降魔への旅立ち
それは、あまりに突然で。
信じがたくて。
だがしかし。
いきなり、彼等の部隊の一つが一人の人間の手によって、壊滅したのは事実なきこと。
人の争いだと傍観していた彼等ではあるが。
生き残り戻ってきた仲間からは。
詳しいことは聞き出せなかった。
だが・・・・。
「・・・・・・・貴様たち・・・・何やつだ?」
彼等の仲間のうち。
上層部にあたる存在達には・・・。
さすがにごまかしは聞かない。
それとともに。
かつての仲間であったそれらの姿が。
異形と変化してゆく様子を目の当たりにし・・・・・。
人間が攻撃を仕掛けてきたので。
第三部隊を差し向けたのは先日のこと。
そして。
今日。
その出向いた部隊の数名の生き残り。
彼等の全てが・・・・。
肉体という器だけを利用され。
その中身が魔とすり替わっているなどと誰が想像できようか。
さすがに、年月を得た、彼等の上層部にあたる存在達は。
一目で。
その『力』を見抜き。
彼等の中に魔の間者が紛れ込むことは、何とか防がれた。
「魔が何かたくらんでいる。全員調査に当たれ!」
そう。
各竜王、神族のうちで。
命令が出されたのは。
進撃があって、数日後のこと・・・・・。
「お母さん?」
かつての傷がもとなのか。
すっかり弱くなってしまった母親を気遣いつつ。
小さな町の外にて。
生活しているレイとシルナ。
「・・・・え?あ・・ああ、何でもないのよ。」
よくあれからのち。
こういうことがある。
ふと気付いたら。
息をしていなく、視点も定まっていない母親。
「レイ兄ちゃん、ママはね?また精神集中してるのよ?」
そういって、びょんと自分に抱きついてくるまだ幼い女の子。
ここに落ち着く前に。
旅の中。
親を失い行き倒れていた幼い女の子。
身内もいないということもあり。
彼女を養女として、レイの妹として生活を始め。
すでに数年の月日が流れている。
「また?母さん、勉強熱心はいいけど。体が本調子でないんだから・・駄目だよ?」
そういいつつ、母をベットにと促し。
布団をかける。
「ねえねえ!お兄ちゃん!水竜王さまのところで何教えてもらったの!?」
目をきらきらさせていってくる。
自分と同じく黒い髪に紅い瞳をしている少女。
歳のころは、四歳程度か。
「そうだね。じゃ、サファイアにも教えるね?」
「うん!!だからお兄ちゃん、大好き!」
満面の笑みを浮かべて、レイに飛び掛る。
― 大切な家族を守るためにも・・・。力が欲しい。
それは、レイの切なる願いでもあるのであった。
それゆえに。
今ではもう挑戦するものなどなきに等しいカタートの霊山に登山を試み。
門下にと入り、いろいろと勉強している今現在。
そこで習った知識により、修練や勉強が終れば。
実家にと瞬間移動で移動し戻ってくるレイ。
レイの願いは。
家族で平穏に暮らすこと・・。
だがしかし。
すでに、彼等の回りにまで。
戦火の炎は。
間違いなく近づいてきている今の状況。
この争いを終らすには。
強い力が必要なのだ・・・と。
レイは漠然とながら、そう理解している。
だからこそ。
彼は力を求めて。
水竜王の神殿に門下生として入るという方法を取ったのであるからして。
だがしかし・・・そんな彼の思いとは裏はらに・・・・
それは運命なのかはたまた必然なのか……
それはある日のこと。
それは、あまりに突然で・・・・。
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
響いてくるのは、悲鳴の数々。
「何!?」
外に出たその先に。
夜だというのに真っ赤に燃え上がる東の空。
「・・・・何・・・・が!?はっ!母さん!サファイア!」
山の頂上から見下ろせば。
確かにそこは、自分の家族が居る場所に近い。
あわてて、とるものもとりあえず。
服も着替えずに。
そのまま、ここ水竜王の神殿の中にと与えられている部屋から移動するレイ。
家族が生活しているその場所に・・・・と。
辺りは熱気で包まれており。
見渡せば。
空に群がる無数の竜の大群。
その上に人が乗っているようでもあり、そうでもなく。
「・・・・お兄ちゃん!」
