降魔への旅立ち
自分に合った力を使う。
それは、あまりに簡単のようで難しい。
強くなりたい一身で。
すでに教わった精霊世界の仕組みや精神世界の仕組み。
そして。
光に属するその仕組みに闇の仕組みも、ここ、数年の内にすでに身に付けた。
「・・・・・・暴爆呪(ブラスト・ボム)!」
どごぉぉぉお!
無数ともいえる光の球が。
手をかざした七歳程度の少年の声に従い。
近くの地面にと着弾してゆく。
その威力がすざましいのであると。
着弾したその地面そのものが。
解けてマグマのような・・つまり、まるで火山の溶岩のようになるので。
確認しなくてもすぐ分かる。
まるで乾いた大地が水分を吸収してゆくがごとくに。
少し基本を教えられただけで、一を聞いて十を知る。
とはまさにレイのことをいうのかもしれない。
まあ、元々、その根本的な所では。
彼は・・・・全てを知っているはずなのであるから。
当然といえば当然なのであろうが。
「すごい、すごいよ!さすがだね♡」
ほめられてうれしく思う。
幼いころから変わらない容姿。
それは、母から彼等はエルフの血が入っているから。
そう聞かされている。
・・・・・事実は魔族だだからなのだが・・・。
パチパチと手を叩くフィブリゾに。
「精霊魔法って結構簡単なんだね。」
どうして大人たちはもっと利用しないのだろう?
という疑問が脳裏をふと横切ったりもするが。
「じゃあ、今日は、黒魔法の勉強だね。」
「うん!」
元気よく答えてにっこりと微笑むレイ。
「・・・・・・・・・・・・ねえ?これ・・・・何?」
魔族の樹。
その一番上にある太陽のような文様をみて。
・・・・・・・・・どきり。
なぜか、それをみて、かなり心が騒ぐ。
その言葉に顔を真っ青にして。
「・・・・・・・・・・世の中、あまり知らないほうがいいよ・・。強いていうなら・・・・『お母様』・・・・かな・・・。」
自分達がかの名前を呼ぶことすらはばかれる。
「・・・・・レイ殿は知っているはずだ。」
いつもながら、淡々と話すゼラスの言葉に。
「・・・・・・・うーん・・・・。」
その日。
その言葉について、考え込み。
しばらく眠れないレイ。
うとうととした脳裏の隅に。
―何をそんなにとろとろしってるのかなぁ?
どこか澄み切った・・それでいて、凛とした声が聞こえたような気がしたのは。
・・・・・気のせいであろうか。
ほのぼのとレイ=マグナスが成長を遂げる中。
一方のこちらでは。
「・・・・・・人間なんてつまらない。」
軽く吐き捨てて、剣を治める。
その剣の刃が青白く光っていたりするのは気のせいではない。
『まあまあ、そういわないで。ルシフェル。人の中にもいい人はいるよ。』
歳のころならば、十歳前後くらいであろうか。
金色の髪に碧い瞳。
そんな少年が一人。
こんな世の中を一人で旅をしていれば。
当然、彼を騙したりしようとする大人たちも少なくない。
彼の実力をまったく知らない人間達。
まあ、無理もないが。
少年の言葉に。
剣から少年にのみ聞こえるようにと声が発せられる。
七歳になるころに神殿を出た。
毎日のようにしつこく、『あれをよこせ』といってくる竜王の一人。
その配下の竜達。
頑固として、彼を育ててくれた、一族の全員はその声に耳を傾けなかったが。
エンシェントドラゴンの神殿を出たのは。
彼の存在が、火竜王に気付かれそうになったから。
― 間違いなく、子供のうちに・・・。刺客を差し向けてくるのは、その気質から目に見えている。
それゆえに。
それを聞いた彼は。
自ら、人間界に、普通の子供として、一人で旅をしているのである。
彼の背中に刺さった一本の剣は。
・・・・彼の母。
カノン=ガルヴェイラ。
その同僚たる、異世界の魔族。
カイ=レッド=ゴルンノヴァ。
彼の側に常にいるために。
ちょっとした小さな剣の形を成している。
『運命なんてそれこそ、決まっているもの。ルシフェルにもきっと今に全てを安心して、心が安らげる人がきっといるよ。』
彼の周りに広がる、無数の動かぬ物体は。
今まさに。
彼が一瞬のうちに倒した人の群れ。
一人で旅をしている彼を心よく迎えたとある村。
だがしかし。
夜になると、彼等は全員盗賊にと変貌を遂げ。
今のこのご時世。
子供は高く売れるのである。
そのために、旅人など・・特に子供づれなどの家族を狙い。
まあ、大概女性は慰め者にして、薬漬けにして、散々男達が楽しんで後にそういう場所に売り飛ばし。
男は使い物にならないので。
どこかの研究などをしている、人体実験の材料として売り飛ばし・・。
などといったことをしつつ、生活している村は。
何もここだけではない。
それほどまでに、世の中は今やすさみきっている現状。
彼・・・・ルシフェル=カウチェリィ=デ=コルセプトス。
すでに、彼の名前は・・・。
金色の死神として。
その名前を知らないものは、いないほどに。
まだ子供だというのに。
その名前は・・・・その筋には知れ渡り有名になっていた。
「はぁはぁはぁ・・。」
どうにか人の手を逃れとある出来かけの小さな村にと逃げ込む女性。
その全身がかなりの傷をおおいながらも。
目立つのは大きなお腹。
そして、そのまま。
崩れるように倒れこむ。
「・・・・・ちょっ!?」
村をつくるのに指示を飛ばしていた一人の若い女性が。
村の入り口に倒れこんだ一人の女性の姿をみとめ。
「・・・・・・な゛!セレーネ!!!手伝って!」
「どうしたの?ルナ?」
銀色の髪を長く伸ばしている女性に語りかけているのは。
紫がかった青い髪に紅の瞳をしている。
見た目、歳のころは十八か七くらいであろうか。
あまり最近では表にでてこなく。
噂の中でしか実在しないのでは?
