降魔への旅立ち



ドシュ・・。
また一つ。
たったの一人の手によって。
ここに一つ王国が壊滅した。
それは。
自業自得ともいえることなのかもしれないが。
黄金の死神。
そう数年前に有名であった、あの伝説の死神が。
今更・・・こんな状況の中でよみがえるなどとは・・。
彼女を死に至らしめたこの世界そのものが許せない。
・・彼女を殺した人間が。
彼を突き動かしているのはその想い・・・・のみ。


なぜ気付かなかったのであろう。
始めはほんの些細の人の争いだと思って傍観していた。
人が何をしようと。
基本的には干渉はできない。
下手に干渉すると余計に争いが激化するのは。
身にしみてよくわかっている。
そして、それによって生じる歪みなども。
魔族の力を感じ取り。
積極的に調査に乗り出した。
すると。
主要たる、国や大きな町などには。
必ずといっていいほどに魔族の気配。
この戦いが魔族がたくらんでいるものだと。
気付くのはあまりに遅すぎたのかもしれない。

すでに。
長き戦いの中で。
人々が勇者などと湛えていた人々は死亡。
そして。
また・・・・。

たった一人の人間の手によって。
壊滅的なダメージを受けている人間世界。
邪魔をすると容赦なし。
彼の目的は・・・何なのか。
彼の友人と称する人間達ですら、止められなかった。
それほどに深い・・・・悲しみと・・・・憎悪。



守れなかった自分と。
そして、彼女を死に至らしめたこの世界そのものへの。



「アクア、私、しばらく力・・・・振るえないから。」
その言葉にハッとなる。
いきなり、目の前に出現してきた若い女性。
彼女にとっては、絶対主ともいえる、上司でもある赤の竜神スィーフィード。
その欠片を宿していると一般には言われている。
俗にいうところの【赤の竜神の騎士(スィーフィード・ナイト)】
だが。
実質は。
彼女がかつて封じたとされる魔王同様に。
この世界をしばらく見守るために、人として転生を繰り返している。
という事実は。
一般には知られていない、この事実。
「ルナティック様?その・・・・子は・・・。」
目の前に出現したルナのお腹の中にある小さな気配。
かなりの力を感じるのは。
気のせいではない。
「・・・・ええそう。あの人間達・・・・リスティナとルシファーの子供よ。子供はまだ助かる方法があったから・・。」
それでなくても。
母親であるリナは。
生まれてくるときに、ルナの力を受けている。
そして、父親からは、魔と黄竜の力を。
竜神、魔、黄竜。
その三つの力を併せ持つ、人間の子供。
それがどんなようになるのかはわからない。
だけど・・それでも。
人であるがゆえに。
見捨てることなどできはしない。
「・・・・では、しばらくは力は・・・・。」
人間の女性は。
いや、人間に限らず、その体内に子供を宿す存在全てにおいて妊娠中は、その魔力が低下する。
あまり力のない人間などは。
そのために、力が振るえなくなるのが通常。
そして、また。
人として転生している、この世界の竜神。
光の神、赤の竜神、スィーフィードですら、それは例外ではなく・・・・・・・・。

「・・・・分かりました・・・・・。彼は・・・どうにか。私達の方で押し留めましょう・・・・。」
失った悲しみはどんどん暴走し。
今では、戦いをはじめた人間世界そのものを。
壊そうとしている彼のことを思い。
丁寧に頭を下げるルナと対峙している一人の女性。
その水色の髪がさらりと揺れる。
「・・お願いね?私はしばらくこの子の世話で・・。約一年くらい・・・何もできないから・・・・・・・」
下手にこの子のことを知られるわけにはいかない。
こんな世の中である。
それでなくても、血の気のおおい部下でもある、ヴラバザードに知られれば。
何をしでかすかわかったものではない。
それゆえに。
ルナが選んだ方法は・・・・・・。

「あの地をこの私の結界でしばらく包めばいいのですね?ルナ様、この私も参ります。・・・・いいですよね?」
「・・・・アクア?」
その申し出はうれしいが。
だがしかし・・・・。
「・・・でも、あなた、分身したら、その力もまた削られるわよ?」
といっても。
まあ、力が通常の分身では、二分の一になる程度なのであるが。
「大半の力をこちら・・・この地に残して。必要と思われる力をもってそちらにいけば。国づくりなどにも役立つでしょう?ルナ様?」
その水色に湛えた決意は揺るぎそうもない。
その言葉に。
くす。
少し笑みが漏れる。
「わかったわ。アクア・・・じゃ、お願いしようかしら?」
「はい!!」
ルナの言葉をうけて。
その刹那。
ゆらり・・・・。
軽く目をつむったかと思うと。
そこに。
今まで一人しかいなかったはずの、水色の髪に水色の瞳の女性は。
・・・・・・・次に目を開けたときには二人となっていた。

