降魔への旅立ち


どこにいっても、戦いの気配に満ち溢れ。
争いをしていない土地はないのではないかというほどに。
今や、何処でも、こげたような匂いが充満し。
晴れた日などには。
その視界の隅に、必ず、数個以上は、何かが燃えていると見られる。
煙の柱が、空に向かって立ち上っている。


そんな様子を。
一人。
広い部屋の中心に置かれているシンプルながらも細かい細工が見事に施されている、椅子に座っている一人の少年が。
その椅子の前の空間に。
どうやっているのか知らないが。
そんな光景を映し出し、状況を確認していたりする。
その、かわいらしい、どうみても、女の子ではないであろうか。
といった、軽くウェーブの入った艶やかな黒い髪にくりっとした大きな瞳。
まず女の子といっても、間違いなく通ることは間違いなし。
そんな、各地で、起こっている、争いの様子を映し出しつつ。
その頬に、片手を当てて。
「・・・・ふふ。面白いほどに、僕の作戦通りに動いてくれるよね。人間って♡」
そういって、口元をほころばす。
あとは・・・。
まだ、気付かれてはいない。
「でも、さすがの僕も少し疲れる・・かな?」
そんなことはあるはずもないのに。
にこにこと、そんなことをつぶやきつつ。
ふと。
視線を横に向けると。
そこに出現する、何かの駒を内部に秘めた一抱えほどあるサイズの球体。
その球体の中にあるのは、外見上、チェスのようにも見えなくないが。
そうでないのは、一目瞭然。
「・・・・・とりあえず、勘のいい、天竜王の場所は・・却下・・っとv」
そういいつつ。
そこにある、四つの色で分けられた一角を手でなぞる。
その直後に、その場所が、一気に黒く染まり、そこには、ただの黒い球体が残っているのみ。
「やっぱり、力には、力が引き寄せられるようだね。」
そして、ふと。
水色で統一されている場所をみて、かるく微笑み。
その一角の中に。
暁色に染まっている箇所が一部あるものの。
「ちっ。殺せなかったのが痛いよね・・。スィーフィードの欠片を宿し存在を・・。」
そういって、軽く舌打ち。
それが、輪廻の輪に入り。
人が妊娠したときに、すぐに気付き。
刺客をすぐさまに差し向けた。
だがしかし。
まだ生まれてもないというのに。
おなかの子供に手ひどい抵抗に会い。
それ以後。
その場所は、下手な力をもっていない輩では入れなくなっていたりする。
とりあえず、下級の魔族を使うことが無理なので。
うまい具合に、人間を利用して。
その彼女が住んでいる町を襲わせ、壊滅させたのだが。
とある、旅の一行に。
その計画も壊滅させられた。
「・・・・でも・・・あの・・・ラグナ・・・・。この僕ですら・・・精神面が覗けないから・・とりあえず。候補者ではあるんだよねぇ。」
かつて、戦いにおいて。
七つに分断されてしまった、彼らの王。
だがしかし、相手の王もまた。
同じように、七つに分断し。
下手に目覚めないようにと、監視の立場に向かっていることを彼は知っている。
混乱を招くのは、それでなくても。
たかが、下級の存在達は。
自らの王が封印されているというのをいいことに。
今や、暴れたいほうだい。
好き勝手。
この惑星上で活動するにあたり。
彼らを照らす、光ともいえる、闇の王がいないこともあり。
その実力をふんだんに発揮できない、彼ら達。
彼ら・・・いや、相手側もまた。
各自、闇と光を照らす存在。
つまりは、彼らの王がいてこそ。
その本来の実力が発揮できる。
光に照らされて、影がより濃くなるように。
そしてまた。
影に引き立てられて、光がより強くなるように。
光と闇は表裏一体。
そして・・・その、存在意義からも。
まったく逆。
彼ら・・・つぶやく少年たちの望みは。
世界の破滅。
世界を混沌にと還し、自らも還る。
それが、究極の望み。
つまりは、母なる体内に戻ってゆくことが・・彼らの、究極の望み。
そしてまた。
彼らとは表裏一体の位置にいる、神族はといえば。
逆に、世界の存続。
世界の平和とその継続。
まったく、その本質から、存在する意味からがまるで異なる。
互いに高めあうには、それなりに、まったく違う性質のほうが。
より、純度も高く、高められてゆく。
という崇高なる目的のもとに作られた、彼ら・・・。
光に属する、神族と。
闇に属する魔族。
そして。
今。
何もないはずの、その空間に。
世界の情勢を映し出し、その映像の中で。
戦いが起こっているというのにも関らずに。
にこにことそれを眺めているのは。
他ならない、闇に属している少年。
ふと、考え込み。
そして。
「・・・・ヘル。」
小さくつぶやくと。
「・・・・はい?何ですか?フィブリゾさま?」
ふいと。
そんな彼の少し前に、きづまづき。
少年とまったく外見・・いや、異なるのは、髪の長さのみ。
少年の肩の辺りまである髪とは違い。
もう一人の方は・・その髪の長さは、腰よりも長く伸びている。
そしてまた。
その、見た目の年齢もまず違う。
歳のころは、十八、九くらいであろか。
そして、感じる雰囲気が。
まったく同じ容姿だというのにも関らずに・・。
少年と違い、目の前にいるのは、女性である・・ということを物語っている。

