降魔への旅立ち
「・・・・・まさか人間にここまでの力が・・。」
知識があることに越したことはない。
そう思い立ち。
とある神殿の門を叩いく一人の青年。
いや、少年といったほうがいいのであろうか。
歳のころは、まだ十二かそこら。
その長く伸ばした黒い髪に紅い瞳。
以前はたまによくやってきていた人間達。
そんな彼等を試すのも。
また、彼等の役目。
下界が騒がしくなっている今。
力を得ようと邪な思いでやってくる人間なども少なくない。
まあ、大概は。
ここにたどり着くまでに。
その険しい自然に阻まれて。
たどり着くことすら不可能であるのであるが。
標高の高い連なった山脈。
その一角に。
その神殿は・・・ほぼ、山脈の一番標高の高いその場所に位置している。
そこは。
霊山としても名高い。
『カタート山脈』と呼ばれている山脈地帯。
そして、その名前の由来は。
その山脈の一部に、この世界を治めている、水竜王が鎮座しているという、宮殿と神殿があるから。
誰ともなく、この山を霊山と呼んでいる。
山独自に特有の水竜王の結界が張られており。
一年をとおして、その山頂は、雪と氷で覆われており。
人などの弱い存在が自力でたどり着くのは、まず困難とされている場所。
水竜王が鎮座するという・・その神殿に。
彼・・・レイ=マグナスは。
更なる知識を得るために。
こうして険しい山を登り。
入門するためにやってきたのである。
その力で昇ってきたものには。
原則的に知識を与えるというか勉強することを許可する。
そういう制度となっている。
そしてまた。
入門するためには。
それなりの。
いわゆる。
『力試し』なるものが存在し。
レイも例外にもれず。
「・・・・・もうこれだけ?」
『うう・・・うう・・・・・』
ものの見事に全員急所を外し。
しかも、殆ど打撲のみ。
怪我一つ負わさずに。
たったの一人の人間の少年が。
彼等・・・・竜族の中ではその力は最高と呼ばれている黄金竜の団体を。
殆ど一瞬のうちに、叩きのめした。
伊達に長いこと、自力でいろいろと特訓していたわけではない。
周りに広がる累々とした、倒れた竜達の姿。
息を少し乱しつつも。
にっこりと笑って言ってくるその言葉に。
「・・・・いいであろう。入門を許可する。名前は・・・。」
「レイです。レイ=マグナス。」
宮殿を保護する竜の、その一族の次代長。
「そうか、私はミルガズィアという。」
「ミルガズィアさんですね。これからよろしくおねがいします。」
ぺこりと。
目の前にいる、歳のころならば二十歳程度であろうか。
人の姿を成しているそんな黄金竜の彼の言葉に。
レイはぺこりとお辞儀をする。
レイ=マグナス。
十二の春の出来事。
それは、ほんの偶然であった。
人の間で起こった争いは。
やがて。
傍観を決め込んでいた竜やエルフなどといった。
人でない存在達にまでその火の粉は降り注ぎ始めた。
そんな矢先のこと・・・・。
かっ!
思わず言われた言葉にカッとなる。
「人間風情が!付け上がるな!」
混乱を極める情勢の中。
何を考えたのか、とある国の兵士が。
彼等竜族の力を仲間に取り入れようと。
こともあろうに始めは普通の交渉。
そして、それを断ると。
何を考えてのことなのか。
武力を行使して。
彼等の住まう地にと侵攻してきている今の状況。
「・・・・あ!まて!」
まだ若い竜は。
さすがに、その感情を制することができずに。
いきなり。
その場でカッとなり。
その口からレーザーブレスを撒き散らす。
金色のブレスが辺りの人間達をなぎ倒し。
そして。
数名の人々がそのブレスに貫かれて倒れてゆく。
「・・・まったく、本当に竜族って、血の気の多い方が多いいのですわね。」
そういいつつも。
その胸・・・・どうみても、そこは左の胸。
・・・・つまりは心臓がある位置。
ブレスと共に、他の血の気の多い彼等が放った槍で、その胸を貫かれているものの。
その槍に手をかざすとその刹那。
ザラリ・・。
貫かれているはずのその槍が。
まるで塵のようにと掻き消えてゆく。
『な゛!?』
思わずその場にいた全ての竜達が言葉を失う。
それはそうであろう。
普通、どんな生き物でも、心臓を一突きされて、生きていられるわけがない。
まあ、中には、心臓を数個持っている生き物や。
もっていなく別の方法で生きている生き物もいるのではあるが。
黒く長いストレートの髪に紺色の瞳をしている少女がつぶやく。
まだ若いというのに、その実力を認められ。
その若さで指揮官であり将軍の地位まで上り詰めているその少女。
その若さからねたむ人々も少なくないが。
なぜか、そういった輩は、しばらくすると。
逆に彼女の熱狂的な支持者と化していたりする。
まあ、そんな事実は彼等・・・そこにいる竜達は知る由もないのであるが。
銀色の刺繍をあしらった紺色の服。
動きやすいようにその体にフィットしているその服。
その腰には一応、彼女は、巫女系の呪文が得意であることを示すかのように。
一振りのロッドが腰に挿してあったりする。
そして。
にっこり笑いつつ。
その場に倒れている人々に手をかざす。
刹那。
完全に事切れているはずの人間達が、ゆっくりとした動作で起き上がる。
「・・・き・・・・貴様・・・・何奴!?」
一人が震える声で問いかける。
普通の、そう普通の人間の娘。
それ以外にはどうみても見えない。
だがしかし。
死んでいるはずの人間をあっさり一瞬のうちに生き返らせたり。
あげくは。
心の臓を貫かれて、まったく微動だにしない人間の娘など・・・。
いるはずもないのである。
「・・・・とりあえず、あなた方には。
私たちの計画・・ふふ、私が今いる国に逆らって。攻撃された・・という形になってもらいますわ?」
そういって、にっこりとと微笑み。
「別にあなた方にうらみがあるとかではないですが。
そもそも、これから、少しでも・・あなた方。神族の勢力は・・・削いで置かないといけませんからね?」
にっこり笑い。
腰に挿しているロッドを掴み。
そのまま。
ロッドを横に一凪する。
ドォン!!!!
