まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちら

えーと。とりあえず。これは、2004年、月間ドラゴンマガジン、3&4月号。
あれに連載された、白き獣の夜。あれのネタバレです!
というわけで、多分、スベシャルに掲載されるのは、25巻かそれ以後かと・・・
なので、ネタバレになるからいや!という人は、そのまま回れ右をしてください!
ネタバレでもいいよ?それもう読んでる、みてみようvという人のみどうぞなのですv

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山と山との合間にある、雪に囲まれた小さな村。
タキア村。
ちょっと、近くの町で変わった風習がある村があるときき。
探しがてらに近くの盗賊さんたちを壊滅させて。
といっても、この寒さで盗賊さんたちも冬眠していたから、結構おいしいストレス解消となったけど。
何はともあれ、そんなこんなをしていると。
やがて空から雪が降ってきて。
とりあえず、山をおり、そこにあった小さな村にて宿を取ることにしたこのあたし、リナ=インバース。
そこでの宿のおかみさんの対応とか、息子さんとかの対応にいぶかしんでいたときに。
なぜか見覚えのあるコスチューム…の姿が目にはいったような気が・・・(汗
それと同時に宿の入り口より入ってくる一人の男性。
何でも、この村に伝わる、「ラバズ」とかいう生物の生態調査に来たとか何とか…
なぜか村長やおかみさんたちは、そのラバズを内容は言えないけど守ってくれ。
とかいってくるし。
とりあえず、しぶるおかみさんたちに問いただし。
聞き出した驚愕の事実が。
何と。
『この村で毎年行われている祭りの行事でラバズという獣に扮装した、この宿のご主人が、二年前。
  行事の最中、うっかり野生に戻ってしまった
とかいうもの。
…って、ちょいまてぃ!
何それぃ!?
つうか、んなことで野生にもどるか!?
などと心の中で突っ込みをいれつつも。
どうにか、野生に戻っていた(らしい)この宿のご主人、名前をアエルさん。
というらしいのだが。
どうにか無事に…無事…だよな。息はしてるし。
ナーガが吹っ飛ばしたけど…
のびたラエルさんの扮装をひっぺがし。
テーブルの上に寝かせて、村長さんたちが調査に来ていたメズウッドと、護衛に雇われていた白蛇のナーガにと説明し。
そうこうしているうちに、ようやく、ラエルさんが目を覚ます気配。
つうか、何なんだ?この町は…(汗)

白き夜のエピローグ

「…う」
アエルさんが小さな呻きを漏らした。
「あなた!」
「と~ちゃん!」
おかみさんと、子供の呼びかけに、彼は何度も瞬きをして-
「あ…あれ?」
ゆっくりとその半身をテーブルの上から起こしてゆく。
「フィシル?モノル?……モノル、お前急に大きく……?え?私はいったい?」
「覚えておらぬのか?」
混乱する彼に厳かな口調で村長はうなづくと、
「お前はな。アエル。ラバス様の行事を執り行っておる最中、うっかり野生にもどってしもうたのじゃ」
「そうだったんですか」
うわっ!さらりと納得しやがりましたよ!この人!
というか、普通納得するか!?普通!?
そんなあたしの思いとは裏腹に。
何だか話が進んでゆく。
あきれているあたしたちであるのではあるが。
そんなあたしたちの思いとは裏腹にあたしたちを村長さんは指し示し。
「で、こちらのかたがたがお前を正気にもどしてくださったんじゃ」
「そうでしたか…いや。このたびはとんだお世話をおかけしましてる申し訳ありません。」
彼はあたしとナーガ、メズウッドにペコペコペコっとお辞儀をすると、あっけらかんとした口調で。
「そうするとひょっとして…私以外の野生に戻っちゃった人たちも助けてくださったんですか?」

