降魔への旅立ち


― 火竜王ヴラバザード。
今日日、小さな子供でも知っている。
この地を治めているという光の神。
赤の竜神(フレアドラゴン)スィーフィードが残したという、四人の竜王。
火竜王、水竜王、地竜王、天竜王。
この四竜王の手により、世界は平和に保たれている。
そう幼い子供ですら、両親からよく寝物語に聞かされること。
空の一つに浮かぶ、そこに実体のない何かの姿。
それをみてつぶやくフィブリゾをみて。
「・・・・どうして・・・・?」
そうつぶやくのがやっと。
「うーん。さあ?僕が聞いたところによると。かつての神魔戦争においても、彼。
   何でも勝手に行動していた。らしいという噂はあるけど?」
にこにことサラリといっていたりする幼馴染の男の子の台詞に。
「そうでなくて!何で僕の村が襲われているの!!!!?」
かなりヒステリックになって叫ぶ。
「レイ!今はそんなことより!早く地下室に隠れて!」
そんなレイをあわてて、地下に誘導しようとしているシルナ。
母親の直感。
― 彼等はレイを殺そうとしている。
そう本能が継げている。
「僕も戦う!」
そういうが否や。
ローブを寝間着の上から羽織り、そのまま外にでてゆくレイ。


外にでて、レイが見たものは。

村に闊歩する、デーモンの数々に。
その中で、空から・・・そして、地上で。
空からは、絶えず炎の雨が降り注ぎ。
地上は地上で、いずこからか弓の雨が降り注いでいる。
そして、最も特質すべきは。
おそらく、今弓を放っているどこかの誰かが雇ったのであろう。
召喚されているレッサーデーモンやブラスデーモン。
その数、ざっと百は軽く変えているのではないであろうか?
村を埋め尽くすその黒い姿や茶色い姿。
竜の炎くらいではまったくへこたれずに。
それらが手をなぎ払うのと同時に。
どんどんその手にかかり倒れてゆく村人の・・昨日までは。
レイに優しい言葉を投げかけていた・・村人達の姿が。
中には、一緒に遊んでいた・・子供達の姿も見てとれる。

上空から。
― 紅い瞳を持った人間は・・・・間違いなくころせ!
そんな声が聞こえてくる。
当然人の言葉ではないのであるが。
レイは・・・・フィブリゾやゼラスに習って。
竜のその言語を今や完全に理解ができる。


その声に体が熱くなるのを感じる。

むせ返る熱気と。
そして・・・・鉄さびのような匂い。
焦げ臭い・・・・何かがすえたようなにおい・・
辺りに響く悲鳴・・・・。


・・・・・・・・・どくん。


レイの中で。
何かが一瞬、熱くなり・・・・・そして。


「あ・・・・あ・・・・・うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」


どぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉんんんんん!!!!!!



叫びと同時に。
空に向かって手を突き出す。




カオスワーズも何も唱えずに。
それは。
彼が面白がって自らくみ上げていたとある術。
何となく、赤瞳の魔王の話しを聞いてくみ上げた術。

・・・使うのは初めてである。


カオスワーズを唱えずとも。
多少の威力をもった攻撃は・・・できる。




ふと気がつけば。
唯一、生命反応があるその小さな小屋から出てくる小さな人影。
ともかく。
上からの命令は。
この村の壊滅。
全て根絶やしにしろ。
ということ。
確かに。
ここに来るまでに。
彼等を阻むかのような結界が張ってあった。
それも魔族の。
多少ここで暴れても。
他の竜王・・というか、他の存在に気付かれないような形で。
さらにこの村の周辺には結界が施されている。
これならば、確かに、ここで魔が何かたくらんでいる。
という、彼等の上司の危惧も捨てたものではない。
それが丹なる憶測でなく、何かをたくらんでいるのは確実。
と捉えられるから。
全ての壊滅。
それを前提に行動している、彼等・・。

