよ!」
いいつつ、そのまま高笑い。
しばし、宿屋の一階にナーガの高笑いが響き渡る。
ナーガが高笑いをしているさなか。
ただひたすらにあたしとユニットは食事の続き。
そして、冷静にそんなナーガを冷徹にみつつ。
「…うれしいですか?」
町長の冷淡な一言にしばしそのまま。
「うううっ。みんな、ひどい……」
面白いことにそのまま涙しているナーガ。
「うーん、秋ねぇ。」
そんなナーガをみつつ。
にこやかに最後のパフェの一口を口にと運んでいるユニット。
「確かにね。」
しばし、いじけるナーガをみつつ。
あたしたちはそんなナーガの様子をみつつ楽しんでゆく。
季節は秋。
とはいえ、まだ秋に差し掛かったばかり。
ゆえに日差しはとても暖かい。
とりあえず暇つぶし、というか、面白いから、依頼をうけたその翌日。
あたしたち四人はそのままのんびりと山をハイキング。
まあ、その横でずっと高笑いを続けているナーガはともかくとして。
ヒドラ。
それは地方によってその進化に様々違いはあるものの。
基本的にはその本質はひとつ。
もっとも、それが凶暴、と思っているのは人間の勝手。
生まれたては小さな小動物であるウサギよりも小さい。
それが年月とともにどんどん大きくなってゆき、それは爬虫類の特徴。
年月ともに大きさを増してゆく。
少しほかの爬虫類などといった生物と異なるのは、
その皮膚などの硬さや、頭の数が増えたり、あとは駆使する力が増えてゆく。
あとは首を一本程度切った程度では当然死ぬこともなく。
急所であるとある一点を攻撃しない限りまず倒すことは不可能。
もっとも、それは力のない人間の結論。
大概は、森や山、人気のない場所に生息している生物。
「でも、これじゃあ、本番の戦いよりも探し出すほうが一苦労ね。」
などといいつつ文句を言っているナーガ。
「そう?森林浴でいいじゃない。」
「そうそう。」
当然のことながら息ひとつ乱さずににこやかにとそんなナーガに話しかけているあたしたち。
「森林浴、って…まさか、二人とも、居場所わかってるんじゃ…」
いや、でもリナだし…わかっててもおかしくないかも。
などとそんなことを思っているナーガ。
「あら、その程度まさかわからないっていうんじゃ?ナーガ?」
にっこり微笑むあたしの言葉に。
「ふっ。おーほっほっほっ!ただいってみただけよ!
この白蛇のナーガがリナにわかってわからないことなんてあるわけないじゃない!」
いいつつ、しばし高笑い。
「ナーガさん、額に冷や汗が流れてるわよv」
そんなナーガをにこやかに見つめているユニット。
うーん、ナーガを少しからかうのも面白いわね。
まさか、本当にリナ、どうやらどこに目的のヒドラがいるかわかってるみたいだし。
いくら私の人徳でもすぐにはそこまではわからないのに。
そんなことを思っているナーガだし。
あら、そんなの当然なのにね♡
ふふ♡
「それか、わざわざその場所までいくのが面倒だったら。
ここでナーガさんがヒドラを召喚して、それを倒して、依頼されたヒドラを倒した。
ということにして、実は二匹いた、ということにしたら、万事解決だけどねv」
にっこり微笑みそんなことをいっているユニット。
「あらあら、ユニット。それだと何の解決にもなってないわよ。
最も、原因であるあのラウルにどうにかさせる、というのが筋でしょうけど。」
そんなユニットににっこりと微笑みつついうあたし。
ユニットのそんな言葉に。
「おお!それよ!その手があったわね!」
それだとわざわざ探し出す必要ないし。
そんなことを思いつつ、早速呪文を唱え始めているナーガ。
ごうぎゅしゅしゃぁぁぁぁ!
それと同時にあたしたちの耳にと届いてくる叫び声。
あらあら、向こうからでてきたわね。」
「そうねー。」
そんな声をききつつ、にこやかに会話をしているあたしたち。
「ちょっと!リナ!ユニットちゃん!そんなのんびりとしたことをいってないで!依頼料が急がないと逃げてゆくわよ!」
いいつつ、その声のしたほうにと走り出してゆくナーガ。
そんなナーガの後ろから、のんびりとついてゆくあたしたち。
「わざわざ走らなくても。」
「そうそうv」
「…え?」
ま、まさっか!?
