降魔への旅立ち
「だから、出せといってるだろうが!このボけなす!あんぽんたんども!この俺は男だぁ!だせぃ!」
ガンガンと。
何やら、叩く音がだんだんと高くなってくる。
そして。
・・・まあ。
かなり澄み切ったかん高い声で。
そんな言葉を発している誰か。
「誰かいますの?」
そういいつつ。
かなりトーンの低くどすのきいたような声をしているこのカルナ。
・・・互いを入れ替えたら、しっくりくるであろうこと間違いなし。
そして。
何やら、鉄格子をがんがんと叩いているそこに。
その髪は流れるように少しウェーブの入り。
その髪の長さは肩よりも長く。
その、ぱっちりとした大きな瞳は髪と同じく水色の瞳。
そして。
鼻筋のとおった整った顔立ち。
そして。
細いまでのその体つきに、透き通るようなまでの白い肌。
そして。
その少し濡れた愛らしい小さな口から、出ている言葉は・・・。
「ん?」
ふと。
ガンガンと足で、蹴っていた、それを止めて。
鉄格子の前にと立っているカルナを見つめる。
「・・・まあ!こんなところに人が!?ちょっとまってくださいませね?」
そういいつつ。
どうやら、その鉄格子はオリハルコンで作られているらしく。
魔力の干渉を受け付けない。
そのために。
いくら、鉄格子の中・・つまりは牢屋の中から呪文を使おうにも、使えない状態。
そこに。
一人の人間が閉じ込められているのを確認し。
そのまま。
背中に背負っている剣を取り出し。
カキィィン!
なぜか、カルナをじっと見つめて、黙っているその人物の前で。
おもいっきり、鉄格子を剣を一閃させるだけで叩ききっているカルナ。
そして。
「大丈夫でしたか?」
そういって。
チン。
剣をしまいつつ。
そちらに向かって向き直るカルナに。
「うん!惚れたぜ!」
「・・・・・・・・・・・は?」
いきなり、そういわれて。
思わずそちらを振り向くカルナ。
「うーん、こんな所に掃き溜めに鶴とはまさにこのこと!何て美しいお嬢さんv」
などといいつつ。
しっかりと、カルナの手を握り締め。
「こんな美しいお嬢さんに助けていただけるなんて。うーん、これは運命というものか?
あ、はじめまして。お嬢さん。私はラグ。ラグールと申します。」
そういいつつ、すちゃっと。
片方の膝をつき、カルナの左手をとり。
その手の甲に軽くキス。
「・・・あ・・・あの?」
その様子に、思わず戸惑っているカルナ。
・・・みため。
かなりすごいものがある。
何といっても、ごつい体格の紅い髪の野性味を帯びた人物に。
極端に違うまでの、華奢で色白のどうみても美少女・・というか。
俗にいう、絶世の美女・・とまではいかなくても。
ある意味、はかない雰囲気をもっているどこかのお嬢様かお姫様。
といった人間が。
・・・・膝まづいて、手の甲にキスをしているのであるからして・・・・。
とまどいつつ。
どう反応していいものか。
・・・というか。
よくこのカルナが、一目で。
・・・・女性とわかったものである・・このラグールと名乗った女性(?)は・・。
とまどうカルナにむけてにっこりと微笑み。
「お嬢さん、差し支えなければ、貴女のお名前を聞かせていただけませんか?」
そういって、にっこりと笑う。
・・・・始め、見た限りでは女性と思ったのだが。
その纏う雰囲気は、女性のものではないので。
・・・どこをどうみても女性以外の何者でもない、
このラグールと名乗った人物が男性というのは。
その気配で分かっているカルナ。
だがしかし。
このように。
しっかりといきなり手の甲にキスをされ手を握り締めてくるなど・・・。
こんなことは、今までに一度たりとてなかった。
おもわず揺らぐその瞳で見下ろすその先に。
にっこりと微笑んでいるラグールと名乗った人物。
そして。
「出来ましたら、あなたのような美しい女性の騎士を。この私が勤めさせていただけないでしょうか?」
などといいつつ。
再び手にとっている手の甲にキスをしてくるラグールにとまどいつつ、少し頬を染めてから。
「・・・・私は・・・カルナといいます・・・あ・・あの・・。はずかしいからやめてください///」
などといいつつ。
おもいっきり恥ずかしがっているカルナ。
「おや、失礼。そうですか、カルナさん・・ああ、何て素適なお名前♡」
「・・・あ・・・あの?と・・ところで・・。あなた・・」
「ラグと及びください、カルナさん♡」
「は・・・・はぁ・・では。ラグ・・さん?あなたはどうしてこんなところに?」
そのことばに、にこりとし。
「いや、何。いくら、この私が男性といっても。女性と勘違いしたらしく。生贄にするとかいって。
彼ら、この私を閉じ込めたんですよ。あ、ちなみに、私、こう見えても魔道士なもので。」
確かに。
よくみれば、その身につけている・・かなり高級そうな宝石に見えるそれは、どれも魔力を帯びたものばかり。
「まあ、魔道士さんですの?私は、剣士ですのよ?」
その言葉に手を口に当てて、にっこりと笑っているカルナ。
その言葉に。
ぱっと目を輝かせ。
「おお!何という運命!これぞ天が、この私に。あなたという天使を授けてくれたに違いがない!
