降魔への旅立ち



どぉん!
どこからともなく響いてくる爆発の音。
「・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・。」
「あら、おほほほほ♡」
思わず頭を抱えている三人とは裏腹に。
にこにこしている一人の女性。
「・・・・・ええと、そういえば、誰か・・・。ガーヴに作戦・・・説明・・した?」
「ん?フィブリゾ?貴様がしたんじゃないのか?」
「え?僕はてっきり・・・・・。簡単にはしたけど・・・・。」
詳しいことは、てっきりグラウがしたのかと・・・・。
そんなことを思いつつ。
つぅ。
額につたう汗。
今回の作戦は。
あくまで。
水竜王を狙っているようにと見せかけて。
あくまで人の中に封印されている、他の欠片を見つけ出し。
レイがその身に吸収し、完全復活を果たすこと。
「・・・・多分してても・・・わすれてるんじゃなのか?」
・・・・ありえる・・・・。
ぽそりといった金色の髪の女性の言葉に。
思わず全員が同じ思いに捉われる。
「と・・・とりあえず?この地に結界・・・張らない?」
冷や汗をかきつつ、つぶやくフィブリゾ。
まずガーヴを止めるにしても。
何にしても。
レイ・・いや、彼らの魔王が、赤瞳の魔王(ルビーアイ)が。
力を今まで隠していたのを表に出さなければ。
まず、ガーヴを止めることは不可能であろう。
だとすれば。
まだ完全に力がもどってない状態で。
他の竜王達にちょっかいかけられるのは面白くない。
「まあ、確かに、それは一理ありますわね。それでは、他の竜王達の干渉ができないように。
   互いに力を高めあうような結界、つくりますか?」
ころころと。
何か、オモシロそうなことになっている、と思い笑っているダルフィンのその言葉に。
「・・・・ダル、貴様は楽しんでないか?」
思わずじとめでそんなダルフィンを眺めているグラウシェラー。
「あらvいいじゃありませんの♡人生、楽しまなくては損ですわ♡」
「・・・・・お前は人でないだろうが・・・。」
ころころと笑いながらいっているそんなダルフィンのその言葉に。
思わずこめかみを押さえていっているゼラス。
「ま・・・まあ。とりあえず。魔王様がガーヴを止めるのを前提に・・。
   まだレイ=マグナスという人間が。実は魔王様だと知られるのはまずいのではないか?」
額に器用にも汗を具現化させつつも。
話題をさらりと変えているグラウシェラー。
「確かに。それなら、おそらく。本格的にアクアロードへの攻撃が始まったと。混合部隊は思うであろう。
  ・・・・竜族とかの、主要部隊は。ゼロスに任せよう。」
そういいつつ。
「ゼロス、聞いているな?お前はあの地に、他のものを近づけさせるな。」
そういいつつ、精神面をつかって。
自分の直属の部下であるゼロスに語りかけているゼラス。
―は・・はぁ。あの?ゼラス様?どんなにやってもよろしいのですね?
「好きにしろ。」
―では♡
そんな会話を精神世界(アストラル・サイド)にて繰り広げている、獣王主従。
「それじゃあ、僕のほうは。部下達にあの地に近寄れないようにするようにするよ。」
「では、私も♡」
「私は結界の外を担当しよう。」
一人の同僚の計画のない、行動により。
必然的に全体の計画を変えざるをえなくなっている彼ら魔族達。



カタート山脈に向かう道筋に。
無限にでてくる魔物たち。
普通ならば、この地には。
竜王の神聖なる力の加護で。
こんな魔物は入り込めないはずである。
それに驚愕しつつも。
「ほら、先をいそぎますよ?」
「大丈夫ですか?」
まったく、疲れた様子もみせないこの兄妹。
彼を指揮官としている人々は。
その力のすごさと。
そしてタフさに感心する。
そのまま。
彼ら・・・・レイとサファイアを先頭に。
彼らの目的地。
カタート山脈にある、水竜王の神殿にと。
選ばれた数個の団体が。
水竜王を手助けするために。
地上の道を進んでゆく団体がいくほどか。

