降魔への旅立ち



確かに。
世界は、安定を見せ始めている・・といってもいいのかもしれない。
そして・・また。
今までは、彼ら・・・いや、魔王、腹心四人が張った結界は。
水竜王・・すなわち、竜王の力を抑えるためのもの。
だがしかし。
この地を浄化するために、その身は。
かつて分身となっていた水竜王が、その力を分散させて。

この地に散らばったように。
残っていたもう一人のその意識もまた・・・。
この地にと融合を果たし、その身と力をもって大地の浄化にあたった。
その結果。
傷ついていた大地は、竜王の力をうけ。
一年もたたないうちに、緑を取り戻し。
そしてまた。
木々もその力をうけて、ある程度まで急激にと成長を果たし・・・。


今では。
この地は。
辺りに緑溢れる・・・だがしかし。
人の集落や、生きている者達の住みかとなっている場所が殆ど皆無に等しいこの現状。

二度に渡る、短期における戦いの中で。
人々は・・いや、この場所に生きていた生き物たちなどは。
その数を半分以下にまで減らした爪あとは・・。
どうにもらない・・・・。



「絶対に何か矛盾しているって。」
先の大戦から、まだわずかに数十年と少し。
だがそれでもまだ。
その内容があいまいで。
当時のことを知っている者達は全員口をつぐみ。
それゆえか。
その歴史は湾曲して伝えられている。
確かに。
この地からは・・。
砂漠、海、北、そして・・・海の中に位置するという、群狼の島。
つまり、海と砂漠とそして・・凍った大地によって、遮断された場所となっているのは分かるが。
・・・そこから外に出ようとして出かけたものは。
まず誰一人として生きては戻らず。
そしてまた。
かつて使えたという、竜王の力を借りた、神聖魔法もまた使えなくなっている今のこの現状では。
精霊呪文と。
そして・・・魔の力を借りた呪文がさらに進化を遂げ始めているこの矢先。
「そうよね?何かおかしいわよね?」
たったの十数年前のことだというのに。
その文献や内容は何処にものこってなどいなく。

まあ、当然といえば当然なのかもしれないが。
・・・一度。
この地は・・全て。
まっさらの荒野と成り果てた。
という歴史だけは残っている。


かつて、荒廃した中で。
唯一、一番初めに成り立った国―ゼフィーリア。
そこに住む一人の少女と・・そして。
なぜか、城に閉じこもるのは称にあわないといっては。
毎日のように城を抜け出しているこの国の時期王女。


シルナ=ドナ=インバース。
セレーネ=トゥエル=ラナ=ゼフィーリア。
この二人が出会ったのは・・・故意か偶然か・・・。



「では、真実を探すために、旅にでなさい?セレネ?」
母親である、永遠の女王(エターなる・クイーン)その言葉に従い。
二人が旅に出たのは、二人がまだ12の年の出来事。


この国を治めるものは、代々女王。
というのも、この国の女王は常に第一王女しかその身に宿さない。
・・・・父親もいない。
いわゆる、それゆえに神聖化されているといっても過言でないが。
それゆえに、何処からともなく、この国の女王のことを。
―永遠の女王。
と人々が呼ぶようになったのは、つい最近のこと。




「・・・・・うーん・・・暇だよね・・・。」
ぼつりとつぶやく少年・・・フィブリゾのその言葉に。
「魔王様?まだ目覚められませんの?」
どこか面白そうな口調でいっているのは海王ダルフィン。
「・・・・・まあ、無理ではないか?・・・・あれから十年以上にわたって・・・・・・(汗)」
『・・・・・・・・・・・・・・・。』
シィィン・・・。
その場に静寂が訪れる。

確かに。
竜神と魔王は、戦いを繰り広げた。

・・・・だが。

・・・どうやら、【あの御方】にとっては。
・・・やはりというか、何というか。
手ぬるいとお叱りを受け・・・。
・・・未だに彼らの王である赤瞳の魔王は。
氷の中で目を回している・・・今の現状。

「・・・・・とりあえず、残りの欠片・・。見つけ出すことに専念しない?」
そう提案するフィブリゾのその言葉に。
「今はまだ、竜王達の監視・・・強いぞ?」
彼らは知らされていないはずである。
 ・・・・今回のことに、あの御方が関っているなどとは・・・。
間違いなく。
いつものことながら。
魔族である自分達が何らかの行動をしたがゆえに。

