降魔への旅立ち
ぼー・・・・・・・。
ボー・・・・・・。
ヌボー・・・・・。
なぜか。
呆然と歩いている三人の男性。
一人は紅い髪の野性味を帯びている男性に。
そして。
一人は無骨な武人風に紅い鎧を纏っている男性。
そして。
真っ白い髪にヒゲを蓄えている一人の老人。
「・・・・・・なあ?俺達・・・・・誰だ?」
「・・・・・さあ、名前だけしか・・・。」
「・・・・・まったくです・・・・ガーヴ様・・・。」
ふと気がつくと。
どこかの草原の只中にぼんやりと佇んでいたこの三人。
なぜか、頭がふわふわして何も思い出せない。
・・・・・覚えてないわうが幸せということもあるのであろうが・・・・。
「・・・とりあえず、近くの町か村にでもいってみるか。行くぞ、ラーシャート、ラルターク。」
そういって立ち上がるガーヴに続き。
「・・・・そうですね。何か分かるかもしれませんし。」
そういってガーヴに続く二人の男性。
テクテクテク・・・・。
ただ。
首をかしげつつ必死に思い出そうとしつつ。
近くの町にと進んでゆく。
「・・・・・・・・おい、ダル・・・・・どうする気だ・・・。」
思わず頭を抱えてしまう。
ついでに実験にと。
ガーヴの部下の二人にも食事に混ぜて飲ませた結果。
「あら、いいじゃないですか♡別に♡」
まったく悪びれもなく言い放ち。
「ふふ。なるほど、これ、魔族が食べたら、記憶喪失に陥るのですわね。ふふふv」
何とも、にこにこしつつ。
何かメモをとっているその姿をみつつ。
「あら、いいじゃあまりせんか。とりあえず自分達の力も分てないはずですから。今のうちに作戦すすめましょうよ♡」
まったく悪びれた様子のないその言葉に。
『・・・・・・・・・・・。』
思わず顔を見合わせて無言になっている三人の姿。
「・・・ま・・・・まあ、確かに。
これでガーヴが馬鹿やって、これ以上神族に目を付けられることは。ないよね・・・あははは・・・・・(汗)」
「・・・・そ・・・・そうだな・・・あはは・・・。」
「・・・・・とりあえず、だがしかし。念には念が必要ではないか?(汗)」
乾いた笑いをあげつつ。
そんな会話をしている淡い金色の髪の女性に黒髪の少年。
そして銀色の髪の男性この三人が互いに器用にも、額から数本の冷や汗を具現化させつつつぶやいていたりする。
「そうだね。とりあえず、一番平和的な彼女を中心に。この辺りで争いが激化するように。
実力ある人間なんかをここに集中させるように仕向けてみようか。
そうしたら、他の欠片が封印されている人間も。すくなくとも見つかるとおもうしね♡」
にっこりと、天使の微笑みを浮かべるそんな少年・・フィブリゾのその言葉に。
「確かに。それは手ではあるな。だがしかし。下手に動いたら。他の竜王などから直接干渉がないか?」
今までは。
人間のたかが争いと傍観していた彼らではあるが。
その中に。
自分達・・・即ち魔族が関っていることを彼らはガーヴの一件ですでに知っている。
ならば。
人間達の争いに。
彼らが加わってくることは必死。
「そのことなんだけどね?」
にっこりと。
満面の笑みを浮かべて。
彼ら・・・・ゼラス、グラウシェラーに向かって、フィブリゾは微笑むのであった・・・・・・・・・・・・。
「いやぁ、ガーヴ殿は強いから、助かります。」
「おう!飯と寝る場所さえあれば。俺達は何でもするぞ?」
がつがつがつ。
なぜか。
完全に魔ということすらも忘れて。
完全に人間世界に溶け込んでいるこのガーヴ。
ちなみに。
彼の直属の配下でもある、二人も同じく。
「いやぁ、この味付け、絶品ですね。ぜひ、私に伝授してほしいのですが・・。」
「あら、ラルタークさん。いいですよ?」
にこやかに。
そんな会話が繰り広げられている。
ここ、最近。
なぜか戦いが激化してきた。
腕のたつものを捜していた結果。
とある道端で。
行き倒れ寸前ともいえる三人を拾ったのは何といえばいいものか・・・・。
どんぶりに山盛りに盛られているご飯を食べつつ。
そんなことを言っているガーヴ。
魔族としての記憶を完全に失い。
自分達の名前しか覚えていない彼らは。
なぜか。
行き倒れ寸前のところを人間のとある軍隊に拾われて厄介になっている今の現状。
何でも、彼らは。
クリムガルドとかいう国の兵士で。
ここ、最近。
激化する争いの中に。
どうやら魔の介入があるらしいという情報をつかみ。
今から彼らが信仰している水竜王の神殿にと向かうところであるらしく。
ついさきほど。
彼らがてこずっていたとある国も陥落したばかり。
・・まあ、その功労者が。
記憶を失って行き倒れになっていれば、助けるのは道理だとは思うが。
・・・・だが、彼らは。
このガーヴが、その魔族当人・・・魔竜王という地位にいる超高位魔族などとは、夢にも知らない。
そのまま。
寝床と食事とそれなりの報酬を条件に。
今では。
ガーヴたち三人はこの国と契約を取り交わし。
傭兵として雇われていたりする今の現状。
「・・・・というわけでvガーヴ様は只今人間やっておられますv」
ぷくくくくっ!