ナーガが振り向くよりも早く。
「「えいv」」
あたしとユニットの声が重なり。
次の瞬間、あたしたち三人は瞬時のうちにとその声のした場所にと移動してゆく。
「うっきゃぁあ!?」
また、いきなりこれぇぇ!?
などとナーガがそんなことを心で叫んでいるけど関係ないし。
瞬時にあたしたちがたどり着いたその先は。
ちょっとした開けた場所。
緑に隠れ遠めには人の目にはなぜかわかりにくいらしいそんな場所。
微々たる高さの崖がそびえ壁面にぽっかり開いた洞窟が一つ。
あたしたちが出現したのはその洞窟の前にうづくまっている一人の男性の目の前。
「な゛!?」
肩を抑えつつ、こちらに驚愕の表情を向けていたりするけども。
な、今、こいつたち、いきなり目の前に突如として出現しなかったか!?
などとそんな面白いことを思っているし、このラウルは。
「あら、どうかしたの?」
そんなラウルをみてとりあえず、どうにか少しでも気をまぎらわせようとしているナーガ。
「どうしたも何も!?いまあんたらいきなり!?」
いきなり現れなかったか!?
などといいかけ。
だがしかし、しばし首を横にふりつつ。
いや、まさかそんな馬鹿なことがあるはずがない。
などと思っているこのラウル。
まったくどこが馬鹿なことなんだか。
「あら、瞬時の移動なんて誰でもできるわよ。ラウル。」
「そうそう。」
そんなラウルににっこりと微笑みつつ話しかけるそんなあたしたちの言葉に。
「…できないってば。」
なぜか即座に否定の言葉を投げかけてきているナーガ。
「ま、まあ、そんなことはともかくとして。依頼料は!?」
すでに、ナーガの中では、ヒドラ=依頼料。とした肯定式が成り立っているがゆえに。
ヒドラを依頼料、と聞いているし。
「…誰でもできるって…。」
なぜかそんなあたしたちの言葉にしばし絶句したのち。
そして、ため息ひとつ。
「…やつを見つけてな、ここまで追ったが…洞窟の中に逃げ込まれた…」
いいつつやたら大げさにいまだに肩を抑えているし、このラウルは。
「というか、そんなかすり傷くらい、子供でも赤ん坊でもなかないわよ?」
いまだに痛がっているラウルにと話しかける。
「…そんな怪我って…リナ?」
こんなにこの人、痛がってるけど?
などと首を傾げるナーガに。
「この人、ナーガと同じく痛みに弱いのよ。といっても、ナーガよりも弱いみたいだけどね。」
「何しろズボンがちょっぴり破れてわずかに膝や肩をすりむいているだけだもんv」
にこやかにナーガに説明するあたしたち。
「…それって、かなりこらえ性がないっことじゃないのよ…」
説明するあたしたちの言葉に。
あきれた視線を向けているナーガ。
「そうはいっても痛いもんはしかたないだろう!」
というか、どうして見ずに怪我具合がわかるんだ!?
などとなぜかパニックになってるいラウル。
「ま、その程度も自力で直せないというか痛みに耐えられないような人はほっといて。先にいきましょv」
そのままなぜか痛みにうづくまるそんな彼をおいといて。
そのまま洞窟の中にと進んでゆくあたしたち。
「な゛!?まってくれ!ぐっ!」
たかがかすり傷程度で痛みをこらえ、あたしたちにすがってくるラウルの姿。
うーん、もうしばらくみてみますかね。
「敵はヒドラだけだとおもうな。」
しぶしぶながら歩いているこのラウル。
というか、自分で回復呪文程度はできるのに。
もったいない、という理由で使わなかったラウルだけど。
自分の過去の行動のけりは自分で、という思いから、しぶしぶながら呪文をつかい、怪我を治しているラウルだし。
ぶつぶつ文句をいいつつ、抜き身のロングソードを構え先頭をきって進みつつ不機嫌極まりない声でいってくる。
「この山には結構物騒なものがいろいろと住んでいる。といううわさでな。
町のものたちもあまりこの山には入らないようにしている。」
「物騒ねぇ。たかが人狼(ワーウルフ)やオーガ程度で。」
「そうそう、せめて肉食獣とかくらいならまだ物騒、という範囲だけど。」
「…まだこの山にいるモノの説明しておらんが?」
ラウルが説明するよりも前に彼の言葉をさえぎるあたしたち。
そんなあたしたちを目を丸くしてみつめているラウル。
…な、何かもしかして、この女とこの子、普通でない?
