降魔への旅立ち


人間というか、生きているものは無力。
そう思いしらされるのは・・・・。
俗にいう自然災害に他ならない。
各地で以上気象が相次ぎ。
水は枯れはて。
そして・・・地震による地形変形。
大地の裂け目クレパスから、前触れもなく噴出すマグマ・・・。
海岸線沿いでは、津波が押し寄せ。


それはほんの一時のことだと、たかをくくっていた存在達も。
・・・・それが、流石に、一年以上も続けば・・・・・。


空気は未だに揺れ動いている。
北に臨む山からは絶えず響き渡る爆発音。



一年以上にわたり、光と闇のぶつかり合いがせめぎ合う中・・・・。


やがて・・・・・。



―ま、こんなものかしらね?でもずいぶんと遅かったわね?ん?



――――ぴしり。

とうとつに、戦っている最中。
二人の耳に・・・済んだ音色の声が響き渡り。


次の瞬間には。



空気を切り裂く悲鳴のような響きと。
そしてまた。

今まで黒い雲のようなもので覆われていたカタート山脈が。
淡い金色の光に包まれた・・・かと思うと。
それは、ほんの一瞬の出来事。



やがて。
空を覆っていた何ともいえないどす黒い霧のような雲が晴れ渡り。
その雲の切れ目から金色の光が差し込みだす。

さらり。
水色の髪が揺れる。


疲弊しきったそこに生きていた者達が目にしたのは。


その光の中に浮かぶ、水色の髪・・・・。



「今の私に出来ること・・・それは・・・・。」
すでに、もう、大地には力がないのは見てとれる。
そして・・また。
いつもののこととはいうものの。
カタート山脈の一角にて。
頭から大量に何か液体のようなものを流して倒れている二人の人物。
「大地の恵みたる、水の恩恵を・・・。」
これは、水を司る自分にしかできないこと。
水は全てをはぐくみ、そしてまた。
この地に生命を生み出した・・・第二の母。
そういって。
すっと手をかざす。



直後。

ザァァァ・・・・・・・・。

一体どこから出現したのか。
そこには雨雲など存在しないのに。
絶え間なく、降り注ぐ大量の雨。
だがしかし。
不思議なことに、普通の雨などとは違い。
その雨に濡れた大地は、瞬く間にその水を吸収してゆく。
一面が数十センチくらいにわたる大量の水に。
山や平面など関係なく。
あっという間に覆われてゆき・・・。

「大地の恵みと母なる海よ、我とともにこの地を浄化せん・・。」
今。
できることは。
いや、そういう約束。
こののまま放っておいても・・・。
間違いなく制裁が加わるので・・というので。
すでに戦う前に決められていた決定事項。

いつものことだ。
戦いの後・・・大地と水と同化し。
その地の浄化を図るのは・・・。
他ならない・・・彼女の役目。


争いでつかれたこの地に安らぎと休息を・・・・。


女性・・・・水竜王ラグラディアの言葉に従い。

この地・・・・封印されているこの地域全体に、空に一瞬水の膜が出現し。
次の瞬間には。
その膜がまるで孤を描くように、そのまま地上にと落下していき。

何が起こっているのか気付く間もなく・・・・。

全ての大地という大地に。
アクアの創り出した・・・再生のための水が万遍なく浸透し。

そこは、すでにマグマとかし。
歩く場所もないであろうその場所もまた。
その水に触れ、大地は固さを取戻し・・・・。
そして・・また。
それに伴う水蒸気によって、大量の空気中に水分が混じり・・。
気温の急激なる差は。

そしてまた。
傷つき・・・そして、つかれきっている・・そこに倒れている二人もまた。

優しく包み込んでゆく・・・・・。



彼らの力のぶつかり合いで、すでにこの惑星は。
再び活力を活性化させている。
今しばらくは・・・・彼らには休息が必要なのである。

そのまま。
まるでその水蒸気によって出現した霧に守られるかのごとくに。
辺りの空気そのものが・・・凍りつき。

次の瞬間には。

―ピシリ。

その場は・・・・大量の氷でそこ・・戦いが行われていたその地は覆われ、外界から閉ざされていき。
そして・・・また。
水に運ばれ・・・ある地にと向かった・・・女性・・ルナの体は。
そこにて。
一瞬水の檻の中に閉ざされたかと思うと。
次の瞬間には。
その中で眠る・・・一人の赤ん坊と成り果て。



やがて。
完全に雲が切れた・・そこからは。
数年以上ぶりであろうか。
太陽の光が・・・大地を暖かく照らし出してゆく・・・。

傷つき、それでいて。
生き残っていた存在達が目にしたのは。
・・・・何もないといっても過言でない大地と。
自らの行いによってといっても過言でないほどに荒野と化している大地。