高位である、魔族や神族が行えること。
― 分身。
中には一部を切り離して分離することすらもできる。
それにはかなりの実力を要する。
高い魔力と知識、そして、力がある存在でも。
それはできることは可能ではあるが。
それに消費する力は並大抵のものではなく。
ほとんど知られていない力。
それがこの分身。

どちらも本人であり、そしてまた。
どちらに力を重点的に残すかなども。
その意思によって、簡単に工夫が可能。


「―アクア様・・・・水竜王さま。下界から、人間の使節が参りました。」
「今いきます。」
彼女の宮殿の小間使いが。
謁見室に入ってきたとき。
そこにいるのは、一人の女性のみ。

今、地上では。
争いが激化している。
エルフ、ドワーフ、人間、竜。
全てにおける生きている者達と、そして。
闇に続するものたちの生きるための戦いが。
今回の謁見もまた。
しばらく前に。
集結した、魔族の動向の行方の報告。
そうだと分かっている。

大半の力はこちらに残した。
誰も知らない事実。
今、この地・・・。
カタート山脈にある、宮殿に。
存在している水竜王は。
その力を分散させているということを。


「・・・・・問題は、簡単に騙されている存在達の動向の行方・・よね。」
集結した、腹心四人。

東西南北。
そして。
それをうけて。
彼らが、彼女・・・・水竜王を狙っているのでは。
そう思い。
他の竜王に続する部隊なども。
こちらにと集結してきている今の現状。
そして。
惑星のいたるところからも。
腕に覚えのある人間などは。
そんな彼らによって、この地にと運ばれてきている。
まあ、外では。
これ幸いと。
無謀を繰り返している人間たちだけでなく。
竜などといった存在がいたりもするが。
世の中、別に道を踏み外す生き物は別に人間だけではない。
竜族にしろ、魔族にしろ・・・そして、エルフなどといった存在にも、そんな輩は必ず存在する。
それらの対応に追われている生き物以外は。

腕に覚えがあったり、実力のある存在全ては。
今。
彼女が治めているこの地に。
惑星上では北の一部に当たるこの地域に。
集まってきているのが今の現状。




艶やかな少し肩より長い髪にウェーブの入った黒い瞳の少女。
「つまりません。これで終りですの?」
にっこりと。
ぶんとその手にしているレイピアを振り下げて。
にこにことその場に削ぐわなく笑っている一人の少女。
彼女の回りには、すでに細切れと化している、
元、人間や、竜などといったなれの果てが転がり。
辺りには、何ともいえない匂いが満ち溢れている。
「面白くありませんわ。もう少し、この私を楽しませてくれないことには♡」
くすすくと。
数千人が一斉に攻撃を仕掛けても。
何ともないそんな彼女の様子をみて。
「・・・・き・・・さま・・は・・。」
お腹が半分そぎ取られ。
もう、長くないであろう一人の黄金竜が。
彼らが戦っていた少女に向かって。
恐怖の目をむけて、かすれる声で問いただす。
集結した、腹心の拠点。
それを壊すことが何よりも先決と。
四つの箇所に襲撃部隊を向けている、種族混合部隊たち。
だが、しかし。
実力のある者達を集めているはずのそんな混合舞台は。
たった一人の少女の手によって。
いともあっさりと壊滅に追いやられていたりする。
「そうですわねぇ。せっかくですから♡ダルフィンさまから頂きました、この薬で。もう少し楽しませてくださいませね♡」
そういって。
うめいている、まだ息ある、存在達に。
無理やりというか、虚空から、彼らの内臓にと流し込むように。
緑色の何ともいえない液体を流し込んでゆく少女。

『ぐ・・・ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!?』

あたりに断末魔に近い叫びが響き渡り。
しばらくのちに一瞬の静寂。

ゆらりと。
どこか視点を定まらせることなく。
立ち上がる、数名の黄金竜など達。
人間、エルフなどにおいてもまた然り。
そんな彼らをくすくすと笑いながらみてとり。
「いいですこと?貴方たちの役目は。あなたたちの所属する、場所にと戻り。
   中から、壊滅させることですわ♡」
にっこりと微笑みかけて。
そんな彼らに命令を下しているその少女のその言葉に。
『―はい。ヘラ様・・・・・。』
薬により、すでに精神も魂も肉体ですら。
完全に彼女の手足となった彼ら達。
冥将軍(ジェネラル)ヘラ。
高位魔族である彼女のことを知らないのが道理とはいえ。
正攻法で、彼女に戦いを挑むのが、間違いといえば、間違いのもと・・・・。