などといわれ始めているその女性は。
赤の竜神の騎士(スィーフィードナイト)。
ルナティック=トゥエル=ドナ=インバース。
今、この地に。
元々、この地には、自らの力がかなり秘められている場所ではある。
今は人の争いによって、そこにあった。
遺跡ともいえるとある神殿は。
形や姿こそ見えないが。
別次元の確かにそこにはある。
なくなったのは物質世界においてのみ。
こんな何処にいっても戦いの世の中。
そんな中で。
新たに国を作り出す、人の力は力強い。
ここにいま。
新たなる国として。
その首都たる場所を作り出している、彼女達。
・・・・・・ゼフィーリア王国、首都。
ゼフィール・シティ。
今、まさに。
ここに、ゼフィーリア王国が誕生しようとしているその瞬間でもあった。
あくまで拠点は必要である。
そう判断したルナが。
・・・いや、赤の竜神そのものが。
あくまで人として、生活して疑問視されない場所。
そしてまた。
どんな力を使っても。
・・・・・・自身の部下などに気付かれないように。
結界を張り巡らせるのは。
いろいろとある大陸の中。
ここに拠点を決めたのは。
近くにアクアがいるからに他ならない。
アクアというのは、水竜王(アクアロード)アクア=ラグラディア。
その水の性質で、少々のことはごまかせる。
赤の竜神の守護のもとに。
その土地はより強化されてゆく。
身重のその女性は。
すでに先が長くないのが見てとれる。
「・・・・治せないの?ルナ様?」
ルナが誰であるのか知っている銀色の髪の女性・・・セレーネ。
ルナと意気投合し、そしてまた。
彼女の親友でもあるその女性は。
ここに、王国を作ろうといった、かなり根性の座った女性でもある。
人々の支持を受けてのことではあるのであるが。
その言葉に首を振る。
いくら、この世界の至高神。
光を司る竜神とはいえ。
命脈の尽きた生命を生き返らせるのは。
出来ないことはないのだが。
そのめに生じる歪みは、すくなくとも少なくはない。
「治せるには治せるけど・・・。・・・・でも・・・。」
治しても・・・・この人間の寿命そのものは長くはない。
それがわかっているからになおさらに。
・・・・・基本的には人の生など、生き物の生には干渉することをあまり許されてない彼女達。
それは、その慈悲の心で無限に命を助けていては。
死と再生、というサイクルの中で。
成長してゆくという、世界のあの御方が設定している理に背く行為。
「・・・・・子供だけは・・・。」
傷から入った毒は・・かなりのもの。
それをその意思の力で。
ねじ伏せて、お腹の子供だけには伝わらないようにし。
自らの命を削ってでも。
子供を産もうとしている目の前の女性。
その姿勢に心を打たれる。
「・・・・わかったわ。」
命の火が消えかけているその言葉をうけ。
そっと、ルナが手を握ると。
ゆっくりと微笑み返し。
目を閉じる。
ふわ。
ルナが手をかざすと。
その人間のすでに冷たくなってゆく体が。
花にと変化して。
そこに、花畑が出現する。
その女性が。
最後の・・・数ヶ月前に滅ぼされた、セレニティア王国、
第一王女であると分かっているからして。
・・・その死体を発見されないがために。
そして。
―おぎゃぁぁぁぁぁ!!!!
その花畑の中央に横たわる一人の赤ん坊。
栗色の髪に紅の瞳。
「・・・・・ルナ様、この子の名前・・・どうする?」
「母親から貰いましょ。」
リスティナ=ウル=セレニティア。
その赤ん坊は。
ルナ達によって名づけられ。
とある村にと里子に出されてゆくのであった・・・・。
-第18話へv-
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まえがき:
ふふふふふふ。
何か今日は打ち込む気力があまりないぞ・・・。
とゆーか、以前と同じくレポート容姿に書き込みする気力は・・。
あるんですよねぇ・・・なぜ?(爆!)
ではではvv
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あとがきもどき:
薫:ふふふふふふふふv
ちらっと触れましたvルシファーとリスティナ♡
次回・・・・・・レイの村を襲う!!!!?恐怖(まて!)をお送りしますv
・・・・・・・・・・・・この辺りから戦争に向けてまっしぐらぁ・・・・。
・・・・・と(あくまでも)なる予定vんではではvv
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