ピッシ。

音を立ててあたしたちの空気が凍りつく。
「え?え?」
空気が読めずにおろおろするこの宿のおっちゃん…ラバズに扮装していた張本人であるアエル。
いや、まさか。いや、まさかそんなことあるはずが…
「…あの…ひょっとして…だけど…」
あたしは尋ねる。
おずおずと。
まさか…そんな世の中、そんなことがあるはずがない。とは思いつつ。
だけどよぎる一抹の不安…
村長が言っていた。
彼のことを説明するときに、【よくある話】だと。
単なる軽口だと思っていたのだが…
それに先ほど彼は尊重の不条理きわまる説明を素直に納得した。
…ということは…つまり…ましゃか…
脳裏に浮かぶいやな答え。
ふとみれば、何だか、メズウッドもナーガも硬直してるし。
…やっぱ、二人ともあたしと同じ思いしてるんだろ~なぁ…
そんなことを心のどこかで思いつつ。
意を決して、その疑問を投げかける。
「ひょっとして…あなたの他にもまだいるの!?
  あなたのほかにも行事の途中でむうっかり野生に戻った人たちが!」
あたしの悲鳴に近いようなそんな否定してほしいその問いかけの言葉に。
「…その…」
あたしの問いに村長が振り向く。
ゆっくり、ゆっくりと。
「できれば、あなた方のお力を…」
『いやです』
あたしとナーガとアーチー・メズウッド。
三人の声がものの見事にきれいなまでにとハモる。
つ~か…やっぱまだいたのか…
というか、んな行事、とっととやめれ。
きっぱりと。
「お~ほっほっほっ。リナ、そろそろ外の雪もやんだし。そろそろいかない?」
完全に棒読み口調で言ってくるナーガに。
「うむ。そうだな。それに暖かくなったきたし」
そんなナーガの言葉に同意しているメズウッド。
ゴオウウ…
ちなみに、実際の外はかなりの雪がふぶいているのだが…
「あはは。そ~ね。んじゃ、そういうわけで、あたしたちはこれにて。とりあえず、約束は果たしたことだし」
カタン。
などと、三人で顔を見合わせつつ座っていた椅子から立ち上がるあたしたち。
外は猛吹雪ではあるが。
こんなところに長居できるか!
それはどうやらナーガとて同じ思いらしく。
…このあたりの常識はこのナーガですら持ち合わせていたか…う~みゅ…
「お願いですから、お力を…」
何かつぶやいている村長をそのままに。
とりあえず、話をあわせつつ、入り口の扉にと向かうあたしたち。
「ううむ。それでは、こういうのはどうですかな?
  この村には代々伝わっているある魔道書があるのですじゃ。
  オリジナルは私がまだ子供のころに何者かに燃やされてしまいましたが。
  それの写しならばまだ我が家に残っておりますじゃ。
  それを依頼料、として渡すそれと別に金貨十枚。というので、この依頼受けてはくれませんか?」
びたり。
そんな村長の言葉に思わず足を止めるあたしとナーガ。
う、うみゅみゅ…それは確かに魅力的ではあるが…
金貨十枚…というのもかなり…
いやだけど……
「リナ、こんなど田舎の村の魔道書って、ろくなものじゃないわよ。」
どうやらこのたびの一件はナーガの思考回路をまともにしているらしい。
というか、ナーガのやつ、混乱したら思考回路がまともになるのか…
覚えとこ。
そんな会話をしているあたしとナーガの耳に。
「ううむ。しかし、春になれば、五人のラバズが再び村にやってくるしのぉ。繁殖のために。
  六年前みたいに、『赤の竜神の騎士スィーフィード・ナイト』殿に手伝ってもらうしかないのかのぉ?
  その数年前に村人を正気に戻してくださった『赤法師殿』はどこにいらっしゃるかわからんしのぉ」
…ぴくっ。
…な、何かいま、とてつもなぁぁぁぁく聞きたくない言葉が聞こえたような気がするのは…
き…気のせい?
小さくつぶやく村長の言葉をあたしのエルフ並の耳はその声を捉えていたりする。
ま…ましゃか…ましゃか…ましゃか…
だらだらといやな汗が流れ出るのが自分でもわかる。
「…六年前って…ということは、換算すると。
  一年に一度選ばれた男性は、全員野生に戻っているのか?もしかして?」
何かいやな汗を流しているメズウッド。
いわれてみれば。
計算からすればそうなるが…
「しかたがない。あなた方がいやならば。
  お手紙をゼフィーリアにいると言われている『赤の竜神の騎士スィーフィード・ナイト』殿にと送って。
  それから人々を元に戻すことにするしかないのぉ」
しみじみとそんなことをいっている村長さん。
いや、だから…
「そういえば、父ちゃん。この村に伝わる魔道書って、確かクレ何とかっていうやつの写しなんだよね?」
などと元に戻った父親に甘えているモノル君。
「「それって!?」」
その言葉に思わず声を張り上げているナーガとメズウッド。
つ~か、世の中、そんなに伝説級のあれが素直にあるわけがないって。
などと頭の中で、本来ならば、あたしは即座に思うのだが。
だけど、今のあたしの頭の中は。
さっき村長さんがいった、『赤の竜神の騎士スィーフィード・ナイトに頼む』という言葉で埋め尽くされている。
……赤の竜神の騎士…スィーフィード…ナイト…
…あわわわ……(汗)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・
だぁぁぁぁぁ!
それって、あたしの姉ちゃんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!!!!!!
…こ、殺される!!!
間違いなく!!!
あたしがここで断って、こんな情けない依頼が姉ちゃんに向かっていったら…
いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!
頭を抱えて、その場にうづくまるあたしとは対照的に。
「お~ほっほっほっ!任せなさい!この白蛇サーペントのナーガ様にかかったら。
  ラバズに扮装している村人の十人や百人、簡単に始末してあげるわよ!お~ほっほっほっほ!」
「「始末してどうするぅぅぅぅ!!!!!」」
烈火のごとくの突っ込みがそんな高笑いしつつ言い放つナーガの声にとはいってゆく。
「村長さん、この一件、引き受けさせていただきます」
ほとんど死刑宣告、というか。
いやだけど、死にたくないし。
泣く泣く、あたしがこのタキア村村長の依頼を受けたのは…言うまでもない。
「おお!やってくださるか!」
あたしの涙する心のうちをしってかしらずか。
満面の笑みを浮かべている村長さん。
うっうっうっ……
…あのまま、フィシルさんのはじめの対応のときに逃げとけば…
そう思うが、後のまつりである。
…くすん…