「とりあえず、あの、シル、ラグナの人間の旅に。何か理由をつけて、同行して。
   ・・・もしかしたら、あのラグナ、欠片が封印されている、可能性があるからね?♡」
そういって、にっこり微笑む少年。
「はい。分かりました。」
主であり、彼女にとっては、父でもある、その言葉をうけて。
彼女・・冥将軍(ジェネラル)ヘルは。
冥王(ヘルマスター)フィブリゾの勅命をうけ。
とある、人間達の旅に加わるために。
人間界にと・・・物質化し。
彼らの元に向かうのであった。


「そうはいいますけど・・リィナさん・・・。」
ようやく、このほどというか。
先日生まれたばかりの、赤ん坊を抱いている。
ちょっとした偶然であった。
彼女を助けたのは。
旅をしている最中。
盗賊チームに襲われている村を発見し。
人道的な立場から彼らを助けたのは。
それでも。
生き残った村人はごくわずか。
話しを聞けば、数ヶ月前に。
原因不明の大量虐殺が巻き起こり。
一夜にして、町一つ、全滅したという。
ミルスック・シティ。
その生き残りの人々が、細々と村を作り、生活を始めたその矢先に。
何もないはずの、そんな小さな、場所に盗賊達がやってきて。
生き残った人々などを皆殺しにしていっていた。
そこの、かろうじて、数名残っただけの・・生き残りである、女性。
その、紫がかった青い髪が印象深い。
「いいえ、この子は、あの人の忘れ形見なんです・・。どんなにつらくても・・この子を手放す気は・・あません。」
そう、きっぱりと。
その、紅の瞳をしっかりと見開き。
いっているのは。
リィナ=ドナ=インバース。
その赤ん坊が、どんな力を持っているのか。
触れて、彼ら・・シルとラグナは、理解した。
数日前に、生まれたばかりの、リィナの子供。
名前を、ルナティックと名づけられているが。
古の、伝承の中にある、月の女神。
その意味合いをもつ言葉である。
しかし。
生まれたばかりの赤ん坊を抱えて女性一人が生きていけるほど、この世の中は、安定していない。
いや、それどころか・・・。
少しでも、この赤ん坊の力を知られたら。
間違いなく、この赤ん坊は、権力争いの渦の中にと。
本人の意思に関係なく。
利用されてゆくことは必死。
誰の手助けも得ずに、赤ん坊を育てるのは・・まず困難。
そして・・。
今の世の中、昨日の友が、今日の敵。
という状態がすでに当たり前になってきているこの現状。
きっぱりと言い切る、リィナの言葉に、溜息一つつく、シル。
シル=ラティス=ドナ=ラグナデス。
長く黒いストレートの漆黒の黒髪に漆黒の瞳。
歳のころは、二十歳前後。
リィナの言葉に、軽く溜息をつき。
「・・・じゃぁ、私達と旅をしませんか?ね?いいわよね?ラグナ?リーアン?」
そういって、一緒に旅をしている、同い年に見える、男性と。
男の子なのか、女の子なのか・・服装的に男の子であろう。
というくらいしか分からない子供に話しかけているシル。
「別にかまわないけど?あ、赤ちゃんの世話したい!僕!」
この世界で生きるのに。
まず、女の子の子供だと分かったら。
子供がいない家庭などに売り飛ばす、世界的な犯罪組織もまた定着している。
ちなみに、男の子だと、幼いながらも、剣術の心得などがあったりするので、あまり需要はないが。
赤ん坊や、物心つかない子供は、よく狙われている。
犯罪者にも、そして・・・戦力が少しでも欲しい、王国の表にはださないか。
裏でも。
その瞳をきらきらさせて。
リィナが抱いている赤ん坊を見ているリーアン。
「それに、この子・・何か他人って気がしないし。」
そういって、そっと、赤ん坊の手を握る。

