まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちらへ
なぜか。短編、のはずが、前、後編に・・・・・あうあうあう・・・・。
しかもなぜか最後から打ち込みしてるし・・・私・・・・。
というわけで(何が?)アネスさんのリクになってないリクをいくのですv
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前回までのあらすじ:
沿岸諸国連合所属。イグザード王国にて。
見た目、三十代前半、黒髪の男性、タクティス。
イグザード・シティ。魔道士協会魔道研究部所属。
そんな彼からとある依頼をうけたリナとナーガ。
そしてやってきたのはイグザード王国の北にある、
別名『第二のカタート』ともいわれている山脈地帯。
そして、その無数にあるとすらいわれているひとつの洞窟の中に。足を踏み入れたリナとナーガが目にしたものは。
何と!今では絶対に手に入らない、と断言できる、千年前から五百年前程度。
それくらいにまでさかのぼる何ともレアな宝物の数々!
・・・・ついつい、依頼を忘れてそちらに没頭してゆくリナとナーガであった…
ドラゴン・ミッション
いったいどこまでこの洞窟は続いているのやら。
だが不思議なことに。
奥に進むにつれて、なぜか氷が目立ち始めてくるのが見て取れる。
だが、そんな氷だらけとなってくるのに。
「…おかしいわね」
ふと思い立ち術をとき、そのまま地面にと降り立ち。
そっと、氷ですでに覆われている壁にと手をつけるリナ。
いまだに。
ちなみに、術で飛んでいる最中にナーガは追い越し。
リナが前に出ている状態となっているのであるが。
「お~ほっほっほっ!リナ。せこいわよ!呪文で人の先をいくなんて!」
などと後ろから追いつき。
声をかけてくるナーガに向かい。
「しっ。黙って」
そういいつつ、壁にと手をあて精神を集中させる。
「…こ、これは……」
思わずその氷の性質を術で調べて驚愕の声を上げているリナ。
「ちょっと?リナ?人の話をきいてるの!?」
などといってくるナーガの声を完全にと無視して。
「タクティスさん!?ここっていったい!?」
いつのまにか、突如として自分たちの真後ろにといるタクティスにと驚きつつも。
とりあえず当面の疑問を投げかけるリナ。
先ほどからこの場所にある様々なお宝にばかり目がいき、
この場所がいったい何であるのかなんて想像すらもしなかったが。
こうも正確に目の前に問題が発生するとなれば話は別。
そんなリナの質問に。
「あれ?いってませんでしたっけ?ここは…伝説ではありますけど。
かつて、水竜王が存在した洞窟。とすらいわれてるんですよ。まあ嘘か真実か。
それはわかりませんけどね。でも、ここにある氷は普通の魔力では溶けることもなく、
そしてまた、ツルハシとかでも壊れることはありません」
などといいつつ。
いったいどこから?
などと疑問に思うが。
ツルハシ片手にその辺りに転がっている氷の柱をたたいているタクティス。
だが。
キィィン…
すんだ音色だけを残して、氷は一欠けらも壊れはしない。
「ですからいったでしょう?私は魔道士、しかも力のある人たちの力を必要としている。…と。
私が調べたいものは、こんな氷の中に入っているある品ものです。
できればそれを氷から取り出したいんですよ。で、いろいろと調べた結果。
どうやら同じくらいの力を掛け合わしたら、
もしかしたら、この氷は溶けるかもしれない、という事実が判明しまして。
ですからお二人にこの依頼をしたんですよ」
にこやかに、そんな会話をツルハシ片手にいっているタクティスの言葉に。
「それはそうと、タクティスさん?そのツルハシはいったいどこから?」
そう問いかけるリナの言葉に。
「え?普段形態してるでしょう?」
「「してない、してない」」
そういいつつも、腰の後ろのベルトにそれを挟み、マントで覆うように隠すタクティスの台詞に。
同時に突っ込みをいれているリナとナーガ。
「そうですか?」
そんな二人ににこやかに笑みを返しつつ。
「ともかくいきましょう。目的のもの。
つまり、依頼した。ある物を取り出してほしい、という代物は。もう少し先です。」
いいつつ、すたすたと歩き始めるタクティスの後を。
あわてて追いかけてゆくリナとナーガであった。
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』
沈黙がその場にと満ち溢れる。
そこにあるのは。
確かに。
「はい。ではお願いしますね。リナさん、ナーガさん」
にこやかに笑ってそんなことをいっているタクティス。
「ってちょいまてぃ!これ!?これれなの!?」
「…ふっ。お~ほっほっほっ!こんなもの。この
などといいつつ呪文を唱え始める。
「凍れる森の奥深く…」
ぷちっ。
「~~っ!!!!!」
そのまま腕を振り上げた直後にその場にうずくまっているナーガ。
はぁ。
そんなナーガをみつつため息ひとつ。
「…あんた、また肩のショルターガードのとげで指したのね?」
そういいつつぽんと肩にと手をおくリナの言葉に。
「うん。」
「うんじゃないぃぃい!こんなところでんな大技使おうとするなぁぁ!