「それで?どこを探せば?」
外はいまだに雪が降り続き。
はっきりいって普通ならば外にでたくないのが本音なのだが。
こういったことはとっとと終わらすに限る、というのがそもそもの本音。
そんな本音をなるべく表に出さないようにして。
案内役にアエルさんを引き連れて。
というより、村長さんは、年寄りが外を歩けば心臓麻痺を起こしかねない。
というのと。
あとは。
このあたりの地形を知り尽くしている人物が案内役にいたほうが何かと便利。
そんなことから、とりあえず、ラエルさんに案内役の白羽の矢が立てられ。
で、結局のところ。
ラエルさんの案内で、『ラバズ』に扮装した村人がいそうな洞窟。
ちなみに、洞窟、というのは。
この寒空である。
いくら、野生に戻っているとはいえ、寒さには堪えているはずである。
それに、雪の中、食べ物とかを探すのにも一苦労。
…まさか、生ものを食べているわけではあるまいに…いくら野生に戻っている…とはいえ…
つ~か、どうしてたかだか祭りで野生に戻るようなことになるのやら…
「それで?そもそも、ラバズ祭りでどうして野生に戻る人々が?」
半ばやけっぱちで聞いているメズウッド。
まあ、気持ちはわかるが…
未知なる生物、と思って調査にくれば。
蓋をあければ、その実態は。
― 祭りの最中に野生に戻ってしまった村人…
はっきりいって、人様に話しても、【もう少しましな嘘をつけ】といわれんばかりの驚愕の事実…
いや、あたしだって、信じたくはない、信じたくは…
そんなメズウィッドの質問に。
「いやぁ、何でも、村長がまだ子供のころ、それまでは、まだ野生に戻りかけても。
  当時村にあった、とある『オリジナルの魔道書』それを使えば、
  祭りの最中に何か野生化しかけてたというか、普通とは変わったラバズに扮装した人たちが。
  そのままそこに書かれている言葉を歌にして、
  村人で唱えたら全員元にもどっていたらしいんですけどねぇ~」
などとにこやかに、ことの始まり、というか理由を話し始めてゆくこのアエルさん。
あまり聞きたくないけど。
とりあえず、このまま雪の中をざくざくと進むだけ、というのも何だし。
歩きつつもアエルさんの話を聞きながら、目的のもう少し先にあるという。
山のふもとにあるという、洞窟群にと向かって進んでいるあたしたち。
ちなみに、とりあえず、「ラバズ」との戦いがあるかもしれないので。
寒いけどしかたなく、服装は少なめにたったの二十五枚しか重ね着していない。
うううっ。
さむいよ~……
寒さに凍えつつ。
とりあえず、洞窟を目指して進むあたしたちに。
ラエルさんが、歩きつつもタキア村の祭りの内容について。
ぽつり、ぽつりと説明を開始しはじめてゆく。