今回のようなことになっていると思っているはず。

「一番手っ取り早いのは。ヴラバザードのところだね。」
先日・・というか。
結界中の大地で、二度目の戦いが始まっているころ。
こともあろうに、正義の名前を振りかざして。
古代より続く一族・・・古代竜、エンシェントドラゴンを皆殺しにし、滅ぼした、火竜王ヴラバザード。
その行動は、他の竜王などからきついお咎めをうけ。
今は謹慎処分と成り果てているのが今の現状。
「・・・・だが、誰がいく?」
そういっているのは銀色の髪の男性。
「うーん、僕がいくよ。あ、グラウvシェーラv貸してねv」
にっこりと微笑むフィブリゾのその言葉に。
「・・あのな・・・・フィブ・・・どうしていつも貴様は・・。うちのシェーラを指名するんだ?(汗)」
こめかみに手をあててそういう覇王グラウシェラーのその言葉に。
「いやだなぁv好きだからにきまってるだろ♡」
「・・・・・おひ・・・・。」
にっこりと無邪気な笑顔でそう言い放ち。
「それに?僕のところの神官と将軍。
  ・・・あのミルガズィアとかいう竜のおかげで・・・。ここではというかこの世界では。
  あの子達、物質干渉力・・なくしちゃって。滅んじゃったし。」
何でもないようにさらっといっているその言葉に。
「・・・ま・・まあ、確かにあれは・・・きついものがありましたわね・・。」
「うむ。確かに、ちょうどお使いに出していたシェーラくらいだな。無事なのは。
  未だに我のところでは、他の奴等は。今だに精神世界で唸っているが・・・。」
「私のところのゼロスは。まあ、多少のダメージはあったようだが。今では動けるが?」
「そりゃ、ゼラスはゼロス一人しか創ってませんものv」
彼らが部下を創るに当たって。
ゼラス・・獣王はその力の全てを注ぎ。
たった一人の直属の部下しか創らなかった。
それゆえに。
他の神官や将軍とは桁外れの強さとなっている。
「まあ、我のところでは。なぜかグルゥがあれを記憶球に封じ込めていたのが気になるが・・(汗)」
「あらvいいじゃありませんこと♡」
などといったほのぼのとした会話を繰り広げている彼ら、
魔族の中で魔王に直属に使えている部下である、腹心、冥王、獣王、海王、覇王。
この四人。
「・・・・で?ガーヴはどうする気だ?フィブ?」
ちらりと具間みて。
彼らのリーダー的な存在である冥王に話を振っているゼラス。
その言葉に。
「うーん、魔王様曰く、【子供は反抗期がないと成長しないから見守りましょう】・・・っていわれたけど?」
髪をいじりつつそういっているフィブリゾのその言葉に。
「・・・あれを【反抗期】・・・というのか?(汗)」
「・・・・とゆーか・・・・違うと思うが・・・・。」
「まあまあ、いいじゃありませんのv
   あの薬、つまり、精神的にも人の心が混じることが、証明できましたことですし♡
   これでこれをあの御方に献上できますわ♡」
にこやかにさらりと爆弾発言をしているダルフィンのその言葉に。
『・・・・・・・・・・・・・・・。』
全員しばし沈黙。
そして・・ギギギィ・・っと。
音をたてるかのごとくににこやかにそんなことをいっている、海王ダルフィンの方向を一斉にみる三人。
「・・・ダル?もしかして・・・(汗)」
「・・・・・・・・・おひ・・・。」
「・・・・ええと・・・何か僕・・・・すっごぉぉぉく聞きたくないなぁ・・それ・・。」
全員の思考は完全に一致しているのであるが。
「ええv以前、あの御方の宮殿にいったときに、あれをみせましたところ、ずいぶんと御気にいられたようで♡
   何でも完全に魔族でも神族でも人の心というか。他の存在と心を混じらせる薬を創ってみたら面白いのでは?
   と丁寧にご意見まで♡」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
「ちょっとまてぃぃぃぃぃい!!!!!」
「・・・・・おぉぉぃ!」
「・・・・あ・・・やっぱり・・・・。」
ガーヴ・・君の犠牲は忘れないよ・・。
そんなことを思って遠い目をしているフィブリゾに。
思いっきり叫んでいる覇王グラウシェラー。
そして、思わず突っ込んでいる獣王ゼラス=メタリオム。