彼らの目的地は、水竜王が鎮座しているという、水竜王のアクアパレス。



「・・・・・やれやれ、まあ、ガーヴ様の行動はいつものことですが・・。」
少し苦笑しつつも。
くすりと笑みがこぼれる。
さすがに。
大きな力のぶつかり合いのその波動は。
この惑星全てにと余波が回り。
この地に向かって水竜王の手助けをするべく。
他の竜王配下の精鋭部隊もやってこようとしているが。
それらはすべて。
すでに張られている、腹心四人の結界により、はじかれ。
その外では、覇王を中心とし、ノーストやグルゥ、シェーラ、ディーが。
覇王の配下が、
そんな彼らを根絶やしにしつつ、追い払っている様子が見てとれる。
目の前に向かい来るのは。
無限ともいえる、混合部隊の選りすぐりの精鋭部隊。
そう彼らは自分達で思っているが。
彼らの中に。
かつての戦い・・・・神魔戦争を生き抜いている存在がいないことも敗因の一つ。
彼らは知らない。
自分達が向かおうとしている相手が、どれほどの力をもっているのかを。

ごぉぉ・・・・。

すでに。
水竜王の力と魔竜王のその力が、拮抗しあい。
カタート山脈は。
すでにマグマの海と化している。
そんな力が拮抗しているがゆえに。
その場の空間そのものが不安定に陥り、上空に無数の瓦礫が浮かんでいたりする。
その一つの瓦礫の上に。
にこにこと、不釣合いな笑みを浮かべて。
その瓦礫の上にすくっとたっている一人の男性。

まだ、この場には。
人間は誰もたどり着いていないはず。
だがしかし。
不似合いなその笑みは。
別に実力があるとも到底思えない。
そのまま。
まだ若い竜などは。
その力を測りかね。
そのまま、それを無視して、突進しようとする。

すっと。
にこにことして細めていた目を見開く。
その瞳に映り込む。
地平線の向こうに浮かんできている竜の精鋭部隊。
その見開いたその目が。
紫の色だったのをいったいどれくらいの存在が気付いたであろうか。
そのまま。
にっこりと。
すっ。
手をゆっくりと上にあげていき。
すっと横に移動させる。

その刹那。

ドドドドドォォォン!!!
チュドドドド!!!!

かなり数キロ以上離れているというのに。
いきなり。
彼ら、竜達が飛んでいた空間から。
無数の小さな何かが一瞬見えたとおもいきや。
いきなり。
鋭い爆発と。
そしてまた。
一瞬にして、その四肢をばらばらにして地上に落下してゆく仲間たち。
一体何が起こったのか。
それが。
精神世界面(アストラル・サイド)からの攻撃だと気付いたときには、すでに遅く。

・・・すでに。
無数ともいえるほどにいた、彼らの精鋭部隊は。
その数を五分の一以下にまで失っているのであった・・・・。

あまりの実力の差。
だがそれは。
見た限り、どうみても、かなり前にいる、一人の神官は腹心などではない。

「おやぁ、まだ息があるんですか。しぶといですねぇ♡」
ふいと。
いきなり、かろうじて見えるか見えないかという位置にいたそれが。
いきなり、未だに混乱している彼らの中ほどにと出現し。
あまりの力の大きさに。
戸惑いを隠せないそんな彼らの前に。
いきなり現われてくるその神官。
「き・・・貴様・・・なにやつ・・・。」
腕を失い。
大量に出血するそれを。
自らの炎で、その傷口を焼ききり。
出血を止めている一人の黄金竜が。
息も絶え絶えにきっと睨みつけるように問いかける。
「あ、申し遅れました♡僕は怪しい神官ゼロスといーます♡」
にっこりと。
その場に不釣合いにもにっこり微笑み。
そして。
無謀にも彼に突っかかろうとした竜達数名が。
ポシュ。
音を立てて、その首から下が途切れてゆく。
「おやおや、せっかちですねぇ。いけませんよ?人が話しているときにそんなせっかちな行動をするなんて♡」
ちらりとそちらを振り向くと同時に。

ズドシュ!!

回りの空間から。
黒い三角錐が無数に出現し。
彼の回りにいた存在全てを、一瞬のうちに無と化してゆく。

・・・これが・・・・このもの・・・・この魔族の本体か!

痛む傷口を押さえつつも。
この目の前にいる魔族が。
とてつもない実力をもっているのはいやでもわかる。
「・・・・礼をかいていたな。私はミルガズィア。水竜王様の時期長老を任されているものだ。」
どうにか息を深く吐きつつ。
そういってくるその言葉に。
「おや、少しは礼儀をわきまえているかた(竜)もいらっしゃるのですね♡
  それではvはじめまして♡僕はゼロス。獣神官(プリースト)ゼロスと申します♡
  以後お見知りおきを?ミルガズィアさん?」
にこにこと。
笑みを浮かべていたその瞳をうっすらと開き。
その鋭い開いた隙間からみえるのは・・・
・・・・深いまでの闇色を湛えた、紫色の瞳。