何でも、この祭り。
かつては、火竜王ヴラバザードを讃える神聖なる言葉を使っていたらしいのだが。
それがいつのころからか、割愛され。
そして、今に至るらしい。
何でも、昔は、村の若い男性たち限定。
しかも独身者たちのみを対象としてラバズに扮装させていたりとか。
何でも、ラバズに扮装した若者たちは、春になれば、繁殖相手を求めて。
村の中で彼らが好きな女性とその…何らしい。
村としては、村を寂れさせるどころか、発展させる祭りとしても、重宝されていたらしいのだが。
あるとき、一人の女性に数名の『ラバズ』が重なったことから。
仕方がないので、毎年一人としたらしい。
…というか、その時点でやめとけ。
この祭り…
で、なんか、春だけでなく冬場でも、そのまま家から女性を連れ出すラバズが出てきたことから。
…それから、既婚者の男性、というように限定されたらしい。
というか、本気でそこでやめておけ!この祭りぃぃ!

何かかなり脱力をするような説明をききつつ。
ふと気づけば、同じく無言になっているメズウッド。
…気持ちはわかる。
きっとこの人、あたしと同じこと思ってるんだろうなぁ~…
ナーガはナーガで。
このくそ寒いのに、いまだにあの格好のまま、
その全身に鳥肌をたたせつつも、ずっと横で高笑いを続けてるし…

「で、あるとき、なぜか祭りの最中、ハイになる人々を元に戻す方法が記された、『魔道書』。
  それが燃やされたころから、毎年必ず『ラバズ』に扮装した人は必ず野生に戻ってしまいまして…
   なんかしばらくは、五年ごとに赤法師様がこの村にこれらてどうにかしてくださっていたりとか。
   あとは最近では、六年前にこられた、赤の竜神の騎士スィーフィード・ナイト様ですね」
ぴくり。
思わずアエルさんの言葉に反応する。
…六年前…
そういや、姉ちゃんが、何か当時、何かかなり疲れていたときあったけど…
もしかして、これが原因だったのかなぁ?
というか、何でわざわざ姉ちゃんがこんなどうしようもないコトに首を突っ込んだんだ?
可能性とすれば。
…やっぱ、当時まだ皇女だった、今の女王陛下関係かなぁ?みゅぅぅ?
そ~いえば、うちの女王様も不思議といえば不思議だ。
何でもある一定の年齢になったら若返るとか何とか聞いたことがあるような気もするし。
嘘か本当かわかんないけど。
子供の姿になったときは、女王の地位にあるものの、皇女という扱いになるらしい。
ま、そのあたりの詳しいことは、何か姉ちゃんに聞いたりでもしたら。
逆に不機嫌のスイッチを押しかねないから、とりあえず、そのままにしておくとして。
「…いや、というか、毎年『野生化』するのに、どうして継続してるんだ?」
おお!メズウッドさん!もっともなご意見!
「いやぁ、やっぱり伝統、というものは大切ですし」
『そういう問題か?』
にこやかに言い切るアエルの言葉に。
同時に突っ込むあたしとメズウッド。
というか、そういうかなり危ない祭り、というか、絶対に野生化するのがわかってるのに。
…どうしてずっと継続するのかなぁ?
その、【ラバズ祭り】という風習…
はっきりいって、世間のためにもきっぱりとやめてほしいものである。
うん。