下手したらあたしたちまで生き埋めになるでしょうがぁぁ!」
がぁぁあ…がぁぁ…がぁぁぁ…
洞窟に。
リナの叫びがこだまする。
リナたちの目の前には。
確かに、タクティスの話にあったとおりのちょっとした氷の柱があり。
そしてその中に。
何やら赤い何かが入っているのが見て取れる。
リナとナーガがタクティスから受けた依頼。
それは…
『とある洞窟の中に、ある氷の柱があるんですけど。
その中に不思議なものが入り込んでいるんです。それを調べればあの洞窟の存在意義、そして。
もしかしたら神の力が眠っている、とすらいわれているあの場所の力を。
自分たちの物に出来るのかもしれないんです。
あ、そのときに手にいれたものは当然お二人にも権利はありますよ?
―いかがですか?その品物、取り出す協力をしてくれませんか?』
という内容のもの。
だがまさか。
軽くちょっとした家より太いであろう、氷の柱が天井を突き抜けるように、
ついでにいえば天井というかその頂上も見えなかったりするほどに。
空に向かって突き出している太い氷の柱。
そして。
その中に、タクティスが手に入れたい、といっている
正体不明な赤い球体がこじんまりとようようとあるのが見て取れる。
「ふっ。わかったわ。ならこれならどう?」
そういいつつも。
いきなりいつもながらに復活し。
そのままとある術を唱え始めていたりするナーガ。
「って!?ナーガ!?その術は!?」
すぐさまに顔色を変えているリナ。
そしてあわてて地面にと手をつき。
「
あわてて地面を掘る術を唱え。
そのまま地下にともぐってゆくリナの姿がみてとれる。
そして。
リナの頭が隠れたその刹那。
「
ナーガの術が完成し。
そして、闇が…ひとつの形となってゆく。
「― ほぅ。」
人間にこれが召喚できるのですか。
などとそんな感心した声を上げているタクティスにはまったく気づかずに。
自らが召喚した魔王竜、カタート山脈にのみ存在しているという、闇の鱗をまとう竜。
「お~ほっほっほっ!さあ、ここの氷を壊してしまいなさいな!」
などといいつつ命令を出しているナーガ。
「…え゛?」
その言葉に一瞬硬直しているタクティス。
『ここの氷。』
今ナーガは
だが。
ここは。
すでにほとんど、というかはっきりいって、特殊な氷で覆われている洞窟内部。
はっきりいって四面のどこも氷づくめ。
そして。
ナーガは【どの氷を】という命令は出していない。
そして。
問題なのはそこではなく。
…タクティスは知らない。
ナーガのこの術は、召喚したそれを制御することができない。
というそのかなり切実なる重要な問題を……
ルグワァァァァ!!!!
ナーガの声に一声吠え。
そのまま。
ドグワァァァァっ!
辺りかまわず、いきなりブレスを辺りかまわずに吐き出すドラゴン。
「って、何なんですか!?これ!?」
「お~ほっほっほっ!たいしたことじゃないわ!
