降魔への旅立ち




はあはあはあ・・・・。
息をきらせつつ。
近くにあるシーツを握り締める。
「・・・・ずいぶんと・・・・手がはやいのですのね・・・・。」
じと目で睨んでいるそんなカルナに。
「何事も先手必勝ですよvカルナv」
「・・・・あ・・・・ん///またぁ・・・・。」
であって間もないというのに。
それはあっという間の出来事で・・・。
まあ、賃金もないというので。
一部屋しか取らなかった、おそらくはカルナの落ち度であろう・・・。

『・・・・も・・・もう・・・これ以上は・・。』
『・・・・とゆーか・・・・滅びたのがかなりいるが?(汗)』
『・・・・ですね・・・・。』
もうこれ以上、みるに耐えられない彼らは。
そのまま。
『・・・・あ、儂もちと人間界に・・。』
『あ、私もそーします・・・・。』
などと。
口々に。
そんなことをいいつつ、互いにそこから逃げている彼ら達。




どぐわ!
ひくひくひく・・・・。
盛大にずっこけている一人の少年に。
そしてまた。
会議の最中だったというがゆえに。
同じく椅子から転げ落ちている銀色の髪の男性。
そして。
「ああああ!私のかわいいガーヴがあんな人間の毒牙にぃぃ!?」
などと違う意味で絶叫を上げている・・・レイ。
『・・・・・魔王様・・・・あれみて何ともないんですか?(汗)』
全員の・・・・冥王、獣王、覇王の全員の突っ込みが同時に起こり。
「ふふふvやはり、私のあの薬は完璧!ですわ♡あれ、実は、完全に人の心にする効果もあったのですわよねv」
なぜか。
ひとり、うきうきしている青い髪の女性。
「・・・・・ダルぅ・・・・・おまえ・・・いや、も・・・いい・・・。」
こいつだけは敵に回したくない。
そうおもいつつ。
同僚たる、ダルフィンを見つめる、フィブリゾ、グラウシェラー、ゼラス、
この三人であった・・・・。

「とりあえずは・・・・あのヴラバザードが。暴走始めてるし?あの地をひっかきまわしてみようよv」
「あ、それいいな。賛成。」
とりあえず。
これ以上は、精神的にもかなりきついものがあるので。
何もなかったことにして。
現実逃避に、結界を張っている外・・・。
今、どうやら面白いことをはじめようとしている、あの地に。
ちょっかいをかけることを提案しているフィブリゾ。
その言葉に。
「まあ、それはオモシロそうですよわ♡」
ころころと笑っているダルフィンに。
「ああ・・・私のかわいいガーヴが人間に襲われてるぅ・・・・・」
などといいつつ。
いじけているレイ。

・・・・ここに、彼の直接の腹心以外いないことを。
幸いと思うしかないような魔王の姿が、そこには見受けられているのであった・・・・。





一体何が起こっているのか・・・・。
確かに。
先ほどまで、新年のお祝いをしていたはずである。
だがしかし・・・・。


いきなり。
扉が乱暴にと開かれたかと思うと。
ふと。
目にはいるのは。
槍などを片手にもっている竜達の姿・・・。

そして。
意味が分からない、抵抗すらしていない、宴に狂していた、彼らを。
いきなり。
その槍で貫き・・・・。
一瞬、何が起こったのか、理解不能。

外からは。


「平和を乱そうとするもはころせ!」
「災いの目は早めに!」
などといった怒号が飛び交う声が聞こえる。


そして。
 
乱暴に。
抵抗もできない、女、子供・・・挙句は、まだ卵でしかない幼生体まで。
その槍で串刺しにしてゆく・・・・同じ仲間であるはずの・・神族に組しているはずの・・・・黄金竜たち・・・・。

殺せ・・殺せ・・ころせぃぃぃぃ!!!!