いまだに横で高笑いしているナーガをそのままに。
とりあえず、あたしたちの向かう先は、洞窟の中。

そこには確かに。
少し森の開けた場所に切り立った絶壁と。
あまたにある洞窟らしき穴が数十。
そこに。
何か、色様々な何かがうごめいているのが見て取れる。
「あれね」
どうやら、ビンゴ!らしい。
ひとつの洞窟の中が赤々と炎の明かりで照らされて、雪の中でもかなり際立って目立っている。
どうやら、こいつら、集団生活をしているようだけど。
「さって、どうやって、彼らを正気にもどします?」
「う…うむ…」
少し離れた森の中で。
とりあえず作戦会議をすることとし。
とりあえず、いまだに高笑いしていたナーガには猿轡をかませているので今は静か。
といっても、こいつの復活速度はあてになんないから。
とにかく早くにすべきである。
あたしの問いかけに腕を組んで考え込むメズウッド。
「私が正気に戻ったときの方法を使えばどうですか?私、覚えてませんけど」
にこやかにあたしたちにとそんなことをいってくるアエルさん。
いや、その。
その方法って…
あたしがその言葉をとめるよりも早く。
「お~ほっほっほっほっほっ!任せなさい!火炎球ファイアー・ボール!」
ヅドゴォォォォン!!!
って、うどわ!?
「って、ちょっと!ナーガ!?」
あたしの抗議の声などお構いなし。
というか、いつのまに、あの猿轡から逃れたんだ!?
恐るべし!ナーガ!
アエルさんの言葉が終わるや否や、
いきなり復活していたナーガが、こともあろうに攻撃呪文をぶっばなしたのである。
…当然、あたしたちに何の断りもなく。
「ちょっと!ナーガ!あんた、こんなところでそんな術、つかったら!!!!」
思わず悲鳴を上げるあたし。
そう。
ナーガが使ったのは火の魔法。

さて、ここで問題です。
この洞窟がある場所。
実はちょっとした傾斜上にとなっています。
当然、洞窟のある傾斜の上には大量の雪さんが。
で、あたしたちが今いる場所は当然その斜面より下。
大量の雪の中に、いきなり暖かな炎が炸裂したら??
答えは………

ズドドドドドッッ!

正解です。
この音はいったい何の音?
答えは…

『な…雪崩ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえ!!!!!!!!』
『うにょろどもげぇぇぇぇぇぇ!!!!!?』


ナーガの放った術により。
溶けた大量の雪がそのまま、斜面を伝わり。
洞窟のあるがけの真上から、洞窟もろともにあたしたちのいるほうに、雪の波が押し寄せてくる。
ナーガのどあほぉぉぉぉぉ!!!!!!

あたりに意味不明な叫び声がしばし響き渡ってゆくのであった……
マル。


「…死んだかな?」
危機一髪。
雪崩がこちらにむかってくる直前。
あたしは『浮遊レビテーション』の術で飛び上がり、どうにか何を逃れたが。
というか、横にいるのはアエルさん。
どうも彼もこの術を使えるらしく、同じく上空にと浮かんでいるけど。
白一色にと染まった大地を眺めつつ、つぶやくあたしの言葉に。
「いやまあ、あの人は死んでもいいですけど。村人たちは大丈夫でしょうか?」
さらりとひどいことをいっているアエルさん。
ま、それはあたしも同感。ものすっごく。
「それもそうね。まあ洞窟の中にいたんだから、大丈夫なんじゃない?」
とりあえず。
優先的に洞窟の中に閉じ込められている格好となっているラバズの扮装をしている村人たちを助けるために。
そこの一角だけ、きれいに雪を溶かすことにするあたし。
ちなみに、同じ【火炎球ファイアー・ボール】でも、
アレンジによって、特定の場所だけその火力を強くしたり低くしたりすることが可能。
洞窟の周りの雪を程よい具合に溶かしておいて、その直後、それらを氷の術で固めておく。
後は、洞窟の周りの雪を溶かすだけ。
洞窟の周りの雪をすべて溶かしたところ。
どうやら今の雪崩の衝撃で、洞窟の中にいた五名はものの見事に気絶してるし。
「らっきぃv」
思わず素直な感想が口から漏れる。
「それで?どうしますか?五人を同時に運ぶのなんて?」
あたしの横でそんなことを聞いてくるアエルさんだけど。
「んっふっふ。このリナ=インバースに不可能の文字はないのよ!」
にっこりと断言し。
そして、呪文を唱え始める。
霊呪法ヴ・ヴライマ!!」
ズゴゴゴゴッ。
あたしの言葉に従い。
男たち…というか、【ラバズたち】が倒れている洞窟の周りごと岩肌が動き始めてゆく。
そう。
あたしは彼らが気絶している洞窟ごと。
石人形ゴーレムを作り出したのである。
そして。
「ゴーレム!それらを村の入り口までつれていって、そこで待機!」
簡単な命令を出しておく。
ズッ。
ズッ…ン…
あたしの言葉に従い。
元絶壁の一部がごそっとはずれ。
ちょっとした石人形が立ち上がる。
「…あ、あの?リナさん?…なぜに形が【雪ダルマ】なんですか?」
なんか横でそんなことを聞いてきているアエルさん。
「周りが雪だから。ほ~ら、雪ダルマの進行よ!」
はっきりいって、こういった遊び心でもなければやってらんないわよ!
そう。
あたしが今作り出したゴーレムの形はおもいっきり、一般的な【雪ダルマ】君。
ちなみに、丁寧に色まで白にしてみたりv
雪の中、白い雪ダルマゴーレムがあたしの命令のままに村をめがけて行進してゆく。