・・彼ら、腹心の叫びが。
ここ、彼らが集まっている、砂漠の中に位置している冥王の宮殿で見受けられてゆくのであった・・・・。




「さって、シェーラvとりあえず、君は、僕の婚約者。という設定で、いろいろと回るよ?」
「・・・・はい。冥王様。」
「その、冥王様っていうのはやめてねv」
「ああ!すいません!」
いつもの少年の姿のまま。
そして・・また。
シェーラも少しフィブリゾにあわせて姿を少女にと変えている。
未だに目をまわし・・もとい、氷の封印に閉ざされている魔王。
その力を取り戻すには。
分断された欠片がどうしても必要。
「うーん、そうだvシェーラv人の精神破壊する武器つくって。
    それを人間に握らせたら手っ取り早いよねv僕は手っ取り早く輪廻転生を見てみるからv」
「了解しました。」
事務的な返事をする、覇王将軍シェーラに。
「・・あのね?恋人同士なんだから・・・。もっとそれらしくね?人間に怪しまれたらもともこもないし?」
「・・・・はい。」

火竜王が治めているこの地。
未だに火竜王の暴走の爪あとが残っている今現在。
・・・・この地に欠片が封印されている人間がいるかどうかは不明。
だがしかし。
欠片でなくても、その残留力を宿した人間ならば・・・。


このまま、何もしないでおくことは。
あまりに、危険・・もとい、好ましくない。

それゆえに。
各自の判断でそれぞれに行動を開始してゆく魔族達。



ザシュ。
「うーん、筋はいいよ?シルヴィ?」
「本当!?お父さん!?」
父から譲られたこの剣・・・。
何でも、よくわからないが、異世界の魔族とか何とか。
魔族というものはよくわからない。
分からないが・・・。
とりあえず分かるのは。
これを使えば、普通では切れないものも切れる・・ということ。
「カイ、とりあえず、これから、シルヴィのこと、よろしくたのむよ?」
いくら、ひとり立ちをさせるためとはいえ。
まだ、この世の中。
殺伐としている。
ルリファス=カウリイ=ド=ガブリエフ。
母と父との名前では。
何かしらの不都合があるかもしれない。
というので、人として暮らしてゆくために。
赤の竜神が彼につけた苗字が・・ガブリエフ。
あれから・・・数十年という年月が経過しているのにも関らずに。
あまり・・・というか、その外見はまだ二十代そこそこの若い男性。
何となく。
父と母の思いが・・・今になって分かったような気がする。
母を追って死を選んだ父。
そして・・・・。
人を愛する。
というのは。
あまり興味がなかったが。
であった瞬間に世界が変わる。
そういっていた・・・母の言葉が脳裏を横切る。

種族とか何とか・・・まったく関係なく・・・。

彼が愛した女性は・・・・エルフの少女。
そして・・・。
そんな二人の間に出来た子供が・・・このシルヴィ。

彼に託したカイ=レッド=ゴルンノヴァ。

「ねえねえ?父さん!?
   これ、光の刃がでるから!ゴル・・何とかってよびにくいし!『光の剣』じゃだめ?」
目をきらきらとさせていってくるその息子のその言葉に。
「うーん、カイ?それでもいい?」
『別に私は構いませんけど・・・。』
姉・・というか、カノン=ガルヴェイラより頼まれているのは子供のこと。
ならば。
彼女が目覚めるその日まで・・・。
彼女の願いを叶えるのが。
自分の役目。
そう、彼・・・ゴルンノヴァは思っている。


今。
ここに。
後の世に伝説の剣の一つとなる。
―光の剣。
その誕生の・・瞬間であった・・・・・。





調べれば調べるほど・・矛盾が見つかる。

「・・・・何のようだ?人間よ?」
その言葉に。
「とある情報から。ここに、水竜王様の知識があるとお聞きしました。私達は、かつての戦いの事実を。調べているものです。」
その言葉に眉をひそめ・・。
「・・・・調べてどうする?人間よ?」
余計な知識は・・・逆に諸刃の刃。
それゆえに。
この地に留まり。
あれを見守ることに合意している彼ら達。
「再び過ちを繰り返さないためにも。真実の歴史は・・必要と思いますが?」
凛としたその姿勢に・・。
何か神気を感じ取り。
「・・・分かった。案内しよう・・・。水竜王様の知識の欠片。それが留まっている・・その場所に・・・・。」


後に。
異世界黙示録(クレアバイブル)と呼び称されることになるそれに・・・・。


今。
シルナとセレーネは接触を果たしてゆくのであった・・・・。




                             -第49話へv-



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まえがき:

ふふふふv光の剣~♪
エルフの手が入っている・・・という理由は?
それは、簡単vルリファの妻がエルフv(こらまて!)
さてさて。
そろそろ終りが見えてきましたv
んではいってみましょうv


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あとがきもどき:

薫:・・・・よっし!!!
 ・・・・・・次がエピローグに・・・つけるかな?
 それとも・・短くするか・・うーん・・。
 ま、そのときにかんがえよう。うん(こらまて!)
  んではではvv

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