・・・・ビリ。
その刹那。
リーアンの全身に。
一瞬、電撃のような、何かの感覚が突き抜ける。

え・・・え・・・・えっ・・えっ・・・えええええええええええええ!?

しばらく。
その場に呆然としているリーアンなのであった・・。


リーアンが感じた力と気配。

それは。
ただ、欠片を受け継いでいる・・・というものでは・・なく。

その、力と血に受け継がれ、覚えている、間違えのない感覚であったがゆえに・・・・。


「・・・・スィーフィード・・・さ・・・ま?」
そのリーアンのつぶやきは。
誰にも聞かれることはなく。
ただただ。
今後の話し合いをしているリィナ、シル、ラグナの少し後ろで。
ぼんやりと佇むリーアン。
その彼の言葉は。
誰も・・そう、リィナですら、聞こえていないのであった・・・。


この日をもって。
シル、ラグナ、リーアンの三人旅は。
赤ん坊を含めた、五人旅となったのである。


                             -第5話へv-


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まえがき:

    ・・・・・・・・ふっ。
    何か、わぁぃv続きが投稿されてるぅ!
    と、投稿サイドのとあるページのお話読んでて・・・。
    リナぁ・・(涙)
    と涙して気分がブルーになりかけている私です・・・。
    ・・・・似たストックあるにはあるがなぁ・・・・。
    エデンを打ち込んでて。思いついたとある話が・・・。
    あれは、娼婦の彼女が、実は、ガウリイの妹だというオチなのだが・・。
    あはははは・・・。
    ・・・・とゆーわけで。
    あれもやっぱり・・・チャレンジ部屋だろうな・・。
    もしも、打ち込むとすれば・・・。
    (打ち込まない可能性もかなりあるが・・あはは・・・汗)
    ああ・・・。
    何か、今、ちょこっと、漫遊記のルナサイド・・打ち込んでたけど気分がのらない・・・。
    とゆーか・・・フォーエバー・・・・。最近、まったく気分が乗りません・・。
    打ち込む気力がわきません・・・(切実)
    さて・・。
    始めの1、2話は、一応、隠しでも。更新状況に書いてましたけど(笑)
    気付きました?3話から書いてないのにv
    ふふ・・・・。
    さあ、何人が気付くのでしょうか(そーいった遊びをするなよ!爆!)
    ではでは、いくのですv
    ・・・レイ=マグナスの誕生は・・・いつ?(笑)


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  あとがきもどき:
         薫:ふふふv
           さあ、このルナテック・・だぁれだv・・ってばればれ(笑)
           ちなみにv
           ふふふふふふふふふふふふふふv
           完全にオリジナルではありますが・・。
           少しばかり、TRYの設定を入れてあります・・。
           とゆーか・・。
           始めは、ゴルちゃんだけだったんだけですけどねぇ(まて!)
           ふふ、ガルちゃんも入れたいしv(だからまて!)
           んではではvv

          ・・・ちなみに。
           レイ=マグナスが誕生するのは・・・。
           まだあと・・・・約五十年・・ばかりあとです(まて!)
           それではvv

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