降魔への旅立ち
東西南北。
それが、この惑星上。
いや、この惑星における、精神世界面にて。
光に属する、神族にしろ。
闇に属する、魔族にしろ。
それぞれが、その光と闇を治めている。
そのために、今まではバランスよく保たれていて、世界が安定の兆しを見せていたのは。
伝説上は。
この惑星・・・つまりは、惑星上に存在している、土地の中心。
その中心にあった、とある惑星にて。
かつて、遥かなる昔に。
魔王と竜神の戦いが行われ。
そこにあったはずの、『眠れる竜の大陸』と当時呼ばれていた。
一番、文明なども発達していた町とともに。
その戦いにおいて、一瞬で消滅した、伝説の大陸。
その伝説が、事実か否かは、ともかくにしろ。
誰もが、そこにたどり着けないのもまた事実。
何しろ、その辺りにいくと、巨大なクレーターが出現し。
海の中にぽっかりと。
まるで根こそぎ、惑星の中心まであるのではないだろうか?
というような、巨大なクレーターが顔を覗かせているがために。
その先にあるであろう。
その中心地帯に何があるのか。
まず知っている存在など・・・いるはずもなし。
かつては。
今でこそ、竜王は、伝説上にて、四人とされているが。
昔は、魔王の腹心である彼ら同様に五人いた。
その事実を知っている存在など・・もはや、それは。
神に属する存在か、または魔に属する・・それも。
高位に近い存在達のみ。
その竜王・・黄竜王と共に。
対峙するように、光と闇のバランスを取っていたのは。
魔族の中で、魔王の次に実力を誇るとされている。
『死を操るもの』の称号をもつ。
冥王(ヘルマスター)フィブリゾ。
彼の成功なる、緻密な作戦のもと。
その思惑に従うように。
今。
この惑星上にて。
どこにいっても、戦いの気配と、そしてまた。
不穏な空気が満ち溢れていたりする。
きっかけは、とても些細なこと。
別に、彼ら・・魔族が率先して、介入したわけではない。
ただ、少しばかり、不安材料などを炊き込み。
それをあおっただけのこと。
実際に、戦いを始めたのは・・・他ならない人間達。
いくら、竜王とはいえ。
人間の世界に干渉はできない。
いや、そんなことをしたら、まず間違いなく。
もっと今よりも状況は悪くなるのは必死。
魔側に、何らかの動きがあるのはわかっている。
だがしかし。
その全容がつかめない。
そんなもどかしさを、彼ら・・竜王側。
つまりは、神族側は、感じつつ。
それでも。
この状況を利用して。
自らの力の誇示をしようとする、竜王もいたりするという事実もあるが。
ぱたぱたぱた・・・・。
「ラティルト!」
ごぅ!
青白い光の柱が。
向かい来る、レッサーデーモンたちをなぎ倒してゆく。
これは、今やどこにでも見受けられる光景。
侵略戦争などをしかけた人間達などは。
一番、手っ取り早く、すぐに使えて、戦力になるという。
この、魔の召喚術を。
自らのお抱えの魔道士達に覚えさせ。
今や、自分の手駒として戦いに繰り出していたりする。
上がどうあがこうが。
王国などの間で何が起ころうが。
いつも、被害をこうむるのは、一般人。
そしてまた。
そんな権力などに関係なく。
生活しているほかの種族。
エルフや、ドワーフ・・そして、竜族といった存在達。
まず、権力や力を増幅しようと、目につけた、政治の上に立つ人間などは。
その、力が大きいとされる、竜族やエルフといった存在に目を向けて。
ある国では、竜狩りや、エルフ狩り。
そういった、公式のお触れを告示して。
そんな彼らの力などを利用しようと、自らの兵士達に。
そんな彼らを合成して・・などといった、行為を繰り返している国も少なくない、今の世の中。
そんな中。
それでも。
そんな上における、権力争いなどに関係なく。
各村や町といった箇所で。
自衛のための自衛団などが設立されるのは、時代の流れというべきか。
今では、旅の傭兵、魔道士、神官、巫女。
剣士。
といった、すぐにでも戦力になる存在が重宝されているこの時代。
「ふぅ・・これで、どうにか一層できた?」
その長い黒い髪をかきあげて。
つぶやく、漆黒の瞳をした、魔道士の格好をしているまだ見た目若い女性。
「そうだね。この辺りのデーモンの気配は・・どうやら、もうないみたいだけど?」
そういっているのは。
その背に、青い羽を生やしている男性。
そういう言葉と同時に。
その羽を瞬く間に見えないようにとしまいこむ。
「おい、シル。とりあえず、この辺りのデーモン達の始末は終ったから。後は・・・どうする?領主までやっとくか?」
そういっているのは。
黒い髪を短くショートカットにし。
そして・・・特質すべきは、その燃えるような紅い瞳。
「馬鹿ねぇ。ラグナ。そんなことをしたら。私達がお尋ね者になるじゃない。それに・・・。
下手したら、最後の生き残りでもある、リーアンにまで。闇の手が伸びるわよ?」
そういいつつ、さきほど、青い羽をしまった男性の方をみやる。
シルと呼ばれた、魔道士の姿をしている若い女性。
旅をしている最中。
とある、海底でみつけた、古い神殿。
その中の一角にて。