その報告を受けて。
思わず口に手を当てて。
笑っている人が約二名。
「・・・ご苦労だった。ゼロス。今までどおりに、それとなく吹聴していてくれ。」
ひくひくと顔をひきつらせつつ。
目の前にいる黒い神官に言っている女性・・ゼラスのその言葉に。
「はい。分かりました。獣王様。それでは♡」
敬礼をし。
そのままそこから掻き消えてゆく男性・・・ゼロス。
ひくっ。
「・・・・・な・・・何か似合いすぎているよ・・・ガーヴ・・。」
笑いをこらえるのはどうにもならない。
というか。
はっきりいって似合いすぎていたりする。
そしてまた。
食事当番などにあたったときの。
エプロン姿をみたときなどは。
もう、全員で笑うしか、どうにもならない。
空間に浮かぶ水鏡のような幻影(ヴィジョン)をながめつつ。
思いっきり笑いをこらえているフィブリゾに。
こめかみを押さえているグラウシェラー。
「・・・・ま・・まあ。人間の中にまぎれているのであれば。いざというとき何とでもなるか・・・・。」
どこか諦めたようにいっているゼラス。
何しろ。
記憶を失っているのは。
ダルフィンの薬の影響。
・・・・下手すると。
以前と同じく千年・・いや、それ以上元に戻らないかもしれない。
なぜか。
彼女はよく。
魔族を人間の姿に完全に転換させる薬v
とかいって、昔から遊び心で作っているのである。
・・・まあ、その結果。
たかが、数年か数十年程度であるならば。
力はそのままに。
人間として一時期転換する薬を開発していたりするのであるが。
・・・ちなみに。
それの効力を気に入って。
とある御方が大量に注文し。
かつて、ここだけではないにしろ。
魔王や竜神がことごとく力のない人になった事実があるのもまた事実。
「そうだね。とりあえず・・。どうやら、こちらの同行に懸念を抱いて。人間達と手を結ぶ気でいるらしいし。エルフ達も。
そろそろ、本格的に行動開始しても問題ないとおもうよv」
何しろ。
こちらには。
すでに魔王様は復活されているんだしv
くすりと。
言外のその言葉を含めてにっこりと笑うフィブリゾに。
「とりあえず、どうでもいいようなものを作り出しては。彼らにけしかけて。
私が彼らの信用を得るために。動きますねvあ、それと。死んだ振り・・・協力おねがいしますね♡」
なぜか。
いそいそと。
テーブルに腰掛けている彼ら三人の前に。
うきうきしながらクッキーなどを持ってきている長い黒髪の男性。
「さ、子供達♡この私の自信作ですよvたくさんたべて。おおきくなってくださいね♡」
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。』
にっこりと。
そういって。
まっしろいエプロンつけて。
頭にしかも三角巾を取り付けて。
にこやかに彼らの前にクッキーなどといったおやつを持ってきている男性は。
・・・・他ならない、彼らの上司でもある、赤瞳の魔王。
・・今はその器をレイ=マグナスという人間の体にて、この物質世界では行動しているのであるが。
「あ、お兄ちゃん。これもvこれもv」
などといいながら。
どこかにた雰囲気の年頃の若い女性が。
そんな彼の手伝いをしていたりする。
「・・・・・・魔王様ぁ・・・・・・・。そんなことは、魔王様自らしなくても・・・。」
どこか涙声になって訴えるそんなフィブリゾのその言葉に。
「何をいっていんです?フィブ?かわいいあなたたちに、滅多な代物を食べさせれるわけないでしょう?