ざわざわざわ。
雪ダルマと一緒に村に戻ると。
なぜか村はざわめきに満ち溢れ。
とりあえず、男手を集めさせ。
ゴーレムの中にいたラバズに扮装している男たちを村へと戻す。
「ところで?メズウッドさんとナーガさんは?」
ふと聞いてくる村長さん。
「って!ああ!ナーガはともかく!メズウッドさんまでわすれてた!」
しまったぁぁあ!
雪崩に巻き込まれたままだった。
あの人も!
…ま、運がよければ死んでないだろう。
うん。
「ま、いっか」
とりあえず、まあナーガは死んでもしなないだろうし。
何はともあれ。
依頼を果たした。
ということで。
あたしは村長さんから、金貨十枚と。
それと、村に伝わるという魔道書をもらったまではいいのだが…
そこに書かれていたのは。
何と、人間の中に眠る潜在意識を目覚めさせる混沌の言語カオスワーズ
つ~か!んなものを祭りのはじめに音楽交じりで唱えるな!
…どうやら、村人たちは知らないままに使っていたらしいのだが…
しかも、混沌の言語カオスワーズを解読してゆくと。
なにかその言語率からいくと、その中でも生き物のもつ【野生】の意識だけが目覚めるような形になってるし…
いったいだれがんなもん、かいたんだ?

あたしは当然そのことを村人にと伝えたのだが…
でも、あたしがいくら説明しても、
『村の神聖なる昔からの風習であり儀式だから』
といって、やめる気はないらしい。

とりあえず。
このもらった「写本」は珍しい書物であることは間違いがないので。
姉ちゃんへの旅の土産にするとして。
あたしはそのままその村を後にしてゆく。


後日、風のうわさに聞いたところ。
何でも、メズウッドは雪男の探索に取り付かれたとかそうでないとか。
何でも命を助けられたらしい。
とあたしは風のうわさに聞きかじったが。
あたしが切に願うことは。
ナーガのやつが復活して追いかけてきませんように。
ということである。

世の中、あまたの人がいて、世にはあまたの風習がある。
だけども、その中にはきっぱりと廃止したほうがいい風習もある。
タキア村のラバズ祭り。
もし万が一、あの祭りを見かけたら…かかわらないことをお勧めしておきます。
まる。


                                  -終了♪ー 

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あとがき: 
薫:さってと。ちなみに、この祭り。
  ・・・エル様がかかわったことを考えてみたりとか(まてぃ!)
  って、かなり時間がかかりましたねー・・・・。
  でもまだ完成していない。
  さて、どうしてんな代物が小さな村の中にあったのでしょうかねぇ?(汗
  何かとてつもなく怖い予感がひしひしと・・・・
  何はともあれ、ここまで読んでくださり、ありがとうございました!
  それではv

(さって、次はエル様サイド…←ばらしてどうする!・笑)

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