ま、偶然だろうな。うん。
いいたいこととかの先取りとかを言い当てるのも、思っていることをいい当てるのも。
などと一人勝手に納得して自分自身を納得させているラウル。
「偶然じゃないわよv」
「・・・・・・・・」
ぐ、偶然にきまってる。うん。
きっぱりいいきるあたしに、それでもまだ偶然、ですませているラウルだし。
「もっとも、この程度で待ち一番の戦士。だった、というのも本当に平和な町よねー。」
「しかも、今進んでいる場所、まったく見当違いの場所だし。」
…びたり。
とりあえず、歩きつつも当たり前な会話をするあたしとユニットのその言葉に。
なぜか足を止めているナーガ。
「って、もっと早くにいってよ!リナ!」
なぜかあわてた口調でそんなことをいってくるナーガに。
「大丈夫よ。あのヒドラ、町に向かってるだけだから。」
さらににっこりと微笑みつつ、ナーガとラウルに事実を告げているユニット。
「何をいっている!あいつはこの奥にいるはずだ!」
などといまだに見当違いのことをいっているラウル。
「それじゃ、あれは?」
にっこり微笑み。
今来た道の方向を指差すあたしの行動とまったく同時。
きゃしゃぁぁぁぁぁ!
二度目の叫びが、あたしたちが進んでいる洞窟の外、つまりはあたしたちが今進んでいる洞窟とはまったく逆方向から。
洞窟内部にとその声が響いてくる。
「ちょっと!?リナ!?それってかなりまずいんじゃないの!?それだと依頼料がもらえなくなるじゃない!」
ちょっと違う場所で驚いているナーガに。
なに!?いつのまに!?」
というか、このラウルがあたしたちが来る前に、うずくまっているそんな中。
とっととあのヒドラはこの洞窟から外にでていたんだけど。
こいつ、あの程度の怪我で一時ほど気絶してたからね~……
ヒドラの方としても、一応、こいつのことを母親、として認識してるから。
こいつには危害加えなかっただけ出し。
ちなみに、ラウルのそばに実は薬草がおいてあったのも実はヒドラが置いたものだったりするんだし。
このラウル、気づいてなかったようだけど。
「くっ!さすがは、わが生涯の宿敵!このおれの目を逃れて外にでていたとは!」
などと言い放つそんなラウルの言葉に。
「とりあえず、とっととここから出るわよv」
すでに、洞窟の最深部近くまで来ているあたしたち。
「ちょっ!?まさか!?リナ!?」
まさか、またあれを!?
などとなぜかしり込みしているナーガと。
「?」
首をかしげているラウル。
「正解v」
「うひゃぁぁあ!?やっぱりぃぃいい!?」
次の瞬間。
あたしの指の音と同時に。
あたしたちの視界は一瞬のうちにと変化してゆく。
「…え、ええと…」
なぜか呆然と空を見上げているラウル。
目の前というか視界の先には、空を見上げて咆哮をあげているヒドラ一匹の姿が視界の端に映りこんでいたりする。
というか、今までおれは洞窟の中に…
などと思いつつも、なぜか呆然としているけど。
「ふっ。おーほっほっほっ。まあ、いつものことだから、いいとして。
とにかく、あのヒドラを倒したら依頼料がもらえるわけね!では早速!」
いつもながら、リナってば一瞬のうちに瞬間的に移動してくれるから気が休まらないのよね。
などとそんなことを思い、額に冷や汗を流しつつも。
とりあえずは当面の依頼を果たすべく思考を切り替えているナーガ。
「…はっ!ちょっとまってくれ!お前たちに頼みがある。
あのヒドラとの決着はこのおれにつけさせてくれないか?頼む!」
「まあ、それはそれで、きちんと理由をいってくれないと。あと、話によるわね。おーほっほっほっ!