それに、あなたたちが喜んでくれるのは私もうれしいですしね♡」
・・・・・・おそらく。
この実情をしれば。
人々の・・・いや、生きとしいけているもの達すべて。
・・・・・魔王の概念を確実に覆すであろう。
うきうきしながら。
彼の部下・・・まあ、彼が生み出し創り出したのであるからして。
確かに子供といっても過言ではないが・・。
あつまっている部下達のために。
自らいろいろと料理などをつくり。
振舞っているレイ=マグナス=シャブラニグドゥであった・・・・・・。
ちなみに。
余談ではあるが。
彼を始めとする魔王や竜神などなど。
そういった世界を任されていたり、とある機関を任されていたりする存在達は。
・・・・必然的に様々なことにおいて。
器用になっていたりする・・・・・。
まあ、いきなり。
彼らの上司でもあり絶対主に呼び出され・・・。
何を頼まれるのか・・・・皆目不明・・・・・・・であるからして・・・・・・・。
争いが激化してゆくその最中。
人々の心もどこか壊れ始めてゆくのもまた事実・・・・・。
「ふふふふ!皆殺しだぁぁ!」
ドシュ!
「きゃぁぁぁ!」
辺りに悲鳴が巻起こる。
「リナさん!あなたは逃げなさい!はやく!」
「叔母さん!?」
悲鳴に驚き外にでる。
村の入り口などから聞こえてくる悲鳴の数々。
数日前から体調があまりよくなく。
彼女の薬になる薬草を探しに。
彼女の夫でもあるカウチェリイは。
今はここにはいない。
けだるい体を起こしてみたその視界の先には。
燃え広がる炎と。
そして。
「男達は皆殺しにしろ!女達は、生きたままつかまえろ!」
「ぎゃはははは!」
などといった叫びが聞こえてくる。
「はやく!あんたは逃げなさい!あんたはまだ若い!あいつらの餌食にならないうちに!」
そういいつつ。
体調が思わしくないので。
ネグリジェを着こんで寝ていた女性・・。
栗色の髪に紅の瞳の女性に話しているのは。
彼女の面倒・・いや、彼女達夫婦の面倒をよく見てくれている隣の家のジーナ。
本来ならば。
カウチェリイから習った魔法で。
いつもなら、無敵に近い強さをもっている彼女ではあるが。
今は体調が悪いせいか。
その魔力も不安定で。
それに思うように行動すらままならなく。
しかも、ずっとけだるい気分が続いていたりする。
こんな状態で。
戦えるはずもなく。
その言葉に。
あわてて、服を着替えて。
外にでる。
「・・・・・・・・お!あんなところに若い女が!」
「捉えろ!あれは結構、上玉だぞ!」
・・・・・・・・・カウリイ!!
男達に捉えられ。
最後に彼女が呼んだその名前は・・・。
彼女が最も愛する人の名前であった・・・・・。
・・・・・・・・・・・さよなら。
「・・・・・・ちっ。こいつ、舌をかみきりやがった!」
数名の男性で押さえ込んだ華奢で小柄でかなりの美人のその女性。
辱めを受けるまえに。
自ら自害を決めた女性のその行動。
「・・・まあいい。死ぬまでには・・・・。」
ドシュ!!
さらに女性の服に手をかけて破ってゆくその手と。
そして。
頭が。
一瞬のうちに吹き飛んだのは・・・・。
その直後のことであった・・・・・。
愛する人が体調が悪い理由は、彼にはわかっていた。
だがしかし。
彼女が自分で気付くまで。
だまっていようとおもったのもまた事実。
それゆえに。
少しでも、悪阻を抑える効果のある薬草を取りに出かけていたその矢先・・・。
起こった悲劇・・・・・。
燃え盛る村の家々。
辺りにころがる無数の死体。
・・・・そして・・・・。
あわてて、家にもどった彼・・・
・・・・・金色の髪に碧い瞳の男性がみたその光景は・・・・
彼が唯一愛している女性が・・男達に組み敷かれている姿であった・・・。
「あ・・・あ・・・・うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!」
彼の感情の爆発とともに。
肉体的な力はすでに・・・彼女の妻であるリスティナを。
完全にと生き返らせて人間にと戻したときに。
彼もまた人間の体にとなったときに、すでに失っている。
だがしかし。
そのことにより、魂がもつ力が。
その光景をみたその刹那。
・・・・彼は完全に元の力をとりもどし。
一瞬のうちに。
辺りは闇にと包まれ。
村を襲ったそれら盗賊達。
そしてまた。
近隣の小さな村などすべて全てを飲み込み・・・・。
一瞬のうちに壊滅してゆく・・・・・・。
「・・・・・リナ!」
「・・・・・カウ・・・リ・・・・。」
最後に微笑んだその瞳が写したものは何だったのか・・・。
そのまま。
微笑ながら、彼の手をとり。
・・・そのまま。
彼女の手からは・・・力が抜けてゆくのを・・・・・・。
「だ・・・駄目だ!駄目だ!駄目だぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