余談であるが。
恐ろしいことに、面白いこと、楽しいことが好きな彼女は。
 ・・・・その性格から。
同じく面白いこと、楽しい事が好きという、海王(ディプシー)ダルフィンを師匠と仰ぎ。
彼女が作り出す新薬の開発などにも。
手を貸している・・という事実があることを。

・・・・・・魔族うちでは知らないものは・・いない。



「ここが、砂漠・・・・いくぞ!」
一人の男性の掛け声と共に。
『おう!』
一斉に、地上、空から。
羽ばたきと馬のひづめの音が響き渡り。
そんな彼らの陣営地で。
「ほらほら、怪我は治さないといけませんわ♡」
などといって。
真っ白い巫女の服に身を包んでいる一人の少女。
橙色の髪を肩の辺りで切りそろえ、翡翠色をしているその少女は。
かいがいしく、擦り傷ていどの傷でも。
慈愛の心を湛え、傷ついた部隊の傷を癒している少女が一人。
だがしかし。
回りからそう見えているだけで。
彼らは気付いてない。
その傷の手当てをするときに。
彼女が使っている・・・・薬と力が何なのか。

いつものように。
自分に手当てを申し出てきた、竜などといったそれら、生き物の手当てを終え。
与えられたテントの中。
休息をとろうとしている彼女は。
ふと。
目を閉じ、精神を集中させる。
「・・・・・冥王様?こちらは順調ですわ(はあと)」
『―そう?ありがとvやっぱり、オブジェはあったほうがいいもんねv』
彼女の脳裏に彼女の主でもあるその声が響いてくる。
「・・・・ふふ。すいませんけど、あなたたちには。
  お父さまの、コレクションというか、置物に変わっていただきますわ♡」
くすくすくす。
一人。
そのように笑っている彼女の行動など。
この部隊では誰が想像していようか。
彼女の名前をアルテミス。
冥神官(ブリースト)アルテミス。
彼女は、ここ、砂漠に拠点を構えるという、主・・・・冥王の命令に従って。
その宮殿におく、置物・・つまり、オブジェを集めるために。
・・・そこに、いきたまま。
らのような生き物を連れてゆくことが・・彼女の使命。

・・・彼らは知らない。
アルテミスが行っている行動は。
・・・自分達をいきながら、動かない置物と化してゆく。
という薬と力である・・・ということを。


彼ら・・混合部隊の一番の敗因は。
・・・・それら、魔族と知らずに。
彼女達や、そしてまた。
魔族の高位にあたる存在を。
・・・・知らずに仲間として受け入れていることにも起因があることは。
今の段階では。
誰一人として気付いてない・・・・。




「ふふvこの調子だと、欠片が見つかるのも早いよねvふふふv」
一人。
ほくほくと。
チェスの駒を動かしつつ。
一人、広い部屋のその中央で。
その体よりも一回り以上、大きな椅子に座り。
くすくすわらいつつ。
今回の戦いをチェスの駒にみたてて。
動かしている少しウェーブの入った黒い艶やかな髪をしている少年。
・・彼が。
今回の作戦の実行主でもある。
冥王(ヘルマスター)フィブリゾ。
水竜王を狙っているとみせかけて。
その実。
実は。
そのために、集まってくる人間達や、存在達の中から。
人間の中からは、分断されている欠片を他の存在などは、かつてとびちり。
様々なものに受け継がれている残留に近い、彼らの主たる、
魔王の力を取り戻すため。

その彼の本意は。
敵対している者達にはしられることなく。
今のところ、彼の思い通りにことは運んでゆくのであった・・・・・・・・。

                             -第35話へv-

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まえがき:

・・・・・間に合うかな?・・・・多分無理だろうなぁ・・・。
とゆーか・・・・。
何か、きちんと並んでないのは・・・なぜ(こらまて!)
しくしく・・。綺麗にトップが作れない(だからまてってば!)
などと意味のわからない独り言はおいとくとして。
ようやくもう少しでこれもクライマックス!
意味のない小説だなぁ。本当に(自覚はある)
んではではではvいくのですv
(・・やっぱ欝になる闇よりこっちが打ち込みやすいのさ←こらまて!)
ではではvv

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あとがきもどき:

薫:・・・・・・・・・・・よっし。
  次で、またまた一気に年代・・とっぱ・・かな?
  ・・・・・ええと。そろそろ、ガーヴの暴走かなぁ?(こらまて!)
  え?ルシファー=ガウリイは?そういう意見の人がいます?
  ええ。出てきますよぉ。というか。
  ・・・・・・まあ、明日香を知っている人には。
  おそらくオチは分かるかと・・。
 ええ、メシアと舞のあのオチですからv(こらまてぃ!)
 ではではまたv


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