きちんと話の筋がとおってないと、ここはこのナーガがあんなヒドラごとき一発で!」
いいつつ、そのまま呪文を唱えようとし。
いつものようにポーズをつけようとして。
ぷすり。
というか、ダイナスト・ブラスをたかがヒドラ程度に使うのはかなり勿体ないんだけど。
いつものようにショルターガードのとげで頬をさし、その場にうずくまるナーガ。
「…う、うむ。だが、ただひとつだけ約束してくれ。このことを町のものには話さん、と。」
などといいつつ、しかも土下座して、あたしたちにといってくるこのラウル。
「ま、いいけど。」
「話すのはしないわよ。」
といっても、はなさなくても、見せるのはするけどね。
そのほうが面白いしvふふv
うなづくあたしとナーガのその言葉に。
しばし考え込みつつ。
「感謝する。」
深く一度お辞儀をし。
それをするくらいなら、その性格、どうにかしたほうがいいんだけどねぇ。
ふふ。
そんなあたしたちの横では。
ユニットが当然のことごとく、とあるモノを起動させていたりする。
それにまったく気づくことなく。
そのまま淡々と話し始めてゆくラウルであるが。
「二年前の夏祭りのことだ。俺は旅の行商人から駆け足鳥の卵を買った。…駆け足鳥はしっているな?」
知っているも何も、それはこの世界では常識のこと。
というか、あたしに知らないことはないんだけど。
子馬ほどの大きさで空は飛べないが、といっても昔は飛べたけど。
退化してるのよね…飛ぶ機能が。
とりあえず。
走る速さはある程度人のいうところでいうところでいえばスピードがあり。
よく人の世界の中でこれに乗って競争とかよく競技としても成り立っていたりする。
一応世間一般では育てるのが難しく、かといって、成鳥わ買えば金貨で一万枚。
なぜかこの程度で高い金額、といわれているけど。
ゆえに、卵のうちに購入し、育てるのが一般化しているこの世界。
なぜかこれが難しいらしくよく卵のうちから殺している人間たち。
まったく、あんなに育てやすい生物もないというのに。
そんなあたしの思いとは関係なく、さらに続けて説明しているラウル。
というか、ユニットが何をしているか、ということにすら、まったく気づいていないのに賞賛を送ってみたり♡
「ところが、だ。これがマッカな偽者で孵ってみればヒドラの子!」
「…あの?」
思わずそんなラウルの言葉につっこみをいれているナーガ。
「こんなもんいらねぇや。と裏山にぼい捨てしたはよかったが。これがまあ見事に成長したようで。
町に降りちゃあ家畜襲うわで、ほとほと困っていた、というわけだ。」
いいつつしみじみとそんなことをいっているラウルだけど。
ちらりと横目でみれば、にっこりと笑ってブイサインしているユニットの姿。
ふふふ。こっちはこっちでオッケーね。
すべて説明を終えて、しばし腕を組むそんなラウルに。
「何が『というわけだ』なのよぉぉお!」
どげっしっ!
そんなラウルの背中にナーガのとび蹴りがヒットする。
「つまり、諸悪の根源はあなたってわけね。」
いいつつ、ラウルを冷徹に見つめるそんなナーガに。
「何を!諸悪の根源とは無礼な!」
まったく自覚ないことをいってるし。
「あら、というか、ペットは最後まで責任もって飼いましょうね。」
「そうそう。それかそれように惑星つくったりとか。」
「・・・・・・・・・・(汗)」
いや、今リナたち…惑星をつくる・・・とかっていわなかった?
き・・気のせいよね。多分。
そんなことを思いつつもなぜか冷や汗をかいているナーガだし
「ま、事情ははじめからわかってたけど。とりあえず死んでも生き返らせてあげるから、死ぬ気で遊んできなさいな。」
「そうそう。」
「「いや、生き返らせるって…」」
しごく当然なまでのあたしたちの会話に。
なぜか冷や汗を流しているラウルとナーガ。
まったく、何を当然のことで驚いているのやら。
そんな会話をしつつも。
何はともあれ、あたしたちはとりあえずヒドラをどうにかするためにと声のしたほうにと進んでゆく。
それがいるのは木々が途切れているそのあたり。
というか、そのにおいから、ラウルが近くにいるのを感じ取り探してしばしこのあたりをうろうろしているのが事実なんだけど。
あたしたちの姿、というか、ラウルの姿をみてとり。
あたしたちの方にと突っ込んできているこのヒドラ。
「風波礫圧破(ディミルアーウィン)!」
微々たる風なのになぜか回りの木々もなぎ倒しつつ。