長い時間を生きる自らの力をなくしてまで。
一緒にいたいと願った人間の女性。
おかしいとはおもった。
一瞬のうちにある箇所の全ての気配が途絶えたことに。
そして。
それは・・・・紛れもなく。
彼女が彼に頼まれて。
その力を生命力にしたはずの・・・その力。
ふいと。
そこに精神を集中して転移する。
その何もなくなり、ただ、荒野と化しているただっひろい空間の中。
栗色の髪の女性を抱きしめて泣いている一人の男性。
「・・・・・・・ルシファー・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・ユルサナイ・・・・。」
それだけつぶやくその男性の耳には。
何がのこっているものか。
そのままその姿は掻き消えてゆく。
ふと。
「・・・・・まだ間に合う!」
ふと、まだ完全に魂がその体から抜けきっていないことに気付くが。
それは押し留められる。
・・・・・自分より・・・この子を・・・・。
死亡してから、気付いた。
いや、舌を噛み切ったその後に。
・・・自分の中にいる小さな命に。
自分が助かることよりも。
子供を助けて欲しい。
そう願うのは・・・母親ながらのこと。
様子をみにきた女性・・・ルナの目の前で。
その瞳に怒りを絶たずまえて。
掻き消える男性をそのままに。
横たえられた華奢な女性の側による。
「・・・・・まだ妊娠初期・・か・・」
助ける方法は・・・ただ一つ。
・・・・お願い・・・・。
ルナ姉ちゃん・・・・・・。
あたしは・・・・あいつの側に・・・・。
「わかったわ・・・・。安心しなさい。あんた達の子は・・!」
その言葉に笑みを浮かべて。
自分を失ったことにより暴走を始めた彼の元に出向くべく微笑かけると。
魂だけの存在となったその女性は。
その場から掻き消えてゆくのであった。
「・・・・・そうよ。助けてみせるわ・・・。」
成功する確率などは分からない。
だがしかし。
自らの・・・・竜神としての力にかけてたすけてみせる。
・・・例え今は人間となっていれども。
そしてまた、力が完全に復活してなくても。
・・・・やっことなどない。
だが理論的には出来るはず。
そのまま。
すでに冷たくなってゆくその体から・・。
まだ身ごもって数ヶ月にもみたないその胎児を。
自らの体の中にと移動させ。
定着させてゆくルナ。
リスティナとルシフェルの子供。
それは。
本来の母であるはずのリスティナの体から、ルナの体にと移動され。
代理母として、ルナはこの子を産み育てることを。
このとき。
ルナは強く決意してゆくのであった・・・・・。
この二人の幸せは願っていた。
自らが死亡しかけた母親の胎内から取り出した子供と。
そして・・・・。
黄竜族の生き残り、リーアンと。
そして、自分達の任されている世界とは異なるが。
それでも。
かなり彼女とは仲のいい、カノンとの・・・間の子供。
そんな彼らの幸せになる姿をみることは。
彼女・・・ルナにとっては喜びでもあった。
だが。
馬鹿な人間達の所業で・・。
それはもろくも崩れ去り。
・・彼らは知らない。
怒らせてはいけない人を・・・・ルシファーを怒らせてしまった。
という事実を・・・・・。
魔族だけでなく。
・・・・・黄竜族と異界の魔族の血を受け継ぐ。
かなりの実力をもっている男性を怒らせてしまった・・・ということを。
運命は。
偶然なのか必然なのか。
・・・・魔の思惑通りに。
大地には悲鳴と叫びがこれ以後。
完全に溢れることとなる・・・・・・。
-第34話へv-
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まえがき:
・・・・・・・・・ガーヴはガーヴだし・・・。Sは親ばか全開だし・・・・(爆!)
あははは・・・・・(汗)何はともあれvいくのですv
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あとがきもどき:
薫:はいvちなみに、エデンv
あの一つの話しと殆ど同じですv違うのは・・・・ねぇ?
・・・・・ちなみに。
一応表なので・・・・すこぉし(ん?)と思う表現の場所はぼかしてはいるが・・・大丈夫とは思います。
・・・・・・・うーん。暗いなぁ・・。
だからリナガウ・・・出したくなかったんだけど・・・。(なら書くなよ!)
いや、一応、魔族達とは別なところで。人間達が自ら破滅の鍵を引いた。というのを少しばかり触れておきたくて
(それがないと多分意味が分からなくなるはず・・←多分・・・)
さてさて・・・・。次回は・・・・数年後?
ついに、開始!・・かな?降魔戦争v
・・・・誰の行動が原因でしょうかねぇ?(こらこらこら!爆!)
んではではv
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