村の上空を埋め尽くしている竜達の総軍。




何か地上から、叫びのようなものが聞こえた。
思わずそちらを見下ろすと。
視界に入ったのは・・・。
・・・・・・紅い光の筋が一つ。


いや、筋というよりは・・これは・・・。
柱。


『・・・・・・・・・な゛!?』



それはあきらかに。
彼等・・・・神が使う力の波動ではなく。
あきらかに・・彼らとは異なる性質をもつ魔力。

― 赤瞳の魔王の力の波動がその光から感じられる。


・・・・魔王の力を借りた呪文。

かつてそれを頻繁に使っていた国があったが。
今はないはず。
ましてや、今の人間がそんなことを知っているはずもない。

彼等が葬り去ったはずの・・・呪文。

思わず目を見開く彼等に。

そのまま、レイが地上から放った光の帯は。
空を埋め尽くす、彼等・・・竜族たちを。
その光が彼等を多い尽くしたその瞬間に。
・・・・完全に消滅させているのであった。
・・・・・まったく跡形も残さずに・・・・・・・・


「・・・・くっ!空中隊も地上へ!」
そんな声が・・・かろうじて生き残った竜達からレイの耳に届く。
風にのって。



人と竜。
そんな力も魔力容量も桁外れに違う存在達が戦って。
まず普通は勝てるはずもない。
戦力になるのはホンの一部の村人のみ。


「・・・・・ちょっと!?」
「レイ君はここに隠れてて!」
地上戦になり、どうにかレイだけを。
竜族たちの目や、そんな竜族たちと同盟を結んでいる人間達の目からも隠しつつ。
レイの家の地下にある・・・その隠し通路から。
レイを地下にある安全な場所にとつれてゆくフィブリゾ。

「僕も戦う!」
「駄目!」
そういうがいなや。
何か目の前でフィブリゾがつぶやいたかと思うと。


「・・・・・・・・・・・え?」
ゆらり。
何かフィブリゾの姿が揺らめいたかとおもうと。
レイの前に立っていたはずの・・・フィブリゾは。
どこからどうみてもレイ、そのものになっているのであった。



「フィブリゾ様、用意はできましたか?」
「ダイアナ、あれは用意できた?」
「はい。」
ぱたぱたと、呆然とするレイの前に何か。
いきなりその小さな部屋の扉から出てくる、ダイアナ。
「うん、これこれ。しばらく悪いけど・・ううん。我慢してもらわないと困るからね。僕が代わりにおとりになるよ。」
そういってにっこりと笑い。
レイにと手をかかげ。
「じゃ、またね!」
そういいつつ、その部屋から出てゆくフィブリゾ。
「駄目ぇぇぇぇぇぇぇぇ!」
ただその場に、レイの叫びのみがむなしく響き渡る。



彼等の目に入ったのは。
黒い髪に紅の瞳の少年と。
そして・・・紅の瞳をしている女性。


二人とも人間であるには間違いないが。
ここで、力がある人・・・しかも、視たところ。
子供の方はその年齢よりもかなり魔力容量は高そうである。
その姿を認め。
コクンとうなづきあい。


『―欠片を宿せし人間よ・・・・死ぬがいい!』


チュドドドドドッ!!!!


その言葉と同時に。
様々な呪文と力の帯と槍とその他の雨が。
小さな村にと一斉に降り注いでゆくのであった・・・・。


                             −第20話へv−


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まえがき:

・・・・のんびりとオリジを打ち込んでたら・・。
いつのまにか十二時にぃ・・あはははは(汗)
どっちを打ち込むかなぁ?これと狭間(おい!)
え?行方(神託&闇)はどうしたかって?
・・・・聞かないでください。
なぜかあれは只今打ち込む気力がないのです・・・・。
神託はともかくとして・・・闇は・・まだまだ・・・だしなぁ・・・しくしく・・。
とゆーかリナ視点にしたら・・・かなしーし(こら!)
神託は・・とっととスミレちゃんを誕生させてしまおう(まてこら!)
(じゃぁ、どれかの話しを省くのか!!?←笑)
何はともあれvいくのですv


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あとがきもどき:

薫:・・・・・・・・・いいのか?大量虐殺・・・・。
  ・・・・いくら一回死んでいる村人だからって・・。
  それに・・・・シルナは普通の人間だとゆーのに・・・。
  何はともあれ。
  地下室・・・ん?と思った人はお仲間ですv
  一人生き残るバターン・・・やっぱ、あれが定番でしょうv
  んではでは・・・また・・・・次回で・・・・。



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