卵を見つけたそのときから―。
彼女達の運命は、回り始めていたのかもしれない。
いや、それより・・もっと前に。
その言葉にきょんと顔をむけ。
男性といえども、見た目の年齢は、まだ子供。
いや、実際にまだ、歳は、十にも満たない子供なのであるが。
それゆえに。
あまり、戦いに夢中になりすぎると。
我を忘れるといった傾向も持っている。
そんな彼・・リーアンと呼ばれた、漆黒の黒い瞳に金色の瞳をしている少年。
シルの言葉にきょとんと視線を向けて。
「何?何?シル姉ちゃん?」
分かっていないらしく。
本当に普通の子供らしく。
キョトンと首をかしげているその姿がとても愛らしい。
リーアン=ウル=コルセプトス。
今や、誰もが知らないといわれている。
かつて、存在したとされる、黄竜王に使えていたという黄竜。
その最後の生き残り・・・・。
その、尋常なる、力から。
まず、積極的には、物事には介入せずに。
彼ら、一人で、万物の源である、風火水土。
それら全てを操ることが可能とされていた、文献にも、伝説にすら残っていない、本当の幻の種族。
それが、黄竜族。
彼らは、エンシェントドラゴンと呼ばれる、竜族同様に赤の竜神に直接に仕えていた種族でもあり。
そしてまた。
エンシェントドラゴンたちは、その主は竜神であったが。
彼らの黄竜族は。
その主は、彼らのリーダー。
彼ら一族の王である、コルセプトス。
そう呼ばれている黄竜に他ならない。
だが。
そんな事実を、それでなくても、文献にも、伝説にも残っていない種族のこと。
当然のことながら、人である、彼女達・・。
シルと呼ばれた女性と、ラグナと呼ばれた女性は知るはずもないことであった。
「とりあえず、報酬もらって、次にいきましょ。」
シルの言葉に。
「・・だな。ここ、最近・・どんどん争いというか・・。何か何となくだが・・デーモンなんかが増えてないか?」
この地。
いや、この地に限らずのこと。
竜王の加護があるはずの地にて。
はっきりと分かるほどに。
その、本来は、闇に生きているはずの生き物が闊歩を始めている。
あまりに、地上が、争いと混乱に見舞われているので。
竜王の力もあまり及ばないほどに。
今や、世界は・・疲弊の道を歩み始めているのである。
そのきっかけを作ったのは・・他ならない、彼ら、人間という種族たち。
権力や力に目を奪われた人間達の所業によって。
それまで。
ただの、国の中だけの小競り合いなどであった、戦いは。
今や、世界規模にまで発展し。
各国同士が、どんどんその軍備を増強していき、戦いを仕掛けられては、またその仕返し・・。
といった、悪循環を繰り返している、この現状。
そんな中で。
彼ら・・。
旅の魔道士、剣士、神官。
といった、チームを組んだ旅人などは。
今の世の中珍しくもない。
だが、一ついえることは。
こんな世界だからこそ。
旅を続けられるのは、それなりに実力を持っているからに他ならない。
ラグナの言葉に。
「何かよくわかんないけど・・。それぞれの地で・・竜王の加護が・・薄くなってる気配があるよ?」
その身に宿る、力から。
漠然とであるが。
どうしてそうなっているのか。
理解をしているこのリーアン。
「・・・・まあ、世の中が、これだけ乱れてれば・・。見捨てられても・・当然・・よね・・・。」
そう溜息一つつきながらぽつりというシルの言葉に。
「とりあえず、長居は無用。とっとと、依頼料を受け取って。次にいくぞ?」
そんな彼らを促すラグナ。
急ぐ理由はかなり簡単。
一箇所に長く留まっていると。
逆に、彼らのように実力ある、旅の剣士や、魔道士といった存在は、まず目の仇にされ。
自分達の力にならないのなら・・排除するのみ。
という傾向が、何処の国でも見受けられるがために。
懸命な人々であれば。
一箇所に長く留まることなどしはしない。
「そうね。いくわよ?リーアン。」
「はぁぃ!シル姉ちゃん、ラグナ姉ちゃん!」
この世の中が、争いの気配に満ち溢れだして・・。
もはや、数十年が経過しようとしはじめていた・・・・。
−第4話へv−
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あとがきもどき:
薫:ふふふふふふふふふv
ちなみに、このリーアン君vの基本はv
黄竜・・・え?聞いたことがあるよ?
という人はお仲間ですv
ま、知っていても不思議ではないですけどねぇ(まて!)
ヒントは、第三の目v(お゛ーい゛!)
好きなんですよねv河惣先生の作品ってv(まてまてまて!)
あの主人公から名前をもらってまぁすv(まてぃ!)
あれを知っている人は・・・わかるはず。
とゆーか、基本的には・・狭間のリナちゃんの一族と同じです(笑)
(まて!ばらしてどうする!?)
ではではv
今回は、暗躍している魔族の気配は皆無でしたねぇ(笑)
竜王達に気付かれないように。
少しづつ、人間界に・・混乱と破壊を定着させている彼らですv
ではでは、また次回でvv
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