ぱたぱたと。
ピンクのネグリジェを着たまま。
走ってくる妹の姿をみつけ。
「サファイア!?母さんは!?」
「・・・・だめ!お兄ちゃん!いったら!」
その手をぐいとつかみ。
ふるふると首をふる。
「母さん!」
そんな妹を抱きかかえ。
あわてて、家の方にと向かってゆく。
・・・・そこにあったはずの家は。
完全に今や炎に包まれていた。
「母さん!!」
叫びつつ、あわてて、消化の術を唱えようとするその耳に。
「・・・・・・・・ほう。やはり、子供がいましたか・・。」
どこか低いその声に。
思わずはっと見上げる。
「おかしいとは思ったんですよ・・。確かに王家の血筋は耐えたはずなのに・・。いまだにあの首都は落ちない・・ということにね。」
その紅い唇がにやりとつりあがる。
調べた結果。
偶然ではあるが。
シルナのことを知りえた。
もしかして、その女性との間に後継者を産んでいる可能性がある。
完全に王国を滅ぼすつもりのその国にとって。
そんなことを見逃すわけはない。
ずっと、捜していた。
・・・・シルナとレイの二人の親子を。
だがしかし。
数年前。
ようやく発見したその村は。
原因不明の何かによって。
今ではもはや巨大な湖にと変化している今の現状。
― ユグラシドル王家と対を成す、ラグナデス王国。
その特殊部隊の姿が。
そこにはあった。
彼等の特性は、その力をもってして、竜を操る能力を得ている。
というもの。
炎に包まれた我が家をみつつ。
「母さんに何したの!?」
震える声でそれでいてきっと相手を見つめ、叫ぶレイ。
その言葉に。
「いや・・なぁに。いらない人にはきえてもらう、それが当たり前でしょ?
・・・・あなたにも消えてもらいましょうか?シルナ=ド=ミドガルド=ラグナデス。
その息子、レイ=マグナス=ユグラシドル。ユグラシドル王家最後の生き残りよ。」
そういって手をかざしたその刹那。
その合図に似合ったかのように。
一斉にかれの方向に向けて。
攻撃が繰り出され。
彼の回りにその刹那。
熱気と炎が巻起こる。
いつものように、水竜王の神殿で。
その日は泊り込みで、いろいろと修行をしていたレイ。
その日はいつもの日課で昼間に。
家に戻って母たちと団らんしたばかりだというのに。
その日は・・。
その夜になると、信じられない光景が。
レイの目にと飛び込んでくる。
移動したその先で。
彼が住んでいた町そのものが完全にと燃え上がり。
空の一角を赤く染め上げ。
まるで昼間のような明るさをかもし出している。
先ほどまで、人々が生活していたその町は。
今では悲鳴と混乱と恐怖。
それ一式に彩られ。
今聞こえるのは、建物が崩れ落ちる音と炎が燃え盛る音のみ。
それと・・・。
泣き叫ぶ人々の声のみ・・・・。
どうしてこういうことになったのか。
ただ。
炎を消したいのに。
邪魔をする誰かがいて。
崩れ落ちる家を前に。
何もできない自分がくやしい。
「お兄ちゃん!!危ない!」
呆然と佇むレイの前に。
サファイアが彼の前に立ち塞がり・・・。
次の瞬間には。
どすっ!
鈍い音と。
何かを貫く音が響く。
まるでスローモーションのように。
レイの目前で。
上空から、無数の光の槍に貫かれ。
ゆっくりと小さな体から紅い何かを噴出しつつ。
倒れてゆくサファイアの姿が。
レイの目の前で・・・。
見受けられてゆく・・・・・・・・・
−第24話へv−
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まえがき:
ふふふふv
ようやく次回で、彼等の登場v
これより後に本格的な覚醒への序曲だ!(こらまて!)
ではでは、いくのですvv
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あとがきもどき:
薫:サファイアちゃん。
一応重要人物ですvこの後も出てきますv
さて・・・・次回、登場するのは・・・・あれ!?
さって。フィブシェラv表現できるかなv
んではではではvvv
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