かろうじて、木々などが残っているのが唯一の救いか。


この短期間の間に・・・。

この地にいきていた存在は。
その数を二分の一以下にまで・・・落としている。


今度は、二度と、過ちを繰り返してはいけない。
それは先ほども決意したはずであったのに。
・・また。
二度も連続で過ちを繰り返し。
今の結果になっていることに気付いた人間達は。
生き残った者達で協力し。
そして・・また。
次に戦いが起こりかけたときなどに対処すべく。
対応組織などを作ることに合意して。


・・・・それは。
数年後にできる、魔道士教会という組織の原型となってゆくことは。
今、この時点では誰もしらない・・・。





「・・・つまり、叔父さま?人間は・・・・いえ。生きている者達は・・・・同じ過ちを繰り返している・・と?」
きょとんとした瞳で見上げるその少女の言葉に。
「・・・・そうだな。我らとて・・・それに踊らされていたにすぎん・・。
  あのとき・・・ラグラディアさまが、その身を水と大地に、同化なさってくれなければ・・・この地は今はない。」
そういいつつ、膝のうえにちょこんと座っている、エルフの子供に。
そういっているのは金色の髪のまだ若い男性。


あのとき。
彼らは・・みた。
空にかかる水の膜ともいえる、大量の海のような外壁に。
そっと足をつけ・・そして。
それにと溶け消えるようにと同化した・・・滅んだと思われていた水竜王ラグラディアの姿を。

―残留思念によって我らを見守っていてくださるか・・。


それは、とてもうれしくもあり。
そして・・また。
何もできなかった自分達の無力を引き出していることに他ならず。


・・・・次は。
傍観ではなく、極力。
早い段階で、何らかの手を・・・打つべきだと。
彼・・・・水竜王に使えていたミルガズィアは決意を新たにしつつ。

「メフィ?生きているかぎり過ちは誰にでもある。だが・・その過ちを二度と繰り返してはいけないのだ。」
「分かりましたわ。叔父さま。」

残った一族達は。
その絆を深く、二度とこういうことが起こらないように。
そして・・・また。
たった一人の腹心ではない魔族にあっさりと壊滅させられた。
という事実。
再び魔の襲撃に近いものがあったときのために・・。


復興しながら、それに対しての備えも・・・万全にと唱えてゆく、エルフ族、竜族たち。



まどろむその中で。
彼は・・・・・力を蓄えてゆく。

そして・・また。
水の中、まどろむ彼女もまた・・。
力を蓄え・・・・。





つまり、かつての戦争によって。この地は、壊滅的なダメージを受けたわけです。以上、質問は?」
ばたん。
その手にしている本を閉じる。
「はーい!先生、質問!」
「はい。どうぞ?」
「・・・・・それが全て魔の仕業だ・・と。記録が残っているんですか?」
ざわり。
その質問に教室が揺れる。
だがしかし。
「ええ。そうですよ?」

・・・人は、やましいことがあれば。
それを隠し・・そしてまた。
歴史は・・・・都合のいいように、いつのまにか伝えられ。

二度行われた大戦は。
それは・・・魔による大戦・・・たった一つで区切られた。

―― 降魔戦争。
復活した七つに分けられた魔王の一人が。 水竜王と対決し、そして。
当時した赤の竜神の騎士も・・相打ちのような形となり。
水竜王と竜神の騎士の力によって。
魔王は北の地に氷に閉ざされ・・。
この世界は今はとりあえずの安定をもたらしている・・・・―――

それが。
世間に伝わっている常識。
真実は・・・・闇の中に・・・・閉ざされ。
人の手によって・・・二度目の争いが起こったことは。
・・・・歴史から抹消されてゆくのであった・・・・・。





「うーん・・・・絶対にフに落ちないぃぃぃぃい!」
何か漠然と違うような気がする。
「・・・・自力で調べてやれ!」
世間の常識は何か違うような気がする。



インバース家、長女、シルナ。
今彼女は。
自力で・・・歴史の真実を・・・探り始めてゆく・・・。
時期永遠の女王、セレーネと共に・・・・・・。




シルナ=ドナ=インバース。
セレーネ=トゥエル=ラナ=ゼフィーリア。

この二人が調べた歴史書は。
後々、ゼフィーリア王家が重要書物として・・・
・・・・保管することになるのであった。




                             −第48話へv−



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まえがき:

  ・・・うーん。
  ルナとレイの戦い。
  表現無理なので(こらまて!)
  省いてますv(だからまて!)
  きにしないよーに(きにするわ!)
  さて・・・多分あと一回か二回でこの話も終わりv
  んではではv
  いくのですv

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あとがきもどき:

薫:・・・・・よし。
  次回で魔族側の動向・・・・っとv
   もう少しでエピローグv
   ・・・・・50話以内では・・終わりますね(爆!)
   ではではv
   ・・・・・何か最近・・短いですね・・ま。
   きにしないよーに!(こらこらこら!)
   ・・・・それはそうと、なぜか部屋の外の雨どいに。
   ・・・・今日からミツバチが・・・巣を作っているのですが・・。
    ・・・・・なんで?(笑)
    ツバメも雀も・・・・うちには巣をつくってるぞぉ?(爆!)

2003年6月4日。

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