この術で召喚したこの
高笑いするナーガに。
「そんな術、使わないでくださいぃぃぃぃ!」
…むなしくも、タクティスの声は洞窟内部に響き渡る爆音にとかき消されてゆく。
「…とりあえず」
ここにくるまでに二人にある呪文をとある品物にと閉じ込めてもらい。
辺りに吹き荒れているヴォイド・ブレス。
だがそんなそれをいともあっさりと交わしつつ。
水晶の柱の前にたっているタクティス。
ちなみに。
「んどわぁぁぁぁ!?」
などといいつつ。
落ちてきた瓦礫の下敷きになっているナーガの姿が視界の端に見えていたりするが。
とりあえず、それを無視し。
まったく、変わった人間といいますか。何といいますか…」
とりあえず。
我々の役に立ってくれたことにはありがたいですけどね。
問題は、この氷だけではない。
この場所事態がそもそもひとつの封印結界となっており。
彼らの力では壊すことなどは不可能であったのだ。
だが。
そんな心配は今ではどこえやら。
何しろナーガが召喚したドラゴンにより、すでにこの場所にと張られていた封印結界は壊されている。
「今がチャンスですね。」
そういいつつ。
二人にそれぞれ内緒で依頼料を上乗せ、現金払いするから、といって。
夜、それぞれに現金と引き換えにある魔法道具の中に入れてもらった術を。
同時にその柱の前でと開放してゆくタクティス。
瓦礫に埋まったらしいナーガはともかくとして。
とにかく、自分に与えられた命令をこなすことを中心に行動を開始しはじめているタクティス。
そんなタクティスの背後に。
「…ほう、これはまた。
突如として、彼にとっては聞き覚えのある老人の声が、タクティスの背後より聞こえてくる。
その言葉にあわててひざまづきつつも。
「これは、これは。
顔を少しばかり上げつつ、見上げる格好で。
そこにいる男性。
白い髪を丁寧にとセットし、
ちなみに同じように少しばかり長い白いあごひげと、口ひげをつなげている見た目、
かなり紳士的な老人にと話しかける。
「いえ、これはこれを作るためと壊すために雇った人間が召喚したもので」
そんな彼の言葉に。
「ほぅ。まあいい。とにかく、早くこれをガーヴ様の元に。
何しろガーヴ様の魔力の一部であるからのぉ。これは」
そういいつつしの白い髭をなでる老人に。
「まったく、いまいましい水竜王の封印でして…」
そういいつつもその顔は少しばかり先ほどのタクティスと異なりゆがんでいるように見えるのは。
何も気のせいではないであろう。
「まあよい。タクティス。それより、それを早くに…」
そういいかけるそのラルタークと呼ばれたその声をさえぎりつつ。
「お~ほっほっほっほっ!お~ほっほっほっ!
タクティスさん、どうしてここに第三者がいるのかしら!?お~ほっほっほっ!」
「「な゛!?」」
いきなり響き渡る高笑い。
みれば。
いつのまにか瓦礫から這い出したのか。
瓦礫の山の上にたちつつ、高笑いしているナーガの姿が。
タクティスとラルタークの目にと映りこむ。
そして。
「ふっ。読めたわよ!あなたたち、リナに頼まれたわね!