刹那。
その場に巨大な力の渦が巻き起こり。
その力の飲み込まれてゆく竜達の姿が。
そして。
「・・・・さて、彼等の器を利用して、具現化なさいませね♡」
死亡した、彼らの器に・・。
何やらつぶやき。
その直後。
死んだはずの竜達は一斉にと起き上がる。
「ふふ。上出来ですわ♡」
「ノルンさま、我々は何をすれば・・・。」
そういってくる、一度死んだはずの兵士や、竜達のその問いかけに。
「ふふ。あなた方には・・・我が主、冥王様の命によって。これからまだまだ活躍してもらいますわ♡」
雷光第一部隊、指揮官、ノルン。
・・・その真実は。
冥神官(ブリースト)ノルン。
冥王(ヘルマスター)フィブリゾに直属に仕える神官であることを。
彼女が入り込んでいる王国の上層部の人々は・・・知る由もない・・・。
ザシュ!
「・・・・・・それで?」
がくがくがく。
子供だと思って甘く見すぎた。
腕のたつ子供にとある仕事を依頼して。
ことが済んだら、その関係者ごと殺せばいい。
よくある組織の考えそうなこと。
それがましてや王国がらみとなれば・・。
累々と横たわる肉片の山。
むせ返る鉄さびにも似た匂いの中に。
どす黒い紅い景色の中、佇む金色の髪に碧い瞳の少年が一人。
「まあ、報酬を払わないっていうんだったら。俺にもそれなりの考えはあるけどな。」
冷たいまでのその眼差し。
がくがくと震える手で、少し大きめの袋を差し出す一人の男性。
それを受け取り。
「ふん。始めから素直にしていればいいものを。」
それを受け取り。
自らが腰にかけている袋にしまいこみ。
そのまま。
何事もなかったかのように。
青光りする剣を片手にあるい行く一人の少年。
歳のころは、十五か六程度か。
彼が一人旅を始めて・・・すでに十年に近い年月が経過している。
かつては、エンシェントドラゴンの神殿で生活していた彼であるが。
彼のことをとある存在に気付かれはじめたので。
彼を守るべく、彼の意見も参考に。
こうして、今。
彼は一人・・・いや、一人ほど道連れはいるが。
旅をしている今の状況。
―あいかわらず容赦がないな。ルシファー。―
手にもつ剣から声が彼の耳に届く。
「ふっ。あっちが悪い。」
旅をしていると、人の心の汚さが。
嫌でも見えてくる。
そして・・・・それは人には限らずに。
彼が・・・人に心を開かないのも当然といえば当然のこと。
ルシフェル=カウチェリィ=デ=コルセプトス。
この名前は・・今や。
金色の死神として。
その筋では有名すぎるまでに有名にとなっているのであった・・・。
-第23話へv-
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まえがき:
うーん。
ゆっくり寝たいのに・・・。寝れないのがつらい・・・。
あうあうあう・・・・。
精神ダメージ・・知らないうちに受けてるんだろうなぁ(遠い目)
何はともあれ。
とりあえず。
これの続きを打ち込もう(こらこらこら!)
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あとがきもどき:
薫:・・・・・・・・・・ふっふっふっ!
さあ、問題です!このルシファー・・・だぁれだv
・・・って、もろバレですね?(笑)
・・・・・・・・実は、ガウリイサイドの話しも・・あるんですよねぇ・・。リナとの・・・(こらこらこらこら!)
でもこれはあくまで主人公・・
・・・・・・レイを中心(?)として起こることですから・・ねぇ?(かなりまて!)
さて。
レイ・・・・・そろそろ、自覚偏(ん?)ですかね?(まて!笑)
ではではではvvv
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