高圧の空気の塊があたしたちとヒドラの間の地面を横一直線にとえぐってゆく。
それをうけ、一時足をとめ。
そしてあたしとユニットをみてなぜか動きを止めているヒドラだし。
…どうやらその野生の本能で何となく危険、と感じ取ってるらしいけど。
まったく、あたしたちのどこが危険、というのかしら。
「ラウルさん、今だけど?」
いいつつも、そんなラウルにとあるあるものを向けているユニット。
「?さっきから思ってたけど、それってなぁに?」
ユニットがもっているそれを指差して首をかしげて聞いてきているナーガ。
「ビデオvいってみれば、簡易的な記憶球(メモリーオーブ)みたいなものね。」
じー。
いいつつもラウルの様子をじっと録画しているユニット。
撮られているラウルとはいえば、面白いことにがたがたと膝を震わせてそのあたりの木にしがみついてたりするし。
うーん、楽しいv
「やらないんだったら、あたしたちがやるけど?」
くすくすと笑いつつラウルに問いかけるそんなあたしの言葉に。
「いや、俺がやる!これは俺がやらなければいけないんだ!」
いいつつ、後ろに下がりつつ逃げてたらまったく意味ないわよv
「おーほっほっほっ!そういうことなら!いくわよ!霊呪法(ヴ・ライマー)!」
「まっ!」
ラウルが抗議の声を上げる間もなく、そのままナーガの呪文が完成する。
「あら、今度は結構まともね。」
「そうね。一応人間の形はとってるし。」
ナーガの術により完成したゴーレムをみつつ、のんびりと会話をしているあたしとユニット。
そんなあたしたちの目の前で。
いつものこと、といえばそれまでだけど。
そのままその上下のバランスを崩し、ビトラごと斜面を転がり落ちてゆくゴーレムがひとつ。
当然、斜面の先には町があるけどvそれはそれv
「なんつーことをしてくれるんだ!このアマは!」
などとナーガに抗議の声を上げるラウルに。
「笑わせないでよ!そもそもあんたがヒドラごときに恐れをなしてモタモタしてたのが悪いんじゃない!」
面白いことにそんなラウルと言い合っているナーガ。
もっとも、彼が怒っている点はただ一つ。
町がゴーレムとヒドラに破壊されたからではなく、ただひとつ、自分の家が壊されたことによるもの。
「口論してる暇あるんだったら、やっぱりあれ、あたしたちが何とかするけどv」
にっこりと微笑むそんなあたしに。
「…まさか、あの黒い渦とか使う気なんじゃ…リナ…」
なぜかいいつつ顔色の悪いナーガ。
「あら、大丈夫よvちょっと隕石のひとつでも上空から降り注がせれば。簡単にこのあたりごと一瞬で消滅するからv」
「ってそんなことしたら依頼料までもらえなくなるじゃないのよ!」
そんな言い合いをしているあたしたち。
「…いや、町が消滅って…(汗)」
なぜかあたしの言葉に冷や汗を流しているラウル。
「ま、ともかく、ラウルさん、とっとと自分でどうにかしてくださいね。あ、何でしたら、お手つだいしますねv」
にっこり笑ってぽつんとラウルの後ろに彼に気づかれる暇もないまま、そのまま後ろにと立っているユニット。
というか、気配つかめたらすごいものがあるけど。
何しろ、このあたしですらユニットの気配とか完全に隠されたらわからないからねぇ。
それはこのあたしにもいえることだけど。
「え?」
ラウルがその言葉に気づくまもなく。
「それじゃ、いってらっしゃーいv」
「うどわぁぁぁあ!?」
その体に数トンの錘をくっつけられ、そのまま吹き飛ばされているラウル。
「うーん、よく飛んだわね。」
「そうねー。」
飛んでいったラウルを眺めつつ、のんびりと会話をしているあたしたち。
「…ね、ねえ?リナ?あの錘って、何となぁく、普通の錘でないような気が…」
なぜかそんな気がするのよね……気のせいであってほしいけど。
そんなことを懸念しているナーガの言葉に。
「大丈夫よ。圧縮した氷の術をたかが数億倍、入れてるだけだから。」
「そうそう、あれが炸裂したら周りごと氷河期…といってもわからないでしょうね。
まあ、規模が小さいけど、この町ひとつ程度かるく氷に閉ざす程度の呪文が入ってるだけよ。」
にっこりとそんなナーガに説明するあたしたち。
「…って、それだと寒くなるじゃないのよ!」
などと文句をいってくるナーガ。
「大丈夫よ。寒いのはナーガだけだからv」
「大丈夫じゃないわよー!!」
なぜかナーガの叫びが響き渡る。
そんな中。
「うどわぁぁ!?」
叫びとともに、ヒドラにつっこんでいき。
カッ!!!