そして、タクティスさん。この私を瓦礫に閉じ込めて、その間にお宝をこの私に渡さないつもりね!」
などといいつつ、再び。
「お~ほっほっほっ!そんなことができると思ってるとでも!?この、
「…目障りじゃのぉ…」
そういいつつ、その手にもっている杖を一振り。
ガラガラガラ……
「んきぁぁぁぁぁ!」
ぶち。
何かがつぶれた音が彼らに届きゆくが。
ラルタークと呼ばれた老人が杖を振りかざしたその先の壁がものの見事に崩れ去り。
そのままナーガの頭上よりナーガめがけて降り注いでゆく。
「さて。それより、タクティス。早くあれを」
「はっ!」
その言葉に従い。
リナとナーガの呪文、ちなみに詳しく言えば属性が異なる呪文。
リナが魔の力をひとつにいれているならば。
ナーガが入れている力は聖なる呪文。
いわゆる簡単な神魔融合呪文。
まさかあの人間が神の力を使えるとは思っても見なかったが。
それがナーガに依頼したひとつの理由であり、そしてまた。
これは、ちょっとばかり問題がひとつ発生する。
それは、互いの力が互角でないと。
いくら彼でも神魔融合呪文を制御するのは難しいのである。
そして。
その条件にぴったりと合った人間が…リナとナーガなのであるからして。
やがて。
タクティスが持っている二つの
洞窟内部が突如としてまばゆいばかりの光にと包まれてゆく…
そして。
「ふむ。成功じゃの。よくやった。タクティス」
「はっ!これで我が主も今まで以上に力を取り戻すのですね!」
その手に赤い球体をもちつつ。
大きさは手のひらよりも少し大きい程度。
ちょっとしたボール程度であろうか。
そんな球体をもちつつ、笑みを浮かべているタクティスに。
髭をさわりつつそんなことをいっているラルターク。
「そうじゃの。後はタクティス。
うまくここの国を利用して。出来れば戦争などでも起こすように誘導するがよい」
「はっ。心得ております。我が主が生き残るために」
「そういうことじゃの。いやはや、じゃがしかし。
まあ確かに。ガーヴ様のお考えもわからんことはないがのぉ。われらは創り主には逆らえんて」
「― 御衣」
そんな会話をしている二人の耳に。
それは突如として信じられないことにと聞こえてくる。
「お~ほっほっほっほっ!」
「な゛!?」
馬鹿な!?
思わず叫ぶ。
確かに、確かに瓦礫の下敷きになったはず。
だがしかし。
いったいこの高笑いはどこから聞こえてくるのやら。
…まさか瓦礫の下から高笑いをあげているなどと。
……いったい誰が想像出来ようか……
ガラガラガラ!
そして。
洞窟に響き渡る高笑いとともに。
突如として目の前の瓦礫の山が崩れ。
そこから。
ぽこりっ。
何かが瓦礫の下から盛り上がり。
「お~ほっほっほっほっほっ!お~ほっほっほっほっほっほっ!」
そのまま、腰と口にと手をあて、高笑い。
…瓦礫の下から出てきたのは、やはりというか、何というか。
「なぜだぁぁ!?」
半ば半狂乱になっているその老人。
…ま、まあわからなくもない…
今この場にリナがいれば、そんなナーガの行動も『ナーガだし』で済ましたのであろうが。
いまだにリナはこの場にはいない。
「お~ほっほっほっ。甘いわね。この私を亡き者にして。
リナと一緒にここのお宝を独り占めしようとするたくらみ!
この
高笑いをあげまくるそんなナーガに。
思わず目を点にしつつ。
「…こら。タクティス。どうしてこんなわけのわからん女に依頼…したんじゃ?」
思わず本気でかなりひきつつ、横でこれまた目を点にしている、タクティスにと問いかけているのは。
先ほど現れた、白髪まじりの少しばかりこぎれいな老紳士。
その白い髭と髪が紳士、というような感じをかもし出していたりする。
見た目、どこかの執事、といった印象もうけなくもないが。
そういいつつも手にした杖で横にいるタクティスの頭を軽くたたいていたりする。
「…すいません。ラルターク様…ですが。この女、魔力はとりあえずそこそこにありましたので……」
こちらもこちらで、続けざまにこの高笑いを聞いていれば。
さすがに精神に触るのか、少しばかり顔を引くつかせていたりするタクティスの姿。
「…ま、まあ確かに。魔力の大きさ的にはもう一人の確か…リナ…何とかといったかの?