だんだんと高まるその声は。
時間がたつとともに膨れ上がり・・・・。

気付けば。

カラ・・・ン・・・・。

「・・・・・・何が・・・・。」
トイレにいってくる。
そういって出て行った弟の・・・・変わり果てた・・・姿に、仲のよかった友達の姿・・・・。
そして・・・・・。

確かに、先刻まで、一緒に笑っていたはずの・・・。
ここにいたはずの仲間というか大人たち・・・・。


母親達につれられて別の神殿にと移動していた。
そして。
そこに、子供達を残して、一度彼らの神殿にと戻っていったスピカたち。


そのむせ返る匂いに。
おもわず気絶してしまった。
それが彼にとって、幸いだったのか・・・はたまた不幸だったのか・・・・。



かさりと。
外にでてみれば。
そこには・・・・無数の槍に貫かれ、そして串刺しと化している、仲間たち・・・・エンシェントドラゴンたちの姿が。
中には。
頭だけを切り取られ。
そしてまた・・・・。
その全ての頭という頭蓋骨には。
これでもか!
というほどの何かが突き立てられ。


「あ・・・・・あ・・・・・・・うあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

遠くに見えるのは。
いきなり、襲撃してきたであろう黄金竜の姿。

累々たる、黒い屍が並ぶ中。

まだ、幼い、彼は・・・。
ただただ。
何もできない自分を呪いつつ。
そしてまた・・・・。

そこにうずくまり。
ただただ、泣くしかできない自分が悔しい。

確かに。
以前から、あるものを手渡せと。
誰か・・たしか、火竜王に仕えているという存在が出向いて来ていたことは知っていた。
だが、かたくなに拒んでいた一族。

それは。
神殿の奥にあり、誰一人として、その中に入ることは・・今はできない。
母が話していた記憶を頼りにするならば。
・・・・・この人は眠っているから・・・。
ということ・・・のみ。


「・・・・まだ生き残りがいるはずだ・・・よね?夢だよね?これ?」
そう。
現実であるわけがない。
こんなこと・・・・。
だがしかし。
抵抗しなかったものもいるものの。
さすがに。
やられっぱなしではなかったらしく。
黒い巨体のその中に。
まぎれている金色の体やその他の紅い体に青い体など。
だがしかし。
「ねぇぇぇ!誰かいないのぉぉお!!!?」
・・・・少年・・・・ヴァルの叫びは。

ただただ。

むせ返る死臭の中にと・・・・・かき消えてゆく・・・・・。




「・・・・・何ごとですの!?」
いきなり、襲撃してきたのは。
宿からでれば、そこにいるのは、空を多い尽くす、無数の金色の何か。
それが、滅多に人前に姿を見せないはずであるはずの黄金竜と気付くより早く。
「ここに、悪魔の生き残りが来たはずだ!一人残らずころせぃぃ!」
などと、竜の言葉で。
上空にて叫んでいる竜達の姿。
「・・・・ちっ!カルナ!早く服を着ろ!宿から出るぞ!」
いいつつ。
窓から外をみていたラグールが。
ちらばっていたカルナの服を手渡し。
自らも服を着替え始める。

それは。
カルナとラグールが一緒に旅を始めて・・。
約、一年が経過したであろう、ある日の唐突の出来事。



戦いを好まず、平和を好む一族である、エンシェントドラゴン。
だがその実力は、軽く黄金竜を上回る。
何しろ。
竜神に仕えていた神族である。
彼らが信仰するのは、ただ一人。
赤の竜神スィーフィード。
だが。
彼らが保管しているとあるものを巡って。
それを口実に。
彼らを根絶やしにするようにと、命令を下した、一人の竜王。
大義名分・・・・正義という名前の下に。


そのためなら。
無関係な人間なども。
巻き込んでも、根絶やしにする必要がある・・・・。



少し考えれば違うと分かりそうなものであるが。
それが正しい。
火竜王がいうことに間違いはない。
そう思い、ただただ。
人の姿にまぎれて、散らばった、彼らを根絶やしにするために。
その可能性があるであろう、町や村などを襲撃し壊滅させてゆく、火竜王・・・・。


この地は。
今や、魔による脅威ではなく。

・・・・・人々が信じていたはずの竜王の手により。
脅威にとさらされてゆくのであった・・・・。



すでに。
先の戦いで。
力あるものなどは大半死滅し。
それでなくても。
力があった存在などは。
その全てといっても過言でないほどに。
あの地に・・・・今や封印に閉ざされてしまったという地にと。
神と魔、そして、生きる者達の戦いにおいて出向いていき。
戦力など・・・残っているわけなどない。
疲弊している国々は。
その脅威に・・・耐えられるはずもなく。