いかがです?このご時世、女性の一人旅は危険ですよ?この私を護衛に雇いませんか?
当然、何も見返りなどはいりません。あなたの笑顔が毎日見れるのであれば♡」
いきなり、そんなことを提案してくるこのラグールに。
・・・・どうしましょ?
だがしかし。
こんなに好意をあからさまに寄せられることなど、今まで・・・うまれたこのかた一度もなかった。
少しくすぐったいような感覚にとらわれつつ。
「・・・・確かに、一人より、二人の方が旅も安泰ですわね?では、もし、よろしければ・・・ご一緒していただけますか?」
確かに。
このご時世。
一人より二人の方が、何かと仕事を請けるにも簡単で・・。
その言葉に。
「おおおお!さすがは私の女神!」
などといいつつ。
またまた手の甲にキスをするラグールに。
「・・・お願いですから・・それ・・やめてください///」
少し頬を染めて。
かよわい小さな声でつぶやくカルナ。
・・・・・・・・・・・・・・ぐはっ!
「・・・・・・・・ガーヴさまぁ・・・・・。」
「・・・・・ぶ・・・物質化・・・・不可能・・ですな・・これは・・・。」
ひくひくと。
精神世界からそんな主の姿をみて。
・・・・・・・・かなり力を削いでいる、彼ら・・・魔竜王配下の魔族達の姿が精神世界面において見受けられているのを・・。
・・・・・・・・・当然、カルナは知らない・・・・。
「・・・・・ふう。何だかなぁ・・。」
「まあ、仕方ないですわよ?」
溜息がでるのも仕方のないこと。
ようやく、一応は平和になった・・はずであるのに。
一人の人間の手によって、残っていた国などは、ことごとく壊滅。
・・まあ、それが。
少年・・・
ルリファス=カウリイ=ド=ガブリエフ。
彼の実の父親がやったこととはいえ・・。
その金色の髪に紅い瞳は、父と母からの授かりもの。
ちなみに。
ガブリエフという姓は。
育ての親である、ルナティックがつけたもの。
父親と同じ姓だと。
さすがに、彼に悪意をもっているものは少なくないからして。
今はまだ。
七歳になるかならないか。
ここ、ゼフィーリアで、建国の手伝いをしつつ、ルナ達を手伝っているこのルリ。
「まあ、ここ、数年で。ようやく。他の国とかも形になってきましたしね・・。」
一度、戦いと、そして。
一人の人間の手により、ここ以外の国は全て壊滅されて。
一つの神の力が仕えなくなったことも起因して。
生き残った人々は、互いに力をあわせて。
あらたな王国を気付き始めている今現在。
そして・・・・・・。
「・・・・・・・・・・・お母さん?」
きょとんとした瞳で見上げている少年に。
「・・・いい?絶対に外にでたら・・・・駄目よ?」
真剣な瞳で諭している一人の女性。
ようやくこのほど六歳になったばかり。
だがしかし・・・・。
何やら、外が騒がしいのは。
いくら神殿の外にでたことのない彼の目にも見てとれる。
「・・・・・・絶対に・・・・彼女だけは・・・。」
そういいつつ、決意を秘めているその瞳は。
あきらかに。
何かに対して恐怖を感じているもの。
「・・・・?ねえ?スピカ母さん?」
「ヴァルは弟と一緒にここにいなさい?ね?」
「・・・・うん?」
何か、真剣な目をして外をみている母・・・・スピカの姿に何もいえなくなっているのは。
竜族であるがゆえに。
その成長速度は人間とは違い。
ゆっくりであるがゆえに。
あれから・・・・・彼が卵として誕生し。
かなりの年月を経過しているものの。
彼自身は、まだ彼らの一族の時間率からして、まだ七歳。
その蒼い髪の色は。
これから起こる悲劇を・・・知っているのかいないのか・・・。
「よいか!?あれらは、平和を願うといいつつ、悪魔の武器を隠し持っている!
それは、即ち、この世界に混乱を招く用意があるということだ!」
『おおおおおお!!!』
「出撃!容赦はするな!手加減なしでいけ!」
すでに結界で覆われた地区の外では・・・・。
今。
一人の竜王の手により。
歴史から、今まさに。
一つの種族が・・・・滅びを迎えようとしているのを・・・。
今はまだ・・・・。
誰も気付いてない・・・・。
-第42話へv-
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まえがき:
うーん。
前半、とにかくギャグ!(こらまて!)
んで・・・次回にまたまたいっきにシリアスにぃ・・・・。
・・・・・ついでに。
古代竜との戦い。
彼らはかなりの力をもっているので。
数年以上にわたってあった・・という設定にしてますのでv
あしからずv(まて!)
とゆーか戦いたくなくて各自隠れたのを見つけ出しては、虐殺してゆく火竜王に続する黄金竜達・・・(汗)
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あとがきもどき:
薫:・・・・あったらこわいって・・。
あの容姿に言い寄る男性・・・・(汗)
・・・・でも・・・いたのよね・・・・ふっ・・・・・・。(汗)
・・・・ギャグに徹していた、話もそろそろ?
・・・・火竜王の大馬鹿の戦いに巻き込まれたのは・・。
何も、エンシェントドラゴンだけではありません・・・。
ではでは・・・・・。
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