彼女と同じくらいの大きさではあるが…だからといって…なぁ…」
そんな会話をしている二人を完全に無視し。
「ふっ。タクティスさん。まさかリナとたくらんでここの宝を独り占めにしようなんて。
言語道断!いくら世間がごまかされてもこのナーガ様はごまかされないわ!お~ほっほっほっほっ!」
「「うわぁぁぁ…」」
さすがに続けざまに、こうも高笑いを聞かされれば。
精神に触る。
ましてや…彼らにはなおさらに。
「ともかく、タクティス。この場は任せたぞ?儂はあのお方に、これを届けるでな」
そういいつつ。
先ほど、リナとナーガの呪文が相互作用を起こし。
その封印結界がとかれたその中に眠っていた、小さな赤い光の珠をその手にもちつつ。
そんなことをいっているラルターク、と呼ばれたその老人。
「は!!……って、ラルターク様、私一人があれを相手にですかぁ!!!?」
「ほっほっほっ。ま、死んでもかまわんが。滅びないようにな。ほっほっほっ」
ふぃ。
それだけいいつつ、ラルタークは虚空にと掻き消えてゆく・・・
ビシッ!
高笑いしつつ、タクティスを指差し。
「さあ、タクティスさん!もっとすごいお宝、どうせリナと示し合わせて隠しているんでしょう!白状しなさい!」
「ちょっと待ってください!ナーガさん!何か誤解を!」
「ふっ。見苦しいわよ!
「うわぁぁぁぁあ!!?」
辺りに。
まったく聞く耳もたないナーガの台詞と、騒ぐタクティスの叫びが響き渡ってゆく…
「うう…ナーガの馬鹿ぁぁぁあ!」
馬鹿ぁ…馬鹿ぁぁ…馬鹿ぁぁ…
どうにか起き上がる。
いまだに頭ががんがんする。
まさか。
氷の柱の中にある代物を調べるのに不便だからといって。
いきなりどうして、あんな大技。
「…まさか、
もはや完全にと疲れきり。
あわてて地面にと手をつけて穴を掘ったのその刹那。
何やら頭上でかなりの落盤の音がしたように気もしなくもないが。
そして、次には頭の上から降り注いでくる大量の土砂や岩など。
いったい何があったのか。
見なくても、その場にいなくてもすぐわかる。
― つまりは。
ナーガの召喚した
いつものごとくにその制御がきかずに、狭い洞窟の内部で暴れ。
その結果、洞窟は崩壊しかけている。
ということくらいは。
「…とりあえず、めぼしいお宝…先に物色しておいてよかった……」
じゃらり。
そういいつつ、マントを広げたその裏には。
数珠なりにと連なっている小袋の数々が。
先ほど、洞窟の奥にと進む前に。
とりあえずめぼしいものはナーガに奪われないように、先にゲットしていたのが功をそうしたようである。
そんなことを思いつつ。
「…と、とにかく。ここから出ないと。出口は……」
みれば。
辺りはどうやら地下水があふれている、というよりは。
ちょっとした空間となっており、
そしてその空間に地下水がたまり、一種のちょっとした湖の状態にとなっているのが見て取れる。
そして、点々と存在している島のような岩の柱やそして岩肌。
などと一人でつぶやきつつ。
出口を求めてリナはそんな地下湖をさまよってゆく……
「でかした。ラルターク!後は…これで、あいつにも少しは対抗できる!」
などとこぶしを握り締めている男性が一人。
洞窟の外。
その場に今か今かとまっていたらしく一人の男性がたたずんでいる。
その長く赤い髪とごつい体格が印象深い。
特質すべきはその背におっている大降りの剣。
そんな彼らが会話をしているそんな中。
「な゛!?馬鹿な!?」
「お~ほっほっほっほっほっ!」
いくら攻撃しても、高笑いをやめないどころか。
どうしてこうして。
怪我ひとつせずにこの人間の女は笑っているのか。
「ふっ。さてはタクティスさん、この私に依頼料を渡すのがおしくなってるのね!