『――な゛!?』

その言葉に一瞬絶句する。

たかが。
一人の・・腹心でもない、たったの、神官。
ただの、腹心の直属の部下。
それの実力にすら・・自分達はかなわないのか。

そういえば。
噂で聞いたことがあるような気もする。
かつての、神魔戦争。
そのときに、活躍した・・・・獣神官(プリースト)その存在を・・・。


「もうしわけありませんが♡ここから先にいってもらうわけにはいきませんので♡」

―そう。
まだ、彼が・・・レイ=マグナスが魔王だと、知られるわけにはいかない。
まだ、欠片はそろっていない。




「・・・・・・・ガーヴ!!!あなたは何をしてるんですか!!」
一喝した、凛とした声が辺りに響き渡る。
たどり着いたその場は。
すでに、人が立っていられるわけもなく。
魔道士などの、冷却呪文結界によって。
マグマと化している大地の上を歩くのがやっと。
その上から、ダメージをなくす結界を、個人個人にとかけ。
そんなどろどろの液体溶かしている地面を歩いてゆく人々。
そんな彼らのかなり前で。
拮抗している力の渦。
その中心に向かって。
いきなり、彼らが従っていた、魔道士の男性が。
いきなり、聞いたことのない、低く、それでいて。
力強い声でその場にむかって一喝したのである。

『レイ=マグナス(殿)(様)!?』
思わず。
いきなり、どなったそんな彼のほうを一斉に見やる、精鋭部隊の人々。

信じられないまでに鋭い顔で。
そちらを睨んでいるその姿に。
思わず全員が身震いしていまう。
覇気・・・・というのだろうか。
それに近い・・何かに。
いや、威厳といっても過言でないであろう。
とにかく。
そこにいるのは。
確かに、レイ=マグナスという人間の魔道士なのに。
感じる雰囲気はそれではない。



その声にはっとなる。
あまりにしつこいガーヴを力の限り追い払っていた。
いきなり聞こえたガーヴを一喝する声。
この地に、精鋭部隊の存在が向かっているのは気付いていた。
だが・・よもや。

「・・・そーいえば・・・・ルナティク様・・・いっておられましたっけ・・・。」
確か。
光と闇は表裏一体。
それゆえに、自分が覚醒しているということは。
対をなす、魔王も覚醒しているということを。
だがしかし。

「・・・今、ここで。あのものにこれ以上・・力を付けさせるのは・・・よくありませんわね・・。」

すっと、表情を険しくさせる。
今はあまり、魔王の存在に気をとられ。
下手に赤の竜神の存在に目をむけれられは今は困る。
それでなくても。
今は出産をこのほど彼女はしたばかり・・・。
人の子供を産むには。
あまりに生気や力を使い果たし。
それでなくても、今は夜鳴きなどに追われている毎日。
・・・そんなところに。
魔王復活などでもなったときには・・・。
その気苦労は計り知れない。
こんな状態になっているのである。
昔のように何もせず、互いを高めあうがために戦う。
という正統な戦いのあり方もできるとは思えない。
そうおもい。
水竜王・・アクアが。
魔竜王・・ガーヴかそちらに意識を向けるのと同時に。
同じく彼女もまた。
声のしたほうに意識を向けてゆく。



「・・・・さて、そろそろ、決着をつけさせてもらいましょうかねv」
にっこりと。
目の前の男性が。
微笑むのを見てとり。
「・・・・ミルガズィアさま!」
「・・・・邪魔ですよ♡」
ザシュ。

・・・・・・・バキィィィィィン・・・・・・。


偶然とは何たることか。

彼・・・ゼロスが貫いたその先に。

・・・その今ゼロスの錐によって貫かれた竜が後生大事にもっていた。
とある記憶球(メモリーオーブ)
・・・それすらも共に。
破壊し。


その刹那。

その球の中に封じられていた映像と・・・・・・音声が。
辺りに、しかも、大音響で・・響き渡ってゆくのであった・・・・・・・・・・。


                             -第37話へv-


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まえがき:

とりあえずv
伝説!竜を滅する者(ドラゴンスレイヤー)!(爆!)
あの回ですなv(こらまて!)



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あとがきもどき:

薫:・・・・・・・・・・・・・降魔戦争・・。これからかなり大混乱?(汗)
  ・・・・皆さん、竜族やエルフが後生大事にもっている記憶球などは。
  間違っても破壊したり、再生したりしないようにしましょぅ(汗)
  ・・・・・それでは・・・・・。
  ・・・・・がくっ・・(聞いてしまった人・・・・)

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