それと同時に、ヒドラごとラウルを巻き込んで、あたりに氷の大地が広がってゆく。
あたりが銀色の世界にと満たされてゆく。
ガタガタガタ。
なぜか震えている町の人々。
ちなみに、この氷。
時間を置かねば解けない代物。
まあ、そんなに冷たくないから凍死するような生命はいないはずだし。
「あの、それで報酬の件ですけど。」
面白いことに全身を包帯だらけにしつつ町長に問いかけているナーガ。
あまりに寒いから、といって、炎の術をアレンジして、いつものことごとく全身をやけどしているこのナーガ。
ま、だからナーガと一緒にいたら面白いんだけど。
そんなナーガの言葉にじとめでこちらをみつつ。
「あると思うのかね?そんなもの?」
冷淡にと言い放つ。
「ゴーレムなんて町の真ん中に転がしてくれただけではあきたらず。しかもこの寒さ!町全体が氷で覆われてしまって!」
いいつつ、周りを見渡して高らかに言い放つルカ。
「あら、ナーガが壊した町の中ではこの程度は軽いほうだけど。」
「そうそう。」
そんなあたしたちの言葉に。
「ひどい、リナちゃんたち、フォーローしてくれない…」
あたしとユニットの言葉にいじけているナーガ。
「ともあれ、必要な経費は前渡しただけで十分だろう!できれば前金も返してもらいたいぐいだよ!」
などと言い放っていたりするし。
そして、ちらりとラウルをみつつ。
「それに第一、ヒドラにとどめをさしたのは君たちでなくてこのラウルくんだという話じゃないか。
つまり君たちは仕事に失敗したのだよ!」
言い放つそんなルカの言葉に。
「そういうことだ。どうあろうとヒドラを倒したのはこのオレなのだからな。」
などとふんぞり返っていっているラウル。
「ふーん、でも。」
にっこり。
そんなラウルとルカの言葉の合間に。
この部屋の壁にとある映像を映し出す準備を一瞬でしているユニット。
「さあ、お立会い!今回の騒動の全容は!」
などといって、いきなり壁、といわず、この部屋の壁だけでなく町の空全体にその映像を生むを言わさず映し出しているユニット。
…どこで覚えてきたのかしら?ユニットったら、その言葉遣い♡
「な゛!?約束がちがう!?」
それをみて瞬時に顔色をかえつつも叫んでいるラウル。
というか、どうしてあの告白シーンがこうして映像にのこってるんだぁぁぁぁ?!
などと面白いほどに動揺してるし。
うーん、楽しいv
なぜかざわめく町を後にし。
依頼料を含めさらに手数料と迷惑料、それをもらい町を後にするあたしたち。
ラウルは町の人たちにたこ殴りにされていたりするけど、それはそれ。
とりあえず。
あたしたちを試そうとした、というその根性を直すために、この町はしばし数十年ほど氷付けにしておくことに。
「ま、とにかく、おわりよければすべてよしね!おーほっほっほっ!」
見なかったことにしましょう。今回の一件も。
などとおもいそんなことをいいつつ、高笑いしているナーガだけど。
「そうね。さ、次はどこにいく?」
「今回はあまり遊べなかったら次は遊べるところにしましょうよv」
そんな会話をしつつ、あたしたちはこの町を後にしてゆく。
さって、次はどこにいきましょうかねv
―ヒドラ注意報編終了―
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あとがき:
エル:ちょっとぉぉお!このあたしが活躍してないじゃないのよぉぉぉお!
姫:私もね。
エル:そうそう、あたしが主人公の話のわりに活躍してない、というのはどういうわけかしらねぇ?
まったく。
姫:私も登場してるのに活躍してないし・・・・
薫:・・・・・・・・・・・・(くすん)
エル:そうよねぇ。ここはやっぱり。
姫:そう。
薫:い、いやな予感が・・・あ、あの、ちょっと!?その手にもたれてるそれらはぁぁ!?
エル:さあ?v
姫:何でしょうねぇ?v
薫:いやぁぁぁぁ!二人とも目が笑ってますぅぅぅう!
エル&姫:えいv
薫:うぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!
エル:えっと、とりあえずあたしたちを活躍させてないから、というので反省してどこかにいった薫はおいといて。
姫:次回こそはもう少し活躍していることを期待しつつv
エル&姫:それでは、まったねv
(後には真空状態の中生身で放り出されている薫の姿がとある宇宙空間の一角で見受けられてゆくのみ・・・・)
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