さてはリナに頼まれたわね!そうはいかないわっ!」
などと言い放つナーガに。
「というか、なぜ貴様は何ともないんだ!?」
すでにもはや半狂乱。
ちなみに暴れるだけ暴れて。
ナーガの召喚したドラゴンは戻っていっている現実があるにしろ。
タクティスの攻撃のことごとくにまったく無傷のナーガ。
話をしても聞いてもらえそうにないので、とりあえず実力で黙らせようと試みたのだが。
だがしかし、ナーガにそれは焼け石に水。
つまりは、完全に依頼料を払うのが惜しくなって攻撃を仕掛けている。
といかナーガは捕らえてなかったりする。
そして。
延々と平行線の会話のもと、攻撃呪文などが繰り広げられているのだが…
「お~ほっほっほっほっ!これも人徳よっ!」
「どこが、術が避けてとおる人徳があるんですかぁぁあ!?」
むなしいまでのタクティスの叫びが響き渡る。
そうなのである。
タクティスが得意とするとある術をナーガに使うと。
術がまるで避けるようにとナーガをきれいによけて炸裂するのである。
…ちなみに、彼が得意としているのは緑の魔術。
彼自身がそれように作られている存在であるがゆえに。
「おーほっほっほっ!この私にそんな術が通用するとでも!
召喚、というものはこうやるのよ!
先ほどからタクティスが利用しているのは木々を使った召喚術。
というか彼自身の一部、といっても過言でないのであるが。
そんなナーガの言葉に応じて。
いまだに崩れ落ちている洞窟の内部になぜかピンク色の水母が召喚される。
「…あ、あの?それがいったい何の役に?」
思わず目を点にしてつぶやくしかないタクティスであった。
お~ほっほっほっ。
お~ほっほっほっほっほっ。
「……それはそうと、ラルターク?あれは何なんだ?」
先ほどから聞こえてくる高笑い。
「いえ、ガーヴ様がおきにするようなことでもないかと。」
そういいつつ少しばかり冷や汗をかいている自分の部下をみつつ。
「まあいい。ようやく封印されていた俺の力が一部とはいえ戻ったんだ。
ちょっとしたトレーニング程度にはなるかもしれないし。いっちょっ、いってみるか」
その言葉と同時に。
そのばからふいっと掻き消える赤い髪の男性。
そんな男性をみつつ。
「ああ!ガーヴ様!」
あわてて、声をだしつつもそんな男性の後を追うようにと掻き消えてゆくラルターク。
「ガガガガガーヴ様!?」
よもやまさか上司である、彼がこの場にくるなどと。
いったいだれが想像できようか。
あわてまくるタクティスをみつつ。
「お~ほっほっほっ。リナも往生際が悪いわね。また人を雇ってくるとはね」
これまたまったく勘違いして言い放っていたりするナーガ。
「ほぅ。これはまた、ずいぶんとイカシタセンスだな。姉ちゃん」
そういってにやりと笑う彼の言葉に。
「あら、あなたわかってるじゃない!お~ほっほっほっ!このセンスがわかるなんてかなりのものよ!」
…いや、違う意味でいったんだが…
などとと思わず心で突っ込みをいれるが。
「まあいい。とりあえず。ちょっと今俺は体を動かしたいんでね。
部下が世話になってるようだし。いっちょ、遊んでやらなくもない」
そういいつつ、すらりと背中の剣を抜いているガーブ。
部下たちは気づいていないようだが。
この女…かなり出来るな。
それは彼には一目でわかっていたりする。
…まあ、その実力と行動が伴わない、という決定的な事実を知らないのであるから、
当然といえば当然の反応で。
警戒しつつも、それでいて今少しばかり戻った力で戦えるかと思うとぞくぞくしていたりするこの男性。
「ふっ。あなたもどうやら出来るようね」
そういいつつ
ナーガもまた警戒を高めてゆく。
「…あ?あの?どうしましょう?ラルターク様?」
横に出現している上司をみつつつぶやくタクティスの言葉に。
「やれやれ、我が主ガーヴ様も困ったおかたじゃのぉ。まあガーヴ様の気のすむようにされるがよかろうて」
「…は、はぁ…」
目の前では。
ナーガとガーヴの戦い、問えるのかそうでないのか。
ともかく変わった戦いが繰り広げられていたりする。
……はっきりいって、術を唱える。どころか。
口げんか…というか。
なぜかナーガに負けずと言い返しているガーヴの姿がそこにあったりする。
「…どうやらこの地に封じられていたのは。ガーヴ様の【口げんかが達者であったころの力】らしいのぉ」
……それって役にたたないんじゃ…
などとタクティスは思うが。
当然そんな恐ろしいことは口に出せるはずもなく。
目の前では。
ガーヴとナーガの言い争いが繰り広げられていたりする…
やがて、二人の言い争いのうちに。
ガーヴが口を滑らし戦争を仕掛ける、カタート山脈に。
そういった内容をこぼしてゆくその言葉に。
まあ今彼が行おうとしていたのは、ここ、イグザードを拠点とし。
人間世界に戦争を起こし。
そしてその混乱の中、どうにか先導してカタートを責める、といったもの。
だがしかし、そんなガーヴの話を聞いたナーガが。
いきなり突如として高笑いを始めつつ。
「お~ほっほっほっ!甘いわね!戦争、というんだったら!どうせだったら。
軍備力と攻撃力、ついでに魔道にたけているディルスを使ったほうがよっぽどましよっ!