だがそれでも。
対抗策を練り。
自然の鉱石などを使い、自衛の手段を模索してゆく・・・・。




一人が、火薬。
というものを発見し。
それが見るまに普及していったのは。
空にある脅威に対抗するがゆえのこと・・・・・。



彼らは気付かない。
竜王が起こした戦いの中。
力を蓄えようと、魔が・・・・介入をしてきていることに。


竜王の神の力によって、保たれているその場所に。
闇の生き物が闊歩し始めてゆくのは・・。
そう遠くない出来事であった。



「エルメキア・ランス!」
ドシュ!
「カルナ!?大丈夫か!?」
「え・・・・ええ・・・。」
大きなおなかを抱え。
ラグールに守られるようにと互いに背中合わせになっている、二人の男女。
・・・・だがしかし。
・・・・・片方の、華奢で色白で体つきが細く、水色の髪に水色の瞳の人物が。
・・・おなかを大きくさせていたのなら、違和感はないであろう。
だがしかし。
・・・・おなかを大きく・・つまりは、妊娠しているのは。
その彼の横にいる・・・かなりごつい体格の、野性味を帯びた感じの、かなりしっかりした体型の・・。
紅い髪をしている人物であるからして。
・・・・みため、かなりの違和感・・というか。
まず通常の精神ならば、錯乱するであろう。
・・・・まさか、男性と思ったじんぶつが女性で。
ついでにどこをどう見ても女性でしかないその人物が。
・・・・男性などとは。

あまりに、不釣合いなそのカップル。
だが、その実力は並外れて高いもので・・・。

今は。
ともかく。
そんな見た目は見なかったことにしてでも。
彼らにと依頼が・・殺到してゆく・・・・・・。



カルナとて、術が使えないわけではない。
だがしかし。
人間の女性は・・・・いや、大概におけるその体に子供を宿して出産する種族の場合は。
極端に、妊娠しているときは、その力が使えなくなる。
そのために。
今では、術にたよらずに。
ただひたすらに、大剣を振るいつつ戦っているカルナ。



「・・・・・あら?薬の副作用はあのように来ましたか♡ほほ♡これは、チェックですわ♡」
ひとり。
水を湛えた、壁などからは。
海の生き物が見えていたりする。
さんご礁など、自然の豊かな風景に囲まれている、かなり綺麗なその空間。
だがしかし。
ここにあるのは、全て、その形をとっている、彼女が創り出した魔に過ぎない。
ここでは。
あまりの瘴気の濃さゆえに。
自然界の植物や生き物は、まず長時間は生きられない。
ふと。
自分が飲ませた薬の成果が。
違う場所にも聞いているのを発見しつつ。
うきうきしつつ。

そこには。

―ガーヴの実験レポート(はあと)


と書かれている何かノートのようなものに。
うきうきしつつ、何か書き込みをしているダルフィンの姿が。


その横には。

―赤瞳の魔王様実験レポート。
―獣王実験レポート・・・。
―魔族と人間の合成についての結果と報告レポート
―精神が、どこまで衝撃に耐えられるのか報告と結果

などといった。
彼女の趣味全開の、様々な代物が、転がっていたりする。
「どうやら、無理やりに分身を作り出す効果もあるようですわ♡」
くすくす笑いつつ。


・・・今や人間に転生している、彼女の仲間であるであろう。
・・・なのに、完全に実験体としか見ていない、ダルフィンの心底楽しそうな声が。
そこ。

魔海。
とよばれている海の中。
そこにある宮殿の中で、ただそんな彼女の姿が見受けられていたのを・・・。
・・・・・・・・誰も知るはずも・・・ない・・・・。


                             -第42話へv-

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まえがき:

ええと。
カルナとラグールの関係は想像しないように!(撲殺!)
・・・・想像したら・・死にますよ?ええ・・・(汗)
いや、ほんとーに・・・・。
さて・・・。
少しばかりギャグに徹していた(爆!)この話。
またまたシリアスに逆戻り?
とりあえずは。
歴史から抹消された、残虐。エンシェントドラゴンの抹殺。
今回からはそれです・・・・はい・・・・・・。
参考は、スレイヤーズTRYまでv


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あとがきもどき:

薫:・・・・・・次回でヒュレイカーだしてやれv(おい!)
  いや、海神官の名前・・・・これ、考えたときには決まってなかったし(こらこらこら!)
  さてっと。
  転生ガーヴ・・・どこまで書くかな?(だからまて!)
  んではではv
  また次回でv

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