何をこの男は寝言をいっているのかしら?お~ほっほっほっほ!」
などといいつつ高笑い。
その言葉にしばし沈黙。
やがて。
ポン。
と、かるく手をたたき。
「確かに。よう、姉ちゃん、いいこと教えてくれたな。礼をいう。
とりあえず、今日のところは用事を思い出したから引き上げてやるさ」
そういいつつ、くるると向きを変える赤い髪の男性に。
「お~ほっほっほっほっ!お~ほっほっほっ!
まったく、誰だか知らないけれど、ずいぶんと面白い男性だこと、お~ほっほっほっほっ!」
などとしばらく高笑いを続けているナーガの姿が見受けられてゆくのであった。
「ちょっと!ナーガ!何高笑いしてるのよ!」
気づけばすでにもはや日は暮れかけ。
どうやら一人ずっと高笑いを上げていたようであるが。
ようやく地下から脱出して地上にでたリナがみたものは。
一人、なぜか完全にと原型をとどめていない元洞窟の一角にて。
高笑いをあげているナーガの姿。
「お~ほっほっほっ。これが笑わずにいられますか。
リナ、あんたの依頼料もこの私が迷惑料としてもらっておくわ!」
みれば。
なぜかそのナーガが高笑いをしている少し離れた木々の根元に。
二つの袋がおいてあり。
そこに二人に対して伝言が書かれていたりする。
― 依頼料の全額です。お世話になりました。タクティス。 ―
確か話では町に戻ってから受け取る、というような話だったような気もするが。
だがしかし。
実際にそこに袋に入っている金貨があれば…話は別である。
「なぁにわけのわからないことをいってるのよ!これはあんたとあたしのでしょうが!」
「お~ほっほっほっ!タクティスさんを味方につけて、
この私を抹殺しようとしたそのお詫びにこれで許してあげるっていってるのよ。お~ほっほっほっ!」
「なにわけのわかんないことをいってるのよぉぉぉ!」
森の中。
しばらくリナとナーガの言い争いをする声と。
そして。
しばらく後には呪文のやり取りをする音が響き渡ってゆくのであった。
「さて、ラーシャート。貴様にディルスを任せる。
方法は任せたから、とにかく、北の魔王のやつの足かせを作れ!」
「御衣」
ナーガは知るはずもない。
よもや自分の言葉が。
ディルスを魔竜王ガーヴの拠点としていくことになってゆくなどとは…
だが。
それはしばらく後。
リナの手にて打ち砕かれるのも…また彼―ガーヴもまた知らない事実……。
-終了♪ー
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あとがき:
薫:えっと。ちなみに。アネスさんからのリクエストは。魔竜王ガーヴの小説、ギャグ系で。
ということでしたが…すいません。リクになってないです。はい。
ギャグというかこらまて。
といいたかった根本的なところは。
つまり、ガーヴがディルスでいろいろとやってたのは。
実はナーガに以前言われたから(笑)という突っ込みを加えてみたかったりする、この話・・・・。
当然、ナーガ知りません(笑
思いつきでいってますから、そのときそのときで(ナーガだし
ギャグ・・・になってないです。すいません・・・アネスさん・・・。
完全無欠のギャグがよかったのかなぁ(まてまてまて
何はともあれ、ではまあ・・・・・そういうことで(何が?
2003年11月23日某日
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